(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039886
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144601
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】小倉 智司
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066DA02
5G066JA05
(57)【要約】
【課題】発電機の余剰電力を有効的に活用することができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】発電機から供給された電力を電力系統に応じた交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記電力系統に供給する変換部と、前記変換部の動作を制御する制御部と、を備え、前記変換部は、前記電力系統と接続されるとともに、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための機能を有する機能部と接続され、前記発電機の発電電力が、前記電力系統に供給する最大の電力以上である場合に、前記電力系統に供給する最大の電力を超えた前記発電電力の余剰電力を前記機能部に供給可能とし、前記機能部の動作に前記余剰電力を使用できるようにする電力変換装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機から供給された電力を電力系統に応じた交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記電力系統に供給する変換部と、
前記変換部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記変換部は、前記電力系統と接続されるとともに、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための機能を有する機能部と接続され、前記発電機の発電電力が、前記電力系統に供給する最大の電力以上である場合に、前記電力系統に供給する最大の電力を超えた前記発電電力の余剰電力を前記機能部に供給可能とし、前記機能部の動作に前記余剰電力を使用できるようにする電力変換装置。
【請求項2】
前記発電電力を前記電力系統と前記機能部とに分配できるようにする分配器をさらに備え、
前記変換部は、前記分配器を介して前記機能部と接続され、
前記分配器は、前記発電電力が前記電力系統に供給する最大の電力以上である場合に、前記余剰電力分を前記機能部に分配する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記発電機の前記発電電力を計測する計測器をさらに備え、
前記制御部は、前記発電電力が前記電力系統に供給する最大の電力以上である場合に、前記計測器の計測結果を基に、前記余剰電力分を前記機能部に消費させるように、前記機能部の動作を制御する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記機能部は、前記変換部の冷却を行い、前記変換部の温度上昇にともなう変換効率の低下を抑制することにより、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための冷却器である請求項1記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記変換部を収容する筐体をさらに備え、
前記機能部は、前記筐体内の空気の冷却を行い、前記変換部の温度上昇にともなう変換効率の低下を抑制することにより、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための冷却器である請求項1記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記機能部は、前記発電機の冷却を行い、前記発電機の温度上昇にともなう発電量の低下を抑制することにより、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための冷却器である請求項1記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記機能部は、前記発電機の加熱を行い、前記発電機の温度の低下にともなう発電量の低下を抑制することにより、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための加熱器である請求項1記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムなどの発電システムに用いられる電力変換装置が知られている。電力変換装置は、太陽電池パネルなどの発電機から供給された電力を電力系統に対応した交流電力に変換し、変換後の交流電力を電力系統に供給する。
【0003】
発電システムでは、発電機の発電電力を、電力系統側に供給する電力よりも大きくできる場合にも、発電の余力を残した状態で必要分だけの発電を行うことにより、余剰電力が発生してしまうことがある。例えば、太陽光発電システムでは、電力系統側に供給する最大の電力が500kWと契約などで決められている際に、曇天の場合などにも安定して最大の電力を電力系統に供給できるように、太陽電池パネルの最大の発電電力(発電容量)を600kWなどのように余裕を持たせて設定することが行われている。この場合、太陽電池パネルが最大の発電電力を発電可能な状況においては、100kWの余剰電力が発生してしまう。
