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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039894
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】鳥害防止器
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20240315BHJP
   A01M 29/32 20110101ALI20240315BHJP
【FI】
H02G7/00
A01M29/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144614
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000139573
【氏名又は名称】株式会社愛洋産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岸 泰至
【テーマコード(参考)】
2B121
5G367
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BB26
2B121BB32
2B121EA21
2B121FA12
5G367BB11
(57)【要約】
【課題】メッセンジャーワイヤへの取り付け時の安定性及び作業効率を向上させた鳥害防止器を提供する。
【解決手段】鳥害防止器は、メッセンジャーワイヤに取り付けられる取付部を備える。取付部は、第1壁部、第2壁部、連結部及び操作部材を有する。第1壁部は、所定の方向に延びる。第2壁部は、所定の方向に延び、第1壁部よりも下方又は上方に位置する。連結部は、第1壁部と第2壁部とを第1端において連結し、第1壁部及び第2壁部と共にメッセンジャーワイヤを内部に挿入可能な挿入部を構成する。操作部材は、挿入部の挿入口を閉じるために設けられ、連結部に近づく第1方向、及び、連結部から離れる第2方向へ第1壁部及び第2壁部上を移動可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱間に架設されたメッセンジャーワイヤに取り付けて用いられる鳥害防止器であって、
前記メッセンジャーワイヤに取り付け可能に構成された取付部を備え、
前記取付部は、
所定の方向に延びる第1壁部と、
前記所定の方向に延び、前記第1壁部よりも下方又は上方に位置する第2壁部と、
前記第1壁部と前記第2壁部とを第1端において連結し、前記第1壁部及び前記第2壁部と共に前記メッセンジャーワイヤを内部に挿入可能な挿入部を構成する連結部と、
前記第1壁部及び前記第2壁部の第2端に設けられる前記挿入部の挿入口を閉じるために設けられ、前記連結部に近づく第1方向、及び、前記連結部から離れる第2方向へ前記第1壁部及び前記第2壁部上を移動可能な操作部材と、を有する、鳥害防止器。
【請求項2】
請求項1に記載の鳥害防止器であって、
前記第1壁部は、前記第2壁部よりも前記所定の方向の長さが長く設けられ、
前記操作部材は、前記第1壁部に移動可能に支持されるように、前記第1壁部に一体に取り付けられている、鳥害防止器。
【請求項3】
請求項2に記載の鳥害防止器であって、
前記第2壁部は、当該第2壁部から突出する突出片を有し、
前記操作部材は、前記挿入口を閉じる際に、前記突出片と係合するように構成されている、鳥害防止器。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の鳥害防止器であって、
前記第1壁部は、前記第2壁部よりも前記所定の方向の長さが長く設けられ、前記第2壁部よりも上方に位置する、鳥害防止器。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の鳥害防止器であって、
前記第1壁部及び前記第2壁部は、それぞれねじ溝を有し、
前記操作部材は、前記ねじ溝に螺合可能に構成される、鳥害防止器。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の鳥害防止器であって、
前記連結部は、前記挿入部の内部に挿入された前記メッセンジャーワイヤと当接する当接面に、当該当接面から突出する第1突起を有し、
前記操作部材は、前記当接面と対向する対向面に、当該対向面から突出する第2突起を有する、鳥害防止器。
【請求項7】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の鳥害防止器であって、
当該鳥害防止器は、忌避線を前記メッセンジャーワイヤに沿って架けるように構成され、
前記忌避線を前記メッセンジャーワイヤの上方で支持可能に構成された支持部を更に備える、鳥害防止器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メッセンジャーワイヤに取り付けて用いられる鳥害防止器に関する。
【背景技術】
【0002】
鳥類の飛来を防止するため、架空線やメッセンジャーワイヤに取り付けて用いられる鳥害防止器が知られている。この種の鳥害防止器は、架空線やメッセンジャーワイヤの長手方向に沿って所定間隔ごとに複数取り付けられる。
【0003】
