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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039985
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】電気自動車
(51)【国際特許分類】
   G05G 5/03 20080401AFI20240315BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20240315BHJP
   G05G 1/38 20080401ALI20240315BHJP
   G05G 25/00 20060101ALI20240315BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G05G5/03 A
G05G1/30 E
G05G1/38
G05G25/00 C
B60L15/20 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144772
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池澤 尚徳
(72)【発明者】
【氏名】山本 宇紘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 清史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 広直
(72)【発明者】
【氏名】山本 恭平
(72)【発明者】
【氏名】福田 英士
【テーマコード(参考)】
3J070
5H125
【Fターム(参考)】
3J070AA02
3J070AA32
3J070BA18
3J070BA19
3J070BA51
3J070CB04
3J070CB37
3J070CC71
3J070DA01
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125BA00
5H125BE05
5H125CA01
5H125EE08
5H125EE31
5H125EE41
(57)【要約】
【課題】電気自動車において手動の変速動作を疑似的に再現する際の再現性を高くする。
【解決手段】アクセル装置と、疑似シフト装置と、疑似クラッチ装置と、検出装置と、反力発生装置と、制御部と、を備え、前記制御部は、1つまたは複数のプロセッサと、前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、を有し、前記プロセッサは、前記検出装置による検出結果の少なくともいずれか基づいて、駆動源がエンジンであると仮定した場合のエンジン回転数を模擬した仮想エンジン回転数と、前記駆動輪の回転数とに少なくとも基づいた仮想差回転数を導出し、前記仮想差回転数に少なくとも基づいて、前記疑似シフト装置に発生させる前記反力を決定する電気自動車。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源としてのモータを備える電気自動車において、
加速要求を入力するためのアクセル装置と、
ドライバによって操作され、変速操作を模擬するための疑似シフト装置と、
ドライバによって操作され、クラッチ操作を模擬するための疑似クラッチ装置と、
ドライバによる前記アクセル装置、前記疑似シフト装置、および、前記疑似クラッチ装置への操作態様、および、駆動輪の回転数を検出する検出装置と、
ドライバによる前記疑似シフト装置への操作に対して、前記疑似シフト装置へ反力を発生させる反力発生装置と、
前記疑似シフト装置に発生させる前記反力を決定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記検出装置による検出結果の少なくともいずれか基づいて、駆動源がエンジンであると仮定した場合のエンジン回転数を模擬した仮想エンジン回転数と、前記駆動輪の回転数とに少なくとも基づいた仮想差回転数を導出し、
前記仮想差回転数に少なくとも基づいて、前記疑似シフト装置に発生させる前記反力を決定する電気自動車。
【請求項2】
前記検出装置は、
ドライバによる前記疑似クラッチ装置への操作量を検出可能であり、
前記プロセッサは、
前記疑似シフト装置に発生させる前記反力の決定において、ドライバによる前記疑似クラッチ装置への操作量の変化に応じて、前記反力を変化させることが可能である請求項1に記載の電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータによって駆動する電気自動車において、変速用のシフト装置とクラッチ装置を備えたいわゆるマニュアルトランスミッション車両(以下、MT車両と呼ぶ)におけるドライバによる手動の変速動作を疑似的に再現する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-118569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術では、電気自動車において、MT車両での手動の変速動作を疑似的に再現する際の再現性が不十分であり、MT車両を操る楽しさを求めるドライバの感覚に違和感を与えるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたもので、MT車両における手動の変速動作を疑似的に再現する際の再現性を高くすることが可能な電気自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の電気自動車は、
駆動源としてのモータを備える電気自動車において、
加速要求を入力するためのアクセル装置と、
ドライバによって操作され、変速操作を模擬するための疑似シフト装置と、
ドライバによって操作され、クラッチ操作を模擬するための疑似クラッチ装置と、
ドライバによる前記アクセル装置、前記疑似シフト装置、および、前記疑似クラッチ装置への操作態様、および、駆動輪の回転数を検出する検出装置と、
ドライバによる前記疑似シフト装置への操作に対して、前記疑似シフト装置へ反力を発生させる反力発生装置と、
