(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039841
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置、プラズマ処理方法、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
H01L21/302 104H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144506
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 一彦
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB24
5F004BB26
5F004BD01
5F004CA04
5F004CA08
5F004DA00
5F004DA05
5F004DA17
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F004DA26
5F004DB26
(57)【要約】
【課題】半導体装置の加工不良を抑制すること。
【解決手段】実施形態のプラズマ処理装置は、基板を処理可能な処理チャンバと、前記処理チャンバ内に設けられ、前記基板を載置することが可能なステージと、前記処理チャンバの上部に設けられ、前記処理チャンバにプラズマを供給するプラズマ発生器と、前記処理チャンバの上部側に、前記ステージに載置された前記基板に対向し、上下方向に前記基板の外周部に重なる位置の少なくとも一部に開口部を有して設けられ、前記処理チャンバ上部のプラズマから前記基板を遮蔽する第1の遮蔽板と、前記基板または前記第1の遮蔽板の少なくともいずれかを回転させて、前記基板の周方向に対する前記第1の遮蔽板の前記開口部の位置を相対的に移動することが可能な調整機構を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理可能な処理チャンバと、
前記処理チャンバ内に設けられ、前記基板を載置することが可能なステージと、
前記処理チャンバの上部に設けられ、前記処理チャンバにプラズマを供給するプラズマ発生器と、
前記処理チャンバの上面より支持され、前記ステージに載置された前記基板に対向し、上下方向に前記基板の外周部に重なる位置の少なくとも一部に開口部を有して設けられ、前記処理チャンバ上部のプラズマから前記基板を遮蔽する第1の遮蔽板と、
前記基板または前記第1の遮蔽板の少なくともいずれかを回転させて、前記基板の周方向に対する前記第1の遮蔽板の前記開口部の位置を相対的に移動することが可能な調整機構を備える、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1の遮蔽板は、
前記開口部に設けられ、前記基板の径方向に駆動して前記開口部の開口面積を調整する第2の遮蔽板を備える、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
外周部に所定膜を有する基板を処理可能な処理チャンバと、
前記処理チャンバ内に設けられ、前記基板を載置することが可能なステージと、
前記処理チャンバの上部に設けられ、前記処理チャンバにプラズマを供給するプラズマ発生器と、
前記処理チャンバの上面より支持され、前記ステージに載置された前記基板に対向し、上下方向に前記基板の外周部に重なる位置の少なくとも一部に開口部を有して設けられ、前記処理チャンバ上部のプラズマから前記基板を遮蔽する第1の遮蔽板と、
前記所定膜の膜厚を測定する膜厚モニタから測定結果を取得し、前記測定結果に基づいて、前記ステージ上に載置された前記基板の径方向に対する前記第1の遮蔽板の前記開口部の位置を相対的に移動することが可能な調整機構を制御する制御部と、
を備える、
プラズマ処理装置。
【請求項4】
基板を処理可能な処理チャンバに前記基板を搬入し、
前記処理チャンバ内に設けられ、前記基板を載置することが可能なステージに前記基板を載置し、
前記ステージに載置された前記基板に対向し、上下方向に前記基板の外周部に重なる位置の少なくとも一部に開口部を有する第1の遮蔽板を前記処理チャンバの上面より支持し、前記処理チャンバの上部に設けられるプラズマ発生器から前記処理チャンバにプラズマを供給し、
前記第1の遮蔽板によって前記処理チャンバ上部のプラズマから前記基板を遮蔽しつつ、前記基板または前記第1の遮蔽板の少なくともいずれかを回転させて、前記基板の周方向に対する前記第1の遮蔽板の前記開口部の位置を相対的に移動させながら、前記開口部と上下方向に重なる前記基板の前記外周部をプラズマにより処理する、
プラズマ処理方法。
【請求項5】
基板を処理可能な処理チャンバに所定膜を有する前記基板を搬入し、
前記処理チャンバ内に設けられ、前記基板を載置することが可能なステージに前記基板を載置し、
前記ステージに載置された前記基板に対向し、上下方向に前記基板の外周部に重なる位置の少なくとも一部に開口部を有する第1の遮蔽板を前記処理チャンバの上面より支持し、前記処理チャンバの上部に設けられるプラズマ発生器から前記処理チャンバにプラズマを供給し、
前記第1の遮蔽板によって前記処理チャンバ上部のプラズマから前記基板を遮蔽しつつ、前記基板または前記第1の遮蔽板の少なくともいずれかを回転させて、前記基板の周方向に対する前記第1の遮蔽板の前記開口部の位置を相対的に移動させながら、前記開口部と上下方向に重なる前記基板の前記外周部をプラズマにより処理する、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラズマ処理装置、プラズマ処理方法、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、基板に形成された下層膜等をプラズマ処理する際に、下層膜の一部を所定膜で覆うことがある。このとき、所定膜には、基板の端部側に凸部が形成される場合がある。このような場合、凸部の膜残りにより、半導体装置に加工不良を生じさせることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-251544号公報
【特許文献2】特開2004-87676号公報
