(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039885
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】シートシャッタの薬液噴霧装置及びシートシャッタ
(51)【国際特許分類】
E06B 9/68 20060101AFI20240315BHJP
E06B 9/13 20060101ALI20240315BHJP
E05F 15/73 20150101ALI20240315BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20240315BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
E06B9/68
E06B9/13 Z
E05F15/73
A61L2/18
A61L2/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144598
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】391020056
【氏名又は名称】小松電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】小松 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】永島 利信
(72)【発明者】
【氏名】泉 和哉
(72)【発明者】
【氏名】藤森 信幸
【テーマコード(参考)】
2E042
2E052
4C058
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CB01
2E042CB02
2E042CB11
2E042DA01
2E052AA02
2E052BA04
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA09
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA25
4C058AA29
4C058BB07
4C058DD01
4C058DD03
4C058JJ06
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】 手指消毒用の薬液噴霧装置がシートシャッタを設置した出入口の邪魔になることがなく、所定区画に入る人に確実に手指消毒させることができるシートシャッタの薬液噴霧装置を提供する。
【解決手段】薬液噴霧装置2は、シートシャッタ1の縦枠3に設けられ、離れた検知対象を検知する非接触センサ10と、非接触センサ10を制御するセンサ制御部18と、縦枠3の内部に収納され、手指消毒用の薬液を貯留する薬液タンク12と、薬液を外部に噴霧可能な噴霧口19と、薬液タンク12内に貯留された薬液を噴霧口19に供給する薬液ポンプ21と、薬液ポンプ21を駆動制御するポンプ制御部22と、を備え、非接触センサ10の検知に基づいて開閉制御部7に、シートシャッタ1を開閉すべき旨の信号を送信可能であるとともに、ポンプ制御部22は非接触センサ10の検知を含む情報に基づいて薬液ポンプ21を駆動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートシャッタの縦枠に設けられ、離れた位置の検知対象を検知する非接触センサと、
前記非接触センサを制御するとともに、当該非接触センサが前記検知対象を検知したことを各部に通信するセンサ制御部と、
前記縦枠の内部に収納され、手指消毒用の薬液を貯留する薬液タンクと、
前記薬液を外部に噴霧可能な噴霧口と、
前記薬液タンク内に貯留された前記薬液を前記噴霧口に供給する薬液ポンプと、
前記薬液ポンプを駆動制御するポンプ制御部と、
を備え、
前記非接触センサの検知に基づいて前記シートシャッタに形成されその開閉を制御する開閉制御部に、当該シートシャッタを開放又は閉鎖すべき旨の信号を送信可能であるとともに、
前記ポンプ制御部は、少なくとも前記非接触センサの検知を含む情報に基づいて前記薬液ポンプを駆動することを特徴とするシートシャッタの薬液噴霧装置。
【請求項2】
前記ポンプ制御部は、前記シートシャッタが閉鎖されており、且つ、前記非接触センサの検知があった場合にのみ、前記薬液ポンプを駆動することを特徴とする請求項1に記載のシートシャッタの薬液噴霧装置。
【請求項3】
前記シートシャッタのシート面に対して垂直であり、且つ水平な方向に突出するカバー体が前記縦枠に形成されており、
当該カバー体は、上面が突出側に向かって下り勾配に形成され、下面が突出側に向かって上り勾配に形成され、
前記噴霧口は前記カバー体の前記下面に形成されることを特徴とする請求項2に記載のシートシャッタの薬液噴霧装置。
【請求項4】
前記カバー体は、前記非接触センサと、前記センサ制御部と、前記ポンプ制御部とを内側に保持可能に形成されることを特徴とする請求項3に記載のシートシャッタの薬液噴霧装置。
【請求項5】
前記薬液タンクが、上下方向に長尺な可とう性を有する筒状であって、上端に開閉可能な蓋体を有し、下端が閉じられて形成され、
前記縦枠は前記薬液タンクの上端を引き出し可能な孔部を有することを特徴とする請求項4に記載のシートシャッタの薬液噴霧装置。
【請求項6】
前記孔部を開閉可能なホールキャップと、
前記ホールキャップの前記縦枠の内部を向く面に一端が固定され、前記薬液タンクの上端に他端が固定される連結牽体と、を備えることを特徴とする請求項5に記載のシートシャッタの薬液噴霧装置。
【請求項7】
前記薬液タンク内の液量が所定以下であるか否か判断可能な残量判断手段と、
前記残量判断手段が、前記液量が所定の値以下であると判断したときに、液量が不足する旨の情報を外部に出力する残量警告部を備えることを特徴とする請求項6に記載のシートシャッタの薬液噴霧装置。
