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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040088
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】測定器用ケーブル保持構造
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/04 20060101AFI20240315BHJP
   H01R 13/58 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G01R1/04 A
H01R13/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144936
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000142067
【氏名又は名称】株式会社共和電業
(74)【代理人】
【識別番号】100082636
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 修治
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼瀬 慶太
(72)【発明者】
【氏名】河野 光佑
(72)【発明者】
【氏名】谷口 武司
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA08
5E021FB14
5E021FC02
5E021FC29
(57)【要約】
【課題】 他端側にひずみゲージが接続されるケーブルの一端を、所定の端子に接続する作業の容易且つ迅速化を図り、ケーブルと接続端子との接続部の安定化を図る。
【解決手段】 他端側がひずみゲージに接続されるケーブル7の一端を接続端子2の半田付端子2aに位置付けた状態において、ケーブル7を所定のケーブル保持溝4に係合保持させる。このとき、ケーブル7の先端が所定の接続端子2の半田付端子2aに臨んでいるため、半田付け作業が容易迅速に行え、配線が交差することなく整然と並ぶことで、ひずみゲージ等のセンサ側に問題が発生した場合、端子側にて迅速にその問題を発見することができる。
また、一旦、ケーブル7がくさび型のケーブル保持溝4に係止された後は、ケーブル7へ引張力や振動が加えられても接続端子2への影響がケーブル保持溝4によって抑止される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横に複数配列された接続端子に、それぞれ一端部が接続され、その他端側がひずみゲージやひずみゲージで構成される各種変換器等に接続されるケーブルを、前記接続端子の側方近傍位置に配置されたケーブル支持体に複数列に亘り形成されたくさび形のケーブル保持溝に係止し得るように構成されてなり、
前記ケーブルの先端を前記接続端子に位置付けた状態において、前記ケーブル保持溝に前記ケーブルを係合保持することにより、前記接続端子への前記ケーブルの接続作業の迅速化を図ると共に不用意に前記ケーブルに作用する引張力や振動を阻止し、断線や接触抵抗の変動によるリスクの低減を図るように構成したことを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の測定器用ケーブル保持構造において、
前記ケーブル保持溝は、断面形状が二段の円錐台破断形状を呈し、上段の円錐台破断形状部は、幅寸法が広く且つ内側傾斜角が大きく形成され、
下段の円錐台破断形状部は、幅寸法が狭く且つ内側傾斜角が小さく形成され、上段部分と下段部分は共通の中心軸上に形成されてなり、前記上段部分で太径のケーブルを挟持し、前記下段部分で小径のケーブルを挟持し得るように構成したことを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【請求項3】
請求項1に記載の測定器用ケーブル保持構造において、前記ケーブル支持体の材質は、シリコンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、クロロブレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムのうちのいずれか一つ、からなる弾性体を選択して用いることを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【請求項4】
