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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040098
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】カルテフォルダ
(51)【国際特許分類】
   B42F 21/06 20060101AFI20240315BHJP
   B42F 7/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B42F21/06 F
B42F7/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165749
(22)【出願日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】U 2022003034
(32)【優先日】2022-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522362899
【氏名又は名称】大石 賢玄
(74)【代理人】
【識別番号】100115510
【弁理士】
【氏名又は名称】手島 勝
(72)【発明者】
【氏名】大石 賢玄
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QA03
2C017QF05
(57)【要約】
【課題】医療機関の診断管理に便利なカルテ用フォルダを提供する。
【解決手段】本発明のフォルダ100は、カルテ30を挟んで収納するカルテファイル部10と、カルテファイル部10に挿入される診断処理表示部材20とから構成されている。カルテファイル部10は、長辺(13、19)および短辺(14、18)を有する長方形形状を有し、診断処理表示部材20は、カルテファイル部10の長辺(13、19)よりも長い寸法の板状部材21から構成されている。診断処理表示部材20は、カルテファイル部10から露出して延びた延長部29を有している。延長部29には、処理内容が記載された処理表示材(メモなど)を挟む開口部27が設けられている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルテを保管するフォルダであって、
カルテを挟んで収納するカルテファイル部と、
前記カルテファイル部に挿入される診断処理表示部材と
を備え、
前記カルテファイル部は、長辺および短辺を有する長方形形状を有しており、
前記診断処理表示部材は、前記カルテファイル部の前記長辺よりも長い寸法の板状部材から構成されており、
前記診断処理表示部材は、前記カルテファイル部から露出して延びた延長部を有しており、
前記延長部には、処理内容が記載された処理表示材を挟む開口部が設けられている、フォルダ。
【請求項2】
前記処理表示材は、紙状部材から構成されており、
前記診断処理表示部材における前記延長部の少なくとも一部の厚さは、前記延長部以外の部位の厚さよりも厚く、
前記厚さが厚い部位において、前記処理表示材を挟む前記開口部が形成されている、請求項1に記載のフォルダ。
【請求項3】
前記厚さが厚い部位は、下層部と、上層部とから構成されており、
前記下層部と前記上層部との間に前記開口部が形成されており、
前記下層部の先端部は、前記上層部の先端部よりも延びていることで段差構造が構築されている、請求項2に記載のフォルダ。
【請求項4】
前記上層部の側面には、切り欠き部が形成されている、請求項3に記載のフォルダ。
【請求項5】
前記上層部の中央部には、切り抜き部が形成されている、請求項3に記載のフォルダ。
【請求項6】
前記下層部の厚さは、前記延長部以外の部位の厚さと同じである、請求項3から5の何れか一つに記載のフォルダ。
【請求項7】
前記カルテファイル部は、透光性樹脂部材から構成されており、
前記診断処理表示部材は、長方形形状を有しており、
前記カルテファイル部は、表面部と裏面部とから構成されており、
前記表面部と前記裏面部との間に位置する収納部には、カルテおよび診断処理書類が配置されている、請求項1に記載のフォルダ。
【請求項8】
書類を保管するフォルダであって、
書類を挟んで収納するファイル部と、
前記ファイル部に挿入される処理表示部材と
を備え、
前記ファイル部は、長辺および短辺を有する長方形形状を有しており、
前記処理表示部材は、前記ファイル部の前記長辺よりも長い寸法の板状部材から構成されており、
前記処理表示部材は、前記ファイル部から露出して延びた延長部を有しており、
前記延長部には、処理内容が記載された処理表示材を挟む開口部が設けられており、
