(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040039
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】音発生ユニット
(51)【国際特許分類】
B60Q 5/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
B60Q5/00 680E
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 640Z
B60Q5/00 650C
B60Q5/00 670A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144855
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122183
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】船村 和彦
(57)【要約】
【課題】新たな灯具を提供する。
【解決手段】音発生ユニット22は、音発生装置と、音発生装置を覆う外側筐体30と、を備える。外側筐体30は、音発生装置から出た音Sを外部へ出す音出し孔30aと、音出し孔30aから入って音発生装置へ向かう風を側方へ逃がす逃げ孔30bと、を有する。逃げ孔30bの総面積は、音出し孔30aの総面積よりも小さい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音発生装置と、
前記音発生装置を覆う外側筐体と、を備え、
前記外側筐体は、前記音発生装置から出た音を外部へ出す音出し孔と、前記音出し孔から入って前記音発生装置へ向かう風を側方へ逃がす逃げ孔と、を有し、
前記逃げ孔の総面積は、前記音出し孔の総面積よりも小さいことを特徴とする音発生ユニット。
【請求項2】
前記音発生装置は、
スピーカボディと、
スピーカボディの開口に設けられている振動板と、を有し、
前記外側筐体は、前記振動板の前面を覆う筒状のカバーを有し、
前記音出し孔は、前記カバーの前記振動板と対向する領域に形成されており、
前記逃げ孔は、前記カバーの外周面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の音発生ユニット。
【請求項3】
前記音出し孔から出た音を外部の所定位置に導くダクトを更に備え、
前記ダクトは、前記カバーに隣接していることを特徴とする請求項2に記載の音発生ユニット。
【請求項4】
前記外側筐体は、前記音発生装置を保持した状態で被固定部に固定される保持部材を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の音発生ユニット。
【請求項5】
前記被固定部は、車両用灯具の一部を構成する灯具部品であることを特徴とする請求項4に記載の音発生ユニット。
【請求項6】
前記ダクトは、車両のラジエタが配置されている空間と車両用灯具が配置されている空間とを隔てる仕切り板を貫通していることを特徴とする請求項3に記載の音発生ユニット。
【請求項7】
前記ダクトは、出口側の開口が車両前方以外を向くように設けられていることを特徴とする請求項6に記載の音発生ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音発生ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車のようにモータを走行駆動源とする車両では、低速時におけるモータ音が静粛であるため他車両や歩行者が自車両に気づき難い。そこで、モータ音とは別の疑似音を発生させ、この疑似音を他車両や歩行者に対する警告音とする技術が提案されている。
【0003】
例えば、光源と、車両用灯具を構成するアウタレンズに固定され、電気信号を受けて振動によりアウタレンズを発音させる振動子と、を備える車両用灯具が考案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の振動子は、音を発生させるアウタレンズに直接固定する必要がある。そのため、振動子を取り付ける位置が限定されるため、振動子のレイアウトによっては所望の方向に報知音を発することが難しい。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、レイアウトの自由度が高く所望の音質が得られる新たな音発生ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の音発生ユニットは、音発生装置と、音発生装置を覆う外側筐体と、を備える。外側筐体は、音発生装置から出た音を外部へ出す音出し孔と、音出し孔から入って音発生装置へ向かう風を側方へ逃がす逃げ孔と、を有する。逃げ孔の総面積は、音出し孔の総面積よりも小さい。
【0008】
この態様によると、音出し孔から入って音発生装置へ向かう風を側方へ逃がすことができる。また、逃げ孔の総面積を音出し孔の総面積よりも小さくすることで、音発生装置から出た音の大半を音出し孔から外部正面へ出すことができる。
【0009】
