(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004012
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】薬交付支援システム、薬交付支援方法、サーバ装置および処方箋受付装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240109BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103428
(22)【出願日】2022-06-28
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】517307784
【氏名又は名称】株式会社くすりの窓口
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】山口 遊生
(72)【発明者】
【氏名】下平 宏一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】調剤施設が患者の住まいや職場の近くにない場合でも、患者が簡便に処方薬の交付を受けることができるようにする。
【解決手段】調剤薬局が併設されていない多くの一般店舗202に処方箋受付装置1を設置し、処方箋の原本を処方箋受付装置1で受け付けて回収するとともに、調剤薬局併設型店舗201に設置された調剤側端末3に対してサーバ装置2を介して処方箋情報を送信することで調製の実施を可能にし、サーバ装置2が調剤側端末3と患者端末4との間を接続してオンライン服薬指導を行うための環境を提供することにより、患者が自宅や職場の近くにある一般店舗202に出向いて処方箋受付装置1に処方箋を投入することによって簡便に調剤の依頼を行うとともに、患者が調剤薬局併設型店舗201まで出向いて対面の服薬指導を受けることなく処方薬を受け取ることができるようにする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方箋に基づく調剤および服薬指導を行う組織において使用される調剤側端末と、
上記処方箋に基づき調剤された処方薬の交付を受ける患者が使用する患者端末と、
上記処方箋の受付に関する処理を行う処方箋受付装置と、
上記調剤側端末、上記処方箋受付装置および上記患者端末と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置とを備え、
上記処方箋受付装置は、
上記処方箋の原本を受け付けて回収する受付・回収機構と、
上記受付・回収機構で受け付けた用紙から上記処方箋の情報を取得する処方箋情報取得部と、
上記処方箋情報取得部により取得された処方箋情報を上記サーバ装置に送信する処方箋情報送信部とを備え、
上記サーバ装置は、
上記処方箋受付装置から送信された上記処方箋情報を上記調剤側端末に転送する処方箋情報転送部と、
上記調剤側端末と上記患者端末との間を接続してオンライン服薬指導を行うための環境を提供するオンライン接続提供部とを備えた
ことを特徴とする薬交付支援システム。
【請求項2】
上記処方箋受付装置は、
服薬指導関連情報を入力するための操作画面をディスプレイに表示する操作画面表示部と、
上記操作画面を通じて上記患者により入力された連絡先情報およびオンライン服薬指導の希望日時情報を含む上記服薬指導関連情報を上記サーバ装置に送信する服薬指導関連情報送信部とを更に備え、
上記サーバ装置は、
上記処方箋受付装置から送信された上記服薬指導関連情報を受信し、記憶媒体に保存する服薬指導関連情報保存部を更に備え、
上記オンライン接続提供部は、上記服薬指導関連情報保存部により上記記憶媒体に保存された上記服薬指導関連情報に基づいて、上記オンライン服薬指導を行うための環境を提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬交付支援システム。
【請求項3】
上記処方箋受付装置は、
上記処方箋情報取得部により取得された上記処方箋情報を解析し、上記オンライン服薬指導を行う際の個別条件に該当するか否かを判定する個別条件判定部と、
上記個別条件判定部により該当すると判定された上記個別条件を示す情報と、上記個別条件を承諾する旨の承諾ボタンとを含む操作画面をディスプレイに表示する操作画面表示部とを更に備え、
上記受付・回収機構は、上記承諾ボタンの操作が行われた場合に、上記受け付けた処方箋の原本を回収する一方、上記承諾ボタンの操作が行われなかった場合に、上記受け付けた処方箋の原本を返却し、
上記処方箋情報送信部は、上記承諾ボタンの操作が行われた場合にのみ上記処方箋情報を上記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬交付支援システム。
【請求項4】
上記処方箋受付装置は、上記受付・回収機構で受け付けた用紙を解析し、処方箋が満たすべき様式に合致しているか否かを判定する処方箋様式判定部を更に備え、
上記受付・回収機構は、上記処方箋様式判定部により上記様式に合致していると判定された場合に、上記受け付けた用紙を上記処方箋の原本として回収する一方、上記処方箋様式判定部により上記様式に合致していないと判定された場合に、上記受け付けた用紙を返却し、
上記処方箋情報送信部は、上記処方箋様式判定部により上記様式に合致していると判定された場合にのみ上記処方箋情報を上記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の薬交付支援システム。
【請求項5】
上記処方箋受付装置は、上記処方箋が有効期限内か否かを患者に確認させるための操作画面をディスプレイに表示する操作画面表示部を更に備え、
上記受付・回収機構は、上記処方箋が有効期限内である旨の確認ボタンが操作された場合に、上記受け付けた処方箋の原本を回収する一方、上記確認ボタンが操作されなかった場合に、上記受け付けた処方箋の原本を返却し、
上記処方箋情報送信部は、上記確認ボタンが操作された場合にのみ上記処方箋情報を上記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬交付支援システム。
【請求項6】
上記処方箋受付装置は、上記処方箋情報を解析し、上記処方箋が有効期限内か否かを判定する有効期限判定部を更に備え、
上記受付・回収機構は、上記有効期限判定部により上記処方箋が有効期限内であると判定された場合に、上記受け付けた上記処方箋の原本を回収する一方、上記有効期限判定部により上記処方箋が有効期限内ではないと判定された場合に、上記受け付けた上記処方箋の原本を返却し、