前記処理表示材は、紙状部材であり、
前記処理表示部材における前記延長部の少なくとも一部の厚さは、前記延長部以外の部位の厚さよりも厚く、
前記厚さが厚い部位において、前記処理表示材を挟む前記開口部が形成されている、フォルダ。
【請求項9】
前記厚さが厚い部位は、下層部と、上層部とから構成されており、
前記下層部と前記上層部との間に前記開口部が形成されており、
前記下層部の先端部は、前記上層部の先端部よりも延びていることで段差構造が構築されている、請求項8に記載のフォルダ。
【請求項10】
前記上層部には、前記下層部の上面を露出する切り抜き部が形成されている、請求項9に記載のフォルダ。
【請求項11】
前記延長部には、凹部および凸部のうちの少なくとも一つが形成されている、請求項7から9の何れか一つに記載のフォルダ。
【請求項12】
ファイル部に挿入される処理表示部材であって、
前記処理表示部材は、板状部材から構成されており、
前記処理表示部材は、前記ファイル部から露出して延びた延長部を有しており、
前記延長部には、処理内容が記載された処理表示材を挟む開口部が設けられている、処理表示部材。
【請求項13】
前記処理表示材は、紙状部材であり、
前記処理表示部材における前記延長部の少なくとも一部の厚さは、前記延長部以外の部位の厚さよりも厚く、
前記厚さが厚い部位において、前記処理表示材を挟む前記開口部が形成されている、請求項12に記載の処理表示部材。
【請求項14】
前記厚さが厚い部位は、下層部と、上層部とから構成されており、
前記下層部と前記上層部との間に前記開口部が形成されており、
前記下層部の先端部は、前記上層部の先端部よりも延びていることで段差構造が構築されている、請求項12に記載の処理表示部材。
【請求項15】
前記延長部には、凹部および凸部のうちの少なくとも一つが形成されている、請求項12から14の何れか一つに記載の処理表示部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルテフォルダに関し、特に、病院等の医療機関における患者のカルテを保管するフォルダに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関においては、患者毎に準備されたフォルダを利用してカルテを保管するシステムが採用されている(例えば、特許文献1)。このシステムによるフォルダは、通常は、受付窓口の近傍に設置された収納棚に立て掛けられた姿勢で収納されている。
【0003】
また、カルテを必要とするときの検索を容易なものとするために、フォルダに見出しカードを収納できる透明なポケットを形成しておく。そして、このポケット内に収納された見出しカードの表示内容を外部から認識して特定のフォルダを取り出しできるようになっている。
【0004】
特許文献1には、図1に示したようなフォルダ120が提案されている。図1に示したフォルダ120には、見出しカード110が設けられる。見出しカード110の文字表示領域にはフォルダ120に収納されるカルテと同じ番号が印字され、各数字には、数字毎に予め特定された背景色が付されている。このような見出しカード110を用いることにより、色を参照しながら容易に所定のカルテ(例えば、1321番のカルテ)を発見することができて、便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-245563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、所定のカルテをすばやく見つけるためだけに、カルテ用のフォルダを利用するのではなく、病院等の医療機関の診断管理においてもっと積極的に使用できないかを鋭意検討していた。そのような中、従来のフォルダ120に見出しカード110を付けた管理ではなく、新たな構造を持ったフォルダ(カルテ用フォルダ)を思いつき、本発明に至った。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、医療機関の診断管理に便利なフォルダ(カルテ用フォルダ)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフォルダは、カルテを保管するフォルダであり、カルテを挟んで収納するカルテファイル部と、前記カルテファイル部に挿入される診断処理表示部材とを備えている。前記カルテファイル部は、長辺および短辺を有する長方形形状を有している。前記診断処理表示部材は、前記カルテファイル部の前記長辺よりも長い寸法の板状部材から構成されている。前記診断処理表示部材は、前記カルテファイル部から露出して延びた延長部を有している。前記延長部には、処理内容が記載された処理表示材を挟む開口部が設けられている。
