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特開2024-39842半導体装置、及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039842
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】半導体装置、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240315BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H01L25/08 E
H01L23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144507
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 竹識
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 哲也
(57)【要約】
【課題】半導体装置の難燃性及び吸湿リフロー性を向上させること。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、外周部に段差を有する配線基板と、前記配線基板の面上に配置される接着剤と、前記接着剤の上面に配置され、前記配線基板の前記段差より内側に実装される半導体モジュールと、前記段差と、前記接着剤の側面と、前記半導体モジュールと、を覆う封止部材と、を備え、前記段差は、前記配線基板の外側に向いた側面部と、前記側面部の下端から前記配線基板の端部に向かって広がる底面部と、を有し、前記段差の前記側面部と前記接着剤の前記側面とが、前記接着剤及び前記半導体モジュールの積層方向から見て重なるように位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に段差を有する配線基板と、
前記配線基板の面上に配置される接着剤と、
前記接着剤の上面に配置され、前記配線基板の前記段差より内側に実装される半導体モジュールと、
前記段差と、前記接着剤の側面と、前記半導体モジュールと、を覆う封止部材と、を備え、
前記段差は、前記配線基板の外側に向いた側面部と、前記側面部の下端から前記配線基板の端部に向かって広がる底面部と、を有し、
前記段差の前記側面部と前記接着剤の前記側面とが、前記接着剤及び前記半導体モジュールの積層方向から見て重なるように位置する、
半導体装置。
【請求項2】
前記封止部材は金属含有膜であって、
前記積層方向から見て、前記封止部材の側面から外側に向かって広がる引き出し部を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記配線基板は所定深さにアース線を有しており、
前記引き出し部は、
前記段差の前記底面部に露出した前記アース線を覆っている、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記段差の底面の表面粗さが前記配線基板の実装面よりも粗い、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
配線基板に半導体モジュールを実装し、
前記配線基板及び前記半導体モジュールの積層方向から見て、前記配線基板の上面と前記半導体モジュールの下面との間に形成された接着剤のうち、前記半導体モジュールの下面よりはみ出した前記接着剤を厚さ方向に切断することにより除去し、
前記接着剤の切断された側面と、前記半導体モジュールと、を覆うように封止部材を形成し、
前記配線基板に属する領域のうち前記半導体モジュールより外側の部分を前記積層方向に切断することで、前記半導体モジュールを個片化する、
半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記接着剤を除去するときは、前記接着剤の切断に続いて前記接着剤及び前記半導体モジュールの積層方向に前記配線基板を所定深さで切削して前記配線基板の表面に段差を形成し、
前記段差は、前記配線基板の外側に向いた側面を有し、前記側面と、前記接着剤の切断された前記側面とが、前記接着剤及び前記半導体モジュールの積層方向から見て重なるように形成される、
請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記封止部材は樹脂膜である、
請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記封止部材は金属含有膜である、
請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記配線基板は所定深さにアース線を有しており、
前記段差を形成するときには、
前記配線基板を、前記段差の底面に前記アース線が露出する深さで切削し、
前記封止部材を形成するときには、
前記封止部材で前記段差の前記底面に露出した前記アース線を覆う、
請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記段差を形成するときは、前記段差の底面を粗く加工する、
請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ等がモールドされたモジュールが半田ボールを介して配線基板上に接続され、ダイシングによって個片化された半導体装置がある。モジュールと配線基板との間には接着剤を充填する場合がある。
【0003】
