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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004000
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】空気清浄装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/80 20210101AFI20240109BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20240109BHJP
   F24F 8/30 20210101ALI20240109BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20240109BHJP
   A61L 9/22 20060101ALI20240109BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
F24F8/80 110
F24F8/108 310
F24F8/30
F24F8/80 214
F24F8/80 232
F24F8/80 135
F24F8/80 252
A61L9/16 F
A61L9/22
E04B2/74 541M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103408
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】390022666
【氏名又は名称】協立エアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】森 陽司
(72)【発明者】
【氏名】野口 昌孝
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180CA10
4C180DD09
(57)【要約】
【課題】清浄化対象空間に存在する細菌、ウイルス及び塵埃を除去し、対象物への細菌、ウイルスおよび塵埃の付着を防止することができ、人体への悪影響を抑制して、清浄化対象空間のクリーン度を容易に向上させることが可能な空気清浄装置を提供する。
【解決手段】空気清浄装置101は、空洞部を内蔵し衝立状に起立可能な気密構造の本体ケーシング1と、本体ケーシング1の正面上方に設けられた通気部材4と、本体ケーシング1外の空気を空洞内に導入するため本体ケーシング1の背面の下方に設けられた吸気口及び送風手段と、吸気口に配置されたプレフィルタと、空洞部内において通気部材4に対向する領域に通気部材4と距離を隔てて配置されたHEPAフィルタと、を備え、通気部材4の正面の通気部材4から離れた領域に複数のイオン発生器15aを内蔵したイオン発生ユニット15を配置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞部を内蔵し衝立状に起立可能な気密構造の本体ケーシングと、前記本体ケーシングの正面上方に設けられた通気部材と、前記本体ケーシング外の空気を前記空洞部内に導入するため前記本体ケーシングの背面の下方に設けられた吸気口及び送風手段と、前記吸気口に配置されたプレフィルタと、前記空洞部内において前記通気部材に対向する領域に前記通気部材と距離を隔てて配置されたHEPAフィルタと、を備え、
前記通気部材の水平断面形状が、直線状、または、前記本体ケーシングの正面側から前記空洞部内に向かって凹んだ鈍角V字状若しくは凹曲線状をなし、
前記送風手段により前記吸気口を経由し前記プレフィルタを通して前記空洞部内に導入した前記本体ケーシング外の空気を前記HEPAフィルタ並びに前記通気部材を通して前記本体ケーシング外へ吹き出す機能を有し、
前記通気部材の正面に、イオン発生器を内蔵したイオン発生ユニットを配置したことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
前記イオン発生ユニットにおいて前記イオン発生器を内蔵する格子状ケーシングが、少なくとも開口率50%の通気部材で構成された請求項1記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記イオン発生ユニットに内蔵されたイオン発生器は、前記イオン発生ユニットの上下方向の中央部寄りの位置であって、前記イオン発生ユニットの左右方向の中央部寄りの位置に配置され、且つ、前記イオン発生ユニットは前記通気部材の中央部に配置された請求項1または2記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記イオン発生ユニットが、前記通気部材の正面に着脱可能である請求項1または2記載の空気清浄装置。