【特許文献3】特開2013-211270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、半導体装置の加工不良を抑制することができるプラズマ処理装置、プラズマ処理方法、および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のプラズマ処理装置は、基板を処理可能な処理チャンバと、前記処理チャンバ内に設けられ、前記基板を載置することが可能なステージと、前記処理チャンバの上部に設けられ、前記処理チャンバにプラズマを供給するプラズマ発生器と、前記処理チャンバの上面より支持され、前記ステージに載置された前記基板に対向し、上下方向に前記基板の外周部に重なる位置の少なくとも一部に開口部を有して設けられ、前記処理チャンバ上部のプラズマから前記基板を遮蔽する第1の遮蔽板と、前記基板または前記第1の遮蔽板の少なくともいずれかを回転させて、前記基板の周方向に対する前記第1の遮蔽板の前記開口部の位置を相対的に移動することが可能な調整機構を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態にかかるプラズマ処理装置の全体構成の一例を模式的に示す透視上面図。
【
図2】実施形態にかかるプラズマ処理装置が備える処理チャンバの詳細の構成を示す図。
【
図3】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図4】実施形態にかかるプラズマ処理方法の手順の一部を例示する図。
【
図5】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図6】比較例にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図7】実施形態の変形例1にかかるプラズマ処理装置が備える遮蔽板の一例を示す図。
【
図8】実施形態の変形例2にかかるプラズマ処理装置が備える遮蔽板の一例を示す図。
【
図9】実施形態の変形例3にかかるプラズマ処理装置が備える処理チャンバの一例を示す図。
【
図10】実施形態の変形例4にかかるプラズマ処理装置が備える処理チャンバの一例を示す図。
【
図11】実施形態の変形例5にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図12】実施形態の変形例6にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
(プラズマ処理装置の構成例)
図1は、実施形態にかかるプラズマ処理装置1の全体構成の一例を模式的に示す透視上面図である。
【0009】
図1に示すように、プラズマ処理装置1は、処理チャンバ11a、搬送チャンバ21、ロードロック31、32、及び制御部50を備える。
【0010】
実施形態のプラズマ処理装置1の処理対象となる基板としての基板Wは、少なくとも外周部にレジスト膜等の所定膜を有している。プラズマ処理装置1は、プラズマを用いて基板Wの所定膜をアッシング処理するアッシング装置として構成されている。
【0011】
処理チャンバ11aは、ステージ17aに載置された基板Wに対してプラズマ処理を行うための容器であり、気密に封止された状態で搬送チャンバ21に接続されている。
【0012】
ロードロック31は、処理対象の基板Wを格納するための容器であり、気密に封止された状態で搬送チャンバ21に接続されている。ロードロック31は、複数の基板Wであって、例えば1ロット分の基板Wを収容可能に構成される。
【0013】
ロードロック32は、処理済みの基板Wを回収するための容器であり、気密に封止された状態で搬送チャンバ21に接続されている。ロードロック32は、複数の基板Wであって、例えば1ロット分の基板Wを収容可能に構成される。
【0014】
搬送チャンバ21は、基板Wを減圧下で搬送するための容器であり、気密に封止可能に構成されている。搬送チャンバ21は、基板Wの位置調整を行うアライメント部23a、及び基板Wを搬送する搬送アーム24を備える。
【0015】
アライメント部23aは、基板Wの中心位置のずれを補正する。アライメント部23aは、例えば基板Wのエッジ付近の上下方向に配置された図示せぬ発光部及び受光部を備える。基板Wのエッジが発光部及び受光部間の光を遮ることで、受光部における検出光の光量が変化して基板Wのエッジが検出される。アライメント部23aは、エッジの検出結果に基づいて基板Wの中心位置のずれを補正した状態で、基板Wを搬送アーム24に受け渡す。
【0016】
アライメント部23aには、膜厚モニタ231が設けられている。膜厚モニタ231は、例えばエリプソメータ等である。膜厚モニタ231は、アライメント部23aにより基板Wが位置調整された後、基板W上に形成されたアッシング対象の所定膜の膜厚を測定し、測定結果を制御部50へ送信する。
【0017】
搬送アーム24は、プラズマ処理装置1の各部へ基板Wを搬送する。搬送アーム24は、ロードロック31から搬送チャンバ21へ、また搬送チャンバ21からアライメント部23aへ、そしてアライメント部23aから処理チャンバ11aへと未処理の基板Wを搬送する。また、搬送アーム24は、処理チャンバ11aから搬送チャンバ21へ、そして搬送チャンバ21からロードロック32へと処理済の基板Wを搬送する。
【0018】
制御部50は、プラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部50は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータとして構成され、プラズマ処理装置1の全体を制御する。
【0019】
次に、
図2を用いて、プラズマ処理装置1が備える処理チャンバ11aの詳細の構成例について説明する。
【0020】
図2は、実施形態にかかるプラズマ処理装置1が備える処理チャンバ11aの詳細の構成を示す図である。
図2(a)は、処理チャンバ11aの断面図であり、
図2(b)~(d)のそれぞれは、処理チャンバ11aに備わる遮蔽板15aの透視上面図である。
【0021】
本明細書では、処理チャンバ11a内に搬入された基板Wの面に沿う所定方向をX方向とする。X方向は、処理チャンバ11a内に設けられた遮蔽板15aの中心と後述する開口部151aとを結ぶ線に沿う方向でもある。このとき、遮蔽板15aの中心から開口部151aへと向かう方向をXの正方向とし、反対の方向をXの負方向とする。
【0022】
また、本明細書では、処理チャンバ11aの上下方向をZ方向とする。このとき、上方向をZの正方向とし、下方向をZの負方向とする。X方向とZ方向とは互いに直交する。
【0023】
また、本明細書では、処理チャンバ11a内に搬入された基板Wの面に沿う方向であって、X方向と直交する方向をY方向と定義する。Y方向はZ方向とも直交する。このとき、Zの正方向側から見て、つまり、処理チャンバ11aを下方に見て、Xの正方向、Yの正方向、Xの負方向、Yの負方向が反時計回りに並ぶよう、Yの正方向と、Yの負方向とを定義する。
