(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039909
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】無線電力伝送を行うシステム、基地局、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20240315BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20240315BHJP
H04W 72/20 20230101ALI20240315BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20240315BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20240315BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20240315BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240315BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H04W16/28
H04B7/06 956
H04W72/04 136
H04W84/18 110
H02J50/20
H02J50/80
H02J50/40
H02J7/00 301D
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144638
(22)【出願日】2022-09-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-26
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度 国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/完全ワイヤレス社会実現を目指したワイヤレス電力伝送の高周波化および通信との融合技術」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】中本 悠太
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】平川 昂
(72)【発明者】
【氏名】太田 喜元
【テーマコード(参考)】
5G503
5K067
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503DA04
5G503GB09
5K067AA21
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE08
5K067EE10
5K067KK02
(57)【要約】
【課題】端末装置からのフィードバック情報に基づいて端末装置への無線電力伝送を適切に制御することができるシステムを提供する。
【解決手段】基地局は、移動通信の上りリンクを介して給電対象の端末装置からフィードバック情報を取得し、フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成し、制御信号に基づいてアンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、アンテナの無線電力伝送用ビームを介して無線電力伝送用信号を含む送信信号を端末装置に送信する。端末装置は、基地局から送信された無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信し、無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局から無線電力伝送を行うシステムであって、
前記基地局は、
移動通信の上りリンクを介して給電対象の端末装置からフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成する通信制御部と、
前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信する無線処理部と、を有し、
前記端末装置は、
前記基地局から送信された前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信する無線処理部と、
前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を、受電電力として出力する電力出力部と、を有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、
前記基地局及び前記端末装置は、移動通信の上りリンクを介して互いに無線通信可能であり、
前記基地局は、前記端末装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を前記端末装置から直接受信する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1のシステムにおいて、
有線又は無線の通信路を介して前記端末装置に接続され、前記基地局との間で移動通信の上りリンクを介して無線通信可能な中継装置を備え、
前記基地局は、前記中継装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を受信する、ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1のシステムにおいて、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、
前記基地局は、前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1のシステムにおいて、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、
前記基地局は、
前記受電端末情報を含む前記フィードバック情報を外部プラットフォームに転送し、
前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成した前記外部プラットフォームから前記制御情報を受信する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1のシステムにおいて、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報に基づいて前記端末装置が生成した前記制御情報を含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかのシステムにおいて、
前記受電端末情報は、前記端末装置への無線電力伝送を要求する要求情報、前記端末装置を識別可能な識別情報、前記端末装置の位置情報、前記端末装置における受信電力情報、前記端末装置における受電ビームの情報、前記端末装置における無線電力伝送の電波の到来方向の情報、前記端末装置に備える電池の残量情報及び前記端末装置への無線電力伝送を承認する承認情報の少なくとも1つの情報を含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかのシステムにおいて、
前記基地局は、
複数の端末装置のそれぞれについて、前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を生成し、
前記端末装置ごとに異なる複数のビームを用いて前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を送信する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
給電対象の端末装置と無線通信可能な基地局であって、
移動通信の上りリンクを介して端末装置からフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成する通信制御部と、
前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信する無線処理部と、
を備える、ことを特徴とする基地局。
【請求項10】
請求項9の基地局において、
当該基地局は、
移動通信の上りリンクを介して前記端末装置と無線通信可能であり、
前記端末装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を前記端末装置から直接受信する手段を備える、
ことを特徴とする基地局。
【請求項11】
請求項9の基地局において、
当該基地局は、
移動通信の上りリンクを介して、有線又は無線の通信路を介して前記端末装置に接続された中継装置と無線通信可能であり、
前記中継装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を受信する手段を備える、
ことを特徴とする基地局。
【請求項12】
請求項9の基地局において、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、
当該基地局は、前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成する手段を備える、
ことを特徴とする基地局。
【請求項13】
請求項9の基地局において、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、
当該基地局は、
前記受電端末情報を含む前記フィードバック情報を外部プラットフォームに転送する手段と、