上記処方箋情報送信部は、上記有効期限判定部により上記処方箋が有効期限内であると判定された場合にのみ上記処方箋情報を上記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の薬交付支援システム。
【請求項7】
上記処方箋情報送信部は、上記処方箋情報と共に上記処方箋の有効期限情報を上記サーバ装置に送信し、
上記サーバ装置は、
上記処方箋受付装置から送信された上記有効期限情報を受信し、記憶媒体に保存する有効期限情報保存部と、
上記有効期限情報保存部により保存された上記有効期限情報に基づいて、上記処方箋の有効期限を知らせるためのメッセージを上記患者端末に送信する有効期限通知部とを更に備えた
ことを特徴とする請求項6に記載の薬交付支援システム。
【請求項8】
上記調剤側端末は、
医薬品の在庫状況を示す在庫情報を逐次上記サーバ装置に送信する在庫情報送信部を備え、
上記サーバ装置は、
上記調剤側端末から逐次送信された上記在庫情報を受信し、記憶媒体に逐次更新して保存する在庫情報保存部と、
上記在庫情報保存部により上記記憶媒体に保存された上記在庫情報に基づいて、上記処方箋受付装置からの在庫の問い合わせに応答する在庫応答部とを更に備え、
上記処方箋受付装置は、
上記処方箋情報取得部により取得された処方箋情報により示されている処方薬の在庫状況を上記サーバ装置に問い合わせ、上記サーバ装置からの応答情報を取得する在庫問い合わせ部と、
上記在庫問い合わせ部により取得された上記応答情報をディスプレイに表示する在庫情報提示部とを更に備えた
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の薬交付支援システム。
【請求項9】
上記在庫情報提示部は、上記応答情報の内容を承諾する旨の承諾ボタンを上記応答情報と共に表示し、
上記受付・回収機構は、上記承諾ボタンの操作が行われた場合に、上記受け付けた処方箋の原本を回収する一方、上記承諾ボタンの操作が行われなかった場合に、上記受け付けた処方箋の原本を返却し、
上記処方箋情報送信部は、上記承諾ボタンの操作が行われた場合にのみ上記処方箋情報を上記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項8に記載の薬交付支援システム。
【請求項10】
上記調剤側端末は、
上記サーバ装置から上記処方箋情報を受信した後に実施される上記処方薬の調製から交付までの進捗状況を示す進捗情報を逐次上記サーバ装置に送信する進捗情報送信部を備え、
上記サーバ装置は、
上記調剤側端末から逐次送信された上記進捗情報を受信し、記憶媒体に逐次更新して保存する進捗情報保存部と、
上記進捗情報保存部により上記記憶媒体に保存された上記進捗情報を上記患者端末に通知する進捗情報通知部とを更に備えた
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の薬交付支援システム。
【請求項11】
処方薬交付装置を更に備え、当該処方薬交付装置は、
調剤された処方薬を収納して上記患者に引き渡すための収納庫と、
上記処方薬の代金の電子決済を実行するための手段を提供する電子決済実行部とを備えた
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の薬交付支援システム。
【請求項12】
処方箋に基づく調剤および服薬指導を行う組織において使用される調剤側端末と、上記処方箋に基づき調剤された処方薬の交付を受ける患者が使用する患者端末と、上記処方箋の受付に関する処理を行う処方箋受付装置との間で通信ネットワークを介して接続され、上記処方薬の交付業務に関する処理を実行するサーバ装置であって、
上記処方箋受付装置が受け付けて回収した上記処方箋の原本から取得された処方箋情報を上記処方箋受付装置から受信し、当該処方箋情報を上記調剤側端末に転送する処方箋情報転送部と、
上記調剤側端末と上記患者端末との間を接続してオンライン服薬指導を行うための環境を提供するオンライン接続提供部とを備えた
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項13】
上記処方箋受付装置に表示される操作画面を通じて上記患者により入力された連絡先情報およびオンライン服薬指導の希望日時情報を含む服薬指導関連情報を上記処方箋受付装置から受信し、記憶媒体に保存する服薬指導関連情報保存部を更に備え、
上記オンライン接続提供部は、上記服薬指導関連情報保存部により上記記憶媒体に保存された上記服薬指導関連情報に基づいて、上記調剤側端末と上記患者端末との間を接続してオンライン服薬指導を行うための環境を提供する
ことを特徴とする請求項12に記載のサーバ装置。
【請求項14】
上記処方箋受付装置から上記処方箋情報と共に送信された上記処方箋の有効期限情報を受信し、記憶媒体に保存する有効期限情報保存部と、
上記有効期限情報保存部により保存された上記有効期限情報に基づいて、上記処方箋の有効期限を知らせるためのメッセージを上記患者端末に送信する有効期限通知部とを更に備えた
ことを特徴とする請求項12または13に記載のサーバ装置。
【請求項15】
上記調剤側端末から逐次送信される医薬品の在庫状況を示す在庫情報を受信し、記憶媒体に逐次更新して保存する在庫情報保存部と、
上記在庫情報保存部により上記記憶媒体に保存された上記在庫情報に基づいて、上記処方箋受付装置からの在庫の問い合わせに応答する在庫応答部とを更に備えた
ことを特徴とする請求項12または13に記載のサーバ装置。
【請求項16】
上記調剤側端末から逐次送信される、上記処方薬の調製から交付までの進捗状況を示す進捗情報を受信し、記憶媒体に逐次更新して保存する進捗情報保存部と、
上記進捗情報保存部により上記記憶媒体に保存された上記進捗情報を上記患者端末に通知する進捗情報通知部とを更に備えた
ことを特徴とする請求項12または13に記載のサーバ装置。
【請求項17】
処方箋に基づく調剤および服薬指導を行う組織において使用される調剤側端末と患者が使用する患者端末との間を接続してオンライン服薬指導を行うための環境を提供する機能を備えたサーバ装置に対して通信ネットワークを介して接続され、上記処方箋の受付に関する処理を行って所定の情報を上記サーバ装置に提供する処方箋受付装置であって、
上記処方箋の原本を受け付けて回収する受付・回収機構と、
上記受付・回収機構で受け付けた用紙から上記処方箋の情報を取得する処方箋情報取得部と、
上記処方箋情報取得部により取得された処方箋情報を上記サーバ装置に送信する処方箋情報送信部とを備えた
ことを特徴とする処方箋受付装置。
【請求項18】
服薬指導関連情報を入力するための操作画面をディスプレイに表示する操作画面表示部と、
