(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040095
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、投与履歴提示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240315BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022158925
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】518315287
【氏名又は名称】エニシア株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 憲生
(72)【発明者】
【氏名】上岡 輔乃
(72)【発明者】
【氏名】坂口 智洋
(72)【発明者】
【氏名】小東 茂夫
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】患者に処方した薬剤の有効成分の投与量の履歴と患者に発生した事象との関係を的確に提示できる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、処方された薬剤に含まれる少なくとも1つの有効成分の投与量の推移に基づいてテキスト情報を診療記録情報から抽出する対象となるテキスト情報抽出対象日を特定するテキスト情報抽出対象日特定部116と、テキスト情報抽出対象日に対応する診療記録情報からテキスト情報を抽出するテキスト情報抽出部117と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方された薬剤に含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移に基づいて、処方された前記薬剤に関連するテキスト情報を診療記録情報から抽出する対象となるテキスト情報抽出対象日を特定するテキスト情報抽出対象日特定部と、
前記テキスト情報抽出対象日に対応する前記診療記録情報から、処方された前記薬剤に関連するテキスト情報を抽出するテキスト情報抽出部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
診療記録記載日毎に、前記少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量を算出する投与量算出部を更に備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記投与量算出部は、前記診療記録記載日毎に、前記薬剤の処方内容を示す処方情報に基づいて、処方された前記薬剤に含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量を算出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
算出された前記少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移を表す投与履歴通知画像を形成し、抽出された前記テキスト情報に基づいて前記薬剤に関連するメッセージを表すメッセージ画像を形成して前記投与履歴通知画像に合成する画像形成部を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
少なくとも薬剤の処方内容を示す処方情報を含む診療記録情報を、前記診療記録情報に対応する診療記録記載日を示す診療記録記載日情報に対応づけて記憶する診療記録記憶部と、
前記診療記録記載日毎に、前記診療記録情報から前記少なくとも1つの薬剤それぞれに含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量を算出するために必要な処方情報を抽出する処方情報抽出部と、
前記投与履歴通知画像を表示部に表示させる表示制御部と、を更に備える、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記診療記録情報は、複数の前記処方情報と、複数の前記処方情報それぞれの区切り位置を示す区切り位置情報と、を含み、
前記処方情報抽出部は、前記診療記録情報の中から、前記区切り位置情報に基づいて複数の処方情報を特定し、特定した複数の前記処方情報それぞれについて予め設定された薬剤の名称を示す薬剤名称情報が含まれるか否かを判別していき、前記薬剤名称情報が含まれると判別できた処方情報を抽出する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記テキスト情報抽出対象日特定部は、直前の前記診療記録記載日に対する、前記少なくとも1つの有効成分のいずれかの投与量の変化量が予め設定された変化量閾値以上である前記診療記録記載日を、前記テキスト情報抽出対象日として特定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記テキスト情報抽出部は、特定された前記テキスト情報抽出対象日に対応する前記診療記録情報の中から、直前の診療記録記載日に対する投与量の変化量が前記変化量閾値以上である有効成分を含有する薬剤の薬剤略称または有効成分の有効成分略称を含むテキスト情報を抽出する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記薬剤名称情報と、前記薬剤の薬剤略称を示す薬剤略称情報と、前記薬剤に含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの有効成分名称を示す有効成分名称情報と、前記少なくとも1つの有効成分それぞれの有効成分略称を示す有効成分略称情報と、前記薬剤の単位量当たりの有効成分の含有量を示す有効成分含有量情報と、を互いに対応づけて記憶する薬剤情報記憶部を更に備える、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記薬剤情報記憶部は、更に、前記少なくとも1つの有効成分が対象とする対象病名を示す対象病名情報を、前記少なくとも1つの有効成分それぞれの前記有効成分名称情報に対応づけて記憶し、