【0004】
電力変換装置では、こうした発電機の余剰電力を有効的に活用できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-69192号公報
【特許文献2】特開2021-191199号公報
【特許文献3】特開2021-197855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、発電機の余剰電力を有効的に活用することができる電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、発電機から供給された電力を電力系統に応じた交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記電力系統に供給する変換部と、前記変換部の動作を制御する制御部と、を備え、前記変換部は、前記電力系統と接続されるとともに、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための機能を有する機能部と接続され、前記発電機の発電電力が、前記電力系統に供給する最大の電力以上である場合に、前記電力系統に供給する最大の電力を超えた前記発電電力の余剰電力を前記機能部に供給可能とし、前記機能部の動作に前記余剰電力を使用できるようにする電力変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
発電機の余剰電力を有効的に活用することができる電力変換装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
【
図2】第2の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
【
図3】第3の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
【
図4】第4の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
【
図5】第5の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
【
図6】第6の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
【0010】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、発電システム2は、太陽電池パネル4(発電機)と、電力変換装置10と、を備える。この例において、発電システム2は、換言すれば、太陽光発電システムである。
【0012】
太陽電池パネル4は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換することによって発電を行う。太陽電池パネル4は、直流電力の発電を行い、発電した直流電力を電力変換装置10に供給する。
【0013】
電力変換装置10は、変換部12と、制御部14と、計測器16と、分配器18と、筐体20と、冷却器22(機能部)と、を備える。
【0014】
変換部12は、太陽電池パネル4と接続されるとともに、交流の電力系統PSと接続される。変換部12は、例えば、変圧器や遮断器などを介して電力系統PSと接続される。変換部12は、太陽電池パネル4から供給された直流電力を電力系統PSに応じた交流電力に変換し、変換後の交流電力を電力系統PSに供給する。
【0015】
制御部14は、変換部12の動作を制御する。換言すれば、制御部14は、変換部12による電力の変換を制御する。
【0016】
計測器16は、太陽電池パネル4の発電電力を計測する。計測器16は、計測結果を制御部14に入力する。計測器16は、例えば、電力計である。但し、計測器16は、これに限ることなく、例えば、電圧計などでもよい。計測器16は、例えば、制御部14において太陽電池パネル4の現在の発電電力を認識することが可能な任意の計測器でよい。
【0017】
制御部14は、例えば、図示を省略した上位のコントローラと通信を行い、上位のコントローラから種々の制御信号(指令値)の入力を受ける。制御部14は、例えば、計測器16の計測結果、及び上位のコントローラからの制御信号を基に、変換部12の動作を制御する。
【0018】
分配器18は、太陽電池パネル4の発電電力を電力系統PSと冷却器22とに分配できるようにする。分配器18は、例えば、変換部12と電力系統PSとの間に設けられる。分配器18は、例えば、変換部12によって変換された後の交流電力を電力系統PSと冷却器22とに分配する。
【0019】
筐体20は、変換部12を収容する。筐体20は、例えば、変換部12、制御部14、計測器16、分配器18、及び冷却器22などの電力変換装置10の各部を内部の空間に収容する。筐体20は、例えば、屋外に設置され、内部に収容した電力変換装置10の各部を風雨や塵埃などから保護する。筐体20は、例えば、キャビネットやエンクロージャーなどと呼ばれる場合がある。なお、制御部14や計測器16などは、必ずしも筐体20内に設けられていなくてもよい。筐体20は、少なくとも変換部12を収容可能に構成されていればよい。
【0020】
冷却器22は、変換部12に設けられ、変換部12の冷却を行う。冷却器22は、例えば、空冷式のファンや熱交換器などである。但し、冷却器22は、これらに限ることなく、変換部12を適切に冷却することが可能な任意の冷却器でよい。