このとき、モジュールの端部から接着剤がはみ出すことがある。そのため、ダイシングの際に、はみ出した接着剤が半導体装置の端面に露出し、半導体装置の難燃性及び吸湿リフロー性が低下してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018-166491号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2018-247893号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2016-211198号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの実施形態は、難燃性及び吸湿リフロー性の向上が可能な半導体装置、および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、外周部に段差を有する配線基板と、前記配線基板の面上に配置される接着剤と、前記接着剤の上面に配置され、前記配線基板の前記段差より内側に実装される半導体モジュールと、前記段差と、前記接着剤の側面と、前記半導体モジュールと、を覆う封止部材と、を備え、前記段差は、前記配線基板の外側に向いた側面部と、前記側面部の下端から前記配線基板の端部に向かって広がる底面部と、を有し、前記段差の前記側面部と前記接着剤の前記側面とが、前記接着剤及び前記半導体モジュールの積層方向から見て重なるように位置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1にかかる半導体装置の構成の一例を示す図。
図2】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図3】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図4】比較例にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
図5】実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図6】実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図7】実施形態1の変形例3にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図8A】実施形態1の変形例4にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
図8B】実施形態1の変形例5にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
図9】実施形態2にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
図10】実施形態2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
[実施形態1]
以下、図1図8を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0010】
(半導体装置の構成例)
図1は、実施形態1にかかる半導体装置1の構成の一例を示す図である。図1は半導体装置1のXZ断面図である。
【0011】
なお、本明細書では、半導体装置1の支持体210の側を上方とし、半導体装置1のプリント配線基板100の側を下方とする。また、半導体装置1の上下方向をZ方向に沿う積層方向と呼ぶ。また、X方向は、後述するプリント配線基板100の面の向きに沿う方向であり、X方向、及びZ方向は互いに直交する方向である。また、Z軸の矢印が示す方向をZの正方向、及びZ軸の矢印の反対方向をZの負方向とする。
【0012】
図1に示すように、半導体装置1は、例えば1つ以上の半導体チップ220が封止されたパッケージとして構成され、プリント配線基板100、モジュール200、半田ボール300a、接着剤400a、及び封止部材500aを備える。プリント配線基板100の面上にはモジュール200が配置されている。プリント配線基板100の上面とモジュール200の下面との間には、複数の半田ボール300aが配置され、半田ボール300aを介してプリント配線基板100とモジュール200とが電気的に接続されている。複数の半田ボール300aの間には接着剤400aが充填されている。また、プリント配線基板100、接着剤400a、及びモジュール200は、封止部材500aで覆われている。
【0013】
配線基板としてのプリント配線基板(PCB:Printed Circuit Board)100は、例えば絶縁層110と導電層120とが交互に複数回積層された多層基板として構成されている。また、プリント配線基板100は、アース線130、及び電極140を備える。
【0014】
絶縁層110は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を硬化前に含侵させた炭素繊維、グラスファイバ、またはアラミド繊維等で構成されている。
【0015】
配線としての導電層120は、例えばCu等の金属から構成されている。アース線130及び電極140もまた、例えばCu等の金属から構成されている。導電層120は、配線パターンを有しており、プリント配線基板100上面の電極140と接続されている。電極140は半田ボール300aと電気的に接続されている。プリント配線基板100の下面に配置される図示せぬ電極は、マザーボード等を介してホストコンピュータ等と電気的に接続される。