請求項1に記載の測定器用ケーブル保持構造において、前記ケーブル支持体の材質は、熱可塑性エラストマーからなる弾性体を用いることを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【請求項5】
請求項1に記載の測定器用ケーブル保持構造において、前記ケーブル支持体は、ショア硬度がA70±5である弾性体であることを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【請求項6】
請求項2に記載の測定器用ケーブル保持構造において、前記ケーブル保持溝の前記上段の円錐台破断形状部は、直径3mm~5mmのケーブルを係合可能とし、下段の円錐台破断形状部は、直径0.6mm~1.5mmのケーブルを係合可能となるように構成したことを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【請求項7】
請求項1に記載の測定器用ケーブル保持構造において、
前記縦横に配列された複数の接続端子と前記複数のケーブルとの接続関係に応じて、前記測定器の内部において、1ゲージ法、2ゲージ法、4ゲージ法等の回路が形成されるように構成されていることを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【請求項8】
請求項1に記載の測定器用ケーブル保持構造において、
前記縦横に配列された接続端子とは、別に設けられたひずみ測定用の小形丸形コネクタに、先端側に変換器が接続されたワンタッチ式小形丸形コネクタを接続し且つ別途前記ケーブル支持体に挿通される緊締具により固定保持する構成となし、前記測定器の内部において、各種ひずみゲージ式変換器の出力に応じた計測を行い得るように構成したことを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【請求項9】
請求項1に記載の測定器用ケーブル保持構造において、前記ケーブル保持溝は、前記測定器の筐体と同一面上に一体的に形成されていることを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【請求項10】
請求項1に記載の測定器用ケーブル保持構造において、
所定の厚さを有する弾性体からなる1対の四角状枠体を、前記測定器の筐体の両側に、それぞれ嵌合固定してプロテクタとなし、
前記一方のプロテクタの一面側に前記ケーブル保持溝を形成し、
前記測定器を載置した際、前記プロテクタにより前記測定器が載置面から浮いた状態で保持され得るように構成したことを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【請求項11】
請求項10に記載の測定器用ケーブル保持構造において、
前記一対のプロテクタは、前記測定器本体に対し、ねじによって必要に応じ、装着、離脱が可能なように構成したことを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【請求項12】
請求項1に記載の測定器用ケーブル保持構造において、
前記ケーブル保持溝は、前記接続端子の設置面と直行する面上に形成するように構成したことを特徴とする測定器用ケーブル保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定器用ケーブル保持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーブルの保持構造の従来例として、特開2014-157981号にて示されたものがある。
この従来例によるケーブルの保持構造は、画像形成装置の外面または内面に沿ってワイヤーハーネス等の2種類の径の異なるケーブルをケーブル保持溝にまとめて収容することにより、省スペース化を行うことを目的としている。
しかしながら、本発明の属する測定器用ケーブル保持構造においては、画像形成装置のような電気機器とは技術分野が異なり、このような従来技術では、解決できない新たな課題が存在する。
【0003】
従前から被測定対象個所に生じる物理量を検出して電気量に変換する、例えば、ひずみゲージや熱電対等の物理量検出センサ(以下、単に「センサ」という)からケーブルを介して上記物理量を受け取って当該物理量の値を決定する測定器に中継する物理量検出センサ用の接続端子として、例えば、図10に示すようなものが使用されている。
この図10に示す接続端子100は、5ピンの接続端子A、B、C、D、Eが、複数対端子板101の上に配置され、各端子は、端子板101上に付設された雌ねじに雄ねじ(プラスねじ)をねじ込むか、半田付けすることで、ひずみゲージ等で構成されるセンサに結線されたケーブル(リード線)の基端部を接続固定するように構成されている。
