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特開2024-39983基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータ、プログラム及び制御方法
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  • 特開-基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータ、プログラム及び制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039983
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータ、プログラム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/04 20090101AFI20240315BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20240315BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20240315BHJP
   H04B 7/15 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H04W52/04
H04W16/26
H04W88/04
H04B7/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144769
(22)【出願日】2022-09-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度総務省、「基地局端末間の協調による動的ネットワーク制御に関する研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 将弘
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】堅岡 良知
(72)【発明者】
【氏名】天野 良晃
【テーマコード(参考)】
5K067
5K072
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067GG08
5K072AA29
5K072BB02
5K072BB13
5K072BB25
5K072BB26
5K072GG01
5K072GG12
5K072GG13
5K072GG14
(57)【要約】
【課題】基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータについて、基地局からの呼出メッセージを受信した際に、遅延なく起動すると共に、無線リソースのオーバヘッドを低減することができるリピータ、プログラム及び制御方法を提供する。
【解決手段】基地局との間でコントロールリンクを確立するコントロールプレーン手段と、無線信号の増幅転送を制御するユーザプレーン手段とを有し、コントロールプレーン手段は、基地局から呼出メッセージを受信した際に、アイドル状態から接続状態へ移行することなく、基地局との間でコントロールリンクを確立せずに、ユーザプレーン手段の増幅転送をオン状態に切り替える。呼出メッセージに、コントロールリンクを確立しない「アイドル状態維持」を表す制御情報が含まれる場合、ユーザプレーン手段の増幅転送をオン状態へ切り替える。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータにおいて、
基地局との間でコントロールリンクを確立するコントロールプレーン手段と、
無線信号の増幅転送を制御するユーザプレーン手段と
を有し、
コントロールプレーン手段は、基地局から呼出メッセージを受信した際に、アイドル状態から接続状態へ移行することなく、基地局との間でコントロールリンクを確立せずに、ユーザプレーン手段の増幅転送をオン状態に切り替える
ことを特徴とするリピータ。
【請求項2】
呼出メッセージには、コントロールリンクを確立する「接続状態移行」、又は、コントロールリンクを確立しない「アイドル状態維持」を表す制御情報が含まれており、
コントロールプレーン手段は、基地局から受信した呼出メッセージに含まれる制御情報が「アイドル状態維持」を表す場合、ユーザプレーン手段の増幅転送をオン状態へ切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載のリピータ。
【請求項3】
呼出メッセージは、制御情報として更に、ユーザプレーン手段の増幅転送の「オン状態維持期間」を更に含み、
コントロールプレーン手段は、基地局から受信した呼出メッセージに含まれる制御情報の「オン状態維持期間」だけ、ユーザプレーン手段の増幅転送をオン状態で維持する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリピータ。
【請求項4】
呼出メッセージは、無線アクセス方式におけるpagingメッセージである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリピータ。
【請求項5】
コントロールプレーン手段における基地局との間のコントロールリンクは、RRC(Radio Resource Control)プロトコルである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリピータ。
【請求項6】
当該リピータは、NCR(Network Controlled Repeater)であり、
コントロールプレーン手段は、NCR-MT(Mobile Termination)であり、
ユーザプレーン手段は、NCR-Fwd(Forwarding)である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリピータ。
【請求項7】
