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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039922
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20240315BHJP
   F04D 29/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
F04D29/58 P
F04D29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144660
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉村 友彦
(72)【発明者】
【氏名】森 英文
(72)【発明者】
【氏名】楳山 亮
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB12
3H130AB27
3H130AB47
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB68
3H130AC03
3H130AC13
3H130BA33G
3H130BA33J
3H130DB01Z
3H130DB08Z
3H130DB13Z
3H130DD01Z
3H130DD09Z
3H130DF08Z
3H130DG01Z
3H130EB01H
3H130EB04H
(57)【要約】
【課題】モータの冷却性能を向上させること。
【解決手段】各ティース38は、仮想直線SLに対して、回転軸43の回転方向R1側へ傾いた状態でヨーク37の内周面37aから延びている。各径路80は、吸入口から軸路に吸入された空気を各ティース38の端面とコイルエンド36との間の空隙90に向けて流す。各径路80からモータ室18内に導入される空気は、回転軸43の回転に伴って、回転軸43の外周面の接線方向であって、且つ、回転軸43の回転方向R1とは反対方向側へ流出する。各径路80からモータ室18内に導入される空気が、各ティース38の端面とコイルエンド36との間の空隙90に向けて流れ易くなる。各ティース38の端面とコイルエンド36との間の空隙90を通過する空気が、コイルエンド36から発生する熱を吸熱することにより、コイルエンド36が冷却される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記回転軸と一体的に回転することで空気を圧縮するインペラと、
前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、及び前記インペラ室に空気を吸入する吸入口を有するハウジングと、
前記吸入口に向かって開口し、前記回転軸の内部を前記回転軸の軸方向に延びる軸路と、
前記軸路に連通するとともに前記軸路から前記回転軸の径方向に向けて延び、前記モータ室内に連通する径路と、を備え、
前記モータは、ステータを備え、
前記ステータは、
円筒状のヨーク、及び前記ヨークの内周面から延びる複数のティースを有するステータコアと、
前記各ティースに集中巻きで巻回されるコイルと、を備え、
前記コイルは、前記ティースの端面から突出するコイルエンドを含み、
前記吸入口から前記軸路及び前記径路を介して前記モータ室内に導入される空気によって前記コイルエンドが冷却される遠心圧縮機であって、
前記ヨークの外周面の接線方向に延びる接線をヨーク接線とし、
前記ヨーク接線と直交し、且つ、前記回転軸の軸線と交差する直線を仮想直線とすると、
前記各ティースは、前記仮想直線に対して、前記回転軸の回転方向側へ傾いた状態で前記ヨークの内周面から延びており、
前記径路は、前記吸入口から前記軸路に吸入された空気を前記各ティースの端面と前記コイルエンドとの間の空隙に向けて流すことを特徴とする遠心圧縮機。
【請求項2】
前記仮想直線と前記ヨーク接線との交点を通過するとともに、前記回転軸の外周面のうち、前記径路が開口する部分の接線方向に延び、且つ、前記回転方向側へ延びる接線を回転軸接線とすると、
前記各ティースは、前記仮想直線と前記回転軸接線とのなす角度の範囲内で、前記仮想直線に対して、前記回転方向側へ傾いた状態で、前記ヨークの内周面から前記回転軸に向けて延びていることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記各ティースは、前記回転軸接線上で前記回転軸接線に沿って延びていることを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機は、回転軸と、モータと、インペラと、ハウジングと、を備えている。モータは、回転軸を回転させる。インペラは、回転軸と一体的に回転することで空気を圧縮する。ハウジングは、インペラ室、モータ室、及び吸入口を有している。インペラ室は、インペラを収容する。モータ室は、モータを収容する。吸入口は、インペラ室に空気を吸入する。モータは、ステータを備えている。ステータは、ステータコアと、コイルと、を備えている。ステータコアは、円筒状のヨーク、及び複数のティースを有している。複数のティースは、ヨークの内周面から延びている。コイルは、例えば、各ティースに集中巻きで巻回されている。コイルは、ティースの端面から突出するコイルエンドを含む。
【0003】