上記操作画面を通じて上記患者により入力された連絡先情報およびオンライン服薬指導の希望日時情報を含む上記服薬指導関連情報を上記サーバ装置に送信する服薬指導関連情報送信部とを更に備えた
ことを特徴とする請求項17に記載の処方箋受付装置。
【請求項19】
上記処方箋情報取得部により取得された上記処方箋情報を解析し、上記オンライン服薬指導を行う際の個別条件に該当するか否かを判定する個別条件判定部と、
上記個別条件判定部により該当すると判定された上記個別条件を示す情報と、上記個別条件を承諾する旨の承諾ボタンとを含む操作画面をディスプレイに表示する操作画面表示部とを更に備え、
上記受付・回収機構は、上記承諾ボタンの操作が行われた場合に、上記受け付けた処方箋の原本を回収する一方、上記承諾ボタンの操作が行われなかった場合に、上記受け付けた処方箋の原本を返却し、
上記処方箋情報送信部は、上記承諾ボタンの操作が行われた場合にのみ上記処方箋情報を上記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項17に記載の処方箋受付装置。
【請求項20】
上記受付・回収機構で受け付けた用紙を解析し、処方箋が満たすべき様式に合致しているか否かを判定する処方箋様式判定部を更に備え、
上記受付・回収機構は、上記処方箋様式判定部により上記様式に合致していると判定された場合に、上記受け付けた用紙を上記処方箋の原本として回収する一方、上記処方箋様式判定部により上記様式に合致していないと判定された場合に、上記受け付けた用紙を返却し、
上記処方箋情報送信部は、上記処方箋様式判定部により上記様式に合致していると判定された場合にのみ上記処方箋情報を上記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項17~19の何れか1項に記載の処方箋受付装置。
【請求項21】
上記処方箋が有効期限内か否かを患者に確認させるための操作画面をディスプレイに表示する操作画面表示部を更に備え、
上記受付・回収機構は、上記処方箋が有効期限内である旨の確認ボタンが操作された場合に、上記受け付けた処方箋の原本として回収する一方、上記確認ボタンが操作されなかった場合に、上記受け付けた処方箋の原本を返却し、
上記処方箋情報送信部は、上記確認ボタンが操作された場合にのみ上記処方箋情報を上記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項17~19の何れか1項に記載の処方箋受付装置。
【請求項22】
上記処方箋情報を解析し、上記処方箋が有効期限内か否かを判定する有効期限判定部を更に備え、
上記受付・回収機構は、上記有効期限判定部により上記処方箋が有効期限内であると判定された場合に、上記受け付けた上記処方箋の原本を回収する一方、上記有効期限判定部により上記処方箋が有効期限内ではないと判定された場合に、上記受け付けた上記処方箋の原本を返却し、
上記処方箋情報送信部は、上記有効期限判定部により上記処方箋が有効期限内であると判定された場合にのみ上記処方箋情報を上記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項17~19の何れか1項に記載の処方箋受付装置。
【請求項23】
医薬品の在庫状況を示す在庫情報を上記調剤側端末から逐次受信して記憶媒体に保存している上記サーバ装置に対して、上記処方箋情報取得部により取得された処方箋情報により示されている処方薬の在庫状況を問い合わせ、上記サーバ装置からの応答情報を取得する在庫問い合わせ部と、
上記在庫問い合わせ部により取得された上記応答情報をディスプレイに表示する在庫情報提示部とを更に備えた
ことを特徴とする請求項17~19の何れか1項に記載の処方箋受付装置。
【請求項24】
上記在庫情報提示部は、上記応答情報の内容を承諾する旨の承諾ボタンを上記応答情報と共に表示し、
上記受付・回収機構は、上記承諾ボタンの操作が行われた場合に、上記受け付けた処方箋の原本を回収する一方、上記承諾ボタンの操作が行われなかった場合に、上記受け付けた処方箋の原本を返却し、
上記処方箋情報送信部は、上記承諾ボタンの操作が行われた場合にのみ上記処方箋情報を上記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする請求項23に記載の処方箋受付装置。
【請求項25】
処方箋の受付に関する処理を行う処方箋受付装置の受付・回収機構が、上記処方箋の原本を受け付けて回収するステップと、
上記処方箋受付装置の処方箋情報取得部が、上記受付・回収機構で受け付けた用紙から上記処方箋の情報を取得するステップと、
上記処方箋受付装置の処方箋情報送信部が、上記処方箋情報取得部により取得された処方箋情報をサーバ装置に送信するステップと、
サーバ装置の処方箋情報転送部が、上記処方箋受付装置から送信された上記処方箋情報を、上記処方箋に基づく調剤および服薬指導を行う組織において使用される調剤側端末に転送するステップと、
上記サーバ装置のオンライン接続提供部が、上記処方箋に基づき調剤された処方薬の交付を受ける患者が使用する患者端末と上記調剤側端末との間を接続してオンライン服薬指導を行うための環境を提供するステップとを有する
ことを特徴とする薬交付支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関での処方に基づき調剤薬局で調剤される医薬品の患者に対する交付を支援する薬交付支援システムおよび薬交付支援方法、並びに当該システムにおいて用いるサーバ装置および処方箋受付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療機関で処方箋を発行された患者は、院外の調剤薬局にて処方薬の交付を受ける。具体的には、患者は、調剤薬局に行き、医療機関から受け取った処方箋を手渡し、調剤を依頼する。そして、調剤が完了すると、患者は薬剤師から服薬指導を受けた上で処方薬を受け取り、代金を支払う。しかしながら、患者の住まいや職場から調剤薬局まで遠い場合があり、そのような遠距離の調剤薬局に患者が出向くことは、患者にとって利便性に欠ける問題があった。
【0003】
なお、病院に設置されたファクシミリ装置から処方箋の情報を調剤薬局に送信し、調剤薬局がファクシミリ装置で処方箋の情報を受信して調製を行うようにしたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムによれば、患者は調剤薬局に調剤を依頼する際に、処方箋を受け取った病院から調剤薬局に処方箋の情報をファクシミリ送信すればよく、調剤薬局に行き処方箋を手渡す必要がない。しかしながら、患者が処方薬を受け取る際には、処方箋の原本を持って調剤薬局に行き、原本確認の後に薬剤師から服薬指導を受ける必要がある。