【0009】
ある好適な実施形態において、前記処理表示材は、紙状部材から構成されている。前記診断処理表示部材における前記延長部の少なくとも一部の厚さは、前記延長部以外の部位の厚さよりも厚く、前記厚さが厚い部位において、前記処理表示材を挟む前記開口部が形成されている。
【0010】
ある好適な実施形態において、前記厚さが厚い部位は、下層部と、上層部とから構成されている。前記下層部と前記上層部との間に前記開口部が形成されている。前記下層部の先端部は、前記上層部の先端部よりも延びていることで段差構造が構築されている。
【0011】
ある好適な実施形態において、前記上層部の側面には、切り欠き部が形成されている。
【0012】
ある好適な実施形態において、前記上層部の中央部には、切り抜き部が形成されている。
【0013】
ある好適な実施形態において、前記下層部の厚さは、前記延長部以外の部位(21)の厚さと同じである。
【0014】
ある好適な実施形態において、前記カルテファイル部は、透光性樹脂部材から構成されている。前記診断処理表示部材は、長方形形状を有している。前記カルテファイル部は、表面部と裏面部とから構成されている。前記表面部と前記裏面部との間に位置する収納部には、カルテおよび診断処理書類が配置されている。
【0015】
本発明に係るフォルダは、書類を保管するフォルダであり、書類を挟んで収納するファイル部と、前記ファイル部に挿入される処理表示部材とを備えている。前記ファイル部は、長辺および短辺を有する長方形形状を有している。前記処理表示部材は、前記ファイル部の前記長辺よりも長い寸法の板状部材から構成されている。前記処理表示部材は、前記ファイル部から露出して延びた延長部を有している。前記延長部には、処理内容が記載された処理表示材を挟む開口部が設けられている。前記処理表示材は、紙状部材である。前記診断処理表示部材における前記延長部の少なくとも一部の厚さは、前記延長部以外の部位の厚さよりも厚く、前記厚さが厚い部位において、前記処理表示材を挟む前記開口部が形成されている。
【0016】
ある好適な実施形態において、前記厚さが厚い部位は、下層部と、上層部とから構成されている。前記下層部と前記上層部との間に前記開口部が形成されている。前記下層部の先端部は、前記上層部の先端部よりも延びていることで段差構造が構築されている。
【0017】
ある好適な実施形態において、前記上層部には、前記下層部の上面を露出する切り抜き部が形成されている。
【0018】
ある好適な実施形態において、前記延長部には、凹部および凸部のうちの少なくとも一つが形成されている。
【0019】
本発明に係るフォルダは、ファイル部に挿入される処理表示部材であり、前記処理表示部材は、板状部材から構成されている。前記処理表示部材は、前記ファイル部から露出して延びた延長部を有している。前記延長部には、処理内容が記載された処理表示材を挟む開口部が設けられている。
【0020】
ある好適な実施形態において、前記処理表示材は、紙状部材である。前記診断処理表示部材における前記延長部の少なくとも一部の厚さは、前記延長部以外の部位の厚さよりも厚く、前記厚さが厚い部位において、前記処理表示材を挟む前記開口部が形成されている。
【0021】
ある好適な実施形態において、前記厚さが厚い部位は、下層部と、上層部とから構成されている。前記下層部と前記上層部との間に前記開口部が形成されている。前記下層部の先端部は、前記上層部の先端部よりも延びていることで段差構造が構築されている。
【0022】
ある好適な実施形態において、前記延長部には、凹部および凸部のうちの少なくとも一つが形成されている。
【0023】
本発明の実施形態に係るフォルダは、カルテを保管するフォルダであり、カルテを挟んで収納するカルテファイル部と、前記カルテファイル部に挿入される診断処理表示部材とを備えている。前記カルテファイル部は、長辺および短辺を有する長方形形状を有している。前記診断処理表示部材は、前記カルテファイル部の前記長辺よりも長い寸法の板状部材から構成されている。前記診断処理表示部材は、前記カルテファイル部から露出して延びた延長部を有している。前記延長部には、処理内容が記載された処理表示部が設けられている。
【0024】
ある実施形態において、前記カルテファイル部は、透光性樹脂部材から構成されている。前記診断処理表示部材は、長方形形状を有している。
【0025】
ある実施形態において、前記カルテファイル部は、表面部と裏面部とから構成されている。前記表面部と前記裏面部との間に位置する収納部には、カルテおよび診断処理書類が配置されている。
【0026】
ある実施形態では、さらに、処理表示部における表示情報の異なる複数本の前記診断処理表示部材が容器に備え付けられている。前記カルテファイル部の前記収納部には、前記複数本のうちの少なくとも1本の前記診断処理表示部材が挿入されている。