前記画像形成部は、更に、算出された前記少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移を表す領域を、前記対象病名情報に基づいて、前記対象病名が共通する有効成分毎に纏まった位置に配置した投与履歴通知画像を形成する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記診療記録記載日に実施された検査の検査結果を示す検査結果情報を、前記検査を実施した前記診療記録記載日を示す診療記録記載日情報に対応づけて記憶する検査結果記憶部と、
前記検査結果記憶部が記憶する前記検査結果情報の中から、前記テキスト情報抽出対象日に対応づけられた検査結果情報を特定する検査結果特定部と、を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
処方された薬剤に含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移に基づいて、処方された前記薬剤に関連するテキスト情報を診療記録情報から抽出する対象となるテキスト情報抽出対象日を特定するステップと、
前記テキスト情報抽出対象日に対応する前記診療記録情報から、処方された前記薬剤に関連するテキスト情報を抽出するステップと、を含む、
投与履歴提示方法。
【請求項13】
コンピュータを、
処方された薬剤に含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移に基づいて、処方された前記薬剤に関連するテキスト情報を診療記録情報から抽出する対象となるテキスト情報抽出対象日を特定するテキスト情報抽出対象日特定部、
前記テキスト情報抽出対象日に対応する前記診療記録情報から、処方された前記薬剤に関連するテキスト情報を抽出するテキスト情報抽出部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、投与履歴提示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
指定された期間内の各処方について有効成分含量で示す1日当たりの投与量を求める手段と、指定された期間内の各処方について処方開始日と終了日を求める手段と、指定された期間内の各処方を有効成分名称が同じ処方と異なる処方に分類して、有効成分名称が異なる処方は相互に異なる表示態様で表示する手段とを有する診療支援装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この診療支援装置では、医師等の操作者が、薬剤名、傷病名とその発症日、表示期間を、入力装置を介して指定すると、有効成分別・薬剤名別の投与期間等が表示装置に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、薬剤の1日当たりの投与量が変化した場合、電子カルテ情報に記録されている投与量が変化した時点で患者に発生した事象の記録を的確に把握し薬剤の投与と患者に発生した事情との因果関係を把握することが要請される場合がある。しかしながら、特許文献1に記載された診療支援装置は、操作者が把握している患者に処方した薬剤または薬剤の有効成分についての投与量の履歴を表示するのみであり、それらの投与量が変化した時点で患者に発生した事象を表示することができない。このため、操作者は、薬剤またはその有効成分の投与量の変化と患者に発生した事象との因果関係を的確に把握することができない虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、患者に処方した薬剤の有効成分の投与量の履歴と患者に発生した事象との関係を的確に提示できる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、
処方された薬剤に含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移に基づいて、処方された前記薬剤に関連するテキスト情報を診療記録情報から抽出する対象となるテキスト情報抽出対象日を特定するテキスト情報抽出対象日特定部と、
前記テキスト情報抽出対象日に対応する前記診療記録情報から、処方された前記薬剤に関連するテキスト情報を抽出するテキスト情報抽出部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、テキスト情報抽出部が、処方された薬剤に含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移に基づいて特定されたテキスト情報抽出対象日に対応する前記診療記録情報から、処方された薬剤に関連するテキスト情報を抽出する。これにより、患者に処方した薬剤の有効成分の投与量の履歴と患者に発生した事象との関係を的確に提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る診療記録記憶部が記憶する情報の内容の一例を示す図である。
【
図4】実施の形態に係る薬剤情報記憶部が記憶する情報の内容の一例を示す図である。
【
図5】実施の形態に係る投与量履歴記憶部が記憶する情報の内容の一例を示す図である。
【
図6】実施の形態に係るテキスト情報抽出部の動作説明図である。
【
図7】実施の形態に係る投与履歴提示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態に係る情報処理装置の表示部に表示される投与履歴通知画像の一例を示す図である。
【
図9】変形例に係る薬剤情報記憶部が記憶する情報の内容の一例を示す図である。
【
図10】変形例に係る情報処理装置の表示部に表示される投与履歴通知画像の一例を示す図である。
【
図11】変形例に係る検査結果記憶部が記憶する情報の内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態に係る情報処理装置について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る情報処理装置は、少なくとも薬剤の処方内容を示す処方情報を含む診療記録情報を、診療記録情報に対応する診療記録記載日を示す診療記録記載日情報に対応づけて記憶する診療記録記憶部と、診療記録記載日毎に、診療記録情報から処方情報を抽出する処方情報抽出部と、診療記録記載日毎に、処方情報に基づいて処方された薬剤に含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量を算出する投与量算出部と、少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移に基づいて、処方された薬剤に関連するテキスト情報を診療記録情報から抽出する対象となるテキスト情報抽出対象日を特定するテキスト情報抽出対象日特定部と、テキスト情報抽出対象日に対応する診療記録情報から、処方された薬剤に関連するテキスト情報を抽出するテキスト情報抽出部と、算出された少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移を表す投与履歴通知画像を形成し、抽出されたテキスト情報に基づいて薬剤に関連するメッセージを表すメッセージ画像を形成して投与履歴通知画像に合成する画像形成部と、投与履歴通知画像を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【0010】
