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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040070
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/03 20100101AFI20240315BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240315BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G01S19/03
E02F9/26 B
E02F9/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144915
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】李 惠貞
(72)【発明者】
【氏名】泉 枝穂
(72)【発明者】
【氏名】小竹 伸一
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
5J062
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB07
2D003BB01
2D003DA04
2D003FA02
2D015HA03
5J062AA01
5J062AA05
5J062AA08
5J062BB01
5J062BB08
5J062CC07
5J062DD23
5J062DD24
5J062EE04
5J062HH05
(57)【要約】
【課題】測位に係る全体の通信量を抑制し、演算負荷を抑制することができる作業機械を提供すること。
【解決手段】測位衛星から送信される測位信号と基準局から送信される補正データとに基づいて、自機の位置を計測する測位装置と、測位装置と基準局との通信を制御するコントローラとを備えた作業機械において、走行中の場合、または、作業装置が予め定めた目標面に沿って動作するように作業装置をガイダンスするガイダンスシステムが無効状態となっている場合に、コントローラは、測位装置と基準局との通信速度を低減させるように制御する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位衛星から送信される測位信号と基準局から送信される補正データとに基づいて、自機の位置を計測する測位装置と、
前記測位装置と前記基準局との通信速度を制御するコントローラとを備えた作業機械において、
走行中の場合、または、作業装置が予め定めた目標面に沿って動作するように前記作業装置をガイダンスするマシンガイダンスシステムが無効状態となっている場合に、前記コントローラは、前記測位装置と前記基準局との通信速度を低減させるように制御することを特徴とすることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1記載の作業機械において、
動作状態を検出する車体状態検出センサを備え、
前記コントローラは、
前記車体状態検出センサの検出結果に基づいて、走行動作を検出した場合には、前記測位装置と前記基準局との通信速度を低減することを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2記載の作業機械において、
前記コントローラは、
前記車体状態検出センサから取得した車体状態情報を用いて走行速度を演算し、
前記走行速度が予め定めた基準速度よりも大きい場合には、前記測位装置と前記基準局との通信速度を低減し、
前記走行速度が前記基準速度以下の場合には、前記通信速度を維持することを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1記載の作業機械において、
運転席内に前記マシンガイダンスシステムの有効状態と無効状態とを切換えるガイダンススイッチを備え、
前記コントローラは、
前記マシンガイダンスシステムが前記ガイダンススイッチによって無効状態に切り換えられている場合には、前記測位装置と前記基準局との通信速度を低減することを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1記載の作業機械において、
動作状態を検出する車体状態検出センサと、
運転席内に前記マシンガイダンスシステムの有効状態と無効状態とを切換えるガイダンススイッチとを備え、
前記コントローラは、
前記車体状態検出センサの検出結果に基づいて、走行動作を検出し、かつ、前記マシンガイダンスシステムが前記ガイダンススイッチによって無効状態に切り換えられている場合にのみ、前記測位装置と前記基準局との通信速度を低減することを特徴とする作業機械。
【請求項6】
請求項1記載の作業機械において、
動作状態を検出する車体状態検出センサと、
運転席内に前記マシンガイダンスシステムの有効状態と無効状態とを切換えるガイダンススイッチを備え、
前記コントローラは、
前記マシンガイダンスシステムが前記ガイダンススイッチによって有効状態に切り換えられている場合には、前記車体状態検出センサから取得した車体状態情報に基づいて、予め定めた目標面と作業装置との距離を演算し、前記目標面と前記作業装置との距離に基づいて、前記測位装置と前記基準局との通信速度を低減することを特徴とする作業機械。