ところで、このような遠心圧縮機においては、モータを冷却することが望まれている。そこで、例えば特許文献1のように、遠心圧縮機は、軸路と、径路と、を備えている場合がある。軸路は、回転軸の内部を回転軸の軸方向に延びている。軸路は、吸入口に向かって開口している。径路は、軸路に連通している。径路は、軸路から回転軸の径方向に向けて延びている。径路は、モータ室内に連通している。吸入口からの空気の一部は、軸路に導入されて軸路及び径路を流れる。径路を流れる空気は、回転軸の回転に伴う遠心力によって加速されるとともに径路からモータ室内に導入される。このように、吸入口から軸路及び径路を介してモータ室内に導入される空気によって、例えば、コイルエンドが冷却される。これにより、コイルが冷却されるため、モータを冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6968253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような遠心圧縮機においては、モータの冷却性能を向上させるために、モータ室内に導入された空気によって、コイルを効率良く冷却することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する遠心圧縮機は、回転軸と、前記回転軸を回転させるモータと、前記回転軸と一体的に回転することで空気を圧縮するインペラと、前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、及び前記インペラ室に空気を吸入する吸入口を有するハウジングと、前記吸入口に向かって開口し、前記回転軸の内部を前記回転軸の軸方向に延びる軸路と、前記軸路に連通するとともに前記軸路から前記回転軸の径方向に向けて延び、前記モータ室内に連通する径路と、を備え、前記モータは、ステータを備え、前記ステータは、円筒状のヨーク、及び前記ヨークの内周面から延びる複数のティースを有するステータコアと、前記各ティースに集中巻きで巻回されるコイルと、を備え、前記コイルは、前記ティースの端面から突出するコイルエンドを含み、前記吸入口から前記軸路及び前記径路を介して前記モータ室内に導入される空気によって前記コイルエンドが冷却される遠心圧縮機であって、前記ヨークの外周面の接線方向に延びる接線をヨーク接線とし、前記ヨーク接線と直交し、且つ、前記回転軸の軸線と交差する直線を仮想直線とすると、前記各ティースは、前記仮想直線に対して、前記回転軸の回転方向側へ傾いた状態で前記ヨークの内周面から延びており、前記径路は、前記吸入口から前記軸路に吸入された空気を前記各ティースの端面と前記コイルエンドとの間の空隙に向けて流す。
【0007】
径路からモータ室内に導入される空気は、回転軸の回転に伴って、回転軸の外周面の接線方向であって、且つ、回転軸の回転方向とは反対方向側へ流出する。このとき、各ティースは、仮想直線に対して、回転軸の回転方向側へ傾いた状態でヨークの内周面から延びている。ここで、例えば、各ティースが、仮想直線に対して傾いておらず、仮想直線上で仮想直線に沿って延びている場合を考える。この場合に比べると、吸入口から軸路に吸入されて径路からモータ室内に導入される空気が、各ティースの端面とコイルエンドとの間の空隙に向けて流れ易くなる。したがって、径路からモータ室内に導入された空気が、コイルエンドに衝突せずに、各ティースの端面とコイルエンドとの間の空隙を通過し易くなる。そして、各ティースの端面とコイルエンドとの間の空隙を通過する空気が、コイルエンドから発生する熱を吸熱することにより、コイルエンドが冷却される。このとき、径路からモータ室内に導入された空気が、コイルエンドに衝突してしまうことが抑制されているため、空気がコイルエンドに衝突することにより、空気の温度が上昇してしまうといったことが回避され易くなっている。したがって、コイルエンドを空気によって効率良く冷却することができる。このようにして、コイルが効率良く冷却されるため、モータの冷却性能を向上させることができる。
【0008】
上記遠心圧縮機において、前記仮想直線と前記ヨーク接線との交点を通過するとともに、前記回転軸の外周面のうち、前記径路が開口する部分の接線方向に延び、且つ、前記回転方向側へ延びる接線を回転軸接線とすると、前記各ティースは、前記仮想直線と前記回転軸接線とのなす角度の範囲内で、前記仮想直線に対して、前記回転方向側へ傾いた状態で、前記ヨークの内周面から前記回転軸に向けて延びている。
【0009】
これによれば、吸入口から軸路に吸入されて径路からモータ室内に導入される空気が、各ティースの端面とコイルエンドとの間の空隙に向けてさらに流れ易くなる。したがって、コイルエンドを空気によってさらに効率良く冷却することができる。
【0010】
上記遠心圧縮機において、前記各ティースは、前記回転軸接線上で前記回転軸接線に沿って延びているとよい。
例えば、回転軸が高速回転している場合、径路からモータ室内に導入される空気は、回転軸接線上であって、且つ、回転軸の回転方向とは反対方向側へ流出し易い。そこで、各ティースが、回転軸接線上で回転軸接線に沿って延びている。これによれば、径路からモータ室内に導入された空気が、コイルエンドに衝突せずに、各ティースの端面とコイルエンドとの間の空隙を通過し易くなる。したがって、回転軸が高速回転しているようなコイルからの発熱量が多い場合であっても、各ティースの端面とコイルエンドとの間の空隙を通過する空気によって、コイルエンドを効率良く冷却することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、モータの冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における遠心圧縮機の断面図である。
図2】遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
図3】モータの断面図である。
図4】ティースとコイルとの関係を示す部分斜視図である。
図5】ティースとコイルとの関係を示す部分平面図である。
図6】回転軸とステータとの関係を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、遠心圧縮機を具体化した一実施形態を図1図6にしたがって説明する。本実施形態の遠心圧縮機は、燃料電池車に搭載されている。遠心圧縮機は、空気を圧縮する。
<遠心圧縮機10の基本構成>
図1に示すように、遠心圧縮機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、金属材料製である。ハウジング11は、例えば、アルミニウム製である。ハウジング11は、筒状である。ハウジング11は、モータハウジング12、コンプレッサハウジング13、タービンハウジング14、第1プレート15、第2プレート16、及びシールプレート17を有している。
【0014】