本実施の形態に係る情報処理装置は、医師が電子カルテ情報に含まれる診療記録情報から診療情報提供書を作成する際に活用でき、複数の電子カルテ情報に亘る薬剤の投与履歴または患者の症状に関する患者の治療経過を効率的に把握することができる。また、本実施の形態に係る情報処理装置は、例えば、主治医意見書のような他の医療文書作成にも活用することができる。更に、本実施の形態に係る情報処理装置は、薬の副作用、有害事象等のスクリーニングに活用したり、通常の診療の際の患者の概況把握にも活用したりすることができる。
【0011】
例えば
図1に示すように、本実施の形態に係る情報処理装置1は、ネットワークNWを介して診療記録情報を記憶する診療記録管理サーバ2に接続されている。この情報処理装置1は、医療機関、福祉施設等に設置され、医師、その他医療従事者等の利用者により使用される。ここで、医療機関としては、脳神経内科その他の内科等、電子カルテ情報から薬の処方情報および患者の症状の変化の情報を把握する必要がある診療科の病院または診療所である。診療記録管理サーバ2は、患者それぞれの診療記録を示す診療記録情報を、患者を識別する患者識別情報に対応づけて記憶する。ここで、診療記録情報としては、例えば医師等が使用する電子カルテシステムで使用される電子カルテ情報のうち、電子カルテシステムの電子カルテ入力端末の表示部に表示されるいわゆる自由記述欄に入力された情報が採用される。診療記録管理サーバ2は、情報処理装置1から診療記録情報の送信を要求する診療記録要求情報を取得すると、取得した診療記録要求情報に含まれる患者識別情報に対応する診療記録情報を特定し、特定した診療記録情報を情報処理装置1へ送信する。
【0012】
情報処理装置1は、例えばパーソナルコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)101と主記憶部102と補助記憶部103と表示部104と入力部105と通信部106と各部を接続するバス109とを備える。主記憶部102は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリから構成され、CPU101の作業領域として使用される。また、主記憶部102には、表示部104に表示される画像情報を一時的に記憶する画像メモリが含まれる。補助記憶部103は、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリから構成され、情報処理装置1の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。表示部104は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置であり、バス109を介して転送されてくる各種情報を表示する。入力部105は、キーボード、タッチパッド等の入力装置であり、利用者が入力する各種操作情報を受け付けて、受け付けた操作情報をCPU101へ転送する。通信部106は、通信インタフェースを有し、ネットワークNWを介して診療記録管理サーバ2と通信する。
【0013】
CPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、
図2に示すように、受付部111、診療記録取得部112、処方情報抽出部113、薬剤略称・投与数特定部114、投与量算出部115、テキスト情報抽出対象日特定部116、テキスト情報抽出部117、画像形成部118および表示制御部119として機能する。また、
図1に示す補助記憶部103は、
図2に示すように、診療記録記憶部131と薬剤情報記憶部132とを有する。更に、
図1に示す主記憶部102は、
図2に示すように、投与量履歴記憶部121とテキスト記憶部122と通知画像記憶部123とを有する。診療記録記憶部131は、例えば
図3に示すように、診療記録管理サーバ2から取得された診療記録情報を、その診療記録情報に対応する患者を識別する患者識別情報と、その診療記録情報を記載した日を示す診療記録記載日情報と、に対応づけて記憶する。診療記録情報は、その患者について診療を行った際のSOAP情報と、処方した薬剤の種類、投与量等に関する情報を含む処方情報と、を含む。ここで、SOAP情報は、主観的(Subjective)情報、客観的(Objective)情報、評価(Assessment)情報、治療の計画(Plan)に関する情報であり、医師による患者の病状についてのコメント等を含むものである。また、SOAP情報は、各情報を、主観的情報、客観的情報、評価情報または治療の計画に関する情報のいずれに属するかを示す属性情報(SOAPラベル情報)を含んでいる。
【0014】
図2に戻って、薬剤情報記憶部132は、例えば
図4に示すように、薬剤の名称を示す薬剤名称情報と、その薬剤の略称を示す薬剤略称情報と、その薬剤に含まれる有効成分の名称を示す有効成分名称情報と、その有効成分の略称を示す有効成分略称情報と、その薬剤の単位量当たりの有効成分の含有量を示す有効成分含有量情報と、を互いに対応づけて記憶する。
【0015】
図2に戻って、投与量履歴記憶部121は、例えば
図5に示すように、各診療記録記載日において患者に処方した薬剤の患者に投与される少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量を示す有効成分投与量情報を、処方した薬剤の薬剤略称情報と、その薬剤の有効成分名称情報と、その有効成分の有効成分略称情報との組み合わせ並びに診療記録記載日情報に対応づけて記憶する。
【0016】
図2に戻って、テキスト記憶部122は、前述のSOAP情報から抽出されたテキスト情報を記憶する。通知画像記憶部123は、表示部104に表示される患者への薬剤の有効成分の投与量の履歴等を表す投与履歴通知画像を示す通知画像情報を記憶する。
【0017】