【0004】
また、ドラッグストア等の受付機関に設置されたファクシミリ装置から処方箋の情報を調剤機関に伝送し、調剤機関がファクシミリ装置で処方箋の情報を受信して調製を行うとともに、調剤した薬をドラッグストアに併設されている投薬機関に配送し、患者が投薬機関から処方薬を受け取るようにしたシステムも知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この特許文献2に記載のシステムの場合、受付機関および投薬機関として機能し得るドラッグストアは、服薬指導を行うことが可能な薬剤師が存在する店舗に限られる。そのため、そのようなドラッグストアが患者の住まいや職場の近くにない場合は、患者にとって利便性に欠ける問題は解消されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-312560号公報
【特許文献2】特開2003-323499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、調剤および服薬指導を行うことが可能な薬局またはドラッグストアが患者の住まいや職場の近くにない場合でも、患者が簡便に処方薬の交付を受けることができるようにして、患者の利便性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明の薬交付支援システムは、処方箋に基づく調剤および服薬指導を行う組織において使用される調剤側端末と、処方箋に基づき調剤された処方薬の交付を受ける患者が使用する患者端末と、処方箋の受付に関する処理を行う処方箋受付装置と、サーバ装置とを備えて構成され、処方箋受付装置は、処方箋の原本を受け付けて回収する受付・回収機構を備えるとともに、受付・回収機構で受け付けた用紙から処方箋の情報を取得してサーバ装置に送信する機能を備える。また、サーバ装置は、処方箋受付装置から送信された処方箋情報を調剤側端末に転送する機能と、調剤側端末と患者端末との間を接続してオンライン服薬指導を行うための環境を提供する機能とを備える。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した本発明によれば、患者が処方箋受付装置に処方箋の原本を投入すると、それが処方箋受付装置にて回収されるとともに、処方箋情報が取得されて、サーバ装置を経由して調剤側端末に送られる。これにより、処方箋に基づく調剤を行う組織の施設(調剤薬局や調剤薬局併設型のドラッグストアなど。以下、これらを調剤施設という)では、調剤側端末で受信した処方箋情報に基づいて処方薬の調製を開始するとともに、処方箋受付装置から処方箋の原本を回収して処方箋情報と同一であることを確認することで、調剤を完了させることができる。処方箋受付装置は、これを調剤施設に設置することを必須とするものではないので、調剤施設よりも処方箋受付装置の方が患者の住まいや職場の近くに設置されていれば、患者は処方箋受付装置の設置場所に出向いて簡便に調剤の依頼を行うことができる。また、患者は、調剤の完了後にオンライン服薬指導を受けることが可能なので、処方薬を受け取るために調剤施設まで出向く必要がなく、自宅や指定場所への配送またはロッカー等を用いた受け渡しなどの手段によって処方薬を受け取ることが可能である。以上により、本発明によれば、調剤施設が患者の住まいや職場の近くにない場合でも、患者が簡便に処方薬の交付を受けることができ、患者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態による薬交付支援システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】処方箋受付装置および調剤側端末の設置場所を説明するための図である。
【
図3】本実施形態による処方箋受付装置の構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態による処方箋受付装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態によるサーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態による処方箋受付装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】変形例に係る処方箋受付装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図8】変形例に係るサーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図9】変形例に係る調剤側端末の機能構成例を示すブロック図である。
【
図10】変形例に係るサーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図11】変形例に係る処方箋受付装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図12】変形例に係る調剤側端末の機能構成例を示すブロック図である。
【
図13】変形例に係るサーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による薬交付支援システムの全体構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の薬交付支援システムは、処方箋の受付に関する処理を行う処方箋受付装置1と、処方薬の交付業務に関する処理を実行するサーバ装置2と、処方箋に基づく調剤および服薬指導を行う組織において使用される調剤側端末3と、処方箋に基づき調剤された処方薬の交付を受ける患者が使用する患者端末4とを備えて構成される。処方箋受付装置1、調剤側端末3および患者端末4は、インターネットまたは携帯電話網などの通信ネットワーク5を介してサーバ装置2と接続される。
【0011】
処方箋に基づく調剤および服薬指導を行う組織とは、例えば複数の店舗を有するドラッグストアチェーンである。当該組織は、調剤薬局が併設されたドラッグストア(上述した調剤施設に相当する。以下、これを調剤薬局併設型店舗という)と、調剤薬局が併設されていないドラッグストア(以下、一般店舗という)とを運営している。処方箋受付装置1は一般店舗に設置され、調剤側端末3は調剤薬局併設型店舗に設置される。
【0012】
なお、調剤側端末3は、後述する処方箋情報をサーバ装置2から受信するための端末と、オンライン服薬指導に使用するための端末とを別構成としてもよい。この場合は、少なくとも処方箋情報を受信する端末が調剤薬局併設型店舗に設置されていればよく、オンライン服薬指導に使用する端末は調剤薬局併設型店舗とは異なる場所(例えば、オンライン服薬指導を行う薬剤師が存在する場所)に設置されていてもよい。
