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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039907
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】荷重測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20240315BHJP
   A63B 23/04 20060101ALI20240315BHJP
   G01L 1/26 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A61B5/11 210
A63B23/04 Z
G01L1/26 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144636
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】川口 章
(72)【発明者】
【氏名】山田 健太
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA11
4C038VA12
4C038VB14
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】本発明は、免荷訓練において、被測定者の荷重測定時の誤差が小さく、適正な歩行荷重評価を可能とすることを目的とする。
【解決手段】荷重値補正手段は、複数の圧力センサにかけられた既知の荷重値と、前記既知の荷重値がかけられた場合に測定された荷重情報が示す荷重値との比較から算出された補正値を用いて、実際に履物本体に足が装着された際に測定された荷重情報が示す荷重値を補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物底部としてのソールと、少なくとも、足の甲部を保持するアッパーからなる履物本体と、前記ソールに配設される複数の圧力センサと、前記複数の圧力センサから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、演算部にて形成された荷重情報を無線送信する送信部と、前記無線送信された前記荷重情報を受信する受信部と、を備える荷重測定装置において、
荷重値補正手段は、前記複数の圧力センサにかけられた既知の荷重値と、前記既知の荷重値がかけられた場合に測定された前記荷重情報が示す荷重値との比較から算出された補正値を用いて、実際に前記履物本体に足が装着された際に測定された前記荷重情報が示す荷重値を補正する、ことを特徴とする荷重測定装置。
【請求項2】
前記複数の圧力センサの出力を統合する統合手段を有し、前記送信部は、前記統合手段により前記複数の圧力センサから統合して出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、前記演算部にて形成された前記荷重情報を無線送信する、ことを特徴とする請求項1記載の荷重測定装置。
【請求項3】
前記統合手段は、前記複数の圧力センサから構成したホイートストンブリッジ回路であって、前記送信部は、前記ホイートストンブリッジ回路から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、前記演算部にて形成された前記荷重情報を無線送信する、ことを特徴とする請求項2記載の荷重測定装置。
【請求項4】
前記補正値は、工場出荷時に算出され、前記送信部における記憶手段に初期の補正値として保存される、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の荷重測定装置。
【請求項5】
前記初期の補正値と一対を成すものとして、前記初期の補正値及び/又はネットワーク上のデータベースにおける初期の補正値の検索に用いる識別IDを、所定のコードにコード化して記録媒体に記録したものを前記履物本体に添付するまたは貼り付けるように構成した、ことを特徴とする請求項4記載の荷重測定装置。
【請求項6】
前記補正値は、工場出荷後の前記履物本体の修理等のメンテナンス時に算出され、前記送信部における記憶手段及び/又はネットワーク上のデータベースに補正値の更新データとして保存される、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の荷重測定装置。
【請求項7】
工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から前記初期の補正値を前記受信部により読み出して前記送信部に送信することにより前記初期の補正値を前記送信部に再セットするように構成した、ことを特徴とする請求項5記載の荷重測定装置。
【請求項8】
工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から前記初期の補正値を前記送信部により読み出して前記初期の補正値を前記送信部に再セットするように構成した、ことを特徴とする請求項5記載の荷重測定装置。
【請求項9】
工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から識別IDを受信部により読み出し、前記受信部により前記ネットワーク上のデータベースから前記識別IDに対応した前記初期の補正値又は補正値の更新データを読み出して前記送信部に送信することにより前記送信部に再セットするように構成した、ことを特徴とする請求項5記載の荷重測定装置。
【請求項10】
工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から識別IDを送信部により読み出し、前記送信部により前記ネットワーク上のデータベースから前記識別IDに対応した前記初期の補正値又は補正値の更新データを読み出して前記送信部に再セットするように構成した、ことを特徴とする請求項5記載の荷重測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷重測定装置に関する。詳しくは、リハビリテーション時の歩行訓練等に用いる足装着型の荷重測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下肢骨折や骨関節疾患などの術後患者に対する理学療法の1つに免荷訓練がある。免荷訓練では、患者の全体重よりも軽い荷重に制限しながら、当該患者に負荷して歩行訓練等を行うが、患者に過度の負荷を与えることなく、かつ、効果的な訓練を行うには、適切な荷重制御が必要となる。
