(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039879
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/407 20060101AFI20240315BHJP
H04N 1/12 20060101ALI20240315BHJP
G07D 7/00 20160101ALI20240315BHJP
【FI】
H04N1/407 780
H04N1/12
G07D7/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144583
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 淳
【テーマコード(参考)】
3E041
5C072
5C077
【Fターム(参考)】
3E041AA02
3E041BA12
3E041CA03
3E041CB05
3E041EA03
5C072AA01
5C072BA07
5C072EA04
5C072FB18
5C072NA01
5C072RA16
5C077LL04
5C077MM02
5C077MM27
5C077PP15
5C077PP25
5C077PP52
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基準板の裏写りを抑制することができる紙葉類処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】紙葉類処理装置は、基準板と、基準板に少なくとも一部重なる媒体を撮影するカメラと、カメラから前記媒体としての校正媒体を撮影した画像を取得し、前記校正媒体を撮影した画像に基づいて、カメラの各画素に対応する補正値を算出し、カメラから前記媒体としての紙葉類を撮影した画像を取得し、各画素に対応する前記補正値に基づいて、前記紙葉類を撮影した画像を補正するプロセッサと、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準板と、
前記基準板に少なくとも一部重なる媒体を撮影するカメラと、
前記カメラから前記媒体としての校正媒体を撮影した画像を取得し、
前記校正媒体を撮影した画像に基づいて、前記カメラの各画素に対応する補正値を算出し、
前記カメラから前記媒体としての紙葉類を撮影した画像を取得し、
各画素に対応する前記補正値に基づいて、前記紙葉類を撮影した画像を補正する、
プロセッサと、
を備える紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記カメラは、主走査方向に延びるライン画像を撮影するラインカメラである、
請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記媒体を副走査方向に搬送する搬送機構を備え、
前記プロセッサは、
前記搬送機構を用いて前記校正媒体を副走査方向に搬送しながら、前記カメラから前記校正媒体を撮影したライン画像を取得し、
各画素の出力値に基づいて前記補正値を算出する、
請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記出力値から最も大きい最大出力値を取得し、
前記最大出力値を各画素の前記出力値で除算して前記補正値を算出する、
請求項3に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記校正媒体が通過しない画素の出力値を補完する、
請求項4に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記カメラから前記基準板を撮影した画像を取得し、
前記基準板を撮影した画像に基づいて前記カメラの出力値を調整する、
請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記搬送機構を用いて前記紙葉類を副走査方向に搬送しながら、前記カメラから前記紙葉類を撮影したライン画像を取得し、
前記紙葉類を撮影したライン画像に基づいて前記紙葉類の先端から後端までの画像を生成し、
前記補正値に基づいて、生成された前記画像を補正する、
請求項3に記載の紙葉類処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記カメラから前記校正媒体を撮影した1つのライン画像を取得し、
前記1つのライン画像に基づいて前記補正値を算出する、
請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項9】
前記紙葉類は、紙幣である、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項10】