【請求項5】
前記イオン発生ユニットを形成する前記イオン発生器は、そのイオン発生部が前記通気部材の左側及び右側を向くように配置された請求項1または2記載の空気清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルスや細菌、塵埃などの飛散や浮遊を防止するため室内の空気を吸い込んで清浄化する機能や、吸い込んだ空気を清浄化して室内へ吹き出す機能を備えた空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内部の清浄化対象空間(作業空間)の空気を清浄化する空気清浄装置については、従来、様々な構造、機能を有するものが提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1に記載された「空気清浄装置及びこれを用いた空気清浄システム」がある。
【0003】
特許文献1に記載された「空気清浄装置」は、空洞部を内蔵し衝立状に起立可能な気密構造のケーシングの正面上方に設けられた通気部材と、ケーシング外の空気を空洞内に導入するためケーシングの背面の下方に設けられた吸気口及び送風手段(ターボファン)と、吸気口に配置されたプレフィルタと、空洞部内において通気部材に対向する領域に通気部材と距離を隔てて配置されたメインフィルタ(HEPAフィルタ)と、を備えている。
【0004】
この「空気清浄装置」は、室内の空気を吸い込んで清浄化したり、吸い込んだ空気を清浄化して室内へ吹き出したりすることができ、これによってウイルスや細菌、塵埃などの飛散を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-61471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、特許文献1に記載された「空気清浄装置」を使用することにより、ウイルスや細菌、塵埃などの飛散を防止することができるが、近年の衛生観念の高まりにより、室内空間において求められるクリーン度(空気清浄度)のレベルも上昇しているので、従来品よりも優れた空気清浄化機能を有する空気清浄装置の出現が要請されている。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、清浄化対象空間(作業空間)に存在する細菌、ウイルス及び塵埃を除去し、対象物への細菌、ウイルスおよび塵埃の付着を防止することができ、人体への悪影響を抑制して、清浄化対象空間のクリーン度を容易に向上させることが可能な空気清浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る空気清浄装置は、空洞部を内蔵し衝立状に起立可能な気密構造の本体ケーシングと、前記本体ケーシングの正面上方に設けられた通気部材と、前記本体ケーシング外の空気を前記空洞部内に導入するため前記本体ケーシングの背面の下方に設けられた吸気口及び送風手段と、前記吸気口に配置されたプレフィルタと、前記空洞部内において前記通気部材に対向する領域に前記通気部材と距離を隔てて配置されたHEPAフィルタと、を備え、
前記通気部材の水平断面形状が、直線状、または、前記本体ケーシングの正面側から前記空洞部内に向かって凹んだ鈍角V字状若しくは凹曲線状をなし、
前記送風手段により前記吸気口を経由し前記プレフィルタを通して前記空洞部内に導入した前記本体ケーシング外の空気を前記HEPAフィルタ並びに前記通気部材を通して前記本体ケーシング外へ吹き出す機能を有し、
前記通気部材の正面に、イオン発生器を内蔵したイオン発生ユニットを配置したことを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、HEPAフィルタで清浄化された空気が通気部材を通して清浄化対象空間に吹き出されることにより清浄化対象空間の清浄度が向上し、細菌やウイルス及び塵埃などの浮遊が抑制されるので、清浄度の高い空間を維持することができる。
【0010】