【請求項8】
前記ポンプ制御部は、前記非接触センサの検知から前記薬液ポンプを駆動するまでの時間、前記薬液ポンプが前記噴霧口に供給する前記薬液の量、前記薬液ポンプの駆動から前記シートシャッタを開放する旨の信号を送信するまでの時間、前記薬液タンクの容量のうちの1つ以上を調節可能であることを特徴とする請求項7に記載のシートシャッタの薬液噴霧装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のシートシャッタの薬液噴霧装置と、
前記一対の縦枠と、
可とう性を有するシート体と、
前記一対の縦枠の上端の間に形成され、内部に前記シート体を巻取り及び繰出し可能な巻取シャフトを有するシートケースと、
前記シート体を開閉動作させる開閉駆動部と、
前記開閉駆動部の開閉動作を制御する開閉制御部と、を備え、
前記開閉制御部は、非接触センサの検知があった旨の情報に基づいて、前記開閉駆動部を開閉動作できることを特徴とするシートシャッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートシャッタに形成される手指消毒用の薬液噴霧装置、及び当該薬液噴霧装置を備えるシートシャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、倉庫や工場あるいは事務所や店舗及びイベント会場などの建物の内部空間を空調効率よく清浄に保つために、開閉速度が速く、安全性に優れたシートシャッタが用いられている。このようなシートシャッタの中には、シートシャッタの開閉を制御する制御盤や操作部などの電装品がシートシャッタの縦枠内部に組み込まれたものがある(特許文献1参照)。
【0003】
また、従来から、例えば建物の出入口付近に手指消毒用の薬液噴霧装置が配置されることが知られている。このような薬液噴霧装置の中には、非接触のセンサで検知対象を検知したことをきっかけとして薬液を噴霧するものも知られている(特許文献2、及び特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-225021号公報
【特許文献2】特開平07-289612号公報
【特許文献3】実用新案登録第3140599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のようなシートシャッタには、手指消毒用の薬液噴霧装置が内蔵されるものは知られていない。したがって所定区画への出入口に設けられるシートシャッタの近傍に、当該シートシャッタとは別に、手指消毒用の薬液噴霧装置を配置する必要があった。
【0006】
しかし、シートシャッタと別に薬液噴霧装置を配置した場合、場所によっては、出入口の邪魔になるおそれがある。また、シートシャッタの近傍に薬液噴霧装置が配置されていても、所定区画に入る人が、薬液噴霧装置に気づかない場合や、煩わしさから意図的に無視する場合など、確実に手指消毒させることは困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、手指消毒用の薬液噴霧装置がシートシャッタを設置した出入口の邪魔になることがなく、所定区画に入る人に確実に手指消毒させることができるシートシャッタの薬液噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置は、シートシャッタの縦枠に設けられ、離れた位置の検知対象を検知する非接触センサと、前記非接触センサを制御するとともに、当該非接触センサが前記検知対象を検知したことを各部に通信するセンサ制御部と、前記縦枠の内部に収納され、手指消毒用の薬液を貯留する薬液タンクと、前記薬液を外部に噴霧可能な噴霧口と、前記薬液タンク内に貯留された前記薬液を前記噴霧口に供給する薬液ポンプと、前記薬液ポンプを駆動制御するポンプ制御部と、を備え、前記非接触センサの検知に基づいて前記シートシャッタに形成されその開閉を制御する開閉制御部に、当該シートシャッタを開放又は閉鎖すべき旨の信号を送信可能であるとともに、前記ポンプ制御部は、少なくとも前記非接触センサの検知を含む情報に基づいて前記薬液ポンプを駆動することを特徴としている。
【0009】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置は、前記ポンプ制御部は、前記シートシャッタが閉鎖されており、且つ、前記非接触センサの検知があった場合にのみ、前記薬液ポンプを駆動することを特徴としている。
【0010】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置は、前記シートシャッタのシート面に対して垂直であり、且つ水平な方向に突出するカバー体が前記縦枠に形成されており、当該カバー体は、上面が突出側に向かって下り勾配に形成され、下面が突出側に向かって上り勾配に形成され、前記噴霧口は前記カバー体の前記下面に形成されることを特徴としている。
【0011】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置は、前記カバー体は、前記非接触センサと、前記センサ制御部と、前記ポンプ制御部とを内側に保持可能に形成されることを特徴としている。
【0012】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置は、前記薬液タンクが、上下方向に長尺な可とう性を有する筒状であって、上端に開閉可能な蓋体を有し、下端が閉じられて形成され、前記縦枠は前記薬液タンクの上端を引き出し可能な孔部を有することを特徴としている。
【0013】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置は、前記孔部を開閉可能なホールキャップと、前記ホールキャップの前記縦枠の内部を向く面に一端が固定され、前記薬液タンクの上端に他端が固定される連結牽体と、を備えることを特徴としている。