プロセッサによって実行されるプログラムであって、
前記プロセッサに、
基準板に少なくとも一部重なる媒体を撮影するカメラから前記媒体としての校正媒体を撮影した画像を取得する機能と、
前記校正媒体を撮影した画像に基づいて、前記カメラの各画素に対応する補正値を算出する機能と、
前記カメラから前記媒体としての紙葉類を撮影した画像を取得する機能と、
各画素に対応する前記補正値に基づいて、前記紙葉類を撮影した画像を補正する機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙葉類処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣などの紙葉類を処理する処理装置が提供されている。そのような処理装置は、カメラなどを用いて紙葉類を撮影する。処理装置は、カメラの出力値を調整するためにカメラの撮影範囲に白色の基準板を設けることがある。処理装置は、基準板を撮影した画像などに基づいて出力値を調整する。
【0003】
また、処理装置が紙葉類を撮影する場合、紙葉類と基準板とが重なることがある。従来、そのよう場合に、処理装置は、撮影画像に基準板の裏写りが生じることがあるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するため、基準板の裏写りを抑制することができる紙葉類処理装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、紙葉類処理装置は、基準板と、カメラと、プロセッサと、を備える。カメラは、前記基準板に少なくとも一部重なる媒体を撮影する。プロセッサは、前記カメラから前記媒体としての校正媒体を撮影した画像を取得し、前記校正媒体を撮影した画像に基づいて、前記カメラの各画素に対応する補正値を算出し、前記カメラから前記媒体としての紙葉類を撮影した画像を取得し、各画素に対応する前記補正値に基づいて、前記紙葉類を撮影した画像を補正する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る紙葉類処理装置の構成例を概略的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る紙葉類処理装置の構成例を概略的に示す上面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る紙葉類処理装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る校正媒体の例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る出力値の例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るプロファイルの例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る補正値の例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る紙葉類処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る紙葉類処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る紙葉類処理装置の効果を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る校正媒体の配置例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るプロファイルの他の例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る紙葉類処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
実施形態に係る紙葉類処理装置は、紙葉類を処理する。ここでは、紙葉類処理装置は、紙葉類として紙幣を処理する。紙葉類処理装置は、投入された紙幣を撮影する。紙葉類処理装置は、撮影された画像に基づいて、所定の処理を行う。たとえば、紙葉類処理装置は、紙幣の真贋判定、正損判定、仕分け又は施封などを行う。
また、紙葉類処理装置は、校正媒体を撮影した画像に基づいて補正値を算出する。紙葉類処理装置は、補正値に基づいて撮影された画像を補正する。
【0009】
図1は、実施形態に係る紙葉類処理装置100の構成例を概略的に示す側面図である。また、
図2は、紙葉類処理装置100の構成例を概略的に示す上面図である。
【0010】
図1及び
図2が示すように、紙葉類処理装置100は、ラインカメラ1、台2、基準板3及びベルト6などから構成される。ここでは、紙葉類処理装置100は、紙幣Pを処理するものとする。
【0011】
