(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039917
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ボンベ付きガス供給装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/02 20060101AFI20240315BHJP
F17C 7/02 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
F17C13/02 301A
F17C7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144653
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】高城 充
(72)【発明者】
【氏名】幅崎 利已
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AA06
3E172AB16
3E172AB20
3E172BA01
3E172BB04
3E172BB13
3E172BD05
3E172DA90
3E172EB02
3E172EB18
3E172JA09
3E172KA03
3E172KA19
3E172KA28
(57)【要約】
【課題】ボンベ内のガス使用量を最大化することができるボンベ付きガス供給装置を提供する。
【解決手段】ボンベ付きガス供給装置1は、液化ガスが充填された第一ボンベ11と、液化ガスと同じ液化ガスが充填された第二ボンベ12と、第一ボンベ11の重量を測定する第一重量計21と、第二ボンベ12の重量を測定する第二重量計22と、第一ボンベ11と第二ボンベ12のうち少なくとも一つを調温する調温装置100と、第一ボンベ11から蒸発したガスを取り出す第一配管31と、第二ボンベ12から蒸発したガスを取り出す第二配管32と、第一配管31のガスと第二配管32のガスとを合流させてガスを供給する供給配管50と、第一重量計21の測定値と第二重量計22の測定値を基に、調温装置100を制御する制御装置60と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスが充填された第一ボンベと、
前記液化ガスと同じ液化ガスが充填された第二ボンベと、
前記第一ボンベの重量を測定する第一重量計と、
前記第二ボンベの重量を測定する第二重量計と、
前記第一ボンベと前記第二ボンベのうち少なくとも一つを調温する調温装置と、
前記第一ボンベから蒸発したガスを取り出す第一配管と、
前記第二ボンベから蒸発したガスを取り出す第二配管と、
前記第一配管のガスと前記第二配管のガスとを合流させてガスを供給する供給配管と、
前記第一重量計の測定値と前記第二重量計の測定値を基に、前記調温装置を制御する制御装置と、
を備える、ボンベ付きガス供給装置。
【請求項2】
前記調温装置はファンを有する、請求項1に記載のボンベ付きガス供給装置。
【請求項3】
前記調温装置が、ボンベの外周に水を循環させて調温する調温ジャケットを有する、請求項1に記載のボンベ付きガス供給装置。
【請求項4】
前記調温装置は前記第一ボンベと前記第二ボンベを格納する、ボンベ庫を有し、
前記ボンベ庫は、前記第一ボンベに隣接する第一換気口と前記第二ボンベに隣接する第二換気口を有し、
前記第一換気口は通過する空気の量を調節する第一ダンパーを有し、
前記第二換気口は通過する空気の量を調節する第二ダンパーを有し、
前記制御装置は前記第一重量計の測定値と前記第二重量計の測定値を基に、前記第一換気口の前記第一ダンパーと前記第二換気口の前記第二ダンパーを制御する、請求項1に記載のボンベ付きガス供給装置。
【請求項5】
前記第一ボンベと前記第二ボンベにそれぞれ前記調温装置を備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボンベ付きガス供給装置。
【請求項6】
前記液化ガスが塩素ガスまたは四フッ化ケイ素ガスである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボンベ付きガス供給装置。
【請求項7】
前記第一配管と前記第二配管はそれぞれ開閉弁を備え、前記制御装置により前記第一重量計の測定値と前記第二重量計の測定値を基に前記開閉弁の開閉を行う、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボンベ付きガス供給装置。