【請求項7】
請求項6に記載の作業機械において、
前記コントローラは、前記目標面と前記作業装置との距離が基準距離よりも大きい状態であった時間が基準時間よりも大きい場合には、前記測位装置と前記基準局との通信速度を低減することを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事等に使用される作業機械には、GNSS(Global Navigation Satellite System)や車体姿勢センサを用いて作業装置の先端位置を求め、施工3D図面と合わせて表示することにより作業を支援するマシンガイダンスやマシンコントロールを使用するものが増えてきている。このような作業機械による施工を行う場合には、GNSSによる車体位置を確実に精度よく測位できる必要がある。GNSS測位のうち精度を必要とするものには、RTK-GNSS測位が標準的に使用されている。RTK-GNSS測位では、既知点に設置したGNSS基準局より補正データを無線送信し、受信した移動局にて基準局からの相対位置を算出するとともに、既知点の座標とあわせることで移動局の3次元座標を精度良く求めることができる。そして、このような移動局を作業機械に搭載することにより作業機械の位置を得ることができる。なお、既知点にGNSS基準点を設置する代わりに、複数の電子基準点からのデータより、仮想的な基準点を生成して補正データを配信するVRS(Virtual Reference Station)サービスを使用しても同様に測量可能である。
【0003】
RTK-GNSS測位で用いられる補正データは格化されており、例えば、RTCM(Radio Technical Commission for Maritime Services)方式が一般に使用されている。この補正データには、基準局で受信された各GNSS衛星の観測結果が含まれており、衛星数が増加すると補正データのデータ量が大きくなる。GNSS衛星は当初はGPS衛星のみであったが、近年では衛星数の増加による補正データのデータ量増加に伴い、無線通信などに使われる通信機器の負荷が高くなってしまう。
【0004】
このような課題に対し、測位に使用する補正データのデータ送信量を低減し、また、送信する補正データの精度を向上させることを目的とする従来技術が知られている。例えば、特許文献1には、測位情報を送信する人工衛星から前記測位情報を受信して所定の情報を出力する複数の電子基準点のそれぞれから、前記所定の情報を電子基準点情報として収集する収集部と、前記収集部の収集した前記電子基準点情報を使用することにより、前記電子基準点の位置を測位する場合の測位精度に影響するとともに前記電子基準点のそれぞれに固有な誤差量を示す基準点固有誤差を前記複数の電子基準点のそれぞれについて計算する第1計算部と、所定の地域を示す地域データに前記地域の中の位置を示す複数の位置表示点を設定し、設定した前記複数の位置表示点のそれぞれに対して、前記位置表示点の示す位置を測位する場合の測位精度に影響するとともに前記位置表示点のそれぞれに固有な誤差量を示す表示点固有誤差データを前記第1計算部が前記複数の電子基準点のそれぞれについて計算した前記基準点固有誤差に基づいて計算し、前記複数の位置表示点のそれぞれに対して計算した複数の前記表示点固有誤差データを送信対象データとして出力する第2計算部と、前記第2計算部が出力した前記送信対象データをデータ伝送するデータ送信部とを備えたデータ送信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-093513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、電子基準点を用いることが前提となっているため、電子基準点を使えない場合や他の基準局を用いる場合などには測位精度の向上効果を期待できない。また、電子基準点からの情報を用いて補正データを得る際、国土すべての電子基準点の情報を取集し、その情報から地点を細分化した基準点情報を演算する必要がある。そのため、通信量及び記憶すべきデータ量が非常に多くなってしまう。また、演算する過程では測位したい地点から近い地域の補正データを有するため、収集された情報から必要な情報を取り出して演算する処理を繰り返し行うことが必要となり、処理に係る負荷も非常に大きなものとなってしまう。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、測位に係る全体の通信量を抑制し、演算負荷を抑制することができる作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、測位衛星から送信される測位信号と基準局から送信される補正データとに基づいて、自機の位置を計測する測位装置と、前記測位装置と前記基準局との通信速度を制御するコントローラとを備えた作業機械において、走行中の場合、または、作業装置が予め定めた目標面に沿って動作するように前記作業装置をガイダンスするマシンガイダンスシステムが無効状態となっている場合に、前記コントローラは、前記測位装置と前記基準局との通信速度を低減させるように制御するものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、測位に係る全体の通信量を抑制し、演算負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】作業機械の一例である油圧ショベルの外観を基準局とともに概略的に示す側面図である。