前記疑似シフト装置に発生させる前記反力を決定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記検出装置による検出結果の少なくともいずれか基づいて、駆動源がエンジンであると仮定した場合のエンジン回転数を模擬した仮想エンジン回転数と、前記駆動輪の回転数とに少なくとも基づいた仮想差回転数を導出し、
前記仮想差回転数に少なくとも基づいて、前記疑似シフト装置に発生させる前記反力を決定する。
【0007】
また、前記検出装置は、
ドライバによる前記疑似クラッチ装置への操作量を検出可能であり、
前記プロセッサは、
前記疑似シフト装置に発生させる前記反力の決定において、ドライバによる前記疑似クラッチ装置への操作量の変化に応じて、前記反力を変化させることが可能であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気自動車において、MT車両における手動の変速動作を疑似的に再現する際の再現性を高くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る電気自動車の構成を示す概略図である。
図2図2は、本実施形態に係る疑似シフトレバーの一例を示す概略図である。
図3図3は、本実施形態に係る反力発生装置の一例を示す概略図である。
図4図4は、本実施形態に係る制御部の構成を示す概略図である。
図5図5は、本実施形態に係る仮想エンジン回転数マップの一例を示す概略図である。
図6図6は、本実施形態に係る仮想差回転数を説明するための概略図である。
図7図7は、本実施形態に係る仮想シンクロ反力マップの一例を示す概略図である。
図8図8は、本実施形態に係る第1シフト反力マップの一例を示す概略図である。
図9図9は、本実施形態に係る第2シフト反力を説明するための概略図である。
図10図10は、本実施形態に係る第2シフト反力マップの一例を示す概略図である。
図11図11は、本実施形態に係る制御部における割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、本実施形態に係る制御部における情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、本実施形態に係る制御部におけるシフト反力関連処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る電気自動車100の構成を示す概略構成図である。図1に示すように、電気自動車100は、モータ102、出力軸104、ギア機構106、プロペラシャフト108、デファレンシャルギア110、ドライブシャフト112、前輪114、後輪116とを備えるものである。
【0012】
モータ102は、電気自動車100における駆動源である。すなわち、電気自動車100は、駆動源としてのエンジン、エンジンに接続される変速機、および、クラッチ機構を備えていないものである。
【0013】
モータ102の出力軸104は、ギア機構106を介してプロペラシャフト108の一端に接続されている。プロペラシャフト108の他端は、デファレンシャルギア110を介して、車両前方のドライブシャフト112に接続されている。
【0014】
また、駆動輪としての前輪114は、電気自動車100の前方であって、ドライブシャフト112の両端にそれぞれ設けられる。また、従動輪としての後輪116は、電気自動車100の後方にそれぞれ設けられている。なお、本実施形態では、前輪114を駆動輪、後輪116を従動輪とした場合について示したが、これに限定されるものではない。例えば、前輪114および後輪116の両者を駆動輪としてもよい。また、車輪ごとにモータ102が設けられる、所謂インホイールモータとしてもよい。
【0015】
また、電気自動車100は、バッテリ120と、インバータ122とを備えている。バッテリ120は、モータ102の駆動に利用する電力を蓄える。インバータ122は、バッテリ120に蓄えられている直流電流を三相交流電流に変換する。また、インバータ122は、後述する制御部180からの制御指令に基づいて、モータ102の駆動トルクを制御する機能を有している。
【0016】
また、図1に示すように、電気自動車100は、アクセルペダル130、ブレーキペダル140、疑似クラッチペダル150、疑似シフトレバー160を備えるものである。
【0017】
アクセルペダル130は、ドライバが電気自動車100に対する加速要求を入力するために設けられるものである。また、アクセルペダル130には、ドライバによるアクセルペダル130への操作量(ペダル踏込量)を検出するためのアクセルペダルセンサ130sが設けられている。アクセルペダルセンサ130sにより検出された信号は、後述する制御部180に出力される。
【0018】
また、ブレーキペダル140は、ドライバが電気自動車100に対する制動要求を入力するために設けられるものである。また、ブレーキペダル140には、ドライバによるブレーキペダル140への操作量(ペダル踏込量)を検出するためのブレーキペダルセンサ140sが設けられている。ブレーキペダルセンサ140sにより検出された信号は、後述する制御部180に出力される。
【0019】
また、疑似クラッチペダル150および疑似シフトレバー160は、ドライバが電気自動車100に対する疑似的な変速要求を入力するために設けられるものである。ただし、本実施形態における電気自動車100は、モータ102により駆動される車両であり、実際には、駆動力としてのエンジンを備えていないため、MT車両が備えるクラッチ機構および変速機を備えていない。
【0020】
疑似クラッチペダル150は、MT車両が備えるクラッチペダルを模擬した構造を有している。疑似クラッチペダル150の配置および操作感は、実際のMT車両と同等である。疑似クラッチペダル150は、ドライバが疑似シフトレバー160を操作する際に踏み込まれる。疑似クラッチペダル150の配置および操作感は、実際のMT車両と同等である。
【0021】
疑似クラッチペダル150には、ドライバによる疑似クラッチペダル150の操作量(ペダル踏込量)を検出するための疑似クラッチペダルセンサ150sが設けられている。疑似クラッチペダルセンサ150sにより検出された信号は、後述する制御部180に出力される。