特許文献1には、メッセンジャーワイヤを把持する把持部と、忌避線をメッセンジャーワイヤの上方に離隔して架設する細線架設部と、把持部を締結する締結部と、を有する鳥害防止器が開示されている。この鳥害防止器では、把持部を構成する板状の一対の把持部材を互いに接近移動させて、メッセンジャーワイヤを上方から一対の把持部材によって前後方向において挟み込む。そして、締結部によって一対の把持部材を締結することで、鳥害防止器がメッセンジャーワイヤに取り付けられる。その後、鳥害防止器の落下防止のため、メッセンジャーワイヤに掛け回されたひも部材を一対の把持部材に設けられた落下防止用孔を通して繋ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3894330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の鳥害防止器では、特にメッセンジャーワイヤの径が大きい場合、把持部によるメッセンジャーワイヤの挟みづらさが増す。このため、メッセンジャーワイヤの把持部による挟み込みが不安定となりやすい。更に、メッセンジャーワイヤの把持部による挟み込み具合に、作業者によるばらつきが出やすい。このため、メッセンジャーワイヤが把持部によって適切に挟まれていないことによる落下抑制のために、メッセンジャーワイヤが把持部によって適切に挟まれているかを横から目視で確認した後に、把持部を締結部によって締結する必要がある。また、その後、落下防止のためにひも部材によって把持部をメッセンジャーワイヤに縛ることも必要であり、鳥害防止器のメッセンジャーワイヤへの取り付け時の作業効率が悪いという問題があった。
【0006】
本開示の一局面は、メッセンジャーワイヤへの取り付け時の安定性及び作業効率を向上させた鳥害防止器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、電柱間に架設されたメッセンジャーワイヤに取り付けて用いられる鳥害防止器であって、取付部を備える。取付部は、メッセンジャーワイヤに取り付け可能に構成される。取付部は、第1壁部と、第2壁部と、連結部と、操作部材と、を有する。第1壁部は、所定の方向に延びる。第2壁部は、所定の方向に延び、第1壁部よりも下方又は上方に位置する。連結部は、第1壁部と第2壁部とを第1端において連結し、第1壁部及び第2壁部と共にメッセンジャーワイヤを内部に挿入可能な挿入部を構成する。操作部材は、第1壁部及び第2壁部の第2端に設けられる挿入部の挿入口を閉じるために設けられ、連結部に近づく第1方向、及び、連結部から離れる第2方向へ第1壁部及び第2壁部上を移動可能である。
【0008】
このような構成では、挿入口から挿入部内にメッセンジャーワイヤが挿入された後に、操作部材によって挿入口が閉じられる。そして、連結部と操作部材とによりメッセンジャーワイヤが挟まれる位置まで操作部材を第1方向に移動させることで、メッセンジャーワイヤに取付部が固定される。このため、簡易な作業によって、安定して鳥害防止器をメッセンジャーワイヤに取り付けることができる。したがって、メッセンジャーワイヤへの取り付け時の安定性及び作業効率を向上させることができる。
【0009】
本開示の一態様では、第1壁部は、第2壁部よりも所定の方向の長さが長く設けられてもよい。操作部材は、第1壁部に移動可能に支持されるように、第1壁部に一体に取り付けられていてもよい。
【0010】
このような構成によれば、操作部材が2つの壁部のうち長さが長い方の第1壁部に一体に取り付けられている。このため、例えば、鳥害防止器のメッセンジャーワイヤに対する着脱時における操作部材の落下を防ぐことができる。また、メッセンジャーワイヤへの取付部の取り付けの際に、操作部材がメッセンジャーワイヤの挿入口からの挿入の妨げとなりにくく、第1壁部と一体になった状態の操作部材を第1方向へ移動させればよいだけであるため、作業者にとっての使い勝手がよい。
【0011】
本開示の一態様では、第2壁部は、当該第2壁部から突出する突出片を有してもよい。操作部材は、挿入口を閉じる際に、突出片と係合するように構成されていてもよい。このような構成によれば、操作部材が突出片に係合することで、操作部材が第2壁部にも取り付けられて、挿入口が操作部材により閉じられるため、挿入部内に挿入させたメッセンジャーワイヤから鳥害防止器が落下することを抑制することができる。
【0012】
本開示の一態様では、第1壁部は、第2壁部よりも所定の方向の長さが長く設けられ、第2壁部よりも上方に位置してもよい。このような構成では、支持部が取付部の上方にある状態において、一番下方に位置する第2壁部が第1壁部よりも短いため、鳥害防止器の下方から挿入部内にメッセンジャーワイヤを挿入させやすい。このため、メッセンジャーワイヤの上方から鳥害防止器を取り付ける際の作業性を向上させることができる。したがって、メッセンジャーワイヤの下方における作業空間が少ない場合にも、メッセンジャーワイヤに鳥害防止器を容易に取り付けることができる。
【0013】
本開示の一態様では、第1壁部及び第2壁部は、それぞれねじ溝を有してもよい。操作部材は、ねじ溝に螺合可能に構成されてもよい。このような構成によれば、第1壁部及び第2壁部と操作部材とを螺合により容易に結合させることができる。また、操作部材を回転させることで、連結部に対する操作部材の位置が移動するため、連結部と操作部材との間の間隔を自由に調整することできる。その結果、様々な径を有するメッセンジャーワイヤに対して汎用的に、鳥害防止器を使用することが可能である。
【0014】
本開示の一態様では、連結部は、挿入部の内部に挿入されたメッセンジャーワイヤと当接する当接面に、当該当接面から突出する第1突起を有してもよい。操作部材は、当接面と対向する対向面に、当該対向面から突出する第2突起を有してもよい。このような構成によれば、連結部及び操作部材に挟まれた状態において、第1突起及び第2突起によって、メッセンジャーワイヤの挿入部の内部における位置がズレにくい。このため、連結部と操作部材とによるメッセンジャーワイヤの挟み込みを安定させることができる。