【請求項8】
前記第一ボンベと前記第二ボンベを含むボンベの数がN個(Nは3以上の自然数)であり、
前記第一重量計と前記第二重量計を含む、前記ボンベそれぞれの重量を測定する重量計の数が前記N個であり、
前記調温装置は前記N-1個のボンベまたは前記N個のボンベを調温し、
前記第一配管と前記第二配管を含む、前記N個のボンベそれぞれから蒸発したガスを取り出す配管の数がN本であり、
前記供給配管は前記N個の配管のガスを合流させてガスを供給し
前記制御装置は前記N個の重量計の測定値を基に、前記調温装置を制御する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボンベ付きガス供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボンベ付きガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のボンベ付きガス供給装置においては、複数のボンベを用いてガスを供給する例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のボンベ付きガス供給装置では、一方のボンベ内のガスが消耗したときに、これを検知して自動的にガス供給ラインを切り替えて他方のボンベを使用し、その間に消耗したボンベを新しいボンベに交換する。このような構成において例えば一方のボンベを2本のボンベとして、ガスを並列供給する場合、2本のうちの一方のボンベに多くガスが残った状態でボンベを交換することがあり、ボンベ内のガスを使いきれないという問題があった。
【0005】
本開示は、ガスを複数のボンベによって並列供給する際でも、ボンベ内のガス使用量を最大化することができるボンベ付きガス供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るボンベ付きガス供給装置は、
液化ガスが充填された第一ボンベと、
前記液化ガスと同じ液化ガスが充填された第二ボンベと、
前記第一ボンベの重量を測定する第一重量計と、
前記第二ボンベの重量を測定する第二重量計と、
前記第一ボンベと前記第二ボンベのうち少なくとも一つを調温する調温装置と、
前記第一ボンベから蒸発したガスを取り出す第一配管と、
前記第二ボンベから蒸発したガスを取り出す第二配管と、
前記第一配管のガスと前記第二配管のガスとを合流させてガスを供給する供給配管と、
前記第一重量計の測定値と前記第二重量計の測定値を基に、前記調温装置を制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記によれば、ガスを複数のボンベによって並列供給する際でも、ボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示に係るボンベ付きガス供給装置の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のボンベ付きガス供給装置の作動状態を表すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本開示に係るボンベ付きガス供給装置の別の例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示に係るボンベ付きガス供給装置の別の例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示に係るボンベ付きガス供給装置の別の例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示に係るボンベ付きガス供給装置の別の例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示に係るボンベ付きガス供給装置の別の例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示に係るボンベ付きガス供給装置の別の作動状態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の一態様に係るボンベ付きガス供給装置は、
(1)液化ガスが充填された第一ボンベと、
前記液化ガスと同じ液化ガスが充填された第二ボンベと、
前記第一ボンベの重量を測定する第一重量計と、
前記第二ボンベの重量を測定する第二重量計と、
前記第一ボンベと前記第二ボンベのうち少なくとも一つを調温する調温装置と、
前記第一ボンベから蒸発したガスを取り出す第一配管と、