【0013】
図2は、処方箋受付装置1および調剤側端末3(処方箋情報を受信する端末)の設置場所を説明するための図である。
図2に示すように、ドラッグストアチェーンは、複数の拠点に調剤薬局併設型店舗201および一般店舗202を有しており、調剤薬局併設型店舗201に調剤側端末3が設置され、一般店舗202に処方箋受付装置1が設置されている。調剤薬局併設型店舗201に比べて一般店舗202の方が数が多く、複数の場所に散在している。
【0014】
詳細を後述するように、本実施形態では、一般店舗202に設置された処方箋受付装置1にて処方箋の原本を受け付け、原本をスキャンまたは撮影することによって取得した処方箋情報を、サーバ装置2を介して調剤薬局併設型店舗201の調剤側端末3に送信する。調剤薬局併設型店舗201では、調剤側端末3にて受信した処方箋情報に基づいて処方薬の調製を行うとともに、処方箋受付装置1から処方箋の原本を回収して処方箋情報と同一であることを確認することで、調剤を完了させる。
【0015】
その後、調剤薬局併設型店舗201では、サーバ装置2によるオンライン接続機能を利用して、調剤側端末3と患者端末4とを接続してオンライン服薬指導を行った上で、調剤済みの処方薬を患者の自宅や指定場所へ配送したり、所定場所に設置されたロッカー等を用いて受け渡したりするといった手段により、処方薬の交付を行う。処方薬の配送場所は、自宅のほか、例えば処方箋の原本を投入した処方箋受付装置1が設置されている一般店舗202を指定することが可能である。ロッカーは、一般店舗202のほか、駅やスーパー、駐車場、コンビニエンスストアなど任意の場所に設置可能である。
【0016】
以上の仕組みにより、患者は、自宅や職場などから最寄りの一般店舗202において処方箋の原本を処方箋受付装置1に投入することによって調剤を依頼することができ、調剤完了後にオンライン服薬指導を受けた後、配送またはロッカー等を用いた受け渡しなどの手段によって処方薬を受け取ることが可能である。これにより、調剤薬局併設型店舗201または図示しない調剤薬局を含む調剤施設が患者の自宅や職場の近くにない場合でも、患者は簡便に処方薬の交付を受けることが可能である。
【0017】
以下に、以上の仕組みを実現する構成の詳細を説明する。
図3は、処方箋受付装置1の構成例を示す図である。なお、
図3は、処方箋受付装置1の内部構成も分かるように筐体の一部を半透化した状態で図示している。
【0018】
本実施形態の処方箋受付装置1は、処方箋の原本を受け付けて回収する受付・回収機構を備えている。具体的には、処方箋受付装置1は、
図3に示すように、処方箋挿入口31、処方箋回収箱32および返却口33を備えており、これらにより受付・回収機構が構成されている。また、処方箋受付装置1は、タッチパネル付きのディスプレイ34およびスキャナ35を備えている。処方箋回収箱32は鍵付きの引き出しであり、手前に引き出して、中にストックされている処方箋を取り出すことができるようになっている。返却口33は、下辺の部分を軸として手前に回動可能となっており、処方箋挿入口31から投入した処方箋を取り出すことができるようになっている。
【0019】
処方箋挿入口31は、自動用紙送り機構を備えており、患者が処方箋を処方箋挿入口31に挿入すると、処方箋挿入口31から処方箋受付装置1の内部に処方箋が投入されるようになっている。処方箋挿入口31から投入された処方箋は、ディスプレイ34の背面側に設けられた搬送路(図示せず)を介して返却口33まで搬送され、ここで一時停止する。処方箋挿入口31から返却口33まで処方箋が搬送されている途中で、スキャナ35により処方箋のスキャン処理が実行され、スキャン画像が生成される。
【0020】
処方箋が返却口33まで搬送された後、所定の確認処理(詳細は後述する)が実行され、問題がなければ処方箋は処方箋回収箱32に移送されて回収(ストック)される。問題があった場合は、患者により返却口33が手前に開かれ、処方箋が患者に返却される。返却口33の背面側には、制御用コンピュータを設置するための収納空間36が存在し、この収納空間36に制御用コンピュータ(図示せず)が設置される。
【0021】
図4は、処方箋受付装置1の制御用コンピュータが備える機能構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態の処方箋受付装置1は、機能構成として、操作画面表示部11、情報入力部12、処方箋情報取得部13、処方箋様式判定部14、回収・返却制御部15、個別条件判定部16、処方箋情報送信部17、服薬指導情報取得部18および服薬指導関連情報送信部19を備えている。
【0022】
上記機能ブロック11~19は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック11~19は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0023】
操作画面表示部11は、ディスプレイ34に各種の操作画面を表示する。操作画面は、患者が処方箋受付装置1に所定の指示をするためのボタン、処方箋受付装置1に所定の情報を入力するためのボタンおよび表示欄、操作に必要となるガイダンスやメッセージなどの各種の情報を含む。操作画面の具体的な内容は、追って順次説明する。
【0024】
情報入力部12は、患者による操作画面に対する操作を通じて各種の情報を入力する。また、情報入力部12は、操作画面に表示された各種ボタンに対する操作を示す情報も入力する。入力する情報の内容は、追って順次説明する。
【0025】
処方箋情報取得部13は、受付・回収機構で受け付けた用紙から、処方施設において処方薬の調製を行うのに必要となる処方箋の情報を取得する。具体的には、処方箋情報取得部13は、スキャナ35のスキャン処理によって生成されたスキャン画像を処方箋情報として取得する。なお、処方箋ではない用紙が処方箋受付装置1に投入された場合、スキャン画像は処方箋情報ではない。この場合、処方箋情報取得部13が取得したスキャン画像は破棄される。
【0026】
処方箋様式判定部14は、受付・回収機構で受け付けた用紙を解析し、処方箋が満たすべき様式に合致しているか否かを判定する。受付・回収機構で受け付けた用紙の解析とは、処方箋情報取得部13により取得された用紙のスキャン画像の解析を意味する。この判定は、処方箋ではない用紙が処方箋受付装置1に投入される場合や、正しい向きに処方箋が投入されない場合などがあり得ることに鑑みて、処方箋が正しい向きに投入されたか否かを確認するものである。