【0016】
プリント配線基板100は、例えばZ方向から見て矩形を有する。プリント配線基板100の外周部は、Zの負方向に向かって所定位置まで掘り下げられている。これにより、プリント配線基板100の表面には、側面部102及び底面部103を有する段差101が設けられる。
【0017】
段差101の側面部102は、プリント配線基板100の外側に向いた面であり、底面部103は、側面部102の下端からプリント配線基板100の端部に向かって広がる面である。
【0018】
底面部103の表面は、例えばプリント配線基板100の実装面と比較して粗く加工されていてもよい。
【0019】
半導体モジュールとしてのモジュール200は、支持体210、複数の半導体チップ220、台座230、ワイヤ240、及びモールド材250を備える。
【0020】
支持体210は、積層される複数の半導体チップ220を支持する板状部材である。支持体210は、図示せぬダミー配線を有するプリント配線基板、即ち例えば、エポキシ樹脂等からなる絶縁層と、金属層とから構成される。このように、支持体210とプリント配線基板100とを類似の構成とすることにより、支持体210及びプリント配線基板100の熱による膨張率は同等程度となる。Z方向に対向して配置される支持体210及びプリント配線基板100の熱による膨張率が略等しいことから、それぞれの膨張及び収縮による応力が抑制され、結果として半導体装置1の反り等が抑制される。支持体210はプリント配線基板の他に、リードフレーム、チップ、セラミックでもよい。
【0021】
複数の半導体チップ220のそれぞれは、Si基板等が個片化された小片であり、例えば主面221側の面に図示せぬ半導体素子を有する。複数の半導体チップ220は、主面221をプリント配線基板100側に向け、Zの負方向に向かい、X方向に互いにずれて順次積層されている。
【0022】
より詳細には、1つ目の半導体チップ220は、支持体210に接するように配置されている。2つ目の半導体チップ220は、1つ目の半導体チップ220の主面211に接し、1つ目の半導体チップ220とX方向に若干ずれた位置に配置されている。3つ目の半導体チップ220は、2つ目の半導体チップ220の主面221に接し、2つ目の半導体チップ220と同じ方向にさらにずれた位置に配置されている。
【0023】
なお、複数の半導体チップ220のX方向におけるずれ方向は、Zの負方向に向かういずれかの半導体チップ220において反転されていてもよい。図1の例では、3つめの半導体チップ220の主面221に接する4つ目の半導体チップ220が、3つ目の半導体チップ220とは反対のX方向にずれた位置に配置されている。
【0024】
ワイヤ240は、例えばAu、Cu、Pd、Cu、及びAgの少なくともいずれかの金属材料を含んで構成されている。ワイヤ240は、半導体チップ220の主面221において、図示せぬ半導体素子と電気的に接続されている。ワイヤ240は、後述するモールド材250を貫通して、半導体チップ220の主面221から支持体210と反対の側、即ちZの負方向に向かって略垂直に形成されている。半導体チップ220が上述のようにX方向にずれて積層されるため、Zの負方向に向かって延びるワイヤ240が互いに接触することを防ぐことができる。ワイヤ240は、モールド材250のプリント配線基板100側の面において、電極パッド241と接続されている。これにより、電極パッド241を介して、半導体チップ220の図示せぬ半導体素子と、後述する半田ボール300aとが電気的に接続される。
【0025】
なお、複数の半導体チップ220を積層する際に、図1の例のように台座230を設けてもよい。台座230は、Si基板等の小片である。台座230は、例えばX方向へのずれが最大となっている半導体チップ220の支持体210側の面と、支持体210との間に配置される。図1の例では、台座230は、3つ目の半導体チップ220の支持体210側の面と、支持体210との間に配置されている。これにより、ワイヤ240の形成の際に、主面221に対してZの正方向に向かって応力がかかった場合に、支持体210側の面から半導体チップ220を支えることができる。結果として、半導体チップ220の剥がれ、及び割れが抑制される。
【0026】
モールド材250は、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂等である。モールド材250は、支持体210、積層された複数の半導体チップ220、台座230、及びワイヤ240を封止する。
【0027】
上述の構成を有するモジュール200は、後述する接着剤400aの上面であって、プリント配線基板100の段差101より内側に、半導体チップ220の主面221をプリント配線基板100側に向けた状態で実装されている。モジュール200のこのような実装方式をフリップチップ方式とも呼ぶ。
【0028】
半田ボール300aは、モジュール200の下面と、プリント配線基板100の上面との間に配置されている。半田ボール300aのモジュール200の側の面は、電極パッド241と接続し、ワイヤ240と電気的に接続されている。半田ボール300aのプリント配線基板100側の面は、プリント配線基板100の電極140と電気的に接続されている。これにより、半田ボール300aを介して、プリント配線基板100とモジュール200とが電気的に接続される。
【0029】
接着剤400aは、例えばアンダーフィル剤と呼ばれ、液状のエポキシ樹脂等から構成される。接着剤400aは、プリント配線基板100とモジュール200との間に配置されている。より詳細には、Zの正方向から見て、接着剤400aの側面と段差101の側面部102とは重なる位置に配置されている。