モータハウジング12は、筒状である。モータハウジング12は、板状の端壁12aと、周壁12bと、を有している。周壁12bは、端壁12aの外周部から筒状に延びている。第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口側の端部に連結されている。第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口を閉塞している。そして、モータハウジング12の端壁12a及び周壁12bと第1プレート15とによって、モータ室18が区画されている。したがって、ハウジング11は、モータ室18を有している。
【0015】
ハウジング11は、排出口12hを有している。排出口12hは、モータハウジング12の周壁12bに形成されている。排出口12hの第1端は、モータ室18内に連通している。排出口12hの第2端は、ハウジング11外に連通している。
【0016】
シールプレート17は、第1プレート15におけるモータハウジング12とは反対側の端面に取り付けられている。ハウジング11は、スラスト軸受収容室19を有している。スラスト軸受収容室19は、第1プレート15とシールプレート17とによって区画されている。シールプレート17は、シャフト挿通孔17hを有している。シャフト挿通孔17hは、シールプレート17の中央部に形成されている。シャフト挿通孔17hは、スラスト軸受収容室19に開口している。
【0017】
第1プレート15は、第1ラジアル軸受保持部21を有している。第1ラジアル軸受保持部21は、円筒状である。第1ラジアル軸受保持部21は、第1プレート15におけるモータハウジング12側の端面の中央部からモータ室18内に突出している。第1ラジアル軸受保持部21は、スラスト軸受収容室19に連通している。第1ラジアル軸受保持部21の軸線は、シャフト挿通孔17hの軸線と一致している。
【0018】
コンプレッサハウジング13は、筒状である。コンプレッサハウジング13は、円孔状の吸入口22を有している。したがって、ハウジング11は、吸入口22を有している。コンプレッサハウジング13は、吸入口22の軸線が、シールプレート17のシャフト挿通孔17hの軸線と一致した状態で、第1プレート15におけるモータハウジング12とは反対側の端面に連結されている。吸入口22は、コンプレッサハウジング13における第1プレート15とは反対側の端面に開口している。
【0019】
遠心圧縮機10は、インペラ室23、吐出室24、及びコンプレッサディフューザ流路25を備えている。インペラ室23、吐出室24、及びコンプレッサディフューザ流路25は、コンプレッサハウジング13とシールプレート17との間に形成されている。したがって、ハウジング11は、インペラ室23を有している。シールプレート17は、インペラ室23とスラスト軸受収容室19とを隔てている。インペラ室23は、吸入口22に連通している。インペラ室23は、吸入口22から離れるにつれて徐々に拡径していく略円錐台孔形状になっている。吐出室24は、インペラ室23の周囲で吸入口22の軸線周りに延びている。コンプレッサディフューザ流路25は、インペラ室23と吐出室24とを連通している。インペラ室23は、シールプレート17のシャフト挿通孔17hに連通している。
【0020】
モータハウジング12は、第2ラジアル軸受保持部26を有している。第2ラジアル軸受保持部26は、円筒状である。第2ラジアル軸受保持部26は、モータハウジング12の端壁12aの内面の中央部からモータ室18内に突出している。第2ラジアル軸受保持部26の内側は、モータハウジング12の端壁12aを貫通して端壁12aの外面に開口している。第1ラジアル軸受保持部21の軸線と第2ラジアル軸受保持部26の軸線とは一致している。
【0021】
第2プレート16は、モータハウジング12の端壁12aの外面に連結されている。第2プレート16は、シャフト挿通孔16hを有している。シャフト挿通孔16hは、第2プレート16の中央部に形成されている。
【0022】
タービンハウジング14は、筒状である。タービンハウジング14は、円孔状の吐出口27を有している。タービンハウジング14は、吐出口27の軸線が、第2プレート16のシャフト挿通孔16hの軸線と一致した状態で、第2プレート16におけるモータハウジング12とは反対側の端面に連結されている。吐出口27は、タービンハウジング14における第2プレート16とは反対側の端面に開口している。
【0023】
遠心圧縮機10は、タービン室28、タービンスクロール流路29、及び連通通路30を備えている。タービン室28、タービンスクロール流路29、及び連通通路30は、タービンハウジング14と第2プレート16との間に形成されている。タービン室28は、吐出口27に連通している。タービンスクロール流路29は、タービン室28の周囲で吐出口27の軸線周りに延びている。連通通路30は、タービン室28とタービンスクロール流路29とを連通している。タービン室28は、第2プレート16のシャフト挿通孔16hに連通している。
【0024】
遠心圧縮機10は、モータ31を備えている。モータ31は、モータ室18に収容されている。したがって、モータ室18は、モータ31を収容する。そして、モータ31は、ハウジング11内に収容されている。
【0025】
モータ31は、ステータ32と、ロータ33と、を備えている。ステータ32は、筒状のステータコア34と、コイル35と、を備えている。コイル35は、ステータコア34に巻回されている。ステータコア34は、モータハウジング12の周壁12bの内周面に固定されている。したがって、ステータコア34は、ハウジング11に固定されている。ステータコア34の両端面には、コイル35の一部であるコイルエンド36がそれぞれ突出している。したがって、コイル35は、コイルエンド36を含んでいる。なお、以下の説明では、ステータコア34における第1プレート15側に位置する端面である第1端面34aから突出するコイルエンド36を、「第1コイルエンド36a」と記載する。また、ステータコア34におけるモータハウジング12の端壁12a側に位置する端面である第2端面34bから突出するコイルエンド36を、「第2コイルエンド36b」と記載する。したがって、コイル35は、第1コイルエンド36aと、第2コイルエンド36bと、を含む。
【0026】
ロータ33は、ステータ32の内側に配置されている。ロータ33は、筒部材41と、永久磁石42と、を有している。永久磁石42は、磁性体である。筒部材41は、例えば、チタン合金製である。筒部材41は、筒部材41の軸線が直線状に延びる筒状である。筒部材41の外径は一定である。
