(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004008
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ヒートポンプ室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/30 20110101AFI20240109BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20240109BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
F24F1/30
F24F5/00 101Z
F24F5/00 L
F25B1/00 381H
F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103423
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 長
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 慶介
(72)【発明者】
【氏名】田中 結衣
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BC01
3L054BF20
(57)【要約】
【課題】冷房端末が接続された冷房サイクル回路の第二膨張弁から発生する結露水が第一膨張弁に被水するのを防止する。
【解決手段】筐体の内部には冷媒を圧縮させる圧縮機5と、冷媒と外気との熱交換を行う空気熱交換器10と、暖房運転を行う暖房端末と接続し、第一膨張弁8を有した暖房サイクル回路と、冷房運転を行う冷房端末と接続し、第二膨張弁15を有した冷房サイクル回路とを備え、筐体内は、仕切り板59によって送風機室57と機械室58とに分けられ、機械室58内には、圧縮機5と第一膨張弁8と第二膨張弁15とを備えたヒートポンプ室外機において、第二膨張弁1の位置は、第一膨張弁8の位置よりも下方に配置したことで、機械部品に結露水が付着することによる故障や不具合を防止することができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部には冷媒を圧縮させる圧縮機と、
冷媒と外気との熱交換を行う空気熱交換器と、
暖房運転を行う暖房端末と接続し、第一膨張弁を有した暖房サイクル回路と、
冷房運転を行う冷房端末と接続し、第二膨張弁を有した冷房サイクル回路とを備え、
前記筐体内は、仕切り板によって送風機室と機械室とに分けられ、
前記機械室内には、前記圧縮機と前記第一膨張弁と前記第二膨張弁とを備えたヒートポンプ室外機において、
前記第二膨張弁の位置は、前記第一膨張弁の位置よりも下方に配置したことを特徴とするヒートポンプ室外機。
【請求項2】
前記第二膨張弁の位置は、前記圧縮機に設けられた圧縮機用の給電ターミナルよりも下方に配置したことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ室外機。
【請求項3】
前記暖房サイクル回路と前記冷房サイクル回路は、前記圧縮機と前記空気熱交換器を共有するように回路を構成したことを特徴とする請求項2記載のヒートポンプ室外機。
【請求項4】
前記暖房サイクル回路は、水を冷媒とした温水回路に設けられた水冷媒熱交換器を介して前記暖房端末と接続され、
前記冷房サイクル回路は、前記冷房端末内に設けられた室内空気と熱交換する室内熱交換器と接続されていることを特徴とする請求項2または3記載のヒートポンプ室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、膨張弁を複数有するヒートポンプ室外機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の室外機には、特許文献1記載のように、圧縮機、膨張弁、蒸発器、凝縮器からなる冷凍サイクル回路を備えており、少なくとも圧縮機と膨張弁は、仕切り板によって分けられた送風機室と機械室とのうち、機械室に設けられていた。
【0003】
また、特許文献2記載のように、床暖房端末と空調端末の二つのヒートポンプ回路を有している場合は、それぞれのヒートポンプ回路に膨張弁を備え、2つの膨張弁は機械室に設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-135424号公報
【特許文献2】特開2020-112340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来のものにおいては、機械室内に膨張弁を2つ配置する場合、並列に配置すると、室外機の幅が増大してしまうことから上下に配置することで省スペース化することが考えられる。
