(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040089
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
F24F 13/15 20060101AFI20240315BHJP
B60H 1/34 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
F24F13/15 A
B60H1/34 611Z
B60H1/34 651Z
F24F13/15 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144973
(22)【出願日】2022-09-13
(62)【分割の表示】P 2022144249の分割
【原出願日】2022-09-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】519366237
【氏名又は名称】NatureArchitects株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 海
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AA03
3L081FA01
3L211DA16
(57)【要約】
【課題】より簡易な構成で、一列に配列された複数のフィン部のうち隣り合う2つのフィン部間の隙間程度(開口面積)を変更可能な構造体を提供する。
【解決手段】所定方向に配列された複数のフィン部を備え、隣り合う2つのフィン部間の隙間程度を変更可能な構造体であって、複数のフィン部は、それぞれ、帯状で且つ弾性変形可能に形成されている。第1回動軸周りに回動可能な第1支持部と、第2回動軸周りに回動可能な第2支持部と、第1支持部と複数のフィン部の一端とをそれぞれ繋ぐと共にそれぞれ曲げ変形可能な複数の第1繋ぎ部と、第2支持部と複数のフィン部の他端とをそれぞれ繋ぐと共にそれぞれ曲げ変形可能な複数の第2繋ぎ部とを備える。フィン部に対して対の第1、第2繋ぎ部は、所定方向における一方側から他方側に向かうにつれて第1、第2回動軸から離間するように形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に配列された複数のフィン部を備え、隣り合う2つの前記フィン部間の隙間程度を変更可能な構造体であって、
前記複数のフィン部は、それぞれ、帯状で且つ弾性変形可能に形成されており、
第1回動軸周りに回動可能な第1支持部と、
第2回動軸周りに回動可能な第2支持部と、
前記第1支持部と前記複数のフィン部の一端とをそれぞれ繋ぐと共にそれぞれ曲げ変形可能な複数の第1繋ぎ部と、
前記第2支持部と前記複数のフィン部の他端とをそれぞれ繋ぐと共にそれぞれ曲げ変形可能な複数の第2繋ぎ部と、
を備え、
前記フィン部に対して対の前記第1、第2繋ぎ部は、それぞれ、前記所定方向における一方側から他方側に向かうにつれて前記第1、第2回動軸から離間するように形成されており、
前記複数のフィン部が前記第1、第2回動軸を含む所定平面に対して一方側に湾曲状となっている使用ベース形状から、前記第1、第2支持部が前記第1、第2回動軸周りに予め定められた互いに逆向きで回動すると、前記複数の第1、第2繋ぎ部が、前記第1、第2支持部と前記複数のフィン部とが互いに接近する側に曲げ変形し、これに伴って前記複数のフィン部に弾性変形による面外変形が生じ、前記複数のフィン部が前記所定方向における前記他方側に傾くことにより、隣り合う2つの前記フィン部間の隙間程度が大きくなる、
構造体。
【請求項2】
請求項1記載の構造体であって、
前記所定方向において対で連続する少なくとも2つの前記第1、第2繋ぎ部は、前記第1、第2回動軸の延在方向と前記第1、第2繋ぎ部の延在方向とのなす角度が一定となるように形成されている、
構造体。
【請求項3】
請求項1記載の構造体であって、
前記所定方向において対で連続する少なくとも3つの前記第1、第2繋ぎ部は、前記第1、第2回動軸の延在方向と前記第1、第2繋ぎ部の延在方向とのなす角度が徐々に変化するように形成されている、
構造体。
【請求項4】
請求項1記載の構造体であって、
前記フィン部に対して対の前記第1、第2繋ぎ部は、それぞれ、前記所定方向における前記一方側から前記他方側に向かうにつれて前記第1、第2回動軸から離間するように延在する凹部として形成されている、
構造体。
【請求項5】
請求項1記載の構造体であって、
前記フィン部に対して対の前記第1、第2繋ぎ部は、それぞれ、少なくとも1つの梁部と複数の渡し部とを有し、
前記少なくとも1つの梁部は、
前記所定方向における前記一方側から前記他方側に向かうにつれて前記第1、第2回動軸から離間するように延在し、
前記梁部の延在方向における第1位置で、前記渡し部を介して前記第1、第2支持部または前記第1、第2支持部側の隣の前記梁部に繋がっていると共に、
前記梁部の延在方向における前記第1位置とは異なる第2位置で、前記渡し部を介して前記フィン部または前記フィン部側の隣の前記梁部に繋がっている、
構造体。
【請求項6】
請求項1記載の構造体であって、
前記構造体は、一体成形品である、
構造体。
【請求項7】
請求項1記載の構造体であって、
前記構造体は、板状に形成され、前記使用ベース形状に変形される、
構造体。
【請求項8】
請求項1記載の構造体であって、
前記構造体は、前記使用ベース形状に形成されている、
