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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039895
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】簡易クリーンルーム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240315BHJP
   E04H 5/02 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
F24F7/06 C
E04H5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144615
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】391020056
【氏名又は名称】小松電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】小松 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】堀江 好明
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BF05
3L058BF09
3L058BG03
3L058BG05
(57)【要約】
【課題】出入りをスムーズに行い、極力当該クリーンルームに飛翔虫や塵埃等の異物を侵入させない簡易クリーンルームを提供すること。
【解決手段】建築物100の屋内空間に設けられる簡易クリーンルーム200であって、簡易クリーンルーム200の各入隅201に配置される自立式のシートシャッター1である第一シートシャッター7と、簡易クリーンルーム200の外周を架空するようにシートシャッター1の上端5に固定される長尺な第一桁部材19と、第一シートシャッター7及び第一桁部材19に掛けられ第一シートシャッター7とで簡易クリーンルーム200の内部203を気密する第一シート部材26と、簡易クリーンルーム200の内部203と外部204とに繋がり簡易クリーンルーム200の内部203が陽圧状態となるように空気を供給する空調設備10と、を備えることを特徴とする簡易クリーンルーム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の屋内空間に設けられる簡易クリーンルームであって、
前記簡易クリーンルームの各入隅に配置される自立式のシートシャッターである第一シートシャッターと、前記簡易クリーンルームの外周を架空するように前記シートシャッターの上端に固定される長尺な第一桁部材と、前記第一シートシャッター及び第一桁部材に掛けられ前記第一シートシャッターとで前記簡易クリーンルームの内部を気密する第一シート部材と、前記簡易クリーンルームの内部と外部とに繋がり前記簡易クリーンルームの内部が陽圧状態となるように空気を供給する空調設備と、を備えることを特徴とする簡易クリーンルーム。
【請求項2】
前記第一シートシャッターは、当該第一シートシャッターの上端の第一シート部材が掛からない箇所に一端が固定され、前記建築物の構造躯体又は当該第一シートシャッターが載置される床に他端が固定される複数の長尺な第一支持部材によって支持されることを特徴とする請求項1に記載の簡易クリーンルーム。
【請求項3】
前記簡易クリーンルームは、任意の前記第一シートシャッターと、当該第一シートシャッターに間隔を空けて対面し前記簡易クリーンルームの内部に配置される自立式のシートシャッターである第二シートシャッターと、の間の空間に形成される風除室を有し、
前記簡易クリーンルームの内部を架空するように当該第一シートシャッターの上端と、前記第二シートシャッターの上端と、に長尺な第二桁部材が固定され、前記簡易クリーンルームの内部で当該第一シートシャッターと前記第二シートシャッターと前記第一桁部材と前記第二桁部材とに掛けられ、当該第一シートシャッターと当該第二シートシャッターとで当該風除室の内部を気密する第二シート部材を備えることを特徴とする請求項2に記載の簡易クリーンルーム。
【請求項4】
前記風除室の前記第一シートシャッターが開いているときは前記第二シートシャッターを開くことを不可能とし、前記第二シートシャッターが開いているときは前記風除室の前記第一シートシャッターを開くことを不可能とするインターロック機能を備えることを特徴とする請求項3に記載の簡易クリーンルーム。
【請求項5】
前記空調設備は、側面に複数の排気口を有し前記簡易クリーンルームの中央に立設する長尺な管状のセンターポールと、前記センターポールの上端に固定され前記センターポールに空気を供給する空気清浄機と、前記簡易クリーンルームの外部に配置され前記空気清浄機に繋がり前記空気清浄機に空気を供給するエアーコンプレッサーと、を有し、