音発生装置は、スピーカボディと、スピーカボディの開口に設けられている振動板と、を有してもよい。外側筐体は、振動板の前面を覆う筒状のカバーを有してもよい。音出し孔は、カバーの振動板と対向する領域に形成されており、逃げ孔は、カバーの外周面に形成されていてもよい。これにより、音発生装置から出た音は振動板の前面にある音出し孔から外部へ出るため、効率良く外部へ報知音を発することができる。
【0010】
音出し孔から出た音を外部の所定位置に導くダクトを更に備えてもよい。ダクトは、カバーに隣接していてもよい。これにより、カバーに形成されている音出し孔から出た音をダクトを介して所望の方向へ報知音として発することができる。
【0011】
外側筐体は、音発生装置を保持した状態で被固定部に固定される保持部材を有してもよい。これにより、音発生装置を固定するための部品を外側筐体とは別に設ける必要がなくなる。
【0012】
被固定部は、車両用灯具の一部を構成する灯具部品であってもよい。これにより、新たな部品を必要とせずに車両用灯具と一体の音発生ユニットを実現できる。
【0013】
ダクトは、車両のラジエタが配置されている空間と車両用灯具が配置されている空間とを隔てる仕切り板を貫通していてもよい。これにより、音出し孔から出た音をダクトを介してラジエタが配置されている空間から車両外部へ報知音として発することができる。
【0014】
ダクトは、出口側の開口が車両前方以外を向くように設けられていてもよい。これにより、振動板へ影響する車両走行時の風圧を弱めることができる。
【0015】
以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を製造方法、灯具や照明などの装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所望の音質が得られる新たな音発生ユニットを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1(a)は、本実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を示す正面図、
図1(b)は、本実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を示す背面図である。
【
図2】本実施の形態に係る音発生ユニットの断面図である。
【
図3】音出し孔から入って音発生装置へ向かう風Wの流路を示す図である。
【
図4】音発生装置から出た音Sの経路を示す図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(c)は、本実施の形態に係る音発生ユニットが設けられた車両用前照灯の車両への取付け位置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0019】
図1(a)は、本実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を示す正面図、
図1(b)は、本実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を示す背面図である。
図1に示す車両用灯具としての車両用前照灯10は、車両全部の左側に配置されており、不図示の光源から出射された光が車両前方へ向けて透過するように配置されるアウタレンズ12と、光源と車両本体とを隔てる隔壁としてのランプボディ14と、を備える。アウタレンズ12は、ランプボディ14の車両前方側の開口を塞ぐように、ランプボディ14と一体化され、光源が配置される灯室16を構成する。
【0020】
灯室16内には、ハイビーム用配光パターンを形成する第1の灯具ユニット18と、ロービーム用配光パターンを形成する第2の灯具ユニット20とが設けられている。
図1(b)に示すように、ランプボディ14の背面側には、音発生ユニット22と、音発生ユニット22から出た音Sを外部に向けて報知音として導くダクト23とが設けられている。
【0021】
図2は、本実施の形態に係る音発生ユニットの断面図である。
図2に示すように、音発生ユニット22は、音発生装置の一種であるスピーカユニット24と、スピーカユニット24を保持した状態で被固定部26に固定される保持部材28と、スピーカユニット24を覆う外側筐体30と、を備える。本実施の形態に係る被固定部26は、車両用前照灯10を構成する灯具部品としてのランプボディ14の一部である。灯具部品としては、ランプボディ14そのものに限らず、ランプボディ14と一体の他部品や、ランプボディ14と連結される他部品であってもよい。これにより、新たな部品を必要とせずに車両用灯具と一体の音発生ユニット22を実現できる。
【0022】
ランプボディ14の外側に設けられたスピーカユニット24は、音Sを発する前面24aが車両外部EXへ向くようにスピーカボディ32中央の所定位置に固定されている。スピーカユニット24は、音を発するものであればよく、例えば、ボイスコイルとマグネットにより振動板を振動させることで音を発する構造であってもよい。本実施の形態に係るスピーカユニット24は、スピーカボディ32と、スピーカボディ32の開口に設けられている円板状の振動板24bと、電気信号を振動に変換する磁気回路24cとを有する。振動板24bは、磁気回路24cの振動が伝わるように設けられている。
【0023】