前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成した前記外部プラットフォームから前記制御情報を受信する手段と、を備える、
ことを特徴とする基地局。
【請求項14】
請求項9の基地局において、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報に基づいて前記端末装置が生成した前記制御情報を含む、
ことを特徴とする基地局。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれかの基地局において、
前記受電端末情報は、前記端末装置への無線電力伝送を要求する要求情報、前記端末装置を識別可能な識別情報、前記端末装置の位置情報、前記端末装置における受信電力情報、前記端末装置における受電ビームの情報、前記端末装置における無線電力伝送の電波の到来方向の情報、前記端末装置に備える電池の残量情報及び前記端末装置への無線電力伝送を承認する承認情報の少なくとも1つの情報を含む、
ことを特徴とする基地局。
【請求項16】
請求項9乃至14のいずれかの基地局において、
複数の端末装置のそれぞれについて、前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を生成する手段と、
前記端末装置ごとに異なる複数のビームを用いて前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を送信する手段と、
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項17】
基地局と無線通信可能な端末装置であって、
移動通信の上りリンクを介して無線電力伝送に関するフィードバック情報を前記基地局に送信し、前記基地局から送信された無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信する無線処理部と、
前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を、受電電力として出力する電力出力部と、
を備える、ことを特徴とする端末装置。
【請求項18】
請求項17の端末装置において、
前記フィードバック情報は、当該端末装置における受電に関する受電端末情報に基づいて当該端末装置が生成した制御情報を含む、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項19】
基地局から無線電力伝送を行う方法であって、
前記基地局が、移動通信の上りリンクを介して給電対象の端末装置からフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成することと、
前記基地局が、前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信することと、
前記端末装置が、前記基地局から送信された前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信することと、
前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を、受電電力として出力することと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項20】
端末装置と無線通信可能な基地局に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
移動通信の上りリンクを介して給電対象の端末装置から、前記端末装置の無線電力伝送に関するフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成するためのプログラムコードと、
前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信するためのプログラムコードと、
を含む、ことを特徴とするプログラム。
【請求項21】
基地局と無線通信可能な端末装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
移動通信の上りリンクを介して無線電力伝送に関するフィードバック情報を前記基地局に送信し、前記基地局から送信された無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信するためのプログラムコードと、
前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を、受電電力として出力するためのプログラムコードと、
を含む、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力伝送(WPT)を行うことができるシステム、基地局、端末装置、方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無線フレームに設定された複数の無線リソースの少なくとも一部を用いて基地局と端末装置との間で通信を行う通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の通信システムにおいて基地局に接続して通信する端末装置として、内蔵電池から供給される電力を主に利用する携帯型の端末装置がある。この端末装置では、内蔵電池の残量が少なくなったときに内蔵電池を充電する煩雑な作業が必要である。また、内蔵電池ではなく有線接続の電源ラインから供給される電力を利用する端末装置は、そのような電源ラインを利用可能な場所での使用に制限される。このように基地局に接続して通信を行う様々な端末装置への給電をまかなうことができるような給電インフラが未整備である。
【0005】
第5世代及びその後の次世代の移動通信システムでは、基地局に接続して通信する端末装置(例えば、ユーザ装置、IoTデバイス等)が急増してくるのが予想され、膨大なトラフィックを捌く通信インフラの整備が進められている。しかしながら、上記通信を行う膨大な数の端末装置への給電をまかなうことができる給電インフラは未整備のままである。
【0006】
上記端末装置へ給電する給電インフラとして、無線電力伝送(WPT)を行うシステムが検討されているが、端末装置への無線電力伝送(WPT)を適切に制御することが課題の一つになっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るシステムは、基地局から無線電力伝送を行うシステムである。前記基地局は、移動通信の上りリンクを介して給電対象の端末装置から、前記端末装置への無線電力伝送に関するフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成する通信制御部と、前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信する無線処理部と、を有する。前記端末装置は、前記基地局から送信された前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信する無線処理部と、前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を、受電電力として出力する電力出力部と、を有する。
【0008】
前記システムにおいて、前記基地局及び前記端末装置は、移動通信の上りリンクを介して互いに無線通信可能であり、前記基地局は、前記端末装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を前記端末装置から直接受信してもよい。
【0009】
前記システムにおいて、有線又は無線の通信路を介して前記端末装置に接続され、前記基地局との間で移動通信の上りリンクを介して無線通信可能な中継装置を備え、前記基地局は、前記中継装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を受信してもよい。
【0010】
前記システムにおいて、前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、前記基地局は、前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成してもよい。
【0011】
前記システムにおいて、前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、前記基地局は、前記受電端末情報を含む前記フィードバック情報を外部プラットフォームに転送し、前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成した前記外部プラットフォームから前記制御情報を受信してもよい。
【0012】
前記システムにおいて、前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報に基づいて前記端末装置が生成した前記制御情報を含んでもよい。
【0013】
前記システムにおいて、前記受電端末情報は、前記端末装置への無線電力伝送を要求する要求情報、前記端末装置を識別可能な識別情報、前記端末装置の位置情報、前記端末装置における受信電力情報、前記端末装置における受電ビームの情報、前記端末装置における無線電力伝送の電波の到来方向の情報、前記端末装置に備える電池の残量情報及び前記端末装置への無線電力伝送を承認する承認情報の少なくとも1つの情報を含んでもよい。
【0014】