【0027】
永久磁石42は、円筒状である。永久磁石42は、筒部材41の内側に配置されている。永久磁石42の軸線は、筒部材41の軸線と一致している。永久磁石42は、筒部材41の内周面に圧入されている。したがって、永久磁石42は、筒部材41の内側に固定されている。永久磁石42は、永久磁石42の径方向に着磁されている。具体的には、永久磁石42は、永久磁石42の径方向で着磁されることにより永久磁石42の径方向の両側の部位にN極とS極とを有する円筒状である。
【0028】
永久磁石42における軸線が延びる方向の長さは、筒部材41における軸線が延びる方向の長さよりも短い。永久磁石42の両端面は、筒部材41の内側に位置している。よって、筒部材41の軸方向に位置する両端部それぞれは、永久磁石42の両端面それぞれに対して軸方向へ突出している。そして、筒部材41の両端部は、ステータコア34の第1端面34a及び第2端面34bそれぞれに対して軸方向へ突出している。
【0029】
遠心圧縮機10は、回転軸43を備えている。回転軸43は、第1軸部材44及び第2軸部材45を含む。第1軸部材44及び第2軸部材45は、筒部材41の軸方向で永久磁石42を挟んだ両側に設けられている。第1軸部材44及び第2軸部材45は、例えば、鉄製である。
【0030】
第1軸部材44は、筒部材41の第1端部に固定されている。第1軸部材44は、モータ室18から第1ラジアル軸受保持部21の内側、スラスト軸受収容室19、及びシャフト挿通孔17hを通過して、インペラ室23内に突出している。第2軸部材45の第1端部は、筒部材41の第2端部の内側に挿入されている。第2軸部材45の第1端部は、筒部材41の第2端部の内周面に圧入されている。したがって、第2軸部材45は、筒部材41に固定されている。第2軸部材45の第2端部は、モータ室18から第2ラジアル軸受保持部26の内側、及びシャフト挿通孔16hを通過して、タービン室28内に突出している。
【0031】
遠心圧縮機10は、第1シール部材46を備えている。第1シール部材46は、シールプレート17のシャフト挿通孔17hと第1軸部材44との間に設けられている。第1シール部材46は、インペラ室23からモータ室18に向かう空気の洩れを抑制する。遠心圧縮機10は、第2シール部材47を備えている。第2シール部材47は、第2プレート16のシャフト挿通孔16hと第2軸部材45との間に設けられている。第2シール部材47は、タービン室28からモータ室18に向かう空気の洩れを抑制する。第1シール部材46及び第2シール部材47は、例えば、シールリングである。
【0032】
遠心圧縮機10は、支持部48を備えている。支持部48は、第1軸部材44の外周面から環状に突出している。支持部48は、円板状である。支持部48は、第1軸部材44の外周面から径方向外側へ環状に突出した状態で、第1軸部材44の外周面に固定されている。したがって、支持部48は、第1軸部材44とは別体である。支持部48は、スラスト軸受収容室19内に配置されている。支持部48は、第1軸部材44と一体的に回転する。
【0033】
遠心圧縮機10は、インペラ49を備えている。インペラ49は、第1軸部材44に連結されている。インペラ49は、背面から先端面に向かうに従って徐々に縮径した筒状である。インペラ49は、インペラ室23に収容されている。したがって、インペラ室23は、インペラ49を収容する。インペラ49の外縁は、インペラ室23の内周面に沿って延びている。インペラ49は、回転軸43と一体的に回転することで空気を圧縮する。なお、ステータコア34の第1端面34aは、ステータコア34におけるインペラ49側に位置する端面である。また、ステータコア34の第2端面34bは、ステータコア34におけるインペラ49とは反対側に位置する端面である。
【0034】
遠心圧縮機10は、タービンホイール50を備えている。タービンホイール50は、第2軸部材45の第2端部に取り付けられている。タービンホイール50は、タービン室28に収容されている。タービンホイール50は、第2軸部材45と一体的に回転する。
【0035】
遠心圧縮機10は、第1ラジアル軸受51と、第2ラジアル軸受52と、を備えている。第1ラジアル軸受51は、円筒状である。第1ラジアル軸受51は、第1ラジアル軸受保持部21に保持されている。したがって、第1ラジアル軸受保持部21は、第1ラジアル軸受51を保持する。第2ラジアル軸受52は、円筒状である。第2ラジアル軸受52は、第2ラジアル軸受保持部26に保持されている。したがって、第2ラジアル軸受保持部26は、第2ラジアル軸受52を保持する。
【0036】
第1ラジアル軸受51は、第1軸部材44をラジアル方向で回転可能に支持する。第2ラジアル軸受52は、第2軸部材45をラジアル方向で回転可能に支持する。第1ラジアル軸受51及び第2ラジアル軸受52は、筒部材41を筒部材41の軸方向で挟んだ両側の位置で、回転軸43をラジアル方向で回転可能に支持する。なお、「ラジアル方向」とは、回転軸43の軸方向に対して直交する方向である。
【0037】
遠心圧縮機10は、スラスト軸受53を備えている。スラスト軸受53は、スラスト軸受収容室19に収容されている。したがって、スラスト軸受収容室19は、スラスト軸受53を収容する。スラスト軸受53は、支持部48をスラスト方向で回転可能に支持する。したがって、スラスト軸受53は、支持部48を介して回転軸43をスラスト方向で回転可能に支持する。なお、「スラスト方向」とは、回転軸43の軸方向に対して平行な方向である。このように、回転軸43は、ハウジング11に回転可能に支持されている。
【0038】
<燃料電池システム55>
上記構成の遠心圧縮機10は、燃料電池車に搭載された燃料電池システム55の一部を構成している。燃料電池システム55は、遠心圧縮機10の他に、燃料電池スタック56と、供給流路57と、排出流路58と、を備えている。燃料電池スタック56は、図示しない複数の電池セルから構成されている。供給流路57は、吐出室24と燃料電池スタック56とを接続する。排出流路58は、燃料電池スタック56とタービンスクロール流路29とを接続する。
【0039】