前記空気清浄機は、一端が当該空気清浄機に固定され他端が前記簡易クリーンルームの上方に架かる前記建築物の前記構造躯体に固定される長尺な第二支持部材によって支持されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の簡易クリーンルーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場や倉庫などの建築物の屋内空間に簡易に設けられ、内部を清潔に保つ簡易クリーンルームに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界の経済情勢の変動により、工場閉鎖に伴う空き工場や空き倉庫、空き店舗などが多くなっている傾向にある。一方、世界の紛争危機の影響なども受けて、食料供給不足、電子部品などの供給不足なども深刻な問題として地方創生の一環としてその解決が望まれている。本発明は、これらの背景をきっかけとして創案されたものであり、空き工場や空き倉庫などを自立式のシートシャッターを有効に活用して簡易クリーンルームを形成するものである。
【0003】
従来、工場などの建築物の屋内空間に簡易的に設けられる簡易クリーンルームとして、特許文献1及び特許文献2に記載される簡易クリーンルームが知られている。特許文献1に記載の簡易クリーンルームは施設のレールを利用し、施設の上部に設置されている所定の長さのレールに対して、レールの長手方向に直交するように2本の支持杆を所定の間隔を開けて配置し、両支持杆とレールの上面側にシートを取り付け、また、両支持杆の一端側・他端側のそれぞれに、レールの長手方向に沿うようにシートを取り付け、さらに、個々の支持杆の側面に、それぞれシートを取り付けて形成される簡易クリーンルームである。
【0004】
そして、特許文献2に記載の簡易クリーンルームは分解可能なボックス型フレームと、このボックス型フレームの全体を覆う透明もしくは半透明状プラスチックシートと、前記フレームに着脱可能に装着され、かつ除塵フィルタを備えた送風装置とからなり、プラスチックシートに出入口となるファスナ8が取付けられる簡易クリーンルームである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-180964号公報
【特許文献2】実全昭62-029035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クリーンルームは内部を気密にして形成され、空調設備によって常に内部が清潔に保たれている。従って、クリーンルームへの出入りはスムーズに行い当該クリーンルームに塵埃等の異物を侵入させないことが重要である。しかし、建築物の内部に設けられる簡易クリーンルームはフレーム(骨組み)にビニールシート等を掛けて簡易に形成されるため、出入りの際の異物の侵入に配慮することが困難である。
【0007】
例えば、特許文献1の簡易クリーンルームでは出入口について言及されていないため、当該簡易クリーンルームへの出入りはシートの裾を手で持ち上げて潜り込むように出入りすると推測される。このような出入りの方法では、シートを大きく揺らすことになり、持ち上げたシート周辺の当該簡易クリーンルームの外部の空気が大量に当該簡易クリーンルームの内部に侵入することになる。
【0008】
また、特許文献2の簡易クリーンルームへの出入りはプラスチックシートのファスナーを開き操作して、プラスチックシートを左右に開き出入りする。このような出入りの方法も、プラスチックシートを大きく揺らすことになり、左右に開いたプラスチックシート周辺の当該簡易クリーンルームの外部の空気が大量に当該簡易クリーンルームの内部に侵入することになる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、建築物の内部に設けられる簡易クリーンルームであり、当該簡易クリーンルームの出入りをスムーズに行い、極力当該クリーンルームに飛翔虫や塵埃等の異物を侵入させない簡易クリーンルームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に掛かる簡易クリーンルームは、建築物の屋内空間に設けられる簡易クリーンルームであって、前記簡易クリーンルームの各入隅に配置される自立式のシートシャッターである第一シートシャッターと、前記簡易クリーンルームの外周を架空するように前記シートシャッターの上端に固定される長尺な第一桁部材と、前記第一シートシャッター及び第一桁部材に掛けられ前記第一シートシャッターとで前記簡易クリーンルームの内部を気密する第一シート部材と、前記簡易クリーンルームの内部と外部とに繋がり前記簡易クリーンルームの内部が陽圧状態となるように空気を供給する空調設備と、を備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記第一シートシャッターは、当該第一シートシャッターの上端の第一シート部材が掛からない箇所に一端が固定され、前記建築物の構造躯体又は当該