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特開2024-399353次元測量装置、3次元測量装置駆動方法および3次元測量装置駆動プログラム
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  • 特開-3次元測量装置、3次元測量装置駆動方法および3次元測量装置駆動プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039935
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】3次元測量装置、3次元測量装置駆動方法および3次元測量装置駆動プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
G01C15/00 103E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144694
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】松本 昌絵
(72)【発明者】
【氏名】阿部 淳
(72)【発明者】
【氏名】東海林 直樹
(57)【要約】
【課題】作動時間を抑え、バッテリの消費電力を節約することができる3次元測量装置、3次元測量装置駆動方法および3次元測量装置駆動プログラムを提供すること。
【解決手段】3次元測量装置2は、回転対象物を回転させるモータ433と、回転対象物の回転角を検出するロータリーエンコーダ434と、ロータリーエンコーダ434のゼロ位置におけるモータ433の相の位相関係を初期位相として算出する演算部461と、初期位相を駆動パラメータとして記憶する記憶部468と、を備える。演算部461は、駆動パラメータを事前に記憶部468に記憶させ、電源が入った後の初期動作においてオープンループ制御によりモータ433を駆動し、ロータリーエンコーダ434のゼロ位置を検出したときに記憶部468に記憶された駆動パラメータを位相角として適用した後、ロータリーエンコーダ434の値を用いたクローズドループ制御によりモータ433を駆動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の3次元データを取得する3次元測量装置であって、
回転対象物を軸心を中心に回転させるモータと、
前記回転対象物の回転角を検出するロータリーエンコーダと、
前記ロータリーエンコーダのゼロ位置における前記モータの相の位相関係を初期位相として算出する演算部と、
前記演算部により算出された前記初期位相を駆動パラメータとして記憶する記憶部と、
を備え、
前記演算部は、前記駆動パラメータを事前に前記記憶部に記憶させ、電源が入った後の初期動作においてオープンループ制御により前記モータを駆動し、前記ロータリーエンコーダの前記ゼロ位置を検出したときに前記記憶部に記憶された前記駆動パラメータを位相角として適用した後、前記ロータリーエンコーダの値を用いたクローズドループ制御により前記モータを駆動することを特徴とする3次元測量装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記モータの各極で複数回にわたって前記初期位相を算出し、複数の前記初期位相の平均値を前記駆動パラメータとして前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の3次元測量装置。
【請求項3】
測定対象物の3次元データを取得する3次元測量装置駆動方法であって、
回転対象物の回転角を検出するロータリーエンコーダのゼロ位置におけるモータの相の位相関係を初期位相として算出する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて算出された前記初期位相を駆動パラメータとして事前に記憶部に記憶する第2ステップと、
電源が入った後の初期動作においてオープンループ制御により前記モータを駆動し、前記ロータリーエンコーダの前記ゼロ位置を検出したときに前記記憶部に記憶された前記駆動パラメータを位相角として適用する第3ステップと、
前記ロータリーエンコーダの値を用いたクローズドループ制御により前記モータを駆動する第4ステップと、
を備えたことを特徴とする3次元測量装置駆動方法。
【請求項4】
測定対象物の3次元データを取得する3次元測量装置のコンピュータによって実行される3次元測量装置駆動プログラムであって、
前記コンピュータに、
回転対象物の回転角を検出するロータリーエンコーダのゼロ位置におけるモータの相の位相関係を初期位相として算出する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて算出された前記初期位相を駆動パラメータとして事前に記憶部に記憶する第2ステップと、
電源が入った後の初期動作においてオープンループ制御により前記モータを駆動し、前記ロータリーエンコーダの前記ゼロ位置を検出したときに前記記憶部に記憶された前記駆動パラメータを位相角として適用する第3ステップと、
前記ロータリーエンコーダの値を用いたクローズドループ制御により前記モータを駆動する第4ステップと、