【0030】
接着剤400aが、プリント配線基板100とモジュール200との間に配置されることで、電極パッド241と半田ボール300aとの接続部、及び半田ボール300aと電極140との接続部が保護される。
【0031】
封止部材500aは、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性の樹脂膜である。封止部材500aは、段差101、接着剤400aの側面、及びモジュール200の全体を覆っている。これにより、接着剤400aが封止部材500aの表面に露出することを防ぎつつ、段差101、接着剤400aの側面、及びモジュール200の全体が封止される。
【0032】
(半導体装置の製造方法)
次に、図2及び図3を用いて、実施形態1の半導体装置1の製造方法について説明する。
【0033】
図2及び図3は、実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示するXZ断面図である。
【0034】
実施形態1にかかる半導体装置の製造方法では、図2(a)の処理に先立って、モジュール200を形成する。
【0035】
まず、支持体210上に、複数の半導体チップ220を順次X方向にずらしつつ積層する。このとき、例えばX方向のずれが最大となる半導体チップ220と支持体210との間に台座230を配置してもよい。次に、半導体チップ220の主面221に配置された図示せぬ半導体素子とそれぞれ接続し、半導体チップ220の積層方向に延びる複数のワイヤ240を形成する。そして、支持体210と、複数の半導体チップ220と、ワイヤ240とをモールド材250で封止する。以上により、モジュール200が形成される。
【0036】
その後、モジュール200をプリント配線基板100に実装するため、モールド材250の支持体210と反対の側の面に、複数の半田ボール300aを形成する。半田ボール300aは、例えば熱圧着技術、超音波ボンディング技術、あるいは、アレイ状に並ぶ複数の半田を溶解し、一度に複数の半田ボールを形成するマスリフロー技術を用いて形成される。
【0037】
以上のような製造工程を経たモジュール200を、図2(a)に示すように、支持体210側を上にしてピッカー等によりピックアップする。
【0038】
図2(b)に示すように、プリント配線基板100にモジュール200を実装する。具体的には、プリント配線基板100の電極140とモジュール200の半田ボール300aとを上下に重ね、プリント配線基板100にモジュール200を実装する。これにより、プリント配線基板100の導電層120とモジュール200とが電気的に接続される。
【0039】
周縁部200gを隔てて互いに隣接する複数のモジュール200のそれぞれは、X方向、及びY方向に所定間隔を空けて配列される。ここで、Y方向とは、X及びZ方向に直交する方向である。
【0040】
図2(c)に示すように、プリント配線基板100の上面とモジュール200の下面との間に接着剤400aを充填する。例えば、接着剤400aが熱硬化性樹脂である場合、オーブン等で加熱して接着剤400aを硬化させる。また例えば、接着剤400aがUV(Ultra Violet)硬化樹脂である場合、UV光を照射して接着剤400aを硬化させる。これにより、電極パッド241と半田ボール300aとの接続部、及び半田ボール300aと電極140との接続部が保護される。
【0041】
このとき、Zの正方向から見て、モジュール200の外側に、接着剤400aがモジュール200の端部からはみ出し、周縁部200gに向けて濡れ広がって硬化したフィレット420が形成されることがある。
【0042】
図2(d)に示すように、Zの正方向の側からダイシングソーDS1をフィレット420に押し当て、フィレット420を厚さ方向、即ちZの負方向に切削する。このとき、フィレット420と重なる位置のプリント配線基板100も所定深さまで切削することが好ましい。これによりフィレット420が除去され、かつ、プリント配線基板100の表面に、側面部102、及び底面部103を有する段差101が形成される。このとき、フィレット420が除去されて露出した接着剤400aの切断面と、段差101の側面部102とは、Zの正方向から見て重なるように形成されている。また、図2(d)の処理をX方向に延びる周縁部200gと、Y方向に延びる周縁部200gとの両方に施すことで、段差101は、プリント配線基板100のX方向及びY方向に延びている。
【0043】
フィレット420及びプリント配線基板100を切削する際には、隣接するモジュール200同士の間隔Lと略同一、または間隔Lより広い幅のダイシングソーDS1を用いることが好ましい。これにより、フィレット420を1度で除去することができる。なお、間隔Lより広い幅のダイシングソーDS1を用いる場合には、フィレット420の切削の際に、モジュール200の側面も併せて除去される。
【0044】
また、プリント配線基板100の切削面、すなわち、段差101の底面部103の表面粗度が高まるように、ダイシングソーDS1による切削条件を調整してもよい。これにより、底面部103の表面に微細な凹凸が形成されるため、封止部材500aが形成される際に、いわゆるアンカー効果によって底面部103と封止部材500aとの密着性が向上する。
【0045】
なお、段差101の形成、フィレット420並びにモジュール200の側面の切削は、ダイシングソーDS1による加工に替えて、例えばレーザ加工、ワイヤ加工等により行われてもよい。
【0046】