【0003】
訓練時に適切な荷重制御を行うには、免荷訓練等における患者の下肢に作用する荷重を測定する必要がある。特許文献1には、患者が歩行訓練において足に実際にかけた体重を数値としてリアルタイムに知ることのできる歩行訓練のためのリハビリテーション用履物(免荷歩行フィードバック訓練装置)が開示されており、免荷訓練に用い得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59-193419
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、歩行動作のメカニズムとしては、踵から地面に接地し、つま先で蹴り上げる歩行が通常歩行と言われ、前記免荷訓練においては、特に、踵部とつま先部に最低でも2点の荷重センサ(圧力センサ)が必要である。前述の特許文献1に開示されるリハビリテーション用履物においても、踵部を含む前後3点に歪みゲージでなる荷重センサが配置されている。
そして、その測定結果として、加算器により3個の荷重センサの出力データの合計が算出される。しかし、荷重センサの個体差やリハビリテーション用履物の組立バラツキなどの影響で測定した個々の荷重に誤差が生じる。従って、その測定結果としての加算器による3個の荷重センサの出力データの合計は、さらに測定誤差が大きなものとなってしまう。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑み、前記免荷訓練において、被測定者の荷重測定時の誤差が小さく、適正な歩行荷重評価を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、履物底部としてのソールと、少なくとも、足の甲部を保持するアッパーからなる履物本体と、前記ソールに配設される複数の圧力センサと、前記複数の圧力センサから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、演算部にて形成された荷重情報を無線送信する送信部と、前記無線送信された前記荷重情報を受信する受信部と、を備える荷重測定装置において、荷重値補正手段は、前記複数の圧力センサにかけられた既知の荷重値と、前記既知の荷重値がかけられた場合に測定された前記荷重情報が示す荷重値との比較から算出された補正値を用いて、実際に前記履物本体に足が装着された際に測定された前記荷重情報が示す荷重値を補正する、
ことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の荷重測定装置において、前記複数の圧力センサの出力を統合する統合手段を有し、前記送信部は、前記統合手段により前記複数の圧力センサから統合して出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、前記演算部にて形成された前記荷重情報を無線送信する、ことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の荷重測定装置において、前記統合手段は、前記複数の圧力センサから構成したホイートストンブリッジ回路であって、前記送信部は、前記ホイートストンブリッジ回路から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、前記演算部にて形成された前記荷重情報を無線送信する、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の荷重測定装置において、前記補正値は、工場出荷時に算出され、前記送信部における記憶手段に初期の補正値として保存される、ことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の荷重測定装置において、前記初期の補正値と一対を成すものとして、前記初期の補正値及び/又はネットワーク上のデータベースにおける初期の補正値の検索に用いる識別IDを、所定のコードにコード化して記録媒体に記録したものを前記履物本体に添付するまたは貼り付けるように構成した、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の荷重測定装置において、前記補正値は、工場出荷後の前記履物本体の修理等のメンテナンス時に算出され、前記送信部における記憶手段及び/又はネットワーク上のデータベースに補正値の更新データとして保存される、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項5に記載の荷重測定装置において、工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から前記初期の補正値を前記受信部により読み出して前記送信部に送信することにより前記初期の補正値を前記送信部に再セットするように構成した、ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項5に記載の荷重測定装置において、工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から前記初期の補正値を前記送信部により読み出して前記初期の補正値を前記送信部に再セットするように構成した、ことを特徴とするものである。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項5に記載の荷重測定装置において、工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から識別IDを受信部により読み出し、前記受信部により前記ネットワーク上のデータベースから前記識別IDに対応した前記初期の補正値又は補正値の更新データを読み出して前記送信部に送信することにより前記送信部に再セットするように構成した、ことを特徴とするものである。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項5に記載の荷重測定装置において、工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から識別IDを送信部により読み出し、前記送信部により前記ネットワーク上のデータベースから前記識別IDに対応した前記初期の補正値又は補正値の更新データを読み出して前記送信部に再セットするように構成した、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、荷重値補正手段は、複数の圧力センサにかけられた既知の荷重値と、前記既知の荷重値がかけられた場合に測定された荷重情報が示す荷重値との比較から算出された補正値を用いて、実際に履物本体に足が装着された際に測定された前記荷重情報が示す荷重値を補正するように構成したので、免荷訓練において、被測定者の荷重測定時の誤差はほとんど発生しない。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、複数の圧力センサの出力を統合する統合手段を有する為、