【0022】
疑似シフトレバー160は、MT車両が備えるシフトレバーを模擬した構造を有している。疑似シフトレバー160の配置および操作感は、実際のMT車両と同等である。
【0023】
疑似シフトレバー160は、ドライバが電気自動車100に対する疑似的な変速要求を入力する際に、手動にて操作される。疑似シフトレバー160の配置および操作感は、実際のMT車両と同等である。
【0024】
疑似シフトレバー160には、疑似シフトレバー160の位置(シフトポジション)、および、疑似シフトレバー160に対するドライバの操作力を検出するための疑似シフトレバーセンサ160sが設けられている。疑似シフトレバーセンサ160sにより検出された信号は、後述する制御部180に出力される。
【0025】
図2は、疑似シフトレバー160の一例を示す概略図である。図2に示すように、運転者によって操作される疑似シフトレバー160は、疑似シフトレバー160の可動範囲を規制するための規制機構162に挿入されている。そして、疑似シフトレバー160は、規制機構162に沿って、ドライバが操作可能に構成される。
【0026】
規制機構162は、シフト方向に並行に延びる複数のシフト通路162a(本実施形態では、3本)と、複数のシフト通路162aのそれぞれに直交するように連結され、セレクト方向に延びるセレクト通路162bと、を有する、いわゆるH型を呈している。
【0027】
各シフト通路162aの端部には、例えば1速、2速、3速、4速、5速、および、後退の各ギア段に対応するシフトパターンが対応付けられている。また、セレクト通路162bの全幅には、ニュートラルポジションが対応付けられている。
【0028】
図1に戻り、反力発生装置170は、ドライバによって疑似シフトレバー160への操作が行われた際に、疑似シフトレバー160に対して反力(シフト反力)を発生させることが可能となっている。疑似シフトレバー160の操作感をMT車両のシフトレバーの操作感に近づけることが可能となる。反力発生装置170の具体的な構造については特に限定はなく、例えば、後述する図3に示すような構造とすることができる。
【0029】
図3は、本実施形態に係る反力発生装置170の一例を示す概略図である。図3に示すように、疑似シフトレバー160は、ドライバが掌握する疑似シフトノブ160aを有する。また、疑似シフトレバー160は、疑似シフトレバー160が上記したシフト方向およびセレクト方向に操作される際に、疑似シフトレバー160の回転中心となる球状のボール部160bを有する。また、疑似シフトレバー160は、疑似シフトノブ160aとボール部160bとを連結する棒状の連結部160cを有する。
【0030】
図3に示すように、反力発生装置170は、ベース部材172と、アクチュエータ174とを備える。図3に示すように、ベース部材172には、疑似シフトレバー160のボール部160bが回転自在に当接している。
【0031】
図3に示すように、アクチュエータ174は、電動シリンダ、油圧シリンダ、もしくはガスシリンダであるアクチュエータ本体174aを有する。また、アクチュエータ174は、ボール部160bを押圧可能な板状の当接部174bを有する。また、アクチュエータ174は、アクチュエータ本体174aと当接部174bとを連結する棒状のロッド部174cを有する。
【0032】
そして、ドライバによって疑似シフトレバー160への操作が行われた際に、電気自動車100では、アクチュエータ174が駆動されて、当接部174bがボール部160bを押圧することとなる。これにより、電気自動車100では、疑似シフトレバー160に対して反力(シフト反力)を発生させることが可能となっている。なお、アクチュエータ174は、後述する制御部180によって制御される。
【0033】
図1に戻り、制御部180は、1つまたは複数のプロセッサ182と、プロセッサ182に接続される1つまたは複数のメモリ184と、を有する。プロセッサ182は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。メモリ184は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。ROMは、CPUが使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する記憶素子である。RAMは、CPUにより実行される処理に用いられる変数およびパラメータ等のデータを一時記憶する記憶素子である。
【0034】
制御部180は、電気自動車100に設けられる各種センサ(回転数センサ112s、アクセルペダルセンサ130s、ブレーキペダルセンサ140s、疑似クラッチペダルセンサ150s、疑似シフトレバーセンサ160s)との通信が実行可能となっている。また、制御部180は、電気自動車100に設けられる各種装置(インバータ122、反力発生装置170)との通信が実行可能となっている。制御部180と各種センサや各種装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
【0035】
図4は、本実施形態に係る制御部180の構成を示す概略図である。図4に示すように、制御部180は、走行制御部186a、検出部186b、仮想エンジン回転数導出部186c、仮想差回転数導出部186d、仮想シンクロ反力導出部186e、シフト反力導出部186f、シフト反力制御部186g、記憶部186hを有する。なお、制御部180は、走行制御部186a、検出部186b、仮想エンジン回転数導出部186c、仮想差回転数導出部186d、仮想シンクロ反力導出部186e、シフト反力導出部186f、シフト反力制御部186gにより行われる以下で説明する処理を含む各種処理は、プロセッサ182によって実行され得る。詳細には、メモリ184に記憶されているプログラムをプロセッサ182が実行することにより、各種処理が実行される。記憶部196oの機能は、メモリ194と実質的に同じである。
【0036】