前記第二ボンベから蒸発したガスを取り出す第二配管と、
前記第一配管のガスと前記第二配管のガスとを合流させてガスを供給する供給配管と、
前記第一重量計の測定値と前記第二重量計の測定値を基に、前記調温装置を制御する制御装置と、を備える。
この構成によれば、第一ボンベと第二ボンベのガス残量に差ができてしまった場合においても、少なくとも一つのボンベを調温することによってガスの気化量を調整することができる。これにより、ボンベ間のガス残量の差を小さくすることができ、ボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0010】
(2)上記(1)において、前記調温装置はファンを有していてもよい。
この構成によれば、ファンによってボンベの調温を行うので、ボンベ間のガス残量の差を小さくすることができ、ボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0011】
(3)上記(1)において、前記調温装置が、ボンベの外周に水を循環させて調温する調温ジャケットを有していてもよい。
この構成によれば、調温ジャケットによってボンベの調温を行うので、ボンベ間のガス残量の差を小さくすることができ、ボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0012】
(4)上記(1)において、前記調温装置は前記第一ボンベと前記第二ボンベを格納する、ボンベ庫を有し、
前記ボンベ庫は、前記第一ボンベに隣接する第一換気口と前記第二ボンベに隣接する第二換気口を有し、
前記第一換気口は通過する空気の量を調節する第一ダンパーを有し、
前記第二換気口は通過する空気の量を調節する第二ダンパーを有し、
前記制御装置は前記第一重量計の測定値と前記第二重量計の測定値を基に、前記第一換気口の前記第一ダンパーと前記第二換気口の前記第二ダンパーを制御してもよい。
この構成によれば、第一ボンベと第二ボンベはボンベ庫に格納されており、第一ボンベと第二ボンベのガス残量に差ができてしまった場合においても、換気口を通過する空気の量を制御することによってボンベを調温し、ガスの流量を調整することができる。これにより、ボンベ間のガス残量の差を小さくすることができ、ボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0013】
(5)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記第一ボンベと前記第二ボンベにそれぞれ前記調温装置を備えていてもよい。
この構成によれば、第一ボンベ、第二ボンベのそれぞれに調温装置を設けているため、二つのボンベを調温することによって、ガスの気化量を調整することができる。これにより、ボンベ間のガス残量の差を小さくすることができ、ボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0014】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記液化ガスが塩素ガスまたは四フッ化ケイ素ガスであってもよい。
この構成によれば、上記種類の液化ガスを用いる際に特にボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0015】
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記第一配管と前記第二配管はそれぞれ開閉弁を備え、前記制御装置により前記第一重量計の測定値と前記第二重量計の測定値を基に前記開閉弁の開閉を行ってもよい。
この構成によれば、第一ボンベと第二ボンベのガス残量に差ができてしまった場合においても、少なくとも一つのボンベにつながれている配管の開閉弁を調整することによってガスの流量を調整することができる。これにより、ボンベ間のガス残量の差を小さくすることができ、ボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0016】
(8)上記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記第一ボンベと前記第二ボンベを含むボンベの数がN個(Nは3以上の自然数)であり、
前記第一重量計と前記第二重量計を含む、前記ボンベそれぞれの重量を測定する重量計の数が前記N個であり、
前記調温装置は前記N-1個のボンベまたは前記N個のボンベを調温し、
前記第一配管と前記第二配管を含む、前記N個のボンベそれぞれから蒸発したガスを取り出す配管の数がN本であり、