【0014】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置は、前記薬液タンク内の液量が所定以下であるか否か判断可能な残量判断手段と、前記残量判断手段が、前記液量が所定の値以下であると判断したときに、液量が不足する旨の情報を外部に出力する残量警告部を備えることを特徴としている。
【0015】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置は、前記ポンプ制御部は、前記非接触センサの検知から前記薬液ポンプを駆動するまでの時間、前記薬液ポンプが前記噴霧口に供給する前記薬液の量、前記薬液ポンプの駆動から前記シートシャッタを開放する旨の信号を送信するまでの時間、前記薬液タンクの容量のうちの1つ以上を調節可能であることを特徴としている。
【0016】
本発明のシートシャッタは、上記のいずれかに記載のシートシャッタの薬液噴霧装置と、前記一対の縦枠と、可とう性を有するシート体と、前記一対の縦枠の上端の間に形成され、内部に前記シート体を巻取り及び繰出し可能な巻取シャフトを有するシートケースと、前記シート体を開閉動作させる開閉駆動部と、前記開閉駆動部の開閉動作を制御する開閉制御部と、を備え、前記開閉制御部は、非接触センサの検知があった旨の情報に基づいて、前記開閉駆動部を開閉動作できることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置によると、離れた位置の検知対象を検知する非接触センサの検知に基づいて、噴霧口から薬液を噴霧することができ、且つ、シートシャッタの開閉制御が可能であり、手指消毒及びシートシャッタの開閉操作の際に操作部に物理的に接触する必要がないので、手指及びシートシャッタをより清潔に保つことができる。そして、薬液タンクがシートシャッタの縦枠の内部に収納されていることで、薬液噴霧装置が出入の邪魔になることを防止できる。しかも、非接触センサの検知に基づいてシートシャッタの開閉制御が可能であるので、シートシャッタが設置された出入口から所定区画に入る際に、シートシャッタを開放するために非接触センサに手をかざして検知させると、ポンプ制御部が薬液ポンプを駆動することで、薬液が噴霧口から噴霧されることになり、シートシャッタを開放するための動作で手指消毒が行えるので、確実に、煩わしさを感じさせることなく、手指消毒を行うことができる。
【0018】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置によると、ポンプ制御部は、シートシャッタが閉鎖されており、且つ、非接触センサの検知があった場合に、薬液ポンプを駆動するので、シートシャッタが閉鎖された状態から開く場合に薬液が噴霧されることとなり、例えば、すでに開放されているシートシャッタを閉じる場合や、シートシャッタの開閉動作途中でその動作止める場合のように、手指消毒を必要としない場合に、薬液が噴霧されることを防止できる。
【0019】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置によると、カバー体は、シートシャッタのシート面に対して垂直であり、且つ水平な方向に突出して縦枠に形成されており、カバー体の上面は突出側に向かって下り勾配に形成されているので、上面へのホコリ溜まりを防止することで、カバー体を衛生的なものとすることができる。また、カバー体の下面が突出側に向かって上り勾配に形成されており、当該カバー体の下面に噴霧口が形成されているので、薬液を斜め下向きに噴霧することで、薬液はカバー体やシートシャッタにかからない。
【0020】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置によると、カバー体は、非接触センサと、センサ制御部と、ポンプ制御部と、を保持可能に形成されているので、薬液タンクや薬液ポンプを縦枠内に挿入した後、縦枠に設けられている操作部を取り外して、カバー体を取り付けて、所定の配線及び配管を行うだけで、薬液噴霧装置を既存のシートシャッタの縦枠内に納めることができ、シートシャッタ全体の設計を変更することなく、低コストで薬液噴霧装置を備えたシートシャッタを設けることができる。
【0021】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置によると、薬液タンクが、上下方向に長尺な筒状であることで、薬液タンクを縦枠に形成された孔部から縦枠内に挿入することを可能としている。薬液タンクは可とう性を有する柔軟なものであるので、縦枠の形状が異なる様々なシートシャッタの縦枠に挿入することができ、様々な種類のシートシャッタに薬液噴霧装置を適用することができる。また、薬液タンクが可とう性を有することで、縦枠に挿入する作業を容易にすることができるとともに、上端に開閉可能な蓋体が形成されていることで、薬液タンク内の薬液を補充する際には、薬液タンクを撓ませて孔部から引き出し蓋体を取り外すことで簡単に補充することができる。
【0022】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置によると、孔部を開閉するホールキャップの縦枠の内部を向く面と、薬液タンクの上端とが、連結牽体によって繋がっているので、薬液タンク内に薬液を補充する際に、ホールキャップを取り外して引っ張ると、薬液タンクの上端が孔部から引き出させることになり、蓋体を取り外して薬液を補充すればよいので、極めて容易に薬液を補充することができる。
【0023】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置によると、残量判断手段が、薬液タンク内の液量が所定の値以下であると判断したときに、残量警告部が液量が不足する旨の情報を外部に出力するので、薬液の液量が不足した場合に確実に補充することができる。