構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体状のグリルと、グリルの前面にグリルと一体に形成された互いに平行な横板状の複数の固定フィン部と、複数の固定フィン部の奥側で互いに平行な縦板状の複数の可動フィン部と、を備えるグリルタイプの空気吹出口が提案されている(特許文献1参照)。ここで、各可動フィン部は、それぞれ、上下両端中央に一体に形成された軸によりグリルの上下面に回動可能に軸支されていると共に同一方向の側面部に一体に形成されたアームを介して連結部に回動可能に連結されている。連結部材の略中央には、ノブが一体に形成されており、このノブは、中央の2つの固定フィン部の間から前方(車室内)に突出している。こうした構成とすることにより、ノブの作動によって、隣り合う可動フィン部が互いに当接して空気吹出口を閉塞可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の空気吹出口では、各可動フィン部とグリルと連結部材とを個別に形成し、グリルに各可動フィン部を回動可能に軸支させたり、ノブが2つの固定フィン部の間から前方に突出するように配置した連結部材に各可動フィン部を回動可能に連結したりする必要がある。このため、部品点数が多くなったり、煩雑な組立を要したりする。
【0005】
本開示は、より簡易な構成で、一列に配列された複数のフィン部のうち隣り合う2つのフィン部間の隙間程度(開口面積)を変更可能な構造体を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の構造体は、
所定方向に配列された複数のフィン部を備え、隣り合う2つの前記フィン部間の隙間程度を変更可能な構造体であって、
前記複数のフィン部は、それぞれ、帯状で且つ弾性変形可能に形成されており、
第1回動軸周りに回動可能な第1支持部と、
第2回動軸周りに回動可能な第2支持部と、
前記第1支持部と前記複数のフィン部の一端とをそれぞれ繋ぐと共にそれぞれ曲げ変形可能な複数の第1繋ぎ部と、
前記第2支持部と前記複数のフィン部の他端とをそれぞれ繋ぐと共にそれぞれ曲げ変形可能な複数の第2繋ぎ部と、
を備え、
前記フィン部に対して対の前記第1、第2繋ぎ部は、それぞれ、前記所定方向における一方側から他方側に向かうにつれて前記第1、第2回動軸から離間するように形成されており、
前記複数のフィン部が前記第1、第2回動軸を含む所定平面に対して一方側に湾曲状となっている使用ベース形状から、前記第1、第2支持部が前記第1、第2回動軸周りに予め定められた互いに逆向きで回動すると、前記複数の第1、第2繋ぎ部が、前記第1、第2支持部と前記複数のフィン部とが互いに接近する側に曲げ変形し、これに伴って前記複数のフィン部に弾性変形による面外変形が生じ、前記複数のフィン部が前記所定方向における前記他方側に傾くことにより、隣り合う2つの前記フィン部間の隙間程度が大きくなる、
ことを要旨とする。
【0008】
本開示の構造体では、複数のフィン部が第1、第2回動軸を含む所定平面に対して一方側に湾曲状となっている使用ベース形状から、第1、第2支持部が第1、第2回動軸周りに予め定められた互いに逆向きで回動すると、複数の第1、第2繋ぎ部が、第1、第2支持部と複数のフィン部とが互いに接近する側に曲げ変形する。第1、第2回動軸とフィン部に対して対の第1、第2繋ぎ部との距離が所定方向における一方側に比して他方側で長いため、各対の第1、第2繋ぎ部が曲げ変形すると、各フィン部に弾性変形による面外変形が生じ、フィン部が所定方向における他方側に傾く。所定方向における一方側、他方側は、全てのフィン部について同一である(例えば、全てのフィン部について前側、後側で同一である)ものとしてもよいし、一部のフィン部と残余のフィン部とで異なる(例えば、一部のフィン部について前側、後側であり、残余のフィン部について後側、前側である)ものとしてもよい。こうして複数のフィン部が所定方向における他方側に傾くと、隣り合う2つのフィン部間の隙間程度(開口面積)が大きくなる。即ち、使用ベース形状からの第1、第2支持部の回動によって、隣り合う2つのフィン部間の隙間程度(開口面積)を変更することができるのである。しかも、第1、第2支持部と複数のフィン部とを複数の第1、第2繋ぎ部を介して繋いだ構成であるから、より簡易な構成で、具体的には、部品点数の削減や煩雑な組立の省略を図ることが容易な構成で、隣り合う2つのフィン部間の隙間程度(開口面積)の変更を実現することができる。なお、第1、第2支持部の回動は、手動および自動(駆動源の駆動)のうちの何れにより行なわれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】構造体20が使用ベース形状のときの斜視図である。
【
図4】構造体20が使用ベース形状のときの上面図である。
【
図5】構造体20のフィン部22が使用ベース形状から弾性変形したときの斜視図である。
【
図6】構造体20のフィン部22が使用ベース形状から弾性変形したときの上面図である。
【
図10】構造体120が使用ベース形状のときの斜視図である。
【
図11】構造体120のフィン部22が使用ベース形状から弾性変形したときの斜視図である。
【
図12】構造体120のフィン部22が使用ベース形状から弾性変形したときの上面図である。
【
図14】構造体220が使用ベース形状のときの斜視図である。
【
図15】構造体220のフィン部22が使用ベース形状から弾性変形したときの斜視図である。
【
図16】構造体220のフィン部22が使用ベース形状から弾性変形したときの上面図である。
【
図19】構造体420の2色成形の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0011】
図1および
図2は、本開示の実施例の構造体20の斜視図および上面図である。構造体20の左右方向、前後方向、上下方向は、
図1および
図2に示した通りである。なお、構造体20の配置の向きがこれに限定されないことは勿論である。実施例の構造体20は、一体成形品であり、例えば、樹脂材料やゴム材料の射出成形、ブロー成形、押出し成形、3D印刷により一体成形されたり、金属材料の鋳造、鍛造、プレス、切削、押出し成形、3D印刷などにより一体成形されたりする。