【0021】
冷却器22は、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させるための機能を有する機能部である。冷却器22は、変換部12の冷却を行い、変換部12の温度上昇にともなう変換効率の低下を抑制することにより、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加できるようにする。
【0022】
変換部12は、太陽電池パネル4及び電力系統PSと接続されるとともに、冷却器22と接続され、太陽電池パネル4の発電電力が、電力系統PSに供給する最大の電力以上である場合に、電力系統PSに供給する最大の電力を超えた発電電力の余剰電力を冷却器22に供給可能とし、冷却器22の動作に余剰電力を使用できるようにする。
【0023】
変換部12は、例えば、分配器18を介して冷却器22と接続される。分配器18は、発電電力が電力系統PSに供給する最大の電力以上である場合に、余剰電力分を冷却器22に分配する。すなわち、変換部12は、分配器18を介して余剰電力を冷却器22に供給可能とする。
【0024】
制御部14は、例えば、計測器16の計測結果、及び上位のコントローラからの制御信号を基に、分配器18による電力の分配を制御する。発電システム2(電力変換装置10)から電力系統PSに供給可能な最大の電力は、電力系統PSの負荷側の需要などに応じて変化する可能性がある。制御部14は、例えば、電力系統PSに供給可能な最大の電力を表す制御信号を上位のコントローラから受信する。そして、制御部14は、例えば、計測器16の計測結果、及び受信した制御信号を基に、余剰電力を冷却器22に供給するように分配器18の動作を制御する。
【0025】
分配器18は、例えば、変換部12から出力された電力を冷却器22に対応した電力に変換して冷却器22に供給する変換回路を有する。制御部14及び分配器18は、例えば、計測器16の計測結果及び制御信号を基に、変換回路から冷却器22に出力する電力の大きさを制御することにより、発電電力のうちの余剰電力分を冷却器22に供給する。これにより、発電電力のうちの電力系統PSに供給可能な最大の電力を電力系統PS側に分配し、余剰電力を冷却器22側に分配することができる。
【0026】
この場合、分配器18(変換回路)から冷却器22に供給する電力は、交流電力でもよいし、直流電力でもよい。分配器18による電力の分配は、変換部12から出力された電力の一部をそのまま冷却器22に出力する方法に限ることなく、変換部12から出力された電力の一部を別の電力に変換して冷却器22に出力する方法などでもよい。
【0027】
このように、分配器18は、例えば、制御部14の制御に基づいて、発電電力を電力系統PSと冷却器22とに分配できるようにする。但し、分配器18の構成は、上記に限定されるものではない。例えば、電力系統PSに供給可能な最大の電力が一定である場合には、電力系統PS側に供給する最大の電力の大きさを予め分配器18に設定することにより、制御部14の制御を必要とすることなく、分配器18において自動的に余剰電力分を冷却器22側に供給できるようにしてもよい。分配器18の構成は、余剰電力を適切に冷却器22側に分配可能な任意の構成でよい。
【0028】
以上、説明したように、本実施形態に係る電力変換装置10では、太陽電池パネル4の発電電力が、電力系統PSに供給する最大の電力以上である場合に、変換部12が、電力系統PSに供給する最大の電力を超えた発電電力の余剰電力を冷却器22(機能部)に供給可能とし、冷却器22の動作に余剰電力を使用できるようにする。これにより、太陽電池パネル4(発電機)の余剰電力を有効的に活用することができる。
【0029】
この例では、機能部が、変換部12の冷却を行い、変換部12の温度上昇にともなう変換効率の低下を抑制することにより、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させるための冷却器22である。この場合には、余剰電力を用いて変換部12の温度上昇にともなう変換効率の低下を抑制し、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させることができ、余剰電力をより有効的に活用することができる。例えば、電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させることにより、余剰電力を有効的に活用し、発電システム2の売電収益を高めることができる。
【0030】
特に、太陽電池パネル4の発電電力は、日中に大きくなり、変換部12の温度も、日中に高くなる傾向にある。このように、発電機を太陽電池パネル4とし、機能部を冷却器22とした場合には、余剰電力の発生し易い時間帯が、機能部の動作を必要とする時間帯と重なる。従って、余剰電力をより有効的に活用することができる。
【0031】
また、冷却器22においては、例えば、電力系統PS側から電力の供給を受けて変換部12の冷却を行うことにより、変換部12の温度の上昇を抑制することも考えられる。この場合には、変換部12から冷却器22に余剰電力を供給することで、電力系統PS側からの買電量を抑制することができる。これにより、例えば、電力変換装置10における使用環境維持のためのランニングコストを低減させることができる。電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させ、発電システム2の売電収益を高めることができる。