第一シートシャッターが載置される床に他端が固定される複数の長尺な第一支持部材によって支持されることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記簡易クリーンルームは、任意の前記第一シートシャッターと、当該第一シートシャッターに間隔を空けて対面し前記簡易クリーンルームの内部に配置される自立式のシートシャッターである第二シートシャッターと、の間の空間に形成される風除室を有し、前記簡易クリーンルームの内部を架空するように当該第一シートシャッターの上端と、前記第二シートシャッターの上端と、に長尺な第二桁部材が固定され、前記簡易クリーンルームの内部で当該第一シートシャッターと前記第二シートシャッターと前記第一桁部材と前記第二桁部材とに掛けられ、当該第一シートシャッターと当該第二シートシャッターとで当該風除室の内部を気密する第二シート部材を備えることを特徴とする。
【0013】
さらに、前記風除室の前記第一シートシャッターが開いているときは前記第二シートシャッターを開くことを不可能とし、前記第二シートシャッターが開いているときは前記風除室の前記第一シートシャッターを開くことを不可能とするインターロック機能を備えることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記空調設備は、側面に複数の排気口を有し前記簡易クリーンルームの中央に立設する長尺な管状のセンターポールと、前記センターポールの上端に固定され前記センターポールに空気を供給する空気清浄機と、前記簡易クリーンルームの外部に配置され前記空気清浄機に繋がり前記空気清浄機に空気を供給するエアーコンプレッサーと、を有し、前記空気清浄機は、一端が当該空気清浄機に固定され他端が前記簡易クリーンルームの上方に架かる前記建築物の前記構造躯体に固定される長尺な第二支持部材によって支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る簡易クリーンルームによると、当該簡易クリーンルームの出入口として、上方に開放する開閉式のシートシャッターを備えるため、シートを揺らすことなく当該簡易クリーンルームへの出入りができ、飛翔虫や塵埃等の異物が簡易クリーンルームの内部に侵入することを極力抑えることができる。また、自立式のシートシャッターを用いることでシートシャッターを取付けるための壁面等を用意する必要がなく、さらに、当該簡易クリーンルームの各入隅に配置されるシートシャッターを簡易クリーンルームの骨組みの柱材として利用することで、当該簡易クリーンルームの骨組みを簡素化できる。
【0016】
第一シートシャッターの上端を第一支持部材によって支持させることで、第一シートシャッターの安定性を増すことができる。
【0017】
さらに、風除室を設けることで簡易クリーンルーム内部への飛翔虫や塵埃等の異物の侵入を大幅に阻止することができる。
【0018】
さらに、インターロック機能により、風除室の第一シートシャッターと第二シートシャッターとのどちらか一方が開いているときに他方を開くことを不可能としているため、風除室を通って簡易クリーンルームに出入りする場合、簡易クリーンルーム内部への飛翔虫や塵埃等の異物の侵入を大幅に阻止することができる。
【0019】
さらに、空気清浄機を備えた空調設備によって、簡易クリーンルーム内部に清潔な空気を供給し、簡易クリーンルーム内部を衛生的な陽圧状態にして清潔空間に維持することができ、簡易クリーンルームの外部の飛翔虫や塵埃等の異物を含む空気が隙間風等によって簡易クリーンルーム内部へ侵入することを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る簡易クリーンルームの骨組みを示す平面図である。
図2図1のA―A線の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る簡易クリーンルームの骨組みを示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る簡易クリーンルームの風除室を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る簡易クリーンルームを示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る簡易クリーンルームを図2と同じ画角で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る簡易クリーンルーム200について、以下、図面を参照しつつ説明する。ただし、以下はあくまで本発明の一実施形態を例示的に示すものであり、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0022】