を実行させることを特徴とする3次元測量装置駆動プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の3次元データを取得する3次元測量装置、3次元測量装置駆動方法および3次元測量装置駆動プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、傾斜検出装置を具備する測量装置が開示されている。特許文献1に記載された測量装置は、フレームや傾斜検出ユニットなどの回転対象物を軸心を中心に回転させるモータと、回転対象物の回転角を検出するエンコーダと、を備えている。例えば、 特許文献1に記載されたような測量装置のモータとして、ホールセンサを有していない3相ブラシレスモータが使用される場合がある。このような場合には、測量装置の電源が入った後の初期動作において、測量装置は、モータの揺動動作を実行することによりモータの相の初期位相を確認して記憶し、記憶した初期位相に基づいてモータの制御を行う必要がある。
【0003】
しかし、例えば作業者が3次元測量装置を移動させて測量地点を変更する度に、3次元測量装置が初期動作においてモータの相の初期位相を確認して記憶する動作を実行すると、3次元測量装置の作動時間や作業者の作業時間が長くなるという点において改善の余地がある。これに対して、例えば作業者が3次元測量装置を移動させて測量地点を変更する際に、3次元測量装置の電源を入れたままにしておくことも一策である。しかし、そうすると、3次元測量装置のバッテリの消費電力が多くなり、消費電力の節約という点において改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-63761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、作動時間を抑え、バッテリの消費電力を節約することができる3次元測量装置、3次元測量装置駆動方法および3次元測量装置駆動プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、測定対象物の3次元データを取得する3次元測量装置であって、回転対象物を軸心を中心に回転させるモータと、前記回転対象物の回転角を検出するロータリーエンコーダと、前記ロータリーエンコーダのゼロ位置における前記モータの相の位相関係を初期位相として算出する演算部と、前記演算部により算出された前記初期位相を駆動パラメータとして記憶する記憶部と、を備え、前記演算部は、前記駆動パラメータを事前に前記記憶部に記憶させ、電源が入った後の初期動作においてオープンループ制御により前記モータを駆動し、前記ロータリーエンコーダの前記ゼロ位置を検出したときに前記記憶部に記憶された前記駆動パラメータを位相角として適用した後、前記ロータリーエンコーダの値を用いたクローズドループ制御により前記モータを駆動することを特徴とする3次元測量装置である。
【0007】
本発明の第1態様によれば、演算部は、ロータリーエンコーダのゼロ位置におけるモータの相の位相関係を初期位相として算出し、算出した初期位相を駆動パラメータとして事前に記憶部に記憶させておく。そして、演算部は、電源が入った後の初期動作においてオープンループ制御によりモータを駆動し、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出したときに、記憶部に記憶された駆動パラメータを位相角として適用する。このように、演算部は、電源が入った後の初期動作においてクローズドループ制御によりモータの揺動動作を実行してモータの相の初期位相を確認するわけではない。そして、演算部は、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出したときに、記憶部に記憶された駆動パラメータを位相角として適用した後、ロータリーエンコーダの値を用いたクローズドループ制御によりモータを駆動する。これにより、本発明の第1態様の3次元測量装置は、電源が入った後の初期動作におけるモータの揺動動作が不要であるため、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出するまでの時間を短縮することができ、作動時間を抑えることができる。また、例えば作業者が3次元測量装置を移動させて測量地点を変更する際に電源を入れたままにしておく必要がなく、さらに、本発明の第1態様の3次元測量装置は、作動時間を抑えることができるため、バッテリの消費電力を節約することができ、動作可能時間を拡張することができる。
【0008】
本発明の第2態様は、本発明の第1態様において、前記演算部は、前記モータの各極で複数回にわたって前記初期位相を算出し、複数の前記初期位相の平均値を前記駆動パラメータとして前記記憶部に記憶させることを特徴とする3次元測量装置である。
【0009】
本発明の第2態様によれば、演算部は、初期位相を算出する際に、モータの極の影響による初期位相のばらつきを抑え、より安定した値を駆動パラメータとして記憶部に記憶させることができる。これにより、本発明の第2態様の3次元測量装置は、より安定したモータの駆動を実現することができる。
【0010】
本発明の第3態様は、測定対象物の3次元データを取得する3次元測量装置駆動方法であって、回転対象物の回転角を検出するロータリーエンコーダのゼロ位置におけるモータの相の位相関係を初期位相として算出する第1ステップと、前記第1ステップにおいて算出された前記初期位相を駆動パラメータとして事前に記憶部に記憶する第2ステップと、電源が入った後の初期動作においてオープンループ制御により前記モータを駆動し、前記ロータリーエンコーダの前記ゼロ位置を検出したときに前記記憶部に記憶された前記駆動パラメータを位相角として適用する第3ステップと、前記ロータリーエンコーダの値を用いたクローズドループ制御により前記モータを駆動する第4ステップと、を備えたことを特徴とする3次元測量装置駆動方法である。