被測定者の荷重測定時の誤差の補正は、前記統合手段の出力に対して行えばよく、補正値算出の処理が簡素となる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、前記統合手段は、前記複数の圧力センサから構成したホイートストンブリッジ回路を用いる為、複数の圧力センサ(歪みゲージ)における微小抵抗変化を精度良く計測できると共に、補正値算出の処理が簡素となる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、前記補正値は、工場出荷時に算出され、前記送信部における記憶手段に初期の補正値として保存される為、工場出荷後、保存された初期の補正値を用いて、実際に履物本体に足が装着された際に測定された前記荷重情報が示す荷重値を補正するように構成したので、免荷訓練において、被測定者の荷重測定時の誤差はほとんど発生しない。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、初期の補正値と一対を成すものとして、前記初期の補正値及び/又はネットワーク上のデータベースにおける初期の補正値の検索に用いる識別IDを、所定のコードにコード化して記録媒体に記録したものを履物本体に添付するまたは貼り付けるように構成した為、工場出荷後、必要に応じて、前記記録媒体から前記初期の補正値を読取手段により読み出して前記送信部に送信することにより前記初期の補正値を前記送信部に再セットすることができる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、前記補正値は工場出荷後の前記履物本体の修理等のメンテナンス時に、複数の圧力センサにかけられた既知の荷重値と、前記既知の荷重値がかけられた場合に測定された荷重情報が示す荷重値との比較から改めて算出され、前記送信部における記憶手段及び/又はネットワーク上のデータベースに補正値の更新データとして保存される為、客先等でのメンテナンス対応時に便利である。特に、ネットワーク上のデータベースに補正値の更新データを保存すれば、補正値の最新データとして管理、利用できる為便利である。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から前記初期の補正値を前記受信部により読み出して前記送信部に送信することにより前記初期の補正値を前記送信部に再セットするように構成した為、例えば、送信部又は履物本体の何れか一方が故障した場合であっても、故障したものを正常品と交換し補正値を再セットすることで故障前と同じ状態に素早くすることができるから便利である。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から前記初期の補正値を前記送信部により読み出して前記初期の補正値を前記送信部に再セットするように構成した為、例えば、送信部又は履物本体の何れか一方が故障した場合であっても、正常品と交換する事で、客先等で素早くプリセットでき、便利である。
【0025】
請求項9記載の発明によれば、工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から識別IDを受信部により読み出し、前記受信部により前記ネットワーク上のデータベースから前記識別IDに対応した前記初期の補正値又は補正値の更新データを読み出して前記送信部に送信することにより前記送信部に再セットするように構成した為、例えば、送信部又は履物本体の何れか一方が故障した場合であっても、正常品と交換する事で、客先等で素早くプリセットでき、便利である。
【0026】
請求項10記載の発明によれば、工場出荷後、工場出荷時における前記履物本体と前記送信部との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、前記履物本体に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体から識別IDを送信部により読み出し、前記送信部により前記ネットワーク上のデータベースから前記識別IDに対応した前記初期の補正値又は補正値の更新データを読み出して前記送信部に再セットするように構成した為、例えば、送信部又は履物本体の何れか一方が故障した場合であっても、正常品と交換する事で、客先等で素早くプリセットでき、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例の荷重測定装置の全体システムを示す斜視図である。
図2】該実施例における履物本体の使用時と装着前の状態を示す平面図である。
図3】該実施例における靴を履いたまま履物本体に装着した状態を示す側面図であって、受圧板の装着の有無時における状態を示している。
図4】該実施例におけるソールから中敷きを取り外した状態の平面図及び、その断面図である。
図5図4の断面図の要部拡大図である。
図6】該実施例における圧力センサ全体の外観を示す斜視図である。
図7】該実施例における荷重測定装置の全体システムを示すブロック図である。
図8】該実施例におけるスマートフォンの設定画面を示す平面図である。
図9】該実施例におけるスマートフォンの測定画面を示す平面図である。
図10】該実施例における設定時のフロー図である。
図11】該実施例における測定時のフロー図である。
図12】該実施例におけるソールへのシャンクの装着状態を示す平面図である。
図13】該実施例における荷重測定装置の全体システムを示すブロック図である。
図14】該実施例における複数の圧力センサから構成したホイートストンブリッジ回路を示す図である。
図15】該実施例における補正値の生成原理を示す図である。
図16】該実施例における荷重値を補正する流れを示す模式図である。
図17】該実施例における補正値を再セットする流れを示す模式図である。
図18】該実施例における補正値を再セットする流れを示す模式図である。
図19】該実施例における補正値を再セットする流れを示す模式図である。