なお、制御部180において行われる各種処理は、プロセッサ182によって実行され得る。詳細には、メモリ184に記憶されているプログラムをプロセッサ182が実行することにより、各種処理が実行される。
【0037】
走行制御部186aは、電気自動車100の走行に関する制御を実行する。具体的には、走行制御部186aは、ドライバによるアクセルペダル130の操作をMT車両におけるエンジンに対する燃料供給を制御するアクセルペダルの操作として受け付ける。また、走行制御部186aは、ドライバによる疑似クラッチペダル150の操作をMT車両におけるギア段を切り替えるシフトレバー(シフト装置)の操作として受け付ける。また、走行制御部186aは、ドライバによる疑似シフトレバー160の操作をMT車両におけるクラッチを動作させるクラッチペダルの操作として受け付ける。
【0038】
そして、走行制御部186aは、アクセルペダル130の操作量と、疑似クラッチペダル150の操作量と、疑似シフトレバー160のシフト位置(シフトポジション)とで定まる駆動輪トルクを、MT車両を模擬したモデルを用いて導出する。
【0039】
そして、走行制御部186aは、導出した駆動輪トルクを電気自動車100の駆動輪(前輪114)に与えるためのモータトルクを導出する。そして、走行制御部186aは、導出したモータトルクに基づいた制御指令をインバータ122に送信する。なお、インバータ122は、走行制御部186aから受信した制御指令に基づいて、モータ102の駆動トルクを制御する。これにより、電気自動車100は、疑似シフトレバー160により設定されるギア段に応じて、MT車両におけるトルク特性を模擬するようなトルク特性を実現する。
【0040】
検出部186bは、電気自動車100の各種センサから入力される信号に基づいて、各種情報を取得し、記憶部186hに記憶する。具体的には、検出部186bは、アクセルペダルセンサ130sからの検出信号に基づいて、ドライバによるアクセルペダル130の操作量を取得し、記憶部186hに記憶する。
【0041】
また、検出部186bは、回転数センサ112sからの検出信号に基づいて、ドライブシャフト112の回転数、すなわち、駆動輪である前輪114の回転数、および、電気自動車100の車速を取得し、記憶部186hに記憶する。
【0042】
また、検出部186bは、疑似シフトレバーセンサ160sからの検出信号に基づいて、疑似シフトレバー160の位置、すなわち、シフトポジションを取得し、記憶部186hに記憶する。
【0043】
また、検出部186bは、疑似シフトレバーセンサ160sからの検出信号に基づいて、疑似シフトレバー160に対するドライバの操作力を取得し、記憶部186hに記憶する。
【0044】
また、検出部186bは、疑似クラッチペダルセンサ150sからの検出信号に基づいて、疑似クラッチペダル150に対するドライバの操作量を取得し、記憶部186hに記憶する。
【0045】
仮想エンジン回転数導出部186cは、予め設けられた複数の仮想エンジン回転数マップのいずれかを用いて、MT車両におけるエンジン回転数を模擬した仮想エンジン回転数の導出を行う。
【0046】
仮想エンジン回転数の導出に際し、仮想エンジン回転数導出部186cは、予め設けられた複数の仮想エンジン回転数マップのいずれかの選択を行う。本実施形態では、仮想エンジン回転数マップは、ドライバによる疑似クラッチペダル150の操作量、および、ドライバにより操作された疑似シフトレバー160の位置(シフトポジション)に応じて複数種類設けられている。本実施形態では、疑似クラッチペダル150の操作が行われていない状態から、疑似クラッチペダル150の操作量が最大値となる状態までの間の複数段階と、複数設けられたシフトポジションとのすべての組み合わせに対して、それぞれ、仮想エンジン回転数マップが設けられている。
【0047】
そのため、仮想エンジン回転数導出部186cは、仮想エンジン回転数の導出に際し、検出部186bによって検出された疑似クラッチペダル150の操作量、および、疑似シフトレバー160の位置(シフトポジション)に基づいて、複数の仮想エンジン回転数マップのいずれかの選択を行う。
【0048】
図5は、本実施形態に係る仮想エンジン回転数マップの一例を示す概略図である。図5に示す仮想エンジン回転数マップは、ドライバによる疑似クラッチペダル150の操作が行われていない場合であって、シフトポジションが1速である場合に対応するものである。図5に示すように、仮想エンジン回転数マップでは、横軸を電気自動車100の車速、縦軸をドライバによるアクセルペダル130の操作量とした場合の、MT車両におけるエンジン回転数を模擬した仮想エンジン回転数の値についての関係が規定されている。図5に示すように、仮想エンジン回転数マップでは、車速の値、および、アクセルペダル130の操作量が大きくなるにしたがって、仮想エンジン回転数の値が大きくなる傾向となる関係が規定されている。
【0049】
そして、仮想エンジン回転数導出部186cは、選択された仮想エンジン回転数マップを参照して、電気自動車100の車速と、アクセルペダル130の操作量とに基づいて、仮想エンジン回転数を導出し、記憶部186hに記憶する。
【0050】
図6は、本実施形態に係る仮想差回転数を説明するための概略図である。図6は、電気自動車100には実際には搭載されていない仮想変速機200の一部を示す。仮想変速機200では、仮想入力軸202と仮想出力軸204が平行に配置される。仮想入力軸202は、不図示の仮想クラッチ機構を介して仮想エンジンの仮想出力軸204と接続される。また、仮想出力軸204は、デファレンシャルギア110などを介してドライブシャフト112に接続されると仮定する。
【0051】
仮想入力軸202は、仮想入力軸202に固定された複数の仮想ドライブギア206a、206bを備えている。また、仮想出力軸204は、仮想出力軸204に相対回転可能に設けられた複数の仮想ドリブンギア208a、208bを備えている。また、仮想ドライブギア206aと仮想ドリブンギア208a、仮想ドライブギア206bと仮想ドリブンギア208bは、それぞれ、常時噛合している(コンスタントメッシュ式)。
【0052】