測定器102へのひずみゲージの接続方法は、公知のように、1ゲージ法2線式、1ゲージ法3線式、2ゲージ法、4ゲージ法があり、各結線法に応じて所定の接続端子に接続する必要がある。
【0004】
また、ひずみゲージだけでなく、電圧や熱電対の入力にも対応する場合には、電圧発生源や熱電対を、5ピン端子板の、例えば、2ピン目(B端子)と4ピン目(D端子)に接続していた。
特に、例えば、図10に示す測定器102の端子板101の縦方向に配列されたSLOT1には、1測定点分(1チャネル分)の接続端子A、B、C、D、Eが縦方向に10チャネル分が配置され、さらに横方向のSLOT2およびSLOT3には、各10チャネル分が2基配置され、合計30チャネル分の接続端子100が配置されている。
このような30点にも及ぶ多チャネル測定の場合は、1測定点当たり、2~5本のねじ固定または半田付けを測定モードに応じ、チャネル数だけ接続を行う必要がある。具体的な手順として、接続のためには、半田を用いる場合は、所定のケーブルと半田と半田ごてを左右の手で保持しながらまたは持ち替えながら行う多点の半田付け作業は、相当困難であり、多大の作業時間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-157981
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に示すケーブル保持構造において解決する課題と、本発明が解決しようとする課題とは、全く異なっている。
即ち、特許文献1におけるケーブル保持構造は、電気機器が有する径の異なる複数種類のケーブルをまとめて収容し、省スペース化とケーブルの保護を課題としているのに対し、本発明における解決課題とは、以下に述べるように、全く異なっている。
即ち、第1の課題として、ケーブルと半田と半田ごてを2つの手で保持しながら適切に半田付けを行うには、高い技術が必要とされ、また、半田が固まるまでケーブルを手で保持しなければならず、作業効率の悪化につながっていた。
第2の課題として、ケーブル接続後にケーブルの中腹部分をテープで固定したとしても、ひずみゲージや熱電対のケーブルは、線径が細く、ケーブルに引張力や振動が加わると、断線したり、半田付けした接続部が外れたりする懸念がある。
【0007】
第3の課題として、図10に示すように多数のケーブルを使用する場合、ケーブル同士が交叉して絡まり、接続作業が困難となるばかりでなく、例えば、特定の測定個所に設置されたセンサに異常が生じたり、ケーブルの断線などが生じた場合、その原因を特定するために多くの時間がかかるばかりでなく、原因の特定ができないこともあった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、第1の目的は、他端側にひずみゲージが接続されるケーブルの一端を所定の接続端子に、容易、迅速に半田付けを行うことを可能として、作業効率の向上と、誤配線の防止を行い得る測定器用ケーブル保持構造を提供することにあり、
第2の目的は、不用意にケーブルに作用する引張力や振動を阻止し、断線や接触抵抗の変動によるリスクの低減を図り得る測定器用ケーブル保持構造を提供することにあり、
第3の目的は、ケーブルが整然と配線され、センサやケーブルの異常が生じた場合、その異常個所の特定を容易化する測定器用ケーブル保持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の第1の目的~第3の目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の測定器用ケーブル保持構造は、
縦横に複数配列された接続端子に、それぞれ一端部が接続され、その他端側がひずみゲージやひずみゲージで構成される各種変換器等に接続されるケーブルを、前記接続端子の側方近傍位置に配置されたケーブル支持体に複数列に亘り形成されたくさび形のケーブル保持溝に係止し得るように構成されてなり、
前記ケーブルの先端を前記接続端子に位置付けた状態において、前記ケーブル保持溝に前記ケーブルを係合保持することにより、前記接続端子への前記ケーブルの接続作業の迅速化を図ると共に不用意に前記ケーブルに作用する引張力や振動を阻止し、断線や接触抵抗の変動によるリスクの低減を図るように構成したことを特徴としている。
【0010】
また、上記第1~第3の目的を達成するために、請求項10に記載の本発明の測定器用ケーブル保持構造は、
所定の厚さを有する弾性体からなる1対の四角状枠体を、前記測定器の筐体の両側に、それぞれ嵌合固定してプロテクタとなし、
前記一方のプロテクタの一面側に前記ケーブル保持溝を形成し、