図20】該実施例における補正値を再セットする流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔全体の概略構成〕
以下、本発明の一実施例を図1乃至図6を参照して説明する。ここで、図1は本発明の一実施例の荷重測定装置1における全体システムを示す斜視図、図2は同実施例の履物本体10の使用時と装着前の状態を示す斜視図、図3は同実施例の靴21を履いたまま履物本体10に装着した状態を示す平面図、図4は同実施例のソール11から中敷き14を取り外した状態の平面図及び、その断面図、図5は同実施例の図4の断面図の要部拡大図、図6は同実施例の圧力センサ61を示す斜視図である。
【0029】
本実施例では被測定者の足の保持手段を履物とし、荷重センサを履物本体10のソール11に組み込み、下肢を被訓練部位として、歩行の免荷訓練を行う場合について説明する。図1に示すように、本実施例は、全体システムとして、被検者が免荷訓練を行う側の足部に装着する履物本体10、他の足部に装着するダミーの履物20、履物底部としてのソール11に設置される圧力センサ(不図示)及び圧力センサからの信号をスマートフォン等の受信部40に無線送信する送信部30と、を備える。尚、送信部30の下部には面ファスナ(不図示)が取付けられており、履物本体10の甲部上面に取付けられている面ファスナ51と結合され、接離自在に甲部に設置される。又、送信部30は、リード線31を介してソール11内部の圧力センサと接続されている。
【0030】
図2(a),(b)は本発明の一実施の形態に係る荷重測定装置1における履物本体10を示す使用状態時の平面図および履く前の状態の平面図である。尚、図2(a)においては、送信部30を省略している。又、図2(b)においては、中敷き14を取り外した状態を示しており、圧力センサ61が露出した状態となっている。尚、中敷き14の裏側には面ファスナ(不図示)が取付けられており、ソール11側の面ファスナ53と結合され、圧力センサ61の上方への抜け止めとして、面ファスナにより前記ソールに対して着脱可能に構成される。
【0031】
この実施の形態の履物本体10では、上述の図から明らかなように、被測定者(患者)が容易に着脱することのできるサンダル形態とした場合を例示している。但し、本発明の履物本体10はサンダル形態のものに限らず、他の履物形態として適用することもできる。すなわち、足を乗せる履物底部としてのソール11と足の甲を覆うアッパー15を少なくとも備えていればよい。アッパー15は、足の甲部を履物本体10に着脱自在に係止可能である。
【0032】
この履物本体10は、ソール11の左右両側部に前記甲部係止用片12(12a、12b)の基部がそれぞれ固定され、甲部係止用片12a、12bの他端を相互に重ね合わせて甲部係止用片12a、12bに取付けられた係止部材で結合し、装着するようにしたサンダル形態になっている。係止部材は、面ファスナ51a、51bで構成され、止める位置を変えることにより甲部係止用片12a、12bの重なり長さを調整可能である。尚、面ファスナとは、一般にマジックテープ(登録商標)と呼称されているものである。又、二つの甲部係止用片12a、12bにおける係止部材として、一方の甲部係止用片12aの外側面には雄型の面ファスナ51aが取付けられ、前記一方の甲部係止用片12aの内側面には雌型の面ファスナ51a´が取付けられると共に、他方の甲部係止用片12bの外側面には雄型の面ファスナ51bが取付けられ、前記他方の甲部係止用片12bの内側面には雌型の面ファスナ51b´が取付けられる。
【0033】
これによれば、甲部係止用片12a、12bの両端を相互に重ね合わせて面ファスナで結合する際、甲部係止用片の両端の左右どちら側が上になっても結合でき、被測定者が右利きでも左利きでも面ファスナにて、被測定者の靴(足)を履物本体に容易に装着(着脱)することができる。又、二つの甲部係止用片12a、12bの内側面には雌型の面ファスナ51a´、51b´がそれぞれ取付けられている為、被測定者(患者)の靴や靴下に直接面ファスナが貼り付くことを防ぐことができる。すなわち、面ファスナの内、雄型の面ファスナ51a、51bの先端はフック状となっており、他のものに貼り付きやすい(絡まりやすい)。それに対して、雌型の面ファスナ51a´、51b´の先端はループ状となっている為、他のものに貼り付きにくい(絡まりにくい)為である。
【0034】
以上によれば、この履物本体10は、図2(b)に示すように、甲部係止用片12a、12bを両側に開いた状態として、被測定者(患者)が自身の訓練すべき足を、被測定者の履き慣れた靴を履いたままソール部11の上に乗せたのちに、図2(a)に示すように、両側の甲部係止用片12a、12bの各々の面ファスナ51a、51bを互いに重ね合わせて結合するだけで装着することができ、患者あるいはその介助者にとって極めて容易に装着できるものである。
【0035】
尚、アッパー15には、甲部係止用片12a、12bに加えて、足の踵部を履物本体10に着脱自在に係止可能な左右二つの踵部係止用片13(13a、13b)をさらに備えるように構成してもよい。
【0036】
これによれば、被測定者の靴(足)を履物本体にさらに確実に装着することができる。
【0037】
図3は、被測定者が靴21を履いたまま履物本体10に装着した状態を示す側面図であって、後述する受圧板62の装着の有無時における状態を示している。図3(a)は、履物本体10の接地面に受圧板62の装着が無の状態を示しており又、図3(b)は、履物本体10の接地面に受圧板62の装着が有の状態を示している。荷重測定装置1は、病院、リハビリテーション施設などにおいて、リハビリテーション(免荷訓練等)を行う患者の下肢にかかる荷重の測定に用いられる。
【0038】
リハビリテーションの歩行訓練において、被測定者(患者)は、リハビリテーションを行う(荷重測定を行う)一方の足に履物本体10を履き、他方の足にダミーの履物20を履く。又、その際、被測定者(患者)は、図3に示すように、靴21を履いた状態で履物本体10を履き、他方の足にダミーの履物20を履く。ここで、履物本体10は左右同一形状に構成され、圧力センサ61はソール11の幅方向に左右対称に配置される。
【0039】
ダミーの履物20は、圧力センサ61及び送信部30を備えないように構成される。又、荷重測定装置1における履物本体10は、圧力センサ61に測定する荷重を伝達するアクチュエータ部616を備えているが、ダミーの履物20は、圧力センサ61におけるアクチュエータ部616だけが配置される。すなわち、ダミーの履物20は、センサ外枠611にアクチュエータ部616だけが突出した状態で固定されたものを用いる。