前記供給配管は前記N個の配管のガスを合流させてガスを供給し
前記制御装置は前記N個の重量計の測定値を基に、前記調温装置を制御してもよい。
この構成によれば、ボンベが3つ以上であってもそれぞれのボンベのガス残量を重量計により測定し、測定結果を基にそれぞれのボンベを調温装置によって調温し、ガスの気化量を調節することができる。これにより、ボンベ間のガス残量の差を小さくすることができ、ボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
(第一実施形態)
本開示の実施形態に係るボンベ付きガス供給装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
図1は、本開示の実施形態に係るボンベ付きガス供給装置1の一例を示す概略図である。本実施形態に係るボンベ付きガス供給装置1は、例えば、光ファイバ用ガラス母材の製造装置に塩素ガスまたは四フッ化ケイ素ガスを供給するのに用いることができる。ボンベ付きガス供給装置1は、
図1に示したように、第一ボンベ11、第二ボンベ12、第一重量計21、第二重量計22、第一配管31、第二配管32、供給配管50、圧力計51、制御装置60、調温装置100を有している。
【0019】
本開示において、第一ボンベ11は第一配管31と接続され、第二ボンベ12は第二配管32と接続されている。第一ボンベ11と第一配管31の接続部分にはガス供給量を調節する第一開閉弁41が設けられ、第二ボンベ12と第二配管32の接続部分にはガス供給量を調節する第二開閉弁42が設けられている。
第一配管31と第二配管32は共に供給配管50に接続されている。供給配管50は第一配管31と第二配管32を通じて供給されたガスを、例えば、光ファイバ用ガラス母材の製造装置に供給する。供給配管には、ガス圧の異常を検知するための圧力計51が設けられている。
【0020】
第一ボンベ11と第二ボンベ12には調温装置100がそれぞれ設けられている。第一ボンベ11には第一調温装置100aが設けられ、第二ボンベ12には第二調温装置100bが設けられている。本実施形態において、調温装置100はファン101であり、第一ボンベ11に第一ファン101aが設けられ、第二ボンベ12に第二ファン101bが設けられている。ファン101は、送風によって第一ボンベ11および第二ボンベ12を加温する装置である。第一ボンベ11および第二ボンベ12は内部のガスの揮発により、室温以下となっているため、本実施形態におけるファン101は、室温の空気を第一ボンベ11および第二ボンベ12に当てることによって第一ボンベ11および第二ボンベ12を加温する構成である。本実施形態の調温装置100は、ファン101に付属したヒータ(図示せず)によって室温以上となった空気を、ファン101を通じて第一ボンベ11および第二ボンベ12に当てることによって、第一ボンベ11および第二ボンベ12を加温する構成であってもよい。
【0021】
第一ボンベ11は第一重量計21に載置され、第二ボンベ12は第二重量計22に載置されている。第一重量計21と第二重量計22は共に制御装置60と電気的に接続されている。第一重量計21は第一ボンベ11の残ガスの重量を常時測定し、第二重量計22は第二ボンベ12の残ガスの重量を常時測定する。第一重量計21と第二重量計22は、それぞれ測定した残ガスの重量データを制御装置60に送信する。制御装置60は第一調温装置100aおよび第二調温装置100bと電気的に接続されている。制御装置60は、第一重量計21より受信した重量データを基に第一調温装置100aを制御し、第二重量計より受信した重量データを基に第二調温装置100bを制御する。本実施形態において制御装置60は、第一重量計21から受信した重量データを基に第一ファン101aの風量を調節し、第二重量計22から受信した重量データを基に第二ファン101bの風量を調節する。
【0022】
次に
図2のフローチャートを用いて本実施形態におけるボンベ付きガス供給装置1の動作形態について説明する。
【0023】
本実施形態におけるボンベ付きガス供給装置1は、第一ボンベ11、第二ボンベ12内に貯蔵されている液化ガスを揮発させ、第一ボンベ11は第一配管31を通じて供給配管50にガスを供給し、第二ボンベ12は第二配管32を通じて供給配管50にガスを供給する。
【0024】