また、イオン発生ユニットで発生するイオンの除電効果により、清浄化対象空間中に存在する静電気を帯びた塵埃や対象物を除電することができるので、細菌、ウイルス及び塵埃の除去並びに対象物への細菌、ウイルス及び塵埃の付着を防止することができ、人体への悪影響の抑制及び清浄化対象空間(作業空間)のクリーン度を容易に向上させることができる。
【0011】
前記空気清浄装置においては、前記イオン発生ユニットにて前記イオン発生器を内蔵する格子状ケーシングを、少なくとも開口率50%の通気部材で構成することができる。
【0012】
このように、前記イオン発生ユニットを形成する格子状ケーシングを、少なくとも開口率50%の通気部材で構成することにより、前記イオン発生ユニット内で発生したイオンが格子状ケーシングを通過する際に格子状ケーシングに衝突して消滅することを防止することができるので、清浄化対象空間に所定数のイオンを安定的に供給することができ、清浄化対象空間のクリーン度を安定して維持することができ、手指がイオン発生部に接触するのを防止することができる。
【0013】
前記空気清浄装置においては、前記イオン発生ユニットに内蔵されたイオン発生器を、前記イオン発生ユニットの上下方向の中央部寄りの位置であって、前記イオン発生ユニットの左右方向の中央部寄りの位置に配置し、且つ、前記イオン発生ユニットは前記通気部材の中央部に配置することができる。
【0014】
このような構成とすれば、通気部材から吹き出される清浄空気流にイオンを効率的に付加することができ、細菌やウイルスなどによる人体への悪影響の抑制及び除電効果を確実に得ることができる。
【0015】
前記空気清浄装置においては、前記イオン発生ユニットが、前記通気部材の正面に着脱可能であるようにすることができる。
【0016】
このような構成とすれば、既存の衝立型の空気清浄装置に対し、後付けでイオン発生ユニットを装着することができるので、既存の空気清浄装置に、空気中に浮遊する細菌やウイルスなどによる人体への悪影響を抑制する効果及び除電効果を追加することができる。
【0017】
前記空気清浄装置においては、前記イオン発生ユニットを形成する前記イオン発生器は、そのイオン発生部が前記通気部材の左側及び右側を向くように配置することができる。
【0018】
このような構成とすれば、イオン発生器により発生したイオンは、通気部材の外周部分に向かって放射され、通気部材の正面全体にイオンが分布するので、通気部材から吹き出した清浄空気流に対し均一にイオンを付加することができ、清浄化対象空間のイオン濃度を確保することができる。また、送風手段を停止した状態でイオン発生器を稼働させれば、ケーシング内に配置されたHEPAフィルタの防カビ、消臭効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、清浄化対象空間(作業空間)に存在する細菌、ウイルス及び塵埃を除去し、対象物への細菌、ウイルスおよび塵埃の付着を防止することができ、人体への悪影響を抑制して、清浄化対象空間のクリーン度を容易に向上させることが可能な空気清浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態である空気清浄装置を正面斜め方向から見た一部省略斜視図である。
図2図1に示す空気清浄装置の一部省略右側面図である。
図3図1に示す空気清浄装置を背面斜め方向から見た一部省略斜視図である。
図4図1に示す空気清浄装置の一部省略平面図である。
図5図1に示す空気清浄装置の一部省略底面図である。
図6図1中のA-A線における一部省略垂直断面図である。
図7図1中のB-B線における一部省略水平断面図である。
図8図1に示す空気清浄装置におけるイオン発生状態を模式的に示す一部省略正面図である。
図9図1に示す空気清浄装置におけるイオン発生状態を模式的に示す一部省略水平断面図である。
図10図1に示す空気清浄装置の一部省略分解斜視図である。
図11】その他の実施形態である空気清浄装置を示す一部省略正面図である。
図12図11に示す空気清浄装置におけるイオン発生状態を模式的に示す一部省略正面図である。
図13】その他の実施形態である空気清浄装置を示す一部省略正面図である。
図14図13に示す空気清浄装置におけるイオン発生状態を模式的に示す一部省略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1図14に基づいて、本発明の実施形態である空気清浄装置101,102,103について説明する。
【0022】