前記測定器を載置した際、前記プロテクタにより前記測定器が載置面から浮いた状態で保持され得るように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、第1に、他端側にひずみゲージが接続されたケーブルの一端を、所定の接続端子に容易に半田付け作業を行うことができ、特に、測定点数が数十~数百点に及ぶ場合、配線時間を大幅に短縮化し得ると共に、誤配線を極力防止し得る測定器用ケーブル保持構造を提供することができ、
第2に、不用意にケーブルに作用する引張力や振動を阻止し、断線や接触抵抗の変動による測定リスクの低減を図ることができる測定器用ケーブル保持構造を提供することができる。
第3に、接続端子とケーブル保持溝に係止されたケーブルが整然と配列される結果、ケーブルの断線やセンサの異常の個所を容易に特定できる測定器用ケーブル保持構造を提供することができる。
【0012】
請求項10に記載の発明によれば、第1、第2および第3の発明の効果に加えて、一対の四角状枠体を測定器の筐体の両側にそれぞれ嵌合してなるプロテクタに脚としての機能が加わることにより、測定器を載置した際、プロテクタにより測定器が載置面より浮いた状態となり、測定器を安全に保護し得る機能を併せて発揮すると共に、測定器本体と載置面との間に隙間ができ、その隙間に指を差し入れることができるため、容易に測定器を持ち上げ易くなる測定器用ケーブル保持構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造において、ケーブル支持体に複数列に亘り形成されたくさび形のケーブル保持溝に係止され且つケーブルの先端を接続端子に半田付けした状態を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造において、ひずみ測定用の小形丸形コネクタに、先端側に変換器が接続されたワンタッチ式小形丸形コネクタを接続し、緊締具によりケーブルの基端側がケーブル支持体に固定保持された状態を示す斜視図である。
図3】本発明の要部であるケーブル保持溝の構成を具体的な数値をもって示す部分拡大断面図である。
図4図3に示すケーブル保持溝の下段部分と上段部分に小径のケーブルとそれより大径のケーブルとがそれぞれ挟持された状態を示す部分拡大断面図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造の全体の外観構成を示す斜視図である。
図6図5に示す第2の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造のうち、フロントプロテクタとリアプロテクタの部分を分解して後方斜め上方から見た分解斜視図である。
図7図5に示す第2の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造のうち、フロントプロテクタとリアプロテクタの部分を分解して前方斜め上方から見た分解斜視図である。
図8図5に示された第2の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造の一部を構成するリアプロテクタであり、このうち(a)は、平面図、(b)は、図8(a)のA-A線矢視方向断面図である。
図9図9は、第2の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造の測定器上に一体的に付設された接続端子と、その接続端子の側方近傍に付設されたリアプロテクタのケーブル支持体上に形成されたケーブル支持体の構成を示す平面図である。
図10図10は、従来の測定器に搭載した接続端子に、複数のケーブルを雑然と配線した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を通じて、本発明を説明するが、以下の実施形態は、特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
〔第1の実施の形態〕
次に、本発明に係る測定器用ケーブル保持構造の複数の実施形態について、順次説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造の外観構成の一部を示す斜視図である。
第1の実施の形態の測定器用ケーブル保持構造は、測定器1の例えば、上面側の端子板1a上に、縦横に複数配列された接続端子2が設けられると共に、3列に配設された接続端子2の側方に所定数のケーブル保持溝4が形成されたケーブル支持体3が一体的に設けられている。
【0016】
接続端子2は、1測定点(1チャネル)当たり5つの半田付端子2aとねじ固定式端子2bよりなる。