【0024】
本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置によると、ポンプ制御部は、非接触センサの検知から薬液ポンプを駆動するまでの時間、薬液ポンプが噴霧口に供給する薬液の量、薬液ポンプの駆動からシートシャッタを開放する旨の信号を送信するまでの時間、薬液タンクの容量のうちの1つ以上を調節可能であるので、シートシャッタの設置場所や状態に応じて、最適に調整することができる。
【0025】
本発明のシートシャッタによると、上記のシートシャッタの薬液噴霧装置の効果を奏するシートシャッタとすることができ、シートシャッタを設置する建物の衛生管理に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】シートシャッタの全体構成を説明する正面図。
【
図3】シートシャッタの薬液噴霧装置の構成を説明する縦枠の鉛直断面図。
【
図4】非接触スイッチユニットの構成を説明する
図3の部分拡大図。
【
図5】非接触スイッチユニットを縦枠に固定する状態を説明する一部拡大断面図。
【
図8】薬液タンクに薬液を補充する工程を説明する図であり、ホールキャップを取り外した状態を説明する図。
【
図9】薬液タンクに薬液を補充する工程を説明する図であり、薬液タンクの上端を孔部から引き出した状態を説明する図。
【
図10】薬液の補充を完了し薬液タンクを縦枠内に入れた状態を説明する図。
【
図11】薬液噴霧処理のルーチンを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るシートシャッタの薬液噴霧装置2及び当該薬液噴霧装置2を備えるシートシャッタ1の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。シートシャッタ1は、例えば工場や倉庫あるいは事務所や店舗及びイベント会場等の建物に設置されるものである。シートシャッタ1は、2つの空間を開閉可能に隔てるものであり、屋内の衛生区画と当該区画外とを隔てるものであってもよく、屋内と屋外とを隔てるものであってもよい。
【0028】
まず、
図1を参照しつつ、本実施形態のシートシャッタ1の構成について、説明する。シートシャッタ1は、一対の縦枠3と、シートシャッタ1が設けられる出入口を開閉可能な、可とう性を有するシート体4と、一対の縦枠3の上端の間に形成され、シート体4を巻取り及び繰出し可能な巻取シャフト5と、巻取シャフト5が収納されるシートケース6と、巻取シャフト5にシート体4が巻き取られる正回転方向、及び、巻取シャフト5からシート体4を繰り出される逆回転方向に、巻取シャフト5を回転駆動させる開閉駆動部7と、シートシャッタ1に接近する人等を検知する人感センサ8と、開閉駆動部7の駆動を制御する開閉制御部9と、非接触センサ10を有する非接触スイッチユニット11及び薬液を貯留する薬液タンク12を有して、一方の縦枠3に形成される薬液噴霧装置2と、を備える。
【0029】
一対の縦枠3は、シート体4の端部を案内するガイドレール14を内側に形成し、上下に延びて立設される縦材である。一対の縦枠3は内部が中空に形成されており、縦枠3の表面に薬液噴霧装置2の非接触センサ10が形成される非接触スイッチユニット11のカバー体15が装着されるとともに、当該非接触スイッチユニット11の下方に薬液タンク12を挿入可能な孔部13が形成されている。この孔部13にはホールキャップ16がはめ込まれて開閉可能に閉じられている。
【0030】
シート体4は、可とう性、耐候性、及び必要により透光性或いは遮光性を有する合成樹脂材による長方形の幕体である。シート体4の上端は、巻取シャフト5の周面に軸方向に沿って取り付けられている。シート体4の左右には図示しないガイド突起が設けられており、ガイドレール14に差し入れた状態で昇降スライド可能に係合させて収容されている。これによりシート体4は、幅方向の張りを保持しつつスムーズな昇降作動を行う。またシート体4の下端にはウェイト部を兼ねてシート体4を下方に向けて付勢する下部バー17が形成されている。
【0031】
巻取シャフト5は、シートケース6内に収納されており、軸周りに自転することで、シート体4を巻取り及び繰り出し可能となっている。また、開閉駆動部7は、巻取シャフト5を正方向及び逆方向に回転させることができるモーターである。シートケース6は、巻取シャフト5及び開閉駆動部7を内部に収納しており、中央下部にシートシャッタ1に接近する人等を検知する人感センサ8が設けられている。また、シートケース6の内部には開閉駆動部7の駆動を制御して、シートシャッタ1の開閉を制御する開閉制御部9が設けられている。シートシャッタ1は自動開閉又は手動開閉に切り替え可能であり、開閉制御部9は、「自動開閉」に設定されているときには、シートケース6に設けられた人感センサ8の感知に基づいて自動的にシートシャッタ1の開閉を制御し、「手動開閉」に設定されているときには、非接触センサ10に手がかざされることによってシートシャッタ1の開閉を制御する。
【0032】
薬液噴霧装置2は、シートシャッタ1の縦枠3の表面に装着され、薬液噴霧装置2の操作及び制御を行う非接触スイッチユニット11と、縦枠3の内部に挿入され手指消毒用の薬液を貯留する薬液タンク12とを備えており、非接触スイッチユニット11に設けられる非接触センサ10の検知に基づいて手指消毒用の薬液を噴霧するものである。
【0033】
非接触スイッチユニット11は、
図2から
図4に示すように、カバー体15と、カバー体15に内蔵される非接触センサ10と、非接触センサ10を制御するセンサ制御部18と、薬液を噴霧する噴霧口19が形成されるノズル20と、噴霧口19に薬液を供給する薬液ポンプ21を制御するポンプ制御部22と、薬液タンク12内の薬液の残量を判断する図示しない残量判断手段と、残量判断手段の判断に基づいて薬液残量の不足を警告する残量警告部と、を備えている。カバー体15は、その内側に、非接触センサ10、センサ制御部18、ポンプ制御部22を、ねじで固定している。センサ制御部18及びポンプ制御部22は、矩形の回路基板であり、これらの間にスペーサとしての樹脂カラー及び絶縁シートを挟んで、カバー体15の内側に固定されている。非接触スイッチユニット11は、