前記システムにおいて、前記基地局は、複数の端末装置のそれぞれについて、前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を生成し、前記端末装置ごとに異なる複数のビームを用いて前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を送信してもよい。
【0015】
本発明の他の態様に係る基地局は、給電対象の端末装置と無線通信可能な基地局である。この基地局は、移動通信の上りリンクを介して前記端末装置から、前記端末装置への無線電力伝送に関するフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成する通信制御部と、前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信する無線処理部と、を備える。
【0016】
前記基地局において、移動通信の上りリンクを介して前記端末装置と無線通信可能であり、当該基地局は、前記端末装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を前記端末装置から直接受信する手段を備えてもよい。
【0017】
前記基地局において、移動通信の上りリンクを介して、有線又は無線の通信路を介して前記端末装置に接続された中継装置と無線通信可能であり、当該基地局は、前記中継装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を受信する手段を備えてもよい。
【0018】
前記基地局において、前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、当該基地局は、前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成する手段を備えてもよい。
【0019】
前記基地局において、前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、当該基地局は、前記受電端末情報を含む前記フィードバック情報を外部プラットフォームに転送する手段と、前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成した前記外部プラットフォームから前記制御情報を受信する手段と、を備えてもよい。
【0020】
前記基地局において、前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報に基づいて前記端末装置が生成した前記制御情報を含んでもよい。
【0021】
前記基地局において、前記受電端末情報は、前記端末装置への無線電力伝送を要求する要求情報、前記端末装置を識別可能な識別情報、前記端末装置の位置情報、前記端末装置における受信電力情報、前記端末装置における受電ビームの情報、前記端末装置における無線電力伝送の電波の到来方向の情報、前記端末装置に備える電池の残量情報及び前記端末装置への無線電力伝送を承認する承認情報の少なくとも1つの情報を含んでもよい。
【0022】
前記基地局において、複数の端末装置のそれぞれについて、前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を生成する手段と、前記端末装置ごとに異なる複数のビームを用いて前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を送信する手段と、を備えてもよい。
【0023】
本発明の更に他の態様に係る端末装置は、基地局と無線通信可能な端末装置である。この端末装置は、移動通信の上りリンクを介して無線電力伝送に関するフィードバック情報を前記基地局に送信し、前記基地局から送信された無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信する無線処理部と、前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を、受電電力として出力する電力出力部と、を備える。
【0024】
前記端末装置において、前記フィードバック情報は、当該端末装置における受電に関する受電端末情報に基づいて当該端末装置が生成した前記制御情報を含んでもよい。
【0025】
本発明の更に他の態様に係る方法は、基地局から無線電力伝送を行う方法である。この方法は、前記基地局が、移動通信の上りリンクを介して給電対象の端末装置から、前記端末装置への無線電力伝送に関するフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成することと、前記基地局が、前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信することと、前記端末装置が、前記基地局から送信された前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信することと、前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を、受電電力として出力することと、を含む。
【0026】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、端末装置と無線通信可能な基地局に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、移動通信の上りリンクを介して給電対象の端末装置から、前記端末装置への無線電力伝送に関するフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成するためのプログラムコードと、前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信するためのプログラムコードと、を含む。
【0027】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、基地局と無線通信可能な端末装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、移動通信の上りリンクを介して無線電力伝送に関するフィードバック情報を前記基地局に送信し、前記基地局から送信された無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信するためのプログラムコードと、前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を、受電電力として出力するためのプログラムコードと、を含む。
【0028】
前記システム、前記基地局、前記端末装置、前記方法及び前記プログラムにおいて、前記制御情報は、前記基地局のアンテナから前記端末装置へ電力伝送を行うときのビームフォーミング制御に関する情報を含んでもよい。
【0029】
前記システム、前記基地局、前記端末装置、前記方法及び前記プログラムにおいて、複数の端末装置のそれぞれについて、前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を生成し、前記端末装置ごとに異なる複数のビームを用いて前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を送信してもよい。
【0030】
前記システム、前記基地局、前記端末装置、前記方法及び前記プログラムにおいて、前記端末装置は、前記ダミー信号の受信電力を用いて充電される電池を有してもよい。
【0031】
前記システム、前記基地局、前記端末装置、前記方法及び前記プログラムにおいて、前記端末装置は、通信用アンテナを介して前記基地局と無線通信を行い、受電用アンテナを介して前記基地局からの前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信してもよい。
【0032】
前記システム、前記基地局、前記端末装置、前記方法及び前記プログラムにおいて、前記基地局と前記端末装置の通信における複数の無線リソースは、周波数軸上のサブキャリアと時間軸上のスロットとにより定義される複数のリソースブロックを含んでもよい。
【0033】
前記システム、前記基地局、前記端末装置、前記方法及び前記プログラムにおいて、前記無線電力伝送用信号は、前記無線電力伝送用信号は、通信信号よりもPAPR(ピーク電力対平均電力比)(「波高比」ともいう。)が小さい変調方式で変調して生成した信号であってもよい。例えば、前記無線電力伝送用信号は、Zadoff-Chu系列の符号を用いて変調され、時間に対して振幅が一定で位相が変化する変調信号であってもよい。また例えば、前記無線電力伝送用信号は、デジタル変調方式の複数のシンボル点のうち振幅が最大又は最大近傍の一又は複数のシンボル点で変調された信号であってもよい。ここで、前記基地局からの送信信号の一次変調方式はQAM(直交振幅変調)方式であり二次変調方式はOFDM(直交周波数多重変調)方式であり、前記無線電力伝送用のダミー信号は、前記QAM方式の複数のシンボル点のうち振幅が最大のシンボル点で変調された信号であってもよい。
【0034】
前記基地局から端末装置への無線電力伝送の制御情報を生成するプログラムは、機械学習に用いられる学習済モデルを含む。すなわち、無線電力伝送の制御情報の生成には、機械学習を用いてもよい。例えば、端末装置の位置情報、端末装置における受信電力情報、受電ビームの情報、端末装置における無線電力伝送の電波の到来方向の情報、端末装置に備える電池の残量情報等の情報と、基地局から端末装置に実際に給電したときの無線電力伝送に関する情報とを紐づけた教師データにより学習済モデルを構築した上で、この学習済モデルに対して、端末装置のフィードバック情報を入力し、端末装置に所定目標電力を給電できる制御情報を生成させてもよい。学習済みモデルを用いるプログラムは、例えば,前記外部プラットフォームに組み込んでもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、給電対象の端末装置からのフィードバック情報に基づいて、端末装置への無線電力伝送を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】実施形態に係る無線電力伝送フィードバック制御を適用可能なシステムの全体構成の一例を示す説明図。