【0011】
本発明の第3態様によれば、第1ステップにおいて、ロータリーエンコーダのゼロ位置におけるモータの相の位相関係を初期位相として算出し、第2ステップにおいて、第1ステップにより算出された初期位相を駆動パラメータとして事前に記憶部に記憶させておく。そして、第3ステップにおいて、電源が入った後の初期動作においてオープンループ制御によりモータを駆動し、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出したときに、記憶部に記憶された駆動パラメータを位相角として適用する。このように、第3ステップでは、電源が入った後の初期動作においてクローズドループ制御によりモータの揺動動作を実行してモータの相の初期位相を確認するわけではない。そして、第4ステップにおいて、ロータリーエンコーダの値を用いたクローズドループ制御によりモータを駆動する。これにより、本発明の第3態様の3次元測量装置駆動方法では、電源が入った後の初期動作におけるモータの揺動動作が不要であるため、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出するまでの時間を短縮することができ、作動時間を抑えることができる。また、例えば作業者が3次元測量装置を移動させて測量地点を変更する際に電源を入れたままにしておく必要がなく、さらに、本発明の第3態様の3次元測量装置駆動方法では、作動時間を抑えることができるため、バッテリの消費電力を節約することができ、動作可能時間を拡張することができる。
【0012】
本発明の第4態様は、測定対象物の3次元データを取得する3次元測量装置のコンピュータによって実行される3次元測量装置駆動プログラムであって、前記コンピュータに、回転対象物の回転角を検出するロータリーエンコーダのゼロ位置におけるモータの相の位相関係を初期位相として算出する第1ステップと、前記第1ステップにおいて算出された前記初期位相を駆動パラメータとして事前に記憶部に記憶する第2ステップと、電源が入った後の初期動作においてオープンループ制御により前記モータを駆動し、前記ロータリーエンコーダの前記ゼロ位置を検出したときに前記記憶部に記憶された前記駆動パラメータを位相角として適用する第3ステップと、前記ロータリーエンコーダの値を用いたクローズドループ制御により前記モータを駆動する第4ステップと、を実行させることを特徴とする3次元測量装置駆動プログラムである。
【0013】
本発明の第4態様によれば、第1ステップにおいて、ロータリーエンコーダのゼロ位置におけるモータの相の位相関係を初期位相として算出し、第2ステップにおいて、第1ステップにより算出された初期位相を駆動パラメータとして事前に記憶部に記憶させておく。そして、第3ステップにおいて、電源が入った後の初期動作においてオープンループ制御によりモータを駆動し、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出したときに、記憶部に記憶された駆動パラメータを位相角として適用する。このように、第3ステップでは、電源が入った後の初期動作においてクローズドループ制御によりモータの揺動動作を実行してモータの相の初期位相を確認するわけではない。そして、第4ステップにおいて、ロータリーエンコーダの値を用いたクローズドループ制御によりモータを駆動する。これにより、本発明の第4態様の3次元測量装置駆動プログラムでは、電源が入った後の初期動作におけるモータの揺動動作が不要であるため、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出するまでの時間を短縮することができ、作動時間を抑えることができる。また、例えば作業者が3次元測量装置を移動させて測量地点を変更する際に電源を入れたままにしておく必要がなく、さらに、本発明の第4態様の3次元測量装置駆動プログラムでは、作動時間を抑えることができるため、バッテリの消費電力を節約することができ、動作可能時間を拡張することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作動時間を抑え、バッテリの消費電力を節約することができる3次元測量装置、3次元測量装置駆動方法および3次元測量装置駆動プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る3次元測量装置の構造系を主として説明するブロック図である。
図2】本実施形態に係る3次元測量装置の制御系を主として説明するブロック図である。
図3】本実施形態に係る3次元測量装置の事前動作を表すフローチャートである。
図4】本実施形態に係る3次元測量装置の電源オン後の初期動作を表すフローチャートである。
図5】本実施形態の初期位相の測定結果の一例を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る3次元測量装置の構造系を主として説明するブロック図である。
図2は、本実施形態に係る3次元測量装置の制御系を主として説明するブロック図である。
【0018】