また、仮想変速機200には、仮想シンクロ機構220が設けられる。仮想シンクロ機構220は、仮想出力軸204における仮想ドリブンギア208aと仮想ドリブンギア208bとの間に配置されている。そして、仮想シンクロ機構220は、ドライバの疑似シフトレバー160の操作に基づいて、仮想出力軸204の回転軸方向に移動することとなる。
【0053】
詳しい説明は省略するが、図6に示すように、仮想シンクロ機構220が、仮想ドリブンギア208aおよび仮想ドリブンギア208bの中間に位置していると、仮想ドリブンギア208aと仮想出力軸204、および、仮想ドリブンギア208bと仮想出力軸204がそれぞれ相対回転する切離状態となる。
【0054】
また、ドライバの疑似シフトレバー160の操作に基づいて、仮想シンクロ機構220が仮想ドリブンギア208a側へと移動すると、仮想ドリブンギア208aが仮想出力軸204と一体回転する動力伝達状態となる。このとき、仮想ドリブンギア208bと仮想出力軸204はそれぞれが相対回転する切離状態となる。
【0055】
また、ドライバの疑似シフトレバー160の操作に基づいて、仮想シンクロ機構220が仮想ドリブンギア208b側へと移動すると、仮想ドリブンギア208bが仮想出力軸204と一体回転する動力伝達状態となる。このとき、仮想ドリブンギア208aと仮想出力軸204はそれぞれが相対回転する切離状態となる。
【0056】
なお、上記のように仮想ドリブンギア208aや仮想ドリブンギア208bを切離状態から動力伝達状態へと遷移する際に、仮想ドリブンギア208a、208bと、仮想出力軸204との間に回転数の差(仮想差回転)がある場合、仮想シンクロ機構220が仮想ドリブンギア208a、208bと摺動することによって発生する摩擦力によって反力(仮想シンクロ反力)が生じる。
【0057】
本実施形態では、ドライバが疑似シフトレバー160に対する操作を行った場合に、上記の仮想シンクロを反映した反力(シフト反力)を疑似シフトレバー160に発生させる。これにより、MT車両を操る楽しさを求めるドライバの感覚に合致した手動の変速動作を疑似的に再現する際の再現性を高めることが可能となる。
【0058】
図4に戻り、仮想差回転数導出部186dは、仮想エンジン回転数導出部186cによって導出された仮想エンジン回転数と、検出部186bによって検出された駆動輪である前輪114の回転数とに基づいて、仮想差回転数を導出する。
【0059】
具体的には、例えば、仮想差回転数導出部186dは、仮想エンジン回転数と、ドライバによる疑似クラッチペダル150の操作量、および、ドライバにより操作された疑似シフトレバー160の位置(シフトポジション)に応じて、仮想入力軸202の回転数を導出する。
【0060】
そして、仮想差回転数導出部186dは、導出した仮想入力軸202の回転数と、シフトポジションとに基づいて、ギア段に応じたギア比(変速比)から、シフトポジションに対応するいずれかの仮想ドリブンギアの回転数を導出する。例えば、シフトポジションが1速であれば、1速に対応する仮想ドリブンギアの回転数を導出する。
【0061】
なお、仮想クラッチ機構が切られている場合には、仮想クラッチ機構が切られる直前の仮想ドリブンギア208a、208bと、仮想クラッチ機構が切られてからの経過時間とに基づいて、仮想ドリブンギア208a、208bの回転数を導出してもよい。
【0062】
また、仮想差回転数導出部186dは、検出部186bによって検出されたドライブシャフト112の回転数や車速に基づいて、仮想出力軸204の回転数を導出する。
【0063】
そして、仮想差回転数導出部186dは、導出した仮想ドリブンギア208a、208bの回転数と、仮想出力軸204の回転数との差(仮想差回転数)を導出し、導出した仮想差回転数を記憶部186hに記憶する。
【0064】
なお、本実施形態では、仮想差回転数を導出するために、仮想ドリブンギア208a、208bの回転数と、仮想出力軸204の回転数との差をそれぞれ導出する場合について示したが、これに限定されるものではない。すなわち、仮想ドリブンギア208a、208bの回転数を示す指標と、仮想出力軸204の回転数を示す指標との差を仮想差回転数として、導出してもよい。
【0065】
図4に戻り、仮想シンクロ反力導出部186eは、仮想差回転数導出部186dによって導出された仮想差回転数に基づいて、仮想シンクロ反力を導出する。図7は、本実施形態に係る仮想シンクロ反力マップの一例を示す概略図である。図7に示すように、仮想シンクロ反力マップは、横軸を仮想差回転数導出部186dによって導出された仮想差回転数、縦軸を仮想シンクロ反力とした場合の、MT車両を模擬した両者の関係が規定されている。図7に示すように、仮想シンクロ反力マップでは、仮想差回転数の値が大きくなるにしたがって、仮想シンクロ反力の値が大きくなるように規定されている。
【0066】
仮想シンクロ反力導出部186eは、図7に示す仮想シンクロ反力マップを参照し、仮想差回転数導出部186dによって導出された仮想差回転数に基づいて、仮想シンクロ反力を導出し、記憶部186hに記憶する。
【0067】
図4に戻り、シフト反力導出部186fは、仮想シンクロ反力導出部186eによって導出された仮想シンクロ反力に基づいて、第1シフト反力を導出する。図8は、本実施形態に係る第1シフト反力マップの一例を示す概略図である。図8に示すように、第1シフト反力マップは、縦軸を仮想シンクロ反力導出部186eによって導出された仮想シンクロ反力、横軸を検出部186bによって検出された疑似シフトレバー160に対するドライバの操作力とした場合の、第1シフト反力の値についての関係が規定されている。図8に示すように、第1シフト反力マップでは、仮想シンクロ反力の値、および、疑似シフトレバー160に対するドライバの操作力が大きくなるにしたがって、第1シンクロ反力の値が大きくなる傾向となる関係が規定されている。
【0068】
そして、シフト反力導出部186fは、図8に示す第1シフト反力マップを参照して、仮想シンクロ反力と、疑似シフトレバー160に対するドライバの操作力とに基づいて、第1シフト反力を導出し、記憶部186hに記憶する。
【0069】