【0006】
しかし、冷房端末で冷房運転を行う場合、冷凍サイクル回路内の冷媒を膨張弁によって低温の冷媒にするため、膨張弁及び膨張弁の吐出側の冷媒配管の表面が結露してしまい、膨張弁よりも下方にある機械部品に結露水が滴下してしまうと、錆や漏電による不具合又は故障してしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、筐体の内部には冷媒を圧縮させる圧縮機と、冷媒と外気との熱交換を行う空気熱交換器と、暖房運転を行う暖房端末と接続し、第一膨張弁を有した暖房サイクル回路と、冷房運転を行う冷房端末と接続し、第二膨張弁を有した冷房サイクル回路とを備え、前記筐体内は、仕切り板によって送風機室と機械室とに分けられ、前記機械室内には、前記圧縮機と前記第一膨張弁と前記第二膨張弁とを備えたヒートポンプ室外機において、前記第二膨張弁の位置は、前記第一膨張弁の位置よりも下方に配置した
【0008】
また、請求項2では、前記第二膨張弁の位置は、前記圧縮機に設けられた圧縮機用の給電ターミナルよりも下方に配置した。
【0009】
また、請求項3では、前記暖房サイクル回路と前記冷房サイクル回路は、前記圧縮機と前記空気熱交換器を共有するように回路を構成した。
【0010】
また、請求項4では、前記暖房サイクル回路は、水を冷媒とした温水回路に設けられた水冷媒熱交換器を介して前記暖房端末と接続され、前記冷房サイクル回路は、前記冷房端末内に設けられた室内空気と熱交換する室内熱交換器と接続されている
【発明の効果】
【0011】
この発明の請求項1によれば、冷房サイクル回路の第二膨張弁の位置は、暖房サイクル回路の第一膨張弁よりも下方に配置したことで、冷房サイクル回路の第二膨張弁から発生する結露水が第一膨張弁に滴下してしまうのを防止することができ、故障や不具合の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態の空調システム全体の回路構成図
【
図2】本発明の一実施形態の空調システム全体の概略構成図
【
図3】床暖房ユニットを操作するための床暖房リモコンの外観構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を
図1~
図6に基づいて説明する。
【0014】
本実施形態のヒートポンプ室外機を備えた空調システム1全体の回路構成を
図1に示す。
図1に示すように、空調システム1は、空調システム1の熱源である室外機4と、室内機17(少なくとも冷風冷房運転が可能な冷房端末)と、熱交換端末27(冷風冷房運転が不可能な暖房端末)と、を有している。本実施形態では、熱交換端末27は、室内機17が設けられた部屋と同一の部屋の床に敷設されており、室内機17と熱交換端末27は同じ部屋の室内(空調対象空間)に併設されている。
【0015】
<温水回路>
室外機4は、冷媒を流通させる冷媒通路としての冷媒側の流路7bと水通路としての水側の流路7aとを有し、高温高圧の冷媒と熱交換端末27への湯水とを熱交換する凝縮器として機能する水冷媒熱交換器7と、回転数可変の循環ポンプ34と、を備えている。すなわち、水冷媒熱交換器7の水側の流路7aと熱交換端末27とが湯水配管としての往き管28(往き管路に相当)及び戻り管29(戻り管路に相当)によって環状に接続され、湯水循環回路としての温水回路33が形成されている。
【0016】
水冷媒熱交換器7から熱交換端末27に向かって延びる往き管28の途中には、1つの往きヘッダ30が設けられている。往き管28のうち往きヘッダ30より上流側部分は、1つの共通往き管28aとして構成され、水冷媒熱交換器7にて加熱された温水(不凍液等を含む水以外の循環液であってもよい。以下同様)が供給される。そして、往き管28のうち往きヘッダ30より下流側部分は複数(図示の例では4本)の個別往き管28bに分岐している。分岐した個別往き管28bには、それぞれ開閉弁である熱動弁31が付設されている。
【0017】
往き管28と同様に、熱交換端末27から水冷媒熱交換器7に向かって延びる戻り管29の途中には、1つの戻りヘッダ32が設けられており、戻り管29のうち戻りヘッダ32より上流側部分は、複数(ここでは4本)の個別戻り管29bに分岐している。そして、戻り管29のうち戻りヘッダ32より下流側部分は、1つの共通戻り管29aとして構成され、個別戻り管29bを介して導入された温水が水冷媒熱交換器7へと戻される。
【0018】
なお、本実施形態では、説明を簡略化するため、1つの熱交換端末27が接続された例を示しているが、上記のように分岐した4本の個別往き管28bそれぞれに熱交換端末27を接続(すなわち4台接続)としてもよい。