受付部111は、利用者が入力部105を介して患者の投与履歴通知画像を表示部104に表示させるための投与履歴表示操作を受け付けると、受け付けた操作内容を示す操作情報を診療記録取得部112、処方情報抽出部113、テキスト情報抽出部117および表示制御部119に通知する。この投与履歴表示操作では、投与履歴通知画像に対応する患者の患者識別情報と、投与履歴通知画像に含める診療記録記載日が属する期間を示す表示期間情報と、が指定される。そして、操作情報には、指定された患者識別情報と表示診療期間情報とが含まれる。また、受付部111は、利用者が入力部105を介して投与履歴通知画像の表示部104への表示を終了させるための表示終了操作を受け付けると、受け付けた操作内容を示す操作情報を表示制御部119に通知する。
【0018】
診療記録取得部112は、受付部111から前述の操作情報が通知されると、操作情報に含まれる患者識別情報を含む前述の診療記録要求情報を生成して診療記録管理サーバ2へ送信する。これにより、診療記録取得部112は、診療記録管理サーバ2から送信される診療記録情報および各診療記録情報を記載した日を示す診療記録記載日情報を取得し、取得した診療記録情報を患者識別情報および診療記録記載日情報に対応づけて診療記録記憶部131に記憶させる。
【0019】
処方情報抽出部113は、診療記録記載日毎に、診療記録記憶部131が記憶する診療記録情報の中から少なくとも1つの薬剤それぞれに含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量を算出するために必要な処方情報を抽出する。例えば利用者が、電子カルテシステムの電子カルテ入力端末に表示される自由記述欄に改行あるいは空白を挿入しながら複数の処方情報を含む文章を入力した場合において、文章に含まれる複数の処方情報それぞれの最後の改行位置または空白位置、即ち、各処方情報の区切り位置を示す区切り位置情報が含まれているとする。この場合、処方情報抽出部113は、区切り位置情報に基づいて複数の処方情報を特定する。次に、処方情報抽出部113は、薬剤情報記憶部132が記憶する薬剤名称情報を参照して、特定した複数の処方情報それぞれについて薬剤名称情報が含まれるか否かを判別していく。そして、処方情報抽出部113は、薬剤名称情報が含まれると判別できた処方情報を一日当たりの薬剤の有効成分の投与量を算出するために必要な処方情報として抽出する。診療記録記憶部131が、例えば
図3に示すような処方情報を含む診療記録情報を記憶している場合、処方情報抽出部113は、診療記録記載日「2016/5/1」について、「ドパコール配合錠L100 3錠 分3 毎食後 30日分」、「ドパコール配合錠L50 3錠 分3 毎食後 30日分」、「ナウゼリン錠10 3錠 分3毎食後 30日分」、「メマリー錠5mg 1錠 分1 夕食後 30日分」という処方情報を抽出する。また、処方情報抽出部113は、抽出した処方情報を薬剤略称・投与数特定部114に通知する。
【0020】
薬剤略称・投与数特定部114は、処方情報抽出部113から通知される処方情報それぞれについて、薬剤略称情報と、薬剤の投与数と、を特定する。薬剤略称・投与数特定部114は、薬剤情報記憶部132が記憶する薬剤名称情報と薬剤略称情報とを参照して、各処方情報に含まれる薬剤名称情報を特定してから、特定した薬剤名称情報に対応する薬剤略称情報を特定する。また、薬剤略称・投与数特定部114は、処方情報それぞれについて、処方情報に含まれる数値情報および重量の単位を示す単位情報を抽出し、抽出した数値情報および単位情報に基づいて、薬剤の投与数を特定する。診療記録記憶部131が、例えば
図3に示すような処方情報を含む診療記録情報を記憶している場合、薬剤略称・投与数特定部114は、診療記録記載日「2016/5/1」について、「ドパコール配合錠L100 3錠分3 毎食後 30日分」、「ドパコール配合錠L50 3錠 分3 毎食後 30日分」の略称「ドパコール」、「ナウゼリン錠10 3錠 分3 毎食後 30日分」の略称「ナウゼリン」、「メマリー錠5mg 1錠 分1 夕食後 30日分」の略称「メマリー」を特定する。また、薬剤略称・投与数特定部114は、「ドパコール配合錠L100」の投与数を「3」、「ドパコール配合錠L50」の投与数を「3」、「ナウゼリン錠10」の投与数を「3」、「メマリー錠5mg」の投与数を「1」と特定する。
図2に戻って、そして、薬剤略称・投与数特定部114は、特定した薬剤略称情報および薬剤の投与数を示す薬剤投与数情報を、それらに対応する薬剤名称情報とともに投与量算出部115に通知する。
【0021】
投与量算出部115は、診療記録記載日毎に、処方情報に基づいて処方された薬剤に含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量を算出する。具体的には、投与量算出部115は、薬剤情報記憶部132が記憶する有効成分名称情報を参照して、薬剤略称・投与数特定部114から通知される薬剤名称情報それぞれに対応する有効成分名称情報および有効成分含有量情報を特定する。そして、投与量算出部115は、特定した有効成分含有量情報が示す有効成分の含有量と、薬剤略称・投与数特定部114から通知される薬剤投与数情報が示す薬剤の投与数と、の積を、有効成分の1日当たりの投与量として算出する。診療記録記憶部131が、例えば
図3に示すような処方情報を含む診療記録情報を記憶している場合、投与量算出部115は、「ドパコール配合錠L100」、「ドパコール配合錠L50」の有効成分「レボドパ」の2016/5/1時点における1日当たりの投与量を、100mg×3[錠]+50mg×3[錠]=450mgと算出する。また、投与量算出部115は、「ナウンゼリン錠10」の有効成分「ドンペリドン」の2016/5/1時点における1日当たりの投与量を、10mg×3[錠]=30mgと算出する。また、投与量算出部115は、「メマリー錠5mg」の有効成分「メマンチン塩酸塩」の2016/5/1時点における1日当たりの投与量を、5mg×1[錠]=5mgと算出する。
図2に戻って、投与量算出部115は、算出した有効成分の投与量を示す有効成分投与量情報を、薬剤略称情報、有効成分名称情報、有効成分略称情報および診療記録記載日情報の組み合わせに対応づけて投与量履歴記憶部121に記憶させる。また、投与量算出部115は、有効成分投与量情報を投与量履歴記憶部121に記憶させたことを通知する有効成分投与量更新通知情報をテキスト情報抽出対象日特定部116に通知する。
【0022】