図3(e)に示すように、複数のモジュール200を含めたプリント配線基板100の表面全体を覆うように、樹脂膜である封止部材500aを形成する。つまり、互いの周縁部200gも含めた複数のモジュール200に跨って、これらの全体を覆うように封止部材500aが形成される。これにより、モジュール200の側面、フィレット420を切削することで形成された接着剤400aの側面、及び段差101が封止部材500aで覆われる。
【0047】
図3(f)に示すように、周縁部200gの段差101よりさらに外側に、Zの正方向の側からダイシングソーDS2を押し当て、プリント配線基板100を、Z方向に切断する。これにより、モジュール200が個片化される。
【0048】
なお、モジュール200を個片化する際には、隣接するモジュール200同士の間隔Lよりも狭い幅のダイシングソーDS2を用いる。これにより、モジュール200の側面に封止部材500aを残した状態でモジュール200が個片化される。
【0049】
以上により、実施形態1の半導体装置1が製造される。
【0050】
(比較例)
次に、図4を用いて、比較例の半導体装置1xについて説明する。図4(a)、(b)は、比較例にかかる半導体装置1xの製造方法例であり、図4(c)は比較例にかかる半導体装置1xの構成例を示す図である。
【0051】
図4(a)に示すように、比較例の半導体装置1xの製造工程においては、モジュール200xの実装後、接着剤400x、及び封止部材500xを形成する。Zの正方向から見て、モジュール200xの外側には、フィレット420xが周縁部200gxにかけて形成されている。フィレット420xは、接着剤400aがモジュール200xの端部からはみ出し、濡れ広がって硬化したものである。
【0052】
図4(b)に示すように、ダイシングソーDS2を、Zの正方向の側から、周縁部200gxに押し当て、プリント配線基板100をZ方向に切断してモジュール200xを個片化する。
【0053】
図4(c)に示すように、上述の製造工程を経た半導体装置1xは、封止部材500xの表面に接着剤400xの一部が露出する場合がある。モジュール200xの個片化の際に、周縁部200gxに形成されるフィレット420xの一部がダイシングソーDS2によって切断され、その切断面が露出するからである。
【0054】
このような場合、比較例の半導体装置1xの難燃性が低下する場合がある。難燃性の劣る接着剤400xが、半導体装置1xの表面に露出するためである。また、比較例の半導体装置1xの吸湿リフロー性が低下する場合がある。半導体装置1xの表面に露出した接着剤400xが空気中の水分を吸収し、半導体装置1xを昇温させた際に吸収された水分が膨張し、半導体装置1x内で剥離や破裂を生ずる場合があるためである。
【0055】
一方で、フィレット420xの露出を避けるため、フィレット420xのさらに外側領域を切断することとすると、モジュール200xの実装領域を全体として広くとる必要が生じる。モジュール200xの実質的な実装面積をより広く確保した場合、半導体装置1の小型化が阻害される場合がある。
【0056】
実施形態1の半導体装置1の製造方法によれば、Zの正方向から見て、モジュール200の下面よりはみ出した接着剤400aのフィレット420を厚さ方向に切削することにより除去する。そして、接着剤400a及びモジュール200を覆うように封止部材500aを形成し、周縁部200gの位置で封止部材500a及びプリント配線基板100を切断し、モジュール200を個片化する。
【0057】
これにより、封止部材500aの表面へ接着剤400aが露出することを抑制できるため、難燃性及び吸湿リフロー性を向上させることができる。
【0058】
実施形態1の半導体装置1の製造方法によれば、フィレット420を除去するときは、接着剤400aの切断された側面に沿ってZの負方向にプリント配線基板100を所定深さで切削し、プリント配線基板100の表面に段差101を形成する。
【0059】
これにより、プリント配線基板100の上面に形成されたフィレット420をより確実に除去することができるため、封止部材500aの表面へ接着剤400aが露出することをさらに効果的に抑制できる。これにより難燃性及び吸湿リフロー性をさらに向上させることができる。
【0060】
また、プリント配線基板100表面の段差101により得られる効果は他にもある。ここで、接着剤400a、及び後述する封止部材500a等の硬化の際に熱処理がなされると、プリント配線基板100、モジュール200、及び封止部材500a等のそれぞれが熱により収縮し、各部位に応力が発生する場合がある。このような応力により、プリント配線基板100全体において反り、及びうねりが生ずる場合がある。
【0061】
プリント配線基板100の表面に段差101が形成されることにより、プリント配線基板100の各部位にかかる応力が緩和され、プリント配線基板100全体の反り、及びうねりが低減される。これにより、プリント配線基板100、モジュール200、及び封止部材500a等の各部位における剥がれが抑制される。また、モジュール200を個片化する際の切断の精度等が向上する。
【0062】
また、実施形態1の半導体装置1の製造方法によれば、Zの負方向に所定深さを有する段差101からモジュール200全体にわたって封止部材500aが形成される。
【0063】
段差101の底面部103に落とし込むように封止部材500aの脚部が形成されるため、プリント配線基板100、及びモジュール200と、封止部材500aとの密着性がより向上する。これにより例えば、プリント配線基板100に反り、及びうねりが生じている場合でも、プリント配線基板100、モジュール200、及び封止部材500aの各部位における剥がれがより効果的に抑制される。その結果、半導体装置1の耐リフロー性、及びTCT(Temperature Cycling Test)性が向上する。
