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  • 特開-給湯システム修理方法 図1
  • 特開-給湯システム修理方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039981
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】給湯システム修理方法
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20220101AFI20240315BHJP
【FI】
F24H4/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144764
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】522362682
【氏名又は名称】柿木 弘己
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿木 弘己
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AB22
3L122GA03
3L122GA04
(57)【要約】
【課題】CO2冷媒ヒートポンプ給湯システムの修理および交換方法を提供する。
【解決手段】給水口と、貯湯ユニットと、水用熱交換器と空気用熱交換器とを備えるヒートポンプユニットと、給湯口と、をそなえる給湯システムの修理方法であって、前記貯湯ユニットと前記水用熱交換器とに流体連通する第1の配管および第2の配管を前記水用熱交換器から取り外す工程と、前記第1の配管と前記第2の配管をガス給湯ユニットに連結する工程と、前記ヒートポンプユニットを修理または交換する工程と前記第1の配管および前記第2の配管を前記ガス給湯ユニットから取り外し、前記修理または交換されたヒートポンプユニットにそれぞれ再連結する工程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水口と、
貯湯ユニットと、
水用熱交換器と空気用熱交換器とを備えるヒートポンプユニットと、
給湯口と、をそなえる給湯システムの修理方法であって、
前記貯湯ユニットと前記水用熱交換器とに流体連通する第1の配管および第2の配管を前記水用熱交換器から取り外す工程と、
前記第1の配管と前記第2の配管をガス給湯ユニットに連結する工程と、
前記ヒートポンプユニットを修理または交換する工程と
前記第1の配管および前記第2の配管を前記ガス給湯ユニットから取り外し、前記修理または交換されたヒートポンプユニットにそれぞれ再連結する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記ガス給湯ユニットは、ガスボンベと、ガス給湯器とを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガスボンベは2kgボンベ~8kgボンベである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
給水口と、
貯湯ユニットと、
水用熱交換器と空気用熱交換器とを備えるヒートポンプユニットと、
給湯口と、をそなえる給湯システムの修理方法であって、
前記給水口と前記貯湯ユニットとを流体連通する給水管と、前記貯湯ユニットと前記給湯口とを流体連通する給湯管とを、前記給湯システムから取り外す工程と、
前記給水管および前記給湯管をガス給湯ユニットに連結する工程と、
前記給湯システムを修理または交換する工程と
前記給水管および前記給湯管を前記ガス給湯ユニットから取り外し、前記修理または交換された給湯システムにそれぞれ再連結する工程と
を含む方法。
【請求項5】
前記ガス給湯ユニットは、ガスボンベと、ガス給湯器とを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ガスボンベは2kgボンベ~8kgボンベである、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO2冷媒ヒートポンプ給湯システムの修理および交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オゾン層の破壊や地球温暖化の観点から、環境にやさしい冷媒の利用が進められている。中でも二酸化炭素(CO2)は、オゾン層破壊係数がゼロで、地球温暖化係数が代替フロンの1/1500~1/1700であり、地球にやさしく、無毒かつ可燃性のない安全な冷媒として種々の分野で利用されている。
【0003】
例えば、エコキュート(登録商標)として知られるCO2冷媒ヒートポンプ給湯システムは、ヒートポンプの冷媒にCO2を利用し、給湯に伴うCO2排出を、従来の燃焼系給湯器の約半分に減少させることができる(特許文献1、非特許文献1等参照)
【0004】
一般に、CO2冷媒ヒートポンプ給湯システムは、空気の熱で水を加熱するヒートポンプユニットと、加熱された水を貯湯する貯湯ユニットから構成される(図1)。詳細には、ヒートポンプユニットでは、(1)大気から吸熱し、空気用熱交換器に大気熱を集め、冷媒に熱を伝え、(2)熱を持った冷媒はコンプレッサで圧縮され、さらに高温となり、(3)高温になった冷媒の熱を水加熱用熱交換器で水に伝えることでお湯を作り、(4)熱を失った冷媒は再び空気用熱交換器へ送られる、というサイクルで水が加熱される。