テキスト情報抽出対象日特定部116は、投与量履歴記憶部121が記憶する有効成分投与量情報が示す少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移に基づいて、処方された前記薬剤に関連するテキスト情報を前記診療記録情報から抽出する対象となるテキスト情報抽出対象日を特定する。テキスト情報抽出対象日特定部116は、少なくとも1つの有効成分のいずれかの投与量の直前の診療記録記載日に対する変化量が予め設定された変化量閾値以上である診療記録記載日を、テキスト情報抽出対象日として特定する。テキスト情報抽出対象日特定部116は、例えば少なくとも1つの有効成分のいずれかの投与量の直前の診療記録記載日に対する変化量が1mg以上である診療記録記載日を、テキスト情報抽出対象日として特定する。投与量履歴記憶部121が、例えば
図5に示すような処方情報を含む診療記録情報を記憶している場合、テキスト情報抽出対象日特定部116は、
図5の灰色で示した部分に対応する診療記録記載日「2016/2/5」、「2016/3/18」、「2016/4/15」、「2016/5/13」、「2016/6/17」、「2016/8/4」、「2016/11/15」、「2017/3/18」をテキスト情報抽出対象日として特定する。
図2に戻って、そして、テキスト情報抽出対象日特定部116は、特定したテキスト情報抽出対象日を示すテキスト情報抽出対象日情報をテキスト情報抽出部117に通知する。
【0023】
テキスト情報抽出部117は、テキスト情報抽出対象日特定部116から通知されるテキスト情報抽出対象日情報が示すテキスト情報抽出対象日に対応する診療記録情報から、処方された薬剤に関連するテキスト情報を抽出する。具体的には、テキスト情報抽出部117は、診療記録記憶部131が記憶する、テキスト情報抽出対象日特定部116により特定されたテキスト情報抽出対象日に対応する診療記録情報に含まれるSOAP情報の中から、投与量の直前の診療記録記載日に対する変化量が予め設定された変化量閾値以上である有効成分を含有する薬剤の薬剤略称を含むテキスト情報を抽出する。診療記録記憶部131が、例えばテキスト情報抽出対象日「2016/2/5」に対応するSOAP情報として、
図6に示すようなSOAP情報を記憶しているとする。この場合、テキスト情報抽出部117は、SOAP情報の中から、投与量の直前の診療記録記載日に対する変化量が予め設定された変化量閾値以上である薬剤の薬剤略称「ネオドパストン」、「イクセロンパッチ」、「ヒルドイド」、「ドパコール」、「アリセプト」、または有効成分略称である「レボドパ」、「リバスチグミン」、「ヘパリン」、「レボドパ」、「カルビドパ」、「ドネペジル」(破線で囲んだ部分参照)のいずれかを含むテキスト情報を抽出する。具体的には、テキスト情報抽出部117は、テキスト「イクセロンパッチ9mgへ変更して、皮膚が真っ赤に水膨れのように腫れてしまっている。」、「ヒルドイドを使ったり、貼る部分を変えてもすぐ赤くなりただれてしまう。」、「イクセロンパッチは中止」、「ドネペジルは以前どうやって服用していたかが当診療所に控えが無いので、前回処方されていた通りに服用して頂く。」を示すテキスト情報を抽出する。
図2に戻って、テキスト情報抽出部117は、抽出したテキスト情報にテキスト情報抽出対象日情報を付加してテキスト記憶部122に記憶させる。
【0024】
画像形成部118は、算出された少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移を表す投与履歴通知画像を形成する。また、画像形成部118は、テキスト情報抽出部117により抽出されたテキスト情報に基づいて、薬剤に関連するメッセージを表すメッセージ画像を形成して、前述の投与履歴通知画像に合成する。そして、画像形成部118は、合成して得られた投与履歴通知画像を示す投与履歴通知画像情報を通知画像記憶部123に記憶させる。
【0025】
表示制御部119は、通知画像記憶部123が記憶する前述の投与履歴通知画像情報に基づいて、前述の投与履歴通知画像を表示部104に表示させる。
【0026】
次に、本実施の形態に係る情報処理装置1が実行する投与履歴提示処理について
図7を参照しながら説明する。この投与履歴提示処理は、利用者が情報処理装置1へ電源を投入した後、入力部105を介して投与履歴提示処理を実行するためのプログラムを起動する操作を行ったことを契機として開始される。まず、受付部111は、入力部105を介して前述の投与履歴表示操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、受付部111は、投与履歴表示操作を受け付けない限り(ステップS101:No)、ステップS101の処理を繰り返し実行する。一方、受付部111は、投与履歴表示操作を受け付けたと判定すると(ステップS101:Yes)、受け付けた操作内容を示す操作情報を診療記録取得部112、処方情報抽出部113、テキスト情報抽出部117および表示制御部119に通知する。そして、診療記録取得部112は、操作情報に含まれる患者識別情報を含む前述の診療記録要求情報を生成して診療記録管理サーバ2へ送信することにより、診療記録管理サーバ2から送信される診療記録情報を取得し、取得した診療記録情報を患者識別情報に対応づけて診療記録記憶部131に記憶させる(ステップS102)。
【0027】
次に、処方情報抽出部113は、診療記録記載日毎に、診療記録記憶部131が記憶する診療記録情報の中から少なくとも1つの薬剤それぞれに含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量を算出するために必要な処方情報を抽出する(ステップS103)。ここで、処方情報抽出部113は、抽出した処方情報を薬剤略称・投与数特定部114に通知する。
【0028】
続いて、薬剤略称・投与数特定部114は、処方情報抽出部113から通知される処方情報それぞれについて、薬剤情報記憶部132が記憶する薬剤名称情報と薬剤略称情報とを参照して、各処方情報に含まれる薬剤名称情報を特定してから、特定した薬剤名称情報に対応する薬剤略称情報を特定する。また、薬剤略称・投与数特定部114は、処方情報それぞれについて、処方情報に含まれる数値情報および重量の単位を示す単位情報を抽出し、抽出した数値情報および単位情報に基づいて、薬剤の投与数を特定する(ステップS104)。ここで、薬剤略称・投与数特定部114は、特定した薬剤略称情報および薬剤の投与数を示す薬剤投与数情報を、それらに対応する薬剤名称情報とともに投与量算出部115に通知する。
【0029】