基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
基地局との間でコントロールリンクを確立するコントロールプレーン手段と、
無線信号の増幅転送を制御するユーザプレーン手段と
として機能させ、
コントロールプレーン手段は、基地局から呼出メッセージを受信した際に、アイドル状態から接続状態へ移行することなく、基地局との間でコントロールリンクを確立せずに、ユーザプレーン手段の増幅転送をオン状態に切り替える
ようにコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータの制御方法において、
リピータは、
基地局との間でコントロールリンクを確立するコントロールプレーン部と、
無線信号の増幅転送を制御するユーザプレーン部と
を有し、
コントロールプレーン部は、基地局から呼出メッセージを受信した際に、アイドル状態から接続状態へ移行することなく、基地局との間でコントロールリンクを確立せずに、ユーザプレーン部の増幅転送をオン状態に切り替える
ように実行することを特徴とするリピータの制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RAN(Radio Access Network)に配置されるリピータの技術に関する。特に、6G規格で用いられるNCR(Network Control Repeater)に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、リピータを含むRANのシステム構成図である。
【0003】
移動通信システムによれば、移動可能な端末3と、複数の基地局2と、コアシステム4とによって構成される。基地局2と端末3との間は、RANを構成する。
図1によれば、基地局2と端末3との間に、リピータ1が介在して無線信号を中継する。リピータ1は、無線信号を増幅転送するために、基地局2と端末3との間のカバレッジ(電波範囲)を拡大することができる。
【0004】
端末3は、「UE(User Equipment)」と称され、基地局2を介してコアシステム4と通信する。このとき、端末3は一般的に、リピータ1の介在を認識することなく、基地局2との間で無線信号を通信する。
【0005】
基地局2は、「gNB」と称され、複数の端末3と、直接的に、又は、リピータ1を介在して通信する。尚、基地局2は、物理的に別途に存在するものであってもよいし、例えば仮想化技術やスライス技術によって、RAN内で論理的に分割されたものであってもよい。
【0006】
コアシステム4は、コントロールプレーン設備装置41とユーザプレーン設備装置42とから構成される。
コントロールプレーン設備装置41は、通信確立などの制御信号を送受信するネットワーク装置群であって、AMF(Access and Mobility Management Function)やSMF(Session Management Function)のネットワーク装置群を有する。
ユーザプレーン設備装置42は、ユーザデータを送受信するために、UPF(User Plane Function)の装置群を有する。
【0007】
図2は、リピータを介在した基地局及び端末間のプロトコル構成図である。
【0008】
近年、6GのRAN規格に基づくNCRが注目されてきている(例えば非特許文献1参照)。従来のRF(Radio Frequency)リピータは、基地局と端末との間で、無線信号を単に増幅転送するものであった。これに対し、NCRは、コントロールプレーン機能を有することによって、基地局からの制御が可能となっている。
【0009】
図2によれば、NCRに基づくリピータ1は、コントロールプレーン機能11と、ユーザプレーン機能12とを有する。
【0010】
<コントロールプレーン機能11>
コントロールプレーン機能11は、NCR-MT(Mobile Termination)と称され、基地局2との間でコントロールリンクを確立する。図2によれば、以下のようなプロトコル構成を有する。
RRC(Radio Resource Control)
PDCP(Packet Domain Convergence Protocol)
RLC(Radio Link Control)
MAC(Media Access Control)
物理レイヤ(Physical Layer)
コントロールプレーン機能11のコントロールリンク制御部は、「アイドル(IDLE)状態」又は「接続(CONNECTED)状態」を持つ。
【0011】
<ユーザプレーン機能12>
ユーザプレーン機能12は、NCR-Fwd(Forword)と称され、基地局2との間でバックホールリンクを確立し、端末3との間でアクセスリンクを確立する。図2によれば、以下のようなプロトコル構成を有する。
SDAP(Service Data Adaptation Protocol)
PDCP(Packet Domain Convergence Protocol)
RLC(Radio Link Control)
MAC(Media Access Control)
物理レイヤ(Physical Layer)
ユーザプレーン機能12は、基地局2と端末3との間の無線信号の増幅転送について、「オン状態」又は「オフ状態」を持つ。
【0012】
コントロールプレーン機能11は、アイドル状態で、基地局2から呼出メッセージ(paging)を受信した際に、接続状態へ移行すると共に、基地局2との間でコントロールリンクを確立する。
そして、コントロールプレーン機能11は、ユーザプレーン機能12の増幅転送部をオン状態に移行させる。そして、リピータ1は、基地局2と端末3との間で中継するべく、無線信号の増幅転送を開始する。
【0013】
図3は、従来技術におけるリピータを介したシーケンス図である。
【0014】
(S01)リピータ1について、コントロールプレーン機能11はアイドル状態にあり、ユーザプレーン機能12はオフ状態にあるとする。
このとき、基地局2が、リピータ1へ、呼出メッセージ(paging)を送信したとする。
【0015】
リピータ1のコントロールプレーン機能11は、呼出メッセージを受信した際に、ランダムアクセスシーケンスを開始する。