【
図2】実施形態に係るシステムにおける通信ULを介した無線電力伝送フィードバック制御の一例を示す説明図。
【
図3】
図2の無線電力伝送フィードバック制御を適用可能なシステムを構成する基地局及び端末装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図4】(a)は、実施形態に係る基地局から送信されるWPT用ダミー信号を含む送信信号の無線リソース(リソースブロック)におけるWPTブロックの割り当ての一例を示す説明図である。(b)は、実施形態に係る基地局から送信される送信信号のOFDM方式の二次変調における周波数軸上のスペクトルの一例を示す説明図である。
【
図5】(a)は、実施形態に係る基地局から送信される送信信号のQAM方式の一次変調におけるシンボル点の配置の一例を示す説明図である。(b)は、実施形態に係る基地局から送信されるWPTダミー信号の一次変調におけるシンボル点の配置の他の例を示す説明図である。
【
図6】実施形態に係る基地局から複数の端末装置へのビームフォーミングによる端末装置毎の給電の一例を示す説明図。
【
図7】
図6のシステムにおける送信信号の無線リソース(リソースブロック)の割り当ての一例を示す説明図。
【
図8】他の実施形態に係るシステムにおける通信ULを介した無線電力伝送フィードバック制御の一例を示す説明図。
【
図9】
図8の無線電力伝送フィードバック制御を適用可能なシステムを構成する基地局、中継装置及び端末装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図10】実施形態に係るシステムにおける無線電力伝送フィードバック制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係るシステムは、移動通信の基地局から給電対象の端末装置(例えば、移動通信のUE(移動局)やIoTデバイス)に対して無線電力伝送(WPT)することができるシステムである。実施形態のシステムは、例えば、UEなどの端末装置への下りリンクの無線フレームに設定された複数の無線リソース(リソースブロック)のうち通信に使用されていない通信未使用の無線リソース(リソースブロック)を端末装置への無線電力伝送(WPT)に有効活用したシステムである。実施形態のシステムは、基地局から端末装置への無線電力伝送(WPT)機能を有する、基地局と端末装置との間の無線通信システムであってもよい。また、実施形態のシステムは、基地局と端末装置との間の無線通信機能を有する、基地局から端末装置への無線電力伝送(WPT)システムであってもよい。
【0038】
特に、本実施形態のシステムでは、給電対象の端末装置における無線電力伝送に関するフィードバック情報としての受電端末情報(例えば、受電電力、位置情報、受電ビーム情報(方向、幅)、WPT電波の到来方向の情報、電池残量等の情報)を、通信信号(例えば、上りリンク(UL)の通信信号)を介して送信側の基地局にフィードバックし、フィードバックされた受電端末情報に基づいて基地局からの無線電力伝送(例えば、送信ビームの方向・幅、送信電力、給電に用いるアンテナ素子の分布など)を制御することにより、受電側の状態に応じて基地局からの無線電力伝送による給電を適切に行うことができる。
【0039】
図1は、本実施形態に係るシステムの概略構成の一例を示す説明図である。本実施形態のシステムは、通信エリア(セル)10Aを形成するセルラー方式の基地局10と、通信エリア10Aに在圏しているときに基地局10に接続して基地局10と無線通信可能な給電対象の端末装置(以下「UE」(ユーザ装置)ともいう。)20と、を有する。
【0040】
UE20は、移動通信システムの移動局でもよいし、通信装置(例えば移動通信モジュール)と各種デバイスとを組み合わせたものであってもよい。UE20は、例えば複数のアンテナ素子を有するアレーアンテナを備える。UE20はIoTデバイス(「IoT機器」ともいう。)であってもよい。また、UE20は、IoTデバイス等の給電対象の端末装置(子機)と基地局10との間の通信を中継する中継装置(親機)として機能してもよい。
【0041】
また、後述の他の構成例のように、給電対象の端末装置は、基地局10との通信を中継する移動局等の中継装置(親機)に接続されたIoTデバイス(子機)であってもよい。この場合、IoTデバイス(子機)20と、基地局10と無線通信可能な移動局等の中継装置(親機)との間は、例えば、データや情報の送受信ができるように有線又は無線の通信路で接続される。有線の通信路は例えばEthernet(登録商標)等のLANケーブルである。無線の通信路は例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等のBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN、ZigBee(登録商標)等の無線通信路である。また、無線の通信路は、UWB(超広帯域)通信の通信路であってもよい。UWB通信は、広帯域(例えば、数GHz帯中の任意の周波数を中心とした数百MHzの帯域幅)の微弱電波での通信技術であり、IEEE802.15.4で定義されている。
【0042】
図1において、基地局10は、多数のアンテナ素子を有する複数のアレーアンテナ110を備え、複数のUE20との間でmassive MIMO(以下「mMIMO」ともいう。)伝送方式の通信を行うことができる。mMIMOは、アレーアンテナ110を用いてデータ送受信を行うことにより大容量・高速通信を実現する無線伝送技術である。また、複数のUE20のそれぞれに対して時分割で又は同時にビーム10Bを形成するビームフォーミングを行うMU(Multi User)-MIMO伝送方式で通信を行うことができる。多素子のアレーアンテナを用いてMU-MIMO伝送を行うことにより、各UE20の通信環境に応じてUE20ごとに適切なビームを向けて通信できるため、セル全体の通信品質を改善できる。また、同一の無線リソース(時間・周波数リソース)を用いて複数のUE20との通信ができるため、システム容量を拡大することができる。
【0043】
また、
図1において、通信エリア10A内の一部は、基地局10から端末装置20に向けて無線電力伝送を行う無線電力伝送エリア(以下「WPTエリア」という。)10A'になっている。WPTエリア10A'は図示のように通信エリア10Aよりも狭いエリアでもよいし、通信エリア10Aと同じ又はほぼ同じサイズ及び位置のエリアであってもよい。
【0044】
WPTエリア10A'では、基地局10からの下りリンクの無線フレームを構成する複数の無線リソース(時間・周波数リソース)であるリソースブロックのうち通信に用いられていない通信未使用の無線リソース(リソースブロック)を無線電力伝送ブロックとして活用している。基地局10は、UE20への下りリンクの無線フレームにおいて、通信未使用の無線リソースである無線電力伝送ブロック(WPTブロック)に無線電力伝送用のダミー信号(以下「WPT用ダミー信号」ともいう。)を割り当てた送信信号を生成してUE20に送信する。
【0045】
特に、第5世代又はそれ以降の世代の移動通信システムにおいては、無線フレームの一部のサブキャリアのみに必要最小限の参照信号(RS)や制御信号を配置するリーンキャリアという技術が提案されており、無線フレームにおける通信未使用の無線リソースの部分を有効活用してUE20への無線電力伝送を行うことが期待される。
【0046】
基地局10とUE20との間で送受信される通信の信号の電波及び基地局10からUE20に送信されるWPT用ダミー信号を割り当てた送信信号の電波は、例えば、ミリ波又はマイクロ波である。
【0047】
図2は、
図1のシステムにおける通信の上りリンク(以下「通信UL」ともいう。)を介した無線電力伝送フィードバック制御の一例を示す説明図である。
図2において、基地局10は、基地局10とUE20との間に構築された通信ULを介して、UE20への無線電力伝送に関するフィードバック情報を直接受信して取得する。
【0048】
フィードバック情報は、例えば、端末装置(UE)20における受電に関する受電端末情報(「WPT受電情報」、「WPT端末情報」、「WPT情報」ともいう。)を含んでもよい。受電端末情報は、例えば、UE20への無線電力伝送を要求する要求情報(WPT要求)、UE20を識別可能な識別情報、UE20の位置情報、UE20における受信電力情報、UE20における受信電力情報、UE20における受電ビーム情報(例えば、受電ビームの方向、幅などの情報)、UE20におけるWPT電波の到来方向の情報、UE20に備える電池の残量情報及びUE20への無線電力伝送を承認する承認情報の少なくとも1つの情報を含む。ここで、UE20のアンテナを通る水平面を基準にしてアンテナの受電ビーム(アンテナ指向特性における主ビーム)の方位の情報と、天頂角又は仰角の情報である。また、WPT電波の到来方向の情報は、UE20のアンテナを通る水平面を基準にしてWPT電波の到来方向の方位の情報と、天頂角又は仰角の情報である。
【0049】