その後、投与量算出部115は、薬剤情報記憶部132が記憶する有効成分名称情報を参照して、通知された薬剤名称情報それぞれに対応する有効成分名称情報および有効成分含有量情報を特定し、診療記録記載日毎に、特定した有効成分含有量情報が示す有効成分の含有量と、通知された薬剤投与数情報が示す薬剤の投与数と、の積を、有効成分の1日当たりの投与量として算出する。また、投与量算出部115は、算出した有効成分の投与量を示す有効成分投与量情報を、薬剤略称情報、有効成分名称情報、有効成分略称情報および診療記録記載日情報の組み合わせに対応づけて投与量履歴記憶部121に記憶させる(ステップS105)。ここで、投与量算出部115は、有効成分投与量情報を投与量履歴記憶部121に記憶させたことを通知する有効成分投与量更新通知情報をテキスト情報抽出対象日特定部116に通知する。
【0030】
次に、テキスト情報抽出対象日特定部116は、少なくとも1つの有効成分のいずれかの投与量の直前の診療記録記載日に対する変化量が予め設定された変化量閾値以上である診療記録記載日を、テキスト情報抽出対象日として特定する(ステップS106)。ここで、テキスト情報抽出対象日特定部116は、特定したテキスト情報抽出対象日を示すテキスト情報抽出対象日情報をテキスト情報抽出部117に通知する。
【0031】
続いて、テキスト情報抽出部117は、診療記録記憶部131が記憶する前述のテキスト情報抽出対象日に対応する診療記録情報に含まれるSOAP情報の中から、投与量の直前の診療記録記載日に対する変化量が前述の変化量閾値以上である有効成分を含有する薬剤の薬剤略称または有効成分略称を含むテキスト情報を抽出し、抽出したテキスト情報をテキスト記憶部122に記憶させる(ステップS107)。
【0032】
その後、画像形成部118は、算出された少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移を表す投与履歴通知画像を形成するとともに、抽出されたテキスト情報に基づいて、薬剤に関連するメッセージを表すメッセージ画像を形成する。そして、画像形成部118は、メッセージ画像を投与履歴通知画像に合成して得られる投与履歴通知画像を示す投与履歴通知画像情報を通知画像記憶部123に記憶させる(ステップS108)。
【0033】
次に、表示制御部119は、通知画像記憶部123が記憶する前述の投与履歴通知画像情報に基づいて、前述の投与履歴通知画像を表示部104に表示させる(ステップS109)。ここで、表示制御部119は、例えば
図8に示すような投与履歴通知画像GA1を表示部104の表示画面104aに表示させる。投与履歴通知画像GA1は、複数種類の有効成分それぞれの投与量の推移を示す折れ線グラフ画像GR1、GR2、GR3、GR4、GR5、GR6、GR7、GR8、GR9、GR10を含み、メッセージ画像ME2、ME3、ME4、ME5が合成されている。また、投与履歴通知画像GA1は、複数種類の有効成分に対応する折れ線グラフ画像GR1、GR2、GR3、GR4、GR5、GR6、GR7、GR8、GR9、GR10において、前述のテキスト情報抽出対象日を示す丸印を表すマーク画像MK1、MK2、MK3、MK4、MK5、MK6、MK8、MK9、MK10も含む。
【0034】
図7に戻って、続いて、受付部111は、入力部105を介して投与履歴通知画像GA1の表示を終了させるための表示終了操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS110)。ここで、受付部111が、表示終了操作を受け付けていないと判定すると(ステップS110:No)、再びステップS109の処理が実行される。一方、受付部111が、表示終了操作を受け付けたと判定すると(ステップS110:No)、表示制御部119が、投与履歴通知画像を消去し(ステップS111)、再びステップS101の処理が実行される。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置1によれば、投与量算出部115が、診療記録記載日毎に、処方情報に基づいて処方された薬剤に含まれる少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量を算出する。また、テキスト情報抽出部117が、少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移に基づいて特定されたテキスト情報抽出対象日に対応する診療記録情報から、処方された薬剤に関連するテキスト情報を抽出する。そして、表示制御部119が、算出された少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移を表す投与履歴通知画像と、抽出されたテキスト情報に基づいて形成された薬剤に関連するメッセージを表すメッセージ画像と、を表示部104に表示させる。これにより、患者に処方した薬剤の有効成分の投与量の履歴と患者に発生した事象との関係を的確に提示できる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば
図9に示すように、薬剤情報記憶部2132が、薬剤の名称を示す薬剤名称情報と、その薬剤の略称を示す薬剤略称情報と、その薬剤に含まれる有効成分の名称を示す有効成分名称情報と、その有効成分の略称を示す有効成分略称情報と、その薬剤に含まれる有効成分の含有量を示す有効成分含有量情報とともに、有効成分が対象とする病名を示す対象病名情報を互いに対応づけて記憶するものであってもよい。そして、画像形成部が、算出された少なくとも1つの有効成分それぞれの投与量の推移を表す領域を、対象病名情報に基づいて、対象病名が共通する有効成分毎に纏まった位置に配置した投与履歴通知画像を形成するものであってもよい。
【0037】
この場合、投与量算出部115は、薬剤情報記憶部2132が記憶する有効成分名称情報を参照して、通知された薬剤名称情報それぞれに対応する有効成分名称情報、有効成分略称情報および有効成分含有量情報とともに対象病名情報を特定し、算出した有効成分の投与量を示す有効成分投与量情報を、薬剤略称情報、有効成分名称情報、有効成分略称情報、診療記録記載日情報および対象病名情報の組み合わせに対応づけて投与量履歴記憶部121に記憶させるようにすればよい。そして、表示制御部119は、例えば
図10に示すような、対象病名情報毎に異なる列に折れ線グラフ画像GR1、GR2、GR3、GR4、GR5、GR6、GR7、GR8、GR9、GR10が配置された投与履歴通知画像GA2を表示部104の表示画面104aに表示させるものであってもよい。即ち、各有効成分それぞれの投与量の推移を表す折れ線グラフ画像GR1、GR2、GR3、GR4、GR5、GR6、GR7、GR8、GR9、GR10が配置される領域を、対象病名情報に基づいて、対象病名が共通する有効成分毎に纏まった位置に配置した投与履歴通知画像を形成するものであってもよい。なお、