図2】車載演算装置および衛星測位システムの処理内容を示す機能ブロック図である。
図3】測位演算に係る処理の全体の流れを示すフローチャートである。
図4】第1の実施の形態における施工状態判定処理の内容を示すフローチャートである。
図5】第2の実施の形態における施工状態判定処理の内容を示すフローチャートである。
図6】第3の実施の形態における施工状態判定処理の内容を示すフローチャートである。
図7】第4の実施の形態における施工状態判定処理の内容を示すフローチャートである。
図8】フロント作業装置の相対角度の検出方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施の形態においては、作業機械の一例として油圧ショベルを示して説明するが、他の作業機械においても本発明を適用することが可能である。
【0012】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1図4を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る作業機械の一例である油圧ショベルの外観を基準局とともに概略的に示す側面図である。
【0014】
図1において、油圧ショベル1(作業機械)は、クロール式の下部走行体2と、下部走行体2の上部に旋回可能に取り付けられた上部旋回体3と、一端が上部旋回体3に取り付けられた多関節型のリンク機構よりなるフロント作業装置4(作業装置)とを備えている。
【0015】
フロント作業装置4は、複数のフロント部材、すなわち、一端が上部旋回体3に連結されたブーム12と、一端がブーム12の他端に連結されたアーム13と、一端がアーム13の他端に連結されたバケット14とを有しており、これら各フロント部材12,13,14は、それぞれ上下方向に回転運動するように構成されている。上部旋回体3は図示しない旋回モータによって旋回中心軸Oを中心に旋回駆動される。
【0016】
上部旋回体3には複数の測位衛星(GNSS衛星)から衛星信号を受信するための少なくとも1つ以上のGNSSアンテナ8と、基準局5が複数の測位衛星から受信した衛星信号に基づいて生成したGNSS補正情報を受信するための通信機能を含んだGNSS受信機7と、GNSSアンテナ8で受信された衛星信号と受信されたGNSS補正情報(補正データ)とに基づいてGNSSアンテナの地理座標系(グローバル座標系)における位置座標と、上部旋回体3の方位角とを演算してフロント作業装置4を構成する各フロント部材12,13,14の位置座標と角度を演算する車載演算装置6とが備えられている。なお、本実施の形態では通信機能を含んだGNSS受信機を搭載しているが、通信機能を持つ別の通信機器を用いる構成を採用しても良い。
【0017】
基準局5は、油圧ショベル1のGNSS受信機7に対してGNSS補正情報(補正データ)を無線送信するものである。地理座標系における座標位置が既知である基準局5には、複数の測位衛星(GNSS衛星)から衛星信号を受信するためのGNSSアンテナ9と、GNSSアンテナ9で受信された衛星信号に基づいてGNSS受信機7に無線送信するためのGNSS補正情報を生成し、生成されたGNSS補正情報を送信するGNSS受信機10とが備えられている。
【0018】
油圧ショベル1には、上部旋回体3とフロント作業装置4の各フロント部材12,13,14の姿勢を検出するための車体状態検出センサとして姿勢センサ11,15,16,17が備えられている。なお、車体状態検出センサは、姿勢センサ11,15,16,17以外にも車体全体に亘る状態を検出する各種センサを含むものである。本実施の形態では各姿勢センサ11,15,16,17に、角度(または角速度)と加速度を検出可能な慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を用いる場合を例示している。これらの姿勢センサ11,15,16,17のうち、上部旋回体3には上部旋回体姿勢センサ11が、ブーム12にはブーム姿勢センサ15が、アーム13にはアーム姿勢センサ16が、バケット14にはバケット姿勢センサ17が取り付けられており、上部旋回体3の傾斜角度、旋回速度及び旋回角度と、フロント作業装置4の姿勢とを計測する。姿勢センサ11,15,16,17の出力は、接続線を介して車載演算装置6(コントローラ)に入力されている。
【0019】
なお、フロント作業装置4の姿勢センサとしては、各フロント部材12,13,14の相対的な回動角度を検出する角度センサを用いても良い。具体的には、図8に示すように、ブーム12の基端側の回動中心(ブームピン)における車体X軸と基準線71(ブームピンとブーム12の先端側におけるアーム13の回動中心(アームピン)とを結ぶ基準線)との成す角(ブーム角)、基準線71と基準線72(アームピンとアーム13の先端側におけるバケット14の回動中心(バケットピン)とを結ぶ基準線)の成す角(アーム角)、及び、基準線72と基準線73(バケットピンとバケット14の先端(爪先)とを結ぶ基準線)の成す角(バケット角)をそれぞれ検出する角度センサを用いることが考えられる。