これら、各チャネルを構成する接続端子2には、図9に示すように「A」、「B」、「C」、「D」、「E」の文字が付されており、前述したひずみゲージの結線、即ち、1ゲージ法2線式ひずみゲージとの接続方法、1ゲージ法3線式ひずみゲージとの接続方法、2ゲージ法ひずみゲージとの接続方法および4つのひずみゲージを用いたフルブリッジ接続方法、さらには、電圧発生源との接続方法、熱電対との接続方法に応じて所定の端子にケーブル7を、半田付け端子2aまたはねじ固定式端子2bのいずれかにそれぞれ接続する。
【0017】
各接続方法は、周知であるため、具体的な接続方法は、ここでは省略する。
また、縦横に配列された接続端子2の各横に、図1図2に示すように、ひずみ測定用の小形丸形コネクタ5aが設けられている。
この小形丸形コネクタ5aには、他端がひずみゲージ式変換器(例えば、圧力変換器、変位変換器、加速度変換器、荷重変換器等)に接続されたケーブル6の基端側に接続された図2に示すようなワンタッチ式小形丸形コネクタ(例えば、NDISコネクタ)5bが嵌合され電気的に接続されるように構成されている。
これら小形丸形コネクタ5a、5bの接続(図2参照)により、測定器1の内部において、所定の切換動作が行われ、ひずみゲージまたはひずみゲージ式変換器の出力に応じた演算が行われ且つ記録されるように構成される。
【0018】
次に、ケーブル支持体3に形成されたケーブル保持溝4について図3および図4を参照して詳しく説明する。
ケーブル保持溝4は、接続端子2の各列に沿う方向(例えばA列方向、B列方向、C列方向、D列方向、E列方向)に向けて所定長さに亘るくさび形の溝に形成されている。
このくさび形のケーブル保持溝4は、図3および図4に、その断面構成に示す通り、断面形状が二段の円錐台破断形状を呈し、上段部分4aと下段部分4bに分けて形成され、上段の円錐台破断形状部は、幅寸法が広く且つ内側傾斜角が大きく形成され、下段の円錐台破断形状部は、幅寸法が狭く且つ内側傾斜角が小さく形成され、上段部分4aと下段部分4bは、共通の中心軸上に形成されてなり、図4に示すように、上段部分4aで太径のケーブル7aを挟持し、下段部分4bで小径のケーブル7bをしっかり挟持し、ケーブル7a、7bに、不用意に引張力や振動が長手方向に作用しても移動しにくい構成となっている。
【0019】
図3に示す実施例においては、ケーブル保持溝4の上段部分4aは、上端開口部の寸法は、4.42mm、下底部の寸法は、2.7mmであり、傾斜角は11°に形成され、ケーブル保持溝4aの高さは、8.57mmに形成されている。
また、ケーブル保持溝4の下段部分4bの上端開口部の寸法は、1.0mm、下底部の寸法は、0.5mmであり、その傾斜角は、6°であり、高さは、5mmに形成されている。
この実施例の場合、ケーブル保持溝4の上段の円錐台破断形状部は、3mm~5mmのケーブル7aを係合可能とし、下段の円錐台破断形状部は、0.6mm~1.5mmのケーブル7bを係合可能としている。
但し、この実施例の数値は、あくまでも一実施例を示すものであり、これに限定されるものではない。
ここで、ケーブルについて言及する。
本発明に係る測定器(計測器)の分野では、弱電流電線と称されるケーブルが用いられる。この弱電流電線とは、弱電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体若しくは絶縁物で被覆した上を、保護被覆で保護した電気導体をいう。
照明や動力回路で用いられる「低圧」や「高圧」といった比較的電圧の高い電線路ではなく、通信や制御、計測など、電気信号を伝送する用途に用いる。これには小勢力回路や、出退表示灯に使用する電線も含まれる。
【0020】
このように、ケーブル保持構造において、ケーブル保持溝4を、2段に構成した理由は、上段部分4aだけで広い範囲の寸法差を出そうとすると、溝の深さが深くなり、結果的にケーブル支持体3が大型化する、という不都合を回避するためである。
上記ケーブル保持溝4が形成されるケーブル支持体3は、一定以上の摩擦力、弾性、硬度が要求され、本発明に適するショア硬度は、A70±5である弾性体であることが望ましい。
この条件を満たすケーブル支持体3の弾性体としては、シリコンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムの中から、いずれかを選択することができる。
また、ケーブル支持体3の弾性体としては、上記各種ゴムの他、熱可塑性エラストマーを用いることができる。
熱可塑性エラストマー(TPE)は、可硫ゴムと比較すると、多くの特性、性能を有し、また、合成ゴムと樹脂の中間的な性能も保持しており、射出成型または押出成型によって加熱処理される。溶融の冷却後には、再び元の粘弾性を示すため、熱可塑性プラスチックと同様にリサイクルが可能である。