【0027】
例えば、処方箋様式判定部14は、用紙のスキャン画像に含まれる文字をテキストデータ(文字コード)に変換し、処方箋の様式で使用することが定められている文字列が含まれているか否かを確認することにより、処方箋が満たすべき様式に合致しているか否かを判定する。ここで、処方箋様式判定部14が判定に使用する文字列は、処方箋に項目名として印字されている文字列である。
【0028】
なお、処方箋の様式に含まれる全ての文字列が含まれているかどうかを確認することを必須とするものではなく、一部の文字列の確認のみでもよい。例えば、「処方箋」という文字列が含まれているか否かのみを確認するようにしてもよい。これに加えて、「保険者番号」、「患者」、「氏名」、「処方」などのように、処方箋であることを特定可能な文字列の組み合わせが含まれているか否かを確認するようにしてもよい。
【0029】
処方箋様式判定部14は、受付・回収機構で受け付けた用紙が処方箋の様式に合致していないと判定した場合、操作画面表示部11を制御して、所定のメッセージを操作画面に表示させる。例えば、処方箋の様式ではないと判定した場合、「処方箋ではないようです。確認し処方箋を挿入してください。」といったメッセージを操作画面に表示する。また、スキャン画像に全く文字が含まれていないと判定した場合、つまり白紙であると判定した場合は、「裏表を確認して再挿入してください。」といったメッセージを操作画面に表示する。
【0030】
回収・返却制御部15は、処方箋受付装置1に投入された用紙を処方箋回収箱32に回収するか、返却口33から患者に返却するかを決定し、回収または返却に関する処理を制御する。例えば、回収・返却制御部15は、処方箋様式判定部14により処方箋の様式に合致していると判定された場合に、受け付けた用紙を処方箋の原本として処方箋回収箱32に回収する一方、処方箋様式判定部14により処方箋の様式に合致していないと判定された場合に、受け付けた用紙を返却口33から返却するように受付・回収機構を制御する。
【0031】
個別条件判定部16は、処方箋様式判定部14により処方箋の様式に合致していると判定された場合に、処方箋情報取得部13により取得された処方箋情報を解析し、オンライン服薬指導を行う際の個別条件に該当するか否かを判定する。例えば、個別条件判定部16は、処方箋のスキャン画像に含まれる文字をテキストデータに変換し、このテキストデータに基づいて個別条件に該当するか否かを判定する。ここで、個別条件判定部16が判定に使用する文字列は、処方箋に項目名として印字されている文字列ではなく、項目に対する内容として記載欄に印字または手書きされている文字列である。
【0032】
例えば、個別条件判定部16は、処方箋に記載されている患者の生年月日をテキストデータから認識し、処方された患者が乳幼児または小児か否かを確認することにより、服薬管理者(父母等)に対する服薬指導が必要か否かを判定する。また、個別条件判定部16は、処方箋に記載されている処方の内容(医薬品名、用量、日数など)を確認することにより、服薬指導や調製に時間がかかる医薬品または一包化(服用するタイミングが同じ複数の薬を1袋ずつパックにすること)が必要な医薬品であるか否かを判定する。また、個別条件判定部16は、処方箋に記載されている処方の内容を確認することにより、薬剤師の判断により対面の服薬指導に切り替えられる可能性のある医薬品であるか否かを判定する。なお、これらの全てを判定することを必須とするものではなく、何れか一部のみを判定するようにしてもよい。
【0033】
なお、ここでは説明の便宜上、処方箋様式判定部14において処方箋のスキャン画像に含まれる文字をテキストデータに変換することと、個別条件判定部16において処方箋のスキャン画像に含まれる文字をテキストデータに変換することとを分けて説明しているが、テキストデータへの変換は共通して行えばよいことは言うまでもない。加えて、処方箋様式内に処方箋内容がQRコード化(JAHIS 院外処方箋2次元シンボルなど)されたものがあれば、それを用いてテキストデータへの変換も可である。これは以下の説明においても同様である。
【0034】
個別条件判定部16は、操作画面表示部11を制御して、該当すると判定した個別条件を示す情報と、個別条件を承諾する旨の承諾ボタンおよび承諾しない旨の拒否ボタンとを含む操作画面を表示させる。また、個別条件の判定結果を回収・返却制御部15に通知する。回収・返却制御部15は、情報入力部12への入力によって承諾ボタンの操作が行われたことが検知された場合に、受け付けた処方箋の原本を処方箋回収箱32に回収する一方、拒否ボタンの操作が行われたことが検知された場合に、受け付けた処方箋の原本を返却口33に返却するように受付・回収機構を制御する。
【0035】
すなわち、本実施形態において受付・回収機構は、処方箋様式判定部14により用紙が処方箋の様式に合致していると判定され、かつ、操作画面に表示された個別条件を承諾する旨の承諾ボタンが患者により操作された場合に、受け付けた用紙を処方箋の原本として処方箋回収箱32に回収する。一方、処方箋様式判定部14により用紙が処方箋の様式に合致していないと判定された場合、および、拒否ボタンが患者により操作された場合には、受付・回収機構は、受け付けた用紙を返却口33から返却する。
【0036】
処方箋情報送信部17は、処方箋情報取得部13により取得された処方箋情報をサーバ装置2に送信する。ここで、処方箋情報送信部17は、処方箋様式判定部14により用紙が様式に合致していると判定され、かつ、操作画面に表示された個別条件を承諾する旨の承諾ボタンの操作が行われたことが情報入力部12への入力に基づき検知された場合にのみ、処方箋情報をサーバ装置2に送信する。一方、拒否ボタンが患者により操作された場合には、処方箋情報送信部17は、処方箋情報をサーバ装置2に送信しない。また、処方箋様式判定部14により用紙が処方箋の様式に合致していないと判定された場合には、送信すべき処方箋情報を取得できていないので、この場合も処方箋情報送信部17は処方箋情報をサーバ装置2に送信しない。
【0037】
承諾ボタンが患者により操作された場合、操作画面表示部11は、オンライン服薬指導に関する情報(以下、服薬指導関連情報という)を入力するための操作画面をディスプレイ34に表示する。服薬指導関連情報は、患者の連絡先情報およびオンライン服薬指導の希望日時情報を含む。患者の連絡先情報は、オンライン接続に必要なアクセス情報を患者端末4へ通知する際に使用する患者端末4のアドレス情報であり、例えば患者端末4がスマートフォンの場合は携帯電話番号またはメールアドレス等である。患者端末4がパーソナルコンピュータの場合はメールアドレスである。なお、オンライン接続に必要なアクセス情報を調剤側端末3へ通知する際に使用する調剤側端末3のアドレス情報は、サーバ装置2にあらかじめ記憶されている。