ロータ33が回転すると、第1軸部材44及び第2軸部材45がロータ33と一体的に回転する。よって、ロータ33は、回転軸43と一体的に回転する。したがって、モータ31は、回転軸43を回転させる。そして、第1軸部材44及び第2軸部材45の回転に伴って、インペラ49及びタービンホイール50が回転する。インペラ49が回転すると、吸入口22からインペラ室23に空気が吸入される。したがって、吸入口22は、インペラ室23に空気を吸入する。なお、吸入口22を流れる空気は、図示しないエアクリーナによって清浄化されている。
【0040】
吸入口22からインペラ室23内に吸入された空気は、インペラ49の回転に伴って圧縮されながらコンプレッサディフューザ流路25を通過して、吐出室24から供給流路57へ吐出される。そして、吐出室24から供給流路57へ吐出された空気は、供給流路57を介して燃料電池スタック56に供給される。燃料電池スタック56に供給された空気は、燃料電池スタック56を発電するために使用される。その後、燃料電池スタック56を通過する空気は、燃料電池スタック56の排気として排出流路58へ排出される。
【0041】
燃料電池スタック56の排気は、排出流路58を介してタービンスクロール流路29に吸入される。タービンスクロール流路29に吸入される燃料電池スタック56の排気は、連通通路30を通じてタービン室28に導入される。タービンホイール50は、タービン室28に導入された燃料電池スタック56の排気により回転する。ロータ33は、モータ31の駆動による回転に加え、燃料電池スタック56の排気により回転するタービンホイール50の回転によっても回転する。そして、燃料電池スタック56の排気によるタービンホイール50の回転によりロータ33の回転が補助される。タービン室28を通過した排気は、吐出口27から外部へ吐出される。
【0042】
<第1パイプ部60及び第2パイプ部61>
第1軸部材44は、第1パイプ部60及び第2パイプ部61を有している。したがって、回転軸43は、第1パイプ部60と、第2パイプ部61と、を備えている。
【0043】
第1パイプ部60は、インペラ49を貫通している。第1パイプ部60の第1端は、インペラ49の先端面から突出している。第1パイプ部60は、挿通孔62を有している。挿通孔62は、回転軸43の軸方向に延びている。挿通孔62の軸線は、第1パイプ部60の軸線に一致している。挿通孔62の第1端は、第1パイプ部60の第1端面に開口している。そして、挿通孔62は、吸入口22に向かって開口している。挿通孔62は、吸入口22に連通している。
【0044】
図2に示すように、第1パイプ部60は、第1段差面63を有している。第1段差面63は、挿通孔62の第2端に連続している。したがって、第1段差面63は、挿通孔62における吸入口22とは反対側の端部に連続している。第1段差面63は、第1パイプ部60の径方向に延びる環状の面である。
【0045】
第1パイプ部60は、取付孔64を有している。取付孔64は、回転軸43の軸方向に延びている。取付孔64の軸線は、第1パイプ部60の軸線に一致している。取付孔64の第1端は、第1段差面63の外周縁に連続している。第1段差面63は、挿通孔62の内周面と取付孔64の内周面とを接続している。取付孔64の孔径は、挿通孔62の孔径よりも大きい。取付孔64の第2端は、第1パイプ部60の第2端面に開口している。
【0046】
第1パイプ部60は、複数の径孔65を有している。各径孔65は、第1パイプ部60の径方向に延びている。各径孔65は、四角孔状である。各径孔65の第1端は、取付孔64の内周面に開口している。各径孔65の第1端の開口縁の一部は、第1段差面63の外周縁に連続している。各径孔65の第2端は、第1パイプ部60の外周面に開口している。そして、各径孔65の第2端は、モータ室18内に連通している。具体的には、各径孔65の第2端は、モータ室18内における第1コイルエンド36aよりも内側の空間に連通している。各径孔65は、取付孔64の内周面から第1パイプ部60の外周面に向けて延び、モータ室18内に連通している。
【0047】
図1に示すように、第2パイプ部61は、挿通部66と、取付部67と、を有している。挿通部66は、円筒状である。挿通部66の外径は、挿通孔62の孔径よりも小さい。挿通部66は、挿通孔62に挿通されている。挿通部66の長さは、挿通孔62の長さと同じである。挿通部66の軸方向端面は、第1パイプ部60の第1端面と同一平面上に位置している。挿通部66の軸方向端面は、第2パイプ部61の第1端面である。取付部67は、円筒状である。
【0048】
図2に示すように、取付部67の外径は、挿通部66の外径よりも大きい。取付部67は、取付孔64に挿入されている。取付部67は、第2パイプ部61の第2端部を構成している。取付部67の一部は、取付孔64から突出している。取付部67の軸方向端面は、第2パイプ部61の第2端面である。
【0049】
第2パイプ部61は、第2段差面68を有している。第2段差面68は、挿通部66の外周面と取付部67の外周面とを接続している。第2段差面68は、第1段差面63に沿って延びている。第2段差面68は、挿通部66の外周面から第2パイプ部61の径方向へ延びている。
【0050】
第2パイプ部61は、複数の介在壁69を有している。各介在壁69は、第2段差面68から起立している。各介在壁69は、第2段差面68から第1段差面63に向けて延びている。各介在壁69における第1段差面63側の縁は、第1段差面63に沿って延びている。各介在壁69における第1段差面63側の縁は、第1段差面63に接触している。第1段差面63と第2段差面68との間の空間であって、且つ、第2パイプ部61の周方向で隣り合う介在壁69同士の間の空間は、各径孔65に連通している。
【0051】
<軸路70>
図1に示すように、遠心圧縮機10は、軸路70を備えている。軸路70は、第1軸路71と、第2軸路72と、を含む。第1軸路71は、挿通孔62の内周面と挿通部66の外周面との間に形成されている。第1軸路71は、第1軸部材44の内部を回転軸43の軸方向に延びている。第1軸路71の第1端は、吸入口22に向かって開口している。したがって、第1軸路71は、吸入口22に向かって開口し、回転軸43の内部を回転軸43に軸方向に延びている。第1軸路71は、吸入口22に連通している。
【0052】