【0024】
図2(a)に示すように、処理チャンバ11aは、遮蔽板15a、ステージ17a、及びプラズマ発生器14を備える。処理チャンバ11aの側面111には、図示せぬ搬入出口が設けられている。基板Wは、搬入出口から処理チャンバ11aに対し搬入出される。
【0025】
また、処理チャンバ11aは、上部に供給口13aを有する。供給口13aには、供給管13が接続されている。供給管13には、プラズマ発生器14が接続されている。
【0026】
プラズマ発生器14は、図示せぬRF(Radio Frequency)またはマイクロ波等の電力を供給する電源、そして図示せぬ電極を備える。プラズマ発生器14は、図示せぬガス導入管より導入された酸素ガス等の処理ガスにマイクロ波等を印加し、処理ガスをプラズマ化する。このようにして生成されたプラズマは、供給管13を介して供給口13aから処理チャンバ11aへ供給される。
【0027】
処理ガスとしては、例えば上述の酸素ガスの他、水蒸気(H2Oガス)、窒素ガス、水素ガス、四塩化炭素ガス、三フッ化窒素ガス等の反応ガスが挙げられる。また、これらのガスに希釈ガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを混合してもよい。処理ガスとして、例えば酸素ガス等の反応ガスの混合比率を高くして、アルゴンガス等の希釈ガスの混合比率を低くするとアッシングレートは向上し、反応ガスの混合比率を低くして、希釈ガスの混合比率を高くするとアッシングレートは低下する。
【0028】
処理チャンバ11aの下部には図示せぬガス排気口が設けられており、ガス排気口には、処理チャンバ11a内の雰囲気を排気する図示せぬ真空ポンプが接続されている。
【0029】
第1の遮蔽板としての遮蔽板15aは、例えばセラミック、または石英等のプラズマ耐性を有する材料から構成される、円形の板状部材である。遮蔽板15aが、例えばアルミニウムの母材に酸化アルミニウム膜を形成した部材であってもよい。遮蔽板15aは、処理チャンバ11aの上面から突出する支持部152aによって例えば中心位置を支持され、ステージ17aに対向するように配置されている。遮蔽板15aは、ステージ17aに載置される基板Wを、供給管13から導入されるプラズマから遮蔽する。
【0030】
遮蔽板15aの径は、基板Wの径よりも大きく、さらに好ましくはステージ17aの径よりも大きい。ステージ17aに載置される基板Wの全面をプラズマから効果的に遮蔽するためである。
【0031】
図2(a)、(b)に示すように、遮蔽板15aは、板厚方向に遮蔽板15aを貫通する開口部151aを有する。開口部151aは、処理チャンバ11aの上方から見て、支持部152aから遮蔽板15aの径方向に距離L1離れた位置に形成され、遮蔽板15aの径方向に幅W1を有する矩形の孔である。供給管13から処理チャンバ11aへ導入されたプラズマは、遮蔽板15aの開口部151aを通って開口部151aと上下方向に重なる基板Wの領域A1に供給される。これによって領域A1がプラズマ処理される。なお、開口部151aの形状は矩形に限定されず、遮蔽板15aの径方向に幅W1を有する任意の形状であってもよい。
【0032】
ステージ17aは、上面に基板Wを載置可能な円形の板状部材である。ステージ17aは、処理チャンバ11aの底面から突出する支持部172によって支持され、遮蔽板15aに対向するように配置されている。
【0033】
ステージ17aは、第1駆動部160を備え、支持部172に支持された状態で、周方向に回転可能に構成されている。また、ステージ17aは、支持部172に支持された状態で、処理チャンバ11a内をX、Y、及びZ方向に移動可能に構成されている。
【0034】
調整機構としての第1駆動部160は、図示せぬモータ等を備えるアクチュエータである。第1駆動部160は、制御部50からの指示にしたがって、上記のようなステージ17aの周方向の回転動作を制御する。また、第1駆動部160は、制御部50からの指示にしたがって、ステージ17aの周方向の回転動作に加え、上記のようなX、Y、及びZ方向の移動を制御する。
【0035】
このように、X、Y、及びZ方向に移動可能なステージ17aが初期位置にあるとき、ステージ17aに載置された基板Wと、遮蔽板15aを支持する支持部152aとは上下方向に重なる位置にある。図中の点Cは、支持部152aと上下方向に重なる基板W上の点である。
【0036】
初期位置にあるステージ17aが、基板Wを載置した状態で周方向に回転することにより、遮蔽板15aの開口部151aは、支持部152aと上下方向に重なる基板Wの中心点と一致する点Cを軸として基板Wの周方向に相対的に移動する。すると、供給管13から導入されたプラズマは、基板Wの中心点と一致する点Cを軸として、領域A1を含み、半径を距離L1とした円環状の円周領域A11に供給される。これにより、基板Wの円周領域A11がプラズマ処理される。
【0037】
一方、
図2(a)、(c)に示すように、第1駆動部160により、ステージ17aをXの負方向にΔL移動させたものとする。これにより、基板Wの領域A1からXの正方向にΔL離れた場所に位置する領域A2と開口部151aとが上下方向に重なることとなる。この状態で、第1駆動部160により、ステージ17aを周方向に回転させる。すると、プラズマは、基板Wの中心点からXの正方向に外れた点Cを軸として、領域A2を含み、半径を距離L1とした円環状の円周領域A12に供給される。これにより、基板Wの円周領域A12がプラズマ処理される。
【0038】
また例えば、
図2(a)、(d)に示すように、第1駆動部160により、ステージ17aをYの負方向にΔL移動させたものとする。これにより、基板Wの領域A1からYの正方向にΔL離れた場所に位置する領域A3と開口部151aとが上下方向に重なることとなる。この状態で、第1駆動部160により、ステージ17aを周方向に回転させる。すると、プラズマは、基板Wの中心点からYの正方向に外れた点Cを軸として、領域A3を含み、半径を距離L1とした円環状の円周領域A13に供給される。これにより、基板Wの円周領域A13がプラズマ処理される。
【0039】
以上のように、基板Wを載置したステージ17aが処理チャンバ11a内をX、及びY方向に移動することによって、遮蔽板15aの開口部151aは、基板Wに対し、X、及びY方向に相対的に移動する。これにより、基板Wの中心点から等距離にある円周領域A11、基板Wの中心点から偏心した円周領域A12、A13等の、基板Wの所望の領域を円環状に処理することができる。