基地局10のアレーアンテナ110で受信したUE20からのフィードバック情報(FB情報)は、通信制御部115に送られる。通信制御部115は、UE20からのフィードバック情報に基づいて制御情報を生成し、その制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号(WPT信号)を含む下りリンク(DL)の送信信号と、基地局10のアレーアンテナ110の無線電力伝送用ビームフォーミング(WPTビームフォーミング)の制御信号(BF制御信号)とを生成してアレーアンテナ110に送る。アレーアンテナ110は、BF制御信号に基づいてUE20の方向に無線電力伝送用ビーム(WPTビーム)を形成し、そのWPTビームにより、下りリンク(DL)の無線リソースの一部を介してWPT信号を含む下りリンク(DL)の送信信号を送信する。
【0050】
基地局10の通信制御部115は、UE20から受信したフィードバック情報を外部プラットフォーム55のクラウドシステムやサーバ等に転送し、フィードバック情報に基づいて外部プラットフォーム55で生成された制御情報を受信し、その制御情報に基づいて、WPT信号を含む下りリンク(DL)の送信信号とBF制御信号とを生成してもよい。
【0051】
基地局10の通信制御部115は、UE20から受信したフィードバック情報に含まれる制御情報に基づいて、WPT信号を含む下りリンク(DL)の送信信号とBF制御信号とを生成してもよい。この場合、制御情報は、UE20における受電に関する受電端末情報に基づいてUE20が生成する。
【0052】
図3は、
図2の無線電力伝送フィードバック制御を適用可能なシステムを構成する基地局10及び端末装置(UE)20の主要構成の一例を示すブロック図である。基地局10は、基地局装置100とアンテナ110とを備える。アンテナ110は、例えば、
図1及び
図2に示すように多数のアンテナ素子を有するアレーアンテナである。アンテナ110は単数でもよいし複数であってもよい。例えば、アンテナ110は複数のセクタセルに対応させて複数配置してもよい。
【0053】
基地局装置100は、通信信号処理部120と無線処理部130と電力伝送制御部140とNW通信部150とを備える。通信信号処理部120は、UE20との間で送受信される各種のユーザデータや制御情報等の信号を処理する。無線処理部130は、通信信号処理部120で生成した送信信号をアンテナ110からUE20に送信したり、UE20からアンテナ110を介して受信した受信信号を通信信号処理部120に出力したりする。
【0054】
前述の通信制御部115は、通信信号処理部120及び電力伝送制御部140で構成される。電力伝送制御部140は、UE20からのフィードバック情報に基づいて制御情報を生成して通信信号処理部120に送る。電力伝送制御部140は、制御情報に基づいてBF制御信号を生成して無線処理部130に送る。通信信号処理部120は、電力伝送制御部140から受けた制御情報に基づいて、WPT信号を含む下りリンク(DL)の送信信号を生成して無線処理部130に送る。
【0055】
電力伝送制御部140は、UE20からの受信したフィードバック情報をNW通信部150に転送し、フィードバック情報に基づいて外部プラットフォーム55で生成された制御情報をNW通信部150から受信し、その制御情報に基づいて、WPT信号を含む下りリンク(DL)の送信信号とBF制御信号とを生成してもよい。
【0056】
NW通信部150は、有線又は無線の通信回線を介して通信ネットワーク50に接続され、外部プラットフォーム55のクラウドシステム、サーバなどと通信することができる。NW通信部150は、UE20から受信した通信データ又は情報を通信ネットワーク50側に送信したり、UE20に送信する通信データ又は情報を通信ネットワーク50側から受信したりすることもできる。
【0057】
特に、本実施形態において、通信信号処理部120は、UE20に対する下りリンクの通信の際に、複数の無線リソースのうち通信に使用されていない通信未使用の無線リソースを用いたWPT用ダミー信号を含む下りリンクの送信信号を生成する。WPT用ダミー信号を含む下りリンクの送信信号は、任意の変調方式で変調して生成することができる。例えば、WPT用ダミー信号は、デジタル変調方式の複数のシンボル点のうち振幅が最大のシンボル点で変調された信号であってもよい。また例えば、送信信号の生成は、QAM(直交振幅変調)等の一次変調及びOFDM(直交周波数多重)変調等の二次変調を含んでもよい。また、UE20に対する下りリンク通信の送信信号に、通信未使用の無線リソースを用いたWPT用ダミー信号を含める処理は、基地局10が自律的に行ってもよいし、UE20からの要求若しくは指示又は外部プラットフォーム55からの要求若しくは指示に基づいて行ってもよい。
【0058】
また、本実施形態において、無線処理部130は、BF制御信号に基づいてアレーアンテナ110で形成される一又は複数のビームを制御する。また、無線処理部130は、通信信号処理部120で生成されたWPT用ダミー信号を含む下りリンクの送信信号を、アンテナ110を介してUE20に送信する。
【0059】
基地局10は、UE20に対する下りリンクの通信の際に、UE20毎に又は複数のUE20が属するターゲットエリアのUEグループ毎に、個別のビーム10Bを形成するビームフォーミング(BF)制御を行い、UE20毎に又はUEグループ毎に無線電力伝送を行ってもよい。UE20毎又はUEグループ毎のBF制御は、通信信号処理部120における周波数領域のデジタルBF制御で行ってもよいし、無線処理部130におけるアナログBF制御で行ってもよい。
【0060】
図3において、UE20は、アンテナ210と無線処理部220と通信信号処理部230と電力出力部240と電池250とを含む。アンテナ210は、例えば複数のアンテナ素子を有する小型のアレーアンテナである。無線処理部220は、通信信号処理部230で生成したフィードバック情報やユーザデータ等の送信信号をアンテナ210から基地局10に送信したり、基地局10からアンテナ210を介して受信した受信信号を通信信号処理部230に出力したりする。
【0061】
本実施形態において、無線処理部220は、基地局10から送信されたWPT用ダミー信号を含む送信信号を受信する。また、電力出力部240は、例えば整流器を有し、基地局10からのWPT用ダミー信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を、電池充電用の受電電力として出力する。電力出力部240から出力された受電電力により、電池250を充電することができる。
【0062】
無線処理部220は、受電ビーム情報(例えば、受電ビームの方向、幅などの情報)、WPT電波の到来方向の情報などの受電に関する情報を測定又は取得する機能を有してもよい。電力出力部240は、受電電力を測定する機能を有してもよい。通信信号処理部230は、送電(Tx)側の基地局におけるWPT制御情報を生成する機能を有してもよい。受電ビーム情報、WPT電波の到来方向の情報などの受電に関する情報、受電電力の情報、制御情報の少なくとも1つは、基地局10へのフィードバック情報に含めることができる。
【0063】
図4(a)は、本実施形態に係る基地局10から送信されるWPT用ダミー信号を含む送信信号の無線リソース(リソースブロック)におけるWPTブロックの割り当ての一例を示す説明図である。また、
図4(b)は、本実施形態に係る基地局10から送信される送信信号のOFDM方式の二次変調における周波数軸上のスペクトルの一例を示す説明図である。
図4(a)に示すように、本実施形態のシステムにおける下りリンク通信及び上りリンク通信で用いられる複数の無線リソースは、周波数軸上のサブキャリアと時間軸上のスロットとにより定義される複数のリソースブロック30である。各リソースブロック30は、
図4(b)に示すように周波数軸上で互いに直交する所定帯域幅のサブキャリア33を有する。
【0064】
図4(a)の無線リソースを構成するリソースブロック30は、上りリンクのリソースブロック31Uと下りリンクのリソースブロック31D,32とを含む。上りリンクの複数のリソースブロック31Uは、ユーザデータの上りリンク通信の信号及びWPT用のフィードバック情報の通信の信号に割り当てられる。また、下りリンクの複数のリソースブロックのうち、一部のリソースブロック31Dは、ユーザデータや情報の下りリンク通信の信号に割り当てられ、図中のクロスハッチングを付している残りの部分のリソースブロック32はWPTブロックとして割り当てられる。
【0065】
本実施形態では、電力増幅器131の高出力電力及び高効率の領域でWPT用ダミー信号を増幅できるように、WPT用ダミー信号として、
図5(a)及び
図5(b)に例示するようなPAPR(ピーク電力対平均電力比)が通信信号よりも低いOFDM変調信号を用いてもよい。
【0066】
図5(a)は、本実施形態に係る基地局10から送信される送信信号のQAM方式の一次変調におけるシンボル点40の配置の一例を示す説明図である。
図5(a)は、64QAM方式の場合の複数のシンボル点(64値のシンボル点)の配置を示すコンスタレーションの図であり、横軸は同相チャネル成分を示し,縦軸は直交チャネル成分を示している。本実施形態において、QAM方式の複数のシンボル点40の任意のシンボル点で変調されたWPT用ダミー信号を用いることができる。例えば、QAM方式の複数のシンボル点40のうち、振幅が最大である最外周のいずれか一又は複数のシンボル点41で変調されたWPT用ダミー信号を用いてもよい。この場合は、UE20等の端末装置への伝送電力を最大化することができる。また、例えば伝送電力を最大化する必要のない場合は、最外周のシンボル点以外の任意のシンボル点で変調してもよい。例えば、UE20などの端末装置から受信したフィードバック情報に含まれる電力制御情報で指示された伝送電力に基づいて、WPT用ダミー信号の変調に用いるシンボル点を判断して選択してもよいし、UE20等の端末装置20から受信した受電端末情報に含まれる受電ビーム情報(例えばビーム方向やビーム幅の情報)、WPT電波の到来方向の情報、電池残量情報などに基づいて、WPT用ダミー信号の変調に用いるシンボル点を判断して選択してもよい。