台2は、紙葉類処理装置100の底部に形成されている。台2の上面には、基準板3が形成されている。
【0012】
基準板3は、台2の中央部分に形成されている。基準板3は、紙葉類処理装置100がラインカメラ1の出力値を調整するために撮影される板である。基準板3は、台2及びベルト6よりも高い反射率を有する素材から構成される。たとえば、基準板3は、白色の板である。
【0013】
また、台2の上方には、ベルト6が形成されている。
ベルト6は、紙葉類処理装置100に投入された紙幣Pを紙幣搬送面S上において搬送する。ここでは、ベルト6は、副走査方向(
図1に垂直な方向、
図2では下から上に向かう方向)に紙幣Pを搬送する。ベルト6は、紙幣Pが投入される投入部などから紙幣Pを搬送する。ベルト6は、紙幣Pを載せた状態で回転して紙幣Pを搬送する。
【0014】
ここでは、ベルト6は、2本のベルトから構成される。ベルト6は、両端から紙幣Pを支持する。また、ベルト6は、基準板3と少なくとも一部は重ならない領域に形成されている。たとえば、ベルト6は、図示されないモータなどによって駆動する。
【0015】
また、ベルト6に搬送される紙幣Pは、ラインカメラ1に対して基準板3と少なくとも一部重なる。ここでは、ベルト6は、紙幣Pの中央部と基準板3とが重なった状態で紙幣Pを搬送する。
【0016】
また、ベルト6の上方には、ラインカメラ1が設置されている。
ラインカメラ1は、ベルト6に搬送されている紙幣Pを上方から撮影する。ラインカメラ1は、撮影範囲1aを撮影する。ラインカメラ1は、主走査方向(副走査方向に直交する方向)に延びるスキャンラインLにおいて画像(ライン画像)を撮影する。即ち、ラインカメラ1は、1ラインを撮影するカメラである。
【0017】
図2が示すように、スキャンラインLは、台2、基準板3及びベルト6上に形成されている。即ち、ラインカメラ1は、基準板3に重なっている紙幣Pを撮影する。
ラインカメラ1は、スキャンラインLの各画素(ラインカメラ1の各画素)における輝度を示すセンサ信号(出力値)を出力する。ここでは、出力値は、明るいほど大きな値になる。
【0018】
次に、紙葉類処理装置100の制御系について説明する。
図3は、紙葉類処理装置100の制御系の構成例を示す。
図3が示すように、紙葉類処理装置100は、ラインカメラ1、プロセッサ11、メモリ12、操作部13、表示部14、搬送機構15、増幅回路16及びA/Dコンバータ17などを備える。
【0019】
プロセッサ11と、メモリ12、操作部13、表示部14、搬送機構15及びA/Dコンバータ17とは、互いに接続する。また、A/Dコンバータ17は、増幅回路16に接続する。また、増幅回路16は、ラインカメラ1に接続する。
【0020】
プロセッサ11は、紙葉類処理装置100全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ11は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ11は、内部メモリ又はメモリ12などが予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0021】
たとえば、プロセッサ11は、CPUなどから構成される。また、プロセッサ11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などから構成されるものであってもよい。また、プロセッサ11は、FPGA(Field Programmable Gate Array)などから構成されるものであってもよい。
【0022】
なお、プロセッサ11がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0023】
メモリ12は、種々のデータを格納する。たとえば、メモリ12は、ROM、RAM及びNVMとして機能する。
たとえば、メモリ12は、制御プログラム及び制御データなどを記憶する。制御プログラム及び制御データは、紙葉類処理装置100の仕様に応じて予め組み込まれる。たとえば、制御プログラムは、紙葉類処理装置100で実現する機能をサポートするプログラムなどである。
【0024】
また、メモリ12は、プロセッサ11の処理中のデータなどを一時的に格納する。また、メモリ12は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0025】
操作部13は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部13は、入力された操作を示す信号をプロセッサ11へ送信する。操作部13は、キーボード、ボタン又はタッチパネルなどから構成される。
【0026】
表示部14は、プロセッサ11からの制御に基づいて情報を表示する。たとえば、表示部14は、液晶モニタから構成される。操作部13がタッチパネルから構成される場合、表示部14は、操作部13と一体的に形成された液晶モニタから構成される。