【0015】
本開示の一態様は、忌避線をメッセンジャーワイヤに沿って架けるように構成された鳥害防止器であって、忌避線をメッセンジャーワイヤの上方で支持可能に構成された支持部を更に備えてもよい。このような構成によれば、メッセンジャーワイヤの上方に鳥害防止用の忌避線が架けられるため、メッセンジャーワイヤへの鳥類の飛来を忌避線によって抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】メッセンジャーワイヤに取り付けられ、忌避線を支持する状態の鳥害防止器を示す正面図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3】鳥害防止器を左斜め前から見た斜視図である。
図4】鳥害防止器を左斜め後ろから見た斜視図である。
図5】挿入部にメッセンジャーワイヤを挿入させる様子を示す図である。
図6】メッセンジャーワイヤが挿入部内に挿入された状態において、操作部材により挿入口を閉じる様子を示す図である。
図7】第1壁部及び第2壁部に結合した操作部材を第1方向へ移動させる様子を示す図である。
図8】メッセンジャーワイヤに鳥害防止器が取り付けられた状態を示す図である。
図9】鳥害防止用の針状部を有する鳥害防止器を示す斜視図である。
図10図9とは異なる形状の針状部を有する鳥害防止器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
[1-1.鳥害防止器の全体構成]
図1図4に示す鳥害防止器100は、電柱間に架設されたメッセンジャーワイヤ200に取り付けて用いられ、忌避線300をメッセンジャーワイヤ200に沿って架ける装置である。ここでいう忌避線300とは、メッセンジャーワイヤ200の上方にメッセンジャーワイヤ200に沿って設けられる、鳥害防止用の線である。鳥害防止器100は、取付部1と、延出部2と、を備える。
【0018】
以下では、説明の便宜上、上下左右及び前後の方向を用いて構造を説明する。しかしながら、本開示は、使用態様などが上記の方向に限定されることはない。なお、左右方向はメッセンジャーワイヤ200に取り付けた際にメッセンジャーワイヤ200の長さ方向となる方向である。また、忌避線300がメッセンジャーワイヤ200の上側に位置するように配置される。
【0019】
[1-2.取付部]
取付部1は、メッセンジャーワイヤ200に取り付け可能に構成されている。取付部1をメッセンジャーワイヤ200に取り付けることにより、鳥害防止器100のメッセンジャーワイヤ200への取り付けが実現される。取付部1は、挿入部11と、操作部材12と、を備える。
【0020】
<挿入部>
挿入部11は、略U字形状である。本実施形態では、挿入部11において開放されている側を前方とする。挿入部11は、メッセンジャーワイヤ200を内部に挿入可能である。挿入部11は、第1壁部13と、第2壁部14と、連結部15と、を有する。以下の説明では、挿入部11における前方の開放部分を挿入口111と称する。挿入口111は、後述する第1壁部13及び第2壁部14の前方端に設けられる。
【0021】
第1壁部13は、メッセンジャーワイヤ200を上方から覆うように、前後方向に延びる板状の部材である。第1壁部13は、内面131及び外面132を有し、内面131が下方を向いて配置され、外面132が上方を向いて配置される。第1壁部13は、前方端に内面131から突出する図2及び図4に示す第1突出片133を有する。なお、第1壁部13は、左右方向の幅が、後方端から前方端に向かうに従い狭くなるように形成されていてもよいし、一定であってもよい。図示は省略するが、本実施形態では、第1壁部13の前方端の近傍は、第1壁部13の後方端の近傍よりも細く形成されている。
【0022】
第2壁部14は、第1壁部13と上下方向に間隔を空けて並び、メッセンジャーワイヤ200を下方から覆うように、前後方向に延びる板状の部材である。本実施形態では、第2壁部14は、第1壁部13の下方に位置し、第1壁部13と平行に並ぶ。第2壁部14は、内面141及び外面142を有し、内面141が上方を向いて配置され、外面142が下方を向いて配置される。すなわち、第2壁部14の内面141は、第1壁部13の内面131と対向する。本実施形態では、第2壁部14は、第1壁部13よりも前後方向の長さが短い。第2壁部14は、前方端に内面141から突出する図2図4に示す第2突出片143を有する。
【0023】
第1壁部13及び第2壁部14は、それぞれねじ溝134,144を有する。具体的には、第1壁部13は、外面132にねじ溝134を有し、第2壁部14は、外面142にねじ溝144を有する。ねじ溝134,144は、それぞれ左右方向に延びる複数の溝が前後方向に間隔を空けて外面132,142上に並ぶことで構成される。第2壁部14のねじ溝144は、第2壁部14の外面142の全面に設けられる。第1壁部13のねじ溝134は、第1壁部13の外面132の後方端側に設けられる。具体的には、第1壁部13のねじ溝134は、第2壁部14におけるねじ溝144が形成されている部分に対面するように設けられる。
【0024】
連結部15は、第1壁部13と第2壁部14とをそれぞれの後方端において連結する部材である。連結部15の上端からは、第1壁部13が前方に延びており、連結部15の下端からは、第2壁部14が前方に延びている。連結部15は、当該連結部15の上端及び下端よりも中央部分が後方に突出するように曲がった形状を有する。なお、連結部の形状は、これに限定されるものではなく、連結部は真っ直ぐ延びる形状であってもよい。連結部15は、挿入部11内に挿入されたメッセンジャーワイヤ200と当接する面である当接面151に、当該当接面151から突出する図2及び図3に示す複数の第1突起152を有する。なお、当接面には、複数の第1突起が設けられていなくてもよい。