【0005】
このように、CO2冷媒ヒートポンプ給湯システムは圧縮機を駆動させる電気エネルギーと大気から吸熱する大気熱との両エネルギーが給湯のための熱エネルギーとして作用することから、成績係数COPが3以上の高い成績効率を上げることができ、環境にやさしい給湯システムとして利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3227651号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】永石哲也「エコキュート~CO2冷媒ヒートポンプ給湯システム~」特技懇2005年、No.236、第122頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
給湯システムは日常生活で欠かせないインフラの一つであり、故障により長期間使用できないことは、使用者に大きな不便をもたらすことになる。
【0009】
また上述の通り、CO2冷媒ヒートポンプ給湯システムはヒートポンプユニットと貯湯ユニットとの2つのユニットで構成されている。そしてそれらのユニットは、その構造から耐用年数に差があることがわかった。具体的には、貯湯ユニットの耐用年数が10~15年であるところ、ヒートポンプユニットの耐用年数は7~10年とも言われている。したがって、貯湯ユニットには何ら問題がないものの、ヒートポンプユニットの故障によりCO2冷媒ヒートポンプ給湯システムが利用できない、という事象が多く発生する。
【0010】
そこで、修理期間中も給湯を行いながら、修理を行うことのできるCO2冷媒ヒートポンプ給湯システムの修理方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、
給水口と、
貯湯ユニットと、
水用熱交換器と空気用熱交換器とを備えるヒートポンプユニットと、
給湯口と、をそなえる給湯システムの修理方法であって、
前記貯湯ユニットと前記水用熱交換器とに流体連通する第1の配管および第2の配管を前記水用熱交換器から取り外す工程と、
前記第1の配管と前記第2の配管をガス給湯ユニットに連結する工程と、
前記ヒートポンプユニットを修理または交換する工程と
前記第1の配管および前記第2の配管を前記ガス給湯ユニットから取り外し、前記修理または交換されたヒートポンプユニットにそれぞれ再連結する工程と
を含むことを特徴とする。
【0012】
また本発明の他の実施形態は、
給水口と、
貯湯ユニットと、
水用熱交換器と空気用熱交換器とを備えるヒートポンプユニットと、
給湯口と、をそなえる給湯システムの修理方法であって、
前記給水口と前記貯湯ユニットとを流体連通する給水管と、前記貯湯ユニットと前記給湯口とを流体連通する給湯管とを、前記給湯システムから取り外す工程と、
前記給水管および前記給湯管をガス給湯ユニットに連結する工程と、
前記給湯システムを修理または交換する工程と
前記給水管および前記給湯管を前記ガス給湯ユニットから取り外し、前記修理または交換された給湯システムにそれぞれ再連結する工程と
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、修理期間中も給湯を行いながら、CO2冷媒ヒートポンプ給湯システムの修理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】CO2冷媒ヒートポンプ給湯システムの概略図である。
図2】本発明のCO2冷媒ヒートポンプ給湯システムの修理方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明はこれらに限られない。
【0016】
<CO2冷媒ヒートポンプ給湯システム>
図1は、CO2冷媒ヒートポンプ給湯システム300の概略図である。CO2冷媒ヒートポンプ給湯システム300は、給水口400とヒートポンプユニット100と貯湯ユニット200と給湯口500とを備える。
【0017】
ヒートポンプユニット100は、空気の熱で水を加熱するユニットである。ヒートポンプユニット100は、コンプレッサ110、膨張弁120、水用熱交換器140、および空気用熱交換器130を備える。
【0018】
ヒートポンプユニット100において、空気用熱交換器130は、大気熱を集め、冷媒(不図示)に熱を伝える。次いで、外部電源150(例えば200Vコンセント)からの電力によりコンプレッサ110を作動させ、熱を持った冷媒をさらに圧縮し、高温にする。次に、高温になった冷媒の熱を水用熱交換器140で水に伝えてお湯を生成する。その後、熱を失った冷媒は膨張弁120で圧力を解放し、再び空気用熱交換器130に送られる。このようなサイクルにより、ヒートポンプユニット100は電気エネルギーを使って空気の熱をくみ上げ、給湯エネルギーを得ることができる。
【0019】
貯湯ユニット200は、ヒートポンプユニット100の水用熱交換器140と第1の配管1300および第2の配管1400を介して流体連通している。また貯湯ユニット200は、給水口400と給水管410を介して、給湯口500と給湯管510を介して、それぞれ流体連通している。
