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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040059
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20240315BHJP
【FI】
G01N23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144893
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】391017540
【氏名又は名称】東芝ITコントロールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】山本 輝夫
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001HA13
2G001JA08
2G001JA09
2G001PA11
2G001PA12
2G001PA14
2G001QA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被検体を拡大透視する時に、試料テーブルがX線源と干渉して拡大倍率が低下することを避けることを可能としたX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線検査装置は、被検体4を載置する試料テーブル5と、被検体4にX線を照射する発生器1と、X線発生器に対向して配置されるX線検出器3と、試料テーブル5に着脱可能に固定される追加テーブルを備える。追加テーブルは、試料テーブル5よりもその外周が発生器1に近接する大きなサイズを有する拡張テーブルでもよい。追加テーブルは、試料テーブル5よりも小型の載置面を有するターンテーブルであって、試料テーブル5の外縁部側に固定されるものでもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を載置する試料テーブルと、
前記被検体にX線を照射するX線発生器と、
前記X線発生器に対向して配置されるX線検出器と、
前記試料テーブルに着脱可能に固定される追加テーブルと、
を備えるX線検査装置。
【請求項2】
前記追加テーブルは、前記試料テーブルよりもその外周が前記X線発生器に近接する大きなサイズを有する拡張テーブルである請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記拡張テーブルは、前記試料テーブルの外周に装着されるリング状の部材から構成されている請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記追加テーブルは、前記試料テーブルよりも小型の載置面を有するターンテーブルであって、前記試料テーブルの外縁部側に固定される請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記追加テーブルが前記試料テーブルに装着されたことを検出するセンサを備え、
前記センサの検出結果に応じて、前記X線発生器と前記試料テーブル、及び/又は前記X線発生器と前記追加テーブルの距離を制限する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のX線検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線検査装置には各種のものが知られているが、その一つに被検体4を試料テーブル上に載置して回転させることにより、被検体4にX線を照射するものが知られている。このタイプのX線検査装置では、例えば、特許文献1に示すように、X線源を有するX線発生器とX線検出器の間に試料テーブルを配置し、試料テーブルを回転させながらX線源からX線を被検体4に照射し、その透過X線をX線検出器で検出する。この場合、同一のX線検査装置で異なるサイズの被検体4を検査することができるように、試料テーブルの大きさは、最大のサイズの被検体4に合わせて試料テーブルを大きくしておくことが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-190531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
X線検査装置では、被検体4が小さい場合、できるだけ大きく拡大した方がより解像度が高い透視画像が得られるため、被検体4をできるだけX線源に近づけることが多い。しかし、試料テーブルが大きいと、小さいサイズの被検体4を拡大して撮影する場合に、X線源に近づけようとすると、被検体4とX線源と干渉してしまい、ある限度以上の拡大を行うことができないという問題がある。一方、試料テーブルを最初から小さくしておくと、大きな被検体4を搭載した時に試料テーブルから被検体4がはみ出してしまい、安定が悪くなり、最悪落下する危険がある。
【0005】
本発明の実施形態は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、被検体4を拡大透視する時に、試料テーブルがX線源と干渉して拡大倍率が低下することを避けることを可能としたX線検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のX線検査装置は、次のような構成を備える。
(1)被検体4を載置する試料テーブル。
(2)被検体4にX線を照射するX線発生器。
(3)前記X線発生器に対向して配置されるX線検出器。
(4)前記試料テーブルに着脱可能に固定される追加テーブル。
【0007】
実施形態のX線検査装置は、次のような構成を採用することができる。
