(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039948
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】流量計測システム
(51)【国際特許分類】
E04G 21/04 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
E04G21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144715
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】520384987
【氏名又は名称】有限会社ベトンテック
(71)【出願人】
【識別番号】522050952
【氏名又は名称】庄野 和隆
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(72)【発明者】
【氏名】庄野 和隆
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172DE02
2E172HA03
(57)【要約】
【課題】圧送管の下流側でスラリー圧送量を計測する。
【解決手段】本システムは、圧送管に附設されて当該圧送管内をスラリーが流れているか否かを検知する運転状況監視手段30と、圧送管に附設されてポンプのポンプシリンダ内をポンプピストンが往復する際に発する脈動を監視する脈動監視部10と、ポンプシリンダの体積に関する情報を入力される操作部26と、運転状況監視手段30によって監視されるスラリーの流れの有無、脈動監視部10によって監視される脈動の間隔、および操作部26から入力される体積に関する情報に基づき、圧送管を流れるスラリーの単位時間当たり流量を算出する算出部27と、単位時間当たり流量を出力する信号出力部28とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設材料スラリーまたは廃棄物スラリーを吸入して吐出するピストン式ポンプ装置からスラリー受入箇所まで延びる圧送管を流れるスラリーの単位時間当たり流量を計測するシステムであって、
前記圧送管に附設されて当該圧送管内をスラリーが流れているか否かを検知する運転状況監視手段と、
前記圧送管に附設されて前記ピストン式ポンプ装置のポンプシリンダ内をポンプピストンが往復する際に発する脈動を監視する脈動監視部と、
前記ポンプシリンダの体積に関する情報を入力される操作部と、
前記運転状況監視手段によって監視されるスラリーの流れの有無、前記脈動監視部によって監視される脈動の間隔、および前記操作部から入力される体積に関する情報に基づき、前記圧送管を流れるスラリーの単位時間当たり流量を算出する単位時間流量算出部と、
前記単位時間当たり流量を出力する出力部とを備える、流量計測システム。
【請求項2】
前記運転状況監視手段は、前記圧送管に設けられる開閉弁と、前記開閉弁の開閉を検知する開閉検知センサを含む、請求項1に記載の流量計測システム。
【請求項3】
前記脈動監視部は、加速度センサを含む、請求項1に記載の流量計測システム。
【請求項4】
前記単位時間流量算出部が算出した流量を表示する表示部をさらに備える、請求項1に記載の流量計測システム。
【請求項5】
前記圧送管は途中で分岐して下流側で複数の分岐圧送管を構成し、
前記複数の分岐圧送管は互いに異なるスラリー放出位置までそれぞれ延び、
前記開閉弁は、前記分岐圧送管毎に設けられ、
前記出力部は、前記分岐圧送管毎に、前記単位時間当たり流量に関する信号を出力する、請求項2に記載の流量計測システム。
【請求項6】
前記単位時間当たりの流量に基づいて累積量を算出する累積量算出部と、
前記累積量を記憶する累積量記憶部とをさらに備える、請求項1~5のいずれかに記載の流量計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストン式ポンプから受け入れ箇所まで圧送されるスラリーの流量を算出するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
スラリー状の建設材料を圧送する技術として従来、例えば特開2021-143480号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。特許文献1記載のシステムは、コンクリートポンプ車と、上流端をコンクリートポンプ車に接続され上流端以外を打設箇所に設置される1本の圧送用配管と、圧送用配管の途中に間隔を空けて複数設けられる分岐ホースと、圧送用配管の上流端および分岐ホースと圧送用配管の分岐箇所にそれぞれ設けられる開閉弁と、コンクリートポンプ車に設けられてこれらの開閉弁を制御する制御部を備える。
【0003】