第2軸路72は、第1孔73、第2孔74、及び第3孔75により形成されている。第1孔73は、第2パイプ部61に形成されている。第1孔73は、第2パイプ部61を回転軸43の軸方向に延びている。第1孔73の軸線は、第2パイプ部61の軸線に一致している。第1孔73の第1端は、挿通部66の軸方向端面に開口している。第1孔73の第2端は、取付部67の軸方向端面に開口している。したがって、第1孔73は、第2パイプ部61の第1端面から第2端面にかけて第2パイプ部61の内部を貫通している。第1孔73は、吸入口22に向かって開口している。第1孔73は、吸入口22に連通している。
【0053】
第2孔74は、永久磁石42に形成されている。第2孔74は、永久磁石42を永久磁石42の軸方向に貫通している。第2孔74は、永久磁石42の内部を貫通している。第2孔74の軸線は、永久磁石42の軸線に一致している。第2孔74の第1端は、第1孔73の第2端に連通している。
【0054】
第3孔75は、第2軸部材45に形成されている。第3孔75は、第2軸部材45の内部を第2軸部材45の軸方向に延びている。第3孔75の第1端は、第2軸部材45の第1端面に開口している。第3孔75の軸線は、第2軸部材45の軸線と一致している。第3孔75の第1端は、第2孔74の第2端に連通している。第3孔75の第2端は、第2軸部材45の内部に位置している。したがって、第2軸路72は、吸入口22に向かって開口し、回転軸43の内部を回転軸43に軸方向に延びている。このように、軸路70は、吸入口22に向かって開口し、回転軸43の内部を回転軸43の軸方向に延びている。
【0055】
<径路80>
図2に示すように、遠心圧縮機10は、径路80を備えている。径路80は、複数の第1径路81と、複数の第2径路82と、を含む。各第1径路81は、第1段差面63と第2段差面68との間の空間であって、且つ、第2パイプ部61の周方向で隣り合う介在壁69同士の間の空間と、各径孔65と、によって形成されている。各第1径路81の第1端は、第1軸路71の第2端に連通している。各第1径路81は、第1軸路71から第1軸部材44の外周面に向けて延びている。各第1径路81の第2端は、第1パイプ部60の外周面に開口して、モータ室18内に連通している。各第1径路81の第2端は、モータ室18内における第1コイルエンド36aよりも内側の空間に連通している。そして、複数の第1径路81は、吸入口22から第1軸路71に導入された空気を第1コイルエンド36aに向けて流す。各第1径路81は、第1軸路71に連通するとともに第1軸路71から回転軸43の径方向に向けて延び、モータ室18内に連通する。
【0056】
各第2径路82は、第3孔75の第2端に連通している。各第2径路82は、第3孔75から第2軸部材45の外周面に向けて延びている。各第2径路82の第1端は、第3孔75に連通している。各第2径路82の第2端は、第2軸部材45の外周面に開口して、モータ室18内に連通している。各第2径路82の第2端は、モータ室18内における第2コイルエンド36bよりも内側の空間に連通している。複数の第2径路82は、吸入口22から第2軸路72に導入された空気を第2コイルエンド36bに向けて流す。各第2径路82は、第2軸路72に連通するとともに第2軸路72から回転軸43の径方向に向けて延び、モータ室18内に連通する。このように、径路80は、軸路70に連通するとともに軸路70から回転軸43の径方向に向けて延び、モータ室18内に連通する。
【0057】
<ステータ32>
図3に示すように、ステータ32は、円筒状のヨーク37、及び複数のティース38を有している。複数のティース38は、ヨーク37の内周面37aから延びている。複数のティース38は、ヨーク37の周方向に間隔を置いて配置されている。詳細には、複数のティース38は、ヨーク37の周方向に等間隔置きに配置されている。各ティース38におけるヨーク37とは反対側の面である先端面は、筒部材41の外周面に沿って延びる弧状に湾曲する円弧面である。
【0058】
図4及び図5に示すように、各ティース38は、ヨーク37の軸方向に延びている。各ティース38におけるヨーク37の軸方向の一方に位置する端面である第1端面38aは、ヨーク37の第1端面と同一平面上に位置している。各ティース38におけるヨーク37の軸方向の他方に位置する端面である第2端面38bは、ヨーク37の第2端面と同一平面上に位置している。各ティース38の第1端面38a及びヨーク37の第1端面は、ステータコア34の第1端面34aを形成している。各ティース38の第2端面38b及びヨーク37の第2端面は、ステータコア34の第2端面34bを形成している。ステータコア34の第1端面34aは、平坦面状である。ステータコア34の第2端面34bは、平坦面状である。
【0059】
コイル35は、各ティース38に集中巻きで巻回されている。したがって、各ティース38の第1端面38aから第1コイルエンド36aがそれぞれ突出している。また、各ティース38の第2端面38bから第2コイルエンド36bがそれぞれ突出している。したがって、各第1コイルエンド36aは、各ティース38の第1端面38aから突出するコイルエンド36である。また、各第2コイルエンド36bは、各ティース38の第2端面38bから突出するコイルエンド36である。
【0060】
図5に示すように、各ティース38の第1端面38aと各第1コイルエンド36aとの間には、第1空隙91がそれぞれ形成されている。各ティース38の第2端面38bと各第2コイルエンド36bとの間には、第2空隙92がそれぞれ形成されている。各第1空隙91及び各第2空隙92は、各ティース38の端面とコイルエンド36との間の空隙90である。したがって、空隙90は、第1空隙91及び第2空隙92を含む。
【0061】
図2に示すように、各第1空隙91は、回転軸43の回転に伴い、各第1径路81における第1軸部材44の外周面に対する開口が移動する軌跡上に対して、回転軸43の径方向で重なる位置に配置されている。各第1空隙91は、モータ室18内における各第1コイルエンド36aよりも内側の空間とモータ室18内における各第1コイルエンド36aよりも外側の空間とを連通している。
【0062】
各第2空隙92は、回転軸43の回転に伴い、各第2径路82における第2軸部材45の外周面に対する開口が移動する軌跡上に対して、回転軸43の径方向で重なる位置に配置されている。各第2空隙92は、モータ室18内における各第2コイルエンド36bよりも内側の空間とモータ室18内における各第2コイルエンド36bよりも外側の空間とを連通している。