図9は、本実施形態に係る第2シフト反力を説明するための概略図である。図9は、電気自動車100には実際には搭載されていない仮想シフト選択装置300の一部を示す。図9に示すように、仮想シフト選択装置300の仮想フォークシャフト302には、複数の仮想ディテント溝304が形成されている。仮想シフト選択装置300が収容される仮想ケースにおける、仮想ディテント溝304に対応する部分には、仮想スプリング306を介して仮想ディテントボール308が取り付けられている。
【0070】
仮想インナレバー310は、疑似シフトレバー160の操作に応じて所定の軸心まわりに回動可能に配置されている。ドライバの疑似シフトレバー160の操作に伴って、仮想インナレバー310が所定の軸心まわりに回動すると、図9に示すように、仮想フォークシャフト302が長手方向に移動する。また、仮想フォークシャフト302には、仮想シフトフォーク312が取り付けられている。仮想シフトフォーク312は、仮想シンクロ機構220(図6)に設けられた不図示の溝に嵌合されている。すなわち、仮想フォークシャフト302が長手方向に移動することで、仮想シフトフォーク312、および、仮想シンクロ機構220を介して変速が行われることとなる。
【0071】
具体的には、例えば、図9に示すように、仮想フォークシャフト302が図9中左側へ向かって移動した場合、仮想ディテントボール308が図9中右側の仮想ディテント溝304に係合されることとなる。
【0072】
このとき、仮想スプリング306の付勢力により仮想ディテントボール308が何れかの仮想ディテント溝304に係合させられることで、仮想フォークシャフト302の長手方向における位置決めが行われる。
【0073】
すなわち、仮想ディテントボール308が仮想スプリング306の付勢力により何れかの仮想ディテント溝304に嵌め入れられることとなる。これにより、実際のMT車両では、所謂、ギア抜けを防止することが可能となる。また、変速段を切り替える際には、仮想スプリング306の付勢力によって、仮想ディテント溝304の斜面に仮想ディテントボール308が押し付けられることによる反力(第2シフト反力)が生じる。
【0074】
本実施形態では、ドライバが疑似シフトレバー160に対する操作を行った場合に、上記の第2シフト反力を反映した反力(シフト反力)を疑似シフトレバー160に発生させる。これにより、MT車両を操る楽しさを求めるドライバの感覚に合致した手動の変速動作を疑似的に再現する際の再現性を高めることが可能となる。
【0075】
図4に戻り、シフト反力導出部186fは、検出部186bによって検出された疑似シフトレバー160の位置(シフトポジション)に基づいて、第2シフト反力を導出する。図10は、本実施形態に係る第2シフト反力マップの一例を示す概略図である。図10に示すように、第2シフト反力マップは、横軸を検出部186bによって検出された疑似シフトレバー160の位置(シフトポジション)、縦軸を第2シフト反力とした場合の両者の関係が規定されている。
【0076】
図10に示すように、第2シフト反力マップでは、シフトポジションが、シフト開始位置、すなわち、図2における任意のシフト通路162aの端部から、中央部、すなわち、図2におけるセレクト通路162b内へと変化する際に、第2シフト反力の値が大きくなった後に小さくなる山型で遷移する傾向となる関係が規定されている。
【0077】
また、図10に示すように、第2シフト反力マップでは、シフトポジションが、中央部、すなわち、図2におけるセレクト通路162b内から、シフト終了位置、すなわち、図2における任意のシフト通路162aの端部へと変化する際に、第2シフト反力の値が大きくなった後に小さくなる山型で遷移する傾向となる関係が規定されている。すなわち、隣接する2つの仮想ディテント溝304の間の頂点に仮想ディテントボール308が位置する際に、第2シフト反力の値が最も大きくなることが規定されている。
【0078】
そして、シフト反力導出部186fは、第2シフト反力マップを参照して、疑似シフトレバー160の位置(シフトポジション)に基づいて、第2シフト反力を導出し、記憶部186hに記憶する。
【0079】
また、シフト反力導出部186fは、上記したようにして導出された第1シフト反力の値と、第2シフト反力の値とに基づいて、合計シフト反力の値を導出し、導出した合計シフト反力の値を記憶部186hに記憶する。具体的には、例えば、シフト反力導出部186fは、第1シフト反力の値と第2シフト反力の値とを足し合わせることで、合計シフト反力の値を導出する。あるいは、シフト反力導出部186fは、第1シフト反力の値および第2シフト反力の少なくともいずれかに予め設定された所定の重み付け用の係数を乗算した上で、合計シフト反力の値を導出してもよい。
【0080】
また、シフト反力制御部186gは、シフト反力導出部186fによって上記のようにして導出された合計シフト反力の値に基づいてシフト反力装置にシフト反力を発生させる。以下、本実施形態に係る制御部180における処理の流れについて説明する。
【0081】
図11は、本実施形態に係る制御部180における割り込み処理の一例を示すフローチャートである。制御部180は、所定制御周期で訪れる割り込みタイミングごとに、図11に示す一連の割り込み処理を繰り返す。
【0082】
上記の割り込みタイミングが到来すると、電気自動車100の制御部180の検出部186bは、各種センサからの情報を取得する情報取得処理(ステップS100)を実行する。この情報取得処理(ステップS100)については、詳しくは後述する。
【0083】
また、電気自動車100の制御部180の走行制御部186aは、上記ステップS100の情報取得処理で取得した各種情報に基づいて、電気自動車100の走行に関する制御を実行する走行制御処理(ステップS102)を実行する。具体的には、走行制御部186aは、アクセルペダル130の操作量と、疑似クラッチペダル150の操作量と、疑似シフトレバー160のシフト位置(シフトポジション)とで定まる駆動輪トルクを、MT車両を模擬したモデルを用いて導出する。そして、走行制御部186aは、導出した駆動輪トルクを電気自動車100の駆動輪(前輪114)に与えるためのモータトルクを導出する。そして、走行制御部186aは、導出したモータトルクに基づいた制御指令をインバータ122に送信する。
【0084】