【0040】
また図示はしないが、例えば、円周領域A11より径方向に狭い幅の領域をアッシング処理対象とする場合、第1駆動部160により、ステージ17aをZの正方向に移動させ、開口部151aと、基板Wとを近づける。これにより、プラズマは、開口部151aを通り、開口部151aと上下方向に重なる領域であって、より狭い領域に集中して供給される。結果として、より幅の狭い領域をプラズマ処理することができる。
【0041】
一方で例えば、円周領域A11より径方向に広い幅の領域を処理対象とする場合、第1駆動部160により、ステージ17aをZの負方向に移動させ、開口部151aと、基板Wとを遠ざける。これにより、プラズマは、開口部151aを通り、開口部151aと上下方向に重なる領域であって、より広い領域に拡散されて供給される。結果として、より幅の広い領域をプラズマ処理することができる。
【0042】
ステージ17aには、温度制御部18が設けられている。温度制御部18は、ステージ17aの基板Wの載置面の温度を制御し、基板Wを所望の温度に加熱または冷却する。例えば、レジスト膜等の所定膜をアッシング処理対象とする場合、基板Wを加熱すると、所定膜のアッシングレートは向上し、基板Wを冷却すると所定膜のアッシングレートは低下する。なお、載置面の温度は例えば100℃以下が好ましく、-10℃以上100℃以下であればなお好ましい。
【0043】
制御部50は、膜厚モニタ231から測定結果を取得し、アッシング処理対象の領域、及び目標とするアッシング量を解析する。制御部50は、第1駆動部160等を制御して遮蔽板15aの開口部151aと上下に重なる位置にアッシング処理対象の領域を移動させ、また、所望のアッシング量が得られる処理条件および処理時間でアッシング処理対象の領域のプラズマ処理を実行させる。制御部50は、所望のアッシング量を得るための処理条件として、プラズマ発生器14を制御してプラズマ供給量を調整する。また、制御部50は、処理ガスの種類、及び処理ガスの混合比を調整する。また、制御部50は、温度制御部18を制御して、基板Wの温度を調整する。
【0044】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図3~
図5を用いて、実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。
【0045】
なお、
図3~
図5に示すSi基板200は、上述のプラズマ処理装置1の処理対象となる基板Wに相当する。また、
図3~
図5の例では、半導体装置の製造方法の一工程として、例えばSi基板200を加工対象としてエッチング加工する例について説明する。なお、加工対象はSi基板200に限定されず、半導体装置の製造方法には、Si基板200に任意の膜を形成し、この膜を加工対象とする工程が含まれていてもよい。
【0046】
図3は、実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
図3(a)~(b)のそれぞれは、Si基板200のXZ方向に沿う片側断面図である。
図3において、Si基板200のベベルを除く外縁部をSi基板200のエッジ201と呼ぶ。X方向に沿うエッジ201の側をSi基板200の外側、反対の側をSi基板200の内側とする。
【0047】
図3(a)に示すように、Si基板200のエッジ201から幅W4を有する領域A4を隔てた内側にSOC(Spin On Carbon)膜230を形成する。SOC膜230は、スピン塗布方式により形成される、炭素を多く含んだ有機系膜であり、例えば酸素プラズマ等を用いたアッシング処理が可能である。
【0048】
次に、Si基板200の内側領域及び領域A4に、SOC膜230を覆うSOG(Spin On Glass)膜250を形成する。SOG膜250は、スピン塗布方式により形成されるシリコン酸化膜である。
【0049】
次に、レジスト膜を形成し、露光・現像処理を施すことによってレジストパターン270pを形成する。このとき、レジストパターン270pは、エッジ201から幅W4を有する領域A4を隔てた内側に形成される。即ち、レジストパターン270pは、SOC膜230と上下に重なる位置に形成される。そのため、SOG膜250は、領域A4において露出している。
【0050】
図3(b)に示すように、エッジ201から幅W5を有する領域A5に、膜厚Tbの所定膜としてのマスク膜120を形成する。マスク膜120は、スピン塗布方式によりSi基板200の外周部に薬液を塗布して形成される、レジスト膜、またはSOC膜等のアッシング除去が可能な有機膜等である。これにより、領域A4が、Si基板200のエッチング加工の過程でエッチングプラズマに曝露されることを抑制できる。
【0051】
このようにして、Si基板200のプラズマによる加工処理の際にマスクとなる3層レジスト構造が形成される。
【0052】
ここで、マスク膜120が形成された領域A5の内側の領域A6には、膜厚TbよりΔt厚い幅W6を有する凸部121aが形成されることがある。Δtは、膜厚Tbと同程度の厚さに達することもある。
【0053】
そこで次に、このような凸部121aを、上述のプラズマ処理装置1におけるアッシング処理により除去する工程について、
図4を用いて説明する。プラズマ処理装置1における凸部121aのアッシング処理は、半導体装置の製造方法の一環として行われる。
【0054】
図4は、実施形態にかかるプラズマ処理方法の手順の一部を例示する図である。
図4(a)は、
図3(b)の処理において形成されたマスク膜120の膜厚測定の結果の一例を模式的に示す図である。
図4(b)は、マスク膜120の凸部121aをアッシング処理により除去する工程を例示する図であって、
図3(b)の処理に続く工程を示す図である。
図4(b)は、Si基板200のXZ方向に沿う片側断面図である。
【0055】
プラズマ処理装置1の搬送アーム24は、
図3(b)の処理がなされたSi基板200を、ロードロック31からアライメント部23aに搬入する。
【0056】
アライメント部23aは、Si基板200の中心位置の位置ずれを補正する。
【0057】
アライメント部23aの膜厚モニタ231は、マスク膜120の膜厚を計測し、測定結果としての膜厚データを制御部50へ送信する。膜厚モニタ231から送信される膜厚データには、Si基板200上のマスク膜120の形成位置、形成幅、及び膜厚等のデータが含まれる。
【0058】
ここで
図4(a-1)は、マスク膜120が形成されたSi基板200の上面図である。
図4(a-2)は、Si基板200の中心点Oを通りXの正負方向に延びる