図10において、実施の形態と同様の構成については
図8と同一の符号を付している。ここで、投与履歴通知画像GA2は、折れ線グラフ画像GR1、GR2、GR3、GR4、GR5、GR6、GR7、GR8、GR9、GR10の各列の上方に配置された対象病名を表すメッセージ画像CA1、CA2、CA3を含んでいる。具体的には、「パーキンソン病」の有効成分「レボドパ」の投与量の推移を表す折れ線グラフ画像GR1、GR2が、「パーキンソン病」を表すメッセージ画像CA1」の下側の纏まった位置に配置されている。また、「アルツハイマー型認知症」の有効成分「リバスチグミン」、「ドネペジル」、「ガランタミン」、「メマンチン」の投与量の推移を表す折れ線グラフ画像GR3、GR4、GR5、GR6が、「アルツハイマー型認知症」を表すメッセージ画像CA2の下側の纏まった位置に配置されている。
【0038】
本構成によれば、各有効成分の投与量の推移と対象病名との関係を把握し易くなるという利点がある。
【0039】
実施の形態では、診療記録情報として、電子カルテシステムで使用される電子カルテ情報のうち、電子カルテシステムの電子カルテ入力端末の表示部に表示されるいわゆる自由記述欄に入力された情報を採用し、情報処理装置1が、その診療記録情報に含まれる処方情報を抽出する例について説明した。但し、これに限らず、薬剤の処方情報を、処方情報のみを記憶している処方情報管理サーバ(図示せず)から取得するものであってもよい。そして、情報処理装置が、例えば薬剤の処方情報が、電子カルテ情報のうちの前述の自由記述欄に入力された情報に処方情報が含まれていない場合、処方情報管理サーバから診療記録情報とは別に薬剤の処方情報を取得する処方情報取得部(図示せず)を更に備え、処方情報取得部が、取得した処方情報を処方情報抽出部113に通知するものであってもよい。
【0040】
本構成によれば、電子カルテ情報のうちの前述の自由記述欄に入力された情報に処方情報が含まれていない場合であっても薬剤の有効成分の投与量を算出することができる。
【0041】
実施の形態では、処方情報抽出部113が、前述の自由記述欄に改行あるいは空白を挿入しながら複数の処方情報を入力した場合において、複数の処方情報それぞれの最後の改行位置または空白位置を示す区切り位置情報に基づいて複数の処方情報を特定し、特定した複数の処方情報それぞれについて薬剤名称情報が含まれるか否かを判別していく例について説明した。但し、これに限らず、処方情報抽出部113が、自由記述欄に入力された情報全体から薬剤名称情報を抽出するものであってもよい。
【0042】
実施の形態では、テキスト情報抽出部117が、テキスト情報抽出対象日特定部116により特定されたテキスト情報抽出対象日に対応する診療記録情報に含まれるSOAP情報の中から、投与量の直前の診療記録記載日に対する変化量が変化量閾値以上である有効成分を含有する薬剤の薬剤略称または有効成分略称を含むテキスト情報を抽出する例について説明した。但し、これに限らず、テキスト情報抽出は、薬剤略称または有効成分略称を含む文に加えて、その前後の複数の文を抽出してもよい。また、テキスト情報抽出部117が、SOAP情報全体から対象病名(症状)を含むテキスト情報を抽出するものであってよい。或いは、テキスト情報抽出部117が、自由記述欄に入力されたSOAP情報を示す文章について構文解析を実行し、有効成分の投与量を変更する原因となるフレーズを抽出するものであってもよい。
【0043】
実施の形態では、テキスト情報抽出対象日特定部116は、少なくとも1つの有効成分のいずれかの投与量の直前の診療記録記載日に対する変化量が予め設定された変化量閾値以上である診療記録記載日を、テキスト情報抽出対象日として特定する例について説明した。但し、これに限らず、変化量閾値以上である診療記録記載日の前回までテキスト情報抽出対象日に加えるなど、幅を持たせてもよい。これにより、薬剤の処方変更の原因となった患者に発生した事象について、漏れなく把握することができる。
【0044】
実施の形態では、テキスト情報抽出対象日特定部116は、例えば少なくとも1つの有効成分のいずれかの投与量の直前の診療記録記載日に対する変化量が1mg以上である診療記録記載日を、テキスト情報抽出対象日として特定する例について説明した。但し、これに限らず、変化量閾値は自由に設定してもよい。また、薬剤ごとに変化量閾値を設定してもよい。或いは、投与量の推移に基づいて動的に変化量閾値を設定してもよい。
【0045】
実施の形態では、処方情報抽出部113は、薬剤名称情報が含まれると判別できた処方情報を一日当たりの薬剤の有効成分の投与量を算出するために必要な処方情報として抽出する例について説明した。但し、これに限らず、一週間当たり、一月当たり等、所定の期間を基準として、薬剤の有効成分の投与量を算出するために必要な処方情報を抽出してもよい。また、期間を基準とせずに、一回当たりの薬剤の有効成分の投与量を算出するために必要な処方情報を抽出してもよい。
【0046】
実施の形態において、テキスト情報抽出部117は、SOAP情報に含まれる前述の属性情報(SOAPラベル情報)を含めてテキスト情報を抽出してもよい。この場合、利用者は、例えば主観的(Subjective)情報、客観的(Objective)情報、または評価(Assessment)情報を示すSOAPラベル情報が付与されているテキスト情報が、テキスト情報抽出対象日よりも前の診療記録記載日の処方に伴い発生した患者の事象に関するものであり、治療の計画(Plan)を示す情報のSOAPラベル情報が付与されているテキスト情報が、テキスト情報抽出対象日における処方の変更点に関するものであること、を把握できる。例えば、
図8において、「2016/3/18」付けの「ドパコール」のコメント「レボドパ300mg→450mgにしたが、運動症状、首下がりとも悪化傾向」は、評価(Assessment)情報の欄に記載されているテキスト情報であり、前回の「2016/2/5」の処方で、ネオドパストン(レボドパ300mg)から、ドパコール(レボドパ450mg)に変更したことに伴い発生した患者の事象を示している。従って、「2016/3/18」付けの「ドパコール」のコメントに、評価(Assessment)情報を示すSOAPラベル情報を付与してもよい。また、「2016/8/4」付けの「ドパコール」のコメント「レボドパ750mgまで増量」は、治療の計画(Plan)に関する情報の欄に記載されているテキスト情報であり、今回の処方の変更点を示している。従って、「2016/8/4」付けの「ドパコール」のコメントに治療の計画(Plan)に関する情報を表すSOAPラベル情報を付与してもよい。