尚、図2に示すように、ワンタッチ式小形丸形コネクタ5bに接続されたケーブル6の基端部を固定する緊締具8を挿通するためのバンド通し孔3aが形成されており、配線設定後、強固に固定し得るように構成されている。
【0021】
〔第2の実施の形態〕
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造であって、測定器10自体には、ケーブル保持溝4が形成されたケーブル支持体3は、有しないものとする。
即ち、図1図2に示す測定器1には、ケーブル保持溝4が形成されたケーブル支持体3が、一体として設けられているものとする。
しかしながら、本発明の第2の実施の形態においては、ケーブル保持溝14が形成されたケーブル支持体13が、測定器10とは別体とされ、以下に説明するリアプロテクタ16に、一体成形されてなるところに特徴がある。
【0022】
以下、図5図9を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造の全体を前方斜め上方から見た斜視図である。
図6および図7に示す分解斜視図の状態から図5に示す組立完了状態に至る手順について説明する。
所定の厚さを有する弾性体からなる一対の四角状枠体を呈するフロントプロテクタ15と、リアプロテクタ16を、測定器10の筐体の前側と後側の両側に、それぞれ嵌合する。
【0023】
その後、フロントプロテクタ15の外方から、締付ねじ17を、破線をもって示すように、フロントプロテクタ15に形成されたねじ挿通孔(起伏可能なカバーで覆われているため、図には現れていない)を介して、測定器10の上面、下面、両側面にそれぞれ形成された雌ねじ穴10aにねじ込むことによって、フロントプロテクタ15を測定器10に固定する。
また、リアプロテクタ16の外方から、締付ねじ18を、破線をもって示すように、リアプロテクタ16に形成されたねじ挿通孔16aを介して測定器10の上面、下面、両側面にそれぞれ形成された雌ねじ穴10bにねじ込むことによって、リアプロテクタ16を、測定器10の後方側に固定する。
このようにして、図5図9に示すように、測定器10の前方および後方に、フロントプロテクタ15およびリアプロテクタ16が装着されて一体化される。
【0024】
一対のプロテクタ15、16のうち、リアプロテクタ16には、図8に示すように、一部がケーブル支持体13としての役割を果たすものであり、ケーブル支持体13の上面側には、ケーブル保持溝14が形成されている。
このケーブル保持溝14は、図3および図4において説明したところと同様に、上段部分14aと下段部分14bがそれぞれ形成されている。
また、夫々のケーブル保持溝14は、指標「A」、「B」、「C」、「D」、「E」のいずれかと結ぶ線上(図9において、上下方向)を通る方向に形成されている。
そして、図5図9に示す第2の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造においては、ケーブル7が複数の接続端子2に接続され、且つ、ケーブル保持溝14に係合保持された状態は示されていないが、図1に示される状態となり得るので、その説明は、省略する。
【0025】
また、ワンタッチ式小形丸形コネクタ5bに接続されたケーブル6についても、図5図9においては、図示されていないが、図2に示される状態となり得るので、その説明は、省略する。
上述したように、第2の実施の形態に係る測定器用ケーブル保持構造は、第1の実施の形態と比べて、全く同じ機能、効果を発揮する上、測定器10に筐体の両側にそれぞれフロントプロテクタ15およびリアプロテクタ16を付設したことにより、測定器10を、測定現場等に載置した場合、フロントプロテクタ15およびリアプロテクタ16により測定器10が載置面から浮いた状態で保持され、適切に保護される、という効果が得られる。
【0026】
また、測定対象が数十点~数百点に及ぶような場合、測定器10を複数台まとめてラックまたはスロットに収納して使用するような場合、フロントプロテクタ15やリアプロテクタ16を取り外して、測定器10のみをコンパクトに収納できて、好都合となる。
尚、ケーブル保持溝4、14は、図示の実施の形態においては、接続端子2が設置されているのと同一の平面上に配置してあるが、必ずしも同一平面上に限定されるものではなく、接続端子2の設置面と直行する面、例えば、平面上に接続端子2が設置されているとすれば、ケーブル保持溝4は、正面および底面を除く面、例えば、左右両側面および背面であれば、設置が可能である。
【0027】
以上、説明した本発明に係る測定器用ケーブル保持構造について、その要旨とするところを整理すると、以下の通りである。
先ず、本発明に係る測定器用ケーブル保持構造は、