初めに、図1図10に基づいて空気清浄装置101について説明する。図1図7に示すように、空気清浄装置101は、正面視形状が縦長の長方形状をなす気密構造の本体ケーシング1と、本体ケーシング1の下面の左右部分に設けられた一対の支持脚2,2と、支持脚2,2の下面に取り付けられた複数のキャスタ3と、を備えている。本体ケーシング1は空洞部V(図6図7参照)を内蔵し、支持脚2及びキャスタ3により、所定の設置面上、例えば、床面F上(図2参照)に衝立状に起立可能である。
【0023】
図1に示すように、本体ケーシング1の正面上方に通気部材4が設けられ、図3図6に示すように、本体ケーシング1外の空気を空洞V内に導入するため本体ケーシング1の背面の下方に吸気口6及び送風手段7が設けられ、吸気口6にはプレフィルタ8が配置されている。図6図7に示すように、空洞部V内において通気部材4に対向する領域に通気部材4と距離を隔ててHEPAフィルタ9が配置されている。
【0024】
本体ケーシング1の正面の上方部分の通気部材4は、空洞部Vと連通し、気体が通過可能な多数の通気孔を有している。通気部材4は、本体ケーシング1の正面の上半分程度の領域に着脱可能に取り付けられた額縁状のフレーム部材5の内周側にパンチングメタルを配置することによって形成されているが、これに限定するものではない。
【0025】
図1図7に示すように、通気部材4の水平断面形状は本体ケーシング1の正面側から本体ケーシング1の背面側(空洞部V内)に向かって凹んだ凹曲線状をなし、送風手段7(ターボファン)により、本体ケーシング1外から吸気口6を経由しプレフィルタ8を通して空洞部V内に導入した空気をHEPAフィルタ9並びに通気部材4を通して本体ケーシング1外へ吹き出す機能を有している。プレフィルタ8は限定しないが、HEPAフィルタ9より目が粗いフィルタ、例えば、サランネットフィルタ、不織布フィルタなどが好適である。なお、通気部材4の水平断面形状は、前記凹曲線状に限定しないので、直線状若しくは本体ケーシング1の正面側から本体ケーシング1の背面側(空洞部V内)に向かって凹んだ鈍角V字状とすることもできる。
【0026】
図7に示すように、HEPAフィルタ9,9はそれぞれ独立した平板状のフィルタユニットであり、個別に着脱可能である。複数のHEPAフィルタ9,9は、空胴部V内に所定間隔を隔てて左右対称に配置されている。具体的には、本体ケーシング1のサイズが幅900mm×高さ1400mmであるのに対して、HEPAフィルタ9のサイズは幅305mm×高さ610mmであり、このサイズの2個のHEPAフィルタ9,9が左右方向に180mmの間隔を隔てて鈍角V字状をなすように配置されている。なお、通気部材4の水平断面形状が直線状である場合(通気部材4が平面状である場合)は、2個のHEPAフィルタ9,9は左右方向に180mmの間隔を隔てて略同一平面上に並ぶように配置される。
【0027】
前述したように、通気部材4の水平断面形状が直線状である場合(通気部材4が平面状である場合)は、2個のHEPAフィルタ9,9を配置する代わりに、通気部材4の通気部分(通気領域)と略同一サイズを有する1枚の平板状のHEPAフィルタ(図示せず)を通気部材4と略平行をなすように配置することもできる。
【0028】
また、図6図7に示すように、本体ケーシング1内の空洞部Vに仕切部材10が配置されている。平板状の仕切部材10は、空洞部Vの内部の左右方向の中央に垂直方向に配置され、HEPAフィルタ9,9の背面側に位置する空洞部Vが仕切部材10によって左右に区画されている。
【0029】
図1図7に示すように、空気清浄装置101においては、通気部材4の正面において通気部材4から正面側に離れた領域に複数のイオン発生器15aを内蔵したイオン発生ユニット15が配置されている。イオン発生ユニット15の下方中央部分にはイオン発生器15aのON/OFF操作などを行う操作パネル15cが設けられ、電源アダプタ15eから延設された電源コード15dが操作パネル15cの背面に配線されている。電源アダプタ15eは、本体ケーシング1の右側面中央付近に設けられた電源コンセント1a(図3参照)に着脱可能である。
【0030】
図1に示すように、イオン発生ユニット15において、複数のイオン発生器15aは格子状ケーシング15bに内蔵されている。格子状ケーシング15bは、開口率75%の通気部材で構成されている。格子状ケーシングにイオンが衝突して消滅するのを防止するためには前記開口率は高い方が良いが、イオン発生ユニット15に手指が触れたときに、誤って手指が格子状ケーシング15bを通過してイオン発生部(図示せず)に接触するのを防止する観点からは前記開口率は低い方が良いので、両方の条件を勘案すると、前記開口率は少なくとも50%を確保するのが好ましく、本実施形態では前記開口率を75%に設定している。