【0020】
GNSS受信機7は、基準局5から受信したGNSS補正情報の基となった複数の測位衛星の衛星信号を利用してGNSSアンテナ8の位置を計測している。すなわち、油圧ショベル1側のGNSS受信機7が位置に利用する測位衛星と、基準局5側にGNSS受信機10が補正情報の生成に利用する測位衛星は一致する。GNSS受信機7は、車体外の基準局5から受信したGNSS補正情報を無線受信する。GNSS受信機7は、RTKと呼ばれる手法を利用して、無線受信したGNSS補正情報とGNSSアンテナ8が受信した衛星信号とに基づいて、GNSS受信機7から基準局5のGNSSアンテナ9までの方向と距離を算出する。GNSS補正情報には地理座標系におけるGNSSアンテナ9の位置情報(座標位置)が含まれているため、GNSS受信機7にてGNSSアンテナ8の位置(座標位置)が高精度に計測できる。
【0021】
上部旋回体3の上部前方には、オペレータが着座して油圧ショベル1の操作を行う操縦席が設置された運転室が設けられておいる。運転室内には、マシンガイダンスシステムの有効状態と無効状態とを切り換えるガイダンスON/OFFスイッチ18(ガイダンススイッチ)が設けられている。マシンガイダンスシステムは、フロント作業装置4が予め定めた目標面に沿って動作するようにガイダンスすることでオペレータを補助するマシンガイダンスを実行するシステムである。
【0022】
図2は、車載演算装置および衛星測位システムの処理内容を示す機能ブロック図である。
【0023】
図2において、車載演算装置(コントローラ)は、施工判定部53と、通信速度演算部54とを有している。
【0024】
車載演算装置6は、車体状態を検出する各種センサ(図2においては、これらをまとめて車体状態検出センサ52として図示する)と、衛星測位システム60から出力される位置情報とを基に施工状態を判定し、最も好適な通信速度を演算し、演算した結果を示す情報を通信速度調整情報として衛星測位システム60に送信するものである。
【0025】
衛星測位システム60は、油圧ショベル1に搭載されたGNSS受信機7やGNSSアンテナ8等からなる移動局58と、GNSS受信機10及びGNSSアンテナ9からなる基準局5とから構成されている。
【0026】
施工判定部53は、車体状態検出センサ52やガイダンスON/OFFスイッチ18などから入力される情報に基づいて、油圧ショベル1が施工状態(施工作業中)であるか否かを判定し、施工状態であると判定した場合には施工フラグ「0」を通信速度演算部54に出力し、施工状態では無いと判定した場合には施工フラグ「1」を通信速度演算部54に出力する。なお、施工判定部53では、施工状態であるか否かを判定するにあたり必要に応じて、GNSS受信機7の演算結果から得られた地理座標系におけるGNSSアンテナ8の座標位置と、上部旋回体3の方位角と、車体状態検出センサの一種の姿勢センサ11,15,16,17等から入力される情報とに基づいて、掘削作業などで用いる目標面に関する情報である施工目標面データが規定されている現場座標系(平面直交座標系)における油圧ショベル1の座標位置、同座標系における各フロント部材12,13,14の座標位置(現場座標系における各フロント部材12,13,14の姿勢情報)、油圧ショベル1の移動速度などを演算する。
【0027】
通信速度演算部54は、施工判定部53で車体姿勢の方位角と各フロント部材12,13,14の座標位置(世界座標系における各フロント部材の姿勢情報)とから演算された施工の状態に関する情報を後述する施工フラグとして施工判定部53から取得し、これらの取得した情報(施工フラグ)に基づいて、GNSS受信機7がGNSS測位するのに好適な通信速度を選択する。通信速度演算部54で選択された通信速度は、基準局5、移動局58の各通信速度調整部により予め設定されている通信速度を選択された通信速度に変更させるための情報である通信速度調整情報として基準局5及び移動局58に送信される。
【0028】
衛星測位システム60は、基準局5から生成・送信された補正情報を移動局58に送信し、受信した補正情報を基に移動局58で移動局のGNSSアンテナ8の位置情報を演算し車載演算装置6に出力する。
【0029】
通信速度調整部55aは各移動局58に、通信速度調整部55bは基準局5にそれぞれ設けられている。通信速度調整部55a,55bは、車載演算装置6から送信された通信速度調整情報に基づいて、各移動局58と基準局5の通信速度調整を行うための通信速度指令を演算し、通信部56a,56bに出力する。
【0030】
通信部56aは各移動局58に、通信部56bは基準局5にそれぞれ設けられている。通信部56a,65bは、各移動局58と基準局5との間で互いに補正情報の送受信を担当する。移動局58に設けられた通信部56aは、通信速度調整部55aから受信した通信速度指令に基づいて基準局5の通信部56bとの通信速度を設定し、設定した通信速度で基準局5補正情報を受信し、受信した補正情報を衛星測位・演算部57aに送信する。基準局5に設けられた通信部56bは、通信速度調整部55bから受信した通信速度指令に基づいて移動局58の通信部56aとの通信速度を設定し、衛星測位・演算部57bから得た補正情報を設定した通信速度で移動局58に送信する。