【0027】
ある実施形態において、前記診断処理表示部材における前記延長部の少なくとも一部の厚さは、前記延長部以外の部位の厚さよりも厚い。
【0028】
ある実施形態において、前記処理表示部には、凹部および凸部のうちの少なくとも一つが形成されている。
【0029】
ある実施形態では、前記凹部および凸部のうちの少なくとも一つは、パターンを形成している。
【0030】
本発明の実施形態に係るフォルダは、書類を保管するフォルダであり、書類を挟んで収納するファイル部と、前記ファイル部に挿入される処理表示部材とを備えている。前記ファイル部は、長辺および短辺を有する長方形形状を有している。前記処理表示部材は、前記ファイル部の前記長辺よりも長い寸法の板状部材から構成されている。前記処理表示部材は、前記ファイル部から露出して延びた延長部を有している。前記延長部には、処理内容が記載された処理表示部が設けられている。
【0031】
本発明の実施形態に係る処理表示部材は、ファイル部に挿入される処理表示部材である。前記処理表示部材は、板状部材から構成されている、前記処理表示部材は、前記ファイル部から露出して延びた延長部を有している。前記延長部には、処理内容が記載された処理表示部が設けられている。
【0032】
ある実施形態において、前記処理表示部材における前記延長部の少なくとも一部の厚さは、前記延長部以外の部位の厚さよりも厚い。
【0033】
ある実施形態において、前記処理表示部材は、診断のための処理内容が記載された処理表示部を備えた診断処理表示部材である。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係るフォルダによれば、カルテファイル部に挿入される診断処理表示部材における延長部に、処理内容が記載された処理表示材を挟む開口部が設けられているので、その開口部に、メモなどの処理表示部を挟んで表示させることができる。したがって、次の指示内容が示された処理表示材を挟んで表示させた診断処理表示部材をカルテファイル部に挿入することで、そのカルテの診断者(患者)の次の診断を確実にかつスムーズにすることができ、その結果、医療機関の診断管理に便利なフォルダ(カルテ用フォルダ)を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】特許文献1に開示されたカルテ用フォルダを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るカルテ用フォルダ100の構成を示す図(平面図)である。
図3】本実施形態に係るカルテ用フォルダ100の構成を示す図(分解平面図)である。
図4】本実施形態に係るカルテ用フォルダ100の使用状態を示す図である。
図5図4に示した使用状態の拡大図である。
図6】本実施形態に係る診断処理書類32の一例を示す図である。
図7】本実施形態に係る他の診断処理書類32の例を示す図である。
図8】本実施形態に係る診断処理表示部材20が容器60に挿入して保管されている様子を示す図である。
図9】本実施形態に係る診断処理表示部材20の構成を示す図(側面断面図)である。
図10】本実施形態に係る診断処理表示部材20の構成を示す図(側面断面図)である。
図11】本実施形態に係る診断処理表示部材20の延長部29の構成を示す図である。
図12】本実施形態に係る診断処理表示部材20の延長部29の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のために、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、基本的にその寸法関係を満たすようにしたが、必ずしも実際の寸法関係を正確に反映していない場合がある。
【0037】
また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。加えて、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0038】
図2は、本発明の実施形態に係るフォルダ100の平面構成を示している。また、図3は、本実施形態のフォルダ100から、診断処理表示部材20を取り外した分解構成を示している。
【0039】
本実施形態のフォルダ100は、カルテを保管するフォルダ(カルテ用フォルダ)である。図示した例のように、フォルダ100は、カルテを挟んで収納するカルテファイル部10と、カルテファイル部10に挿入される診断処理表示部材20とから構成されている。
【0040】