【0019】
循環ポンプ34は、共通戻り管29aの途中に設けられ、水側の流路7aを介し戻り管29からの湯水を往き管28へ流通させつつ、熱交換端末27の湯水を循環させる。共通戻り管29aのうち循環ポンプ34の上流側には、温水を貯留し温水回路33の圧力を調整するシスターン35が備えられている。戻り管29の個別戻り管29bのそれぞれには、水冷媒熱交換器7の水側の流路7aに流入する湯水の戻り温度としての入水温度T1を検出する、123(戻り温度検出手段に相当)が設けられている。
【0020】
<冷媒循環回路>
一方、室外機4から室内機17にかけて、水冷媒熱交換器7における熱交換(詳細は後述)によって熱交換端末27内の湯水を加熱可能な冷媒循環回路130が設けられている。冷媒循環回路130は、主ヒートポンプ回路部130Aと、暖房側ヒートポンプである床暖側ヒートポンプ回路部130Bと、冷房側ヒートポンプである空調側ヒートポンプ回路部130Cと、を含んでいる。
【0021】
<共有するヒートポンプ回路部>
ヒートポンプ回路部130Aは、冷媒の流路となる冷媒配管11を備えており、冷媒を圧縮する圧縮機5と、四方弁6と、冷媒と外気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能する空気熱交換器10とを有する。それらは、冷媒配管11によって接続されている。なお、空気熱交換器10は、例えばフィンチューブ式の熱交換器であり、当該空気熱交換器10に外気を通じるための室外ファン9が設けられている。
【0022】
詳細には、冷媒配管11は、圧縮機5の吐出側となる配管部11aと、床暖房運転時等において四方弁6を介し配管部11aに接続される配管部11bとを含んでいる。
【0023】
また冷媒配管11は、圧縮機5の吸入側となる配管部11cを含んでいる。さらに、冷媒配管11は、床暖房運転時(後述の
図4参照)等において空気熱交換器10の圧縮機5側(言い替えれば床暖房運転時等における出口側、以下同様、後述の
図4等参照)を四方弁6を介し配管部11cに接続する配管部11dを含んでいる。さらに、冷媒配管11は、空気熱交換器10の反圧縮機5側(言い替えれば床暖房運転時等における入口側、以下同様、後述の
図4等参照)に接続される配管部11eとを含んでいる。
【0024】
四方弁6は4つのポートを備える弁であり、冷媒配管11のうち(冷媒主経路を構成する)配管部11b,11d用の2つのポートのそれぞれに対して、残りの配管部11a,11c用の2つのポートの何れを接続するかを切り替える。配管部11a,11c用の2つのポートどうしは、ループ状に配置された配管部11a,11cからなる冷媒副経路によって接続されており、この冷媒副経路上に圧縮機5が設けられている。例えば四方弁6は、後述する
図4の状態に切り替えられた場合は、圧縮機5の吐出側である配管部11aを水冷媒熱交換器7の入口側である配管部11bに連通させる。その一方、後述する冷風冷房運転の実行時は、配管部11aを空気熱交換器10側である配管部11dに連通させる。外気温検知手段としての外気温度センサ12は空気熱交換器10に設けられ、外気温度を検出する。空気熱交換器温度検出手段としての冷媒温度センサ13は空気熱交換器10から圧縮機5までの配管部11dに設けられ、空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度を検出する。
【0025】
<暖房側ヒートポンプ回路部>
暖房側ヒートポンプである床暖側ヒートポンプ回路部130Bは、冷媒の流路となる冷媒配管125を備えており、水冷媒熱交換器7の冷媒側の流路7bが、冷媒配管125に接続されている。
【0026】
詳細には、冷媒配管125は、配管部11bから分岐して接続される。それと共に、冷媒配管125は、反配管部11b側が水冷媒熱交換器7(詳細には冷媒側の流路7b)の入口側に接続される配管部125bと、水冷媒熱交換器7(詳細には冷媒側の流路7b)の出口側に接続される配管部125cとを含んでいる。配管部125cは、全閉機能付きの第一膨張弁8(ここでは、電子膨張弁)を備えており、第一膨張弁8より下流側で、配管部11eに連通している。
【0027】
<冷房側ヒートポンプ回路部>
冷房側ヒートポンプである空調側ヒートポンプ回路部130Cは、冷媒の流路となる冷媒配管126を備えており、冷媒と室内空気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能する室内熱交換器14が冷媒配管126に接続されている。室内熱交換器14には、室内熱交換器14に室内空気を通じるための室内ファン18が設けられている。室内ファン18の作動により送られる室内空気が室内熱交換器14にて熱交換され、熱交換により加熱又は冷却された空気が室内に供給される。