【0032】
分配器18は、例えば、電力系統PS側から受電した電力を冷却器22(機能部)に供給する機能をさらに有してもよい。分配器18は、例えば、変換部12から供給された余剰電力、及び電力系統PSから供給された電力を、冷却器22に対応した所定の大きさの電力に変換し、変換後の電力を冷却器22に供給する構成としてもよい。
【0033】
例えば、電力系統PSの電力を冷却器22に対して直接的に供給し、冷却器22が、分配器18(変換部12)からの余剰電力では不足する分を電力系統PSから受電するように構成してもよい。
【0034】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
なお、上記第1の実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0035】
図2に表したように、発電システム2aの電力変換装置10aでは、分配器18が、太陽電池パネル4と変換部12との間に設けられる。この例において、分配器18は、太陽電池パネル4から供給された直流電力を電力系統PS(変換部12)と冷却器22とに分配する。換言すれば、分配器18は、変換部12によって変換される前の直流電力を電力系統PSと冷却器22とに分配する。
【0036】
このように、分配器18は、変換部12に変換された後の電力を分配してもよいし、変換部12に変換される前の電力を分配してもよい。分配器18の構成は、発電電力を電力系統PSと冷却器22(機能部)とに分配可能な任意の構成でよい。
【0037】
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
図3に表したように、発電システム2bの電力変換装置10bでは、分配器18が、省略されている。電力変換装置10bでは、制御部14が、機能部である冷却器22の動作を制御可能に構成されている。制御部14は、発電電力が電力系統PSに供給する最大の電力以上である場合に、計測器16の計測結果を基に、余剰電力分を冷却器22に消費させるように、冷却器22の動作を制御する。
【0038】
このように、機能部に余剰電力を供給する構成は、分配器18によって分配して供給する構成に限ることなく、余剰電力分を消費させるように機能部の動作を制御することによって供給する構成としてもよい。このように、分配器18は、必要に応じて設けられ、省略可能である。なお、
図3では、変換部12の出力側(電力系統PS側)から機能部である冷却器22に電力を供給しているが、これに限ることなく、
図2に表した例と同様に、変換部12の入力側(太陽電池パネル4側)から機能部である冷却器22に電力を供給してもよい。
【0039】
(第4の実施形態)
図4は、第4の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
図4に表したように、発電システム2cの電力変換装置10cでは、上記各実施形態の冷却器22が、冷却器24に置き換えられている。換言すれば、機能部が、冷却器24に置き換えられている。
【0040】
電力変換装置10cでは、機能部が、筐体20内の空気の冷却を行い、変換部12の温度上昇にともなう変換効率の低下を抑制することにより、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させるための冷却器24である。冷却器24は、例えば、エアーコンディショナや換気扇などである。
【0041】
このように、機能部は、筐体20内の空気の冷却を行う冷却器24でもよい。この場合にも、冷却器22の場合と同様に、余剰電力を用いて変換部12の温度上昇にともなう変換効率の低下を抑制し、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させることができ、余剰電力をより有効的に活用することができる。例えば、電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させることにより、余剰電力を有効的に活用し、発電システム2cの売電収益を高めることができる。
【0042】
発電機を太陽電池パネル4とし、機能部を冷却器24とした場合には、余剰電力の発生し易い時間帯が、機能部の動作を必要とする時間帯と重なり、余剰電力をより有効的に活用することができる。
【0043】
また、冷却器24において、電力系統PS側から電力の供給を受けて筐体20内の空気の冷却を行う場合には、変換部12から冷却器24に余剰電力を供給することで、電力系統PS側からの買電量を抑制することができる。これにより、例えば、電力変換装置10cにおける使用環境維持のためのランニングコストを低減させることができる。電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させ、発電システム2cの売電収益を高めることができる。
【0044】
なお、
図4に表した例では、分配器18で分配して冷却器24に余剰電力を供給している。これに限ることなく、余剰電力分を消費させるように冷却器24の動作を制御することによって、余剰電力を冷却器24に供給する構成としてもよい。また、
図4に表した例では、変換部12の出力側から機能部である冷却器24に電力を供給しているが、これに限ることなく、変換部12の入力側から機能部である冷却器24に電力を供給してもよい。
【0045】
(第5の実施形態)
図5は、第5の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