図5に示すように、縦枠3にビス固定されるスイッチブラケット33にカバー体15が嵌合されて固定される。
【0034】
カバー体15は、樹脂製で非接触スイッチユニット11を構成する各部を内部に固定する外装である。カバー体15は、縦枠3からシートシャッタ1のシート面に対して垂直な水平方向に突出して形成されている。カバー体15は、シート面に対して平行に形成される矩形の突出平面34と、突出平面34の上縁から縦枠3に向かう上面35、突出平面34の下縁から縦枠3に向かう下面36、突出平面34の左右の側縁からそれぞれ縦枠3に向かう左右の側面37から構成されている。上面35は、カバー体15の突出側に向かって下り勾配に形成されており、下面36は、カバー体15の突出側に向かって上り勾配に形成されている。左右の側面37はシート面に対して垂直な鉛直面であり、台形に形成されている。カバー体15の突出平面34には、手のひらが描かれた意匠シートが貼り付けられて、手をかざす位置を示している。突出表面の意匠シートの下には円形開口が設けられるとともに、当該円形開口の外周に4つの円弧孔が形成されている。円形開口は、非接触センサ10から発せられるマイクロ波や検知対象から反射するマイクロ波の減衰を抑制する。また、4つの円弧孔は、非接触センサ10の状態を示す発光が意匠シートを透過して表面に表されることで、非接触センサ10が待機中であることや対象を検知したことを外部に表示する。
【0035】
カバー体15の傾斜する下面36にはノズル20を固定するネジ孔が形成されている。ノズル20には、具体的な図示は省略するがゴムワッシャー、シール材、寸法調節ワッシャー等が設けられて、カバー体15の下面36に取り付けられており、液漏れを防ぎつつ、薬液を噴霧可能にしている。また、下面36にはLED発光素子23を挿入可能な小孔が形成されている。小孔に挿入されるLED発光素子23は、ポンプ制御部22に制御されて赤色に発光することで、薬液タンク12内の薬液の残量の不足を警告する残量警告部として機能するものである。
【0036】
カバー体15の形状が上記のように、上面35は突出側に向かって下り勾配に形成されていることで、上面35へのホコリ溜まりを防止でき、カバー体15を衛生的なものとすることができる。また、カバー体15の下面36が突出側に向かって上り勾配に形成されており、当該カバー体15の下面36に噴霧口19が形成されているので、薬液を斜め下向きに噴霧することができ、薬液がカバー体15やシートシャッタ1にかかることを抑制できる。
【0037】
非接触センサ10は、カバー体15の内部にねじ止めされている。非接触センサ10は、例えばマイクロ波の反射を受信することで対象物を検知するマイクロ波方式の非接触センサ10である。非接触センサ10は、例えば20mm以内の離れた位置にかざされた手のひらを検知できるものである。なお、非接触センサ10の方式や検知距離の範囲は上記に限定されるものではなく、シートシャッタ1の開閉スイッチ及び手指消毒用の薬液噴霧装置2のスイッチとしての利用に適したものであればよい。
【0038】
センサ制御部18は、非接触センサ10を制御するとともに、非接触センサ10の検知をポンプ制御部22に送信する基板である。非接触センサ10はセンサ制御部18から突出して形成されている。センサ制御部18は、非接触センサ10が待機中であることや検知があったことなどの状態を、当該非接触センサ10の発光や音で外部に表示する制御を行うとともに、接続ケーブルを介してポンプ制御部22に対して当該非接触センサ10の検知があった旨の情報を出力する。また、センサ制御部18は、非接触センサ10の発光やアンサーバック音などの設定を受け付け、又は非接触センサ10の検知距離の範囲などの設定を受け付ける入力スイッチを有していてもよい。
【0039】
ノズル20は、外周がネジ切られた円筒形状であり、カバー体15の下面36のネジ孔に螺着して固定される。ノズル20は例えばステンレスなどの金属製であり、噴霧口19が当該ノズル20を貫通して形成されている。噴霧口19は一定範囲に薬液を噴霧可能な形状に形成されている。ノズル20には、薬液ポンプ21から接続される供給管32が接続されており、薬液ポンプ21の駆動により供給管32を通してノズル20に薬液が供給され、噴霧口19から当該薬液が噴霧される。
【0040】
ポンプ制御部22は、センサ制御部18からの信号に基づいて薬液ポンプ21の駆動を制御する基板である。ポンプ制御部22は、予め非接触センサ10が検知対象を検知してから薬液ポンプ21を駆動するまでの遅延時間(噴霧遅延時間)、薬液ポンプ21が噴霧口19に供給する薬液の量(噴霧強度)、薬液ポンプ21の駆動からシートシャッタ1を開放する旨の信号を送信するまでの時間(起動遅延時間)、及び薬液タンク12の容量をそれぞれ設定可能なロータリースイッチが形成されている。このようにポンプ制御部22は、噴霧遅延時間、噴霧強度、起動遅延時間、及び薬液タンク12の容量を調節可能であるので、シートシャッタ1の設置場所や状態に応じて、最適に調整することができる。
【0041】
なお、噴霧遅延時間は例えば、0秒から3秒の間を10段階に調節可能としている。また、噴霧強度は、噴射する時間の長さで表しており、例えば、0秒から3秒の間を10段階に調節可能としている。すなわち噴射する時間が長ければ、噴射する薬液量が増加する。また、起動遅延時間も0秒から3秒の間を10段階に調節可能としている。そして、薬液タンク12の容量は0.1リットルから3リットルを10段階に調整可能としている。
【0042】
