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  • 特開-光学機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040029
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】光学機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/24 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
G02B21/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144841
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】517235672
【氏名又は名称】GOKO映像機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 友子
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AA14
2H052AD15
(57)【要約】
【課題】被観察物への密着度を向上させるとともに、被観察物に対する位置ズレを起こし難くし、ピント調整機構を操作することなくピント調整を行うことが可能な光学機器を提供すること。
【解決手段】被観察物にあてがって該被観察物を観察する光学機器であって、本体部の先端面に、被観察物に接触する環状の弾力性及び/又は防滑性を有する接触部が設けられたことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被観察物にあてがって該被観察物を観察する光学機器であって、本体部の先端面に、被観察物に接触する環状の弾力性及び/又は防滑性を有する接触部が設けられたことを特徴とする光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被観察物にあてがって拡大観察することが可能な拡大鏡や拡大画像を映像出力可能な光学映像機器を含む光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学機器を用いた拡大観察において、機器の小型化、高倍率化が進んでいる。
このような機器の進化に伴い、採取した検体をプレパラートに載せ、据え置き型顕微鏡で観察するだけでなく、光学機器を手持ちで自由に動かし、樹木や生体のような被観察物に直接あてがって観察できるようになっている。
【0003】
従来、例えば特許文献1には、本体部と、光源と、レンズユニット筐体の内部に光学レンズ及び偏光フィルターが収容されて成るレンズユニットとを備え、本体部にレンズユニットが着脱可能に固着され、偏光フィルターが光源から放出される光に対する偏光の有無を切り替え可能であるダーモスコープが開示されている。
このダーモスコープは、簡単な構成および操作で、皮膚表面を観察又は撮像できる状態と、皮膚内部を観察又は撮像できる状態とに切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-188590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたダーモスコープを含め、従来型の拡大鏡や光学映像機器などの光学機器は、被観察物に接触するレンズユニット筐体が高剛性樹脂あるいは金属のような硬質素材で形成されている。したがって、滑りやすく、また被観察物の表面も凹凸があったり、柔らかさを有していることがあるため、機器のブレ、手振れ、被観察物の揺れ等によって上下左右方向へ位置ずれが起こり易い。そうすると、特に高倍率の場合、ほんの僅かに位置ズレが生じただけでも、観察対象となる視野範囲が大きく変化し、それまで観察していた部分が視野から外れてしまう虞があった。
また、明瞭な映像を観察するためにはピント調整が必須であり、一般的には、指先でピント調整機構を操作してピント調整を行うが、この動作は機器のブレ、手振れ、被写体のブレを引き起こしやすい。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、被観察物への密着度を向上させるとともに、被観察物に対する位置ズレを起こし難くし、ピント調整機構を操作することなくピント調整を行うことが可能な光学機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被観察物にあてがって該被観察物を観察する光学機器であって、本体部の先端面に、前記被観察物に接触する環状の弾力性及び/又は防滑性を有する接触部が設けられたことを特徴とする光学機器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光学機器は、被観察物に接触する接触部が防滑性を有するので、従来の硬質の接触部分に比べて滑りにくく、且つ凹凸のある表面に対しても密着性を向上させることができるため、手持ちで観察を行っても位置ずれを起こしにくい。
さらに、被観察物に接触する接触部が上記防滑性に加えて弾力性を有するので、被観察物に接触させたまま光学機器を強めに押し付けたり、弱めに押し付けたりして、微妙なピント調整を行うことが可能となり、最良のピント位置を迅速かつ直感的に探り当てることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態を示す光学機器の側面図である。
図2】本発明の第1の実施形態を示す光学機器の要部分解側面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る接触部の平面図である。