【0038】
服薬指導情報取得部18は、この操作画面を通じて患者により入力された服薬指導関連情報を、情報入力部12を通じて取得する。服薬指導関連情報送信部19は、服薬指導情報取得部18により取得された服薬指導関連情報をサーバ装置2に送信する。本実施形態において、服薬指導関連情報送信部19は、処方箋様式判定部14により用紙が様式に合致していると判定され、かつ、操作画面に表示された個別条件を承諾する旨の承諾ボタンの操作が行われた場合にのみ、患者により入力された服薬指導関連情報をサーバ装置2に送信することになる。
【0039】
図5は、本実施形態によるサーバ装置2の機能構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、本実施形態のサーバ装置2は、機能構成として、処方箋情報転送部21、服薬指導関連情報保存部22およびオンライン接続提供部23を備えている。また、サーバ装置2は、記憶媒体として、情報記憶部20を備えている。
【0040】
上記機能ブロック21~23は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック21~23は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0041】
処方箋情報転送部21は、処方箋受付装置1から送信された処方箋情報を受信し、調剤側端末3に転送する。服薬指導関連情報保存部22は、処方箋受付装置1から送信された服薬指導関連情報を受信し、情報記憶部20に保存する。
【0042】
オンライン接続提供部23は、服薬指導関連情報保存部22により情報記憶部20に保存された服薬指導関連情報に基づいて、調剤側端末3と患者端末4との間を接続してオンライン服薬指導を行うための環境を提供する。例えば、オンライン接続提供部23は、服薬指導関連情報により示される希望日時情報に基づいて、患者が希望した日時にオンライン接続をするためのアクセス情報を設定し、その設定情報を調剤側端末3および患者端末4に通知する。そして、当該希望日時に調剤側端末3および患者端末4の双方からサーバ装置2にアクセスが行われたときに、オンライン接続提供部23は、調剤側端末3と患者端末4との間を接続してオンライン服薬指導を行うための環境を提供する。
【0043】
なお、調剤薬局併設型店舗201における調製の進行具合に応じて、オンライン服薬指導の実施日は患者の希望日時から変更される可能性がある。この場合、調剤側端末3からサーバ装置2介して患者端末4に日程変更の通知が行われ、オンライン服薬指導の実施日の調製が行われる。
【0044】
図6は、本実施形態による処方箋受付装置1の動作例を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、処方箋挿入口31に用紙が挿入され、当該用紙が返却口33まで搬送されて一時停止した後に制御用コンピュータにより実行される処理を示している。
図6に示すフローチャートの処理が開始される前に、処方箋受付装置1に投入された用紙のスキャン処理がスキャナ35により実行され、スキャン画像が生成されている。
【0045】
まず、処方箋情報取得部13は、スキャナ35のスキャン処理によって生成されたスキャン画像を取得する(ステップS1)。処方箋様式判定部14は、処方箋情報取得部13により取得された用紙のスキャン画像を解析し、処方箋が満たすべき様式に合致しているか否かを判定する(ステップS2)。
【0046】
ここで、スキャン画像で示される用紙が処方箋の様式に合致していないと処方箋様式判定部14により判定された場合、操作画面表示部11は、「処方箋ではないようです。確認し処方箋を挿入してください。」または「裏表を確認して再挿入してください。」といった処方箋読み取りエラーのメッセージを操作画面に表示する(ステップS3)。また、回収・返却制御部15は、処方箋受付装置1に投入された用紙を返却口33から返却するように受付・回収機構を制御する(ステップS4)。これにより、
図6に示すフローチャートの処理は終了する。
【0047】
一方、スキャン画像で示される用紙が処方箋の様式に合致していると処方箋様式判定部14により判定された場合、個別条件判定部16は、処方箋情報取得部13によりスキャン画像として取得された処方箋情報を解析し、オンライン服薬指導を行う際の個別条件に該当するか否かを判定する(ステップS5)。そして、操作画面表示部11は、該当すると判定した個別条件を示す情報と、個別条件を承諾する旨の承諾ボタンおよび承諾しない旨の拒否ボタンとを含む操作画面をディスプレイ34に表示する(ステップS6)。
【0048】
ここで、回収・返却制御部15は、承諾ボタンの操作が行われたか否かを判定する(ステップS7)。承諾ボタンの操作が行われなかった場合、つまり拒否ボタンが操作された場合、操作画面表示部11は、「処方箋を返却します。」といった処方箋返却のメッセージを操作画面に表示する(ステップS8)。また、回収・返却制御部15は、処方箋受付装置1に投入された用紙を返却口33から返却するように受付・回収機構を制御する(ステップS9)。これにより、
図6に示すフローチャートの処理は終了する。
【0049】
一方、承諾ボタンの操作が行われた場合、回収・返却制御部15は、返却口33の位置で一時停止している処方箋の原本を処方箋回収箱32に移送して回収するように受付・回収機構を制御する(ステップS10)。そして、処方箋情報送信部17は、処方箋情報取得部13により取得された処方箋情報をサーバ装置2に送信する(ステップS11)。
【0050】
次に、操作画面表示部11は、服薬指導関連情報を入力するための操作画面をディスプレイ34に表示する(ステップS12)。服薬指導情報取得部18は、この操作画面を通じて患者により入力された服薬指導関連情報を、情報入力部12を通じて取得する(ステップS13)。そして、服薬指導関連情報送信部19は、服薬指導情報取得部18により取得された服薬指導関連情報をサーバ装置2に送信する(ステップS14)。なお、ステップS11をなくし、ステップS14において処方箋情報と服薬指導関連情報とをまとめて送信するようにしてもよい。
【0051】
その後、操作画面表示部11は、「処方箋の受付を完了しました。」といった受付完了のメッセージを操作画面に表示する(ステップS15)。これにより、
図6に示すフローチャートの処理は終了する。
【0052】