本実施形態のフォルダ100におけるカルテファイル部10は、長方形形状を有している。具体的には、フォルダ100を収納するカルテの寸法よりも一回り大きな、長辺(13、19)および短辺(14、18)を有している。なお、幾何学的な意味の厳密な長方形である必要はなく、角が丸みを帯びていたり、一部に曲線が入っているようなものであってもよい。カルテの寸法はA4サイズであるときは、それに対応した長方形であることが好ましい。
【0041】
また、本実施形態のカルテファイル部10は、透光性樹脂部材から構成されている。本実施形態の構成では、カルテファイル部10は、ポリプロピレンから構成されているが、他の透光性樹脂部材のもの(特に、可撓性を有するもの)であっても構わない。カルテファイル部10が透光性樹脂部材から構成されていることにより、カルテファイル部10内のカルテの表紙(一番上の紙)の情報を外部から確認することができる。
【0042】
図示したカルテファイル部10は、表面部11と裏面部12とから構成されている。表面部11と裏面部12との間には、収納部15が設けられている。すなわち、表面部11と裏面部12とは接着されておらず、表面部11と裏面部12との間にカルテ(及び/又は、紙資料)を挿入することができる。また、本実施形態のフォルダ100(カルテファイル部10)には、カルテに加えて、他の書類(例えば、診断の処理内容を示した診断処理書類)を入れることもできる。
【0043】
本実施形態のカルテファイル部10において、右側の長辺13および上側の短辺14は開放した辺となっている。また、左側の長辺19および下側の短辺18は閉塞した辺となっている。したがって、長辺13および短辺14の箇所から、カルテや書類(紙資料)を入れることができる。さらに、本実施形態のカルテファイル部10では、カルテや書類の出し入れを容易にするために、右側の長辺13の一部に切り欠き部17が設けられている。切り欠き部17の箇所で表面部11と裏面部12とを開いて、収納部15にカルテや書類を挿入したり取り出したりするのが便利である。
【0044】
本実施形態の構成において、カルテファイル部10に挿入される診断処理表示部材20は細長の板状部材21から構成されている。具体的には、診断処理表示部材の板状部材21の長さ(縦寸法)は、カルテファイル部10の長辺19(13)の寸法よりも長い。また、診断処理表示部材20は、カルテファイル部10から露出して延びた延長部29を有している。そして、その延長部29には、処理内容が記載(表示)された処理表示部25が設けられている。図示した診断処理表示部材20は、細長の長方形形状のものであるが、長方形のものでなくても、例えば、処理表示部25の部分が大きくて、それ以外の部位が小さいような形状のものを構築してもよい。
【0045】
また、診断処理表示部材20の処理表示部25の一部に、凹部(及び/又は、凸部)を形成してもよい。処理表示部25の一部に凹部(及び/又は、凸部)を設けることにより、手で触って、処理表示部25の位置を確認したり、または、所定の凹部(及び/又は、凸部)のパターンにすることで、手で触って、処理表示部25の内容を確認できるようにすることができる。所定の凹部(凸部)のパターンとしては、例えば、凹部/凸部の個数(1個、2個、3個、4個など)、配置(中心に1つ、斜め配置、隅配置)、凹部/凸部の形状・大きさの変化、凹部と凸の組み合わせなどを挙げることができる。さらには、診断処理表示部材20のおける延長部29(一部または全部)の厚さを厚くするような構成にしてもよい。延長部29の厚さを厚くすることにより、延長部29がカルテファイル部10の外に出やすくなり、延長部29における処理表示部25を露出させて見えやすくすることができる。加えて、診断処理表示部材20のおける延長部29が厚みを有することでファイル部の短辺14に引っかかり、診断処理表示部材20が転倒しにくくすることができる。さらに、厚みの中に適当な大きさの凹部(陥凹部)があれば、診断処理を表示したテープ等が不完全に貼付された場合でもこれを保護し、剥離脱落を予防することができる。
【0046】
本実施形態の診断処理表示部材20は、樹脂材料(例えば、ポリプロピレン、アクリル樹脂、塩化ビニル、PET樹脂など)から構成されているが、他の材料(例えば、紙、木材、金属、セラミックなど)から構成してもよい。診断処理表示部材20を樹脂材料から構成すると、軽くて、割れにくく、適度な可撓性を有するものにすることができ、また費用的に安いものを構築することができて好ましい。診断処理表示部材20は、透光性材料から構成されていてもよいし、非透光性材料(例えば、着色された材料)から構成されていても構わない。本実施形態では、診断処理表示部材20は透光性樹脂材料から構成したものを使用している。
【0047】