縦横に複数配列された接続端子に、それぞれ一端部が接続され、その他端側がひずみゲージやひずみゲージで構成される各種変換器等に接続されるケーブルを、前記接続端子の側方近傍位置に配置されたケーブル支持体に複数列に亘り形成されたくさび形のケーブル保持溝に係止し得るように構成されてなり、
前記ケーブルの先端を前記接続端子に位置付けた状態において、前記ケーブル保持溝に前記ケーブルを係合保持することにより、前記接続端子への前記ケーブルの接続作業の迅速化を図ると共に不用意に前記ケーブルに作用する引張力や振動を阻止し、断線や接触抵抗の変動によるリスクの低減を図るように構成したことを特徴としている(請求項1に対応する)。
【0028】
また、本発明の測定器用ケーブル保持構造の前記ケーブル保持溝は、断面形状が二段の円錐台破断形状を呈し、上段の円錐台破断形状部は、幅寸法が広く且つ内側傾斜角が大きく形成され、
下段の円錐台破断形状部は、幅寸法が狭く且つ内側傾斜角が小さく形成され、上段部分と下段部分は共通の中心軸上に形成されてなり、前記上段部分で太径のケーブルを挟持し、前記下段部分で小径のケーブルを挟持し得るように構成したことを特徴としている(請求項2に対応する)。
また、本発明の測定器用ケーブル保持構造において、前記ケーブル支持体の材質は、シリコンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、クロロブレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムのうちのいずれか一つ、からなる弾性体を選択して用いることを特徴としている(請求項3に対応する)。
また、本発明の測定器用ケーブル保持構造において、前記ケーブル支持体の弾性体としては、上記各種ゴムの他、熱可塑性エラストマーを用いることができる(請求項4に対応する)。
【0029】
また、本発明の測定器用ケーブル保持構造における前記ケーブル支持体は、ショア硬度がA70±5である弾性体であることが望ましい(請求項5に対応する)。
また本発明の測定器用ケーブル保持構造における前記ケーブル保持溝の前記上段の円錐台破断形状部は、直径3mm~5mmのケーブルを係合可能とし、
下段の円錐台破断形状部は、直径0.6mm~1.5mmのケーブルを係合可能となるように構成したことを特徴としている(請求項6に対応する)。
また、本発明の測定器用ケーブル保持構造において、
前記縦横に配列された複数の接続端子と前記複数のケーブルとの接続関係に応じて、前記測定器の内部において、1ゲージ法、2ゲージ法、4ゲージ法等の回路が形成されるように構成されていることを特徴としている(請求項7に対応する)。
【0030】
また、本発明の測定器用ケーブル保持構造において、
前記縦横に配列された接続端子とは、別に設けられたひずみ測定用の小形丸形コネクタに、先端側に変換器が接続されたワンタッチ式小形丸形コネクタを接続し且つ別途前記ケーブル支持体に挿通される緊締具により固定保持する構成となし、前記測定器の内部において、各種ひずみゲージ式変換器の出力に応じた計測を行い得るように構成したことを特徴としている(請求項8に対応する)。
また、本発明の測定器用ケーブル保持構造における前記ケーブル保持溝は、前記測定器の筐体と同一面上に一体的に形成されていることが望ましい(請求項9に対応する)。
【0031】
また、本発明の測定器用ケーブル保持構造において、
所定の厚さを有する弾性体からなる1対の四角状枠体を、前記測定器の筐体の両側に、それぞれ嵌合固定してプロテクタとなし、
前記一方のプロテクタの一面側に前記ケーブル保持溝を形成し、
前記測定器を載置した際、前記プロテクタにより前記測定器が載置面から浮いた状態で保持され得るように構成したことを特徴としている(請求項10に対応する)。
【0032】
また、本発明の測定器用ケーブル保持構造において、
前記一対のプロテクタは、前記測定器本体に対し、ねじによって必要に応じ、装着、離脱が可能なように構成したことを特徴としている(請求項11に対応する)。
【0033】
また、本発明の測定器用ケーブル保持構造において、
前記ケーブル保持溝は、前記接続端子の設置面と直行する面上に形成するように構成してもよい(請求項12に対応する)。
【符号の説明】
【0034】
1 測定器
2 接続端子
3,13 ケーブル支持体
4,14 ケーブル保持溝
5a ひずみ測定用小形丸形コネクタ
5b ワンタッチ式小形丸形コネクタ
6,7 ケーブル
8 緊締具
10 測定器
15 フロントプロテクタ
16 リアプロテクタ
17,18 締付ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10