ポンプ制御部22は、薬液タンク12に薬液を補充してから薬液ポンプ21を駆動して薬液を噴霧した回数がカウントされて、ポンプ制御部22の不揮発性メモリに記憶されている。ポンプ制御部22は、シートシャッタ1の開閉制御部9に対しても信号を送信可能に形成されており、センサ部から受信した非接触センサ10が検知対象を検知した旨の情報を開閉制御部9に送信することで、非接触センサ10の検知に基づいて開閉制御部9がシートシャッタ1の開閉制御を行うことができる。
【0043】
残量判断手段は、ポンプ制御部22に設けられる機能であり、予めロータリースイッチにより設定された、薬液タンク12の容量、噴霧強度、及び、ポンプ制御部22がカウントした噴霧回数に基づいて、薬液タンク12内の薬液の残量が補充が必要なほどに減少しているか否かを判断するものである。具体的には、噴霧強度に基づいて噴霧1回当たりの薬液使用量を判断し、当該1回当たりの薬液使用量と噴霧回数を乗じて薬液の総使用量を算出し、薬液タンク12の容量から薬液の総使用量を減算して、薬液タンク12内の薬液の残量を算出する処理を行う。そして、薬液タンク12内の薬液の残量が所定の値以下であると判断すると、残量警告部に薬液残量の不足を警告する出力を行う。ここで所定の値以下とは、例えば薬液タンク12の容量の10パーセント以下の値である。所定の値はこれに限定されるものではなく、実際に薬液タンク12内の薬液がなくなる前に補充可能なタイミングで薬液不足を出力できればよい。
【0044】
なお、残量判断手段はポンプ制御部22に記録された処理プログラムであってもよく、また物理的に組み込まれた処理回路であってもよい。また、ポンプ制御部22に組み込まれるものに限られず、シートシャッタ1の内部又は外部において、ポンプ制御部22と通信可能に接続されるコンピュータに記録されたプログラムであってもよい。また、残量判断手段は噴霧強度や噴霧回数から薬液の残量を算出するものに限られず、例えば薬液タンク12内に物理的に設けられる種々の水位センサであってもよい。
【0045】
残量警告部は、本実施形態においては、カバー体15の下面36に形成された小孔に挿入される赤色のLED発光素子23であり、ポンプ制御部22は、残量判断手段により薬液の残量が所定の値以下であると判断した場合に、LED発光素子23を赤色に発光させることで、薬液タンク12内の薬液の残量の不足を警告する。なお、残量警告部は発光によるものに限定されるものではなく、例えばブザー音などの音によって残量不足を警告するものであってもよく、又は、外部のネットワークを介してシートシャッタ1の管理者に対して残量不足を警告するものであってもよい。
【0046】
非接触スイッチユニット11は、カバー体15と、当該カバー体15に保持されるように、非接触センサ10と、センサ制御部18と、ポンプ制御部22、ノズル20と、残量判断手段と、LED発光素子23(残量警告部)と、を備えているので、縦枠3に設けられている既存の操作パネルを取り外して、カバー体15を取り付けて、所定の配線及び配管を行うだけで、薬液噴霧装置2を既存のシートシャッタ1の縦枠3内に納めることができ、シートシャッタ1全体の設計を変更することなく、低コストで薬液噴霧装置2を備えたシートシャッタ1を設けることができる。
【0047】
薬液タンク12は、
図6及び
図7に示すように、上下方向に長い貯留部24と、貯留部24を被覆する被覆材25と、下端に形成される樹脂製の底部26と、上端を開閉可能とする蓋体27と、を備える。貯留部24はポリエチレンシートを袋状に加工して形成される円筒形状であり、例えば直径30mm程度で長さ500mmに形成されている。被覆材25はシート体4の残材を利用して形成されており貯留部24の表面に接着されて貯留部24を補強する。被覆材25には上端にハトメ28が形成されており、薬液タンク12を縦枠3の内部に固定する固定紐29が結ばれる。薬液タンク12の上端には蓋体27が開閉可能に形成されている。蓋体27には連結紐30の端部が固定されている。薬液タンク12は、シートシャッタ1の縦枠3の内部に収納されており、シートシャッタ1とは別に、薬液噴霧装置2を設けるものと異なり、出入口の邪魔になることを防止できる。薬液タンク12は、可とう性を有しており、容易に形状を変形することができるので、様々なシートシャッタ1の断面形状の異なる様々縦枠3に薬液タンク12を挿入することができ、様々なシートシャッタ1に薬液噴霧装置2を取り付けることができる。
【0048】
縦枠3に形成された孔部13を開閉可能に閉じるホールキャップ16の縦枠3の内部を向く面には、連結紐30の一端が固定されており、薬液タンク12の上端に固定されている蓋体27には、当該連結紐30の他端が固定されている。縦枠3に形成される孔部13は、少なくとも薬液タンク12の直径よりも大きな径の円形孔である。本実施形態では孔部13は直径が36.5mmに形成されている。連結紐30は、樹脂紐、繊維紐、鎖体、金属入り樹脂コードなど適宜の連結牽体で構成される。
【0049】
薬液タンク12の側面には薬液ポンプ21が固定されている。薬液ポンプ21は、薬液タンク12の内の底部26付近に一端が配管される吸入管31の他端が接続されて薬液を吸入するとともに、供給管32を通して噴霧口19が形成されたノズル20に薬液を供給する。薬液ポンプ21はポンプ制御部22によって駆動が制御されており、ポンプ制御部22が非接触センサ10の検知を含む情報に基づいて薬液ポンプ21の駆動を制御する。
【0050】
薬液タンク12に薬液を補充する際には、
図8に示すように、まず縦枠3の孔部13からホールキャップ16を取り外す。そして、ホールキャップ16を縦枠3から離れる方向に引っ張ると、連結紐30によって、
図9に示すように、薬液タンク12の上端が孔部13から引き出される。次に、蓋体27を薬液タンク12から取り外して、薬液を薬液タンク12内に補充する。そして、再度、蓋体27を薬液タンク12の上端に取り付けて薬液タンク12を閉じる。その後、