【0028】
空調側ヒートポンプ回路部130Cにおいて、詳細には、冷媒配管126は、配管部125b同様、配管部11bから分岐して接続される。それと共に、冷媒配管126は、反配管部11b側が室内熱交換器14の温風暖房運転時等における入口側(後述の
図5等参照)に接続される配管部126aと、配管部125cと同様に一方側が配管部11eに連通する。それと共に、冷媒配管126は、反配管部11e側が室内熱交換器14の温風暖房運転時等における出口側(後述の
図5等参照)に接続される配管部126bと、を含んでいる。配管部126aは、配管部11bと室内熱交換器14との間の連通を開閉可能な二方弁16を備えており、配管部126bは、全閉機能付きの第二膨張弁15(ここでは、電子膨張弁)を備えている。二方弁16は、空調側ヒートポンプ回路部130Cを循環する冷媒の流れを、開弁することで流通可能状態とし、また、閉弁することで遮断状態とする。
【0029】
なお、圧縮機5、四方弁6、空気熱交換器10、室外ファン9、二方弁16、第一及び第二膨張弁8,15、水冷媒熱交換器7等は、室外機4に設けられている。
【0030】
<冷媒・各種検出信号等>
冷媒循環回路130内には、冷媒として例えばHFC冷媒や二酸化炭素冷媒等の任意の冷媒が用いられ、ヒートポンプサイクルを構成している。そして、主ヒートポンプ回路部130Aの冷媒配管11において、配管部11aには、圧縮機5から吐出される冷媒吐出温度Toutを検出する吐出温度センサ120が設けられている。この吐出温度センサ120の検出結果は、室外機4に設けられた室外機制御部44に入力される。室外機制御部44は、主にCPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータで構成され、後述のように室外機4内の各種センサ、室内機制御部20、床暖房リモコン36等からの信号を受けて、空調システム1の動作を制御する。
【0031】
また、空調側ヒートポンプ回路部130Cの冷媒配管126に関して、室内熱交換器14には、空調対象空間の室内温度Trを検出する室内温度センサ19が設けられている。この室内温度センサ19の検出結果は、室内機17に設けられた室内機制御部20に入力され、さらに適宜、室外機4に設けられた室外機制御部44へも入力される(室内機制御部20を介し受信しても良いし、室内温度センサ19から直接受信してもよい)。
【0032】
そして、室外機4の室外機制御部44と、室内機17の室内機制御部20とは、互いに通信可能に接続されており、各センサの検出結果に基づき、相互に連携しつつ、室外機4内の各機器・アクチュエータの動作を制御する。特に、室内機制御部20は、四方弁6、二方弁16、及び第一及び第二膨張弁8,15の開閉動作や開度を制御することで、室内機制御部20は、冷媒の流れる経路を切り替える。このことにより、室内機制御部20は、熱交換端末27により空調対象空間の床面を加温する床暖房運転を行う。それと共に、室内機制御部20は、室内機17により空調対象空間の室内空気を加熱する温風暖房運転を行う。それと共に、室内機制御部20は、床暖房運転と温風暖房運転とを互いに連動して行う連動運転(詳細は後述)を行う。それと共に、室内機制御部20は、室内機17により空調対象空間の室内空気を冷却する冷風冷房運転を行う。また室内機制御部20は、それらの運転を選択的に実行することができる。
【0033】
<室内機リモコン>
ここで、室内機17は、この例ではワイヤレスリモコンとして構成される室内機リモコン21によって操作可能である。すなわち、この室内機リモコン21の送信部(図示せず)と室内機制御部20の受信部(図示せず)とは、赤外線等により無線通信を行い、室内機リモコン21の送信部から室内機制御部20の受信部への一方向通信により情報の伝達を行う。室内機リモコン21の送信部より発信された信号は、室内機制御部20の受信部で受信され、室内機制御部20は、室内機リモコン21から送られてきた情報を読み取り、指示された制御を行う。なお、室内機制御部20は、室外機制御部44との間で制御信号のやり取りを行い双方向通信により情報の伝達を行うことができる。さらに、室外機制御部44は、室内機リモコン21から送信される制御信号に対応する情報も室内機制御部20を介して取得可能である。
【0034】
室内機リモコン21は、室内機17に対して、室内に温風を供給する温風暖房運転を実行させる暖房スイッチ22を備えている。さらに、室内機リモコン21は、室内機17に対して、室内に冷風を供給する冷風冷房運転を実行させる冷房スイッチ23を備えている。さらに、室内機リモコン21は、温風暖房運転又は冷風冷房運転を停止させる停止スイッチ24を備えている。さらに、室内機リモコン21は、温風暖房運転又は冷風冷房運転時に室内温度を設定する、すなわちエアコン設定温度Tconを設定するための室内温度設定スイッチ25を備えている。さらに、室内機リモコン21は、エアコン設定温度Tconや各種運転状態を表示する表示部26と、室内機17に対しタイマーによる運転を指示するためのタイマースイッチ45と、を備えている。