【0020】
ヒートポンプユニット100の水用熱交換器140により生成されたお湯は、貯湯ユニット200に貯蔵される。例えば、給水口400から給水管410を介して貯湯ユニット200に給水された水は、第1の配管1300を通って水用熱交換器140で温められ、第2の配管1400を通って、貯湯ユニット200に戻り、給湯管510を介して給湯口500から吐出される。
【0021】
貯湯ユニット200は、給湯口500から吐出されるお湯の温度を調整するための温度調整弁(不図示)をさらに備えてもよい。また温度調整弁と給水管410が流体連通し、加熱前の水で温度調整を行ってもよい。
【0022】
貯湯ユニット200は、貯湯式温水器に用いられる貯湯ユニット構造を利用することができる。
【0023】
<ガス給湯ユニット>
ガス給湯ユニット1000は、持ち運び可能なガス給湯ユニットであり、ガスボンベ1100とガス給湯器1500とを備える(図2参照)。ガス給湯ユニット1000はCO2冷媒ヒートポンプ給湯システム300の修理/交換の間、CO2冷媒ヒートポンプ給湯システム300の近傍に設置される。設置場所は屋外であってもよい。
【0024】
ガス給湯ユニット1000は、貯湯ユニット200と第1の配管1300および第2の配管1400とを介して流体連通することができる。また、ガス給湯ユニット1000は給水管410および給湯管510に直接連結されてもよい。
【0025】
ガス給湯器1500はガスボンベ1100のガスを用い、給湯を行う。ガスボンベ1100は十分なガス燃焼能力があれば任意のものを利用することができるが、持ち運び可能な大きさであることが望ましい。例えば2kgボンベ~8kgボンベのガスボンベを利用してもよい。
【0026】
ガス給湯器1500で生成されたお湯は第2の配管1400を通って貯湯ユニット200に注入される。ガス給湯ユニット1000が給水管410および給湯管510に連結されている場合には、ガス給湯ユニット1000で形成されたお湯は、貯湯ユニット200を通らずに、給湯管510から給湯口500を通って吐出され、利用することができる。
【0027】
ガス給湯ユニット1000の電源として、例えば家庭用100V電源を利用することができる。また、CO2冷媒ヒートポンプ給湯システム用に設けられた200V電源を、変圧トランス1200を用いて降圧させて利用してもよい。
【0028】
<修理/交換方法>
次に本発明の一実施態様のCO2冷媒ヒートポンプ給湯システム300の修理/交換方法を説明する。
【0029】
一実施形態において、本発明の方法は、
貯湯ユニット200と水用熱交換器140とに流体連通する第1の配管1300および第2の配管1400を水用熱交換器140から取り外す工程と、
第1の配管1300と第2の配管1400をガス給湯ユニット1000に連結する工程と、
ヒートポンプユニット100を修理または交換する工程と
第1の配管1300および第2の配管1400をガス給湯ユニット1000から取り外し、修理または交換されたヒートポンプユニット100にそれぞれ再連結する工程と
を含む。
【0030】
この方法により、ヒートポンプユニット100の修理および交換の間でもお湯を利用することができる。また、本発明を実施する前に貯湯ユニット200内に貯蔵されていたお湯も利用することができる。
【0031】
本発明の第2の実施形態において、本発明の方法は、
給水口400と貯湯ユニット200とを流体連通する給水管410と、貯湯ユニット200と給湯口500とを流体連通する給湯管510とを、給湯システム300から取り外す工程と、
給水管410および給湯管510をガス給湯ユニット1000に連結する工程と、
給湯システム300を修理または交換する工程と
給水管410および給湯管510をガス給湯ユニット1000から取り外し、修理または交換された給湯システム300にそれぞれ再連結する工程と
を含む。
【0032】
この方法により、ヒートポンプユニット100だけでなく、貯湯ユニット200を含めた給湯システム300の修理および交換の間でもお湯を利用することができる。
【0033】
このように、本発明の方法により、修理期間中も給湯を行いながら、CO2冷媒ヒートポンプ給湯システム修理を行うことができ、利用者の不便を最小限として、早期に修理/交換を行うことができる。
【0034】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定
されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の
範囲内に含まれる。
【0035】
また、上述の各実施の形態および変形例の一つもしくは複数を、適宜組合せてもよい。
【符号の説明】
【0036】
100 ヒートポンプユニット
110 コンプレッサ
120 膨張弁
130 空気用熱交換器
140 水用熱交換器
150 電源
200 貯湯ユニット
300 CO2冷媒ヒートポンプ給湯システム
400 給水口
410 給水管
500 給湯口
510 給湯管
1000 ガス給湯ユニット
1100 ガスボンベ
1150 ガス管
1200 変圧トランス
1300 第1の配管
1400 第2の配管
1500 ガス給湯器
図1
図2