各ホースは、水平方向に長尺な打設箇所に配列される。打設箇所は上側に開放されており、上向きの水平面である。かかる水平面は各分岐ホースの下流端と対向する。特許文献1記載のシステムによれば、開閉弁毎に作業者を配置する必要がなくなり、作業者の人数および負担が軽減されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のシステムでは、コンクリートポンプ車、つまり圧送用配管の上流端側でコンクリート打設開始時刻や打設終了時刻や単位時間当たりの打設量を制御および管理する。
【0006】
一方、建設現場によっては、上流端のポンプ側でなく、下流端の受け入れ側で、スラリーの受け入れ開始時刻や打設終了時刻や単位時間当たりのスラリー流量を制御および管理したいというニーズがある。あるいは、上下流端の途中箇所で制御および管理したいというニーズもある。
【0007】
しかしながら特許文献1記載のシステムでは、上述したニーズを実現することはできない。
【0008】
本発明は、上述の実情に鑑み、ポンプよりも下流箇所で、圧送されて来るスラリーの単位時間当たりの流量をリアルタイムで算出することができ、スラリーの流量管理が可能になる、従来よりも改良されたシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため本発明による流量計測システムは、建設材料スラリーまたは廃棄物スラリーを吸入して吐出するピストン式ポンプ装置からスラリー受入箇所まで延びる圧送管を流れるスラリーの単位時間当たり流量を計測するシステムであって、圧送管に附設されて当該圧送管内をスラリーが流れているか否かを検知する運転状況監視手段と、圧送管に附設されてピストン式ポンプ装置のポンプシリンダ内をポンプピストンが往復する際に発する脈動を監視する脈動監視部と、ポンプシリンダの体積に関する情報を入力される操作部と、運転状況監視手段によって監視されるスラリーの流れの有無、脈動監視部によって監視される脈動の間隔、および操作部から入力される体積に関する情報に基づき、圧送管を流れるスラリーの単位時間当たり流量を算出する単位時間流量算出部と、単位時間当たり流量を出力する出力部とを備える。
【0010】
かかる本発明によれば、上流端のポンプ側でなく、ポンプよりも下流箇所で、圧送されてくるスラリーの単位時間当たりの流量をリアルタイムで算出することができ、スラリーの流量管理が可能になる。
【0011】
本発明の運転状況監視手段は特に限定されない。本発明の一局面として運転状況監視手段は、圧送管に設けられる開閉弁と、開閉弁の開閉を検知する開閉検知センサを含む。本発明の脈動監視部は特に限定されない。本発明の一局面として、脈動監視部は加速度センサを含む。本発明の好ましい局面として、単位時間流量算出部が算出した流量を表示する表示部をさらに備える。
【0012】
スラリー受入箇所は特に限定されないし、圧送管の配置も特に限定されない。本発明の一局面として、圧送管は途中で分岐して下流側で複数の分岐圧送管を構成し、複数の分岐圧送管は互いに異なるスラリー放出位置までそれぞれ延び、開閉弁は分岐圧送管毎に設けられ、出力部は分岐圧送管毎に単位時間当たり流量に関する信号を出力する。かかる局面によれば、大規模なスラリー受入箇所において、受入箇所の各所についてスラリー流量を制御および管理することができる。
【0013】
本発明のさらに好ましい局面として、単位時間当たりの流量に基づいて累積量を算出する累積量算出部と、累積量を記憶する累積量記憶部とをさらに備える。
【発明の効果】
【0014】
このように本発明によれば、圧送管の下流側でスラリー流量を計測することができる。またリアルタイムで流量が計測されることにより、受入箇所でスラリー流量調整と施工管理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態を示すシステム構成図である。
【
図3】流量計から出力される流量に基づく実績ラインを例示するモニター画面である。
【
図4】同実施形態のピストン式ポンプを示す模式図である。
【
図5】本発明の第1変形例の受け入れ先を示す模式図である。
【
図6】本発明の第2変形例の受け入れ先を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態になる流量計測システムと、スラリーの流れを示す全体的な構成図である。まずスラリーを製造し、受け入れ箇所へ圧送する構成について説明する。製造設備101は、例えばモルタルプラントやコンクリートプラントやその他のプラントであって、モルタルやコンクリートや廃棄物スラリー等のスラリーを製造する。廃棄物スラリーは例えばフライアッシュを水で攪拌したものであり、用途によってリサイクルされる。
【0017】
製造設備101にはポンプ102が設けられるか、あるいは接続される。ポンプ102は製造設備101から受け取るスラリーを吸入し、圧送管103へ吐出する。ポンプ102に圧送管103の上流端が接続される。圧送管103の下流端はスラリー受入箇所(以下、受入箇所140という)に接続される。本実施形態では、台船(図略)にモルタルプラントとしての製造設備101およびポンプ102が搭載される。
【0018】