図10に示すように、薬液タンク12の上端を孔部13から縦枠3の内部に押し込み、連結紐30も縦枠3の中に入れ込んで、孔部13をホールキャップ16で閉じる。薬液タンク12は、可とう性を有しており、また、薬液タンク12よりも孔部13のほうが大きく形成されているので、孔部13から薬液タンク12の上端を引き出すことができ、薬液の補充を容易なものとすることができる。
【0051】
次に、以上のように構成されるシートシャッタの薬液噴霧装置2が、薬液の噴霧を行う際に、主にポンプ制御部22で行われる処理の一例について
図11を参照しつつ説明する。薬液噴霧処理では、まず、シートシャッタ1の設定が、「自動開閉」であるか「手動開閉」であるかを判断する(S100)。「自動開閉」とは、シートシャッタ1が設けられた出入口を通過する人が接近した際に自動的にシートシャッタ1を開放する設定であり、シートケース6に設けられた人感センサ8の感知に基づいて、シートシャッタ1の開閉制御部9が開閉駆動部7を駆動することでシートシャッタ1を開放するものである。また「手動開閉」とは、シートシャッタ1が設けられた出入口を通過する人が非接触センサ10に手をかざすことで、シートシャッタ1を開放する設定である。本実施形態のシートシャッタ1は「自動開閉」及び「手動開閉」のいずれの設定可能なものとしたが、本発明のシートシャッタ1は「手動開閉」のみが設定可能なシートシャッタ1であってもよい。
【0052】
シートシャッタ1の設定が「手動開閉」であると判断すると(S100:Yes)、次に、非接触センサ10の検知があったか否か判断する(S101)。カバー体15の正面の例えば20ミリmmの範囲内に手をかざすと、非接触センサ10から照射されるマイクロ波が反射し、当該反射波を検知することで、非接触センサ10が検知対象の存在を検知し、当該検知があった旨の信号をセンサ制御部18がポンプ制御部22に送信する。そして、ポンプ制御部22は、当該信号を受信すると、非接触センサ10の検知があったと判断する(S101:Yes)。一方、ポンプ制御部22は、当該信号の受信がない場合は、非接触センサ10の検知がなかったと判断し(S101:No)、処理を待機する。
【0053】
非接触センサ10の検知があったと判断すると(S101:Yes)、次に、ポンプ制御部22は噴射遅延時間が経過したか否か判断する(S102)。具体的には、ポンプ制御部22に予め設定された非接触センサ10が検知対象を検知してから薬液ポンプ21を駆動するまでの遅延時間が経過するまで待機し(S102:No)、当該噴射遅延時間が経過すると(S102:Yes)、次に処理を進める。
【0054】
次の処理では、シートシャッタ1が閉まっている状態であるか否か判断される(S103)。シートシャッタ1が閉まっている場合には(S103:Yes)、シートシャッタ1が設けられている出入口を通過するために、シートシャッタ1を開くための操作をしているものと判断できるので、薬液を噴霧するための処理に進む。一方、シートシャッタ1が閉まっていない場合には(S103:No)、シートシャッタ1が完全に開いている状態、又はシートシャッタ1が開放又は閉鎖の動作途中である状態であり、この場合、シートシャッタ1を閉じるため、又はシートシャッタ1の動作を止めるために非接触センサ10に手をかざしたものと判断できるので、薬液を噴霧する必要がないものであり、シートシャッタ1の閉鎖又は停止等の動作をすべき旨の信号を開閉制御部9に送信し(S110)、処理を終了する。
【0055】
薬液を噴霧するための処理に進むと、ポンプ制御部22は、ポンプを駆動する処理を行う(S104)。すなわち、この処理では、非接触センサ10が検知対象を検知し、検知からの経過時間が予め設定された噴射遅延時間を経過し、且つ、シートシャッタ1が閉状態のときに、薬液ポンプ21が駆動されて、薬液が噴霧口19に供給され、噴霧が行われる。薬液の噴霧は予め設定されて噴霧強度で行われる。具体的にはポンプ制御部22は、薬液ポンプ21に予め設定された時間通電することで薬液ポンプ21を駆動し、噴出口に薬液を供給する。したがって、シートシャッタ1が設置された出入口から所定区画に入る際に、シートシャッタ1を開放するために非接触センサ10に手をかざして検知させると、所定時間経過後に、薬液が噴霧口19から噴霧されることになり、シートシャッタ1を開放するための動作で手指消毒が行えるので、確実に、煩わしさを感じることなく、手指消毒を行うことができる。
【0056】
そして、薬液ポンプ21が駆動すると(S104)、次に、薬液の噴霧が1回行われたことを、ポンプ制御部22の不揮発性メモリに記憶させる処理を行う(S105)。具体的には不揮発性メモリに記憶されている噴霧回数を1回加算する。そして、次に、薬液タンク12内の薬液の残量が予め定められた値以下であるか否か判断する(S106)。この処理は、まず、薬液タンク12内の薬液の残量を算出する処理を行い、算出された薬液残量が、例えば薬液タンク12の容量の10パーセント以下の値である場合に、薬液タンク12内の薬液の残量が所定の値以下であると判断する。具体的には、ポンプ制御部22に設定されている噴霧強度に基づいて噴霧1回当たりの薬液使用量を判断し、当該1回当たりの薬液使用量と不揮発性メモリに記憶された噴霧回数を乗じて薬液の総使用量を算出し、ポンプ制御部22に設定された薬液タンク12の容量から薬液の総使用量を減算して、薬液タンク12内の薬液の残量を算出するとともに、算出された値が薬液タンク12の容量の10パーセント以下であるか否か判断する。なお、この処理において、薬液タンク12内の薬液の残量は、ポンプ制御部22に設けられた処理プログラム、または処理回路によって算出されるが、薬液タンク12内に物理的に設けられる水位センサによって計測されるものであってもよい。
【0057】