診断処理表示部材20の延長部29に設けられた処理表示部25には、次の処理工程(または、現在/過去の処理工程)が表示されている。図3に示した例では、処理表示部25には「コールバック待ち」の表示がされており、これにより、次に行う診断処理事項が明確となっている。処理表示部25は、ラベルライターで作成することができる。また、処理表示部25は、板状部材21に印字されたものを使用することもできるし、診断処理表示部材20の延長部29にテープ(例えば、粘着テープ、接着テープ)を貼って、そのテープの上に文字を書くことによっても作成することができる。
【0048】
本実施形態のフォルダ100の寸法を例示的に説明すると次の通りである。カルテファイル部10の長辺13及び19は300mm(±10mm)で、短辺14及び18は220mm(±10mm)である。切り欠き部17は、半径15mm(±5mm)の半円形状をしている。カルテファイル部10(表面部11及び裏面部12の合計)の厚さは0.2mm(±0.1mm)である。また、診断処理表示部材20の縦寸法は330mm~400mm(例えば、370mm±20mm)で、診断処理表示部材20の横寸法は40mm(±10mm)である。処理表示部25の縦寸法は60mm(±10mm)で、横寸法は10~30mmである。なお、これらの寸法は例示であり、使用する用途に応じて適宜最適なものを採用することができる。
【0049】
図4は、本実施形態のフォルダ100を使用している様子を説明する図である。図5は、図4に示した様子の拡大図である。
【0050】
本実施形態のフォルダ100は、収納棚50に重ねて配置される。具体的には、フォルダ100はカルテ30を保持した状態で、収納棚50の壁51の間に収納されている。各フォルダ100のカルテファイル部10には、診断処理表示部材20が差し込まれており、この診断処理表示部材20の処理表示部25を読み取ることによって、次にどのような処理をしたらよいかが、カルテ30(それを含むフォルダ100)が積層された状態であってもすぐに理解できる。さらに説明すると、通常であれば、各カルテ30に対応する診断処理を行うとき、多数重なったカルテ30のうち該当するカルテ30を見つけ出して、そこで次の処理を確認した上で実行する必要があるところ、本実施形態のフォルダ100を用いると、カルテ30が重なって収納されている状態であっても、すぐに、次の診断処理を確認することができる。特定のカルテを見つけるときでも、すべてカルテを確認しなくても、診断処理表示部材20の処理表示部25を見て、その診断処理の表示から、該当するカルテを見ることが容易となる。
【0051】
本実施形態では、図5に示すように、フォルダ100のカルテファイル部10に、カルテ30とともに診断処理書類32を入れている。図6および図7に、本実施形態の診断処理書類32の一例を示している。
【0052】
図6に示した診断処理書類32A(32)は、初診または再診用の診断処理を補足する書類である。診断処理書類32Aは、IDや名前とともに、受付以降の処理手順がわかるような用紙となっており、また、次回予約の内容も記載できるようになっている。この診断処理書類32Aとカルテ30と、フォルダ100の診断処理表示部材20(処理表示部25)とを組み合わせることにより、初診または再診用の診断処理を、確実かつスムーズに行うことができるようになる。
【0053】
図7に示した診断処理書類32B(32)は、健康診断のための診断処理を補足する書類である。診断処理書類32Bは、IDや名前とともに、検査の内容(検査結果入力)がわかるような用紙となっている。この診断処理書類32Bと、フォルダ100の診断処理表示部材20(処理表示部25)とを組み合わせることにより、健康診断の処理を、確実かつスムーズに行うことができるようになる。すでにカルテが作成されている人に対しては、この診断処理書類32Bとともに、その人のカルテ30をカルテファイル部10に入れておいてもよい。
【0054】
本実施形態の診断処理表示部材20は、図8に示すように、容器60に入れておくことができる。図8に示した例では、複数本(複数種類)の診断処理表示部材20が容器60に差し込まれて保管されている。つまりは、処理表示部25における表示情報が異なる複数本の診断処理表示部材20を、容器60に入れている。そして、所定のカルテ30をフォルダ100のカルテファイル部10に入れて、そのカルテファイル部10に必要な診断処理表示部材20を入れて使用することができる。本実施形態では、必要な診断処理表示部材20を1本だけカルテファイル部10に入れた例を示しているが、場合によっては、複数本の診断処理表示部材20をカルテファイル部10に入れてもよい。そして、診断処理が進むごと(変化するたびに)、診断処理表示部材20を変更したり、処理が完了して不要になった診断処理表示部材20を抜去していくことで、診断処理をスムーズに進めることができる。つまり、診断の進行にあわせて、所定の診断処理表示部材20に差し替えることで(大がかりな装置や複雑な手続きを行うことなく)、診断を進行することができるので非常に便利である。