【0064】
また、実施形態1の半導体装置1の製造方法によれば、ダイシングソーDS1によって底面部103の表面を粗く加工してもよい。
【0065】
これにより、封止部材500aが、底面部103の表面の凹凸に入り込むように形成されるため、底面部103と封止部材500aとの密着性がより向上する。よって、プリント配線基板100、モジュール200、及び封止部材500aにおける各部位の剥がれがより効果的に抑制され、半導体装置1の耐リフロー性、及びTCT性がさらに向上する。
【0066】
(変形例1)
図5を用いて、実施形態1の変形例1の半導体装置の製造方法について説明する。変形例1の半導体装置の製造方法においては、半田ボール300bが予めプリント配線基板100側に配置されている点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0067】
図5(a)及び(b)は、実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。なお、図5(a)及び(b)のそれぞれは、上述の図2(a)に相当する製造工程を示す図である。
【0068】
図5(a)は、半田ボール300bを用いてモジュール200の実装を行う例を示している。すなわち、図5(a)に示すように、プリント配線基板100側に半田ボール300bが予め形成されている。半田ボール300bとモジュール200の電極パッド241とを上下に重ね合わせてモジュール200を実装する。これにより、プリント配線基板100とモジュール200とが電気的に接続される。
【0069】
また、図5(b)は、半田ボール300a、及び半田ボール300bを用いてモジュール200の実装を行う例を示している。すなわち、図5(b)に示すように、モジュール200側には半田ボール300aが予め形成され、プリント配線基板100側には半田ボール300bが予め形成されている。半田ボール300aと半田ボール300bとを上下に重ね合わせてモジュール200を実装する。これにより、プリント配線基板100とモジュール200とが電気的に接続される。
【0070】
図5(a)及び(b)より後については、それぞれ実施形態1の図2及び図3(b)~(f)の処理が行われる。
【0071】
(変形例2)
図6を用いて、実施形態1の変形例2の半導体装置の製造方法について説明する。
【0072】
図6(a)及び(b)は、実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。なお、図6(a)及び(b)のそれぞれは、上述の図2(a)及び(c)に相当する製造工程を示す図である。
【0073】
図6(a)は、実施形態1に対応する変形例であって、接着剤400bを用いてモジュール200とプリント配線基板100との接合部を保護する点が、実施形態1と異なる。
【0074】
接着剤400bは、例えばNCP(Non Conductive Paste)と呼ばれ、ペースト状のエポキシ樹脂等から構成される。接着剤400bは、モジュール200の実装後にモジュール200とプリント配線基板100との間に充填される接着剤400aとは異なり、モジュール200の実装前にプリント配線基板100の上面に塗布される。接着剤400bは、接着剤400bの上面にモジュール200が実装された後、硬化される。
【0075】
また、図6(b)は、図5(a)の変形例1に対応する変形例であって、接着剤400bを用いてモジュール200とプリント配線基板100との接合部を保護する点が、変形例1と異なる。すなわち、図6(b)に示すように、半田ボール300aを有し、接着剤400bが予め形成されたプリント配線基板100上に、モジュール200が実装され、その後、接着剤400bが硬化される。
【0076】
なお、図5(b)と同様、モジュール200とプリント配線基板100との両方に予め半田ボール300a、300bがそれぞれ形成される構成に、接着剤400bを適用してもよい。
【0077】
図6(a)及び(b)より後については、それぞれ実施形態1の図2(c)の処理を除く、図2及び図3(b)、(d)~(f)の処理が行われる。
【0078】
(変形例3)
図7を用いて、実施形態1の変形例3の半導体装置の製造方法について説明する。
【0079】
図7(a)及び(b)は、実施形態1の変形例3にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。なお、図7(a)及び(b)のそれぞれは、上述の図2(a)及び(c)に相当する製造工程を示す図である。
【0080】
図7(a)は、実施形態1、及び図6(a)の変形例1に対応する変形例であって、接着剤400cを用いてモジュール200とプリント配線基板100との接合部を保護する点が、実施形態1及び変形例1と異なる。
【0081】
接着剤400cは、例えばNCF(Non Conductive Film)と呼ばれ、シート状のエポキシ樹脂等から構成される。モジュール200の実装後にモジュール200とプリント配線基板100との間に充填される接着剤400a、及びモジュール200の実装前にプリント配線基板100の上面に塗布される接着剤400bとは異なり、接着剤400cは、モジュール200の実装前にモジュール200の底面に予め貼付されている。接着剤400cは、モジュール200がプリント配線基板100に実装された後、硬化される。
【0082】