【0067】
図5(b)は、本実施形態に係る基地局10から送信されるWPTダミー信号の一次変調におけるシンボル点の配置の他の例を示す説明図である。
図5(b)のコンスタレーション図に示すように、時間に対して振幅が一定の条件で位相が変化するシンボル点42で変調されたOFDM変調信号からなるWPT用ダミー信号を用いてもよい。
図5(b)のシンボル点42でOFDM変調信号は、例えばZadoff-Chu系列の符号を用いて生成することができる。
図5(b)の変調信号で生成したWPT用ダミー信号を用いる場合も、UE20等の端末装置への伝送電力を最大化することができる。この場合も、例えば、UE20などの端末装置から受信したフィードバック情報に含まれる電力制御情報で指示された伝送電力に基づいて、WPT用ダミー信号の変調に用いるシンボル点の数などを判断して設定してもよいし、UE20等の端末装置20から受信した受電端末情報に含まれる受電ビーム情報(例えばビーム方向やビーム幅の情報)、WPT電波の到来方向の情報、電池残量情報などに基づいて、WPT用ダミー信号の変調に用いるシンボル点の数などを判断して設定してもよい。
【0068】
図1~
図5のシステムによれば、基地局10からUE20への下りリンク通信において、通信未使用の無線リソースを無線電力伝送ブロック(WPTブロック)として有効活用し、基地局10からUE20への無線電力伝送(WPT)を行うことができる。また、上りリンク通信を用いて、UE20の受電端末情報などのフィードバック情報を基地局10にアップロードすることができる。
【0069】
図6は、本実施形態に係る基地局10から複数のUE20へのビームフォーミングによるUE毎の給電の一例を示す説明図である。
図7は、
図6のビームフォーミングによるUE毎の給電を行うときのWPTブロックの割り当ての一例を示す説明図である。
図6及び
図7は、通信エリア10A内のWPTエリア10A'(前述の
図1参照)に複数のUE20(1)~20(3)が在圏し、UE毎に形成したビーム10B(1)~10B(3)を介して各UE20(1)~20(3)に給電する例を示している。
【0070】
図6において、基地局10の基地局装置100は、通信信号処理部120又は無線処理部130においてUE毎のビームフォーミング(BF)制御で行う。各UE20(1)~20(3)に対するWPTブロックの割り当ては、例えば
図7に示すように行うことができる。
図7において移動通信で用いられる複数のリソースブロック30の一部分が、下りリンク通信の信号が割り当てられる通信用リソースブロック31D及び複数のWPTブロック32(1)~32(3)として用いられる。図中の第1のハッチングを付している6つのWPTブロック32(1)が第1のUE20(1)へのビーム10B(1)を介した給電に用いられ、第2のハッチングを付している4つのWPTブロック32(2)が第2のUE20(2)へのビーム10B(2)を介した給電に用いられる。また、図中のクロスハッチングを付している4つのWPTブロック32(3)が第3のUE20(3)へのビーム10B(3)を介した給電に用いられる。リソースブロック30の残りの部分が、上りリンク通信の信号が割り当てられる通信用リソースブロック31Uとして用いられる。
【0071】
図8は、他の実施形態に係るシステムにおける通信ULを介した無線電力伝送フィードバック制御の一例を示す説明図である。なお、
図8において、前述の
図2と同様な部分については説明を省略する。
図8の例において、給電対象の端末装置は、基地局10との通信を中継する中継装置(親機)60に接続されたIoTデバイス(子機)21である。中継装置(親機)60は、基地局10と無線通信を行うことができる移動通信システムの移動局(UE)等である。IoTデバイス(子機)21と中継装置(親機)60との間は、例えば、データや情報の送受信ができるように有線又は無線の通信路70で接続される。有線の通信路は例えばEthernet(登録商標)等のLANケーブルである。無線の通信路は例えばBLE等のBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN、ZigBee(登録商標)等の無線通信路である。給電対象の端末装置であるIoTデバイス21の受電端末情報を含むフィードバック情報は、通信路22を介して中継装置60に送られ、UL通信を介して中継装置60から基地局10に転送される。
【0072】
図8において、受電(Rx)側から基地局10に送信されるフィードバック情報は、IoTデバイス(端末装置)21における受電に関する受電端末情報を含んでもよい。この受電端末情報は、例えば、IoTデバイス21への無線電力伝送を要求する要求情報(WPT要求)、IoTデバイス21を識別可能な識別情報、IoTデバイス21の位置情報、IoTデバイス21における受信電力情報、IoTデバイス21における受電ビーム情報(例えば、受電ビームの方向、幅などの情報)、IoTデバイス21におけるWPT電波の到来方向の情報、IoTデバイス21に備える電池の残量情報及びIoTデバイス21への無線電力伝送を承認する承認情報の少なくとも1つの情報を含む。ここで、受電ビームの方向の情報は、例えば、IoTデバイス21のアンテナを通る水平面を基準にしてアンテナの受電ビーム(アンテナ指向特性における主ビーム)の方位の情報と、天頂角又は仰角の情報である。また、WPT電波の到来方向の情報は、IoTデバイス21のアンテナを通る水平面を基準にしてWPT電波の到来方向の方位の情報と、天頂角又は仰角の情報である。
【0073】
図9は、
図8の無線電力伝送フィードバック制御を適用可能なシステムを構成する基地局、中継装置及び端末装置の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図9において、前述の
図3と同様な部分については説明を省略する。
【0074】
図9において、一又は複数の端末装置としてのIoTデバイス21は有線又は無線の通信路70を介して中継装置60に接続される。IoTデバイス21は、有線又は無線の通信路70を介して中継装置60との間で情報を送受信するための通信するためのローカル通信部270を備える。
【0075】
中継装置60は、アンテナ610と無線処理部620と通信信号処理部630とローカル通信部640とを含む。アンテナ610は、例えば複数のアンテナ素子を有する小型のアレーアンテナである。無線処理部620は、通信信号処理部230で生成したユーザデータやIoTデバイス21から受けたフィードバック情報や等の送信信号をアンテナ610から基地局10に送信したり、基地局10からアンテナ610を介して受信した受信信号を通信信号処理部630に出力したりする。ローカル通信部640は、有線又は無線の通信路70を介してIoTデバイス21との間で情報を送受信する。
【0076】
図10は、実施形態に係るシステムにおける無線電力伝送フィードバック制御の一例を示すフローチャートである。なお、
図10において、Tx側は基地局10(特に、通信制御部115)を含む。また、Rx側は、給電対象のUE20(
図2、
図3参照)を含み、又は、中継装置60及び給電対象のIoTデバイス21を含む。また、
図10の無線電力伝送フィードバック制御は、基地局10の通信制御部115で用いる制御情報を生成する処理(以下「WPTデータ処理」ともいう。)をRx側で行う場合、WPTデータ処理をTx側の通信制御部115で行う場合及びWPTデータ処理を外部プラットフォーム55で行う場合のそれぞれに対応している。
【0077】
図10において、無線電力伝送フィードバック制御は、Tx側の制御フロー(S100)と、Rx側の制御フロー(S200)とを含む。Tx側の制御フロー(S100)において、まず、Tx側は、無線電力伝送の制御条件(例えば、WPTビームの方向、出力電力、送信アンテナのWPTに用いるアンテナ素子の分布、WPTブロックの割り当て)を初期条件及び初期値に設定する初期設定を実行する(S101)。
【0078】
次に、フィードバック制御を行わない場合(S102でOFF)、Tx側は、初期設定の制御条件で基地局10の無線処理部130を制御し(S103)、WPT用ダミー信号を含む送信信号を生成し、基地局10のアンテナ110からRx側の給電対象の端末装置20、21にWPTの電波を放射する(S104)。
【0079】
一方、フィードバック制御を行う場合(S102でON)、Tx側は、移動通信の通信ULを介して、Rx側からのフィードバック情報を受信して取得する(S105)。ここで、Rx側でWPTデータ処理が行われ、そのRx側でのWPTデータ処理で生成された制御情報(以下「WPT制御情報」という。)がフィードバック情報に含まれている場合(S106でYES)は、Tx側は、Rx側のWPT制御情報に基づいて設定された制御条件で基地局10の無線処理部130を制御し(S103)、WPT用ダミー信号を含む送信信号を生成し、基地局10のアンテナ110からRx側の給電対象の端末装置20、21にWPTの電波を放射する(S104)。
【0080】
また、Rx側でWPTデータ処理が行われず(S106でNo)、Tx側でWPTデータ処理を行う場合(S107でYES)、Tx側は、Rx側から受信したフィードバック情報に含まれる受信端末情報(以下「WPT端末情報」という。)に基づいて、対応する端末装置についてWPTデータ処理を行ってWPT制御情報を生成する(S108)。Tx側は、WPTデータ処理で生成したWPT制御情報に基づいて設定された制御条件で基地局10の無線処理部130を制御し(S103)、WPT用ダミー信号を含む送信信号を生成し、基地局10のアンテナ110からRx側の給電対象の端末装置20、21にWPTの電波を放射する(S104)。