図4(a-1)のA-A’線上におけるマスク膜120の膜厚データを示している。また
図4(a-3)は、Si基板200の中心点Oを通りYの正負方向に延びる
図4(a-1)のB-B’線上におけるマスク膜120の膜厚データを示している。
【0059】
なお
図4(a-1)においては、説明の便宜上、上面から視認可能な3層レジスト構造のうち、マスク膜120のみを図示することとする。
【0060】
図4(a-2)及び
図4(a-3)の膜厚データによれば、マスク膜120が、X方向およびY方向の両方向において、エッジ201から幅W5を有する領域に膜厚Tbで形成されており、また、内側には膜厚TbよりΔt厚い幅W6を有する凸部121aが形成されていることを示している。つまり、
図4(a-2)及び
図4(a-3)の膜厚データからは、円環状を有するマスク膜120、及び円環状を有する凸部121aが、Si基板200の中心に対して殆ど偏心することなく、Si基板200に対して略同心円状に形成されていると言える。
【0061】
搬送アーム24は、Si基板200を膜厚モニタ231から搬出し、処理チャンバ11aにSi基板200を搬入する。そして、搬送アーム24は、ステージ17aにSi基板200を載置する。なお、予め図示せぬ真空ポンプが稼働されて処理チャンバ11a内の雰囲気が排気されていることにより、この時点で、処理チャンバ11a内が既に減圧されていてよい。
【0062】
制御部50は、上記のような膜厚データを解析し、アッシング対象領域の位置、幅、及びアッシング量を決定する。例えば
図4(a-1)~(a-3)の例では、制御部50は、アッシング対象の位置を「エッジ201から幅W5の位置」、アッシング対象領域の幅を「幅W6」、そして目標とするアッシング量を「Δt」と決定する。
【0063】
なお、制御部50による膜厚データ解析、及びアッシング対象領域についての上記決定等の処理は、膜厚モニタ231から膜厚データを取得した後、Si基板200のプラズマ処理を開始するまでの所定のタイミングで行われてよい。
【0064】
図4(b)に示すように、制御部50は、第1駆動部160を制御して、開口部151aと、「エッジ201から幅W5の位置」とが上下方向に重なるようにステージ17aをX及びY方向に移動させ、「幅W6」の幅にプラズマPが供給されるようにステージ17aをZ方向に移動させる。またこの状態で、制御部50は、第1駆動部160を制御して、ステージ17aを周方向に回転させる。
【0065】
なお、ステージ17aの載置面の温度、処理ガスの種類、混合比、プラズマ供給量、及び処理チャンバ11a内の圧力等のその他の処理条件は、プラズマ処理装置1のユーザ等によって予め組まれたレシピをロードすることにより、所望の条件が選択されてよい。これらの処理条件もまた、マスク膜120の膜厚等、各種状態によって変わり得るが、Si基板200が有するマスク膜120の標準的な膜厚等に応じて予め適正な条件を決定することが可能である。
【0066】
ここで、例えばSi基板200の全面に形成されたレジスト膜等を除去する通常のアッシング処理では、大面積のレジスト膜等を効率的にアッシング除去するため、アッシングレートを極力高めることが望ましい。このため、通常のアッシング処理では、例えばステージ温度を250℃以上300℃以下などの高い温度で処理が行われる。一方で、アッシング対象となるマスク膜120の凸部121aは、上述のように、Si基板200の限られた領域に局所的に存在する。また、凸部121aをアッシング除去する際には、マスク膜120の他の部分までもが除去されてしまわないよう、アッシング処理の制御を精密に行うことが好ましい。上述のように、例えば載置面の温度を100℃以下、より好ましくは-10℃以上100℃以下に制御可能であることで、通常のアッシング処理とは反対に、アッシングレートを極力抑え、ある程度の時間をかけて処理することで、マスク膜120のアッシング量を精密に制御することが可能となる。
【0067】
アッシング対象領域の位置、幅、及び目標とするアッシング量等のマスク膜120の状態は、個々のSi基板200ごとに異なり得るが、これまでに経てきた工程が同じであれば、マスク膜120における状態の差異はそれほど大きなものとはならないと考えられる。したがって、アッシング対象領域の位置および幅は、ステージ17aをX、Y、Z方向に適宜駆動させることで微調整が可能である。また、目標とするアッシング量は、アッシング処理の時間を変えることで微調整が可能である。
【0068】
ただし、制御部50が、膜厚モニタ231から送信される膜厚データに基づいて、個々のSi基板200ごとに、プラズマPの処理ガスの種類、混合比、プラズマ供給量、処理チャンバ11a内の圧力等を変更してもよい。
【0069】
処理チャンバ11a内が所定の圧力及び温度に達すると、図示しないガス導入管から例えば酸素ガス等の処理ガスが導入され、プラズマ発生器14により電力が印加され、マイクロ波等が発生する。マイクロ波等によって励起されたプラズマPは、供給管13を介して処理チャンバ11aに供給される。
【0070】
プラズマPの一部は遮蔽板15aによって遮蔽され、開口部151aを通って供給されたプラズマPによって凸部121aが局所的にアッシング除去される。
【0071】
搬送アーム24は、処理チャンバ11aよりSi基板200を搬出し、ロードロック32に搬入する。
【0072】
以上で、プラズマ処理装置1における凸部121aのアッシング処理は終了する。
【0073】
図5は、実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図であって、
図4(b)の処理に続く工程を示す図である。
図5(d)~(g)のそれぞれは、Si基板200のXZ方向に沿う片側断面図である。
【0074】
図5(d)に示すように、レジストパターン270pをマスクにSOG膜250をエッチングして、SOGパターン250pを形成する。このとき、領域A4に形成されているSOG膜250は、マスク膜120によって保護されている。
【0075】
図5(e)に示すように、SOGパターン250pをマスクにSOC膜230をエッチングして、SOCパターン230pを形成する。このとき、レジストパターン270p、及びマスク膜120は、同系材料であるSOC膜230と同様にエッチングされ、除去される。
【0076】
図5(f)に示すように、SOCパターン230pをマスクにSi基板200をエッチングしてSiパターン200pを形成する。このとき、SOG膜250は、同系材料であるSi基板200と同様にエッチングされ、除去される。
【0077】