また、電気自動車100の制御部180は、上記ステップS100の情報取得処理で取得した各種情報に基づいて、ドライバによる疑似シフトレバー160への操作に対して反力を発生させるためのシフト反力関連処理(ステップS104)を実行する。このシフト反力関連処理(ステップS104)については、詳しくは後述する。
【0085】
図12は、本実施形態に係る制御部180における情報取得処理(ステップS100)の一例を示すフローチャートである。電気自動車100の制御部180の検出部186bは、アクセルペダルセンサ130sからの検出信号に基づいて、ドライバによるアクセルペダル130の操作量を取得し、記憶部186hに記憶する(ステップS100-1)。
【0086】
また、電気自動車100の制御部180の検出部186bは、回転数センサ112sからの検出信号に基づいて、ドライブシャフト112の回転数、および、電気自動車100の車速を取得する(ステップS100-3)。また、電気自動車100の制御部180の検出部186bは、取得したドライブシャフト112の回転数、および、電気自動車100の車速を記憶部186hに記憶する。
【0087】
また、電気自動車100の制御部180の検出部186bは、疑似シフトレバーセンサ160sからの検出信号に基づいて、疑似シフトレバー160の位置、すなわち、シフトポジションを取得する(ステップS100-5)。また、電気自動車100の制御部180の検出部186bは、取得したシフトポジションを記憶部186hに記憶する(ステップS100-5)。
【0088】
また、電気自動車100の制御部180の検出部186bは、疑似シフトレバーセンサ160sからの検出信号に基づいて、疑似シフトレバー160に対するドライバの操作力を取得する(ステップS100-7)。また、電気自動車100の制御部180の検出部186bは、取得した疑似シフトレバー160に対するドライバの操作力を記憶部186hに記憶する(ステップS100-7)。
【0089】
また、電気自動車100の制御部180の検出部186bは、疑似クラッチペダルセンサ150sからの検出信号に基づいて、疑似クラッチペダル150に対するドライバの操作量を取得する(ステップS100-9)。また、電気自動車100の制御部180の検出部186bは、取得した疑似クラッチペダル150に対するドライバの操作量を記憶部186hに記憶し、当該情報取得処理を終了する。
【0090】
図13は、本実施形態に係る制御部180におけるシフト反力関連処理(ステップS104)の一例を示すフローチャートである。また、電気自動車100の制御部180の仮想エンジン回転数導出部186cは、仮想エンジン回転数を導出する仮想エンジン回転数導出処理を実行する(ステップS104-1)。また、電気自動車100の制御部180の仮想エンジン回転数導出部186cは、導出した仮想エンジン回転数を記憶部186hに記憶する。
【0091】
電気自動車100の制御部180の仮想差回転数導出部186dは、仮想エンジン回転数導出部186cによって導出された仮想エンジン回転数と、検出部186bによって検出された駆動輪である前輪114の回転数とに基づいて、上記したようにして、仮想差回転数を導出する仮想差回転数導出処理を実行する(ステップS104-3)。また、仮想差回転数導出部186dは、電気自動車100の制御部180の仮想差回転数導出部186dは、導出した仮想差回転数を記憶部186hに記憶する。
【0092】
また、電気自動車100の制御部180の仮想シンクロ反力導出部186eは、仮想シンクロ反力マップを参照し、仮想差回転数導出部186dによって導出された仮想差回転数に基づいて、上記したようにして仮想シンクロ反力を導出する仮想シンクロ反力導出処理を実行する(ステップS104-5)。また、仮想シンクロ反力導出部186eは、電気自動車100の制御部180の仮想シンクロ反力導出部186eは、導出した仮想シンクロ反力を記憶部186hに記憶する。
【0093】
また、電気自動車100の制御部180は、疑似シフトレバー160に対するドライバの操作を検出したか否かを判定する(ステップS104-7)。その結果、疑似シフトレバー160に対するドライバの操作が検出された場合には(ステップS104-7のYES)、ステップS104-9に処理を移し、疑似シフトレバー160に対するドライバの操作が検出されていない場合には(ステップS104-7のNO)、当該シフト反力関連処理を終了する。
【0094】
なお、例えば、上記ステップS100-7において記憶したシフト操作力の値が0より大きい場合には、疑似シフトレバー160に対するドライバの操作が検出されたと判定し、シフト操作力の値が0である場合には、疑似シフトレバー160に対するドライバの操作が検出されていないと判定してもよい。
【0095】
また、電気自動車100の制御部180のシフト反力導出部186fは、第1シフト反力マップを参照して、仮想シンクロ反力と、疑似シフトレバー160に対するドライバの操作力とに基づいて、第1シフト反力を導出する第1シフト反力導出処理を実行する(ステップS104-9)。また、電気自動車100の制御部180のシフト反力導出部186fは、導出した第1シフト反力の値を記憶部186hに記憶する。
【0096】
上記したように、検出部186bによって検出された各値、具体的には、アクセルペダル130の操作量、ドライブシャフト112の回転数や車速、疑似シフトレバー160の位置、疑似シフトレバー160へのドライバの操作力、疑似クラッチペダル150の操作量または操作有無を用いることで、MT車両における実際のシフト反力を模擬した第1シフト反力を導出することが可能となる。換言すれば、アクセルペダル130の操作量、ドライブシャフト112の回転数や車速、疑似シフトレバー160の位置、疑似シフトレバー160へのドライバの操作力、疑似クラッチペダル150の操作量または操作有無に応じて第1シフト反力の値を変化させることが可能となる。これにより、MT車両における手動の変速動作を疑似的に再現する際の再現性を高めることが可能となる。
【0097】
また、電気自動車100の制御部180のシフト反力導出部186fは、第2シフト反力マップを参照して、疑似シフトレバー160の位置(シフトポジション)に基づいて、第2シフト反力を導出する第2シフト反力導出処理を実行する(ステップS104-11)。また、電気自動車100の制御部180のシフト反力導出部186fは、導出した第2シフト反力の値を記憶部186hに記憶する。