【0031】
衛星測位・演算部57aは各移動局58に、衛星測位・演算部57bは基準局5にそれぞれ設けられている。、衛星測位・演算部57a,57bは、それぞれGNSSアンテナ8,9の位置を演算する。移動局58に設けられた衛星測位・演算部57aは、通信部56aから得た補正情報を基にGNSSアンテナ8の位置座標を演算し、位置情報を算出する。基準局5に設けられた衛星測位・演算部57bは、GNSSアンテナ9を通して複数の測位衛星(GNSS衛星)から得た衛星信号を基に補正情報を生成し、通信部56bに送信する。基準局5から生成される補正情報のフォーマットや内容はユーザが自由に選択できる。また、通信速度調整部55bを介して衛星測位・演算部57bが通信速度指令を受けた時、衛星測位・演算部57bでは予め設定された所定の限られた補正情報を生成し、送信する。
【0032】
図3は、測位演算に係る処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0033】
本実施の形態では、図3に示した処理を所定の制御周期で繰り返して実行する。
【0034】
図3において、処理が開始されると、車載演算装置6の施工判定部53は、油圧ショベル1に搭載される各種の車体状態検出センサ52から検出された検出値を取得し、車体状態を演算し(ステップS100)、演算した情報を基に施工判定部53は施工の状態に関する情報を演算し、演算結果を施工フラグとして車載演算装置6の通信速度演算部54に送信する(ステップS105)。
【0035】
続いて、車載演算装置6の通信速度演算部54では、ステップS100で判定された施工の状態を示す情報である施工フラグに基づいて通信速度調整情報を演算し(ステップS110)、衛星測位システム60の各通信速度調整部55a,55bに送信する(ステップS115)。
【0036】
通信速度調整情報を受けた各通信速度調整部55a,55bは、通信速度演算部54から受信した通信速度調整情報に基づいて通信速度を設定し、各通信部56a,56bに設定した通信速度での通信を指示する通信速度指令を送信する(ステップS120)。
【0037】
各通信部56a,56bでは、通信速度調整部55a,55bから受け取った通信速度指令の通りに通信速度を変更する(ステップS125)。
【0038】
基準局5の衛星測位・演算部57bでは、通信部56bと同じく通信速度調整部55bから通信速度指令を受信する(ステップS130)。
【0039】
通信速度指令を受信した基準局5の衛星測位・演算部57bは、通信速度指令で指示される通信速度によって生成する補正情報を調整する(ステップS135)。
【0040】
調整が完了したら、基準局5の衛星測位・演算部57bは、補正情報を生成し、通信部56bに送信する(ステップS140)。
【0041】
基準局5の通信部56bは、基準局5の衛星測位・演算部57bから受け取った補正情報を移動局58の通信部56aに送信する(ステップS145)。
【0042】
補正情報を受け取った移動局58の通信部56aは、受け取った補正情報を衛星測位・演算部57aに送る(ステップS150)。
【0043】
移動局58の衛星測位・演算部57aは、受信した補正情報を基に演算した位置情報を車載演算装置6の施工判定部53に送信し(ステップS155)、処理を終了する。
【0044】
図4は、施工状態判定処理の内容を示すフローチャートである。
【0045】
本実施の形態における施工状態判定処理は、走行速度に応じて施工状態を判定するものである。
【0046】
図4において、通信速度演算部54では予め通信速度W0とする通信速度調整情報の信号を各衛星測位システム60の通信速度調整部55a,55bに転送する(ステップS200)。
【0047】
処理が開始されると、施工判定部53は、GNSS受信機7が演算したGNSSアンテナ8の座標位置を取得する(ステップS210)。
【0048】
また、施工判定部53は、上部旋回体姿勢センサ11、ブーム姿勢センサ15、アーム姿勢センサ16及びバケット姿勢センサ17からそれらの検出値を取得する(ステップS220)。
【0049】
施工判定部53は、車体位置情報に基づいて油圧ショベル1の走行速度を演算する(ステップS230)。例えば、車体の位置がX1からX2に変化した時、それぞれの位置座標と移動した時間とによって走行速度を算出することができる。または、GNSS受信機7よりGNSSアンテナ8の座標位置を取得する際に、所定のフォーマット(例えば、NMEA(National Marine Electronics Association)フォーマット)で取得し、当該フォーマットで計算された走行速度を取得することも可能である。他にも、パイロット圧若しくは、走行レバー操作量等から走行速度を演算して取得しても良い。
【0050】
続いて、施工判定部53は、走行速度V1が予め定めた基準速度Vaよりも大きいか否かを判定する(ステップS240)。所定の基準速度Vaよりも大きい速度で作業機械が走行する場合は場所移動の場合が多く、また、基準速度Va以下の速度で走行する場合は施工位置の調整等である場合が多いことから、作業機械(油圧ショベル1)が基準速度Vaよりも大きい速度で走行している場合には、施工状態(施工作業中)ではないと判断することができる。