【0040】
以上によれば、被測定者は、被測定者の履き慣れた歩行用の靴を履いた状態で、荷重測定装置としての履物本体に容易に装着(着脱)できると共に、荷重測定時においては、被測定者は、違和感なく安定した状態で歩行訓練ができる。尚、被測定者の希望により、被測定者の靴を履かない状態で、履物本体に容易に装着(着脱)することもできる。又、履物本体10の左右の区別がなく、被測定者の靴(足)を履物本体10に容易に装着することができる。又、履物本体10をダミーの履物20を含む左右一組で購入すれば、荷重測定時において、被測定者の左右バランスが安定する。又、左右どちらが測定側の足となっても、履物本体10の左右の区別がない為、左右交換すれば済み、コスト安となる。
【0041】
[重量検出部の構成]
次に、圧力センサ61を用いた重量検出部の構成について図3乃至図6を用いて説明する。図3は、靴を履いたまま履物本体に装着した状態を示す側面図であり、図4(a)はソール11から中敷き14を取り外した状態の平面図であり、図4(b)はその断面図(A-A断面図)である。図5図4の断面図の要部拡大図である。図6は圧力センサ61全体の外観を示す斜視図である。
【0042】
図4(a)に示すように、実施例においては、圧力センサ61(61a、61b、61c、61d)はソール11の足の甲部対向箇所に2箇所と踵部対向箇所に2箇所に、ソール11の幅方向に左右対称となるように配置される。尚、ソール11に設ける圧力センサ61の数及び配置は、これに限らず適宜変更してもよい。
【0043】
これによれば、荷重測定時において、被測定者の左右の平衡感覚が安定し、被測定者の脚の振り出しや歩行が安定した状態で歩行訓練ができる。
【0044】
圧力センサ61は、図4(b)及び図5に示すように、歪みゲージで構成されるセンサ本体613が、長方形状のセンサ外枠611内に収納され、ソール11に取付けられている。又、図4(b)に示すように、ソール11に圧力センサ61a、61c挿入後、シャンク(補強板)63をソール11に接着し、さらに、シャンク63と圧力センサ61a、61cとを符号6111で示す箇所にてビス止めする。又、圧力センサ61b、61dについても同様の構成の為、ここでは説明を省略する。尚、図5では図を見やすくするために、センサ本体613、取付板612、アクチュエータ615、板材614、アクチュエータ616、ナット618、及びビス619の断面に付すべきハッチングは省略した。又、符号617部(3か所)は空間を示している。
【0045】
シャンク63は、ソールの接地面側において、少なくとも、土踏まず部に対応する部位に装着される。又、図12に示すように、シャンク63は、圧力センサ61に対応する位置に複数の開口部631を有し、開口部631はアクチュエータ部616の下端部を、開口部631を通して下方に突出させるように配置されている。尚、図12は、後述する受圧板62及びビス619を省略している。又、図5に示すように、ソール11に、センサ外枠611を嵌合して圧力センサ61を埋設する組付け孔6112を形成すると共に、シャンク63の開口部631をセンサ外枠611より小さく形成し、シャンク63の開口部631にて組付け孔6112を覆って装着することにより、圧力センサ61の下方への抜け止めとして構成されている。
【0046】
これによれば、シャンク63によりソール11の補強ができると共に、下方への圧力センサ61の抜け止めを兼ねることができる。又、アクチュエータ部616の変位を阻害することなくソール11へのシャンク63の装着ができる。
【0047】
又、図3(b)、図4(b)に示すように、各圧力センサ61のアクチュエータ部616の下端部は、それぞれ共通の受圧板62上にビス619で一体的に固定されている。尚、アクチュエータ部616の下端部を共通の受圧板62に固定することなく、例えば、前後2つに分離した受圧板62にそれぞれ圧力センサ61を前後2個ずつ固定するように構成してもよい。ここで、ソール11と受圧板62は、合成樹脂で形成され、圧力を受けたときに弾力的に変形する弾力性を有している。又、シャンク63は剛性のある合成樹脂又は金属で形成されている。
【0048】
これによれば、荷重測定時において被測定者は、受圧板62の取付けなしで、各圧力センサ61のアクチュエータ部616が突出した状態で床の上を歩くよりも安定して歩行することができる。特に、歩行する床の表面が荒れていたり、床の上に絨毯等が敷かれている等により、歩行時にアクチュエータ部616との引っ掛かりが問題になる場合に特に有効である。
【0049】
又、受圧板62は、互いに接地面側の表面状態が異なる複数種類の受圧板62から選択された任意の受圧板62に、ビス619取り外して交換可能に構成されている。前記表面状態とは、材質(EVA、ゴムなど)、表面粗さ、材料の厚さを含めた硬度などの状態のことである。
【0050】
これによれば、荷重測定時において被測定者が歩行する床の表面状態に応じて受圧板62の接地面側の表面状態を変えることができ、測定者は、さらに安定して歩行することができる。
【0051】
又、受圧板62は、前後両端部をそれぞれ外方斜め上向きに折り曲げられた傾斜部62a、62bを有する。
【0052】
これによれば、荷重測定時において被測定者が床の上を歩く際、シャンク63の前端部、後端部の床との引っ掛かりを防ぐことができる。
【0053】
図6は圧力センサ61全体の外観を示す斜視図であり、センサ外枠611の中央部には、足による外部荷重をセンサ外枠611内のセンサ本体613に伝達する為の凸状に突出したアクチュエータ部616を備える。又、圧力センサ61により検出した荷重信号は、リード線32を介して送信部30に出力される。
【0054】
具体的には、圧力センサ61は、この実施の形態では、一般に多用されている歪ゲージ式ロードセルを用いており、図5に示すように、歪みゲージで構成されるセンサ本体613、このセンサ本体613が取り付けられた取付板(起歪体)612と、被測定者より受けた荷重をセンサ本体613に伝達する荷重伝達部としてのアクチュエータ部615、アクチュエータ部616、アクチュエータ部616の空間を塞ぐ板材614、及び前記パーツを収納するセンサ外枠611とを備えた基本構造になっている。
【0055】
前記基本構造を備えた圧力センサ61は、前記荷重伝達部として、荷重測定時において履物本体10が接地する際、被測定者より受けた接地荷重に応じて変位するアクチュエータ部616を有し、アクチュエータ部616の変位に基づいて前記接地荷重を検出するように構成されている。図3(a)に示すように、アクチュエータ部616は、ソール11の底部から突出しており、履物本体10が接地面65に接地する際には、接地がアクチュエータ部616の下端部で行われるように配置されている。