【0081】
また、Rx側でWPTデータ処理が行われず(S106でNo)、外部プラットフォーム55でWPTデータ処理を行う場合(S107でNO)、Tx側は、Rx側から受信したフィードバック情報を外部プラットフォーム55に転送する。外部プラットフォーム55は、フィードバック情報に含まれるWPT端末情報に基づいて、対応する端末装置についてWPTデータ処理を行ってWPT制御情報を生成する(S109)。Tx側は、WPTデータ処理で生成されたWPT制御情報を外部プラットフォーム55から受信し、そのWPT制御情報に基づいて設定された制御条件で基地局10の無線処理部130を制御し(S103)、WPT用ダミー信号を含む送信信号を生成し、基地局10のアンテナ110からRx側の給電対象の端末装置20、21にWPTの電波を放射する(S104)。
【0082】
Rx側の制御フロー(S200)では、まず、Rx側の端末装置(以下「WPT端末」ともいう。)は、Tx側から放射されてWPTの電波を受信して電力を受電し(S201)、WPT受電情報を測定する(S202)。WPT受電情報は、Tx側へのフィードバック情報に含めるWPT端末情報の一部になる。
【0083】
ここで、Rx側でWPTデータ処理を行う場合(S203でYES)、Rx側は、WPTデータ処理を行ってWPT制御情報を生成する(S204)。WPT制御情報は、WPT端末情報の一部になり、フィードバック情報に含められる。一方、Rx側でWPTデータ処理を行わない場合(S203でNO)、Rx側は、WPTデータ処理を行わず、WPT制御情報はフィードバック情報に含められない。
【0084】
次に、Rx側は、Tx側の基地局10に対する通信上りリンク(通信UL)の情報に、WPT端末情報を含むフィードバック情報を設定する(S205)。
【0085】
なお、実施形態の無線電力伝送フィードバック制御において、Rx側から受信したフィードバック情報のWPT端末情報に受信電力情報を含む場合、基地局10の電力伝送制御部140は、その受信電力情報に基づいてWPT用ダミー信号の数又は送信電力を制御してもよい。例えば、受信電力が低い場合は送信信号に含めるWPT用ダミー信号の数を多く又は送信電力を高くし、受信電力が高い場合は送信信号に含めるWPT用ダミー信号の数を少なく又は送信電力を低くするように制御してもよい。
【0086】
また、実施形態の無線電力伝送フィードバック制御において、Rx側から受信したフィードバック情報のWPT端末情報に受電ビーム情報(ビーム方向、ビーム幅)を含む場合、基地局10の電力伝送制御部140は、その受信ビーム情報に基づいてWPT用ダミー信号の数又は送信電力を制御してもよい。例えば、端末装置20,21を基準にして受電ビーム(アンテナ指向特性における主ビーム)の方向と基地局のアンテナ方向との角度差が所定角度以上の場合は送信信号に含めるWPT用ダミー信号の数を多く又は送信電力を高くし、受電ビームの方向と基地局のアンテナ方向との角度差が所定角度未満の場合は送信信号に含めるWPT用ダミー信号の数を少なく又は送信電力を低くするように制御してもよい。
【0087】
また、実施形態の無線電力伝送フィードバック制御において、Rx側から受信したフィードバック情報のWPT端末情報にWPT電波の到来方向の情報を含む場合、基地局10の電力伝送制御部140は、そのWPT電波の到来方向の情報に基づいてWPT用ダミー信号の数又は送信電力を制御してもよい。例えば、端末装置20,21を基準にしてWPT電波の到来方向と事前測定した受電ビーム(アンテナ指向特性における主ビーム)の方向との角度差が所定角度以上の場合は送信信号に含めるWPT用ダミー信号の数を多く又は送信電力を高くし、WPT電波の到来方向と受電ビームの方向との角度差が所定角度未満の場合は送信信号に含めるWPT用ダミー信号の数を少なく又は送信電力を低くするように制御してもよい。
【0088】
また、実施形態の無線電力伝送フィードバック制御において、Rx側から受信したフィードバック情報にWPT要求を含む場合、Tx側の基地局10は、そのWPT要求をトリガーにしてRx側の端末装置20,21への無線電力伝送の制御を開始してもよい。
【0089】
また、実施形態の無線電力伝送フィードバック制御において、Rx側から受信したフィードバック情報のWPT端末情報が端末装置20.21の識別情報を含む場合、Tx側の基地局10の電力伝送制御部140は、その識別情報に基づいて端末データベースを参照し、WPT要求を送信してきた端末装置20.21が無線電力伝送対象の端末装置又は許可された端末装置であるか否かを判断し、その判断の肯定の場合のみWPT用ダミー信号を送信信号に含めるように制御してもよい。
【0090】
また、実施形態の無線電力伝送フィードバック制御において、WPT端末情報が端末装置20.21の位置情報を含む場合は、基地局10の電力伝送制御部140は、その位置情報に基づいて、端末装置20.21が予め許可されたエリアに位置する場合のみWPT用ダミー信号を送信信号に含めるように制御してもよい。
【0091】
また、実施形態の無線電力伝送フィードバック制御において、WPT端末情報が端末装置20.21の電池250の残量情報を含む場合は、基地局10の電力伝送制御部140は、その残量情報に基づいて、電池250の残量が少ない場合は送信信号に含めるWPT用ダミー信号の数を多くし、電池250の残量が多い場合は送信信号に含めるWPT用ダミー信号の数を少なくするように制御してもよい。
【0092】
また、実施形態の無線電力伝送フィードバック制御において、WPT端末情報が端末装置20.21の承認情報を含む場合は、基地局10の電力伝送制御部140は、その承認情報に基づいて、当該端末装置20.21が予め承認されている端末装置である場合のみWPT用ダミー信号を送信信号に含めるように制御してもよい。
【0093】
以上、本実施形態によれば、端末装置(UE20、IoTデバイス21)における無線電力伝送に関する受電端末情報等のフィードバック情報に基づいて、基地局10から端末装置20、21への無線電力伝送を適切に制御することができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、端末装置20、21からのフィードバック情報を、基地局10への通信ULを介してフィードバックできるので、基地局10へのフィードバック回線を別途設ける必要がない。
【0095】
また、本実施形態によれば、複数の端末装置20、21のそれぞれについて、端末装置20、21のフィードバック情報に基づいて基地局10から端末装置20、21への給電を動的に制御することにより、受電側の状態(例えば、端末装置の位置、受電電力、受電ビーム方向、電池の残量など)に応じて基地局10からの無線電力伝送による給電を効率的に行うことができる。
【0096】
特に、本実施形態において、基地局10で用いる無線電力伝送の制御情報を、外部プラットフォーム55で決定して生成する場合、端末承認情報及び端末装置20、21の移動予測に基づいて、無線電力伝送のビームフォーミング対象の端末装置20、21及びビーム方向を決定することができ、高度な無線電力伝送制御が可能になる。
【0097】
特に、本実施形態において、基地局10で用いる無線電力伝送の制御情報を基地局10で決定して生成する場合、リアルタイム性に優れた無線電力伝送制御が可能になる。
【0098】
特に、本実施形態において、基地局10で用いる無線電力伝送の制御情報を端末装置20、21で決定して生成し、基地局10にフィードバック情報として送信する場合、上りリンク(UL)のフィードバック情報の情報量を少なくすることができる。
【0099】
また、本実施形態によれば、基地局10と端末装置20、21との間の通信未使用の無線リソースを利用して端末装置20、21への給電を行うことができる。
【0100】
また、本発明は、基地局10から送信された電波を受信可能な多数の端末装置20、21への給電をまかなうことができる給電インフラを提供できるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0101】
なお、本明細書で説明された処理工程並びにシステム、端末装置(UE、IoTデバイス)、基地局、移動局、中継装置及び制御装置の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0102】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、基地局装置(Node B、Node G)、端末装置、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0103】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0104】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0105】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0106】
10 :基地局
10A :通信エリア
10A' :WPTエリア
10B :ビーム
20 :端末装置(UE)
21 :端末装置(IoTデバイス)
30 :リソースブロック
31D :通信用リソースブロック(下りリンク)
31U :通信用リソースブロック(上りリンク)
32 :WPTブロック(無線電力伝送用ブロック)
32(1)~32(3) :WPTブロック(無線電力伝送用ブロック)
33 :サブキャリア
40 :シンボル点
41 :シンボル点
50 :通信網