【0031】
複数のイオン発生器15aは、イオン発生ユニット15の上下方向の中央部寄りの位置であって、イオン発生ユニット15の左右方向の中央部寄りの位置に配置されている。また、イオン発生ユニット15は通気部材4の中央部に配置されている。詳しくは、イオン発生ユニット15は、通気部材4の谷部分(本体ケーシング1の背面側に近づく方向へ凹んだ部分)に配置されている。なお、後述する図10に示すように、イオン発生ユニット15は、通気部材4の正面に着脱可能である。
【0032】
イオン発生ユニット15を形成する複数のイオン発生器15aのうち、格子状ケーシング15bの右寄りに位置する二つのイオン発生器15aはそれぞれのイオン発生部(図示せず)が通気部材4の右側を向くように配置され、格子状ケーシング15bの左寄りに位置する二つのイオン発生器15aはそれぞれのイオン発生部(図示せず)が通気部材4の左側を向くように配置されている。
【0033】
空気清浄装置101において、送風手段7であるターボファンを稼動させ、操作パネル15cを操作してイオン発生器15aをONすると、本体ケーシング1外の空気が、プレフィルタ8及び吸気口6を通過してケーシング1内に吸い込まれ、吸い込まれた空気は、図6図7に示すように、仕切部材10により左右に区画された空洞部V,Vを経由してそれぞれHEPAフィルタ9,9の背面側に均一に分配され、HEPAフィルタ9,9を通過して清浄化され、通気部材4の通気孔を通過して、通気部材4の正面側から室内に向かってイオンが付加された清浄空気が吹き出される。
【0034】
このように、空気清浄装置101は、送風手段7(ターボファン)により、プレフィルタ8及び吸気口を経由して本体ケーシング1内に導入した本体ケーシング1外の空気を、HEPAフィルタ9を通すことによって清浄化し、通気部材4を通過した後、イオンが付加された清浄空気として吹き出す機能を有している。
【0035】
このように、HEPAフィルタ9で清浄化された空気が通気部材4を通して清浄化対象空間に吹き出されることにより、清浄化対象空間の清浄度が向上し、細菌やウイルス及び塵埃などの浮遊が抑制されるので、清浄度の高い空間を維持することができる。
【0036】
また、イオン発生ユニット15で発生するイオンの除電効果により、清浄化対象空間中に存在する静電気を帯びた塵埃や対象物を除電することができるので、細菌、ウイルス及び塵埃の除去並びに対象物への細菌、ウイルス及び塵埃の付着を防止することができ、人体への悪影響の抑制及び清浄化対象空間(作業空間)のクリーン度を容易に向上させることができる。
【0037】
空気清浄装置101においては、イオン発生ユニット15においてイオン発生器15aを内蔵する格子状ケーシング15bを、開口率75%以上の通気部材で構成したことにより、イオン発生ユニット15内で発生したイオンが格子状ケーシング15bを通過する際に格子状ケーシング15bに衝突して消滅することを防止することができるので、清浄化対象空間に所定数のイオンを安定的に供給することができ、清浄化対象空間のクリーン度を安定して維持することができる。
【0038】
図1図8に示すように、空気清浄装置101においては、イオン発生ユニット15に内蔵された複数のイオン発生器15aを、イオン発生ユニット15の上下方向の中央部寄りの位置であって、イオン発生ユニット15の左右方向の中央部寄りの位置に配置し、且つ、イオン発生ユニット15は通気部材4の中央部に配置しているので、通気部材4から吹き出される清浄空気流にイオンを効率的に付加することができ、細菌やウイルスなどによる人体への悪影響の抑制及び除電効果を確実に得ることができる。
【0039】
図1図8に示すように、空気清浄装置においては、イオン発生ユニット15を形成する複数のイオン発生器15aは、それぞれのイオン発生部が通気部材4の左側及び右側を向くように配置している。具体的には、イオン発生ユニット15を形成する複数のイオン発生器15aのうち、格子状ケーシング15bの右寄りに位置する二つのイオン発生器15aはそれぞれのイオン発生部(図示せず)が通気部材4の右側を向くように配置され、格子状ケーシング15bの左寄りに位置する二つのイオン発生器15aはそれぞれのイオン発生部(図示せず)が通気部材4の左側を向くように配置されている。
【0040】