図1および図2に表したように、本実施形態に係る3次元測量装置2は、視準測距ユニット4と、スキャナユニット5と、を備え、例えば構造物などの測定対象物の3次元データを取得する。なお、図1および図2に表した3次元測量装置2は、一例であり、本実施形態に係る3次元測量装置2は、必ずしも視準測距ユニット4とスキャナユニット5との両方を備えていなくともよい。つまり、本実施形態に係る3次元測量装置2は、例えばトータルステーションなどと呼ばれる視準測距ユニット4であって、測距および測角を行う機器であってもよい。あるいは、本実施形態に係る3次元測量装置2は、スキャナユニット5であって、測距および測角を行い点群データを取得する機器であってもよい。本実施形態の説明では、3次元測量装置2が視準測距ユニット4とスキャナユニット5との両方を備える場合を例に挙げる。
【0019】
本実施形態の視準測距ユニット4は、整準部41と、第1托架部42と、第1水平回転部43と、第1鉛直回転部44と、望遠鏡部45と、制御演算部46と、操作表示部47と、基盤部48と、傾斜計49と、を有する。視準測距ユニット4は、計測用ターゲット6(図2参照)を自動的に探す自動追尾機能を有する。
【0020】
制御演算部46は、演算部461と、第1距離測定部462と、第1水平回転駆動部463と、第1鉛直回転駆動部464と、第2距離測定部465と、第2水平回転駆動部466と、第2鉛直回転駆動部467と、記憶部468と、画像処理部469と、を有する。演算部461は、例えばCPU(Central Processing Unit)などであり、操作表示部47の操作入力部472から送信された信号(指令)に基づいて、プログラムの起動や、信号の制御処理や、演算や、操作表示部47の表示部471などの駆動制御などを実行する。すなわち、演算部461は、3次元測量装置2の全体の制御を行うとともに、測量条件や、測定結果(測距結果および測角結果)や、画像処理された結果(視準範囲の画像)などを表示部471に表示させる。
【0021】
第1距離測定部462、第1水平回転駆動部463、第1鉛直回転駆動部464、第2距離測定部465、第2水平回転駆動部466、第2鉛直回転駆動部467、および画像処理部469は、記憶部468に格納(記憶)されているプログラムを演算部461が実行することにより実現される。なお、第1距離測定部462、第1水平回転駆動部463、第1鉛直回転駆動部464、第2距離測定部465、第2水平回転駆動部466、第2鉛直回転駆動部467、および画像処理部469は、ハードウェアによって実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0022】
記憶部468には、例えば、測定のためのシーケンスプログラムや、画像処理のための画像処理プログラムや、演算プログラムなどが格納されている。また、記憶部468には、後述する駆動パラメータが格納される。駆動パラメータの詳細については、後述する。記憶部468としては、例えば、3次元測量装置2に内蔵された半導体メモリなどが挙げられる。あるいは、記憶部468としては、3次元測量装置2に接続可能なCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、RAM(Random access memory)、ROM(Read only memory)、ハードディスク、メモリカードなどの種々の記憶媒体が挙げられる。
【0023】
制御演算部46を含むコンピュータによって実行されるプログラムは、本発明の「3次元測量装置駆動プログラム」の一例である。ここでいう「コンピュータ」とは、パソコンには限定されず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0024】
整準部41は、三脚(図示せず)に取付けられる部分であり、例えば3つの調整螺子411を有する。整準部41の整準は、例えば計測用ターゲット6が設置された既知点において、第1托架部42に設けられた傾斜センサ(図示せず)が水平を検出するように調整螺子411が調整されることにより行われる。すなわち、第1托架部42は、例えば計測用ターゲット6が設置された既知点において、調整螺子411による整準が行われることで水平に維持される。
【0025】
第1水平回転部43は、第1水平回転軸431と、軸受432と、第1水平駆動モータ433と、第1水平角検出器434と、を有する。第1水平駆動モータ433は、本発明の「モータ」の一例であり、例えばホールセンサを有していない3相ブラシレスモータである。第1水平角検出器434は、本発明の「ロータリーエンコーダ」の一例であり、例えばインクリメンタル型のロータリーエンコーダである。第1水平回転軸431は、鉛直に延びた第1鉛直軸心436を有し、軸受432を介して基盤部48に回転自在に支持されている。第1托架部42は、第1水平回転軸431に支持され、第1水平駆動モータ433から伝達された駆動力により第1鉛直軸心436を中心として水平方向に第1水平回転軸431と一体的に回転する。第1托架部42は、本発明の「回転対象物」の一例である。
【0026】
基盤部48に対する第1水平回転軸431の回転角(すなわち第1托架部42の回転角)は、第1水平角検出器434によって検出される。第1水平角検出器434の検出結果は、演算部461に入力される。第1水平駆動モータ433の駆動は、第1水平角検出器434の検出結果に基づいて第1水平回転駆動部463により制御される。
【0027】