【0051】
ステップS240での判定結果がNOの場合、すなわち、走行速度V1が基準速度Va以下であると判定された場合には、施工作業中であると判断し、通信速度演算部54に施工状態であることを示す施工フラグ「0」を送信し(ステップS251)、通信速度演算部54では、施工フラグ「1」に応じて、最も好適な通信速度W0に設定する通信速度調整情報の信号を衛星測位システム60に送信し(ステップS252)、処理を終了する。このように、施工作業中には、通信速度(通信量)を好適に維持することで、施工精度を確保しつつ作業を行うことができる。
【0052】
一方、ステップS240での判定結果がYESの場合、すなわち、走行速度V1が基準速度Vaよりも大きいと判定された場合には、施工作業中ではないと判断し、通信速度演算部54に施工状態ではないことを示す施工フラグ「1」(初期値は施工状態であることを示す施工フラグ「0」であるとする)に変更して送信する(ステップS250)。
【0053】
送られた施工フラグ信号(施工フラグ「1」)を受けた通信速度演算部54では、低減された通信速度W1(すなわち、W1<W0)に設定する通信速度調整情報の信号を衛星測位システム60に送信し(ステップS260)、処理を終了する。このように、施工作業を行っていない場合には、通信速度(通信量)を低減することで、測位に係る全体の通信量を抑制することができる。
【0054】
以上のように構成した本実施の形態においては、測位する際に車載演算装置6で車体の走行速度を用いて施工状態を判断し、判定された施工情報を基に最も好適な通信速度を演算し、油圧ショベルに搭載された移動局58で通信速度を調整するように構成したので、測位に係る全体の通信量を抑制し、演算負荷を抑制することができる。
【0055】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図5を参照しつつ説明する。
【0056】
本実施の形態は、フロント作業装置4が予め定めた目標面に沿って動作するようにガイダンスすることでオペレータを補助するマシンガイダンスシステムが有効状態であるか無効状態であるかに基づいて施工状態(施工作業中)であるか否かを判定するものである。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同様の機能や構成については、図面等において同じ符号を付し、説明を省略することがある。
【0057】
図5は、本実施の形態における施工状態判定処理の内容を示すフローチャートである。
【0058】
図5において、通信速度演算部54では、予め通信速度W0を設定する通信速度調整情報の信号を各衛星測位システム60の通信速度調整部55a,55bに転送する(ステップS300)。
【0059】
まず、施工判定部53は、上部旋回体3の操縦席に配置されているガイダンスON/OFFスイッチ18からガイダンスON/OFF信号を取得し(ステップS310)、マシンガイダンスシステムがOFFになっているか否か、すなわち、無効状態になっているか否かを判定する(ステップS320)。
【0060】
ステップS320での判定結果がNOの場合、すなわち、マシンガイダンスシステムがON(有効状態)であると判定した場合には、施工状態(施工作業中)であると判定し、通信速度演算部54に施工状態(施工作業中)であることを示す施工フラグ「0」を送信する(ステップS321)。
【0061】
送られた施工フラグ信号(施工フラグ「0」)を受けた通信速度演算部54では、最も好適な通信速度W0を設定する通信速度調整情報の信号を衛星測位システム60に送信し(ステップS322)、処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS320での判定結果がYESの場合、すなわち、マシンガイダンスシステムがOFF(無効状態)であると判定した場合には、施工状態(施工作業中)ではないと判定し、通信速度演算部54に施工状態(施工作業中)ではないことを示す施工フラグ「1」(初期値は施工状態であることを示す施工フラグ「0」であるとする)を送信する(ステップS330)。
【0063】
送られた施工フラグ信号を受けた通信速度演算部54では、低減された通信速度W1(すなわち、W1<W0)を設定する通信速度調整情報の信号を衛星測位システム60に送信し(ステップS340)、処理を終了する。
【0064】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0065】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図6を参照しつつ説明する。
【0067】
本実施の形態は、作業機械の走行速度と、マシンガイダンスシステムが有効状態であるか無効状態であるかとに基づいて施工状態(施工作業中)であるか否かを判定するものである。なお、本実施の形態において、第1及び第2の実施の形態と同様の機能や構成については、図面等において同じ符号を付し、説明を省略することがある。
【0068】