本実施形態に係る簡易クリーンルーム200は、工場や倉庫などの建築物100の屋内空間に設けられ、外周が方形であり空調設備10と、風除室300と、を備える簡易クリーンルーム200である。初めに、図1及び図3に示すように、4つの自立式のシートシャッター1である第一シートシャッター7が簡易クリーンルーム200の4つの入隅201に位置するように配置される。各第一シートシャッター7の正面が向く方向は任意に決めることができる。
【0023】
そして、図1及び図3に示すように、長尺なLアングルである4つの第一桁部材17が簡易クリーンルーム200の外周を架空するように第一シートシャッター7の夫々の上端5に固定されることで、4つの第一シートシャッター7を互いに固定し且つ簡易クリーンルーム200の骨組みを形成する。
【0024】
ここで、自立式のシートシャッター1について説明する。自立式のシートシャッター1は、図3に示すように、鉛直方向に延びる図示しないガイドレールを互いに向かい合う側面に有する2つの立設する柱部2と、2つの柱部2の上端に架空されるシート収納部3と、シート収納部3に収納され、2つの柱部2の夫々のガイドレールに沿って下方に展開することで2つの柱部2及びシート収納部3に囲われる位置を閉じることが可能なシート4と、を備え、2つの柱部2によって当該シートシャッター1単体で立設させることができるものである。
【0025】
この自立式のシートシャッター1は、横方向の開口幅が1メートル前後の小型のものから、中型、大型、10メートル前後の開口幅を持つ超大型のものがあり、図面では図示を省略しているが、人の出入り専用のところは小型、材料の出入りのところは中型、大型、そして設備機器の出入りのところには超大型のものを配置するようにしても良い。
【0026】
図2図1のA―A線の断面図であり、図1では図示していない簡易クリーンルーム200の周辺についても図示している。図2に示すように、第一シートシャッター7はその上端5に長尺なワイヤー又はボルトである第一支持部材19の一端20を固定するための固定金具6を備える。そして、第一支持部材19の一端20が第一シートシャッター7の上端5の固定金具6にボルトとナットとである図示しない固定手段によって固定され、第一支持部材19の他端21が梁である建築物100の構造躯体101又は簡易クリーンルーム200が配置される床102にボルトとナット又はアンカーボルト等である図示しない固定手段によって固定され、第一支持部材19はその中間に備えるターンバックルである張力調整部材25によって、当該第一支持部材19の張力を適切に調整する。1つの第一シートシャッター7には2つの第一支持部材19が固定され、2つの第一支持部材19の張力によって第一シートシャッター7の上端5が異なる方向に引っ張れることで、第一シートシャッター7の安定性を増すことができる。
【0027】
図2では、第一シートシャッター7の上端5に単一の固定金具6を設けているが、第一シートシャッター7の上端5の左右に分けて固定金具6を配置しても良い。基本的には第一シートシャッター7は左右方向には幅広く倒れにくく、前後方向には幅狭くて倒れやすい傾向にあり、第一支持部材19は、第一シートシャッター7の前後方向に沿う形態で支持させることにより、倒立を防ぐ方向での安定性を増している。尚、第一支持部材19の一端を簡易クリーンルーム200が配置される床102に止める図示と説明をしているが、歩行の障害などある場合には床止のものは省略しても良い。
【0028】
次に、空調設備10を設置する。空調設備10は、図2に示すように、側面に複数の排気口12を有する長尺な管状で簡易クリーンルーム200の中央に立設されるセンターポール11と、センターポール11の上端に固定されセンターポール11に浄化した空気を供給する空気清浄機14と、簡易クリーンルーム200の外部204に配置されダクト15によって空気清浄機14に繋がり空気清浄機14に空気を供給するエアーコンプレッサー16と、を備え、空気清浄機14は、センターポール11に下方から支持され、且つ、一端23が空気清浄機14の上端に固定され他端24が梁である建築物100の構造躯体101に固定される長尺なワイヤー又はボルトである第二支持部材22によって上方から支持されることで安定する。尚、第二支持部材22はその中間に備えるターンバックルである張力調整部材25によって、当該第二支持部材22の張力を適切に調整する。
【0029】
次に、1つの風除室300を設ける。風除室300は、図1及び図3に示すように、風除室300を形成するための自立式のシートシャッター1である第二シートシャッター9が、4つの第一シートシャッター7のうち任意の1つの第一シートシャッター8に間隔を空けて対面し、且つ、簡易クリーンルーム200の外周に沿うように簡易クリーンルーム200の内部203に配置される。このとき、当該第一シートシャッター8の上端5と他の第一シートシャッター7の上端5とに固定される第一桁部材17の中間は第二シートシャッター9の上端5にも固定され、さらに、簡易クリーンルーム200の内部203で架空するように第一シートシャッター8の上端5と第二シートシャッター9の上端5とに長尺なLアングル又はワイヤーである第二桁部材18が固定される。