【0025】
<操作部材>
操作部材12は、挿入部11の挿入口111を閉じるために設けられる部材である。操作部材12は、外部部材121と、中間部材122と、内部部材123と、を有する。操作部材12は、外部部材121、中間部材122及び内部部材123が一体に組み合わさることで構成される。
【0026】
外部部材121は、筒状の部材であり、小内径部121aと、小内径部121aよりも内径が大きい大内径部121bと、を有する。小内径部121aは、大内径部121bよりも前方に位置する。すなわち、外部部材121の大内径部121bが挿入部11の挿入口111と対向する。小内径部121a及び大内径部121bは、内面の断面形状が略円形であり、外面の断面形状が六角形である。大内径部121bは、後方端に後方に向かって延び出す少なくとも2つの引掛片121cを有する。
【0027】
中間部材122は、外部部材121の小内径部121aの内径以上の大きさの内径を有する筒状の部材であり、第1壁部13のねじ溝134及び第2壁部14のねじ溝144に螺合するねじ溝122aを内面に有する。中間部材122は、外部部材121の大内径部121bの内径よりも小さい外径を有し、外部部材121の小内径部121aの内径よりも大きい外径を有する小外径部122bと、外部部材121の大内径部121bの内径よりも大きい外径を有する大外径部122cと、を有する。小外径部122bは、大外径部122cよりも前方に位置し、外部部材121の大内径部121b内に挿入される。すなわち、中間部材122の大外径部122cが挿入部11の挿入口111と対向する。中間部材122は、小外径部122bが外部部材121の大内径部121b内に挿入された状態において、大外径部122cが外部部材121の大内径部121bの引掛片121cに引っ掛かる。本実施形態では、大外径部122cの外面に周方向に沿って設けられる突部に、引掛片121cが引っ掛かることによって、中間部材122の外部部材121に対する前後方向の移動が規制される。これにより、中間部材122は、外部部材121に外れないように保持され、かつ、外部部材121に対して周方向における一定の範囲を回転可能に保持されている。
【0028】
内部部材123は、略T字状の部材であり、外部部材121及び中間部材122内に挿入される軸部123aと、軸部123aに直交するように配置される頭部123bと、を有する。軸部123aは、互いに間隔を空けて対向する2つの板部から構成される。当該2つの板部における外面同士の間の長さは、外部部材121の小内径部121aにおける内径の直径よりも短い。軸部123aは、上記2つの板部の前方端にそれぞれ図1に示す引掛片123cを有する。
【0029】
頭部123bは、長方体状の部材であり、軸部123aを構成する2つの板部を後方端において連結する。すなわち、内部部材123の頭部123bが挿入部11の挿入口111と対向する。頭部123bは、軸部123aの2つの板部が並ぶ並び方向の長さが、中間部材122の大外径部122cにおける内径の直径よりも長い。また、頭部123bは、並び方向に直交する直交方向の長さが、第1壁部13の内面131と第2壁部14の内面141との間の距離よりも短い。このため、頭部123bは、直交方向が上下方向となる位置において、挿入部11内に挿入可能である。頭部123bは、直交方向の両端にそれぞれ図2及び図4に示す案内溝123dを有する。案内溝123dは、連結部15の当接面151と対向する頭部123bの対向面123eから当該対向面123eの反対側における面の手前まで延びる。頭部123bは、対向面123eにおいて、垂直方向の両端よりも中央部分が凹むように曲がった形状を有する。なお、頭部の形状は、これに限定されるものではなく、頭部の対向面は平たい形状であってもよい。頭部123bは、対向面123eに、当該対向面123eから突出する図4に示す複数の第2突起123fを有する。なお、対向面には、複数の第2突起が設けられていなくてもよい。
【0030】
内部部材123は、軸部123aが外部部材121及び中間部材122内に挿入された状態において、頭部123bが中間部材122の大外径部122cと当接し、軸部123aの引掛片123cが外部部材121の小内径部121aに引っ掛かる。本実施形態では、小内径部121aの内面に周方向に沿って設けられる突部に、引掛片123cが引っ掛かることによって、内部部材123の外部部材121に対する前後方向の移動が規制される。これにより、内部部材123は、外部部材121及び中間部材122に外れないように保持され、かつ、外部部材121及び中間部材122に対して周方向に回転可能に保持されている。
【0031】
操作部材12には、内部部材123が外部部材121及び中間部材122に上述したように保持された状態において、頭部123bの垂直方向の両端と、中間部材122と、の間に、図2に示す第1隙間124及び第2隙間125が形成される。第1隙間124には、第1壁部13が挿入可能であり、第2隙間125には、第2壁部14が挿入可能である。
【0032】