【0098】
上記したように、検出部186bによって検出された疑似シフトレバー160の位置を用いることで、MT車両における実際のシフト反力を模擬した第2シフト反力を導出することが可能となる。換言すれば、疑似シフトレバー160の位置に応じて第2シフト反力の値を変化させることが可能となる。これにより、MT車両における手動の変速動作を疑似的に再現する際の再現性を高めることが可能となる。
【0099】
また、電気自動車100の制御部180のシフト反力導出部186fは、上記ステップS104-9において記憶部186hに記憶した第1シフト反力の値と、上記ステップS104-11において記憶部186hに記憶した第2シフト反力の値とに基づいて、合計シフト反力の値を導出する合計シフト反力導出処理を実行する(ステップS104-13)。また、電気自動車100の制御部180のシフト反力導出部186fは、導出した合計シフト反力の値を記憶部186hに記憶する。
【0100】
具体的には、例えば、シフト反力導出部186fは、第1シフト反力の値と第2シフト反力の値とを足し合わせることで、合計シフト反力の値を導出することができる。あるいは、シフト反力導出部186fは、第1シフト反力の値および第2シフト反力の少なくともいずれかに予め設定された所定の重み付け用の係数を乗算した上で、合計シフト反力の値を導出してもよい。
【0101】
電気自動車100の制御部180のシフト反力制御部186gは、上記ステップS104-13において記憶された合計シフト反力の値に基づいてシフト反力装置にシフト反力を発生させるシフト反力装置制御処理を実行し(ステップS104-15)、当該シフト反力関連処理を終了する。
【0102】
以上説明したように、駆動源としてのモータ102を備える本実施形態に係る電気自動車100は、
加速要求を入力するためのアクセル装置(アクセルペダル130)と、
ドライバによって操作され、変速操作を模擬するための疑似シフト装置(疑似シフトレバー160)と、
ドライバによって操作され、クラッチ操作を模擬するための疑似クラッチ装置(疑似クラッチペダル150)と、
ドライバによるアクセル装置、疑似シフト装置、および、疑似クラッチ装置への操作態様、および、駆動輪(前輪114)の回転数を検出する検出装置(検出部186b)と、
ドライバによる疑似シフト装置(疑似シフトレバー160)への操作に対して、疑似シフト装置(疑似シフトレバー160)へ反力を発生させる反力発生装置170と、
疑似シフト装置(疑似シフトレバー160)に発生させる反力を決定する制御部180と、
を備え、
制御部180は、
1つまたは複数のプロセッサ182と、
プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリ184と、
を有し、
プロセッサ182は、
検出装置(検出部186b)による検出結果の少なくともいずれか基づいて、駆動源がエンジンであると仮定した場合のエンジン回転数を模擬した仮想エンジン回転数と、駆動輪の回転数とに少なくとも基づいた仮想差回転数を導出し、
仮想差回転数に少なくとも基づいて、疑似シフト装置(疑似シフトレバー160)に発生させる反力(疑似クラッチペダル150)を決定する。
これにより、MT車両における手動の変速動作を疑似的に再現する際の再現性を高めることが可能となる。
【0103】
また、検出装置(検出部186b)は、
ドライバによる疑似クラッチ装置(疑似クラッチペダル150)への操作量を検出可能であり、
プロセッサ182は、
疑似シフト装置(疑似シフトレバー160)に発生させる反力の決定において、ドライバによる疑似クラッチ装置(疑似クラッチペダル150)への操作量の変化に応じて、反力を変化させることが可能である。
これにより、MT車両における手動の変速動作を疑似的に再現する際の再現性を更に高めることが可能となる。
【0104】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0105】
なお、上述した本実施形態に係る電気自動車100による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、または、ソフトウェアとハードウェアとの組合せのうちいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部または外部に設けられる非一時的な記憶媒体(non-transitory media)に予め格納される。そして、プログラムは、例えば、非一時的な記憶媒体(例えば、ROM)から一時的な記憶媒体(例えば、RAM)に読み出され、CPUなどのプロセッサにより実行される。
【0106】
また、上述した実施形態によれば、上記電気自動車100の各機能の処理を実行するためのプログラムを提供することができる。さらに、当該プログラムが格納された、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体を提供することもできる。非一時的な記録媒体は、例えば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のディスク型記録媒体であってもよいし、または、フラッシュメモリ、USBメモリ等の半導体メモリであってもよい。
【符号の説明】
【0107】
100 電気自動車
102 モータ
104 出力軸
106 ギア機構
108 プロペラシャフト
110 デファレンシャルギア
112 ドライブシャフト
112s 回転数センサ
114 前輪
116 後輪
120 バッテリ
122 インバータ
130 アクセルペダル(アクセル装置)
130s アクセルペダルセンサ
150 疑似クラッチペダル(疑似クラッチ装置)
150s 疑似クラッチペダルセンサ
160 疑似シフトレバー(疑似シフト装置)
160a 疑似シフトノブ
170 反力発生装置
180 制御部
186b 検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13