(1)前記追加テーブルは、前記試料テーブルよりもその外周が前記X線発生器に近接する大きなサイズを有する拡張テーブルである。
(2)前記拡張テーブルは、前記試料テーブルの外周に装着されるリング状の部材から構成されている。
(3)前記追加テーブルは、前記試料テーブルよりも小型の載置面を有するターンテーブルであって、前記試料テーブルの外縁部側に固定される。
(4)前記追加テーブルが前記試料テーブルに装着されたことを検出するセンサを備え、
前記センサの検出結果に応じて、前記X線発生器と前記試料テーブル、及び又は前記X線発生器と前記追加テーブルの距離を制限する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の全体構成を示す側面図と平面図である。
図2】第1実施形態における試料テーブル部分を示す断面図と平面図である。
図3】第1実施形態において、試料テーブルに追加テーブルの装着状態を示す断面図と平面図である。
図4】大きな試料テーブルに小さな被検体4を搭載した場合を示す側面図と平面図である。
図5】小さな試料テーブルに大きな被検体4を搭載した場合を示す側面図と平面図である。
図6】第2実施形態における試料テーブル部分を示す側面図と平面図である。
図7】第2実施形態において、試料テーブルに追加テーブルの装着状態を示す断面図と平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示すように、第1実施形態のX線検査装置は、X線の発生器1と、発生器1の焦点Fから放射されたX線ビーム2を受光する検出器3とが、被検体4を挟んで対向して配置される。X線ビーム2は、X線光軸を中心とする角錐状のビームである。X線ビーム2の出力を制御するために、発生器1には高電圧発生器16が接続され、この高電圧発生器16にX線制御部17が接続されている。このX線制御部17は、データ処理部19からの指令に基づく管電流値と、予め被検体4に応じて設定された管電圧値に基づき、発生器1の陽極電力を制御する。検出器3は、被検体4を透過したX線ビーム2を2次元の空間分解能をもって検出し、検出器3の出力側に接続されたデータ処理部19に対して透過画像データとして出力する。
【0010】
発生器1及び検出器3は、これらをX方向(X線の光軸方向)に移動させるXシフト機構8上に対向して支持されている。すなわち、Xシフト機構8の一端に設けられた支持フレーム10に発生器1が支持され、他端に設けられた支持フレーム9に検出器3が支持されている。
【0011】
被検体4は、Xシフト機構8上における発生器1及び検出器3の間の位置に設けられた試料テーブル5上に載置される。試料テーブル5は、Xシフト機構8上に、Yシフト機構7及び回転・昇降機構6を介して支持されている。Yシフト機構7は、試料テーブル5及びそれに載置された被検体4をY方向(X線の光軸と直交する方向)に移動させる。回転・昇降機構6は、Yシフト機構7上で試料テーブル5及び被検体4を回転軸13を中心として回転させると共に、垂直方向(Z方向)に昇降させる。
【0012】
発生器1、検出器3、回転・昇降機構6、Yシフト機構7及びXシフト機構8は、機構制御部18に接続される。ユーザーにより機構制御部18に入力された指令に基づき、試料テーブル5は、被検体4と共にXシフト機構8により発生器1と検出器3の間をX線光軸に沿って移動され、撮影距離(焦点-回転軸間距離)FCDが変更される。検出器3は、Xシフト機構8によりX線光軸に沿って移動され、検出距離(焦点-検出器間距離)FDDが変更される。これにより撮影倍率FDD/FCDが変更される。
【0013】
機構制御部18は、マルチコーンによるX線撮影を行い、上下方向(Z方向)に連続した複数枚のCT画像を生成するために、回転・昇降機構6の昇降量を制御して、被検体4をZ方向(上方又は下方)に移動させる。機構制御部18は、1回の撮影が終わるごとに、所定量の昇降幅で被検体4をZ方向に移動させることを繰り返すことにより、マルチコーンによるX線撮影を可能とする。データ処理部19は、機構制御部18を制御してX線撮影を実行させるためのスキャン制御部22を有すると共に、検出器3からの透過画像データに基づいてCT画像を生成する再構成部23を備える。
【0014】
機構制御部18及びデータ処理部19は、CPU、メモリ、ハードディスク、キーボードやマウスなどの入力部21と、液晶ディスプレイなどの表示部20を備えたコンピュータの一部として構成される。表示部20には、入力部21の入力インターフェース、検出器3からの透過画像データに基づいて生成されたCT画像が表示される。入力部21としては、キーボード、スライドスイッチ、回転ボリュームスイッチ、タッチパネルなどが使用できるが、本実施形態では、液晶ディスプレイに表示された画像をマウスなどのポインティングデバイスによって操作する入力インターフェースを使用する。
【0015】
本実施形態では、試料テーブル5は、図2に示すように、比較的小型の被検体4を載置するのに適した小径で小面積の円板状部材から構成され、この試料テーブル5の外周に追加テーブルとして拡張テーブル50が着脱可能に装着されている。すなわち、試料テーブル5の外周縁には、テーブルの上縁が切り欠かれたリング状の段部5aが設けられ、この段部5aが拡張テーブル50の装着部になっている。図3に示すように、拡張テーブル50は、中央が開口したリング状の部材からなり、その開口部は試料テーブル5がはまり込む大きさになっている。拡張テーブル50の中央開口部の内周には、試料テーブル5の段部5aに係合する段部50aが設けられ、これらの段部5a,50aが嵌まり込むことによって試料テーブル5と拡張テーブル50の表面が同一面になっている。
【0016】
[1-2.作用]