【0027】
搬送機構15は、プロセッサ11からの制御に従って紙幣Pを搬送する。搬送機構15は、ベルト6などを含む。また、搬送機構15は、ベルト6を駆動するモータなどを備えるものであってもよい。
【0028】
増幅回路16は、ラインカメラ1からセンサ信号(アナログ信号)を受信する。増幅回路16は、センサ信号を増幅する。増幅回路16は、増幅されたセンサ信号をA/Dコンバータ17に送信する。
【0029】
A/Dコンバータ17は、増幅されたセンサ信号を増幅回路16から受信する。A/Dコンバータ17は、受信されたセンサ信号をデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ17は、デジタル信号をプロセッサ11に送信する。A/Dコンバータ17は、ラインカメラ1からセンサ信号を取得するインターフェースとして機能する。
【0030】
なお、紙葉類処理装置100は、
図1又は
図2が示すような構成の他に必要に応じた構成をさらに具備したり、紙葉類処理装置100から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0031】
次に、校正媒体について説明する。
図4は、校正媒体Mの例を示す。校正媒体Mは、プロセッサ11が補正値を算出するために用いられる。補正値は、プロセッサ11がラインカメラ1からのセンサ信号を補正するために用いられる。補正値は、各画素の出力値に乗算されることで出力値を補正する値である。
【0032】
校正媒体Mは、紙幣Pと同様の大きさ及び形状である。また、校正媒体Mは、紙幣Pの透け具合と同様の透け具合を有する。たとえば、校正媒体Mは、紙幣Pと同様の色味、素材又は厚さを有する。
また、校正媒体Mは、文字又は画像などが印刷されていない媒体である。
【0033】
次に、紙葉類処理装置100が実現する機能について説明する。紙葉類処理装置100が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ又はメモリ12などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0034】
まず、プロセッサ11は、ラインカメラ1が校正媒体Mを撮影したライン画像を取得する機能を有する。
【0035】
ここでは、校正媒体Mが紙葉類処理装置100に投入されているものとする。
たとえば、プロセッサ11は、操作部13を通じて補正値を算出又は更新することを指示する操作を入力する。
【0036】
当該操作を入力すると、プロセッサ11は、搬送機構15を用いて校正媒体Mを搬送する。プロセッサ11は、校正媒体Mの先端がスキャンラインLに到達するまで待機する。
【0037】
たとえば、プロセッサ11は、校正媒体Mをラインカメラ1の上流で検知するタイミングセンサを用いて校正媒体Mを検知する。タイミングセンサを用いて校正媒体Mを検知すると、プロセッサ11は、校正媒体Mを検知してから所定の期間が経過するまで待機する。所定の時間が経過すると、プロセッサ11は、校正媒体MがスキャンラインLに到達したと判定する。なお、プロセッサ11は、撮影されたライン画像の出力値が所定の値以下になると、校正媒体Mの先端がスキャンラインLに到達したと判定してもよい。
【0038】
校正媒体Mの先端がスキャンラインLに到達すると、プロセッサ11は、校正媒体Mを撮影したライン画像として、ラインカメラ1が撮影するライン画像を取得する。プロセッサ11は、搬送機構15を駆動し続けて副走査方向に校正媒体Mを搬送し続ける。
【0039】
プロセッサ11は、校正媒体Mが搬送され続けている間においてラインカメラ1が撮影するライン画像を取得し続ける。プロセッサ11は、校正媒体Mの後端がスキャンラインLを通過するまでライン画像を取得する。
【0040】
たとえば、プロセッサ11は、撮影されたライン画像の出力値が所定の値以上になると、校正媒体Mの後端がスキャンラインLを通過したと判定する。
上記の動作により、プロセッサ11は、ライン画像に基づいて校正媒体Mの先端から後端までの画像(校正媒体画像)を取得する。
【0041】
また、プロセッサ11は、校正媒体Mを撮影したライン画像に基づいて補正値を算出するためのプロファイルを生成する機能を有する。
【0042】
校正媒体Mを撮影すると、プロセッサ11は、校正媒体Mの所定の位置における1つのライン画像を取得する。なお、プロセッサ11は、時系列で取得される出力値を画素ごとに平均してもよい。プロセッサ11は、平均された出力値の列を取得するものであってもよい。
【0043】
図5は、各画素の出力値の例を示すグラフである。
図5では、横軸は、主走査方向に並ぶ画素を識別する値である。また、縦軸は、出力値を示す。
【0044】