リピータ1のコントロールプレーン機能11は、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)上で、ランダムアクセスプリアンブルを、基地局2へ送信する。
これに対し、基地局2は、成功したランダムアクセスプリアンブルを含むランダムアクセスレスポンスを、リピータ1へ返信する。
次に、リピータ1は、基地局2へ、RRC確立要求を送信する。そして、リピータ1と基地局2との間で、コントロールリンクを確立する。基地局2は、RRC確立応答を、リピータ1へ返信する。
これによって、リピータ1のコントロールプレーン機能11は、アイドル状態から接続状態へ移行する。
【0016】
(S02)次に、基地局2は、リピータ1へ、増幅転送を開始するべき制御情報(ユーザプレーン機能12をオン要求)を送信する。
リピータ1におけるコントロールプレーン機能11は、制御情報に応じて、ユーザプレーン機能12へ、増幅転送の開始を表すオン要求を指示する。
これによって、リピータ1のユーザプレーン機能12は、オン状態となり、増幅転送を開始する。
【0017】
(S03)リピータ1は、基地局2から受信した無線信号を増幅して、端末3へ転送する。同様に、端末3から受信した無線信号を増幅して、基地局2へ転送する。これによって、基地局2と端末3との間のカバレッジを拡大することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】3GPP, TR 38.867, "Study on NR network-controlled repeaters", v1.0.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
前述した図3のシーケンスによれば、基地局2が、リピータ1を起動するべく、呼出メッセージ(paging)を送信する必要がある。このとき、リピータ1のコントロールプレーン機能11は、アイドル状態にあるために、基地局2との間でランダムアクセスシーケンスを実行して、接続状態へ移行する必要がある。
しかしながら、基地局2としては、呼出メッセージを送信した直後にリピータ1を起動して無線信号を送信したい場合であっても、ランダムアクセスシーケンスを実行する時間だけ、遅延するという課題がある。また、ランダムアクセスシーケンスの実行は、無線リソースのオーバヘッドとなり、省電力化にも課題がある。
【0020】
そこで、本発明は、基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータについて、基地局からの呼出メッセージを受信した際に、遅延なく起動すると共に、無線リソースのオーバヘッドを低減することができるリピータ、プログラム及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータにおいて、
基地局との間でコントロールリンクを確立するコントロールプレーン手段と、
無線信号の増幅転送を制御するユーザプレーン手段と
を有し、
コントロールプレーン手段は、基地局から呼出メッセージを受信した際に、アイドル状態から接続状態へ移行することなく、基地局との間でコントロールリンクを確立せずに、ユーザプレーン手段の増幅転送をオン状態に切り替える
ことを特徴とする。
【0022】
本発明のリピータにおける他の実施形態によれば、
呼出メッセージには、コントロールリンクを確立する「接続状態移行」、又は、コントロールリンクを確立しない「アイドル状態維持」を表す制御情報が含まれており、
コントロールプレーン手段は、基地局から受信した呼出メッセージに含まれる制御情報が「アイドル状態維持」を表す場合、ユーザプレーン手段の増幅転送をオン状態へ切り替える
ことも好ましい。
【0023】
本発明のリピータにおける他の実施形態によれば、
呼出メッセージは、制御情報として更に、ユーザプレーン手段の増幅転送の「オン状態維持期間」を更に含み、
コントロールプレーン手段は、基地局から受信した呼出メッセージに含まれる制御情報の「オン状態維持期間」だけ、ユーザプレーン手段の増幅転送をオン状態で維持する
ことも好ましい。
【0024】
本発明のリピータにおける他の実施形態によれば、
呼出メッセージは、無線アクセス方式におけるpagingメッセージである
ことも好ましい。
【0025】
本発明のリピータにおける他の実施形態によれば、
コントロールプレーン手段における基地局との間のコントロールリンクは、RRC(Radio Resource Control)プロトコルである
ことも好ましい。
【0026】
本発明のリピータにおける他の実施形態によれば、
当該リピータは、NCR(Network Controlled Repeater)であり、
コントロールプレーン手段は、NCR-MT(Mobile Termination)であり、
ユーザプレーン手段は、NCR-Fwd(Forwarding)である
ことも好ましい。
【0027】
本発明によれば、基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
基地局との間でコントロールリンクを確立するコントロールプレーン手段と、
無線信号の増幅転送を制御するユーザプレーン手段と
として機能させ、
コントロールプレーン手段は、基地局から呼出メッセージを受信した際に、アイドル状態から接続状態へ移行することなく、基地局との間でコントロールリンクを確立せずに、ユーザプレーン手段の増幅転送をオン状態に切り替える
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータの制御方法において、
リピータは、
基地局との間でコントロールリンクを確立するコントロールプレーン部と、
無線信号の増幅転送を制御するユーザプレーン部と
を有し、
コントロールプレーン部は、基地局から呼出メッセージを受信した際に、アイドル状態から接続状態へ移行することなく、基地局との間でコントロールリンクを確立せずに、ユーザプレーン部の増幅転送をオン状態に切り替える