本実施形態では、図3及び図4に示すように、操作部材12は、第1壁部13に一体に取り付けられている。すなわち、本実施形態の鳥害防止器100では、操作部材12が第1壁部13から外れない構成である。操作部材12は、第1壁部13に、上下左右及び前後方向に移動可能に支持される。具体的には、第1壁部13の第1突出片133を頭部123bの案内溝123dに沿って移動させて、操作部材12に形成される第1隙間124内に、第1壁部13の前方端が挿入される。そして、挿入された後は、第1壁部13の第1突出片133が頭部123bに引っ掛かるように構成されているため、操作部材12が第1壁部13から外れず、操作部材12が第1壁部13と一体となる。このとき、操作部材12と第2壁部14との間には、隙間が保たれているため、挿入口111が開いた状態にある。
【0033】
操作部材12は、挿入部11の挿入口111を閉じて挿入部11と共に環状体を形成する閉位置と、挿入部11の挿入口111が開いた開位置と、の間で移動可能である。操作部材12は、挿入口111を閉じる際に、第2壁部14の第2突出片143と係合する。具体的には、第2壁部14の第2突出片143を頭部123bの案内溝123dに沿って移動させて、操作部材12に形成される第2隙間125内に、第2壁部14の前方端が挿入される。そして、挿入された後は、第2壁部14の第2突出片143が頭部123bに引っ掛かるように構成されているため、挿入口111が閉じられる。このとき、頭部123bは、第1壁部13と第2壁部14との間、すなわち挿入部11内に挿入される。なお、第2突出片143が頭部123bに引っ掛かることによって、操作部材12から第2壁部14は簡単には抜けないため、挿入口111が閉じられた状態が維持されやすい。ただし、第2壁部14が有する第2突出片143は、第1壁部13が有する第1突出片133とは異なり、突出量が小さい。このため、操作部材12に対して、当該操作部材12が閉位置から開位置へ移動する方向(すなわち、操作部材12を挿入部11から引き離す方向)に力が加わると、第2突出片143の頭部123bに対する係合を解除可能である。
【0034】
挿入部11と、操作部材12と、により構成される環状体の内部の空間が、メッセンジャーワイヤ200を挿入することができる取付部1の挿入空間16である。操作部材12が開位置となっているとき、挿入空間16内へのメッセンジャーワイヤ200の出し入れが可能となる。操作部材12が閉位置となっているときには、挿入空間16内へのメッセンジャーワイヤ200の出し入れはできない。
【0035】
操作部材12は、閉位置において更に、連結部15に近づく前後方向に沿った第1方向、及び、連結部15から離れる前後方向に沿った第2方向へ、第1壁部13及び第2壁部14上を移動可能である。具体的には、操作部材12における中間部材122のねじ溝122aが、第1壁部13のねじ溝134及び第2壁部14のねじ溝144に螺合する。このため、操作部材12は、当該操作部材12を前後方向に延びる回転軸Aを中心に回転させることで、第1壁部13及び第2壁部14上を移動する。本実施形態では、回転軸Aを中心に操作部材12を時計回りに回転させることで、操作部材12が第1方向へ移動し、回転軸Aを中心に操作部材12を反時計回りに回転させることで、操作部材12が第2方向へ移動する。
【0036】
以上のように構成された取付部1は、操作部材12が開位置にあるときに、メッセンジャーワイヤ200を挿入空間16に挿入すること、及び、当該挿入空間16から抜き取ることができる。そして、挿入空間16にメッセンジャーワイヤ200が挿入された状態において、操作部材12を閉位置とし、操作部材12を回転操作により第1方向へ移動させる。そして、連結部15と操作部材12の頭部123bとの間にメッセンジャーワイヤ200が挟まれて、鳥害防止器100がメッセンジャーワイヤ200に固定される。
【0037】
[1-3.延出部]
延出部2は、忌避線300を支持可能に構成されている。延出部2は、取付部1から上方に延びるように設けられる。具体的には、延出部2は、第1壁部13及び第2壁部14に略垂直に交差するように、取付部1の連結部15から上方に延び出す。本実施形態では、延出部2と取付部1とがL字状に接続される。なお、延出部は、第1壁部13及び第2壁部14に対して、90°となる角度以外の角度で交差してもよい。延出部2は、一対の側壁21を備える。側壁21は、上下方向に細長い平板形状であって、互いに対向するように左右に並べて配置されており、上方端において繋がっている。
【0038】
延出部2の上下方向の上方部分には、メッセンジャーワイヤ200から距離を空けた位置で忌避線300をメッセンジャーワイヤ200の上方で支持する支持部22が設けられている。支持部22は、固定具221と、開口部222と、2つの忌避線係止部223と、を有する。
【0039】
固定具221は、左右方向に沿った回転軸Bに対して回転可能に支持されている。回転軸Bは、開口部222の内部に設けられている。開口部222は、上下方向に細長い長方形状であり、鳥害防止器100の前後方向に開口している部分である。
【0040】
固定具221は、忌避線300を固定する際に操作される。固定具221は、主たる部分が開口部222の内部に収まる折畳位置に位置するとき、延出部2に対して係止される。
【0041】
忌避線係止部223は、一対の側壁21それぞれに設けられた切欠きであり、左右に並ぶ当該切欠きに忌避線300を引っかけることによって、忌避線300を支持部22に左右方向に沿って通すことが可能に構成される。忌避線係止部223は、一対の側壁21それぞれに2つ設けられる。2つの忌避線係止部223のうち、1つは回転軸Bの上方に位置し、もう1つは回転軸Bの下方に位置する。2つの忌避線係止部223のうちいずれか一方を通るように忌避線300を配置した後、固定具221を適切な折畳位置に移動させることで、忌避線300が鳥害防止器100に固定される。
【0042】