図6は、本実施の形態における施工状態判定処理の内容を示すフローチャートである。
【0069】
図6において、通信速度演算部54では予め通信速度W0を設定する通信速度W0を設定する通信速度調整情報の信号を各衛星測位システム60の通信速度調整部55a,55bに転送する(ステップS400)。
【0070】
処理が開始されると、施工判定部53は、GNSS受信機7が演算したGNSSアンテナ8の座標位置を取得する(ステップS410)。
【0071】
また、施工判定部53は、上部旋回体3の操縦席に設けられている車体状態検出センサ52の一種であるガイダンスON/OFFスイッチ18からガイダンスON/OFF信号を取得する(ステップS420)。
【0072】
また、施工判定部53は、取得した情報に基づいて油圧ショベル1の走行速度V2を演算する(ステップS430)。なお、油圧ショベル1の走行速度V2の算出方法は第1の実施の形態と同様である。
【0073】
続いて、施工判定部53は、演算された走行速度V2が予め定めた基準速度Vaよりも大きいか否かを判定するとともに(ステップS440)、マシンガイダンスシステムがOFF(無効状態)であるか否かを判定する(ステップS450)。作業機械(油圧ショベル1)が基準速度Vaよりも大きい速度で移動する場合は、車体位置移動のために動いているか、或いは、繊細な作業を伴う施工作業ではないと判断することができ、さらに、マシンガイダンスシステムも無効状態であって使用していない(OFFである)場合には、施工作業中ではないと判断することができる。
【0074】
ステップS440での判定結果がNOである場合には、続いて、マシンガイダンスシステムがOFF(無効状態)であるか否かを判定し(ステップS441)、判定結果がYESであるかNOであるかに関わらず(すなわち、マシンガイダンスシステムがOFF(無効状態)であるか否かに関わらず)、施工状態(施工作業中)であると判定し、通信速度演算部54に施工状態(施工作業中)であることを示す施工フラグ「0」を送信する(ステップS442,S443)。演算された走行速度V2が基準速度Va以下であれば、ガイダンスON/OFF情報がONでもOFFでも、施工作業中と判断することができるためである。具体的には、ステップS441での判定結果がNOの場合には、マシンガイダンスシステムは利用してはいないが、作業機械の操縦者の能力で施工していることが想定でき、施工作業中と判定することができる。また、ステップS441での判定結果がYESの場合には、走行動作も行わず、かつ、マシンガイダンスシステムもON(有効状態)になっているため、移動無しの状態でマシンガイダンスシステムを使って施工していることが想定でき、施工作業中であると判定することができる。
【0075】
送られた施工フラグ信号(施工フラグ「0」)を受けた通信速度演算部54では、最も好適な通信速度W0を設定する通信速度調整情報の信号を衛星測位システム60に送信し(ステップS444)、処理を終了する。
【0076】
一方、ステップS440,S450の判定結果が両方ともYESである場合、すなわち、走行速度V2が基準速度Vaよりも大きく、かつ、マシンガイダンスシステムがOFF(無効状態)であり、施工作業中ではないと判定された場合には、通信速度演算部54に施工状態ではないことを示す施工フラグ「1」(初期値は施工状態であることを示す施工フラグ「0」であるとする)に変更して送信する(ステップS460)。
【0077】
送られた施工フラグ信号(施工フラグ「1」)を受けた通信速度演算部54では、低減された通信速度W1(すなわち、W1<W0)を設定する通信速度調整情報の信号を衛星測位システム60に送信し(ステップS370)、処理を終了する。
【0078】
また、ステップS440での判定結果がYESであり、かつ、ステップS450での判定結果がNOである場合には、施工状態(施工作業中)であると判定し、通信速度演算部54に施工状態(施工作業中)であることを示す施工フラグ「0」を送信する(ステップS451)。この場合には、ステップS460の場合と異なり、オペレータが移動動作中にマシンガイダンスシステムを利用しながら、施工作業を行っていることが想定でき、施工動作中であると判断することができる。
【0079】
送られた施工フラグ信号(施工フラグ0)を受けた通信速度演算部54では、最も好適な通信速度W0を設定・維持する通信速度調整情報の信号を衛星測位システム60に送信し(ステップS444)、処理を終了する。
【0080】
その他の構成は第1及び第2の実施の形態と同様である。
【0081】
以上のように構成した本実施の形態においても第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図7を参照しつつ説明する。
【0083】
本実施の形態は、マシンガイダンスシステムにおけるフロント作業装置4と施工目標面との距離及び経過時間に基づいて施工状態(施工作業中)であるか否かを判定するものである。なお、本実施の形態において、第1~第3の実施の形態と同様の機能や構成については、図面等において同じ符号を付し、説明を省略することがある。
【0084】
図7は、本実施の形態における施工状態判定処理の内容を示すフローチャートである。
【0085】