図5が示すように、校正媒体Mが通過するエリア(校正媒体エリア)の画素において校正媒体Mからの反射光による出力値が得られている。校正媒体エリアの外側(校正媒体Mが通過しないエリア)の画素では、出力値は、ほぼ0である。
【0045】
また、基準板3が存在するエリア(基準板エリア)の画素においては、校正媒体エリアにおける他の画素よりも高い出力値が得られている。即ち、基準板エリアにおいて基準板3が裏写りしている。
【0046】
各画素の出力値を算出すると、プロセッサ11は、校正媒体エリアの外側(補完エリア)の出力値を補完する。ここでは、プロセッサ11は、校正媒体エリアの内側の出力値に基づいて補完エリアの出力値を補完する。
【0047】
たとえば、プロセッサ11は、校正媒体エリアの両端の出力値を補完エリアに拡張する。即ち、プロセッサ11は、校正媒体エリアの左端の出力値で左側の補完エリアを補完する。また、プロセッサ11は、校正媒体エリアの右端の出力値で右側の補完エリアを補完する。
プロセッサ11は、補完された出力値の列をプロファイルとして取得する。
【0048】
図6は、プロファイルの構成例を示す。
図6では、横軸は、主走査方向に並ぶ画素を識別する値である。また、縦軸は、出力値を示す。
【0049】
図6が示すように、校正媒体エリアの外側に補完エリアが形成されている。また、プロセッサ11は、校正媒体エリアの左端の出力値で左側の補完エリアを補完する。また、プロセッサ11は、校正媒体エリアの右端の出力値で右側の補完エリアを補完する。
【0050】
また、プロセッサ11は、プロファイルに基づいて各画素に対応する補正値を算出する機能を有する。
【0051】
プロファイルを生成すると、プロセッサ11は、基準板3の裏写りを補正する補正値を算出する。前述の通り、補正値は、画素の出力値に乗算されることで出力値を補正する値である。
【0052】
ここでは、プロセッサ11は、最も大きい出力値(最大出力値)を基準として補正値を算出する。即ち、プロセッサ11は、他の出力値を最大出力値に引き上げるように補正値を算出する。
【0053】
まず、プロセッサ11は、プロファイルから最大出力値を取得する。最大出力値を取得すると、プロセッサ11は、最大出力値を各出力値で除算した値を各画素に対応する補正値として取得する。
【0054】
なお、プロセッサ11は、出力値の平均値又は最頻値を基準として補正値を算出するものであってよい。
【0055】
図7は、補正値の例を示すグラフである。
図6では、横軸は、主走査方向に並ぶ画素を識別する値である。また、縦軸は、補正値を示す。
【0056】
図7が示すように、最大出力値の画素では、補正値は、1である。また、基準板エリアでは、補正値は、比較的、1に近い。また、基準板エリアの外側では、補正値は、比較的大きくなる。
【0057】
各画素に対応する補正値を算出すると、プロセッサ11は、各画素に対応する補正値をメモリ12に格納する。
【0058】
また、プロセッサ11は、ラインカメラ1が紙幣Pを撮影したライン画像を取得する機能を有する。
【0059】
ここでは、紙幣Pが紙葉類処理装置100に投入されているものとする。
たとえば、プロセッサ11は、操作部13を通じて紙幣Pに対して所定の処理を行うことを指示する操作を入力する。
【0060】
当該操作を入力すると、プロセッサ11は、搬送機構15を用いて紙幣Pを搬送する。プロセッサ11は、紙幣Pの先端がスキャンラインLに到達するまで待機する。
【0061】
たとえば、プロセッサ11は、ラインカメラ1から撮影されたライン画像を取得する。プロセッサ11は、撮影されたライン画像の出力値が所定の値以下になると、紙幣Pの先端がスキャンラインLに到達したと判定する。
【0062】
紙幣Pの先端がスキャンラインLに到達すると、プロセッサ11は、紙幣Pを撮影したライン画像として、ラインカメラ1が撮影するライン画像を取得する。プロセッサ11は、搬送機構15を駆動し続けて副走査方向に紙幣Pを搬送し続ける。
【0063】
プロセッサ11は、紙幣Pが搬送され続けている間においてラインカメラ1が撮影するライン画像を取得し続ける。プロセッサ11は、紙幣Pの後端がスキャンラインLを通過するまでライン画像を取得する。
【0064】
たとえば、プロセッサ11は、撮影されたライン画像の出力値が所定の値以上になると、紙幣Pの後端がスキャンラインLを通過したと判定する。
上記の動作により、プロセッサ11は、ライン画像に基づいて紙幣Pの先端から後端までの画像(紙幣画像)を取得する。
【0065】
また、プロセッサ11は、補正値に基づいて紙幣画像を補正する機能を有する。
紙幣画像を取得すると、プロセッサ11は、各画素に対応する補正値を取得する。各画素に対応する補正値を取得すると、プロセッサ11は、紙幣画像の各ドットの出力値(明るさ)に対して補正値を乗算する。
【0066】