第一ボンベ11、第二ボンベ12より継続してガスを供給すると、第一ボンベ11、第二ボンベ12中の液化ガスが揮発し、ボンベ内の残ガスの重量が徐々に少なくなる。このとき、第一ボンベ11と第二ボンベ12間の外気温や接続される配管の長さ等の違いにより、第一ボンベ11と第二ボンベ12の残ガスの重量に差が出てくる。以下に詳述する構成によれば、ガス使用時において第一ボンベ11と第二ボンベ12の残ガスの重量の差を最小限とすることができる。
【0025】
第一重量計21は第一ボンベ11内の残ガスの重量を常時測定し、第二重量計22は第二ボンベ12内の残ガスの重量を常時測定する。第一重量計21と第二重量計22はそれぞれ測定した重量データを制御装置60に送信する。制御装置60は第一重量計21と第二重量計22から送られる残ガスの重量データを基に第一ボンベ11と第二ボンベ12の残ガスの重量が同等であるかどうかを判断する(STEP1)。
制御装置60が第一ボンベ11と第二ボンベ12の残ガスの重量が同等でないと判断した場合(STEP1においてNO)、制御装置60は第一ボンベ11の残ガスと第二ボンベ12の残ガスのどちらが重いかを判断する(STEP2)。第一ボンベ11の残ガスの重量が第二ボンベ12の残ガスの重量より大きいと判断した場合(STEP2においてYES)、制御装置60は第一ボンベ11に設けられた第一調温装置100aを運転させ(STEP3)、第二ボンベ12に設けられた第二調温装置100bが運転中であれば停止させる(STEP4)。一方、制御装置60が、第二ボンベ12の残ガスの重量が第一ボンベ11の残ガスの重量よりも大きいと判断した場合(STEP2においてNO)、制御装置60は第二調温装置100bを運転させ(STEP5)、第一調温装置100aが運転中であれば停止させる(STEP6)。
なお、残ガスの重量は、ボンベ容器と残ガスの重量の合計から、ボンベ容器の重量(ボンベに刻印されている)を差し引く、またはボンベ使用開始時に充填されていた液化ガスの重量から、ガス供給により減少した重量を差し引くなどの方法で求めることができる。
【0026】
STEP4、STEP6の処理が終了した後、制御装置60は第一ボンベ11の残ガスの重量と第二ボンベ12の残ガスの重量が同等であるかを再度判断する(STEP1)。第一ボンベ11の残ガスの重量と第二ボンベ12の残ガスの重量が同等である場合(STEP1においてYES)、第一ボンベ11および第二ボンベ12に設けられたすべての調温装置100の運転を停止させる(STEP7)。
【0027】
制御装置60はSTEP7の後、第一ボンベ11の残ガスの重量と第二ボンベ12の残ガスの重量が所定の数値以下か否かを判断する(STEP8)。STEP8における所定の数値とは、第一ボンベ11および第二ボンベ12の交換が推奨される残ガスの重量であり、5kg以下が好ましく、2kg以下がより好ましい。制御装置60が第一ボンベ11の残ガスの重量と第二ボンベ12の残ガスの重量が所定の数値以下であると判断した場合(STEP8においてYES)、ボンベ付きガス供給装置1のガス供給は終了する。また、制御装置60が第一ボンベ11の残ガスの重量と第二ボンベ12の残ガスの重量が所定の数値以下ではないと判断した場合(STEP8においてNO)、STEP1に戻り制御装置60は再度、第一ボンベ11の残ガスの重量と第二ボンベ12の残ガスの重量が同等であるかを判断する。
【0028】
通常、複数本のボンベを並列に接続し、ガスを供給する際、接続されているボンベのうち一つでも残ガスの重量が既定の重量以下となった場合(交換が必要な重量となった場合)、接続されているすべてのボンベを交換する必要がある。このため、複数本のボンベ同士のガス残量に差がある場合、交換が必要な重量に達していないボンベに関しては、利用可能なガスがボンベ内に残っているにも関わらず、交換を余儀なくされるという問題があった。
しかし、本開示の構成によれば、第一ボンベ11の残ガスと第二ボンベ12の残ガスの重量に差が発生したとしても、より残ガスの重量が大きいボンベを調温装置100によって加熱することで、ボンベ内の液化ガスの揮発を促すことができる。これにより、第一ボンベ11の残ガスと第二ボンベ12の残ガスの重量の差を小さくし、ボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0029】
次に、
図3、
図4を用いて、本開示の別の実施形態について説明する。
【0030】
(第二実施形態)
図3は本開示の第二実施形態を示す図である。
図3に示したように、第二実施形態においてボンベ付きガス供給装置1は第一ボンベ11、第二ボンベ12、第一重量計21、第二重量計22、第一配管31、第二配管32、供給配管50、圧力計51、制御装置60、調温装置100を有する。調温装置100以外の構成は第一実施形態と同様のため、説明は省略する。