外側筐体30は、保持部材28のスナップフィット部28aに係合することで保持部材28に固定されている。なお、保持部材28と外側筐体30とが一体的な一部品であってもよい。あるいは、外側筐体30は、スピーカユニット24を構成するいずれかの部品を兼ねていてもよい。あるいは、外側筐体30の一部と、スピーカユニット24の一部とが接合することで後述する音出し孔や逃げ孔が形成されていてもよい。これにより、スピーカユニット24を固定するための部品を外側筐体30とは別に設ける必要がなくなる。
【0024】
外側筐体30は、スピーカユニット24から出た音を車両用前照灯10の外部EXへ出す音出し孔30aと、音出し孔30aから入って音発生装置へ向かう風を側方へ逃がす逃げ孔30bと、が形成されている筒状のカバー部34を有する。
【0025】
音出し孔30aは、カバー部34の振動板24bと対向する領域に形成されている。逃げ孔30bは、カバー部34の外周面34aに形成されている。これにより、スピーカユニット24から出た音は振動板24bの前面にある音出し孔30aから外部EXへ出るため、効率良く外部へ報知音を発することができる。また、本実施の形態に係るカバー部34は、外部EXに向かって延びる筒状のダクト部36が隣接して一体的に設けられている。ダクト部36は、前述のダクト23であってもよいし、ダクト23の一部を構成していてもよい。ダクト部36は、音出し孔30aから出た音Sを外部の所定位置に導くように構成されている。これにより、カバー部34に形成されている音出し孔30aから出た音Sをダクト部36を介して所望の方向へ報知音として発することができる。
【0026】
図3は、音出し孔から入って音発生装置へ向かう風Wの流路を示す図である。車両用灯具に設けられた音発生ユニット22の振動板24bは、車両走行時の風圧によって振動が阻害されるおそれがある。そこで、外側筐体30に逃げ孔30bを設けることで、音出し孔30aから入ってスピーカユニット24へ向かう風を側方へ逃がすことができる。その結果、車両走行時の風圧が振動板24bの振動に与える影響を低減できる。
【0027】
一方、逃げ孔30bから出た音は、所望の音出し方向ではないため、本来期待されている方向への報知音に余り寄与しない。
図4は、音発生装置から出た音Sの経路を示す図である。
図4に示すように、逃げ孔30bから出る音Sの大きいと、相対的に音出し孔30aから出る音Sが小さくなる。そこで、本実施の形態に係る外側筐体30においては、逃げ孔30bの総面積S1は、音出し孔30aの総面積S2よりも小さくしている。これにより、スピーカユニット24が受ける車両走行時の風圧の影響を低減しつつ、音発生装置から出た音の大半を音出し孔30aから外部正面へ出すことができる。
【0028】
カバー部34は、スピーカユニット24が直接外部に露出しないように保護するためのものであり、振動板24bの前面24aを覆うことで、スピーカユニット24の破損や汚損が低減される。また、カバー部34は、振動板24bから出た音が外部へ伝わりやすいように音出し孔30aやスリットが形成されている。なお、保持部材28の外周部の環状のフランジ部28bにOリング38が装着されている。Oリング38は、被固定部26と保持部材28との間を封止する。これにより、接着剤等を用いずに被固定部26と保持部材28との間から水や埃が車両内部へ入り込むことを防止できる。
【0029】
図5(a)~
図5(c)は、本実施の形態に係る音発生ユニットが設けられた車両用前照灯の車両への取付け位置を説明するための模式図である。
図5(a)に示すように、ダクト23は、車両のラジエタ40が配置されている空間R1と車両用前照灯10が配置されている空間R2とを隔てる仕切り板42を貫通している。これにより、音出し孔30aから出た音Sをダクト23を介してラジエタ40が配置されている空間R2から車両外部へ報知音として発することができる。
【0030】
図5(a)に示すダクト23は、音Sが外部に向けて出る出口側の開口が車両前方以外の方向である車両下方に向くように設けられている。これにより、ダクト23から侵入して振動板へ影響する車両走行時の風圧を弱めることができる。また、ダクト23は、
図5(b)に示すように、出口側の開口が空間R2から空間R1に向かう車幅方向に向くように設けられていてもよい。ダクト23は、仕切り板42と一体的に設けられていてもよい。また、ダクト23は、必ずしも仕切り板42を貫通していなくてもよく、
図5(c)に示すように、車両用前照灯10が設けられている空間R2に出口側の開口を車両下方に向けて設けてもよい。
【0031】
図5(a)~
図5(c)に示すように、ダクト23の延伸方向や出口側の開口の向きを工夫することによって音出しに有利な位置から音を発することができる。また、音発生ユニット22の配置も、ダクト形状を工夫することで音出し位置から離せるため、他の機能ユニットや部品と干渉しないような位置に自由に設定できる。
【0032】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0033】
10 車両用前照灯、 14 ランプボディ、 22 音発生ユニット、 23 ダクト、 24 スピーカユニット、 24b 振動板、 26 被固定部、 28 保持部材、 30 外側筐体、 30a 音出し孔、 30b 逃げ孔、 31 カバー部、 32 スピーカボディ、 34 カバー部、 34a 外周面、 36 ダクト部、 40 ラジエタ、 42 仕切り板、 S1 総面積、 S2 総面積。