【0056】
これによれば、構成上、荷重センサが地面に当たる部分が点となっており、それぞれの荷重の測定範囲が限定されている為、外部要因等による測定誤差が小さい。
【0057】
又、図5に示すように、圧力センサ61は、少なくとも、歪みゲージで構成されるセンサ本体613と、センサ本体613が取り付けられた起歪体としての取付板612と、被測定者より受けた接地荷重をセンサ本体613に伝達する荷重伝達部としてのアクチュエータ部616とが、共通の1パッケージとしてセンサ外枠611内に収納されている。
【0058】
これによれば、圧力センサとして追加の部品を必要とせず、メンテナンス性に優れ、費用上、スペース上のメリットがある。
【0059】
圧力センサ61を用いた重量検出部では、被測定者(患者)の足によって実際にかけられた体重に応じて前記荷重伝達部を介して取付板(起歪体)612が変形し、その取付板(起歪体)612の変形度合いに応じて歪ゲージ(センサ本体613)の電気抵抗値が変化し、受けた外部荷重に対応する荷重信号を送信部30に出力する。
【0060】
図7に示すように、送信部30には、荷重信号として、複数の圧力センサ61(61a、61b、61c、61d)の出力信号がそれぞれ入力され、送信部30は、複数の圧力センサ61からそれぞれ出力されるアナログ信号をA/D変換部(不図示)によりデジタル信号に変換し、演算部としてのCPU701は、前記荷重として、前記各々の荷重信号に基づいて4つの荷重を各々算出し、算出した4つの荷重を合計した合計荷重を算出し、受信部40に送信する。尚、この場合、後述する補正値荷重手段による補正は、前記合計荷重に対して行うことになる。又、前記荷重の演算部は、送信部30側のCPU701を用いてもよいし、受信部40側のCPU711を用いてもよい。ここで、本実施例の受信部40は、携帯可能な形状を有し、身体等への装着を可能とするタブレットやスマートフォンなどで構成される。
【0061】
又は、他の実施例として、図13に示すように、送信部30には、複数の圧力センサ61(61a、61b、61c、61d)から構成される公知のホイートストンブリッジ回路の出力信号が入力され、前記送信部は、出力信号の統合手段としての前記ホイートストンブリッジ回路から出力されるアナログ信号をA/D変換部(不図示)によりデジタル信号に変換し、前記演算部としてのCPU701にて形成された前記荷重情報(荷重値)を受信部40に無線送信するように構成している。尚、この場合、後述する補正値荷重手段による補正は、前記荷重情報(荷重値)に対して行うことになる。
【0062】
これによれば、被測定者の荷重測定時の誤差の補正は、前記統合手段としてのホイートストンブリッジ回路からの出力に対して行えばよく、補正値算出の処理が簡素となる。
【0063】
前記ホイートストンブリッジ回路は、具体的には、図14に示すように、歪みゲージ(A2、A3、B2、B3、C2、C3、D2、D3)を1対ずつ有する圧力センサ(61a、61b、61c、61d)を4個用いて構成しており、前記圧力センサ61aはホイートストンブリッジ回路の1つの接続部である接続部A1と、歪みゲージA2及びA3とからなり、圧力センサ61b、61c及び61dも同様の構成である。尚、図5に示す圧力センサ61aにおける歪センサ本体613は、前記歪みゲージA2及びA3から構成されており、圧力センサ61b、61c及び61dにおける歪センサ本体についても同様の構成である。ホイートストンブリッジ回路の入力端子には所定の電圧(VIN)が印加されており、又、ホイートストンブリッジ回路の出力信号(VOUT)は、統合された圧力センサの出力信号、すなわち、負荷される荷重の測定値を示す信号である。
【0064】
これによれば、複数の圧力センサ61の歪みゲージにおける微小抵抗変化を精度良く計測できると共に、補正値算出の処理が簡素となる。
【0065】
[制御システム]
図7において、送信部30側の制御部70はCPU701、メモリ702等を有し、制御部70には、圧力センサ61a、圧力センサ61b、圧力センサ61c、圧力センサ61d、送信ユニット707、及び報知部703が接続されている。さらに、制御部70には、スイッチ706とバッテリ705が電源制御部704を介して接続される。又、受信部40側の制御部71はCPU711、メモリ712等を有し、制御部71には、受信ユニット716、表示部714、操作部715、報知部713が接続されている。
【0066】
図7に示すように、送信部30には、制御部70を介して各圧力センサ61a、圧力センサ61b、圧力センサ61c、圧力センサ61dがそれぞれ接続されている。スイッチ706をオンにすると、バッテリ705からの電力が各圧力センサ61a、圧力センサ61b、圧力センサ61c、圧力センサ61dおよび送信部30に供給される。これにより、送信部30は、各圧力センサ61a、圧力センサ61b、圧力センサ61c、圧力センサ61dからの信号を、受信部に無線送信する。より詳細には、送信部30は各圧力センサ61a、圧力センサ61b、圧力センサ61c、圧力センサ61dからのアナログ信号をデジタル信号に変換する。そして、送信部30は、デジタル信号を一定周期でサンプリングしてBluetooth(登録商標)の通信規格で受信部40に送信する。
【0067】
尚、前述の図13に示す他の実施例についても、送信部30には、複数の圧力センサ61(61a、61b、61c、61d)から構成されるホイートストンブリッジ回路の出力信号が入力される点に違いはあるものの、その他の構成は同様である為、ここでは説明を省略する。
【0068】
[荷重測定動作]
次に、本発明における荷重測定装置1を用いた荷重測定動作について、図10図11のフローチャートを用いて説明する。
【0069】
先ず、荷重測定装置1における送信部30のスイッチ706をオンにし、受信部40のスイッチ(不図示)をオンにすると、Bluetooth(登録商標)におけるペアリング接続を行い接続が完了すると、受信部40の表示画面に「connect」の文字が表示される。次に、スマートフォンにおける専用ソフトウェア(荷重測定用)を起動し、専用ソフトウェア上で荷重測定装置の登録を行う。登録では荷重測定装置の固有IDを記録している。又、スタート時に固有IDの荷重測定装置を探索し,接続,通信を行っている。
【0070】