図7において、通信速度演算部54では予め通信速度W0を設定する通信速度W0を設定する通信速度調整情報の信号を各衛星測位システム60の通信速度調整部55a,55bに転送する(ステップS500)。
【0086】
処理が開始されると、施工判定部53は、GNSS受信機7が演算したGNSSアンテナ8の座標位置を取得する(ステップS510)。
【0087】
また、施工判定部53は、上部旋回体姿勢センサ11、ブーム姿勢センサ15、アーム姿勢センサ16、及び、バケット姿勢センサ17からそれらの検出値を取得する(ステップS520)。
【0088】
さらに、施工判定部53は、車載演算装置6の図示しないメモリに予め記憶された油圧ショベル1の車体の寸法情報を取得する(ステップS530)。寸法情報としては、例えば、上部旋回体3の幅や長さ、上部旋回体3の旋回中心位置、上部旋回体3に対するフロント作業装置4の取り付け位置、ブーム12、アーム13、バケット14の長さなどがある。
【0089】
続いて、施工判定部53は、車体の寸法情報に基づいて、基準面を設定する(ステップS540)。なお、基準面の設定方法には種々のものが考えられるが、例えば、車体の寸法情報と車体状態検出センサ52の検出値とからフロント作業装置4の姿勢を演算し、車載演算装置6の図示しないメモリに予め記憶された施工目標面データに含まれる目標面のうち、バケット14の爪先位置に対応する(例えば、爪先位置の鉛直下方に位置する)目標面を選択して基準面として設定することが考えられる。
【0090】
続いて、設定された基準面と現場座標系におけるフロント作業装置4の先端に設けられた作業具の基準点(本実施の形態では、バケット14の爪先位置とする)との相対距離を演算する(ステップS550)。
【0091】
ここで、基準面と爪先位置との距離X1が予め定めた基準距離Xaよりも大きいか否かを判定するとともに(ステップS560)、基準面と爪先位置との距離X1が基準距離Xaよりも大きい状態であった時間T1が予め定めた基準時間Taよりも大きいか否を判定する(ステップS570)。
【0092】
ステップS560,S570での判定結果の少なくとも一方がNOである場合には、施工判定部53は、施工作業中ではあると判定し、通信速度演算部54に施工状態であることを示す施工フラグ「0」を送信する(ステップS561)。
【0093】
施工判定部53から送られた施工フラグ信号(施工フラグ「0」)を受けた通信速度演算部54では、最も好適な通信速度W0を設定する通信速度調整情報の信号を衛星測位システム60に送信し(ステップS562)、処理を終了する。
【0094】
一方、ステップS560,S570での両方の判定結果がYESの場合には、施工判定部53は、施工作業中ではないと判定し、通信速度演算部54に施工状態ではないことを示す施工フラグ「1」(初期値は施工状態であることを示す施工フラグ「0」であるとする)に変更して送信する(ステップS580)。
【0095】
施工判定部53から送られた施工フラグ信号(施工フラグ「1」)を受けた通信速度演算部54では、低減された通信速度W1(すなわち、W1<W0)を設定する通信速度調整情報の信号を衛星測位システム60に送信し(ステップS590)、処理を終了する。
【0096】
その他の構成は第1~第3の実施の形態と同様である。
【0097】
以上のように構成した本実施の形態においても第1~第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
また、本実施の形態においては、基準面(例えば、目標面)とフロント作業装置4との距離が離れた状態が長時間維持されている場合は、目標面付近での掘削作業のように施工精度が必要な作業を行っている状態ではない(例えば、粗掘削状態である)と判断し、施工精度の悪化を許容できる範囲で通信速度を落とすことにより、通信量を抑制することができる。一方で、基準面(例えば、目標面)とフロント作業装置4との距離が離れた状態が近い状態がある場合には、目標面付近での掘削作業のように施工精度が必要な作業を行っている状態であると判断し、通信速度は制限することなく維持することにより、施工精度を確保することができる。すなわち、本実施の形態においては、施工精度が必要な施工作業中であるか否かに応じて最も好適な通信速度を演算することで通信速度を調整するように構成したので、測位に係る全体の通信量を抑制し、演算負荷を抑制することができる。
【0099】
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…油圧ショベル、2…下部走行体、3…上部旋回体、4…フロント作業装置、5…基準局、6…車載演算装置、7…GNSS受信機、8…GNSSアンテナ、9…GNSSアンテナ、10…GNSS受信機、11…上部旋回体姿勢センサ、12…ブーム、13…アーム、14…バケット、15…ブーム姿勢センサ、16…アーム姿勢センサ、17…バケット姿勢センサ、18…ガイダンスON/OFFスイッチ、52…車体状態検出センサ、53…施工判定部、54…通信速度演算部、55a,55b…通信速度調整部、56a,56b…通信部、57a,57b…衛星測位・演算部、58…移動局、60…衛星測位システム、71~73…基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8