延出部2の上方端には、貫通孔である保持孔23が設けられる。保持孔23は、図示を省略するが、束ねた状態の忌避線300を挿入可能であって、挿入された忌避線300を保持可能に構成されている。
【0043】
[2.鳥害防止器のメッセンジャーワイヤへの取り付け方法]
次に、鳥害防止器100をメッセンジャーワイヤ200に取り付ける方法について、図5図8を用いて説明する。
【0044】
作業者は、図5に示すように、操作部材12が開位置にある状態おいて、挿入口111から挿入部11内にメッセンジャーワイヤ200を矢印の方向に通す。
次に、作業者は、図6に示すように、操作部材12の内部部材123における頭部123bが、連結部15と対向する状態において、操作部材12を第1壁部13上に第1方向(図6における矢印の方向)へ移動させる。そして、作業者は、内部部材123の頭部123bを第1壁部13と第2壁部14との間に挿入させつつ、第2壁部14の第2突出片143を頭部123bの案内溝123dに沿って移動させて、第2壁部14の前方端を操作部材12に形成される第2隙間125内に挿入させる。これにより、第2壁部14の第2突出片143を内部部材123の頭部123bに係合させる。上述したように操作部材12を挿入部11に対して移動させて、操作部材12を図7に示す閉位置にある状態にして、メッセンジャーワイヤ200を挿入空間16に閉じ込める。
【0045】
その後、作業者は、図7に示すように、回転軸Aを中心に矢印に示す方向に操作部材12を回転して操作部材12を第1方向へ移動させることで、挿入空間16の前後方向の長さを狭める。そして、図8に示すように、連結部15の当接面151と頭部123bの対向面123eとの間にメッセンジャーワイヤ200を挟んで保持させ、鳥害防止器100をメッセンジャーワイヤ200に固定する。本実施形態では、操作部材12が第1方向に手締め等により進められ、延出部2がメッセンジャーワイヤ200に対して鉛直方向上方に延び出すように鳥害防止器100が仮固定させる。その後、締付工具を用いて、更に操作部材12を回転させることで操作部材12による締め付けを強くして、鳥害防止器100のメッセンジャーワイヤ200への固定が完了する。
【0046】
図示は省略するが、上述したように鳥害防止器100をメッセンジャーワイヤ200へ固定した後、作業者は、忌避線係止部223を通るように忌避線300を配置させる。そして、作業者は、固定具221を適切な折畳位置に移動させて、忌避線300の支持部22への固定を完了させる。
【0047】
なお、メッセンジャーワイヤ200へ固定された鳥害防止器100をメッセンジャーワイヤ200から取り外す際には、作業者は、回転軸Aを中心に操作部材12を回転させて当該操作部材12を第2方向へ移動させる。そして、作業者は、操作部材12に対して、当該操作部材12を挿入部11から引き離す方向に力を加えることで、第2壁部14の第2突出片143の頭部123bに対する係合を解除して、操作部材12を開位置へ移動させる。その後、挿入部11の挿入空間16からメッセンジャーワイヤ200を抜き出すことで、鳥害防止器100をメッセンジャーワイヤ200から取り外すことが可能である。
【0048】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)本実施形態では、操作部材12が開位置にある状態において、挿入口111から挿入部11内にメッセンジャーワイヤ200が挿入され後に、操作部材12を閉位置に移動させて挿入口111が閉じられる。そして、連結部15と操作部材12とによりメッセンジャーワイヤ200が挟まれる位置まで操作部材12を第1方向に移動させることで、メッセンジャーワイヤ200に取付部1が固定される。これにより、挿入部11の挿入空間16に位置するメッセンジャーワイヤの上下方向への移動が第1壁部13及び第2壁部14により規制され、挿入部11の挿入空間16に位置するメッセンジャーワイヤ200の前後方向への移動が連結部15及び操作部材12により規制される。このため、簡易な作業によって、安定して鳥害防止器100をメッセンジャーワイヤ200に取り付けることができる。すなわち、上述した特許文献1の構成と比較して、メッセンジャーワイヤ200の径に関わらずメッセンジャーワイヤ200の挟み込みが安定しやすく、挟み込みを横から目視したり、落下防止のためにひも部材により縛ったりする必要がないため、作業効率はよくなる。したがって、メッセンジャーワイヤ200への取り付け時の安定性及び作業効率を向上させることができる。
【0049】
(3b)本実施形態では、操作部材12が第1壁部13に一体に取り付けられているため、例えば、鳥害防止器100のメッセンジャーワイヤ200に対する着脱時における操作部材12の落下を防いだり、操作部材12の紛失を抑制したりすることができる。また、操作部材12が、長さが長い第1壁部13と一体に取り付けられている。このため、メッセンジャーワイヤ200への取付部1の取り付けの際に、操作部材12がメッセンジャーワイヤ200の挿入口111からの挿入の妨げとなりにくく、第1壁部13と一体になった状態の操作部材12を第1方向へ移動させればよいだけであるため、作業者にとっての使い勝手がよい。
【0050】
(3c)本実施形態では、操作部材12における内部部材123の頭部123bを、第2壁部14の第2突出片143に係合させて、操作部材12を閉位置に移動させる。これにより、挿入部11の挿入口111が操作部材12によって閉じられた状態が維持されやすい。このため、操作部材12が閉位置にある状態では、挿入部11の挿入空間16に挿入させたメッセンジャーワイヤ200から鳥害防止器100が落下することを抑制することができる。
【0051】