図10は、初期設定時のフローチャートである。図8は、その際の受信部40としてのスマートフォンの専用ソフトウェア(荷重測定用)における表示画面80aである。
【0071】
先ず、図8に示す表示画面80aにおいて、ユーザの操作に基づき、被測定者(患者)の全体重の入力を受付ける(S1)。
【0072】
次に、目標荷重としての全体重に対する上限割合を入力する(S2)。又、入力された全体重に対する上限割合に基づき、上限値を自動的に算出し、表示する(S3)。尚、目標荷重としての全体重に対する上限値を入力し、入力された全体重に対する上限値に基づき、上限割合を自動的に算出し、表示するように構成してもよい。
【0073】
次に、目標荷重としての全体重に対する下限割合を入力する(S4)。又、入力された全体重に対する下限割合に基づき、下限値を自動的に算出し、表示する(S5)。尚、目標荷重としての全体重に対する下限値を入力し、入力された全体重に対する下限値に基づき、下限割合を自動的に算出し、表示するように構成してもよい。又、下限値入力のON・OFF設定を可能として、上限値入力だけで初期設定できるように構成してもよい。
【0074】
次に、図8に示す表示画面80aにおいて、ユーザによりスタートボタン81aがオン(タッチ)されていないかを確認する(S6)。例えば、ユーザは、使用者がリハビリテーションの歩行訓練を開始するタイミングで、表示画面におけるスタートボタン81aをオンする。
【0075】
スタートボタン81aがオンされていない場合(S6;N)は、S1に処理を戻す。スタートボタン81aがオンされている場合(S6;Y)は、初期設定の処理を終了する。
【0076】
図11は、荷重測定時のフローチャートである。図9は、その際の受信部40としてのスマートフォンの専用ソフトウェア(荷重測定用)における荷重測定画面である。
【0077】
先ず、ユーザによりスタートボタン81aがオン(タッチ)されていないかを確認する(S10)。スタートボタン81aがオンされていない場合(S10;N)は、スタートボタン81aがオンされるまで待機する。スタートボタン81aがオンされている場合(S10;Y)は、図9に示す表示画面80bを荷重測定画面に切り替える(S11)。又、スタートボタン81aをストップボタン81bに切り替える。
【0078】
次に、ユーザによりリセットボタン82がオン(タッチ)されていないかを確認する(S12)。リセットボタン82がオンされている場合(S12;Y)は、現在の測定値を0リセットする(S13)。リセットボタン82がオンされていない場合(S12;N)は、図9に示す表示画面80bに示す、合計体重83、荷重インジケータ84、波形(t-w)85をリアルタイム表示する(S14)。
【0079】
次に、リアルタイム表示における波形が図9に示す表示画面80bに示す、安全領域852に収まっているか確認する(S15)。
安全領域852に収まっていない場合(S15;N)は、サブルーチンに処理を移行する(S16)。このサブルーチンにおいては、リアルタイム表示における波形が図9に示す表示画面80bに示す、上限値851を超えているか、下限値853を下回っているかによって、警告音を変えてユーザに報知する。
【0080】
安全領域852に収まっている場合(S15;Y)は、ストップボタン81bがオン(タッチ)されていないかを確認する(S17)。ストップボタン81bがオンされていない場合(S17;N)は、処理をS12に戻す。ストップボタン81bがオンされている場合(S17;Y)は、表示画面80aを設定画面に切り替えて(S18)荷重測定の処理を終了する。
【0081】
〔荷重値補正手段〕
次に、荷重測定装置1の内部処理において、測定された荷重値を補正するための処理の流れについて説明する(前述の荷重測定においては、荷重値の補正についての説明が省略されている)。荷重測定装置1を用いた荷重測定時においては、圧力センサ61の個体差やリハビリテーション用履物(履物本体)の組立バラツキなどの影響で測定した個々の荷重に誤差が生じる場合があり得る。そこで、荷重値補正手段(CPU701)は、工場出荷時に予め算出し、保存しておいた補正値を用いて、実際に前記履物本体に足が装着された際に測定された荷重値を補正する。
【0082】
(1)先ず、履物本体10における圧力センサ61(61a、61b、61c、61d)の直上に、おもり等の既知の力(既知の荷重値)で負荷をかける。このとき、一つのおもりで同時に前記圧力センサ61(61a、61b、61c、61d)全部に負荷をかけるのが最も好ましいが、これに限らず、例えば、圧力センサ61における履物本体10の前端2箇所(61a、61b)又は、後端2箇所(61c、61d)に負荷をかけるように構成してもよい。
【0083】
(2)次に、複数の圧力センサにかけられた既知の荷重値と、前記既知の荷重値がかけられた場合に測定された原点補正済みのセンサ検出値との比較から補正値が算出される。尚、実測のセンサ検出値 から 荷重をかけていない状態のセンサ検出値を引いたものを原点補正済みのセンサ検出値とする。具体的には、荷重値補正手段(CPU701)の内部処理として、例えば、図15に示すように、3つのおもりで実測した原点補正済みのセンサ検出値(P1~P3)についてプロットする。次に、この3つのプロット点P1~P3に対して線形近似を行って近似直線G2を算出する。線形近似とは、aおよびbを変数として、Y=a・X+bで示される近似線を求める手法である。原点補正済の場合、b=0なので、Y=a・Xとなる。したがって、補正値aは、近似直線G1の傾き(補正値a=Y/X)を求めれば算出できる。
【0084】
近似直線の傾きを求める式は以下の通りである。
【0085】
【数1】
一例としては、
n = 3
x=[35000,60000,73000]
y=[30,50,70] となり,
a=0.0009
したがって、補正値aによる実測値(X)に対する補正後の実測値(Y)は、
Y=a・X=0.0009・Xとなる。
【0086】
(3)荷重値補正手段(CPU701)は、算出された補正値aを用いて、実際に履物本体10に足が装着された際に測定された荷重値に補正値aを掛けて補正する。
【0087】
以上によれば、免荷訓練において、被測定者の荷重測定時の誤差はほとんど発生しない。
【0088】
前記補正値は、最初に工場出荷時に算出され、送信部30における記憶手段(メモリ702)に初期の補正値として保存される。又、前記初期の補正値と一対を成すものとして、前記初期の補正値及び/又はネットワーク上のデータベースにおける初期の補正値の検索に用いる識別IDを、所定のコードにコード化(QRコード(登録商標)、バーコード、数字、文字等)して記録媒体に記録したものを履物本体10に添付する(取扱説明書など)又は貼り付ける(図12シール91参照)ように構成する。