【0063】
図6に示すように、ヨーク37の外周面37bの接線方向に延びる接線をヨーク接線L1とする。また、ヨーク接線L1と直交し、且つ、回転軸43の軸線Lと交差する直線を仮想直線SLとする。さらに、仮想直線SLとヨーク接線L1との交点P1を通過するとともに、回転軸43の外周面のうち、径路80が開口する部分の接線方向に延び、且つ、回転軸43の回転方向R1側へ延びる接線を回転軸接線L2とする。すると、各ティース38は、仮想直線SLと回転軸接線L2とのなす角度θ1の範囲内で、仮想直線SLに対して、回転軸43の回転方向R1側へ傾いた状態でヨーク37の内周面37aから回転軸43に向けて延びている。本実施形態では、各ティース38は、回転軸接線L2上で回転軸接線L2に沿って延びている。このように、各ティース38は、仮想直線SLに対して、回転軸43の回転方向R1側へ傾いた状態でヨーク37の内周面37aから延びている。
【0064】
各ティース38の幅は一定である。詳細には、各ティース38における先端部を除く部分の幅は一定である。したがって、各ティース38におけるコイル35が巻回されている部分の幅は一定である。各ティース38は、ティース38の幅の中央部が回転軸接線L2上を通過するように、ヨーク37の内周面37aから延びている。なお、ティース38の幅方向は、ヨーク37の軸方向とは異なる方向であって、且つ、ティース38におけるヨーク37の内周面37aからの延在方向とも異なる方向である。よって、ティース38の幅とは、ヨーク37の周方向でのティースの厚みである。
【0065】
各第1空隙91及び各第2空隙92は、各ティース38におけるヨーク37の内周面37aからの延在方向に延びている。したがって、空隙90は、各ティース38におけるヨーク37の内周面37aからの延在方向に延びている。
【0066】
[実施形態の作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
吸入口22からの空気の一部は、第1軸路71及び第2軸路72それぞれに導入される。吸入口22から第1軸路71に導入された空気は、第1軸路71及び各第1径路81を流れてモータ室18内に導入される。各第1径路81は、第1コイルエンド36aに向けて空気を流す。各第1径路81から各第1コイルエンド36aに向けて流れた空気は、各第1コイルエンド36aを冷却する。したがって、吸入口22から第1軸路71及び各第1径路81を介してモータ室18内に導入される空気によって各第1コイルエンド36aが冷却される。
【0067】
吸入口22から第2軸路72に導入された空気は、第2軸路72及び各第2径路82を流れてモータ室18内に導入される。各第2径路82は、第2コイルエンド36bに向けて空気を流す。各第2径路82から各第2コイルエンド36bに向けて流れた空気は、各第2コイルエンド36bを冷却する。したがって、吸入口22から第2軸路72及び各第2径路82を介してモータ室18内に導入される空気によって各第2コイルエンド36bが冷却される。このように、吸入口22から軸路70及び各径路80を介してモータ室18内に導入される空気によってコイルエンド36が冷却される。
【0068】
以下、第1コイルエンド36aの冷却について、図6を用いて詳細に説明する。なお、第2コイルエンド36bの冷却についても、第1コイルエンド36aの冷却と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0069】
各第1径路81からモータ室18内に導入される空気は、図6において矢印A1で示すように、回転軸43の回転に伴って、第1軸部材44の外周面の接線方向であって、且つ、回転軸43の回転方向R1とは反対方向側へ流出する。このとき、各ティース38は、仮想直線SLと回転軸接線L2とのなす角度θ1の範囲内で、仮想直線SLに対して、回転軸43の回転方向R1側へ傾いた状態でヨーク37の内周面37aから回転軸43に向けて延びている。ここで、例えば、各ティース38が、仮想直線SLに対して傾いておらず、仮想直線SL上で仮想直線SLに沿って延びている場合を考える。この場合に比べると、吸入口22から第1軸路71に吸入されて各第1径路81からモータ室18内に導入される空気が、各ティース38の第1端面38aと各第1コイルエンド36aとの間の各第1空隙91に向けて流れ易くなる。このように、各径路80は、吸入口22から軸路70に吸入された空気を各ティース38の端面とコイルエンド36との間の空隙90に向けて流す。
【0070】
各第1径路81からモータ室18内に導入された空気は、各第1コイルエンド36aに衝突せずに、各ティース38の第1端面38aと各第1コイルエンド36aとの間の各第1空隙91を通過し易くなる。そして、各第1空隙91を通過する空気が、各第1コイルエンド36aから発生する熱を吸熱することにより、各第1コイルエンド36aが冷却される。このとき、各第1径路81からモータ室18内に導入された空気が、各第1コイルエンド36aに衝突してしまうことが抑制されている。このため、空気が各第1コイルエンド36aに衝突することにより、空気の温度が上昇してしまうといったことが回避され易くなっている。したがって、各第1コイルエンド36aが空気によって効率良く冷却される。このようにして、コイル35が効率良く冷却される。各第1空隙91を通過した空気は、排出口12hを介してハウジング11外へ排出される。