即ち、プロセッサ11は、紙幣画像において副走査方向に並ぶドット列の出力値に対して当該ドット列の画素に対応する補正値を乗算する。プロセッサ11は、各ドット列について同様に補正値を乗算することで、紙幣画像を補正する。
【0067】
紙幣画像を補正すると、プロセッサ11は、補正された紙幣画像に基づいて所定の処理を行う。たとえば、プロセッサ11は、補正された紙幣画像に基づいて紙幣の真贋判定、正損判定、種類判定などを行う。なお、プロセッサ11が補正された紙幣画像に基づいて行う処理は、特定の構成に限定されるものではない。
【0068】
なお、プロセッサ11は、補正値に基づいて、ラインカメラ1から取得したライン画像を補正してもよい。プロセッサ11は、補正後のライン画像に基づいて紙幣画像を生成するものであってもよい。
【0069】
次に、紙葉類処理装置100の動作例について説明する。
まず、紙葉類処理装置100が補正値を算出する動作例について説明する。
図8は、紙葉類処理装置100が補正値を算出する動作例について説明するためのフローチャートである。
【0070】
たとえば、紙葉類処理装置100は、出荷時又はメンテナンス時などにおいて以下の動作を行う。
ここでは、校正媒体Mが紙葉類処理装置100に投入されるものとする。
【0071】
まず、紙葉類処理装置100のプロセッサ11は、搬送機構15を用いて校正媒体Mを搬送する(S11)。校正媒体Mを搬送すると、プロセッサ11は、校正媒体Mの先端がスキャンラインLに到達したかを判定する(S12)。
【0072】
校正媒体Mの先端がスキャンラインLに到達していないと判定すると(S12、NO)、プロセッサ11は、S12に戻る。
【0073】
校正媒体Mの先端がスキャンラインLに到達したと判定すると(S12、YES)、プロセッサ11は、ラインカメラ1を用いてライン画像を取得する(S13)。ライン画像を取得すると、プロセッサ11は、校正媒体Mの後端がスキャンラインLを通過したかを判定する(S14)。
【0074】
校正媒体Mの後端がスキャンラインLを通過していないと判定すると(S14、NO)、プロセッサ11は、S13に戻る。
【0075】
校正媒体Mの後端がスキャンラインLを通過したと判定すると(S14、YES)、プロセッサ11は、1つのライン画像を取得する(S15)。1つのライン画像を取得すると、プロセッサ11は、出力値を補完してプロファイルを生成する(S16)。
【0076】
プロファイルを生成すると、プロセッサ11は、プロファイルに基づいて各画素の補正値を算出する(S17)。各画素の補正値を算出すると、プロセッサ11は、算出された各画素の補正値をメモリ12に格納する(S18)。
【0077】
算出された各画素の補正値をメモリ12に格納すると、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0078】
次に、紙葉類処理装置100が紙幣Pを処理する動作例について説明する。
図9は、紙葉類処理装置100が紙幣Pを処理する動作例について説明するためのフローチャートである。
【0079】
ここでは、紙幣Pが紙葉類処理装置100に投入されるものとする。
【0080】
まず、紙葉類処理装置100のプロセッサ11は、搬送機構15を用いて紙幣Pを搬送する(S21)。紙幣Pを搬送すると、プロセッサ11は、紙幣Pの先端がスキャンラインLに到達したかを判定する(S22)。
【0081】
紙幣Pの先端がスキャンラインLに到達していないと判定すると(S22、NO)、プロセッサ11は、S22に戻る。
【0082】
紙幣Pの先端がスキャンラインLに到達したと判定すると(S22、YES)、プロセッサ11は、ラインカメラ1を用いてライン画像を取得する(S23)。ライン画像を取得すると、プロセッサ11は、紙幣Pの後端がスキャンラインLを通過したかを判定する(S24)。
【0083】
紙幣Pの後端がスキャンラインLを通過していないと判定すると(S24、NO)、プロセッサ11は、S23に戻る。
【0084】
紙幣Pの後端がスキャンラインLを通過したと判定すると(S24、YES)、プロセッサ11は、ライン画像に基づいて紙幣画像を生成する(S25)。紙幣画像を生成すると、プロセッサ11は、各画素の補正値に基づいて紙幣画像を補正する(S26)。
【0085】
紙幣画像を補正すると、プロセッサ11は、補正された紙幣画像に基づいて所定の処理を行う(S27)。
所定の処理を行うと、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0086】
次に、実施形態に係る紙葉類処理装置100の効果について説明する。
図10は、実施形態に係る紙葉類処理装置100の効果について説明するための図である。
図10では、プロセッサ11が紙幣画像(又は校正媒体画像)を補正した例を示す。
【0087】