55 :外部プラットフォーム
60 :中継装置としての端末装置(移動局、UE)
70 :有線又は無線の通信路
100 :基地局装置
110 :アンテナ(アレーアンテナ)
115 :通信制御部
120 :通信信号処理部
130 :無線処理部
140 :電力伝送制御部
210 :アンテナ(アレーアンテナ)
230 :通信信号処理部
240 :電力出力部
250 :電池
260 :IoTデバイス(内蔵)
【手続補正書】
【提出日】2023-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局から無線電力伝送を行うシステムであって、
前記基地局は、
移動通信の上りリンクを介して給電対象の端末装置からフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成する通信制御部と、
前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信する無線処理部と、を有し、
前記端末装置は、
前記基地局から送信された前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信する無線処理部と、
前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を、受電電力として出力する電力出力部と、を有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、
前記基地局及び前記端末装置は、移動通信の上りリンクを介して互いに無線通信可能であり、
前記基地局は、前記端末装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を前記端末装置から直接受信する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1のシステムにおいて、
有線又は無線の通信路を介して前記端末装置に接続され、前記基地局との間で移動通信の上りリンクを介して無線通信可能な中継装置を備え、
前記基地局は、前記中継装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を受信する、ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1のシステムにおいて、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、
前記基地局は、前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1のシステムにおいて、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、
前記基地局は、
前記受電端末情報を含む前記フィードバック情報を外部プラットフォームに転送し、
前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成した前記外部プラットフォームから前記制御情報を受信する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1のシステムにおいて、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報に基づいて前記端末装置が生成した前記制御情報を含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかのシステムにおいて、
前記受電端末情報は、前記端末装置への無線電力伝送を要求する要求情報、前記端末装置を識別可能な識別情報、前記端末装置の位置情報、前記端末装置における受信電力情報、前記端末装置における受電ビームの情報、前記端末装置における無線電力伝送の電波の到来方向の情報、前記端末装置に備える電池の残量情報及び前記端末装置への無線電力伝送を承認する承認情報の少なくとも1つの情報を含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかのシステムにおいて、
前記基地局は、
複数の端末装置のそれぞれについて、前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を生成し、
前記端末装置ごとに異なる複数のビームを用いて前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を送信する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
給電対象の端末装置と無線通信可能な基地局であって、
移動通信の上りリンクを介して端末装置からフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成する通信制御部と、
前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信する無線処理部と、
を備える、ことを特徴とする基地局。
【請求項10】
請求項9の基地局において、
当該基地局は、
移動通信の上りリンクを介して前記端末装置と無線通信可能であり、
前記端末装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を前記端末装置から直接受信する手段を備える、
ことを特徴とする基地局。
【請求項11】
請求項9の基地局において、
当該基地局は、
移動通信の上りリンクを介して、有線又は無線の通信路を介して前記端末装置に接続された中継装置と無線通信可能であり、
前記中継装置との間の上りリンクを介して、前記フィードバック情報を受信する手段を備える、
ことを特徴とする基地局。
【請求項12】
請求項9の基地局において、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、
当該基地局は、前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成する手段を備える、
ことを特徴とする基地局。
【請求項13】
請求項9の基地局において、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報を含み、
当該基地局は、
前記受電端末情報を含む前記フィードバック情報を外部プラットフォームに転送する手段と、
前記フィードバック情報に含まれる前記受電端末情報に基づいて前記制御情報を生成した前記外部プラットフォームから前記制御情報を受信する手段と、を備える、
ことを特徴とする基地局。
【請求項14】
請求項9の基地局において、
前記フィードバック情報は、前記端末装置における受電に関する受電端末情報に基づいて前記端末装置が生成した前記制御情報を含む、
ことを特徴とする基地局。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれかの基地局において、
前記受電端末情報は、前記端末装置への無線電力伝送を要求する要求情報、前記端末装置を識別可能な識別情報、前記端末装置の位置情報、前記端末装置における受信電力情報、前記端末装置における受電ビームの情報、前記端末装置における無線電力伝送の電波の到来方向の情報、前記端末装置に備える電池の残量情報及び前記端末装置への無線電力伝送を承認する承認情報の少なくとも1つの情報を含む、
ことを特徴とする基地局。
【請求項16】
請求項9乃至14のいずれかの基地局において、
複数の端末装置のそれぞれについて、前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を生成する手段と、
前記端末装置ごとに異なる複数のビームを用いて前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を送信する手段と、
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項17】
基地局から無線電力伝送を行う方法であって、
前記基地局が、移動通信の上りリンクを介して給電対象の端末装置からフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成することと、
前記基地局が、前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信することと、
前記端末装置が、前記基地局から送信された前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信することと、
前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を受信した受信信号の電力を、受電電力として出力することと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項18】
端末装置と無線通信可能な基地局に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
移動通信の上りリンクを介して給電対象の端末装置から、前記端末装置の無線電力伝送に関するフィードバック情報を取得し、前記フィードバック情報に基づいて生成された制御情報に基づいて、無線電力伝送用信号を含む送信信号と前記基地局のアンテナの無線電力伝送用ビームフォーミングの制御信号とを生成するためのプログラムコードと、
前記制御信号に基づいて前記アンテナの無線電力伝送用ビームを制御し、前記アンテナの無線電力伝送用ビームを介して前記無線電力伝送用信号を含む送信信号を前記端末装置に送信するためのプログラムコードと、
を含む、ことを特徴とするプログラム。