【0071】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)各径路80からモータ室18内に導入される空気は、回転軸43の回転に伴って、回転軸43の外周面の接線方向であって、且つ、回転軸43の回転方向R1とは反対方向側へ流出する。このとき、各ティース38は、仮想直線SLに対して、回転軸43の回転方向R1側へ傾いた状態でヨーク37の内周面37aから延びている。ここで、例えば、各ティース38が、仮想直線SLに対して傾いておらず、仮想直線SL上で仮想直線SLに沿って延びている場合を考える。この場合に比べると、吸入口22から軸路70に吸入されて各径路80からモータ室18内に導入される空気が、各ティース38の端面とコイルエンド36との間の空隙90に向けて流れ易くなる。したがって、各径路80からモータ室18内に導入された空気が、コイルエンド36に衝突せずに、各ティース38の端面とコイルエンド36との間の空隙90を通過し易くなる。そして、各ティース38の端面とコイルエンド36との間の空隙90を通過する空気が、コイルエンド36から発生する熱を吸熱することにより、コイルエンド36が冷却される。このとき、各径路80からモータ室18内に導入された空気が、コイルエンド36に衝突してしまうことが抑制されているため、空気がコイルエンド36に衝突することにより、空気の温度が上昇してしまうといったことが回避され易くなっている。したがって、コイルエンド36を空気によって効率良く冷却することができる。このようにして、コイル35が効率良く冷却されるため、モータ31の冷却性能を向上させることができる。
【0072】
(2)各ティース38は、仮想直線SLと回転軸接線L2とのなす角度θ1の範囲内で、仮想直線SLに対して、回転軸43の回転方向R1側へ傾いた状態でヨーク37の内周面37aから回転軸43に向けて延びている。これによれば、吸入口22から軸路70に吸入されて各径路80からモータ室18内に導入される空気が、各ティース38の端面とコイルエンド36との間の空隙90に向けてさらに流れ易くなる。したがって、コイルエンド36を空気によってさらに効率良く冷却することができる。
【0073】
(3)例えば、回転軸43が高速回転している場合、各径路80からモータ室18内に導入される空気は、回転軸接線上であって、且つ、回転軸43の回転方向R1とは反対方向側へ流出し易い。そこで、各ティース38が、回転軸接線L2上で回転軸接線L2に沿って延びている。これによれば、各径路80からモータ室18内に導入された空気が、コイルエンド36に衝突せずに、各ティース38の端面とコイルエンド36との間の空隙90を通過し易くなる。したがって、回転軸43が高速回転しているようなコイル35からの発熱量が多い場合であっても、各ティース38の端面とコイルエンド36との間の空隙90を通過する空気によって、コイルエンド36を効率良く冷却することができる。
【0074】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0075】
○ 実施形態において、各ティース38が、回転軸接線L2上で回転軸接線L2に沿って延びていなくてもよい。要は、各ティース38は、仮想直線SLと回転軸接線L2とのなす角度θ1の範囲内で、仮想直線SLに対して、回転軸43の回転方向R1側へ傾いた状態でヨーク37の内周面37aから延びていればよい。
【0076】
○ 実施形態において、各ティース38が、仮想直線SLと回転軸接線L2とのなす角度θ1の範囲外で、仮想直線SLに対して、回転軸43の回転方向R1側へ傾いた状態でヨーク37の内周面37aから延びていてもよい。要は、各ティース38は、仮想直線SLに対して、回転軸43の回転方向R1側へ傾いた状態でヨーク37の内周面37aから延びていればよい。
【0077】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、例えば、第2軸路72及び複数の第2径路82を備えていない構成であってもよい。
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、例えば、第1軸路71及び複数の第1径路81を備えていない構成であってもよい。
【0078】
○ 実施形態において、ロータ33の構成としては、例えば、電磁鋼板が複数積層されて構成される筒状のロータコアと、ロータコアに埋設される磁性体と、を備えたロータであってもよい。このような構成の場合、回転軸43は、ロータコアの内側を貫通している。そして、遠心圧縮機10は、吸入口22に向かって開口し、回転軸43の内部を回転軸43の軸方向に延びる軸路70と、軸路70に連通するとともに軸路70から回転軸43の径方向に延び、モータ室18内に連通する径路80と、を備えていればよい。
【0079】
○ 実施形態において、ティース38の数は特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、永久磁石42が、例えば、筒部材41の内周面に圧入されておらず、例えば、接着剤によって筒部材41の内周面に接着されていてもよい。要は、永久磁石42は、筒部材41の内側に固定されていればよい。
【0080】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、タービンホイール50を備えていない構成であってもよい。
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、タービンホイール50に代えて、インペラを備えている構成であってもよい。つまり、遠心圧縮機10は、第1軸部材44及び第2軸部材45それぞれにインペラが取り付けられており、一方のインペラによって圧縮された空気が、他方のインペラによって再び圧縮されるような構成であってもよい。
【0081】
○ 実施形態において、磁性体としては、永久磁石42に限らず、例えば、積層コア、アモルファスコア、又は、圧粉コア等であってもよい。
○ 実施形態において、筒部材41が、例えば、炭素繊維強化プラスチックから構成されていてもよい。要は、筒部材41の材質は、特に限定されるものではない。
【0082】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、燃料電池車に搭載されていなくてもよい。要は、遠心圧縮機10は、車両に搭載されるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0083】
10…遠心圧縮機、11…ハウジング、18…モータ室、22…吸入口、23…インペラ室、31…モータ、32…ステータ、34…ステータコア、35…コイル、36…コイルエンド、37…ヨーク、37a…内周面、37b…外周面、38…ティース、43…回転軸、49…インペラ、70…軸路、80…径路、90…空隙、L…軸線、L1…ヨーク接線、L2…回転軸接線、P1…交点、SL…仮想直線、θ1…角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6