(3d)メッセンジャーワイヤ200の下方の近い位置には、架空線が当該メッセンジャーワイヤ200に沿って架かっていることが多く、メッセンジャーワイヤ200の下方では、当該鳥害防止器100を取り付けるための作業空間が狭い場合がある。本実施形態では、延出部2が上方を向いた状態において、一番下方に位置する第2壁部14が第1壁部13よりも短いため、鳥害防止器100の下方から挿入部11内にメッセンジャーワイヤ200を挿入させやすい。このため、メッセンジャーワイヤ200の上方から鳥害防止器100を取り付ける際の作業性を向上させることができる。また、第1壁部13及び第2壁部14が前後方向に延び、操作部材12が第1壁部13及び第2壁部14上を前後方向(第1方向及び第2方向)に移動するため、取付部1をメッセンジャーワイヤ200に取り付ける、又は、取り外す際に、取付部1の下方の作業空間は広くなくてもよい。したがって、本実施形態の鳥害防止器100では、メッセンジャーワイヤ200の下方における作業空間が少ない場合にも、メッセンジャーワイヤ200に当該鳥害防止器100を容易に取り付けることができる。
【0052】
(3e)本実施形態では、操作部材12が第1壁部13及び第2壁部14と螺合可能に構成されているため、第1壁部13及び第2壁部14と操作部材12とを容易に結合させることができる。また、操作部材12を回転させることで、連結部15に対する操作部材12の位置が移動するため、操作部材12の位置調整がしやすく、連結部15と操作部材12との間の間隔を自由に調整することできる。その結果、様々な径を有するメッセンジャーワイヤ200に対して汎用的に、鳥害防止器100を使用することが可能である。
【0053】
(3f)本実施形態では、連結部15が、中央部分が後方に突出するように曲がった形状を有し、かつ、操作部材12における内部部材123の頭部123bが、対向面123eにおいて、中央部分が凹むように曲がった形状を有する。これにより、連結部15の当接面151と、頭部123bの対向面123eと、をメッセンジャーワイヤ200の外周面に適合させることができる。その結果、連結部15と操作部材12とによるメッセンジャーワイヤ200の挟み込みを安定させることができる。更に、連結部15が当接面151に複数の第1突起152を有し、頭部123bが対向面123eに複数の第2突起123fを有する。これにより、連結部15及び操作部材12に挟まれた状態において、複数の第1突起152及び複数の第2突起123fによって、メッセンジャーワイヤ200の挿入空間16内の位置がズレにくい。このため、連結部15と操作部材12とによるメッセンジャーワイヤ200の挟み込みを更に安定させることができる。
【0054】
なお、本実施形態では、前後方向が所定の方向の一例に相当し、後方端が第1端の一例に相当し、前方端が第2端の一例に相当し、第2突出片143が突出片の一例に相当する。
【0055】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0056】
(4a)上記実施形態では、メッセンジャーワイヤ200の上方を覆う第1壁部13の前後方向の長さが、メッセンジャーワイヤ200の下方を覆う第2壁部14の前後方向の長さよりも長く設けられている。しかし、例えば、第1壁部の前後方向の長さは、第2壁部の前後方向の長さよりも短くてもよい。この場合、操作部材12は、前後方向の長さが長い第2壁部に一体に設けられていてもよい。また、例えば、第1壁部の前後方向の長さは、第2壁部の前後方向の長さと同じであってもよい。この場合、操作部材12は、第1壁部及び第2壁部の何れか一方に一体に設けられていてもよい。
【0057】
(4b)上記実施形態では、操作部材12が挿入部11の第1壁部13に一体に設けられていたが、操作部材は、挿入部とは分離可能な別部品であってもよい。
【0058】
(4c)上記実施形態では、延出部2と取付部1とがL字状に接続され、第1壁部13及び第2壁部14が延出部2に対して略垂直に交差するように延び出している。しかし、例えば、延出部に対して、第1壁部及び第2壁部が90°以上又は90°以下となる角度で交差するように延び出していてもよい。
【0059】
(4d)上記実施形態では、第1壁部13及び第2壁部14が平行に並ぶ構成であったが、第1壁部及び第2壁部の配置はこれに限定されるものではない。例えば、第1壁部及び第2壁部は、当該第1壁部の内面と当該第2壁部の内面との間の間隔が、後方から前方に向かうに従い狭くなる、又は、後方から前方に向かうに従い広くなるように配置されていてもよい。
【0060】
(4e)上記実施形態では、第2壁部14が第2突出片143を有していたが、第2壁部は第2突出片を有しなくてもよい。この場合、第2壁部を操作部材12に形成される第2隙間125内に挿入させて、操作部材12を回転させることで、操作部材12を開位置から閉位置に移動させる。
【0061】
(4f)上記実施形態では、操作部材12が第1壁部13及び第2壁部14に螺合可能に構成されていたが、操作部材を第1壁部及び第2壁部に結合させる方法はこれに限定されるものではない。例えば、第1壁部、第2壁部及び操作部材がねじ溝等を有しない構成において、操作部材を第1方向へ第1壁部及び第2壁部上を移動させてメッセンジャーワイヤ200を挟み込んだ後、操作部材の位置を固定する固定機構を取付部が有してもよい。また、例えば、第1壁部及び第2壁部が、それぞれの外面に前後方向の所定の位置に間隔を空けて並ぶ複数の凹部、凸部、貫通孔等を有し、操作部材が所定の位置において当該凹部、凸部、貫通孔等に嵌合するように構成されていてもよい。
【0062】