【0031】
第二実施形態において、調温装置100は水を循環させることによってボンベを調温する調温ジャケット200である。第一ボンベ11に第一調温ジャケット200aが設けられ、第二ボンベ12に第二調温ジャケット200bが設けられる。調温ジャケット200はそれぞれのボンベの外周に接触して設けられる。それぞれの調温ジャケット200には水の温度を管理し循環させる循環槽201(第一調温ジャケットに接続される第一循環槽201a、第二調温ジャケットに接続される第二循環槽201b)が接続される。制御装置60はそれぞれの循環槽201に接続され、循環槽201の動作を制御する。循環槽201はヒーターおよびクーラー(図示せず)を用いて調温ジャケット200を循環する水を加温し、ポンプ(図示せず)を用いて調温ジャケット200内に水を供給する。
【0032】
制御装置60が調温ジャケット200および循環槽201を制御する具体的態様を以下に説明する。
制御装置60は第一重量計21から受信した重量データを基に第一循環槽201aを制御することによって、第一調温ジャケット200a内の水温を制御し、第二循環槽201bを制御することによって、第二調温ジャケット200b内の水温を制御する。より具体的には、
図2のSTEP2において、第一ボンベ11の残ガスの重量が第二ボンベ12の残ガスの重量より大きい場合、制御装置60は第一循環槽201aに温度調節信号を送信し、第一循環槽201aは搭載されるヒーターによって第一調温ジャケット200a内の水を加温する(
図2においてSTEP3)。また、同時に第二循環槽201bが第二調温ジャケット201b内の水を加温しているのであれば、制御装置60は第二循環槽201bに温度調節信号を送信し、第二循環槽201bのヒーターを停止させる(
図2においてSTEP4)。
図2のSTEP2において第二ボンベ12の残ガスの重量が第一ボンベ11の残ガスの重量より大きい場合、第一ボンベ11に関する上記動作態様と第二ボンベ12に関する上記動作態様は逆となる(
図2においてSTEP5、STEP6)。
また、上記説明では制御装置60は水温を制御する構成を説明したが、本実施形態はこれに限られない。例えば制御装置60は調温ジャケット200の水の循環量や循環の有無を制御する構成であってもよい。
【0033】
第二実施形態におけるボンベ付きガス供給装置1の動作形態は
図2のフローチャートと同様である。第二実施形態において、第一調温装置100aは第一調温ジャケット200aおよび第一循環槽201aを指し、第二調温装置100bは第二調温ジャケット200bおよび第二循環槽201bを指す。
【0034】
(第三実施形態)
図4は本開示の第三実施形態を示す図である。
図4に示したように、第三実施形態においてボンベ付きガス供給装置1は第一ボンベ11、第二ボンベ12、第一重量計21、第二重量計22、第一配管31、第二配管32、供給配管50、圧力計51、制御装置60、調温装置100を有する。第三実施形態における第一ボンベ11、第二ボンベ12、第一重量計21、第二重量計22、第一配管31、第二配管32、供給配管50、圧力計51の構成は第一実施形態と同様のため、説明は省略する。
【0035】
第三実施形態において、調温装置100はボンベ庫300である。ボンベ庫300は換気口301と排気口303を有する。換気口301は、第一換気口301aと第二換気口301bを含む。第一ボンベ11付近に第一換気口301aが設けられ、第二ボンベ12付近に第二換気口301bが設けられている。換気口301は換気口301を通る空気の量を調整することができるダンパー302を有し、第一換気口301aは第一ダンパー302aを有し、第二換気口301bは第二ダンパー302bを有している。ダンパー302は制御装置60に電気的に接続されている。制御装置60は第一重量計21から受信した重量データを基に第一ダンパー302aの開閉を制御し、第二重量計22から受信した重量データを基に第二ダンパー302bの開閉を制御する。より具体的には、
図2のSTEP2において、第一ボンベ11の残ガスの重量が第二ボンベ12の残ガスの重量より大きい場合、制御装置60は第一ダンパー302aを開き、第一ボンベ11へボンベ庫300外から流入する空気を当て、第一ボンベ11内の液化ガスの揮発を促す(
図2においてSTEP3)。また、同時に第二ダンパー302bが開いているのであれば閉じ(または開口を狭くし)、第二ボンベ12へボンベ庫300の外からの空気が当たる量を減少させ、第二ボンベ12の液化ガスの揮発を抑制する(
図2においてSTEP4)。