補正前の紙幣画像では、紙幣Pと基準板3とが重なる領域(中央部分)の出力値が他の領域よりも高い。即ち、補正前の紙幣画像では、基準板3が裏写りしている。
他方、補正後の紙幣画像では、紙幣Pと基準板3とが重なる領域の出力値は、他の領域と同様である。即ち、補正後の紙幣画像では、基準板3の裏写りが抑制されている。
【0088】
次に、プロセッサ11がプロファイルを生成する他の動作例について説明する。
まず、オペレータは、ベルト6が停止している状態でスキャンラインLに重なるように校正媒体Mを配置する。
【0089】
図11は、校正媒体Mの配置例を示す。
図11は、
図2と同様に、紙葉類処理装置100の上面図である。
図11が示すように、校正媒体Mは、ベルト6及び基準板3に重なるように配置されている。また、校正媒体Mは、紙幣Pが通過しないエリア(たとえば、補完エリア)にも重なるように配置されている。たとえば、校正媒体Mは、長手方向とスキャンラインLが平行になるように配置される。
【0090】
上記の状態において、プロセッサ11は、操作部13を通じて補正値を算出又は更新することを指示する操作を入力する。
【0091】
当該操作を入力すると、プロセッサ11は、A/Dコンバータ17を通じて、ラインカメラ1が撮影するライン画像(1つのライン画像)を取得する。プロセッサ11は、ラインカメラ1が撮影するライン画像をプロファイルとして取得する。なお、プロセッサ11は、画素方向にライン画像の出力値を移動平均してプロファイルを取得してもよい。
【0092】
図12は、プロファイルの構成例を示す。
図12では、横軸は、主走査方向に並ぶ画素を識別する値である。また、縦軸は、出力値を示す。
図12が示すように、両端の画素においても校正媒体Mからの反射光による出力値が得られている。
【0093】
プロファイルを取得すると、プロセッサ11は、前述の通りプロファイルに基づいて各画素の補正値を算出する。
【0094】
次に、紙葉類処理装置100が補正値を算出する動作例について説明する。
図13は、紙葉類処理装置100が補正値を算出する動作例について説明するためのフローチャートである。
【0095】
たとえば、紙葉類処理装置100は、出荷時又はメンテナンス時などにおいて以下の動作を行う。
ここでは、校正媒体Mは、
図11にように配置されているものとする。
【0096】
まず、紙葉類処理装置100のプロセッサ11は、ラインカメラ1を用いてプロファイルとしてライン画像を取得する(S31)。プロファイルとしてライン画像を取得すると、プロセッサ11は、プロファイルに基づいて各画素の補正値を算出する(S32)。各画素の補正値を算出すると、プロセッサ11は、算出された各画素の補正値をメモリ12に格納する(S33)。
【0097】
算出された各画素の補正値をメモリ12に格納すると、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0098】
なお、補正値は、出力値に除算、加算又は減算される値であってもよい。
また、プロセッサ11は、紙幣P又は校正媒体MがスキャンラインLを通過していない所定のタイミングで基準板3を撮影してもよい。プロセッサ11は、撮影されたライン画像に基づいてラインカメラ1の出力値を調整してもよい。たとえば、プロセッサ11は、基準板3を撮影したライン画像の出力値が所定の値になるように各画素の出力値に対して乗算、除算、加算又は減算する修正値を更新してもよい。
【0099】
また、紙葉類処理装置100は、ラインカメラ1の代わりに二次元画像を撮影するカメラを備えるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、二次元画像の最大出力値などに基づいて、二次元画像の各画素に対応する補正値を算出するものであってもよい。
また、ラインカメラ1は、紫外線又は赤外線を撮影するものであってもよい。
【0100】
また、プロセッサ11は、補正値を更新するものであってもよい。たとえば、メモリ12が補正値を予め格納する場合、プロセッサ11は、新たに算出された補正値を上書きしてもよい。
【0101】
以上のように構成された紙葉類処理装置は、ラインカメラを用いて基準板に重なる校正媒体を撮影する。紙葉類処理装置は、撮影されたライン画像に基づいて出力値が一定になるように各画素に対応する補正値を算出する。また、紙葉類処理装置は、ラインカメラを用いて基準板に重なる紙幣を撮影する。紙葉類処理装置は、補正値に基づいてライン画像又は紙幣画像を補正する。その結果、紙葉類処理装置は、基準板の裏写りを防止することができる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1…ラインカメラ、1a…撮影範囲、2…台、3…基準板、6…ベルト、11…プロセッサ、12…メモリ、13…操作部、14…表示部、15…搬送機構、16…増幅回路、17…A/Dコンバータ、100…紙葉類処理装置。