【0055】
本実施形態の診断処理表示部材20における処理表示部25に記載される文字としては、例えば、「カルテバック」、「結果返送」、「コールバック待ち」、「抗原検査中」、「診察未」、「NEAR中」(等温核酸増幅法(NEAR法)中の意味)、「PCR中」(ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction :PCR)を用いた手法中の意味)、「FAXその他」、などを挙げることができる。それ以外にも、例えば、「診断書作成」、「期限あり」、「紹介状作成」、「結果説明未」などを使用することができる。
【0056】
本実施形態のフォルダ100では、カルテファイル部10に挿入される診断処理表示部材20における延長部29に処理表示部25が設けられており、その処理表示部25において次の指示内容を示すことできる。したがって、次の指示内容が示された診断処理表示部材20をカルテファイル部10に挿入することで、そのカルテの診断者(診断される人、患者)の次の診断を確実にかつスムーズにすることができる。または、健康診断される人の次の診断(検査)を確実にかつスムーズにすることができる。その結果、医療機関の診断管理に便利なフォルダ(カルテ用フォルダ)を実現することが可能となる。
【0057】
図9は、診断処理表示部材20における延長部29(ここでは、全部)の厚さを厚くするような構成(側面断面)にしたものを示している。厚さが厚い部位28は、診断処理表示部材20の延長部29に形成されており、その延長部29(厚い部位28)の上面に、処理内容が記載された処理表示部25が設けられている。上述したように、延長部29に厚い部位28が形成されることで、延長部29がカルテファイル部10の外に出やすくなり、延長部29における処理表示部25を露出させて見えやすくすることができる。加えて、診断処理表示部材20における延長部29が厚みを有することでファイル部の短辺14に引っかかり、診断処理表示部材20が転倒しにくくすることができる。
【0058】
また、図10は、厚さが厚い部位28(延長部29)において、処理表示部(不図示)を挟む開口部(処理表示部の挿入開口部)27が形成された構成を示している。上述した実施形態では、処理内容が記載された処理表示部25を延長部29に設けたが、図10に示すように、薄型構造の処理表示部材(処理表示材(不図示))を、開口部(処理表示部の挿入開口部)27に挟むようにしてもよい。図2などに示した構成と異なり、図10に示した構成では、処理表示部(25)に相当する箇所(延長部29、厚い部位28)が2枚に分かれるようになっており、その間に指示を書いた紙(メモなどの処理表示材)を挟んで表示できるようにすることができる。そして、開口部(処理表示材の挿入開口部)27に、指示を記載したメモなどを間に挟み込んだ後、不要になれば引き抜くことができる。この構成において、メモなどの処理表示材(不図示)は、紙状部材(薄膜構造の部材)から構成されており、典型的には、紙から構成されているが、それに限らず、樹脂材料、金属材料のようなものであってもよい。また、板状部材21うちの延長部(29)以外の部位と厚い部位28との間(境界)は、図9に示すような直角なものにしてもよいし、あるいは、図10に示すような斜面(テーパ状)にしてもよい。
【0059】
図10に示した構造は、厚い部位28を有する板状部材21を形成した後、その厚い部位28の端部から切り込み(挿入開口部27)を形成することによって構築することができる。または、切り込み(挿入開口部27)を有する厚い部位28を含めて診断処理表示部材20全体を一括して形成してもよい。
【0060】
また、図11は、診断処理表示部材20の改変例を示しており、延長部29の周辺の拡大図である。図11に示した構造においては、厚い部位28(延長部29)は、下層部23と、上層部22とから構成されている。そして、下層部23と上層部22との間に、開口部(挿入開口部)27が形成されている。図11に示した構成においては、診断処理表示部材20(延長部29)の先端部は、段差構造26となっている。具体的には、下層部23の先端部23tは、上層部22の先端部よりも延びており、これによって、段差構造26が構築されている。診断処理表示部材20(延長部29)の先端に段差構造26が形成されていると、下層部23の先端部23tの上に、処理表示材(不図示:メモなど)を乗せて、続いて、処理表示材(メモなど)を開口部(挿入開口部、挿入隙間)27の奥に押し込んで、挿入開口部27で処理表示材を挟んで保持するようにすることができて、便利である。