図2のSTEP2において第二ボンベ12の残ガスの重量が第一ボンベ11の残ガスの重量より大きい場合、第一ボンベ11に関する上記動作態様と第二ボンベ12に関する上記動作態様は逆となる(
図2においてSTEP5、STEP6)。
【0036】
換気口301およびダンパー302はボンベ庫300に流入する空気の量を調節することによって、第一ボンベ11と第二ボンベ12を加温することができる。第一ボンベ11および第二ボンベ12は内部の液化ガスの揮発により室温以下となっているため、換気口301はボンベ庫300外の室温の空気を第一ボンベ11および第二ボンベ12に当てることによって第一ボンベ11および第二ボンベ12を加温する構成である。また本実施形態は、換気口301に付属したヒータ(図示せず)によって室温以上となった空気を第一ボンベ11および第二ボンベ12に当てることによって第一ボンベ11および第二ボンベ12を加温する構成であってもよい。
【0037】
第三実施形態におけるボンベ付きガス供給装置1の動作形態は第一実施形態と同様である。第三実施形態において、第一調温装置100aは第一換気口301aおよび第一ダンパー302aを指し、第二調温装置100bは第二換気口301bおよび第二ダンパー302bを指す。
【0038】
第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態はそれぞれ、ボンベを調温する方法が異なるものの、ボンベを調温することで複数のボンベ間の残ガスの重量の差を小さくするという技術的思想は共通している。
【0039】
図5に示すように、第一実施形態~第三実施形態において、制御装置60は開閉弁40に接続され、制御装置60により第一重量計21の測定値と第二重量計22の測定値を基に開閉弁40の開閉を行う構成であってもよい。この構成によれば、制御装置60は第一ボンベ11の残ガスと第二ボンベ12の残ガスの重量の差に応じて開閉弁40の開閉を制御することができる。より具体的には、
図2のSTEP2において、第一ボンベ11の残ガスの重量が第二ボンベ12の残ガスの重量より大きい場合、制御装置60は第一ダンパー302aを開き、第一ボンベ11から供給配管50へのガス供給量を増やす(
図2においてSTEP3)。また、同時に第二開閉弁42が開いているのであれば閉じ、第二ボンベ12から供給配管50へのガス供給量を減らす(
図2においてSTEP4)。また、
図2のSTEP2において第二ボンベ12の残ガスの重量が第一ボンベ11の残ガスの重量より大きい場合、第一ボンベ11に対する上記動作態様と第二ボンベ12への上記動作態様が逆となる(
図2においてSTEP5、STEP6)。
また、STEP3~STEP6において、制御装置60は第一開閉弁41および第二開閉弁42の制御を行うとともに、第一ボンベ11に設けられている第一調温装置100aの制御と、第二ボンベ12に設けられている第二調温装置100bの制御を同時に行ってもよい。
以上の構成によれば第一ボンベ11の残ガスと第二ボンベ12の残ガスの重量の差を小さくすることができるので、ボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0040】
また、
図6に示すように、第一実施形態~第三実施形態において、第一ボンベ11と第二ボンベ12を含むボンベの数がN個(Nは3以上の自然数)であってもよい。この場合、各N個のボンベ11、12、・・・10nには第一重量計21と第二重量計22を含む、N個の重量計21、22、・・・20nが一つずつ設けられている。N個の調温装置100a、100b、・・・100nはN個のボンベを一つずつ調温する。N個のボンベそれぞれにはN本の配管31、32、・・・30nが一本ずつ接続されており、供給配管50はN本の配管から供給されるガスを合流させて製造装置にガスを供給する。N本の配管31、32、・・・30nにはN個の開閉弁41、42、・・・40nが一つずつ設けられている。このような構成により、制御装置60はN個の重量計の測定値を基に、調温装置を制御し、N個のボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0041】
また、
図7に示すように、ボンベ付きガス供給装置1は、N個のボンベを並列に接続した一体のボンベ付きガス供給装置1a、1b・・・同士を、さらに並列に接続する構成であってもよい。ボンベ付きガス供給装置が複数体設けられていても、それぞれのボンベ付きガス供給装置1a、1b・・・内における動作形態は上述した実施形態と同様である。つまり、ボンベ付きガス供給装置1a、1b・・・同士において、ガス供給量の調整は行われず、ボンベ付きガス供給装置1a、1b・・・はそれぞれ単独で