図5に表したように、発電システム2dでは、電力変換装置10dから機能部が省略され、太陽電池パネル4(発電機)に設けられている。
【0046】
発電システム2d及び電力変換装置10dにおいて、機能部は、太陽電池パネル4の冷却を行い、太陽電池パネル4の温度上昇にともなう発電量の低下を抑制することにより、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させるための冷却器26である。
【0047】
例えば、発電機が太陽電池パネル4である場合には、太陽電池パネル4の温度の上昇に応じて発電効率が低下することが知られている。冷却器26は、太陽電池パネル4の冷却を行い、発電効率の低下を抑制することにより、太陽電池パネル4の発電量の低下を抑制する。冷却器26は、例えば、冷却液を循環させることによって太陽電池パネル4の冷却を行う液冷式の冷却器である。但し、冷却器26は、これに限ることなく、太陽電池パネル4を適切に冷却することが可能な任意の冷却器でよい。
【0048】
このように、機能部は、太陽電池パネル4の冷却を行う冷却器26でもよい。この場合には、余剰電力を用いて太陽電池パネル4の温度上昇にともなう発電量の低下を抑制し、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させることができ、余剰電力をより有効的に活用することができる。例えば、電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させることにより、余剰電力を有効的に活用し、発電システム2dの売電収益を高めることができる。
【0049】
発電機を太陽電池パネル4とし、機能部を冷却器26とした場合には、余剰電力の発生し易い時間帯が、機能部の動作を必要とする時間帯と重なり、余剰電力をより有効的に活用することができる。
【0050】
また、冷却器26において、電力系統PS側から電力の供給を受けて太陽電池パネル4の冷却を行う場合には、変換部12から冷却器26に余剰電力を供給することで、電力系統PS側からの買電量を抑制することができる。電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させ、発電システム2dの売電収益を高めることができる。
【0051】
このように、電力変換装置10dは、必ずしも機能部を備えていなくてもよい。機能部は、発電機側に設けてもよい。変換部12は、発電機に設けられた機能部と接続される構成でもよい。なお、
図5に表した例では、分配器18で分配して冷却器26に余剰電力を供給している。これに限ることなく、余剰電力分を消費させるように冷却器26の動作を制御することによって、余剰電力を冷却器26に供給する構成としてもよい。また、
図5に表した例では、変換部12の出力側から機能部である冷却器26に電力を供給しているが、これに限ることなく、変換部12の入力側から機能部である冷却器26に電力を供給してもよい。
【0052】
冷却器26の用途は、太陽電池パネル4の温度上昇にともなう発電効率の低下を抑制するものに限ることなく、発電機の冷却を行い、発電機の温度上昇にともなう発電量の低下を抑制することにより、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させることが可能な任意の用途でよい。
【0053】
(第6の実施形態)
図6は、第6の実施形態に係る発電システムを模式的に表すブロック図である。
図6に表したように、発電システム2e及び電力変換装置10eでは、太陽電池パネル4(発電機)に設けられた冷却器26が加熱器28に置き換えられている。
【0054】
発電システム2e及び電力変換装置10eにおいて、機能部は、太陽電池パネル4の加熱を行い、太陽電池パネル4の温度の低下にともなう発電量の低下を抑制することにより、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させるための加熱器28である。
【0055】
例えば、発電機が太陽電池パネル4である場合には、太陽電池パネル4の上に積もった雪の影響により、発電量が低下することが知られている。加熱器28は、太陽電池パネル4の加熱を行い、太陽電池パネル4の上に積もった雪を融かす、または、太陽電池パネル4の上に積もった雪の一部を融かして太陽電池パネル4の上から落下させることにより、積雪の影響にともなう太陽電池パネル4の発電量の低下を抑制する。
【0056】
加熱器28は、例えば、ヒータ線を用いたヒータである。但し、加熱器28は、これに限ることなく、太陽電池パネル4を適切に加熱することが可能な任意の加熱器でよい。
【0057】
このように、機能部は、太陽電池パネル4の加熱を行う加熱器28でもよい。この場合には、例えば、余剰電力を用いて太陽電池パネル4の積雪の影響による発電量の低下を抑制し、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させることができ、余剰電力をより有効的に活用することができる。例えば、電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させることにより、余剰電力を有効的に活用し、発電システム2eの売電収益を高めることができる。
【0058】
また、加熱器28において、電力系統PS側から電力の供給を受けて太陽電池パネル4の加熱を行う場合には、変換部12から加熱器28に余剰電力を供給することで、電力系統PS側からの買電量を抑制することができる。電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させ、発電システム2eの売電収益を高めることができる。