【0012】
図1および
図2に示すように、構造体20は、全体として矩形板状に形成されており、6つのフィン部22[1]~22[6]と、一対の第1、第2支持部26,28と、6対の第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]とを備える。なお、明細書中の大括弧内の数字は、構造体20の前側から後側に向かって順に付したものであり、
図1の添え字(下付き数字)に対応する。また、以下の説明では、フィン部22[1]~22[6]、第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]などについて、それぞれ大括弧および大括弧内の数字を省略して、フィン部22、第1、第2繋ぎ部30,32などと称する場合がある。
【0013】
フィン部22[1]~22[6]は、それぞれ、左右方向に延在する帯状に形成されており、弾性変形可能となっている。フィン部22[1]~22[6]は、前後方向に一列に配列されている。第1支持部26は、フィン部22[1]~22[6]に対して左側に配置されている。この第1支持部26は、構造体20(第1支持部26)の左端で前後方向に延在する第1回動軸27周りに回動可能となっている。第2支持部28は、フィン部22[1]~22[6]に対して右側に配置されている。この第2支持部28は、構造体20(第2支持部28)の右端で前後方向に延在する第2回動軸29周りに回動可能となっている。第1、第2回動軸27,29は、左右方向に間隔をおいて互いに平行に前後方向に延在している。なお、第1、第2支持部26,28の回動は、手動および自動(モータなどの駆動源の駆動)のうちの何れにより行なわれてもよい。
【0014】
第1繋ぎ部30[1]~30[6]は、それぞれ、第1支持部26とフィン部22[1]~22[6]の左端とを左右方向で繋ぐものであり、上側から見て谷折りとなるような、詳細には、第1支持部26とフィン部22[1]~22[6]の左端とが第1繋ぎ部30[1]~30[6]に対して上側で互いに接近するような曲げ変形が可能となっている。第1繋ぎ部30[1]~30[6]は、それぞれ、前側から後側に向かうにつれて第1回動軸27から離間するように形成されている。
【0015】
第2繋ぎ部32[1]~32[6]は、それぞれ、第2支持部28とフィン部22[1]~22[6]の右端とを左右方向で繋ぐものであり、上側から見て谷折りとなるような、詳細には、第2支持部28とフィン部22[1]~22[6]の右端とが第2繋ぎ部32[1]~32[6]に対して上側で互いに接近するような曲げ変形が可能となっている。第2繋ぎ部32[1]~32[6]は、それぞれ、前側から後側に向かうにつれて第2回動軸29から離間するように形成されている。
【0016】
実施例では、第1回動軸27の延在方向と第1繋ぎ部30[1]~30[6]の延在方向とのなす鋭角側の角度θa[1]~θa[6]、および、第2回動軸29の延在方向と第2繋ぎ部32[1]~32[6]の延在方向とのなす鋭角側の角度θb[1]~θb[6]は、全て同一となっている。したがって、フィン部22[1]~22[6]は、それぞれ等脚台形となっている。
【0017】
次に、構造体20の事前変形および隣り合う2つのフィン部22間の隙間程度(開口面積)の変更について説明する。
図3および
図4は、構造体20が使用ベース形状のときの斜視図および上面図であり、
図5および
図6は、構造体20のフィン部22が使用ベース形状から弾性変形したときの斜視図および上面図である。なお、
図3~
図6では、見易さを考慮して、稜線を図示した。
【0018】
構造体20の事前変形について説明する。事前変形では、構造体20を製造完了形状から使用ベース形状に変形させる。製造完了形状は、
図1および
図2に示すような平板状の形状であり、使用ベース形状は、
図3および
図4に示すような、第1、第2回動軸27,29を含む所定平面(前後方向および左右方向に延在する平面)に対して上側に凸の湾曲状の形状である。構造体20は、使用ベース形状で、例えば、車載用エアベントとしてダッシュボードに取り付けられる。
【0019】
続いて、構造体20における隣り合う2つのフィン部22間の隙間程度(開口面積)の変更について説明する。構造体20に対して、
図3および
図4に示すような使用ベース形状から、第1、第2支持部26,28を第1、第2回動軸27,29周りに
図3の前側から見て時計回り、反時計回りで回動させると、第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]が、上側から見て谷折りとなるように、詳細には、第1、第2支持部26,28とフィン部22[1]~22[6]の左端、右端とが第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]に対して上側で互いに接近するように、曲げ変形する。上述したように、第1、第2支持部26,28の回動は、手動および自動(モータなどの駆動源の駆動)のうちの何れにより行なわれてもよい。構造体20では、第1、第2回動軸27,29と第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]との距離が前側に比して後側で長い。このため、第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]が曲げ変形すると、
図5および