上記のような構成を有する第1実形態において、小型の被検体4を透視する場合、図2のように試料テーブル5の上に被検体4を載置する。X線検査装置においては、できるだけ被検体4を発生器1に近づけた方がより分解能が高い画像を得ることができるが、本実施形態において試料テーブル5はその外径が小さいことから、限界値Aを小さくすることができ、被検体4と発生器1を近づけることができる。
【0017】
検出器3の1画素サイズをdとした場合、被検体上の分解能d’は以下の計算式で求めることができる。
d’=d×FCD/FDD
図2では、試料テーブル5の大きさは被検体4の大きさよりも若干大きい程度となっているので、FCDを小さくして拡大透視しようとした時に試料テーブル5の大きさはあまり障害とならない。図4に、大きな試料テーブル5に小さな被検体4を搭載した場合を示す。この場合、FCDを小さくして拡大透視しようとしても、限界値Aが大きいことから、試料テーブル5が発生器1と干渉してしまい、図2の時程、被検体4をX線管に近づけることができずに分解能が低い透視画像となってしまう。
【0018】
一方、図5に示すように、小さな試料テーブル5に、試料テーブル5よりも大きな被検体4を搭載すると、被検体4が試料テーブル5からはみ出してしまい、安定が悪いため最悪落下してしまう恐れがある。本実施形態では、これを防ぐために大きな被検体4の場合は、図3に示すように、小さな試料テーブル5にリング状の拡張テーブル50を搭載することにより、被検体4を試料テーブル5及び拡張テーブル50に安定的に搭載できる。
【0019】
[1-3.効果]
(1)本実施形態によれば、被検体4の大きさに応じて、試料テーブル5を単体で使用したり、拡張テーブル50を組合せて使用することで、小型の被検体4であっても発生器1と被検体4を接近させることが可能となり、分解能の高い透視画像を得ることができると共に、大型の被検体4を試料テーブル5上に安定して載置することができる。
【0020】
(2)リング状の拡張テーブル50を使用することで、小型の試料テーブル5に拡張テーブル50を嵌め込むだけの簡単な操作で大径の試料テーブル5を得ることができ、被検体4のサイズに合わせて大型と小型の試料テーブルを用意して、その都度交換するものに比較して、サイズ変更が容易である。
【0021】
(3)段部5a,50aを利用して、試料テーブル5と拡張テーブル50を嵌め込むようにしたので、試料テーブル5と拡張テーブル50の表面を同一面とすることができ、被検体4を安定して支持できる。
【0022】
[2.第2実施形態]
図6及び図7に示す第2実施形態は、リング状の拡張テーブル50を搭載する以外の別の構成として、大型の試料テーブル5に小型の追加テーブルを着脱可能に搭載したものである。これはCTスキャナ用の回転動作を行うために適している。小型の追加テーブルとしては、回転機構51aを備えたターンテーブル51が用いられ、ターンテーブル51は停止している試料テーブル5上で単独で回転する。
【0023】
第2実施形態では、通常は図6に示すように大型の試料テーブル5に大型の被検体4を搭載してスキャンを行う。小型の被検体4の場合には、図7のように大型の試料テーブル5の上に小型のターンテーブル51を発生器1に近い側に搭載して拡大スキャンができるようにする。この場合、大型の試料テーブル5は回転させずに、小型のターンテーブル51のみを回転させてCTのデータ収集を行う。
【0024】
このような構成を有する第2実施形態においても、被検体4の大きさに応じて、試料テーブル5を単体で使用したり、ターンテーブル51を組合せて使用することで、小型の被検体4であっても発生器1と被検体4を接近させることが可能となり、分解能の高い透視画像を得ることができると共に、大型の被検体4を試料テーブル5上に安定して載置することができる。特に、第2実施形態は、既存の大型の試料テーブル5に小型のターンテーブル51を組み合わせて採用することができることから、大型の被検体4の使用頻度が高いX線検査装置に適している。
【0025】
[3.他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。具体的には、次のような他の実施形態も包含する。
【0026】
(1)拡張テーブル50の搭載有無を検知するセンサを試料テーブル5やその近傍に設けておき、拡張テーブル50が搭載されていない場合は、機構制御部18によって、試料テーブル5が発生器1に近づけるあらかじめ設定した限界値Aまで動作可能とする。拡張テーブル50が搭載されている場合、あらかじめ設定した限界値Bまで動作可能とする。検出器3側との干渉を避けるために発生器1との干渉距離の場合と同様な制御を行うこともできる。これらの制御は、発生器1側と検出器3側の両方、あるいはいずれか一方でもよい。
【0027】
(2)リング状の拡張テーブル50として、リングの幅の異なるものを何種類か用意して、被検体4の大きさに合わせて適宜選択してもよい。また、試料テーブル5の外周に装着した拡張テーブル50の外周に、より大径の拡張テーブル50を装着してもよい。
【0028】
(3)試料テーブル5と拡張テーブル50が、回転時にずれが生じないように、それぞれの段部5aと50aに位置決めピンや凹凸を設けて、噛合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…発生器
2…X線ビーム
3…検出器
4…被検体
5…試料テーブル
6…回転・昇降機構
7…Yシフト機構
8…Xシフト機構
9,10…支持フレーム
13…回転軸
16…高電圧発生器
17…X線制御部
18…機構制御部
19…データ処理部
20…表示部
21…入力部
22…スキャン制御部
23…再構成部
50…拡張テーブル
51…ターンテーブル
51a…回転機構
5a,50a…段部
F…X線焦点

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7