図4はポンプ102を示す模式図である。ポンプ102はピストン式ポンプ装置であって、ホッパ111と、切換バルブ112と、切換バルブ揺動機構113と、油圧モータ114と、制御部115と、1対のポンプシリンダ116,117と、1対のポンプピストン118,119と、1対の油圧シリンダ120,121と、1対の油圧ピストン122,123と、1対のロッド124,125と、背圧管126,127と、圧力計128と、油圧回路129を有する公知のスラリーポンプである。
【0019】
ホッパ111は、製造設備101で生産されるスラリー(モルタル)を受け入れる。ポンプシリンダ116,117はそれぞれ、一端を吸入/吐出口116b,117bとして、ホッパ111と接続する。切換バルブ112は、S字状に延びるパイプであって、その両端を入口端112bおよび出口端112cとされる。また切換バルブ112は、ホッパ111内に配置され、ホッパ111を貫通して延びる回動軸Xを中心として揺動する。出口端112cは回動軸Xに近い位置に配置され、ブーム104(
図1)に沿って配管される圧送管の基端と接続する。入口端112bは回動軸Xから遠い位置に配置され、切換バルブ112が揺動する際に、吸入/吐出口116b,117bと交互に接続する。
【0020】
ポンプピストン118,119はポンプシリンダ116,117内にそれぞれ配置される。ロッド124,125の一端はそれぞれ、ポンプシリンダ116,117の他端に差し込まれて、ポンプピストン118,119と連結される。ロッド124,125の他端はそれぞれ、油圧シリンダ120,121の一端に差し込まれて、油圧シリンダ120,121内に配置される油圧ピストン122,123に連結される。
【0021】
油圧ピストン122,123は、油圧シリンダ120,121の内部空間を作動油室と背圧油室に区画する。一端側の背圧油室は、背圧油で満たされ、背圧管126で連通状態にされる。他端側の作動油室は、作動油で満たされ、油圧モータ114から延びる油圧回路129とそれぞれ接続する。油圧モータ114と、切換バルブ112を揺動させる切換バルブ揺動機構113は、制御部115と接続する。制御部115は、油圧モータ114および切換バルブ揺動機構113を同期させる。これにより吸入/吐出口116b,117bの一方と切り換えバルブ112の入口端112bが接続して切り換えバルブ112へスラリーが吐出され、残る他方はホッパ111からスラリーを吸入し、かかる動作が一方と他方で交互に実行される。
【0022】
1対のポンプシリンダ116,117は互いに平行に延び、同一断面積、同一長さとされ、両端が揃うよう並列配置される。1対の油圧シリンダ120,121も同様である。
図4を参照して、油圧回路129の一方は送り側、他方は戻り側とされ、一方の油圧ピストン122を一方側へ押し込みつつ、他方の油圧ピストン123を他方側へ引き込む。これによりロッド124,125を介して、ポンプピストン118,119は交互に進退動しながら、ポンプシリンダ116,117内を摺動し、ホッパ111内のスラリーを吸入し、切換バルブ112へ吐出する。
【0023】
ポンプピストン118および油圧ピストン122が一緒になって往復運動し、ポンプピストン119および油圧ピストン123が一緒になって往復運動する際、背圧管126の背圧油の圧力は脈動する。背圧管126から分岐して延びる背圧管127には既設のアナログ式の圧力計128が設けられる。既設の圧力計128は背圧油の圧力を単に表示するが、表示した圧力を電気信号に変換して外部出力するものではない。
【0024】
受入箇所140は例えば、下部構造141を内筒とし、下部構造141に対し上側のトランジションピース142を外筒とし、これら内外二重管の隙間Gである。上下方向に延びる隙間Gにはスラリー状のモルタルが充填される。トランジションピース142は下部構造141を越えて上方へ延び、隙間Gは全周に亘ってトランジションピース142に包囲されることから、受入箇所140外部、例えば製造設備101およびポンプ102、から隙間Gを視認することはできないし、目視で隙間G内のモルタルを確認することはできない。
【0025】
本実施形態の下部構造141は、海底に立設される断面円形の鋼製基礎である。トランジションピース142は鋼製の円筒であり、トランジションピース142上部には洋上風車の柱(図略)が接続される。圧送管103は、硬質のパイプおよび/または屈曲可能なホースで構成される。本実施形態では、圧送管103の上流端区間が上述した台船に設置されるパイプであり、圧送管103の下流端区間が洋上のトランジションピースの外周面に取付固定されるパイプであり、圧送管103の途中区間がホースである。
【0026】
隙間Gは下端側を環状シール143で封止される。圧送管103の下流端区間は、トランジションピース142の外周面に取付固定されて上方から下方へ延び、下流端をトランジションピース142下端部の注入口142hに接続される。かかる下流端からモルタルが隙間Gへ進入し、隙間Gにモルタルが打ち上げられる。隙間Gがモルタルで充填されると、注入口142hは閉塞され、圧送管103はトランジションピース142から取り外される。その後、モルタルが隙間G内で硬化すると、下部構造141とトランジションピース142の連結固定が概ね完了する。次に圧送管103の下流端区間は、別な受入箇所に接続され、上述したモルタル注入作業が繰り返し実行される。