図6に示すように、フィン部22[1]~22[6]に弾性変形による面外変形が生じ、フィン部22[1]~22[6]が後側に傾く。また、構造体20では、上述の角度θa[1]~θa[6],θb[1]~θb[6]が全て同一である。このため、フィン部22[1]~22[6]のそれぞれ同一程度だけ後側に傾く。フィン部22[1]~22[6]が後側に傾くと、隣り合う2つのフィン部22間の隙間程度(開口面積)が大きくなる。即ち、構造体20では、使用ベース形状からの第1、第2支持部26,28の回動によって、隣り合う2つのフィン部22間の隙間程度(開口面積)を変更することができるのである。しかも、実施例では、構造体20は、第1、第2支持部26,28とフィン部22[1]~22[6]とを第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]を介して繋いだ構成の一体成形品であるから、部品点数の削減や煩雑な組立の省略を図ることができる。
【0020】
ここで、第1、第2繋ぎ部30,32の形状例について、以下の構造体20A,20Bを用いて説明する。
図7は、構造体20Aの斜視図である。
図7に示すように、構造体20Aでは、第1、第2繋ぎ部30A[1]~30A[6],32A[1]~32A[6]は、それぞれ、前側から後側に向かうにつれて第1、第2回動軸27,29から離間するように延在すると共に上面から下面に向かって窪む断面V字状(延在方向に見てV字状)の凹部として形成されている。第1、第2繋ぎ部30A[1]~30A[6],32A[1]~32A[6]がこのように形成されることにより、第1,第2支持部26,28に比して、上側から見て谷折りとなるような曲げ変形に対する曲げ剛性を低くすることができる。
【0021】
図8は、構造体20Bの斜視図である。
図8に示すように、構造体20Bでは、第1、第2繋ぎ部30B[1]~30B[6],32B[1]~32B[6]は、それぞれ、全体として前側から後側に向かうにつれて第1、第2回動軸27,29から離間するように形成されている。それぞれの第1、第2繋ぎ部30B,32Bは、複数の梁部33と、複数の渡し部34とを有する。複数の梁部33は、それぞれ、前側から後側に向かうにつれて第1、第2回動軸27,29から離間するように延在し、互いに左右方向に間隔をおいて並んでいる。複数の渡し部34は、それぞれ、左右方向に延在し、第1、第2支持部26,28と梁部33、隣り合う2つの梁部33、梁部33とフィン部22、のうちの何れかを繋いでいる。
【0022】
具体的には、複数の梁部33は、それぞれ、梁部33の延在方向における第1位置で、渡し部34を介して第1、第2支持部26,28または第1、第2支持部26,28側の隣の梁部33に繋がっていると共に、梁部33の延在方向における第1位置とは異なる第2位置で、渡し部34を介してフィン部22またはフィン部22側の隣の梁部33に繋がっている。
図8の例では、第1位置は、梁部33の延在方向における前端、後端、中央の3箇所と、前端と中央との中間である前側中間、後端と中央との中間である後側中間の2箇所と、のうちの一方であり、第2位置は、これらのうちの他方である。
【0023】
構造体20Bでは、第1、第2繋ぎ部30B[1]~30B[6],32B[1]~32B[6]がこのように形成されることにより、第1,第2支持部26,28に比して、上側から見て谷折りとなるような曲げ変形に対する曲げ剛性を低くすることができる。この曲げ変形の際には、各梁部33の撓みやねじれによって、それぞれの第1、第2繋ぎ部30B,32Bの上面側で、第1、第2繋ぎ部30B,32Bを介して第1、第2支持部26,28とフィン部22の一端、他端とが繋がる繋ぎ方向における長さが短くなり、下面側で繋ぎ方向における長さが長くなるのが抑制される。
【0024】
それぞれの第1、第2繋ぎ部30B,32Bは、
図8のように梁部33を複数有するのに代えて、梁部33を1つだけ有するものとしてもよい。また、それぞれの第1、第2繋ぎ部30B,32Bは、梁部33と渡し部34とを有する
図8の形状に代えて、
図8の形状の上面および/または下面に板状部が組み合わされて構造体全体で板状となるように形成されるものとしてもよい。板状部の厚みは、例えば、構造体20B(第1、第2支持部26,28)の厚みの1/5や1/8、1/10程度以下であるのが好ましい。
【0025】
以上説明した実施例の構造体20では、6つのフィン部22[1]~22[6]は、それぞれ左右方向に延在する帯状で且つ弾性変形可能であり、一対の第1、第2支持部26,28は、それぞれ第1、第2回動軸27,29周りに回動可能であり、6対の第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]は、それぞれ第1、第2支持部26,28とフィン部22[1]~22[6]の左端、右端とを繋ぐと共に曲げ変形可能である。更に、それぞれのフィン部22[i](i:1~6)に対して対の第1、第2繋ぎ部30[i],32[i]は、前側から後側に向かうにつれて第1、第2回動軸27,29から離間するように形成されている。こうした構成とすることにより、使用ベース形状からの第1、第2支持部26,28の回動によって、隣り合う2つのフィン部22間の隙間程度(開口面積)を変更することができる。しかも、構造体20を、第1、第2支持部26,28とフィン部22[1]~22[6]とを第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]を介して繋いだ構成の一体成形品とすることにより、部品点数の削減や煩雑な組立の省略を図ることができる。
【0026】
実施例の構造体20では、第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]は、上述の角度θa[1]~θa[6],θb[1]~θb[6]が全て同一となるように形成されるものとした。しかし、これ限定されるものではなく、角度θa[1]~θa[6],θb[1]~θb[6]のうちの少なくとも一部が異なるように形成されるものとしてもよい。なお、この場合でも、それぞれのフィン部22[i](i:1~6)に対して対の第1、第2繋ぎ部30[i],32[i]は、角度θa[i],θb[i]が互いに同一となるように形成されるのが好ましい。