第1鉛直回転部44は、第1鉛直回転軸441と、軸受442と、第1鉛直駆動モータ443と、第1鉛直角検出器444と、を有する。第1鉛直駆動モータ443は、本発明の「モータ」の一例であり、例えばホールセンサを有していない3相ブラシレスモータである。第1鉛直角検出器444は、本発明の「ロータリーエンコーダ」の一例であり、例えばインクリメンタル型のロータリーエンコーダである。第1鉛直回転軸441は、水平に延びた第1水平軸心446を有し、軸受442を介して第1托架部42に回転自在に支持されている。第1鉛直回転軸441の一方の端部は、第1托架部42の間隙部421に突出している。望遠鏡部45は、第1托架部42の間隙部421に突出した第1鉛直回転軸441の一方の端部に支持され、第1鉛直駆動モータ443から伝達された駆動力により第1水平軸心446を中心として鉛直方向に第1鉛直回転軸441と一体的に回転する。望遠鏡部45は、本発明の「回転対象物」の一例である。
【0028】
第1鉛直角検出器444は、第1鉛直回転軸441の他方の端部に設けられている。第1托架部42に対する第1鉛直回転軸441の回転角(すなわち望遠鏡部45の回転角)は、第1鉛直角検出器444により検出される。第1鉛直角検出器444の検出結果は、演算部461に入力される。第1鉛直駆動モータ443の駆動は、第1鉛直角検出器444の検出結果に基づいて第1鉛直回転駆動部464により制御される。
【0029】
望遠鏡部45は、前述したように、第1鉛直回転軸441に支持され、第1鉛直駆動モータ443から伝達された駆動力により第1水平軸心446を中心として鉛直方向に回転する。望遠鏡部45は、視準望遠鏡458を有し、計測用ターゲット6を視準して第1測距光455を照射する。具体的に説明すると、望遠鏡部45は、第1測距発光部451と、第1測距受光部452と、視準受光部453と、を有する。
【0030】
第1測距発光部451は、第1距離測定部462により駆動制御される。第1測距発光部451は、望遠鏡部45の内部に設けられ、例えばレーザ光などの第1測距光455を第1水平軸心446に直交する方向に射出する。第1測距発光部451から射出された第1測距光455は、計測用ターゲット6に照射される。計測用ターゲット6で反射した第1反射測距光456は、望遠鏡部45の内部に設けられた第1測距受光部452において受光される。第1測距受光部452は、受光した第1反射測距光456による明暗(受光結果)を電子信号(受光信号)に変換し、受光信号を第1距離測定部462に送信する。また、第1測距受光部452は、参照光光学部(図示せず)から導かれた内部参照光(図示せず)を受光し電気信号に変換して、第1距離測定部462に送信する。
【0031】
第1距離測定部462は、第1測距受光部452から送信された受光信号に基づいて計測用ターゲット6までの距離を演算する。すなわち、第1反射測距光456および内部参照光は、第1反射測距光電気信号および内部参照光電気信号のそれぞれに変換され、第1距離測定部462に送られる。計測用ターゲット6までの距離は、第1反射測距光電気信号と内部参照光電気信号との間の時間的間隔の差に基づいて測定される。第1距離測定部462の演算結果は、演算部(CPU)461に入力される。
【0032】
演算部461は、測定した計測用ターゲット6までの距離と、第1鉛直角検出器444により検出された鉛直角と、第1水平角検出器434により検出された水平角と、に基づいて、計測用ターゲット6の座標値を算出する。言い換えれば、計測用ターゲット6は既知点に設置されているため、演算部461は、測定した計測用ターゲット6までの距離と、第1鉛直角検出器444により検出された鉛直角と、第1水平角検出器434により検出された水平角と、に基づいて、視準測距ユニット4の計測中心の座標値を算出する。
【0033】
視準受光部453は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサであり、第1反射測距光456の波長域とは異なる波長域の反射視準光457を受光する。反射視準光457は、第1反射測距光456の波長域とは異なる波長域を有する光であって、計測用ターゲット6で反射した光である。すなわち、視準受光部453は、計測用ターゲット6で反射した反射視準光457を受光し、計測用ターゲット6の画像を受光する。反射視準光457としては、例えば自然光や赤外光などが挙げられる。但し、反射視準光457は、これだけには限定されない。反射視準光457は、望遠鏡部45の内部に設けられた視準受光部453において受光される。視準受光部453は、反射視準光457による明暗(受光結果)を電子信号(画像信号)に変換し、画像信号を画像処理部469に送信する。
【0034】
画像処理部469は、視準受光部453から送信された画像信号の画像処理を実行し、画像データ信号として演算部461に送信する。演算部461は、画像処理部469から送信された画像データ信号に基づいて演算を実行し、望遠鏡部45による視準範囲の画像を操作表示部47の表示部471に表示させる制御を実行する。
【0035】
傾斜計49は、重力に対する視準測距ユニット4の傾き(傾斜角)を計測する。傾斜計49の計測結果は、演算部461に入力される。
【0036】
本実施形態のスキャナユニット5は、第2托架部52と、第2水平回転部53と、第2鉛直回転部54と、走査鏡55と、第2測距発光部56と、第2測距受光部57と、を有する。視準測距ユニット4に対するスキャナユニット5の外部標定要素は、予め設定されており既知である。