図5(g)に示すように、Si基板200の全面をアッシング処理すること等によりSOC膜230を除去する。
【0078】
この後、各種の膜の形成、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いたこれらの膜の加工等を繰り返し、種々の構成を形成していく。
【0079】
以上のようにして、実施形態の半導体装置が製造される。
【0080】
(比較例)
次に、
図6を用いて、比較例の半導体装置の製造方法について説明する。比較例においては、マスク膜120が有する凸部121xを除去することなく処理が進められる。
【0081】
図6は、比較例にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
図6(a)~(d)は、Si基板200のXZ方向に沿う片側断面図である。
図6において、X方向に沿うエッジ201の側をSi基板200の外側、反対の側をSi基板200の内側とする。
【0082】
図6(a)に示すように、比較例の半導体装置の製造工程においても、Si基板200x上に、SOC膜230、SOG膜250、レジストパターン270p、及びマスク膜120を形成する。マスク膜120の内側の領域A6には、目標とする膜厚TbよりもΔt厚い凸部121xが形成されている。また、レジストパターン270pをマスクにSOG膜250をエッチングして、SOGパターン250pを形成する。
【0083】
次に、
図6(b)に示すように、SOGパターン250pをマスクにSOC膜230をエッチングして、SOCパターン230pを形成する。このとき、領域A6には、レジストパターン270p、及び凸部121xの少なくとも一部が残っている場合がある。凸部121xの膜厚が目標とする膜厚Tbより厚いため、SOC膜230のエッチング時間では完全に除去されずに残り、さらには残った凸部121xによって直下のレジストパターン270pが覆われていたためである。
【0084】
図6(c)に示すように、SOCパターン230pをマスクにSi基板200xをエッチングしてSiパターン200pを形成する。このとき、領域A6には、依然としてレジストパターン270p、及び凸部121xの少なくとも一部が残るとともに、SOG膜250の少なくとも一部が残る場合がある。凸部121x及びレジストパターン270pの膜残りによって、直下のSOG膜250が覆われていたためである。
【0085】
図6(d)に示すように、Si基板200xの全面をアッシング処理すること等によりSOC膜230を除去する。このとき、レジストパターン270p及び凸部121xは、SOC膜230のアッシングと同時に除去される。一方、アッシング処理により除去されることのないSOG膜250は、土台となっていたSOC膜230の消失により、パーティクルとなって飛散する場合がある。これにより、半導体装置に不良が生じてしまうことがある。
【0086】
一方で、
図6(b)において、レジストパターン270p、及び凸部121xを完全に除去するため、SOC膜230を過剰にエッチング処理すると、SOC膜230が過度にエッチングされ、SOCパターン230pの寸法が変動することがある。これにより、比較例の半導体装置の性能の低下につながる場合がある。
【0087】
実施形態のプラズマ処理装置1によれば、第1駆動部160は、基板Wを載置したステージ17aの周方向の回転を制御し、処理チャンバ11aの上面より支持され、基板Wに対向して設けられた遮蔽板15aの開口部151aに対する基板Wの周方向の位置を相対的に移動させる。
【0088】
これにより、開口部151aを通ってプラズマが基板Wの周方向の領域に局所的に供給されるため、基板Wの周方向に形成された凸部121aを選択的にアッシングすることができる。よって、SOC膜230のエッチング処理を終えた時点で、マスク膜120を、膜残りなく除去することができ、凸部121a直下のSOG膜250の加工が阻害されないため、SOG膜250の膜残りにより生ずるパーティクルの飛散を抑制できる。また、SOC膜230を過剰にエッチング処理する必要が生じないため、SOCパターン230pの寸法変動等を抑制できる。このように、実施形態のプラズマ処理装置1によれば、半導体装置の加工不良の抑制が可能となる。
【0089】
実施形態のプラズマ処理装置1によれば、制御部50は、基板Wに形成されたマスク膜120の膜厚を測定する膜厚モニタ231から膜厚データを取得し、膜厚データに基づいて第1駆動部160を制御してステージ17aのX、Y、及びZ方向の移動を制御し、遮蔽板15aの開口部151aに対する基板Wの径方向及び高さ方向の位置を相対的に移動させる。
【0090】
これにより、制御部50が膜厚データに基づいて算出した凸部121aの位置、幅、及び膜厚に応じて開口部151aの径方向、及び高さ方向の位置を調整することができる。よって、個々に異なり得るマスク膜120膜の状態に合わせて、凸部121aを膜残りなくより確実に除去することができる。結果として、加工精度の高いプラズマ処理装置1を提供できる。
【0091】
なお、上述の実施形態では、開口部151aは、遮蔽板15aを上から見た場合に、Xの正方向側に一つだけ設けられていたが、この例に限定されない。例えば、開口部151aは、Xの正負の方向、及びYの正負の方向等、遮蔽板15aの周方向に複数設けられていてもよい。
【0092】
(変形例1)
図7を用いて、実施形態の変形例1のプラズマ処理装置について説明する。変形例1のプラズマ処理装置においては、開口部151aにシャッタ16が設けられている点が、上述の実施形態とは異なる。
【0093】
図7は、実施形態の変形例1にかかるプラズマ処理装置が備える遮蔽板15bの一例を示す図である。
図7(a)は、遮蔽板15bの上面図である。
図7(b)、(c)は、遮蔽板15bのXZ断面図である。
【0094】
図7(a)、(b)に示すように、第2の遮蔽板としてのシャッタ16は、遮蔽板15bに備わる板状部材である。シャッタ16は、遮蔽板15bの上面と下面との間に、各々の面と平行に格納され、開口部151aの側面から突出可能に構成されている。
【0095】
具体的には、シャッタ16は、開口部151aのX方向に向かい合う側面のうち、Xの正方向側を向く側面153aからXの正方向側に向かって突出可能なシャッタ16aと、Xの負方向側を向く側面153bからXの負方向側に向かって突出可能なシャッタ16bとから構成されている。また、遮蔽板15bを支持する支持部152bの上部には、以下に述べる配管155に接続され、配管155を介してシャッタ16a及び16bを加圧する加圧部156が設けられている。加圧部156は、第2駆動部170aにより制御される。