【0061】
図11に示した構成においては、上層部22の側面には、切り欠き部24が形成されている。図示した例の切り欠き部24は、半円形状のものであるが、それ以外の形状(例えば、四角形、長円の一部など)であってもよいし、側面以外の部位(例えば、上辺)に形成してもよい。切り欠き部24からは、下層部23の上面23aを露出している。上層部22の一部(ここでは、側面)に切り欠き部24が形成されていると、切り欠き部24に指を入れて、開口部(挿入開口部)27に挟まれている処理表示材(不図示)を移動させることができるので便利である。
【0062】
また、図11に示した構成においては、下層部23の厚さは、延長部(29)以外の部位(21)の厚さと同じ(または略同じ)にしている。これにより、下層部23を板状部材21全体の一部のような感じにすることができ、診断処理表示部材20全体としての一体感を出すことができる。なお、下層部23の厚さを、延長部(29)以外の部位(21)の厚さと異なるようにしても構わない。さらに、図11に示した構成では、上層部22の形状を矩形にしているが、それ以外の形状(先端の角を丸くしたり、曲線を含めた形状)にしても構わない。また、下層部23側が短くなるように端部(断端)を形成すると、処理表示材(診断表示部材)を挿入する際に上層部22の端部(断端)に処理表示材(薄膜状(紙状)の診断表示部材)が引っかからず、より容易に挿入することが可能になる。
【0063】
加えて、図12に示すように、上層部22の中央に、切り抜き部(中央開口)24を形成した構成にしてもよい。切り抜き部24からは、下層部23の上面23aを露出している。上層部22の一部(ここでは、中心部)に切り抜き部24が形成されていると、その切り抜き部24に指を入れて、開口部(挿入開口部)27に挟まれている処理表示材(不図示)を移動させることができるので便利である。図12に示した構成では、切り抜き部24の形状を円形にしているが、それ以外の形状(長円、四角形、六角形など)にしても構わない。また、切り抜き部24の形状を円錐状にすることで処理表示材の移動の際の引っかかりを軽減させることも可能である。
【0064】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。また、上述した実施形態の各特徴は相互に適用することができる。例えば、図10に示した構成において、段差構造26を設けても構わない。また、図11及び/又は図12に示した構成において、切り欠き部24(切り抜き部26)がないようなものにしてもよい。図11及び/又は図12に示した構成において、凹部および凸部のうちの少なくとも一つを形成してもよい。図11及び/又は図12に示した構成において、延長部29に処理表示部25を設けてもよいし、厚みの中に適当な大きさの凹部(陥凹部)を設けてもよい。加えて、上述した実施形態では、カルテを保管するフォルダ(カルテ用フォルダ)に特化して説明したが、それに限らず、検査に特化したもの(PCR検査用フォルダ、抗原検査用フォルダ、新型コロナ検査用フォルダ、インフルエンザ検査用フォルダ、健康診断用フォルダ、特定の検査(例えば、HIV検査、アレルギー検査、CT検査、MRI検査、X線検査など)のためのフォルダなど)のフォルダ100として使用してもよい。また、医療分野に限らず、書類を挟んで保管するファイル部10において、次の処理内容(または、過去の処理内容、現在の処理内容)が記載された処理表示部25が設けられた処理表示部材20を入れて使用することが好ましいものに適用することができる。そのような使用分野としては、例えば、事務処理の際に処理の期限を表記してファイルを立てておく等のものに使うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、医療機関の診断管理に便利なフォルダ(カルテ用フォルダ)を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 カルテファイル部(ファイル部)
11 表面部
12 裏面部
13、19 長辺
14、18 短辺
15 収納部
17 切り欠き部
20 診断処理表示部材(処理表示部材)
21 板状部材
22 上層部
23 下層部
24 切り欠き部(切り抜き部)
25 処理表示部
26 段差構造
27 開口部(挿入開口部、挿入隙間)
29 延長部
30 カルテ
32 診断処理書類
50 収納棚
60 容器
100 カルテ用フォルダ(フォルダ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12