【0030】
そして、図4に示すように、透明な第二シート部材30を第一シートシャッター8と、第二シートシャッター9と、第一桁部材17と、第二桁部材18と、に掛け風除室300を区画し、第一シートシャッター8と、第二シートシャッター9と、第二シート部材30と、で風除室300内部を気密にするように、第一シートシャッター8に掛かる第二シート部材30の縁部31を当該第一シートシャッター8の柱部2及びシート収納部3にテープ33で固定し、第二シートシャッター9に掛かる第二シート部材30の縁部31を当該第二シートシャッター9の柱部2及びシート収納部3にテープ33で固定することでクリーンブースとしての風除室300が形成される。また、第二シート部材30の裾部32には図示しないが鉄パイプである長尺なウェイト材が当該裾部32に沿って取付けられ、第二シート部材30の裾部32と、床102と、に隙間が生じないようになされている。
【0031】
次に、図5に示すように、透明な第一シート部材26を第一シートシャッター7と、第一桁部材17と、に掛け簡易クリーンルーム200を区画し、第一シートシャッター7と、第一シート部材26と、で簡易クリーンルーム200の内部203を気密にするように、第一シートシャッター7に掛かる第一シート部材26の縁部28を当該第一シートシャッター7の柱部2及びシート収納部3にテープ33で固定することで大空間除菌ブース(加圧室)としての簡易クリーンルーム200が形成される。尚、簡易クリーンルーム200の天井部分202は、図5及び図6に示すように、方形屋根のように簡易クリーンルーム200の中央が頂点になるように形成されており、第一シート部材26の頂点部分は空調設備10の空気清浄機14に沿って孔が設けられ、その孔に空気清浄機14が嵌った状態で、その孔の外周の縁部28が空気清浄機14にテープ33で固定されている。また、第一シート部材26の裾部29には図示しないが鉄パイプである長尺なウェイト材が当該裾部29に沿って取付けられ、第一シート部材26の裾部29と、床102と、に隙間が生じないようになされている。
【0032】
以上のように形成された簡易クリーンルーム200は、その内部203が陽圧状態となるように空調設備10によって浄化された空気が常に供給され、隙間風等によって外部204の空気が簡易クリーンルーム200に侵入しないようになされる。また、図2及び図6に示すように、センターポール11は空気が逆流することを防止する手段として当該センターポール11の上部に逆止弁13を有する。尚、簡易クリーンルーム200内には図示されていないがスポットクーラーなどを適宜に配置して冷温室内に保てるようにするようにしても良い。
【0033】
尚、シートシャッター1は非接触の自動シャッターであり、シートシャッター1の柱部2に備えられる図示しないセンサー部に手をかざすことでシートシャッター1の開閉操作ができ、不特定多数の人がシートシャッター1に触れることでシートシャッター1が汚染されることがない。
【0034】
また、風除室300の第一シートシャッター8の図示しない制御装置と、第二シートシャッター9の図示しない制御装置と、は繋がっており、当該第一シートシャッター8と当該第二シートシャッター9のどちらか一方が開いているとき、他方を開くことを不可能とするインターロック機能が組み込まれる。従って、風除室300を通って簡易クリーンルーム200を出入りする場合、外部の空気が簡易クリーンルーム200の内部203に侵入しないようになされている。尚、図1に示すように、風除室300内には除菌システムを装備した2つの空気清浄機34が設置され、第一シートシャッター8の開閉により風除室300に侵入した外部204の空気を除菌して浄化するようになされている。この空気清浄機34は図乃至図3において床面102に載置した形態で図示されているが、風除室300の上方の第一桁部材17と第二桁部材18との間に架設するように天井配置形態にして設けても良い。このようにすると風除室300内の歩行スペースが拡大される利点がある。
【0035】
さらに、風除室300には、その内部の気圧、空気質レベル、温度及び湿度を計測するための図示しないセンサ―を備え、さらに、風除室300の内部の気圧、空気質レベル、温度及び湿度をクラウド上で管理することができるようになされている。同様に、簡易クリーンルーム200を構成するそれぞれの第一シートシャッター7の室内側にはその内部の気圧、空気質レベル、温度及び湿度を計測するための図示しないセンサ―を備えてあり、簡易クリーンルーム200の各入隅における内部の気圧、空気質レベル、温度及び湿度をクラウド上で管理して室内環境の変化を測定管理することができるようになされている。
【0036】