【0027】
図9は、変形例の構造体120の上面図である。構造体120の左右方向、前後方向、上下方向は、
図9に示した通りである。なお、構造体120の配置の向きがこれに限定されないことは勿論である。
図9に示すように、構造体120は、第1、第2繋ぎ部30[i],32[i](i:1~6)について“i”が大きくなるにつれて角度θa[i],θb[i]が徐々に小さくなるように形成されている点で、構造体20とは異なる。
【0028】
次に、構造体120の事前変形および隣り合う2つのフィン部22間の隙間程度(開口面積)の変更について説明する。
図10は、構造体120が使用ベース形状のときの斜視図であり、
図11および
図12は、構造体120のフィン部22が使用ベース形状から弾性変形したときの斜視図および上面図である。なお、
図10~
図12では、見易さを考慮して、稜線を図示した。
【0029】
事前変形では、構造体120を製造完了形状(
図9の状態)から使用ベース形状(
図10の状態)に変形させる。ここで、構造体120の製造完了形状および使用ベース形状は、構造体20の製造完了形状(
図1および
図2参照)および使用ベース形状(
図3および
図4の状態)と同様である。
【0030】
構造体120に対して、使用ベース形状から第1、第2支持部26,28を第1、第2回動軸27,29周りに
図10の前側から見て時計回り、反時計回りで回動させると、第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]が上側から見て谷折りとなるように曲げ変形する。構造体120では、構造体20と同様に、第1、第2回動軸27,29と第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]との距離が前側に比して後側で長い。このため、第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]が曲げ変形すると、
図11および
図12に示すように、フィン部22[1]~22[6]に弾性変形による面外変形が生じ、フィン部22[1]~22[6]が後側に傾く。また、構造体120では、“i”が大きくなるにつれて上述の角度θa[i],θb[i]が徐々に小さくなる。このため、第1、第2支持部26,28を或る回動量だけ回動させたときに、“i”が大きくなるにつれてフィン部22[i]が後側に傾く程度が小さくなる。これにより、隣り合う2つのフィン部22間の隙間程度(開口面積)は、フィン部22[1],22[2]間の隙間、・・・、フィン部22[5],22[6]間の隙間の順に徐々に小さくなる。即ち、構造体120では、第1、第2支持部26,28を或る回動量だけ回動させたときの、隣り合う2つのフィン部22間の隙間程度(開口面積)を、フィン部22[1],22[2]間の隙間、・・・、フィン部22[5],22[6]間の隙間で互いに異ならせることができるのである。
【0031】
変形例の構造体120では、第1、第2繋ぎ部30[i],32[i](i:1~6)は、“i”が大きくなるにつれて角度θa[i],θb[i]が徐々に小さくなるように形成されるものとした。しかし、これに限定されるものではなく、少なくとも2つの連続する“i”について角度θa[i],θb[i]が同一となるように形成されるものとしてもよい。例えば、“i”が4~6については“i”が大きくなるにつれて角度θa[i],θb[i]が徐々に小さくなり、“i”が1~3については角度θa[i],θb[i]が角度θa[4],θb[4]よりも大きい範囲内で同一となるように形成されるものとしてもよい。
【0032】
実施例や変形例の構造体20,120では、6対の第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]は、それぞれ、前側から後側に向かうにつれて第1回動軸27から離間するように形成されるものとした。しかし、これに限定されるものではなく、6対の第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]のうちの一部の対は、前側から後側に向かうにつれて第1、第2回動軸27,29に接近するように形成されるものとしてもよい。
【0033】
図13は、変形例の構造体220の上面図である。構造体220の左右方向、前後方向、上下方向は、
図13に示した通りである。なお、構造体220の配置の向きがこれに限定されないことは勿論である。
図13に示すように、構造体220は、第1、第2繋ぎ部30[i],32[i](i:1~6)において、“i”が1~3については、前側から後側に向かうにつれて第1、第2回動軸27,29に接近し且つ“i”が小さくなるにつれて角度θa[i],θb[i]が徐々に小さくなり、“i”が4~6については、前側から後側に向かうにつれて第1、第2回動軸27,29から離間し且つ“i”が大きくなるにつれて角度θa[i],θb[i]が徐々に大きくなるように形成されている点で、構造体20とは異なる。
【0034】
次に、構造体220の事前変形および隣り合う2つのフィン部22間の隙間程度(開口面積)の変更について説明する。
図14は、構造体220が使用ベース形状のときの斜視図であり、
図15および
図16は、構造体220のフィン部22が使用ベース形状から弾性変形したときの斜視図および上面図である。なお、
図14~
図16では、見易さを考慮して、稜線を図示した。
【0035】
事前変形では、構造体220を製造完了形状(
図13の状態)から使用ベース形状(