薬液タンク12内の薬液の残量が所定以下であると判断すると(S106:Yes)、残量が不足している旨の警告を出力する処理を行い(S07)、次のステップに進む。具体的には、ポンプ制御部22は、カバー体15の下面36に形成された小孔に挿入されている赤色LED発光素子23に通電することで発光又は点滅させ、残量が不足していることを表示する。なお、この警告は発光に限定されるものではなく、LED発光素子23の発光又は点滅、ブザー音、及び無線LAN等の外部ネットワークを介してシートシャッタ1の管理者のIDに残量が不足する旨の情報を送信する等の中から選択される1つ又は複数の警告が行われるものであってもよい。
【0058】
ステップ106に戻って、薬液タンク12内の薬液の残量が所定よりも多いと判断すると(S106:No)、残量が不足している警告を出力することなく、次のステップに進む。次のステップでは、起動遅延時間が経過したか否か判断される(S108)。具体的には、ポンプ制御部22に予め設定されている薬液ポンプ21の駆動からシートシャッタ1を開放する旨の信号を送信するまでの時間を経過したか否か、当該ポンプ制御部22が判断する。起動遅延時間が経過したと判断すると(S108:Yes)、シートシャッタ1を開放すべき旨の信号を開閉制御部9に送信し(S109)、この処理を終了する。起動遅延時間が経過していないと判断すると(S108:No)、起動遅延時間を経過するまで処理を待機する。
【0059】
このように、シートシャッタ1の設置が「手動開閉」であるときには、シートシャッタ1を開くために非接触センサ10に手をかざす動作をきっかけとして、薬液の噴霧が行われ、且つシートシャッタ1の開放動作が行われるので、シートシャッタ1が形成された出入口を通過する人は、必ず、手指消毒も行うこととなる。したがって、確実かつ煩わしくなく手指消毒させることができる。このとき、薬液の噴霧はシートシャッタ1が閉鎖された状態である場合に限られているので、例えば、すでに開放されているシートシャッタ1を閉じる場合や、シートシャッタ1の開閉動作途中でその動作止める場合のように、手指消毒を必要としない場合に、薬液が噴霧されることを防止できる。なお、本発明のシートシャッタの薬液噴霧装置2は、シートシャッタ1の開閉状態と無関係に、非接触センサ10の検知があった場合は必ず薬液を噴霧するものであってもよい。
【0060】
一方、シートシャッタ1の設定が「自動開閉」であると判断すると(S100:No)、シートシャッタ1の開閉に関する処理は、シートカバーに設けられた人感センサ8と開閉制御部9との情報通信によって処理されるので、ポンプ制御部22では、シートシャッタ1の開閉に関する処理は行わずに、薬液の噴霧に関する処理のみが行われる。ここで、薬液の噴霧に関する処理は、シートシャッタ1の設定が「手動開閉」である場合と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0061】
シートシャッタ1の設定が「自動開閉」であると判断すると、(S100:No)、次に、非接触センサ10の検知があったか否か判断する(S111)。ポンプ制御部22は、非接触センサ10の検知があったと判断すると(S111:Yes)、処理を進める。一方、ポンプ制御部22は、非接触センサ10の検知がなかったと判断すると(S111:No)、処理を待機する。
【0062】
非接触センサ10の検知があったと判断すると(S111:Yes)、次に、ポンプ制御部22は噴射遅延時間が経過したか否か判断する(S112)。具体的には、ポンプ制御部22に予め設定された非接触センサ10が検知対象を検知してから薬液ポンプ21を駆動するまでの遅延時間が経過するまで待機し(S112:No)、当該噴射遅延時間が経過すると(S112:Yes)、次に薬液を噴霧するための処理に進む。
【0063】
薬液を噴霧するための処理に進むと、ポンプ制御部22は、ポンプを駆動する処理を行う(S113)。すなわち、この処理では、非接触センサ10が検知対象を検知し、検知からの経過時間が予め設定された所定の噴射遅延時間を経過したときに、薬液ポンプ21が駆動されて、薬液が噴霧口19に供給され、噴霧が行われる。
【0064】
そして、薬液ポンプ21が駆動すると(S113)、次に、薬液の噴霧が1回行われたことを、ポンプ制御部22の不揮発性メモリに記憶させる処理を行う(S114)。そして、次に、薬液タンク12内の薬液の残量が予め定められた値以下であるか否か判断する(S115)。この処理は、まず、薬液タンク12内の薬液の残量を算出し、算出された薬液残量が、所定の値である場合に、薬液タンク12内の薬液の残量が所定の値以下であると判断する。
【0065】
薬液タンク12内の薬液の残量が所定以下であると判断すると(S115:Yes)、残量が不足している旨の警告を出力する処理を行い(S116)、処理を終了する。ステップ115に戻って、薬液タンク12内の薬液の残量が所定よりも多いと判断すると(S115:No)、残量が不足している警告を出力することなく、処理を終了する。
【0066】
このように、薬液の噴霧やシートシャッタ1の開閉操作を、非接触センサ10に手をかざすことで行っているので、物理的なボタンに接触する必要がなく、手指及びシートシャッタ1をより清潔に保つことができる。
【0067】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係るシートシャッタの薬液噴霧装置2及びシートシャッタ1は、例えば工場や倉庫あるいは事務所や店舗及びイベント会場に用いられるシートシャッタの薬液噴霧装置2及びシートシャッタ1として好適である。
【符号の説明】
【0069】
1 シートシャッタ
2 シートシャッタの薬液噴霧装置
3 縦枠
4 シート体
5 巻取シャフト
6 シートケース
7 開閉駆動部
8 人感センサ
9 開閉制御部
10 非接触センサ
12 薬液タンク
13 孔部
15 カバー体
16 ホールキャップ
18 センサ制御部
19 噴霧口
21 薬液ポンプ
22 ポンプ制御部
23 LED発光素子(残量警告部)
30 連結紐