簡易クリーンルーム200が備える4つの第一シートシャッター7である出入口は、前記の如く出入口を構成する自立式のシートシャッター1が、横方向の開口幅が1メートル前後の小型のものから、中型、大型、10メートル前後の開口幅を持つ超大型のものがあり、図面では図示を省略しているが、人の出入り専用の風除室300のところは小型サイズのもの、簡易クリーンルーム200の他の三か所は、材料の出入りのところは中型サイズ、大型サイズ、そして機械や設備機器の出入りのところには超大型サイズのものを配置するようにしておくと、例えば、簡易クリーンルーム200を形成した後に簡易クリーンルーム200に、材料や加工品、備品や機械や設備機器を搬入するための出入口、人が頻繁に出入りするための出入口等に使い分けることが可能であり、空調設備10を稼働させて簡易クリーンルーム200の内部203が浄化された後は、風除室300を通ることになる第一シートシャッター8での出入が推奨される。
【0037】
本実施形態の簡易クリーンルーム200の第一シートシャッター7は4つであったが、これは、簡易クリーンルーム200の外周が方形であるためであり、例えば、簡易クリーンルーム200の外周が6角形であれば6つの第一シートシャッター7が6つの各入隅201に配置される。
【0038】
本実施形態の簡易クリーンルーム200は1つの風除室300を備えるが、複数の風除室300を備える簡易クリーンルーム200であっても良い。
【0039】
本実施形態の第一シート部材26及び第二シート部材30は透明であるが、透明、半透明、不透明又はそれらの組み合わせのどれであっても良い。さらに、シートシャッター1のシート4も同様に透明、半透明、不透明又はそれらの組み合わせのどれであっても良い。
【0040】
本実施形態の第一シートシャッター7、第二シートシャッター9及び空気清浄機14に固定される第一シート部材26の縁部28及び第二シート部材30の縁部31は、テープ33によって固定されるが、例えば、第一シート部材26の縁部28及び第二シート部材30の縁部31に強力なマグネットを取付け、マグネットの磁力によって第一シート部材26の縁部28及び第二シート部材30の縁部31を第一シートシャッター7、第二シートシャッター9及び空気清浄機14に固定させる等、他の手段によって固定させても良い。
【0041】
本実施形態の第一支持部材の他端及び第二支持部材の他端が固定される構造躯体101は同一の梁であるが、これに限らず、柱などであっても良く、また、第一支持部材の他端及び第二支持部材の他端が固定される構造躯体101が同一である必要もない。
【0042】
本実施形態のシートシャッター7、第二シートシャッター9及び空気清浄機14に固定される第一シート部材26の縁部28及び第二シート部材30の縁部31は、テープ33によって固定されるが、例えば、第一シート部材26の縁部28及び第二シート部材30の縁部31に強力なマグネットを取付け、マグネットの磁力によって第一シート部材26の縁部28及び第二シート部材30の縁部31を第一シートシャッター7、第二シートシャッター9及び空気清浄機14に固定させる等、他の手段によって固定させても良い。
【0043】
本実施形態の第一支持部材19は、その一端20が第一シートシャッター7の上端5の第一シート部材26が掛からない箇所に備えられる固定金具6に固定されることで、簡易クリーンルーム200の外部204から第一シートシャッター7を支持しているが、例えば、固定金具6が第一シートシャッター7の上端5の第一シート部材26が掛かる位置に備えられ、第一シート部材26に第一支持部材19を通すための孔を設け、その孔を通って第一支持部材19の一端20が固定金具5に固定され他端21が構造躯体101に固定され、第一支持部材19が通る孔に隙間が生じないようにテープで塞ぐといったように、孔の隙間を塞ぐ孔塞ぎ部材を用いて第一支持部材19が通る孔に孔塞ぎ処理を行うことで、簡易クリーンルーム200の外部204から第一シートシャッター7の上端5を第一支持部材19によって支持しても良い。
【0044】
本実施形態の第一シートシャッター7、第二シートシャッター9は、第一シート部材26及び第二シート部材30で覆うようにされているが、第一シートシャッター7、第二シートシャッター9の高さに相当する側面部分は、衝立状の仕切り部材やパネル部材であるパーテーション部材で連結させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0045】
100 建築物
101 構造躯体
102 床
200 簡易クリーンルーム
201 入隅
203 簡易クリーンルームの内部
204 簡易クリーンルームの外部
300 風除室
1 シートシャッター
5 シートシャッターの上端
7 第一シートシャッター
8 任意の第一シートシャッター
9 第二シートシャッター
10 空調設備
11 センターポール
12 排気口
14 空気清浄機
16 エアーコンプレッサー
17 第一桁部材
18 第二桁部材
19 第一支持部材
20 第一支持部材の一端
21 第一支持部材の他端
22 第二支持部材
23 第二支持部材の一端
24 第二支持部材の他端
26 第一シート部材
30 第二シート部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6