(4g)上記実施形態では、忌避線300をメッセンジャーワイヤ200の上方で支持する支持部22が設けられる鳥害防止器100の構成を例示したが、鳥害防止器の構成はこれに限定されるものではない。例えば、鳥害防止器は、支持部22を有しない構成、すなわち忌避線300を支持しない構成において、鳥害防止を実現する様々な形態の鳥害防止機構が設けられる構成であってもよい。
【0063】
また、例えば、図9に示すように、鳥害防止器100aは、取付部1から上方に延びるように設けられた延出部2aの上方部分に、針状部3を備えてもよい。延出部2aは、互いに対向するように左右に位置する一対の側壁21aを有する。針状部3は、メッセンジャーワイヤ200に沿って延びる棒状の部材である。針状部3は、一対の側壁21aのそれぞれから左方又は右方に延び出し、延出部2aと一体であってもよい。また、針状部3は、延出部2aとは別部材であって、一対の側壁21aを貫通可能に構成されており、当該貫通した状態で延出部2aに固定されていてもよい。これにより、メッセンジャーワイヤ200の上方に鳥害防止を実現する針状部3が位置するため、メッセンジャーワイヤ200への鳥類の飛来を針状部3によって抑制することができる。
【0064】
上述した針状部3の形状は、上記形状に限定されるものではない。例えば、図10に示すように、鳥害防止器100bは、第1棒状部31及び複数の第2棒状部32を有する針状部3bを備えてもよい。第1棒状部31は、メッセンジャーワイヤ200に沿って延びる棒状の部分である。複数の第2棒状部32は、第1棒状部31から延び出す棒状の部分である。図10に示す例では、4つの第2棒状部32が、互いに間隔を空けて第1棒状部31上に位置し、第1棒状部31から上方に向かって突出している。なお、第2棒状部の数、及び、第2棒状部の第1棒状部から延び出す方向は、これに限定されるものではない。
【0065】
(4h)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0066】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
電柱間に架設されたメッセンジャーワイヤに取り付けて用いられる鳥害防止器であって、
前記メッセンジャーワイヤに取り付け可能に構成された取付部を備え、
前記取付部は、
所定の方向に延びる第1壁部と、
前記所定の方向に延び、前記第1壁部よりも下方又は上方に位置する第2壁部と、
前記第1壁部と前記第2壁部とを第1端において連結し、前記第1壁部及び前記第2壁部と共に前記メッセンジャーワイヤを内部に挿入可能な挿入部を構成する連結部と、
前記第1壁部及び前記第2壁部の第2端に設けられる前記挿入部の挿入口を閉じるために設けられ、前記連結部に近づく第1方向、及び、前記連結部から離れる第2方向へ前記第1壁部及び前記第2壁部上を移動可能な操作部材と、を有する、鳥害防止器。
【0067】
[項目2]
項目1に記載の鳥害防止器であって、
前記第1壁部は、前記第2壁部よりも前記所定の方向の長さが長く設けられ、
前記操作部材は、前記第1壁部に移動可能に支持されるように、前記第1壁部に一体に取り付けられている、鳥害防止器。
【0068】
[項目3]
項目2に記載の鳥害防止器であって、
前記第2壁部は、当該第2壁部から突出する突出片を有し、
前記操作部材は、前記挿入口を閉じる際に、前記突出片と係合するように構成されている、鳥害防止器。
【0069】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載の鳥害防止器であって、
前記第1壁部は、前記第2壁部よりも前記所定の方向の長さが長く設けられ、前記第2壁部よりも上方に位置する、鳥害防止器。
【0070】
[項目5]
項目1から項目4までのいずれか1項に記載の鳥害防止器であって、
前記第1壁部及び前記第2壁部は、それぞれねじ溝を有し、
前記操作部材は、前記ねじ溝に螺合可能に構成される、鳥害防止器。
【0071】
[項目6]
項目1から項目5までのいずれか1項に記載の鳥害防止器であって、
前記連結部は、前記挿入部の内部に挿入された前記メッセンジャーワイヤと当接する当接面に、当該当接面から突出する第1突起を有し、
前記操作部材は、前記当接面と対向する対向面に、当該対向面から突出する第2突起を有する、鳥害防止器。
【0072】
[項目7]
項目1から項目6までのいずれか1項に記載の鳥害防止器であって、
当該鳥害防止器は、忌避線を前記メッセンジャーワイヤに沿って架けるように構成され、
前記忌避線を前記メッセンジャーワイヤの上方で支持可能に構成された支持部を更に備える、鳥害防止器。
【符号の説明】
【0073】
1…取付部、2,2a…延出部、3,3b…針状部、11…挿入部、12…操作部材、13…第1壁部、14…第2壁部、15…連結部、16…挿入空間、21,21a…側壁、22…支持部、23…保持孔、31…第1棒状部、32…第2棒状部、100,100a,100b…鳥害防止器、111…挿入口、121…外部部材、121a…小内径部、121b…大内径部、121c,123c…引掛片、122…中間部材、122a,134,144…ねじ溝、122b…小外径部、122c…大外径部、123…内部部材、123a…軸部、123b…頭部、123d…案内溝、123e…対向面、123f…第2突起、124…第1隙間、125…第2隙間、131,141…内面、132,142…外面、133…第1突出片、143…第2突出片、151…当接面、152…第1突起、200…メッセンジャーワイヤ、221…固定具、222…開口部、223…忌避線係止部、300…忌避線、A,B…回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10