図14の状態)に変形させる。ここで、構造体220の製造完了形状および使用ベース形状は、構造体20の製造完了形状(
図1および
図2参照)および使用ベース形状(
図3および
図4の状態)と同様である。
【0036】
構造体220に対して、使用ベース形状から第1、第2支持部26,28を第1、第2回動軸27,29周りに
図14の前側から見て時計回り、反時計回りで回動させると、第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]が上側から見て谷折りとなるように曲げ変形する。構造体220では、第1、第2繋ぎ部30[i],32[i](i:1~6)において、“i”が1~3については、第1、第2回動軸27,29と第1、第2繋ぎ部30[i],32[i]との距離が後側に比して前側で長く、“i”が4~6については、この距離が前側に比して後側で長い。このため、第1、第2繋ぎ部30[1]~30[6],32[1]~32[6]が曲げ変形すると、
図15および
図16に示すように、フィン部22[1]~22[3]が前側に傾くと共にフィン部22[4]~22[6]が後側に傾く。また、構造体220では、“i”が1~3については、“i”が小さくなるにつれて上述の角度θa[i],θb[i]が徐々に小さくなり、“i”が4~6については、“i”が大きくなるにつれて角度θa[i],θb[i]が徐々に大きくなる。このため、第1、第2支持部26,28を或る回動量だけ回動させたときに、“i”が1~3については、“i”が小さくなるにつれてフィン部22[i]が前側に傾く程度が小さくなり、“i”が4~6については、“i”が大きくなるにつれてフィン部22[i]が後側に傾く程度が小さくなる。これにより、隣り合う2つのフィン部22間の隙間程度(開口面積)は、フィン部22[3],22[4]間の隙間で最大となり、フィン部22[2],22[3]間の隙間、フィン部22[1],22[2]間の隙間の順に徐々に小さくなると共に、フィン部22[4],22[5]間の隙間、フィン部22[5],22[6]間の隙間の順に徐々に小さくなる。即ち、構造体220では、第1、第2支持部26,28を或る回動量だけ回動させたときの、隣り合う2つのフィン部22間の隙間程度(開口面積)を、フィン部22[1],22[2]間の隙間、フィン部22[2],22[3]間の隙間、フィン部22[3],22[4]間の隙間で互いに異ならせると共にフィン部22[3],22[4]間の隙間、フィン部22[4],22[5]間の隙間、フィン部22[5],22[6]間の隙間で互いに異ならせることができるのである。
【0037】
変形例の構造体220では、第1、第2繋ぎ部30[i],32[i](i:1~6)は、“i”が1~3については“i”が小さくなるにつれて角度θa[i],θb[i]が徐々に小さくなり、“i”が4~6については“i”が大きくなるにつれて角度θa[i],θb[i]が徐々に大きくなるように形成されるものとした。しかし、これに限定されるものではなく、少なくとも2つの連続する“i”について角度θa[i],θb[i]が同一となるように形成されるものとしてもよい。例えば、“i”が1~3については角度θa[i],θb[i]が同一となるように形成されるものとしてもよいし、“i”が4~6については角度θa[i],θb[i]が同一となるように形成されるものとしてもよい。
【0038】
実施例や変形例の構造体20,120,220では、フィン部22[1]~22[6]は、中実の台形板状に形成されるものとした。しかし、これに限定されるものではない。
図17は、変形例の構造体320の斜視図である。構造体320の左右方向、前後方向、上下方向は、
図17に示した通りである。なお、構造体320の配置の向きがこれに限定されないことは勿論である。
【0039】
図17に示すように、構造体320は、フィン部22[1]~22[6]がフィン部322[1]~322[6]に置き換えられた点で、構造体20Aとは異なる。それぞれのフィン部322は、複数の梁部23と、複数の渡し部24とを有する。複数の梁部23は、それぞれ、略前後方向に延在し、互いに左右方向に間隔をおいて並んでいる。複数の渡し部24は、それぞれ、左右方向に延在し、第1繋ぎ部30と梁部23、隣り合う2つの梁部23、梁部23と第2繋ぎ部32、のうちの何れかを繋いでいる。
【0040】
具体的には、複数の梁部23は、それぞれ、梁部23の延在方向における第3位置で、渡し部24を介して第1繋ぎ部30または左側(第1繋ぎ部30側)の隣の梁部23に繋がっていると共に、梁部23の延在方向における第3位置とは異なる第4位置で、渡し部24を介して第2繋ぎ部32または右側(第2繋ぎ部32側)の隣の梁部23に繋がっている。
図17の例では、第3位置は、梁部23の延在方向における前端、後端、中央の3箇所と、前端と中央との中間である前側中間、後端と中央との中間である後側中間の2箇所と、のうちの一方であり、第4位置は、これらのうちの他方である。
【0041】
構造体320では、フィン部322[1]~322[6]がこのように形成されることにより、構造体20に比して軽量にしたり弾性変形を容易にしたりすることができる。なお、それぞれのフィン部322は、梁部23と渡し部24とを有する
図17の形状に代えて、
図17の形状の上面および/または下面に板状部が組み合わされて構造体全体で板状となるように形成されるものとしてもよい。板状部の厚みは、例えば、構造体420の厚みの1/5や1/8、1/10程度以下であるのが好ましい。
【0042】
実施例や変形例の構造体20,120,220,320では、単色成形により一体成形された一体成形品であるものとした。しかし、これに限定されるものではなく、2色成形やインサート成形などにより一体成形された一体成形品であるものとしてもよい。
図18は、変形例の構造体420の斜視図であり、