このような構成とすれば、複数のイオン発生器15aにより発生したイオンは、通気部材4の外周部分に向かって放射され、通気部材4の正面全体にイオンが分布するので、通気部材4から吹き出した清浄空気流に対し均一にイオンを付加することができ、清浄化対象空間のイオン濃度を確保することができる。また、送風手段7を停止した状態でイオン発生器15aを稼働させれば、本体ケーシング1内に配置されたHEPAフィルタ9の防カビ、消臭効果を得ることができる。
【0041】
空気清浄装置101においては、図7に示すように、吹出面である通気部材4の水平断面形状が空洞部Vに向かって凹んだ凹曲線状をなしていることにより、図7図9中の矢線で示すように、通気部材4から吹き出す空気流が通気部材4の左右から中央に向かって接近するように吹き出すので、空気流の拡散が抑制され、安定した空気流となる。なお、図8図9において二点鎖線で示す領域は、イオン濃度が所定以上(例えば、25000(個/cm3)以上)である部分を示している。
【0042】
空気清浄装置101を稼働させ、通気部材4からの吹出風量が風量780m3/hとなるように設定し、図9に示すように、空気清浄装置101正面から水平方向に1m,2m,3m離れた位置におけるイオン濃度(個/cm3)を測定すると、それぞれ77412(個/cm3),38412(個/cm3),37765(個/cm3)という結果が得られた。これにより、空気清浄装置101から3mの範囲内においては25000(個/cm3)以上のイオン濃度を実現できることが分かった。
【0043】
また、図10に示すように、空気清浄装置101においては、イオン発生ユニット15が、通気部材4の正面に着脱可能であるため、既存の衝立型の空気清浄装置に対し、後付けでイオン発生ユニット15を装着することができ、既存の空気清浄装置に、空気中に浮遊する細菌やウイルスなどによる人体への悪影響を抑制する効果及び除電効果を追加することができる。
【0044】
次に、図11図14に基づいて、その他の実施形態である空気清浄装置102,103について説明する。なお、空気清浄装置102,103を構成する部分に関し、前述した空気清浄装置101と共通する部分については、図11図14中において図1図8中に示す符号と同じ符号を付して説明を省略する。また、図12図14において二点鎖線で示す領域は、イオン濃度が所定以上である部分を示している。
【0045】
図11図12に示す空気清浄装置102においては、通気部材4の左側縁部4a及び右側縁部4bにそれぞれ複数のイオン発生器15aが上下方向に距離を隔てて配置されている。通気部材4の左側縁部4aのイオン発生器15aのイオン発生部(図示せず)は通気部材4の右側縁部4bを向くように配置され、通気部材4の右側縁部4bのイオン発生部(図示せず)は通気部材4の左側縁部4aを向くように配置されている。
【0046】
図13図14に示す空気清浄装置103においては、フレーム部材5の上縁部5a及び下縁部5bにそれぞれ複数のイオン発生器15aが左右方向に距離を隔てて配置されている。フレーム部材5の上縁部5aのイオン発生器15aのイオン発生部(図示せず)はフレーム部材5の下縁部5bを向くように配置され、フレーム部材5の下縁部5bのイオン発生部(図示せず)はフレーム部材5の上縁部5aを向くように配置されている。
【0047】
なお、図1図14に基づいて説明した空気清浄装置101,102,103は本発明に係る空気清浄装置を例示するものであり、本発明に係る空気清浄装置は、前述した空気清浄装置101,102,103に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る空気清浄装置は、室内の空気を清浄化したり、室内の空気を清浄な状態に維持したりすることを必要とする様々な産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 本体ケーシング
1a 電源コンセント
2 支持脚
3 キャスタ
4 通気部材
4a 左側縁部
4b 右側縁部
5 フレーム部材
5a 上縁部
5b 下縁部
6 吸気口
7 送風手段
8 プレフィルタ
9 HEPAフィルタ
10 仕切部材
15 イオン発生ユニット
15a イオン発生器
15b 格子状ケーシング
15c 操作パネル
15d 電源コード
15e 電源アダプタ
101,102,103 空気清浄装置
V 空洞部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14