図4】本発明の第2の実施形態を示す光学機器の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を図1乃至図3に基づいて詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態を示す光学機器の側面図であり、図2は、第1の実施形態を示す光学機器の要部分解側面図である。また、図3は、第1の実施形態に係る接触部3の平面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態において、光学機器1は、被観察物の表面或いは内部を高倍率で拡大して観察できるマイクロスコープであり、本体部2と、接触部3とを備える。
【0013】
そして本体部2は、筒型のケースの内部に、不図示のレンズ、イメージセンサー、光源等を収容して構成される。
本体部2の先端面はキャップ20で閉鎖されている。当該キャップ20の中心部には円形の透光部21が穿設され、本体部2の内部に収容された光源からの光は透光部21を通して被観察物に照射され、当該被観察物からの反射光は透光部21を通して本体部2内に入射するように構成されている。
また、本体部2の先端面(キャップ20の外面)には、透光部21の周縁に沿って環状の係合突起22が形成されている。
【0014】
接触部3は、弾力性を有する軟質で変形可能な環状の部材であり、本体部2の先端面に形成された係合突起22の外周面に係合されるように構成されている。
接触部3の内径は係合突起22の外径より僅かに小さく、接触部3を係合突起22の外周面に嵌め込むと簡単に脱落しないように構成されている。
また、接触部3の高さは係合突起22の高さよりやや高く、接触部3を係合突起22に係合すると、接触部3の先端面が係合突起22の先端面よりも突出する。
したがって、光学機器1の先端を被観察物にあてがうと、接触部3が被観察物に接触することになる。
【0015】
接触部3の好適な素材としては、エーテル系ウレタン、エステル系ウレタン、ブルコラン(登録商標)、セラミックスウレタン、低反発ウレタン、超低硬度ウレタン、ネオプレンゴム、エチレンゴム、天然ゴム、ハネナイト(登録商標)、ブタジエンゴム、アクリルゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、チオコール(登録商標)、NBRスポンジ、EPDMスポンジ、フッ素スポンジ、シリコーンスポンジ、ウレタンフォーム、CRスポンジ、ポリエチレンフォーム、ソフトロン(登録商標)S、ラテックススポンジ、ポロン(登録商標)等がある。
【0016】
光学機器1を用いて被観察物の映像を観察するには、本体部2内に設置されたイメージセンサーを、信号線を介してモニタに接続し、光学機器1の先端面に設けた接触部3を被観察物に接触させ、モニタに映し出された映像を観察する。
【0017】
詳細な観察を行う前、又は観察中に、光学機器1のピント調整機構を操作してピントを合わせることもできるが、接触部3の弾力性を利用し、被観察物に接触させたまま光学機器1を強めに押し付けたり、弱めに押し付けたりして、微妙なピント調整を行うことが可能となる。
また、接触部3は滑りにくい性質(防滑性)を備えているため、手振れ等によって観察位置がずれにくい。
接触部3が劣化した場合は、係合突起22から当該接触部3を取り外して、容易に新しいものと交換することができる。
なお、接触部3は、弾力性と防滑性の両方の性質を有している素材とするのが最も好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではなく、弾力性と防滑性のいずれか一方の性質を有する素材を使用することも可能である。
【0018】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態を示す。
第2の実施形態では、係合突起22の外周面の周方向に沿って、環状の突条23が形成されている。また、接触部3の内周面には、係合突起22の突条23に係合可能な溝30が周方向に沿って環状に形成されている。
接触部3を係合突起22の外周面に嵌合すると、接触部3の溝30に係合突起22の突条23が係合して、接触部3の脱落を防ぐことが可能となる。
その他の構造及び使用方法は、第1の実施形態と同様である。
【0019】
[その他の変形例]
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0020】
前述した実施形態における光学機器1はマイクロスコープであったが、必ずしもこのような光学機器1に限定されるものではなく、イメージセンサー等の電子機器を備えていないルーペのような光学機器1に対しても、被観察物に接触可能な接触部3を取り付けることが可能である。もちろん、被観察物が生体以外である光学機器1に対しても、接触部3を取り付けることが可能である。
なお、光学機器1の種類や、本体部2の被観察物に接触させる部分の形状・寸法に応じて、接触部3の厚さ・大きさ・形状等は適宜選択することが可能である。
また、接触部3の硬度や弾性率等についても、被観察物の種類や、ピント調整の幅等に応じて、適宜選択することが可能である。
【0021】
前述した実施形態では、接触部3が係合突起22の外周面に係合されているが、接触部を係合突起の内周面に係合するように構成してもよい。
また、本体部2の先端面に係合突起22を設けることなく、接触部3を本体部2の先端面に接着剤等によって接着させるように構成してもよい。
【0022】
前述した実施形態では、接触部3及び係合突起22を円環状としたが、角形等の環状とすることもできる。
【0023】
第2の実施形態では、係合突起22の外周面に環状の突条23が形成されているが、複数の突起を周方向に所定間隔で配置するように構成してもよい。
【0024】
前述した実施形態では、接触部3を係合突起22に係合して本体部2に取り付けてあるが、その他の手段、例えば、両面接着テープ等により取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 光学機器
2 本体部
20 キャップ
21 透光部
22 係合突起
23 突条
3 接触部
30 溝
図1
図2
図3
図4