図19は、構造体420の2色成形の様子を示す説明図である。構造体420の左右方向、前後方向、上下方向は、
図18および
図19に示した通りである。なお、構造体420の配置の向きがこれに限定されないことは勿論である。
【0043】
図18および
図19から分かるように、構造体420は、板状の板状部421Aとそれぞれ板状の要素群421Bとの2色成形により一体成形された一体成形品である。例えば、板状部421Aが樹脂などにより形成されると共に要素群421Bが金属などにより形成される。
【0044】
板状部421Aは、上側から見て矩形状である。板状部421Aは、それぞれ上下方向に貫通すると共に左右方向に延在する5つの穴部421aを、前後方向に間隔をおいて有する。要素群421Bには、それぞれ複数のフィン部要素422a[1]~422a[6]と、第1、第2支持部要素426a,428aとが含まれる。複数のフィン部要素422a[1]は、それぞれ上側から見て台形状であり、左右方向に間隔をおいて並んでいる。それぞれ複数のフィン部要素422a[2]~422a[6]についても同様である。第1、第2支持部要素426a,428aは、それぞれ上側から見て構造体420における第1、第2支持部426,428と同一形状である。
【0045】
2色成形により一体成形される構造体420において、フィン部422[1]は、板状部421Aと複数のフィン部要素422a[1]とにより形成される。同様に、フィン部422[2]~422[6]は、それぞれ、板状部421Aとそれぞれ複数のフィン部要素422a[2]~422a[6]とにより形成される。前後方向において隣り合うフィン部22間の隙間は、板状部421Aの各穴部421aと、前後方向において隣り合うフィン部要素422a間の隙間と、により形成される。第1、第2支持部426,428は、それぞれ、板状部421Aと第1、第2支持部要素426a,428aとにより形成される。第1繋ぎ部430[1]は、第1支持部要素426aの右端面と複数のフィン部要素422a[1]のうち最も左側のフィン部要素422a[1]の左端面と、板状部421Aの上面と、により形成される。第1繋ぎ部430[2]~430[6]についても同様である。第2繋ぎ部432[1]は、第2支持部要素428aの左端面と複数のフィン部要素422a[1]のうち最も右側のフィン部要素422a[1]の右端面と、板状部421Aの上面と、により形成される。第2繋ぎ部432[2]~432[6]についても同様である。
【0046】
変形例の構造体420は、2色成形により一体成形された一体成形品であるものとした。しかし、インサート成形などにより一体成形された一体成形品であるものとしてもよい。
【0047】
実施例の構造体20では、第1、第2回動軸27,29は、左右方向に間隔をおいて互いに平行に前後方向に延在するものとした。しかし、第1、第2回動軸27,29は、互いに間隔をおいていれば、互いに平行でなくてもよい。構造体120,220,320,420についても同様である。
【0048】
実施例の構造体20では、フィン部22[1]~22[6]の前端および後端は、左右方向に直線状に延在するものとした。しかし、フィン部22[1]~22[6]の前端および後端は、左右方向に曲線状で延在するものとしてもよい。構造体120,220,320,420についても同様である。
【0049】
実施例では、構造体20は、フィン部22を6つ備えるものとした。しかし、構造体20が備えるフィン部22の数は、これに限定されるものではなく、2つ以上であればよい。構造体120,220,320,420についても同様である。
【0050】
実施例では、構造体20は、一体成形品であるものとした。しかし、複数の部材として成形され、互いに接合されて構成されるものとしてもよい。構造体120,220,320,420についても同様である。
【0051】
実施例では、構造体20は、平板状(
図1および
図2参照)に形成され、第1、第2回動軸27,29を含む所定平面に対して上側に凸の湾曲状の使用ベース形状(
図3および
図4参照)に変形されてから用いられるものとした。しかし、構造体20は、使用ベース形状に形成されるものとしてもよい。構造体120,220,320,420についても同様である。
【0052】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した本開示の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、フィン部22[1]~22[6]が「複数のフィン部」に相当し、第1支持部26が「第1支持部」に相当し、第2支持部28が「第2支持部」に相当し、第1繋ぎ部30[1]~30[6]が「複数の第1繋ぎ部」に相当し、第2繋ぎ部32[1]~32[6]が「複数の第2繋ぎ部」に相当する。
【0053】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した本開示の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した本開示を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した本開示の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した本開示についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した本開示の具体的な一例に過ぎないものである。
【0054】
以上、本開示を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本開示はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0055】
[付記]