【0037】
第2水平回転部53は、第2水平回転軸531と、軸受532と、第2水平駆動モータ533と、第2水平角検出器534と、を有する。第2水平駆動モータ533は、本発明の「モータ」の一例であり、例えばホールセンサを有していない3相ブラシレスモータである。第2水平角検出器534は、本発明の「ロータリーエンコーダ」の一例であり、例えばインクリメンタル型のロータリーエンコーダである。第2水平回転軸531は、鉛直に延びた第2鉛直軸心536を有し、軸受532を介して第2托架部52に回転自在に支持されている。第2水平回転軸531の一方の端部は、視準測距ユニット4の第1托架部42に接続されている。第2托架部52は、第2水平回転軸531に支持され、第2水平駆動モータ533から伝達された駆動力により第2鉛直軸心536を中心として水平方向に第2水平回転軸531と一体的に回転する。第2托架部52は、本発明の「回転対象物」の一例である。
【0038】
第2鉛直軸心536は、第1鉛直軸心436と平行である。本実施形態に係る3次元測量装置2では、第1鉛直軸心436および第2鉛直軸心536は、互いに同一直線上に存在する。ただし、第1鉛直軸心436および第2鉛直軸心536は、互いに同一直線上に存在することには限定されない。第1鉛直軸心436と第2鉛直軸心536との間の距離は、既知である。すなわち、第1鉛直軸心436に対する第2鉛直軸心536の位置は、既知である。
【0039】
第2水平角検出器534は、第2水平回転軸531の他方の端部に設けられている。第1托架部42に対する第2水平回転軸531の回転角(すなわち第2托架部52の回転角)は、第2水平角検出器534により検出される。第2水平角検出器534の検出結果は、演算部461に入力される。第2水平駆動モータ533の駆動は、第2水平角検出器534の検出結果に基づいて第2水平回転駆動部466により制御される。
【0040】
第2鉛直回転部54は、第2鉛直回転軸541と、軸受542と、第2鉛直駆動モータ543と、第2鉛直角検出器544と、を有する。第2鉛直駆動モータ543は、本発明の「モータ」の一例であり、例えばホールセンサを有していない3相ブラシレスモータである。第2鉛直角検出器544は、本発明の「ロータリーエンコーダ」の一例であり、例えばインクリメンタル型のロータリーエンコーダである。第2鉛直回転軸541は、水平に延びた第2水平軸心546を有し、軸受542を介して第2托架部52に回転自在に支持されている。第2鉛直回転軸541の一方の端部は、第2托架部52の凹部521に突出している。走査鏡55は、第2托架部52の凹部521に突出した第2鉛直回転軸541の一方の端部に支持され、第2鉛直駆動モータ543から伝達された駆動力により第2水平軸心546を中心として鉛直方向に第2鉛直回転軸541と一体的に回転する。走査鏡55は、本発明の「回転対象物」の一例である。
【0041】
第2鉛直角検出器544は、第2鉛直回転軸541の他方の端部に設けられている。第2托架部52に対する第2鉛直回転軸541の回転角(すなわち走査鏡55の回転角)は、第2鉛直角検出器544により検出される。第2鉛直角検出器544の検出結果は、演算部461に入力される。第2鉛直駆動モータ543の駆動は、第2鉛直角検出器544の検出結果に基づいて第2鉛直回転駆動部467により制御される。
【0042】
第2水平軸心546は、第1水平軸心446と平行である。第1水平軸心446と第2水平軸心546との間の距離は、既知である。すなわち、第1水平軸心446に対する第2水平軸心546の位置は、既知である。
【0043】
走査鏡55は、偏向光学部材であり、水平方向から入射した第2測距光565を直角に反射する。すなわち、走査鏡55は、水平方向から入射した第2測距光565を第2水平軸心546に直交する方向に反射する。走査鏡55は、前述したように、第2鉛直回転軸541に支持され、第2鉛直駆動モータ543から伝達された駆動力により第2水平軸心546を中心として鉛直方向に回転する。これにより、走査鏡55は、第2測距光565を第2水平軸心546に交差(具体的には直交)する面内で回転照射させる。また、走査鏡55は、測定対象物7で反射され走査鏡55に入射した第2反射測距光566を第2測距受光部57に向かって反射する。すなわち、走査鏡55は、測定対象物7で反射され走査鏡55に入射した第2反射測距光566を第2水平軸心546に平行な方向に反射する。
【0044】
図2に表したように、第2測距発光部56は、発光素子561と、対物レンズ等を含む投光光学部562と、を有し、第2距離測定部465により駆動制御される。発光素子561は、例えば半導体レーザ等であり、投光光学部562を介して第2測距光565を第2水平軸心546に合致する光軸上に射出する。第2測距光565は、不可視光としての赤外光のパルスレーザ光線である。発光素子561は、第2距離測定部465に制御され、所要の光強度や所要のパルス間隔などを含む所要の状態でパルス光を発光する。
【0045】
図2に表したように、第2測距受光部57は、受光素子571と、集光レンズなどを含む受光光学部572と、を有する。受光素子571は、第2測距光565が測定対象物7で反射した第2反射測距光566であって、走査鏡55で反射し受光光学部572を透過した第2反射測距光566を受光する。受光素子571は、受光した第2反射測距光566による明暗(受光結果)を電子信号(受光信号)に変換し、受光信号を第2距離測定部465に送信する。また、受光素子571は、参照光光学部(図示せず)から導かれた内部参照光(図示せず)を受光し電気信号に変換して、第2距離測定部465に送信する。