【0035】
暖房スイッチ22が操作され温風暖房運転が実行されているとき、又は冷房スイッチ23が操作され冷風冷房運転が実行されているときは、表示部26にはエアコン設定温度Tconや運転状態等が表示されている。また、停止スイッチ24が操作され温風暖房運転又は冷風冷房運転が停止されたときは、表示部26のエアコン設定温度Tconや運転状態に関する表示は消え、非表示状態となる。
【0036】
<床暖房リモコン>
また、熱交換端末27は、この例ではワイヤードリモコンとして室内の壁面に取り付けられる、床暖房リモコン36によって操作可能である。床暖房リモコン36は、室外機制御部44との間で制御信号のやり取りを行い双方向通信によりの情報の伝達を行うことができる。これにより、床暖房リモコン36は、室内機17の作動情報(運転中か停止中かなど)を取得可能である。
【0037】
<床暖房リモコンの詳細>
図3に示すように、床暖房リモコン36は、表示部37と、熱交換端末27の運転開始・停止を指示するための運転/停止スイッチ38と、熱交換端末27に対しタイマーによる運転を指示するためのタイマースイッチ39と、が備えられている。また、床暖房リモコン36は、熱交換端末27の運転態様(通常モード・セーブモード等)の切替を指示する運転切替スイッチ40と、画面表示を1つ前の画面に戻すための戻るスイッチ41と、メニュー/決定スイッチ42と、が備えられている。また、床暖房リモコン36は、上下左右方向への十字キー43と、が備えられている。また、図示を省略しているが、床暖房リモコン36には、熱交換端末27の動作制御や、各種の表示を行うための、CPUや記憶手段としてのメモリ等が内蔵されている。
【0038】
<床暖房運転>
まず、
図4を用いて、床暖房運転について説明する。この
図4に示す床暖房運転時においては、四方弁制御部44Aにより、四方弁6は、配管部11aを配管部11bに連通させると共に配管部11cを配管部11dに連通させる位置に切り替えられる。また二方弁制御部44Fにより、二方弁16が閉じ状態に切り替えられる。さらに膨張弁制御部44Cにより第一膨張弁8が開き状態かつ第二膨張弁15が全閉状態に制御される。
【0039】
この結果、圧縮機5の吐出側の配管部11a→配管部11b→配管部125b→水冷媒熱交換器7の冷媒側の流路7b→配管部125c(第一膨張弁8)→配管部11e→空気熱交換器10→配管部11d→圧縮機5の吸入側の配管部11cの冷媒経路が形成される。これにより、凝縮器として機能する水冷媒熱交換器7において、冷媒側の流路7bを流れる冷媒からの熱で水側の流路7aを流れる水が加熱され、熱交換端末27内へ高温水(加熱水)が供給され、空調対象空間の床面を加温する。
【0040】
<室内機の温風暖房運転>
次に、
図5を用いて、温風暖房運転について説明する。この
図5に示す温風暖房運転時においては、四方弁制御部44Aにより、四方弁6は、床暖房運転と同じ側に切り替えられる。また二方弁制御部44Fにより、二方弁16が開き状態に切り替えられる。さらに膨張弁制御部44Cにより第一膨張弁8が全閉状態かつ第二膨張弁15が開き状態に制御される。
【0041】
この結果、圧縮機5の吐出側の配管部11a→配管部11b→配管部126a→室内機17の室内熱交換器14→配管部126b(第二膨張弁15)→配管部11e→空気熱交換器10→配管部11d→圧縮機5の吸入側の配管部11cの冷媒経路が形成される。これにより、凝縮器として機能する室内熱交換器14において冷媒が室内空気と熱交換して熱を放出し、空調対象空間の空気を加熱する。
【0042】
<室内機の冷風冷房運転>
次に、
図6を用いて、冷風冷房運転について説明する。この
図6に示す冷風冷房運転時においては、四方弁制御部44Aにより、四方弁6は、温風暖房運転と逆側に切り替えられる。また二方弁制御部44Fにより、二方弁16が開き状態に切り替えられる。さらに膨張弁制御部44Cにより第一膨張弁8が全閉状態かつ第二膨張弁15が開き状態に制御される。
【0043】
この結果、圧縮機5の吐出側の配管部11a→配管部11d→空気熱交換器10→配管部11e→配管部126b(第二膨張弁15)→室内機17の室内熱交換器14→配管部126a→配管部11b→圧縮機5の吸入側の配管部11cの冷媒経路が形成される。これにより、凝縮器として機能する室内熱交換器14において冷媒が室内空気と熱交換して熱を吸収し、空調対象空間の空気を冷却する。
【0044】