[1]本開示の構造体は、所定方向に配列された複数のフィン部を備え、隣り合う2つの前記フィン部間の隙間程度を変更可能な構造体であって、前記複数のフィン部は、それぞれ、帯状で且つ弾性変形可能に形成されており、第1回動軸周りに回動可能な第1支持部と、第2回動軸周りに回動可能な第2支持部と、前記第1支持部と前記複数のフィン部の一端とをそれぞれ繋ぐと共にそれぞれ曲げ変形可能な複数の第1繋ぎ部と、前記第2支持部と前記複数のフィン部の他端とをそれぞれ繋ぐと共にそれぞれ曲げ変形可能な複数の第2繋ぎ部とを備え、前記フィン部に対して対の前記第1、第2繋ぎ部は、それぞれ、前記所定方向における一方側から他方側に向かうにつれて前記第1、第2回動軸から離間するように形成されており、前記複数のフィン部が前記第1、第2回動軸を含む所定平面に対して一方側に湾曲状となっている使用ベース形状から、前記第1、第2支持部が前記第1、第2回動軸周りに予め定められた互いに逆向きで回動すると、前記複数の第1、第2繋ぎ部が、前記第1、第2支持部と前記複数のフィン部とが互いに接近する側に曲げ変形し、これに伴って前記複数のフィン部に弾性変形による面外変形が生じ、前記複数のフィン部が前記所定方向における前記他方側に傾くことにより、隣り合う2つの前記フィン部間の隙間程度が大きくなることを要旨とする。
【0056】
本開示の構造体では、複数のフィン部が第1、第2回動軸を含む所定平面に対して一方側に湾曲状となっている使用ベース形状から、第1、第2支持部が第1、第2回動軸周りに予め定められた互いに逆向きで回動すると、複数の第1、第2繋ぎ部が、第1、第2支持部と複数のフィン部とが互いに接近する側に曲げ変形する。第1、第2回動軸とフィン部に対して対の第1、第2繋ぎ部との距離が所定方向における一方側に比して他方側で長いため、各対の第1、第2繋ぎ部が曲げ変形すると、各フィン部に弾性変形による面外変形が生じ、フィン部が所定方向における他方側に傾く。所定方向における一方側、他方側は、全てのフィン部について同一である(例えば、全てのフィン部について前側、後側で同一である)ものとしてもよいし、一部のフィン部と残余のフィン部とで異なる(例えば、一部のフィン部について前側、後側であり、残余のフィン部について後側、前側である)ものとしてもよい。こうして複数のフィン部が所定方向における他方側に傾くと、隣り合う2つのフィン部間の隙間程度(開口面積)が大きくなる。即ち、使用ベース形状からの第1、第2支持部の回動によって、隣り合う2つのフィン部間の隙間程度(開口面積)を変更することができるのである。しかも、第1、第2支持部と複数のフィン部とを複数の第1、第2繋ぎ部を介して繋いだ構成であるから、より簡易な構成で、具体的には、部品点数の削減や煩雑な組立の省略を図ることが容易な構成で、隣り合う2つのフィン部間の隙間程度(開口面積)の変更を実現することができる。なお、第1、第2支持部の回動は、手動および自動(駆動源の駆動)のうちの何れにより行なわれてもよい。
【0057】
[2]上述の構造体([1]に記載の構造体)において、前記所定方向において対で連続する少なくとも2つの前記第1、第2繋ぎ部は、前記第1、第2回動軸の延在方向と前記第1、第2繋ぎ部の延在方向とのなす角度が一定となるように形成されているものとしてもよい。
【0058】
[3]上述の構造体([1]または[2]に記載の構造体)において、前記所定方向において対で連続する少なくとも3つの前記第1、第2繋ぎ部は、前記第1、第2回動軸の延在方向と前記第1、第2繋ぎ部の延在方向とのなす角度が徐々に変化するように形成されているものとしてもよい。
【0059】
[4]上述の構造体([1]ないし[3]のうちの何れか1つに記載の構造体)において、前記フィン部に対して対の前記第1、第2繋ぎ部は、それぞれ、前記所定方向における前記一方側から前記他方側に向かうにつれて前記第1、第2回動軸から離間するように延在する凹部として形成されているものとしてもよい。
【0060】
[5]上述の構造体([1]ないし[3]のうちの何れか1つに記載の構造体)において、前記フィン部に対して対の前記第1、第2繋ぎ部は、それぞれ、少なくとも1つの梁部と複数の渡し部とを有し、前記少なくとも1つの梁部は、前記所定方向における前記一方側から前記他方側に向かうにつれて前記第1、第2回動軸から離間するように延在し、前記梁部の延在方向における第1位置で、前記渡し部を介して前記第1、第2支持部または前記第1、第2支持部側の隣の前記梁部に繋がっていると共に、前記梁部の延在方向における前記第1位置とは異なる第2位置で、前記渡し部を介して前記フィン部または前記フィン部側の隣の前記梁部に繋がっているものとしてもよい。
【0061】
[6]上述の構造体([1]ないし[5]のうちの何れか1つに記載の構造体)において、前記構造体は、一体成形品であるものとしてもよい。こうすれば、部品点数の削減や煩雑な組立の省略をより確実に図ることができる。ここで、「一体成形品」には、単色成形により一体成形された部材だけでなく、2色成形やインサート成形などにより一体成形された部材も含まれる。
【0062】
[7]上述の構造体([1]ないし[6]のうちの何れか1つに記載の構造体)において、前記構造体は、板状に形成され、前記使用ベース形状に変形されるものとしてもよい。
【0063】
[8]上述の構造体([1]ないし[6]のうちの何れか1つに記載の構造体)において、前記構造体は、前記使用ベース形状に形成されているものとしてもよい。
20,20A,20B,120,220,320,420 構造体、22[1]~22[6],322[1]~322[6],422[1]~422[6] フィン部、26,426 第1支持部、27 第1回動軸、28,428 第2支持部、29 第2回動軸、30,30A,30B,430 第1繋ぎ部、32,32A,32B,432 第2繋ぎ部。