【0046】
第2距離測定部465は、第2測距受光部57(具体的には受光素子571)から送信された受光信号に基づいて測定対象物7までの距離を演算する。すなわち、第2反射測距光566および内部参照光は、第2反射測距光電気信号および内部参照光電気信号のそれぞれに変換され、第2距離測定部465に送られる。測定対象物7までの距離は、第2反射測距光電気信号と内部参照光電気信号との間の時間的間隔の差に基づいて測定される。第2距離測定部465の演算結果は、演算部461に入力される。
【0047】
演算部461は、測定した測定対象物7までの距離と、第2鉛直角検出器544により検出された鉛直角と、第2水平角検出器534により検出された水平角と、に基づいて、測定対象物7の座標値を算出する。また、演算部461は、パルス光毎の測定対象物7の座標値を記録することで、測定範囲全域に関する点群データ、あるいは測定対象物7に関する点群データを得ることができる。
【0048】
ここで、ホールセンサを有していない3相ブラシレスモータが第1水平駆動モータ433、第1鉛直駆動モータ443、第2水平駆動モータ533および第2鉛直駆動モータ543の少なくともいずれかに使用される場合、3次元測量装置2は、モータの揺動動作を実行することによりモータの相の初期位相を確認して記憶し、記憶した初期位相に基づいてモータの制御を行う必要がある。しかし、例えば作業者が3次元測量装置2を移動させて測量地点を変更する度に、3次元測量装置2が初期動作においてモータの相の初期位相を確認して記憶する動作を実行すると、3次元測量装置2の作動時間や作業者の作業時間が長くなる。また、例えば作業者が3次元測量装置2を移動させて測量地点を変更する際に、3次元測量装置2の電源を入れたままにしておくと、測量地点を変更する度にモータの相の初期位相を確認して記憶する動作は不要になる一方で、3次元測量装置2のバッテリの消費電力が多くなる。
【0049】
これに対して、本実施形態に係る3次元測量装置2の演算部461は、第1水平角検出器434のゼロ位置におけるモータの相の位相関係を初期位相として算出し、算出した初期位相を駆動パラメータとして事前に記憶部468に記憶させておく。そして、演算部461は、3次元測量装置2の電源が入った後の初期動作においてオープンループ制御により第1水平駆動モータ433を駆動し、第1水平角検出器434のゼロ位置を検出したときに、記憶部468に記憶された駆動パラメータを位相角として適用する。そして、演算部461は、第1水平角検出器434のゼロ位置を検出したときに、記憶部468に記憶された駆動パラメータを位相角として適用した後、第1水平角検出器434の値を用いたクローズドループ制御により第1水平駆動モータ433を駆動する。このような処理は、第1鉛直角検出器444および第1鉛直駆動モータ443、第2水平角検出器534および第2水平駆動モータ533、ならびに第2鉛直角検出器544および第2鉛直駆動モータ543についても同様に実行される。
【0050】
以下、本実施形態に係る3次元測量装置2の動作と、本実施形態に係る3次元測量装置2が実行する3次元測量装置駆動方法と、本実施形態に係る3次元測量装置2のコンピュータによって実行される3次元測量装置駆動プログラムと、の詳細を、図面を参照して説明する。
【0051】
図3は、本実施形態に係る3次元測量装置の事前動作を表すフローチャートである。
図4は、本実施形態に係る3次元測量装置の電源オン後の初期動作を表すフローチャートである。
図5は、本実施形態の初期位相の測定結果の一例を例示するグラフである。
【0052】
なお、図3および図4は、本実施形態に係る3次元測量装置駆動方法により実行されるステップと、本実施形態に係る3次元測量装置駆動プログラムが3次元測量装置2のコンピュータに実行させるステップと、を表すフローチャートである。
以下では、説明の便宜上、第1水平駆動モータ433、第1鉛直駆動モータ443、第2水平駆動モータ533および第2鉛直駆動モータ543を「モータ」と称して説明し、第1水平角検出器434、第1鉛直角検出器444、第2水平角検出器534および第2鉛直角検出器544を「ロータリーエンコーダ」と称して説明する。
【0053】
まず、図3に表したステップS11において、3次元測量装置2は、例えば3次元測量装置2の製造工程や組立工程で事前動作としてモータの揺動動作を実行する。つまり、演算部461は、モータの初期位置を求める制御を実行する。続いて、ステップS12において、演算部461は、クローズドループ制御によりモータを駆動する。続いて、ステップS13において、演算部461は、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出したか否かを判断する。
【0054】
演算部461は、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出していない場合には(ステップS13:NO)、ステップS12に関して前述した処理を実行する。一方で、演算部461は、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出した場合には(ステップS13:YES)、ステップS14において、ロータリーエンコーダのゼロ位置におけるモータの相の位相関係を初期位相として算出する。続いて、ステップS15において、演算部461は、算出した初期位相を駆動パラメータとして記憶部468に記憶させる。