図2に示したフローチャートに沿った動作を行う構成となっている。この構成においても、それぞれのボンベ付きガス供給装置において各ボンベのガス使用量を最大化することができる。
【0042】
図7に示す構成によれば、例えば、ボンベ付きガス供給装置1aからのガス供給が終了したタイミングでボンベ付きガス供給装置1bからのガス供給に切り替え、ボンベ付きガス供給装置1bからガス供給している間にボンベ付きガス供給装置1aのボンベを満充填されたボンベに交換することができる。これにより、ボンベ付きガス供給装置1aおよびボンベ付きガス供給装置1bのうち一方のボンベを交換する際にも、ガス供給を止めることなく連続してガス供給を行うことができる。
【0043】
また、第一実施形態~第三実施形態においては、調温装置100はボンベを加温する構成であったが、本開示に係るボンベ付きガス供給装置1はこれに限られない。例えば、調温装置100はボンベを加熱および冷却する構成であってもよい。これにより、調温装置100が付属するボンベ(例えば第一ボンベ11)において、第一ボンベ11に付属の調温装置100のみを制御することによって第一ボンベ11のガス供給量を増やすことも減らすこともできる。この構成によれば、例えば第一実施形態において調温装置100は少なくとも一つのボンベに設けられていればよい。また、ボンベの数がN個である場合には、調温装置100はN-1個のボンベに設けられていればよい。
【0044】
図8は本開示の実施形態において、調温装置100がボンベを加熱および冷却することが可能であり、第一ボンベ11にのみ第一調温装置100aが設けられている場合のボンベ付きガス供給装置1の動作形態を表すフローチャートである。
【0045】
図8を用いて上記構成の調温装置100が第一ボンベ11にのみ設けられている場合のボンベ付きガス供給装置1の動作形態を説明する。
第一重量計21は第一ボンベ11の残ガスの重量を常時測定し、第二重量計22は第二ボンベ12の残ガスの重量を常時測定している。制御装置60は第一重量計21と第二重量計22から送られる重量データを基に第一ボンベ11の残ガスの重量と第二ボンベ12の残ガスの重量が同等であるかどうかを判断する(STEP11)。
制御装置60が第一ボンベ11と第二ボンベ12の残ガスの重量が同等でないと判断した場合(STEP11においてNO)、制御装置60は第一ボンベ11の残ガスの重量と第二ボンベ12の残ガスの重量のどちらが大きいかを判断する(STEP12)。第一ボンベ11の残ガスの重量が第二ボンベ12の残ガスの重量より大きいと判断した場合(STEP12においてYES)、制御装置60は第一ボンベ11に設けられた第一調温装置100aを加熱運転させる(STEP13)。一方、制御装置60が、第二ボンベ12の残ガスの重量が第一ボンベ11の残ガスの重量よりも大きいと判断した場合(STEP12においてNO)、制御装置60は第一調温装置100aを冷却運転させる(STEP14)。
【0046】
STEP13、STEP14の処理が終了した後の処理(再度のSTEP11、STEP15、STEP16)は
図2の処理(再度のSTEP1、STEP7、STEP8)と同様の処理であるため、説明は省略する。
【0047】
上記構成によれば二本のボンベに対して調温装置100が一つのみ設けられた構成であっても、ボンベを調温することで複数のボンベ間の残ガスの重量の差を小さくし、ボンベ内のガス使用量を最大化することができる。
【0048】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0049】
1、1a、1b:ボンベ付きガス供給装置
11:第一ボンベ
12:第二ボンベ
21:第一重量計
22:第二重量計
31:第一配管
32:第二配管
40:開閉弁
41:第一開閉弁
42:第二開閉弁
50:供給配管
51:圧力計
60:制御装置
100:調温装置
100a:第一調温装置
100b:第二調温装置
101:ファン
101a:第一ファン
101b:第二ファン
200:調温ジャケット
200a:第一調温ジャケット
200b:第二調温ジャケット
201:循環槽
201a:第一循環槽
201b:第二循環槽
300:ボンベ庫
301:換気口
301a:第一換気口
301b:第二換気口
302:ダンパー
302a:第一ダンパー
302b:第二ダンパー
303:排気口
10n:第Nボンベ
20n:第N重量計
30n:第N配管
100n:第N調温装置