【0059】
なお、
図6に表した例では、分配器18で分配して加熱器28に余剰電力を供給している。これに限ることなく、余剰電力分を消費させるように加熱器28の動作を制御することによって、余剰電力を加熱器28に供給する構成としてもよい。また、
図6に表した例では、変換部12の出力側から機能部である加熱器28に電力を供給しているが、これに限ることなく、変換部12の入力側から機能部である加熱器28に電力を供給してもよい。
【0060】
加熱器28の用途は、太陽電池パネル4の積雪の影響による発電量の低下を抑制するものに限ることなく、発電機の加熱を行い、発電機の温度の低下にともなう発電量の低下を抑制することにより、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させることが可能な任意の用途でよい。
【0061】
なお、上記各実施形態は、任意に組み合わせ可能である。発電システムは、例えば、冷却器22、24、26、加熱器28などの複数種類の機能部を備えてもよい。変換部12は、例えば、複数種類の機能部に対して余剰電力を供給してもよい。また、機能部は、上記に限ることなく、変換部12から電力系統PSに供給する電力の総合計を増加させるための機能を有する任意の機能部でよい。例えば、積雪の影響を抑制する機能部は、加熱器28に限ることなく、水やお湯などを撒いて積雪を抑制する融雪装置などでもよい。
【0062】
上記各実施形態では、発電機の一例として太陽電池パネル4を示している。発電機は、太陽電池パネル4に限ることなく、風力発電機や地熱発電機などでもよい。発電機は、発電を行うことが可能な任意の発電機でよい。また、発電機の発電する電力は、直流電力に限ることなく、交流電力などでもよい。変換部12の構成は、発電機から供給された電力を電力系統PSに応じた交流電力に変換し、変換後の交流電力を電力系統PSに供給可能な任意の構成でよい。
【0063】
本実施形態は、以下の態様を含む。
(付記1)
発電機から供給された電力を電力系統に応じた交流電力に変換し、変換後の交流電力を前記電力系統に供給する変換部と、
前記変換部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記変換部は、前記電力系統と接続されるとともに、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための機能を有する機能部と接続され、前記発電機の発電電力が、前記電力系統に供給する最大の電力以上である場合に、前記電力系統に供給する最大の電力を超えた前記発電電力の余剰電力を前記機能部に供給可能とし、前記機能部の動作に前記余剰電力を使用できるようにする電力変換装置。
【0064】
(付記2)
前記発電電力を前記電力系統と前記機能部とに分配できるようにする分配器をさらに備え、
前記変換部は、前記分配器を介して前記機能部と接続され、
前記分配器は、前記発電電力が前記電力系統に供給する最大の電力以上である場合に、前記余剰電力分を前記機能部に分配する付記1記載の電力変換装置。
【0065】
(付記3)
前記発電機の前記発電電力を計測する計測器をさらに備え、
前記制御部は、前記発電電力が前記電力系統に供給する最大の電力以上である場合に、前記計測器の計測結果を基に、前記余剰電力分を前記機能部に消費させるように、前記機能部の動作を制御する付記1記載の電力変換装置。
【0066】
(付記4)
前記機能部は、前記変換部の冷却を行い、前記変換部の温度上昇にともなう変換効率の低下を抑制することにより、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための冷却器である付記1~3のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0067】
(付記5)
前記変換部を収容する筐体をさらに備え、
前記機能部は、前記筐体内の空気の冷却を行い、前記変換部の温度上昇にともなう変換効率の低下を抑制することにより、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための冷却器である付記1~4のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0068】
(付記6)
前記機能部は、前記発電機の冷却を行い、前記発電機の温度上昇にともなう発電量の低下を抑制することにより、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための冷却器である付記1~5のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0069】
(付記7)
前記機能部は、前記発電機の加熱を行い、前記発電機の温度の低下にともなう発電量の低下を抑制することにより、前記変換部から前記電力系統に供給する電力の総合計を増加させるための加熱器である付記1~6のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
2、2a~2e…発電システム、 4…太陽電池パネル、 10、10a~10e…電力変換装置、 12…変換部、 14…制御部、 16…計測器、 18…分配器、 20…筐体、 22…冷却器、 24…冷却器、 26…冷却器、 28…加熱器、 PS…電力系統