【0055】
ここで、図5に表したように、演算部461が算出する初期位相には、演算部461が初期位相を確認するモータの極に応じてばらつきが存在する。図5は、1回、2回および3回にわたってモータの各極における任意の相(例えば3相ブラシレスモータのU相)の位相を測定した結果の一例を表している。図5に表したような初期位相のばらつきは、例えば3相ブラシレスモータのU相だけではなく、V相およびW相についても同様に存在する。
【0056】
そこで、本実施形態の演算部461は、モータの各極で複数回にわたって初期位相を算出し、複数の初期位相の平均値を駆動パラメータとして記憶部468に記憶させる。これにより、演算部461は、初期位相を算出する際に、モータの極の影響による初期位相のばらつきを抑え、より安定した値を駆動パラメータとして記憶部468に記憶させることができる。
このようにして、3次元測量装置2の製造工程や組立工程での事前動作が終了する。
【0057】
続いて、図4に表したステップS21において、例えば測量現場などで3次元測量装置2の電源が入る。そうすると、ステップS22において、演算部461は、電源が入った後の初期動作として、オープンループ制御によりモータを駆動する。続いて、ステップS23において、演算部461は、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出したか否かを判断する。
【0058】
演算部461は、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出していない場合には(ステップS23:NO)、ステップS22に関して前述した処理を実行する。一方で、演算部461は、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出した場合には(ステップS23:YES)、ステップS24において、記憶部468に記憶された駆動パラメータを位相角として適用する。このように、本実施形態の演算部461は、電源が入った後の初期動作においてクローズドループ制御によりモータの揺動動作を実行してモータの相の初期位相を確認するわけではない。続いて、ステップS25において、演算部461は、ロータリーエンコーダの値を用いたクローズドループ制御によりモータを駆動する。
【0059】
本実施形態に係る3次元測量装置2によれば、電源が入った後の初期動作におけるモータの揺動動作が不要であるため、ロータリーエンコーダのゼロ位置を検出するまでの時間を短縮することができ、作動時間を抑えることができる。また、例えば作業者が3次元測量装置2を移動させて測量地点を変更する際に電源を入れたままにしておく必要がなく、さらに作動時間を抑えることができるため、バッテリの消費電力を節約することができ、動作可能時間を拡張することができる。
【0060】
また、図3および図5に関して前述した通り、演算部461は、モータの各極で複数回にわたって初期位相を算出し、複数の初期位相の平均値を駆動パラメータとして記憶部468に記憶させる。これにより、演算部461は、初期位相を算出する際に、モータの極の影響による初期位相のばらつきを抑え、より安定した値を駆動パラメータとして記憶部468に記憶させることができる。これにより、3次元測量装置2は、より安定したモータの駆動を実現することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0062】
2:3次元測量装置、 4:視準測距ユニット、 5:スキャナユニット、 6:計測用ターゲット、 7:測定対象物、 41:整準部、 42:第1托架部、 43:第1水平回転部、 44:第1鉛直回転部、 45:望遠鏡部、 46:制御演算部、 47:操作表示部、 48:基盤部、 49:傾斜計、 52:第2托架部、 53:第2水平回転部、 54:第2鉛直回転部、 55:走査鏡、 56:第2測距発光部、 57:第2測距受光部、 411:調整螺子、 421:間隙部、 431:第1水平回転軸、 432:軸受、 433:第1水平駆動モータ、 434:第1水平角検出器、 436:第1鉛直軸心、 441:第1鉛直回転軸、 442:軸受、 443:第1鉛直駆動モータ、 444:第1鉛直角検出器、 446:第1水平軸心、 451:第1測距発光部、 452:第1測距受光部、 453:視準受光部、 455:第1測距光、 456:第1反射測距光、 457:反射視準光、 458:視準望遠鏡、 461:演算部、 462:第1距離測定部、 463:第1水平回転駆動部、 464:第1鉛直回転駆動部、 465:第2距離測定部、 466:第2水平回転駆動部、 467:第2鉛直回転駆動部、 468:記憶部、 469:画像処理部、 471:表示部、 472:操作入力部、 521:凹部、 531:第2水平回転軸、 532:軸受、 533:第2水平駆動モータ、 534:第2水平角検出器、 536:第2鉛直軸心、 541:第2鉛直回転軸、 542:軸受、 543:第2鉛直駆動モータ、 544:第2鉛直角検出器、 546:第2水平軸心、 561:発光素子、 562:投光光学部、 565:第2測距光、 566:第2反射測距光、 571:受光素子、 572:受光光学部

図1
図2
図3
図4
図5