また、図7(b)は、図5(a)の変形例1、及び図6(b)の変形例2に対応する変形例であって、接着剤400cを用いてモジュール200とプリント配線基板100との接合部を保護する点が、上述の変形例1及び変形例2と異なる。すなわち、図7(b)に示すように、接着剤400cが予め形成されたモジュール200が、半田ボール300bを有するプリント配線基板100に実装され、その後、接着剤400cが硬化される。
【0083】
なお、図5(b)と同様、モジュール200とプリント配線基板100との両方に予め半田ボール300a、300bがそれぞれ形成される構成に、接着剤400cを適用してもよい。
【0084】
図7(a)及び(b)より後の処理については、それぞれ実施形態1の図2(c)の処理を除く、図2(b)、(d)~(f)の処理が行われる。
【0085】
(変形例4)
図8Aを用いて、実施形態1の変形例4の半導体装置について説明する。変形例4の半導体装置は、半導体モジュールとしての半導体チップ220が、モールド材250に封止されてない形態でプリント配線基板100に実装されている点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0086】
図8Aに示すように、変形例4の半導体装置において、半導体チップ220は、主面221をプリント配線基板100側に向け、モールド材250に封止されてない形態でプリント配線基板100に直接的に実装されている。主面221に配置された図示せぬ半導体素子と、電極140とは、半田ボール300aを介して電気的に接続される。
【0087】
(変形例5)
図8Bを用いて、実施形態1の変形例5の半導体装置について説明する。変形例5の半導体装置は、半導体チップ220に変えて、複数の半導体チップ222が積層された積層体201がプリント配線基板100に実装されている点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0088】
図8Bに示すように、複数の半導体チップ222はTSV(Through-Silicon Via)242によって電気的に接続されている。複数の半導体チップ222のうち最もプリント配線基板100に近い位置に配置される半導体チップ222のZの負方向側の面には再配線層(RDL:ReDistribution Layer)223が形成されていてもよい。
【0089】
また、隣接する半導体チップ222の間には樹脂251が形成されていてもよい。また積層体201はモールド材250により側面が封止されていてもよい。樹脂251とモールド材250は同一の材料であってもよい。あるいはまた、樹脂251は必ずしも形成されている必要はなく、樹脂251の替わりに封止樹脂500aが隣接する半導体チップ222の間に形成されていてもよい。また、モールド材250は必ずしも形成されている必要はなく、封止樹脂500aによって積層体201が直接封止されていてもよい。樹脂251がなく、半導体チップ222同士が直接接合により形成されていてもよい。この場合、2つの半導体チップ222のそれぞれ互いに向かい合う表面に例えばCu電極が形成され、Cu電極とほぼ面一になるように絶縁膜が形成されている。2つの半導体チップ222の絶縁膜同士とCu電極同士が直接接合している。
【0090】
以上の変形例4及び変形例5で説明したように、プリント配線基板100に実装される半導体チップ220及び半導体チップ222が積層された積層体201の形態は限定されない。またこのような変形例4及び変形例5においても、半導体チップ220及び積層体201は、フリップチップ方式でプリント配線基板100に実装される。
【0091】
[実施形態2]
以下、図9図10を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2の半導体装置2の製造方法においては、封止部材500bとして金属含有膜が用いられる点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0092】
なお、以下において、上述の実施形態1と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0093】
(半導体装置の構成例)
図9は、実施形態2にかかる半導体装置2の構成の一例を示す図である。図9は半導体装置2のXZ断面図である。
【0094】
図9に示すように、半導体装置2は、例えば1つ以上の半導体チップ220が封止されたパッケージとして構成され、プリント配線基板100、モジュール200、半田ボール300a、接着剤400a、及び封止部材500bを備える。
【0095】
プリント配線基板100の外周部は、Zの負方向に向かって所定位置まで掘り下げられている。これにより、プリント配線基板100の表面に、側面部102、及び底面部103を有する段差101が設けられている。底面部103からは、アース線130が露出している。
【0096】
封止部材500bは、例えば導電性を有する金属等から構成される。封止部材500bは、側面部102、底面部103、接着剤400bの側面、及びモジュール200の全体を覆っている。また、封止部材500bは、Zの正方向から見て、封止部材500bの側面から段差101の底面部103に沿って、封止部材500bの側面外側に広がる引き出し部510を有している。封止部材500bは、底面部103において、底面部103に露出したアース線130と電気的に接続される。
【0097】
(半導体装置の製造方法)
図10を用いて、実施形態2の半導体装置2の製造方法について説明する。
【0098】