【0096】
シャッタ16a及びシャッタ16bは、配管155a及び配管155bとそれぞれ接続されている。配管155a及び配管155bは、加圧部156から支持部152bの内側を通る配管155から分岐して、遮蔽板15bの平板状の本体部分に内蔵されている。遮蔽板15bの本体内において、配管155aは、支持部152bからXの正方向に延びてシャッタ16aに接続される。配管155bは、支持部152bからYの正負方向に分岐し、Xの正方向側の遮蔽板15bの縁部に沿って開口部151aのXの正方向側に回り込んで、X方向にシャッタ16bと並ぶ位置で再び合流し、Xの負方向に延びてシャッタ16bに接続される。
【0097】
上記構成により、配管155a及び配管155bは、加圧部156から供給される操作エアをそれぞれシャッタ16a及びシャッタ16bに送り、開口部151aへと突出させる。シャッタ16a及びシャッタ16bの突出量は、加圧部156から供給される操作エアの圧力により制御される。
【0098】
例えば、
図7(b)に示すように、第2駆動部170aは、制御部50からの指示にしたがって、加圧部156から供給される操作エアの圧力を制御して配管155a、及び配管155bのそれぞれに所定の操作エアを供給し、シャッタ16a及びシャッタ16bをそれぞれ「d」だけ突出させることができる。これにより、開口部151aのX方向の幅W1より狭い開口部151bが形成される。
【0099】
また例えば、
図7(c)に示すように、配管155a及び配管155bを、支持部152b上端部の加圧部156の根元部分から分けておくことで、シャッタ16a及びシャッタ16bを独立して動作させることも可能である。この場合、第2駆動部170aは、制御部50からの指示にしたがって、配管155bのみに所定圧力の操作エアを供給させ、シャッタ16bを「2d」だけ突出させて開口部151bを形成することができる。このようにして、開口部151bの位置を径方向に移動させることができる。
【0100】
変形例1のプラズマ処理装置、及び半導体装置の製造方法によれば、その他、上述の実施形態のプラズマ処理装置1と同様の効果を奏する。
【0101】
(変形例2)
図8を用いて、実施形態の変形例2のプラズマ処理装置について説明する。変形例2のプラズマ処理装置は、遮蔽板15cに設けられる開口部151cが周方向に延びて円環状に形成されている点が、上述の実施形態とは異なる。
【0102】
図8は、実施形態の変形例2にかかるプラズマ処理装置が備える遮蔽板15cの一例を示す図である。
【0103】
図8に示すように、遮蔽板15cに設けられる開口部151cは、遮蔽板15cの支持部152aから遮蔽板15cの径方向に距離L1離れた位置に形成され、遮蔽板15cの径方向に幅W1を有する円環状の孔である。基板Wを載置したステージ17aを周方向に回転させることによって、基板Wの円周領域にプラズマを供給する上述の実施形態の開口部151aとは異なり、開口部151cを円環状に形成し、開口させることで、ステージ17aを回転させなくとも基板Wの円周領域にプラズマを供給することができる。
【0104】
変形例2のプラズマ処理装置、及び半導体装置の製造方法によれば、その他、上述の実施形態のプラズマ処理装置1と同様の効果を奏する。
【0105】
(変形例3)
図9を用いて、実施形態の変形例3のプラズマ処理装置について説明する。変形例3のプラズマ処理装置は、ステージ17aに替えて、遮蔽板15dが回転方向、X、Y、及びZ方向に移動可能である点が、上述の実施形態とは異なる。
【0106】
図9は、実施形態の変形例3にかかるプラズマ処理装置が備える処理チャンバ11bの一例を示す図である。
【0107】
処理チャンバ11bにおいて、遮蔽板15dは、第2駆動部170bを備え、支持部152cに支持された状態で、周方向に回転し、また、X、Y、及びZ方向に移動可能に構成されている。
【0108】
調整機構としての第2駆動部170bは、制御部50からの指示にしたがって、このような遮蔽板15dの周方向の回転方向の動作に加え、上記のようなX、Y、及びZ方向の移動を制御する。
【0109】
ステージ17aが周方向に回転する実施形態とは異なり、遮蔽板15dが周方向に回転することによって遮蔽板15dの開口部151aは、ステージ17bに載置された基板Wの周方向に相対的に移動する。供給管13から導入されたプラズマは、開口部151aを通って、基板Wの円周領域に供給される。
【0110】
さらにまた、遮蔽板15dが処理チャンバ11b内をX、Y、及びZ方向に移動することにより、遮蔽板15dの開口部151aは、基板Wに対し、X、Y、及びZ方向に相対的に移動する。これにより、基板Wの所望の領域を円環状に処理することができる。
【0111】
変形例3のプラズマ処理装置、及び半導体装置の製造方法によれば、その他、上述の実施形態のプラズマ処理装置1と同様の効果を奏する。
【0112】
(変形例4)
図10を用いて、実施形態の変形例4のプラズマ処理装置について説明する。変形例4のプラズマ処理装置においては、処理チャンバ11cがエッジ検出部23bを備える点が、上述の実施形態とは異なる。
【0113】
図10は、実施形態の変形例4にかかるプラズマ処理装置が備える処理チャンバ11cの一例を示す図である。
【0114】
変形例4の処理チャンバ11cは、エッジ検出部23bと、石英窓232とを備える。
【0115】
石英窓232は、処理チャンバ11cの上面に配置されている。
【0116】
エッジ検出部23bは、図示せぬ発光部と受光部とを備える。発光部と受光部は、処理チャンバ11cの外側から石英窓232を挟んで内側に向かい、ステージ17aに載置された基板Wの外縁部と上下方向に重なる位置に配置されている。発光部及び受光部が石英窓232を挟んで処理チャンバ11cの外側に配置されることにより、発光部及び受光部がプラズマに曝露されることを抑制できる。
【0117】
処理チャンバ11aに搬入される前に、アライメント部23aにより基板Wの中心位置の位置ずれが補正された場合であっても、搬送アーム24によって基板Wが処理チャンバ11cに搬入され、ステージ17aに載置される際に、基板Wの滑り等による位置ずれが生じる場合がある。
【0118】
エッジ検出部23bは、例えば遮蔽板15aの開口部151aを介して発光部から照射された光が基板Wの表面で反射され、それを受光部により受光することで、基板Wのエッジを検出することができる。エッジ検出部23bの検出結果に基づき、基板Wと遮蔽板15aの開口部151aとの相対位置を補正することで、アッシング処理の位置精度を高めることができる。
【0119】