【0047】
実施の形態において、表示制御部119が、利用者が入力部105を介して編集可能な電子カルテ情報から抜粋したテキスト情報を表示する欄を含む投与履歴通知画像を表示部104に表示させるものであってもよい。この場合、利用者がいわゆるコピーアンドペースト操作を行うことにより文書作成作業を行う際の利便性を向上させることができる。
【0048】
実施の形態において、投与履歴通知画像が、折れ線グラフ画像GR1、GR2、GR3、GR4、GR5、GR6、GR7、GR8、GR9、GR10の代わりに、または、これらとともに、有効成分の投与量の履歴を示す表画像或いは自然文のメッセージ画像を含むものであってもよい。
【0049】
実施の形態における情報処理装置1の機能の一部または全部が、情報処理装置1にインターネットのような広域ネットワークを介して接続されたクラウドサーバ(図示せず)でAPIとして実現されていてもよい。例えば、テキスト情報抽出対象日特定部と、テキスト情報抽出部と、のそれぞれの機能を用いて、診療記録情報及び有効成分の投与量情報を入力データとして受け取り、処方された薬剤に関連するテキスト情報を出力データとして情報処理装置または端末装置へ送信するものであってもよい。または、投与量算出部と、テキスト情報抽出対象日特定部と、テキスト情報抽出部と、のそれぞれの機能を用いて、診療記録情報を入力データとして受け取り、処方された薬剤に関連するテキスト情報を出力データとして情報処理装置または端末装置へ送信するものであってもよい。或いは、投与量算出部と、テキスト情報抽出対象日特定部と、テキスト情報抽出部と、画像形成部と、のそれぞれの機能を用いて、診療記録情報を入力データとして受け取り、有効成分それぞれの投与量の推移を表す投与履歴通知画像と、抽出されたテキスト情報に基づいて形成された薬剤に関連するメッセージを表すメッセージ画像を合成した画像を出力データとして情報処理装置または端末装置へ送信するものであってもよい。
【0050】
実施の形態に係る情報処理装置1の各種機能は、電子カルテシステムの機能の一部に組み込まれたものであってもよいし、電子カルテシステムから独立したものであってもよい。また、電子カルテシステムから独立したものである場合、電子カルテシステムと実施の形態に係る情報処理装置1の各種機能との間で情報の授受を実行するためのアプリケーションが、クラウドサーバから提供されるものであってもよい。
【0051】
実施の形態において、情報処理装置が、例えば
図11に示すような、診療記録記載日に実施された検査の検査結果を示す検査結果情報を、その検査結果情報に対応する患者を識別する患者識別情報と、検査を実施した結果とを、診療記録記載日を示す診療記録記載日情報と、に対応づけて記憶する検査結果記憶部3133を備えるものであってもよい。ここで、検査結果記憶部3133は、例えば、病理検査の結果を示す病理検査結果情報と、腫瘍マーカ検査の検査結果を示す腫瘍マーカ検査結果情報と、CT(Computed Tomography)スキャン画像に基づく医師の読影レポートを示す読影レポート情報と、その他検体検査の結果を示す検体検査結果情報と、を含む。そして、情報処理装置が、検査結果記憶部3133が記憶する検査結果情報の中から、前述のテキスト情報抽出対象日に対応づけられた検査結果情報を特定する検査結果特定部(図示せず)を備えていてもよい。この場合、画像形成部118が、例えばテキスト情報抽出対象日に対応づけられた病理検査結果情報、腫瘍マーカ検査結果情報、読影レポート情報および検体検査結果情報を含む検査結果通知画像を形成し、投与履歴通知画像とその下側に配置された検査結果通知画像とを含む画像を形成してもよい。
【0052】
また、情報処理装置が、検査結果情報を管理する検査結果管理サーバ(図示せず)とネットワークNWを介して通信可能であってもよい。そして、前述の検査結果特定部が、テキスト情報抽出対象日における検査結果情報を検査結果記憶部3133が記憶していないと判定すると、検査結果管理サーバに対してテキスト情報抽出対象日における検査結果情報の送信を要求する検査結果要求情報を検査結果管理サーバへ送信し、検査結果管理サーバから送信されるテキスト情報抽出対象日における検査結果情報を取得するものであってもよい。
【0053】
実施の形態では、診療記録情報を診療記録管理サーバ2から取得する例について説明したがこれに限らず、診療記録記憶部131に予め必要な診療記録情報が記憶されているものであってもよい。また、診療記録取得部112が、例えば情報処理装置1に設けられた可搬式記録媒体用の接続インタフェースに接続された可搬式記録媒体から診療記録情報を取得するものであってもよい。
【0054】
また、本発明に係る情報処理装置1の各種機能は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する情報処理装置1を構成してもよい。
【0055】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線の掲示版(BBS(Bulletin Board System))にアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OS(Operating System)の制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する情報処理装置1として機能する。
【0056】
以上、本発明の各実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態及び変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、医療現場において診療記録情報から要約情報を生成する作業に好適である。
【符号の説明】
【0058】
1:情報処理装置、2:診療記録管理サーバ、101:CPU、102:主記憶部、103:補助記憶部、104:表示部、104a:表示画面、105:入力部、106:通信部、109:バス、111:受付部、112:診療記録取得部、113:処方情報抽出部、114:薬剤略称・投与数特定部、115:投与量算出部、116:テキスト情報抽出対象日特定部、117:テキスト情報抽出部、118:画像形成部、119:表示制御部、121:投与量履歴記憶部、122:テキスト記憶部、123:画像記憶部、131:診療記録記憶部、132,2132:薬剤情報記憶部、3133:検査結果記憶部、GA1,GA2:投与履歴通知画像、NW:ネットワーク