ように実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明のリピータ、プログラム及び制御方法は、基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータについて、基地局からの呼出メッセージを受信した際に、遅延なく起動すると共に、無線リソースのオーバヘッドを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】リピータを含むRANのシステム構成図である。
図2】リピータを介在した基地局及び端末間のプロトコル構成図である。
図3】従来技術におけるリピータを介したシーケンス図である。
図4】本発明におけるリピータを介した第1のシーケンス図である。
図5】本発明におけるリピータを介した第2のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0032】
図4は、本発明におけるリピータを介した第1のシーケンス図である。
【0033】
図4によれば、図3と同様に、リピータ1は、NCRであって、コントロールプレーン機能11と、ユーザプレーン機能12とを有する。コントロールプレーン機能11は、NCR-MT(Mobile Termination)であり、ユーザプレーン機能12は、NCR-Fwd(Forwarding)である。
【0034】
(S1)リピータ1について、コントロールプレーン機能11はアイドル状態にあり、ユーザプレーン機能12はオフ状態にあるとする。
最初に、基地局2は、リピータ1へ、無線アクセス方式における呼出メッセージ(paging)を送信する。
このとき、呼出メッセージには、コントロールリンクを確立する「接続状態移行」、又は、コントロールリンクを確立しない「アイドル状態維持」を表す制御情報が含まれる。
呼出メッセージ(制御情報:0=接続状態移行
1=アイドル状態維持)
制御情報は、例えばpagingメッセージに、1ビットの識別子を含めるだけでよい。
【0035】
(S2)リピータ1のコントロールプレーン機能11は、以下のように制御する。
[0=接続状態への移行]の場合
コントロールプレーン機能11は、図3と同様に、ランダムアクセスシーケンスを実行して、接続状態へ移行する。コントロールプレーン機能11は、基地局2との間でコントロールリンク(RRCプロトコル)を確立した後、ユーザプレーン機能12をオン状態に制御する。
【0036】
[1=アイドル状態の維持]の場合
コントロールプレーン機能11は、図3と異なって、接続状態へ移行することなく、アイドル状態を維持する。コントロールプレーン機能11は、基地局2との間でコントロールリンクを確立することなく、ユーザプレーン機能12をオン状態に制御する。
これによって、リピータ1は、基地局2からの呼出メッセージを受信した際に、あえて、コントロールリンクを確立しないことによって、遅延なく起動すると共に、無線リソースのオーバヘッドを低減することができる。
【0037】
(S3)図3と同様に、ユーザプレーン機能12は、基地局2から受信した無線信号を増幅して、端末3へ転送する。同様に、端末3から受信した無線信号を増幅して、基地局2へ転送する。これによって、基地局2と端末3との間のカバレッジを拡大することができる。
【0038】
図5は、本発明におけるリピータを介した第2のシーケンス図である。
【0039】
(S1)図5によれば、図4と比較して、呼出メッセージ(paging)には、コントロールリンクを確立する「接続状態移行」、又は、コントロールリンクを確立せずにユーザプレーン機能12をオン状態にする「オン状態維持時期間」を表す制御情報を含める。
呼出メッセージ(制御情報:0 =接続状態移行
1~x=オン状態維持期間)
制御情報には、オン状態維持期間を含めることが可能であるために、例えばpagingメッセージに、複数ビットの変数を含める。
【0040】
(S2)リピータ1のコントロールプレーン機能11は、以下のように制御する。
[0=接続状態への移行]の場合
コントロールプレーン機能11は、図4と全く同様に制御する。
[1~x=オン状態維持期間]の場合
コントロールプレーン機能11は、図3と同様に、接続状態へ移行することなく、アイドル状態を維持する。このとき、コントロールプレーン機能11は、制御情報に含まれる「オン状態維持期間」だけ、ユーザプレーン機能12のオン状態を維持するように制御する。具体的には、タイマをリセットして、カウントを開始する。
【0041】
(S3)ユーザプレーン機能12は、オン状態維持期間だけ、基地局2から受信した無線信号を増幅して、端末3へ転送する。同様に、端末3から受信した無線信号を増幅して、基地局2へ転送する。
【0042】
(S4)コントロールプレーン機能11は、タイマがオン状態維持期間に達した際に、ユーザプレーン機能12をオフ状態へ制御する。これによって、リピータ1として、無線信号を中継するための増幅転送が停止される。
これによって、リピータ1のコントロールプレーン機能11がアイドル状態であるのに、ユーザプレーン機能12がオン状態となる状況が、長期間継続しないように制御される。
【0043】
以上、詳細に説明したように、本発明のリピータ、プログラム及び制御方法は、基地局と端末との間で無線信号を中継するリピータについて、基地局からの呼出メッセージを受信した際に、遅延なく起動すると共に、無線リソースのオーバヘッドを低減することができる。
【0044】
尚、これにより、例えば「RANに介在するリピータについて、遅延なく起動すると共に、無線リソースのオーバヘッドを低減することができる」ことから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0045】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0046】
1 リピータ
11 コントロールプレーン機能
12 ユーザプレーン機能
2 基地局
3 端末
4 コアシステム
41 コントロールプレーン設備装置
42 ユーザプレーン設備装置

図1
図2
図3
図4
図5