変形例4のプラズマ処理装置、及び半導体装置の製造方法によれば、その他、上述の実施形態のプラズマ処理装置1と同様の効果を奏する。
【0120】
(変形例5)
図11を用いて、実施形態の変形例5の半導体装置の製造方法について説明する。変形例5の半導体装置の製造方法においては、凸部121bのアッシングをSOCパターン230pの形成後に行う点が、上述の実施形態とは異なる。
【0121】
図11は、実施形態の変形例5にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
図11(a)~(e)のそれぞれは、Si基板200のXZ方向に沿う片側断面図である。
図11において、X方向に沿うエッジ201の側をSi基板200の外側、反対の側を基板Wの内側とする。
【0122】
図11の処理に先立って、変形例5においても、上述の実施形態の
図3(a)~(b)までの処理を行う。この時点で、領域A5に形成されたマスク膜120の内側の領域A6には、凸部121bが形成されているものとする。
【0123】
図11(a)に示すように、変形例5の半導体装置の製造工程においては、マスク膜120の凸部121bを残したまま、レジストパターン270pをマスクにSOG膜250をエッチングして、SOGパターン250pを形成する。
【0124】
図11(b)に示すように、領域A6にレジストパターン270p、及び凸部121bの少なくとも一部が残っている状態で、SOGパターン250pをマスクにSOC膜230をエッチングして、SOCパターン230pを形成する。
【0125】
図11(c)に示すように、レジストパターン270p、及び凸部121bの少なくとも一部が残るSi基板200を、例えば上述の実施形態及び変形例1~4のいずれかのプラズマ処理装置でプラズマ処理して、凸部121a、及びレジストパターン270pをアッシング除去する。
【0126】
【0127】
変形例5のプラズマ処理装置、及び半導体装置の製造方法によれば、上述の実施形態のプラズマ処理装置1と同様の効果を奏する。
【0128】
(変形例6)
図12を用いて、実施形態の変形例6の半導体装置の製造方法について説明する。変形例6の半導体装置の製造方法においては、レジストパターン270pが有する凸部121cがアッシング対象膜である点が、上述の実施形態とは異なる。
【0129】
図12は、実施形態の変形例6にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
図12(a)~(c)のそれぞれは、Si基板200のXZ方向に沿う片側断面図である。
図12において、X方向に沿うエッジ201の側をSi基板200の外側、反対の側をSi基板200の内側とする。
【0130】
図12(a)に示すように、Si基板200のエッジ201から幅W7を有する領域A7を隔てた内側に下層膜290を形成する。
【0131】
次に、下層膜290と上下方向に重なる位置に、レジストパターン270pを形成する。レジストパターン270pは、下層膜290をエッチング加工するためのマスクとして形成されている。
【0132】
このようなレジストパターン270pの外側の領域A8には、幅W8の凸部121cが形成されることがある。
【0133】
図12(b)に示すように、このような凸部121cを有するSi基板200を、例えば上述の実施形態及び変形例1~4のいずれかのプラズマ処理装置でプラズマ処理して、凸部121cをアッシング除去する。
【0134】
図12(c)に示すように、凸部121cが除去されたレジストパターン270pをマスクに、下層膜290をエッチングし、その後、Si基板200の全面をプラズマ処理して、レジストパターン270pをアッシング等により除去すると、所望の加工がなされた下層膜パターン290pが形成される。
【0135】
このように、実施形態の変形例6にかかる半導体装置の製造方法においては、レジストパターン270pの凸部121cを予め除去しておくことで、下層膜290のエッチング加工が終了した後、レジストパターン270pを除去する際に、過剰なアッシング処理を行わなくとも、膜残りなくレジストパターン270pを除去することができる。そのため例えば、下層膜パターン290pが過剰に酸素プラズマに曝露されて酸化してしまうことが抑制され、半導体装置の特性の悪化を抑制することができる。
【0136】
変形例6のプラズマ処理装置、及び半導体装置の製造方法によれば、その他、上述の実施形態のプラズマ処理装置1と同様の効果を奏する。
【0137】
なお上述の実施形態及び変形例1~6では、膜厚モニタ231は、プラズマ処理装置1に設けられていたが、この例に限定されない。膜厚モニタ231は、プラズマ処理装置1の構成から独立して設けられていてもよい。この場合、制御部50が、膜厚モニタ231と各種情報の授受が可能に接続されることで、膜厚モニタ231から膜厚データを取得することができる。
【0138】
また、上述の実施形態及び変形例1~6では、ステージ17a並びに遮蔽板15a、15b、及び15dのいずれかが周方向に回転し、そしてX、Y、及びZ方向に移動する構成を備えていたが、この例に限定されない。ステージ17aと、遮蔽板15a、15b、及び15dとがともに周方向に回転し、そしてX、Y、及びZ方向に移動する構成を備えていてもよい。また例えば、遮蔽板15a、15b、及び15dが周方向に回転し、一方でステージ17aがX、Y、及びZ方向に移動する等、遮蔽板15a、15b、及び15dとステージ17aとがそれぞれ異なる動作をしてもよい。
【0139】
また、上述の実施形態及び変形例1~6では、遮蔽板15a~15dは、処理チャンバ11a~11cのそれぞれの上面から突出する支持部152a~152cのそれぞれによって支持される構成を有していたが、この例に限定されない。遮蔽板15a~15dは、処理チャンバ11a~11cの側面から延びる支持部によって支持されていてもよい。
【0140】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0141】
1…プラズマ処理装置、11a、11b、11c…処理チャンバ、13…供給管、13a…供給口、14…プラズマ発生器、15a、15b、15c、15d…遮蔽板、16、16a、16b…シャッタ、17a、17b…ステージ、18…温度制御部、21…搬送チャンバ、23a…アライメント部、23b…エッジ検出部、50…制御部、120…マスク膜、121a、121b、121c…凸部、151a、151b、151c…開口部、152a、152b、152c、172…支持部、160…第1駆動部、170a、170b…第2駆動部、200…Si基板、231…膜厚モニタ、W…基板。