【0089】
これによれば、工場出荷後、保存された初期の補正値を用いて、実際に履物本体に足が装着された際に測定された前記荷重情報が示す荷重値を補正するように構成したので、免荷訓練において、被測定者の荷重測定時の誤差はほとんど発生しない。又、工場出荷後、必要に応じて、前記記録媒体から前記初期の補正値を読取手段により読み出して前記送信部に送信することにより前記初期の補正値を前記送信部に再セットすることができる。
【0090】
又、前記補正値は、工場出荷後の前記履物本体の修理等(履物本体10と送信部30との組み合わせ関係は維持される場合)のメンテナンス時に算出され、前記送信部における記憶手段及び/又はネットワーク上のデータベースに補正値の更新データとして保存される。尚、ネットワーク上のデータベースとは、クラウド上のデータベースでもオンプレミス上のデータベースでもよい。
【0091】
これによれば、前記補正値は工場出荷後の前記履物本体の修理等のメンテナンス時に、複数の圧力センサにかけられた既知の荷重値と、前記既知の荷重値がかけられた場合に測定された荷重情報が示す荷重値との比較から改めて算出され、前記送信部における記憶手段及び/又はネットワーク上のデータベースに補正値の更新データとして保存される為、客先等でのメンテナンス対応時に便利である。特に、ネットワーク上のデータベースに補正値の更新データを保存すれば、補正値の最新データとして管理、利用できる為便利である。
【0092】
〔補正値の再セット〕
次に、工場出荷後、工場出荷時における履物本体10と送信部30との組み合わせ関係を満たさなくなった場合について、初期の補正値又は補正値の更新データを送信部30に再セットする方法について説明する。尚、前記履物本体10と送信部30との組み合わせ関係とは、前述のように、当該履物本体10に対する補正値が送信部30の記憶手段(メモリ702)に一対を成すものとして保存されていることを意味する。
【0093】
(1)初期の補正値を送信部30に再セットする方法を説明する前に、先ず、実際に履物本体10に足が装着された際に、測定された荷重値を補正する流れについて模式図を用いて説明する。図16に示すように、履物本体10に足が装着され、圧力センサ61の出力が送信部30に入力され、演算部(CPU701)にて記憶手段(メモリ702)に保存されている補正値が読み出されて補正される。そして、補正後の荷重値が受信部40に送信される。これは、以下すべての類型にあてはまる流れである。
【0094】
(2)次に、初期の補正値を送信部30に再セットする方法の類型について、模式図を用いて説明する。初期の補正値を送信部30に再セットする方法とは、工場出荷時に算出され、送信部30における記憶手段に初期の補正値として保存されていた補正値を新たにセットし直す方法のことである。図17に示す類型のように、工場出荷後、工場出荷時における履物本体10と送信部30との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、履物本体10に添付するまたは貼り付けられている記録媒体91(図12参照)から前記初期の補正値を受信部40により読み出して送信部30に送信することにより前記初期の補正値を送信部30に再セットするように構成する。
【0095】
(3)次に、図18に示す類型のように、工場出荷後、工場出荷時における履物本体10と送信部30との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、履物本体10に添付するまたは貼り付けられている記録媒体91から前記初期の補正値を送信部30により読み出して前記初期の補正値を送信部30に再セットするように構成する。尚、この場合、送信部30には読み取り機能が備えられている。又、この場合、破線で記載されている受信部40は使用されない。
【0096】
(4)次に、図19に示す類型のように、工場出荷後、工場出荷時における履物本体10と送信部30との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、履物本体30に添付するまたは貼り付けられている記録媒体91から識別IDを受信部40により読み出し、受信部40によりネットワーク上のデータベース92から前記識別IDに対応した前記初期の補正値又は補正値の更新データを読み出して送信部30に送信することにより送信部30に再セットするように構成する。
【0097】
(5)次に、図20に示す類型のように、工場出荷後、工場出荷時における履物本体10と送信部30との組み合わせ関係を満たさなくなった場合は、履物本体10に添付するまたは貼り付けられている前記記録媒体91から識別IDを送信部30により読み出し、送信部30によりネットワーク上のデータベース92から識別IDに対応した前記初期の補正値又は補正値の更新データを読み出して送信部30に再セットするように構成する。尚、この場合、送信部30には読み取り機能とデータベース92問合せ機能が備えられている。又、この場合、破線で記載されている受信部40は使用されない。
【0098】
以上の類型について、補正値を保存するデータベース(ネットワーク上)を有する場合において、履物本体10に貼付けられている「識別ID」を受信部40又は、送信部30により読み出す場合には、同時に「補正値(コード化したもの)」を読み出せるように構成してもよい。そうすることにより、データベースにアクセスできない場合でも、(緊急救済的に)出荷時データとしての補正値で再セットすることが可能である。
【0099】
以上によれば、例えば、送信部又は履物本体の何れか一方が故障した場合であっても、正常品と交換する事で、客先等で素早くプリセットでき、便利である。
【0100】
尚、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0101】
1 荷重測定装置
2 脚部
10 履物本体
11 ソール
12 甲部係止用片
13 踵部係止用片
14 中敷き
15 アッパー
20 ダミーの履物
21 被測定者の靴
30 送信部
31 リード線
32 リード線
40 受信部
51 面ファスナ(甲部)
52 面ファスナ(踵部)
53 面ファスナ(ソール部)
61 圧力センサ
62 受圧板
63 シャンク(補強板)
70 制御部
71 制御部
91 記録媒体
92 データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20