【0027】
圧送管103の上流端区間には開閉弁131が介在する。開閉弁131は管路の断面を全閉ないし全開に変化させることにより、圧送管103を流れるスラリーの単位時間当たりの流量を調整する。開閉弁131は例えば、弾性変形可能なゴム製の管と、当該管に外力を付与して管の断面積を変化させる装置で構成され、当該装置は自動化、遠隔操作可能である。開閉弁131は、ポンプ102の稼働とは無関係に開閉される。
【0028】
開閉弁131には、開閉弁131の開度0~100を信号化して送信する開閉検知センサ132が設けられる。開閉検知センサ132は、開度0(全閉)であるか、開度100(全開)であるか、を検知し、開度に関する信号を出力する。開閉弁131および開閉検知センサ132は運転状況監視手段30を構成し、ポンプ102から吐出されるスラリーが圧送管103を流れることが可能であるか否かという運転情報を出力する。
【0029】
次に本実施形態のスラリー流量計測システムにつき説明する。本システムは、運転状況監視手段30と、脈動監視部10と、流量計20と、ネットワーク40と、表示端末50を含む。脈動監視部10は、例えば加速度センサであって、圧送管103の任意の位置に後付けで附設され、圧送管103の脈動を監視し、所定の脈動を検知する間、信号を出力する。所定の脈動とは、ポンプ102のポンプシリンダ116,117の中をポンプピストン118,119が1往復する際に1度だけ発する音および振動をいう。つまりポンプピストン118,119が複数回往復すると、同数の脈動が現れる。
【0030】
図2は、流量計20の構成図である。流量計20は、信号入力部24、バッテリ25、操作部26、算出部27、信号出力部28、表示部29を有する。信号入力部24は、運転状況監視手段30および脈動監視部10から出力される信号を受信し、算出部27へ送信する。バッテリ25は流量計20に必要な電力を供給する。流量計20の設置箇所は特に限定されない。運転状況監視手段30は、流量計20へ無線信号を送信するものであってもよいし、ネットワーク40を利用して流量計20や他の機器へ信号を送信するものであってもよいし、あるいは信号ケーブルを経由して流量計20へ信号を送信するものであってもよい。脈動監視部10も同様である。
【0031】
操作部26は、係員に操作されて、算出部27に、ポンプ102のポンプシリンダに関する情報を入力する。ポンプシリンダに関する情報とは具体的には、ポンプシリンダの中をポンプピストンが1往復することによって吐出口から吐出されるスラリーの体積である。かかる体積は、ポンプシリンダの内空断面積に、ポンプピストンのストローク距離と、1.0未満の所定の係数を乗算して求められる。所定の係数は例えば0.8以上1未満の範囲に含まれる所定値あるいは変動値である。
【0032】
算出部27は、信号入力部24から入力される圧送管103の運転情報および所定の脈動に基づいて、単位時間当たりの脈動回数を算出する。そして算出部27は、単位時間当たりの脈動回数に、上述したポンプピストン1往復当りにおいてポンプ102から吐出されるスラリー体積を乗算して、単位時間当たりの流量(以下、流量という)を算出する。かかる算出は、1間隔の脈動毎、あるいは1秒~数十秒毎に時々刻々と行われる。算出された流量は信号出力部28および表示部29へ出力される。
【0033】
表示部29は、算出部27で算出したスラリーの流量、例えば単位[m3/min]あるいは[m3/sec]を表示する。本実施形態では、操作部26と表示部29が電気的に相互接続される。係員は、操作部26を手動で操作して、表示部29に表示される流量の情報、例えば単位、を変更可能である。
【0034】
信号出力部28は、算出部27で算出したスラリーの流量を、送信用の信号に変換して、流量計20の外部、具体的には表示端末50や管理システムのサーバ(図略)等、へ出力する。かかる出力は、Wi-fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)の規格、あるいは他の種類にされた無線信号であり、ネットワーク40を経由する。あるいは図示しない変形例として、信号出力部28とサーバをワイヤケーブルで相互に接続し、信号出力部28はワイヤケーブルに有線信号を出力する。
【0035】
ネットワーク40はインターネットあるいはイントラネット等の通信網である。表示端末50は、可搬式の端末であったり、公知の携帯端末であったりし、係員51に携帯され得る。表示端末50は、信号出力部28からスラリーの流量を受信して表示する。
【0036】
本実施形態のシステムは、端末60をさらに備える。端末60もスラリーの流量を受信して表示することができる。端末60は据置型であり、工事事務所61に設置される。端末60にはインターフェース部62が接続され、操作部26に代わり、ポンプシリンダに関する情報を算出部27へ入力可能である。また端末60は、スラリーの流量および時刻を記憶し、受入箇所140が受け入れたスラリーの累積量を表示可能である。