図10は、実施形態2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。図10の処理に先立って、実施形態2の半導体装置2の製造方法でも、上述の実施形態1の図2(a)~(c)までの処理を行う。
【0099】
図10(a)に示すように、ダイシングソーDS1を、Zの正方向の側から、フィレット420に押し当て、フィレット420、及びフィレット420と重なる位置のプリント配線基板100を所定深さまで切削する。これにより、フィレット420がZの負方向に向けて切削され、かつ、プリント配線基板100の表面に、側面部102、及び底面部103を有する段差101が形成される。このとき、底面部103には、アース線130が露出している。
【0100】
図10(b)に示すように、例えばスパッタリング方式を用いて接着剤400aの側面、側面部102、及び底面部103を覆うように、金属含有膜である封止部材500bを形成する。これにより、底面部103において、封止部材500bとアース線130とが電気的に接続される。
【0101】
図10(c)に示すように、周縁部200gの段差101よりさらに外側に、Zの正方向の側からダイシングソーDS3を押し当て、プリント配線基板100を、Z方向に切断する。これにより、モジュール200が個片化される。
【0102】
モジュール200を個片化する際には、ダイシングソーDS1よりも幅の狭いダイシングソーDS3を用いることが好ましい。これにより底面部103の領域を広く確保し、引き出し部510とアース線130との接触面積を増やすことができる。
【0103】
以上により、実施形態2の半導体装置2が製造される。
【0104】
(概括)
実施形態2の半導体装置2の製造方法によれば、フィレット420除去後の接着剤400a、及びモジュール200を覆うように封止部材500bを形成し、周縁部200gの位置で封止部材500b及びプリント配線基板100を切断し、モジュール200を個片化する。
【0105】
これにより、モジュール200、接着剤400a、及びプリント配線基板100を、導電性を有する封止部材500bで封止できるため、半導体装置2から電磁波が放射され、あるいは半導体装置2に電磁波が侵入することを抑制することができる。
【0106】
実施形態2の半導体装置2の製造方法によれば、フィレット420を除去するときは、接着剤400aの切断された側面に沿って、底面部103からアース線130が露出するまでプリント配線基板100をZの負方向に切削する。これにより、プリント配線基板100の表面には、側面部102、及び底面部103を有する段差101が形成される。
【0107】
底面部103にこのような封止部材500bを形成することにより、底面部103に露出したアース線130と、封止部材500bとが電気的に接続する。これにより、モジュール200で発生した電磁波が封止部材500b及びアース線130を介してグラウンドされるため、半導体装置2から電磁波が放射されることを抑制することができる。
【0108】
実施形態2の半導体装置2によれば、封止部材500bは、Zの正方向から見て、封止部材500bの側面から外側に向かって広がる引き出し部510を有する。
【0109】
封止部材500bの引き出し部510は、底面部103において、アース線130と電気的に接続されている。このような引き出し部510が形成されることにより、モジュール200で発生した電磁波が効果的にグラウンドされるため、半導体装置2から電磁波が放射されることをより効果的に抑制することができる。
【0110】
実施形態2の半導体装置2及びその製造方法によれば、その他、上述の実施形態1の半導体装置1及びその製造方法と同様の効果を奏する。
【0111】
上述の実施形態1、2及び変形例1~4において、半導体装置1及び2はプリント配線基板100を備えることとした。しかし、半導体チップ220が実装される配線基板は、プリント配線基板100に限られない。半導体装置1及び2の配線基板が、例えば配線が形成されたシリコン基板もしくはガラス基板、または再配線層を有する種々の基板等であってもよい。
【0112】
上述の実施形態1、2及び変形例1~3において、半導体装置1及び2は支持体210を備えることとした。しかし、支持体210は、必ずしも半導体装置1及び2に備わっていなくともよい。例えば、支持体210に半導体チップ220が配置され、半導体チップ220がワイヤ240、及び半田ボール300aを介してプリント配線基板100に接続された後、所定の方法で支持体210が除去されてもよい。なおこの場合、Z方向の最も正の側に位置する半導体チップ220は、支持体210を間に挟むことなく封止部材500aによって直接覆われることとなる。
【0113】
上述の実施形態1、2及び変形例1~5において、接着剤400a、400b、400cとしてアンダーフィル剤、NCP、NCF等が用いられる例を説明したが、これに限られず、例えばモールド等に用いられる樹脂が接着剤として用いられてもよい。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1…半導体装置、100…プリント配線基板、110…絶縁層、120…導電層、130…アース線、140・・・電極、200…モジュール、210…支持体、220、222…半導体チップ、221…主面、223…再配線層、230…台座、240…ワイヤ、242…TSV、250…モールド材、251・・・樹脂、300a、300b…半田ボール、400a、400b、400c…接着剤、500a、500b…封止部材、DS1、DS2、DS3…ダイシングソー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10