この室内機17の冷風冷房運転を行う場合、第二膨張弁15で冷媒を低温にするため第二膨張弁15及び第二膨張弁15の吐出側の配管部126bには結露が発生する。
【0045】
<室外機4の構造>
次に、室外機4の構造について
図7~
図9に基づいて説明する。51は室外機4の底面のベース、52はファンガードを有した室外機4の前面の前板、53は左側面から背面一部に形成された熱交換器カバー、54は右側面から背面他部に形成された機械室側板、55は水冷媒熱交換器7を収納する温水ユニット収納部、56は温水ユニット収納部55の底面であると共に室外機4を上下に分ける温水ユニットベースである。室外機4の筐体は、底面のベース51、前板52、熱交換器カバー53、機械室側板54、温水ユニット収納部55、温水ユニットベース56で構成されている。
【0046】
室外機4の内部には、送風ファンが配置される送風機室57と、第一膨張弁8及び第二膨張弁15や圧縮機5等の機械部品を配置する機械室58と、送風機室57と機械室58とに部屋を分ける仕切り板59が備えられている。
【0047】
また、機械室58内には、少なくとも圧縮機5、第一膨張弁8、第二膨張弁15が配置されており、比較的大きな機械部品である圧縮機5を機械室58の略中心に配置し、圧縮機5と機械室側板54あるいは前板52との距離が比較的離れる室外機4のコーナー部に第一膨張弁8と第二膨張弁15を上下に配置することで、圧縮機5を配置した時の空きスペースを利用して第一膨張弁8、第二膨張弁15を配置することができ、省スペースの室外機4を提供することができる。
【0048】
次に、機械室58内に配置された第一膨張弁8と第二膨張弁15の位置について説明する。空調側ヒートポンプ回路部130Cが有する第二膨張弁15の位置は、床暖側ヒートポンプ回路部130Bが有する第一膨張弁8の位置よりも下方に配置する。
【0049】
これにより、第二膨張弁15の位置は、第一膨張弁8よりも下方に配置したことで、冷風冷房運転時に第二膨張弁15から発生する結露水が第一膨張弁8に滴下してしまうのを防止することができ、故障や不具合の発生を抑制することができる。
【0050】
次に、圧縮機5の詳細と位置について詳しく説明する。圧縮機5はいわゆる密閉型のロータリ式圧縮機であり、圧縮機5には、各種センサ及び電力を供給するためのリード線が接続される給電ターミナル60が設けられている。
【0051】
この給電ターミナル60が被水してしまうと、錆や漏電が発生することにより、圧縮機5が故障してしまう可能性があるので、第二膨張弁15の位置は、圧縮機5の給電ターミナル60の位置よりも下方に配置する。
【0052】
これにより、冷風冷房運転時に第二膨張弁15の表面に結露が発生してしまっても、給電ターミナル60には滴下することを防ぐことができ、ショート等の故障を防止することができる。
【0053】
以上説明したように、第一膨張弁8は、暖房専用である床暖側ヒートポンプ回路部130Bが有する第一膨張弁8には結露水が発生する可能性が低いため、第二膨張弁15よりも上方に配置させても結露水が滴下する心配がなく、第二膨張弁15から発生する結露水の滴下が予想される範囲に機械部品を配置しないことで、被水してしまうことによる故障や不具合を防止することができる。
【0054】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変する事を妨げるものではなく、例えば、実施形態の熱交換端末27は床面を加熱する、いわゆる床暖房パネルとして説明したが、温水ルームヒーターやファンコイルや室内機17とは異なる2台目の室内機でも良く、冷房運転を行えない暖房専用のもので、第一膨張弁8に結露水が滴下しないものであれば良い。
【0055】
また、室内機17は温風暖房運転と冷風冷房運転が可能なもので説明したが、冷風冷房運転だけが可能な冷房専用の室内機17でも良い。
【0056】
また、底面のベース51には、結露水を室外機4の外部へ誘導するガイド部が備え、第二膨張弁15及び第二膨張弁15の吐出側の配管部126bの下方近傍にガイド部が配置されるようにすることで、機械部品に被水させることなく、速やかに室外機4の外部に排水することができる。
【0057】
また、本実施形態では、室外機4を上下に分けて、上部の温水ユニット収納部55内に水冷媒熱交換器7を配置しているが、送風機室57内に配置しても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 空調システム
4 室外機
5 圧縮機
7 水冷媒熱交換器
8 第一膨張弁
10 空気熱交換器
14 室内熱交換器
15 第二膨張弁
17 室内機
27 熱交換端末
33 温水回路
57 送風機室
58 機械室
59 仕切り板
60 給電ターミナル
130 冷媒循環回路