【0037】
表示端末50および端末60は、スラリーの流量の他、施工管理に関するデータを表示可能である。また表示端末50および端末60は、圧送管103を流れるスラリーの累積量を表示および記憶可能である。
【0038】
図3は、施工管理に関するデータを例示するグラフである。
図3中、横軸は時刻または時間であり、縦軸はスラリーの累積量(体積)であり、破線aは受入計画を表し、実線bは受入実績を表す。
図3のグラフによれば、時刻t1において、受入計画はa1[m
3]であり、受入実績はb1[m
3]であり、受入実績が受入計画をa1-b1[m
3]下回っていることが、人手を介することなく瞬時で演算および表示される。
【0039】
本実施形態のシステムによれば、ポンプ102の運転制御に関わらず、圧送管103を流れるスラリーの脈動および開閉弁131に基づいて、スラリーの流量を算出することができる。したがって受入箇所140に投入される実際の流量が得られる。
【0040】
本実施形態のシステムは、作業者が直接視認できない受入箇所および開放されていない受入箇所、例えば、洋上風力発電の風車基礎のような、鋼製の巨大なシェルで完全に覆われた打設箇所や、水中や、製造設備からアクセス困難な箇所、に投入されるスラリーの流量を求めることができる。
【0041】
製造設備からアクセス困難な箇所とは例えば、洋上作業では、スラリープラントおよびスラリーポンプを具備する一隻の台船と、台船から離隔した1または複数の受入箇所である。この場合、台船と受入箇所は海で隔てられているため、台船に居る係員は受入箇所へ容易にアクセスできない。また洋上作業ではなくても、スラリーポンプから受け入れ先までの水平距離や高低差が大きい場合や、途中に障害物がある場合は、アクセス困難である。
【0042】
受入箇所は、スラリー状の建設材料を適切なタイミングで受け入れ開始および受け入れ終了しなければならない。一方でポンプは、適切なタイミングで圧送開始および圧送終了しなければならない。しかしながら、上述した受入箇所は、受け入れ側のタイミングと圧送側(ポンプ側)のタイミングを合わせることは困難である。本実施形態の製造設備101から圧送管103までのシステムによれば、ポンプ102側の運転状況に関わりなく、受入箇所140のタイミングで、スラリーの流量をリアルタイムで検出して調整可能である。
【0043】
次に本発明の変形例を説明する。
図5は本発明の変形例を示す模式図であり、ポンプ側は図略される。この変形例につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この変形例では環状の隙間Gである受入箇所140にスラリーを注入するために、圧送管103が途中で分岐し、分岐路143,144,145,146が互いに異なる位置で環状の隙間Gに接続される。
【0044】
各分岐路143,144,145,146には運転状況監視手段31、32,33,34が設けられる。各運転状況監視手段31は開閉弁および開閉検知センサを含む。
【0045】
分岐路143,144,145,146の各下流端が接続される注入口143h,144h,145h,146hは、トランジションピース142の周方向所定間隔で配置される。システムは、各注入口143h,144h,145h,146hの流量および累積量をリアルタイムで表示する。
【0046】
このように変形例のシステムによれば、特に大径の受入箇所140において、スラリー受入量を俯瞰的に知ることができる。なお分岐路の個数は特に限定されない。脈動監視部10は全ての運転状況監視手段31、32,33,34よりも上流に設けられる。運転状況監視手段31、32,33,34は、いずれか1が全開とされ、残りが全閉とされる。
【0047】
次に本発明の他の変形例を説明する。
図6は他の変形例を示す模式図であり、ポンプ側は図略される。他の変形例につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。他の変形例では、互いに独立した複数の受入箇所147,148,149にスラリーを注入するため、圧送管103が途中で分岐し、各受入箇所147,148,149と接続する。各受入箇所147,148,149と接続する各分岐路には、運転状況監視手段35,36,37が設けられる。
【0048】
別な変形例のシステムは、要するに
図1の実施形態と同じであり、スラリーが各受入箇所147,148,149に順次注入される。
【0049】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。ネットワーク40は必須ではなく、流量計20と表示端末50あるいは端末60を直接接続することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は建設および廃棄物処理に利用される。
【符号の説明】
【0051】
10 脈動監視部、 20 流量計、 24 信号入力部、
25 バッテリ、 26 操作部、 27 算出部、
28 信号出力部、 29 表示部、 30 運転状況監視手段、
40 ネットワーク、 50 表示端末、 60 端末。