以上詳しく説明したように、本実施形態の薬交付支援システムでは、例えばドラッグストアチェーンの一般店舗202に処方箋受付装置1を設置し、処方箋の原本を処方箋受付装置1で受け付けて回収するとともに、処方箋の原本から処方箋情報を取得して、調剤薬局併設型店舗201に設置された調剤側端末3に対してサーバ装置2を介して処方箋情報を送信するようにしている。さらに、サーバ装置2が調剤側端末3と患者端末4との間を接続してオンライン服薬指導を行うための環境を提供するようにしている。
【0053】
このように構成した本実施形態の薬交付支援システムによれば、調剤薬局併設型店舗201では、調剤側端末3で受信した処方箋情報に基づいて処方薬の調製を開始するとともに、処方箋受付装置1から処方箋の原本を回収して処方箋情報と同一であることを確認することで、調剤を完了させることができる。処方箋の原本は、ドラッグストアチェーンのスタッフが一般店舗202に出向いて回収するようにしてもよいし、一般店舗202から調剤薬局併設型店舗201に配送することによって回収するようにしてもよい。
【0054】
処方箋受付装置1は、これを調剤施設に設置することを必須とするものではなく、広く散在する一般店舗202に設置することが可能である。そのため、調剤薬局併設型店舗201や他の調剤薬局よりも一般店舗202の方が患者の住まいや職場の近くに存在すれば、患者は一般店舗202に出向き、処方箋受付装置1に処方箋を投入することによって簡便に調剤の依頼を行うことができる。
【0055】
また、患者は、調剤の完了後にオンライン服薬指導を受けることが可能なので、処方薬を受け取るために調剤施設まで出向く必要がなく、患者の自宅や指定場所への配送またはロッカー等を用いた受け渡しなどの手段によって処方薬を受け取ることが可能である。
【0056】
以上により、本実施形態の薬交付支援システムによれば、調剤施設が患者の住まいや職場の近くにない場合でも、患者が簡便に処方薬の交付を受けることができ、患者の利便性を向上させることができる。
【0057】
なお、ロッカーを用いて処方薬の受け渡しを行う場合、調剤された処方薬を収納して患者に引き渡すための収納庫と、処方薬の代金の電子決済を実行するための手段を提供する電子決済実行部とを備えた処方薬交付装置を用いるようにしてもよい。利用可能とする電子決済は、例えばクレジットカード決済、デビットカード決済、プリペイドカード決済、電子マネー決済、QRコード決済などのうち何れか1つまたは複数である。
【0058】
また、上記実施形態において、処方箋受付装置1で処方箋の受付を行う際に、処方薬の受け取り方法を選択するための操作画面を操作画面表示部11がディスプレイ34に表示するようにし、患者が所望の受け取り方法を選択できるようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態において、処方箋が有効期限内か否かを患者に確認させるための操作画面を操作画面表示部11がディスプレイ34に表示し、処方箋が有効期限内である旨の確認ボタンが操作された場合に処方箋の原本を処方箋回収箱32に回収する一方、確認ボタンが操作されなかった場合に処方箋の原本を返却口33から返却するようにしてもよい。この場合、処方箋情報送信部17は、確認ボタンが操作された場合にのみ処方箋情報をサーバ装置2に送信する。
【0060】
処方箋の有効期限は、原則として発行日含めて4日である。よって、患者は、処方箋に記載されている処方箋交付日を確認すれば、処方箋受付装置1での受付時が処方箋の有効期限内か否かを判断することが可能である。また、処方箋の有効期限が処方箋に記載されている場合は、患者はそれを確認することにより、処方箋受付装置1での受付時が処方箋の有効期限内か否かを判断することが可能である。
【0061】
なお、処方箋が有効期限内か否かを処方箋受付装置1が判定するようにしてよい。この場合における処方箋受付装置1Aの機能構成例を
図7に示す。この
図7において、
図4に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図7に示すように、処方箋受付装置1Aは、有効期限判定部71を更に備えている。また、処方箋受付装置1Aは、操作画面表示部11、回収・返却制御部15および処方箋情報送信部17に代えて、操作画面表示部11A、回収・返却制御部15Aおよび処方箋情報送信部17Aを備えている。
【0062】
有効期限判定部71は、処方箋情報取得部13により取得された処方箋情報を解析し、処方箋が有効期限内か否かを判定する。例えば、有効期限判定部71は、処方箋のスキャン画像に含まれる文字をテキストデータに変換し、処方箋交付日または有効期限の記載欄に記載されている年月日のテキストデータに基づいて、処方箋が有効期限内か否かを判定する。
【0063】
回収・返却制御部15Aは、有効期限判定部71により処方箋が有効期限内であると判定された場合に処方箋の原本を処方箋回収箱32に回収する一方、有効期限判定部71により処方箋が有効期限内ではないと判定された場合に処方箋の原本を返却口33から返却するように受付・回収機構を制御する。処方箋情報送信部17Aは、有効期限判定部71により処方箋が有効期限内であると判定された場合にのみ処方箋情報をサーバ装置2に送信する。また、操作画面表示部11Aは、処方箋が有効期限内であると判定された場合にのみ、服薬指導関連情報を入力するための操作画面をディスプレイ34に表示する。
【0064】
また、処方箋情報送信部17Aが、処方箋情報と共に処方箋の有効期限情報をサーバ装置2に送信し、サーバ装置2から患者端末4に対して有効期限のアラートを行うようにしてもよい。この場合におけるサーバ装置2Aの機能構成例を
図8に示す。この
図8において、
図5に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図8に示すように、サーバ装置2Aは、有効期限情報保存部24および有効期限通知部25を更に備えている。また、サーバ装置2Aは、情報記憶部20に代えて情報記憶部20Aを備えている。
【0065】
有効期限情報保存部24は、処方箋受付装置1Aから送信された有効期限情報を受信し、情報記憶部20Aに保存する。有効期限通知部25は、有効期限情報保存部24により情報記憶部20Aに保存された有効期限情報に基づいて、処方箋の有効期限を知らせるためのメッセージを患者端末4に送信する。患者端末4のアドレス情報として、服薬指導情報取得部18が取得した連絡先情報を用いることが可能である。
【0066】
例えば、有効期限通知部25は、情報記憶部20Aに有効期限情報が保存されてから所定時間が経過したタイミングで、処方薬の受け取りを案内するメッセージを患者端末4に送信する。所定の時間間隔で繰り返しメッセージを送信するようにしてもよい。また、有効期限通知部25は、有効期限の所定時間前になったタイミングで、処方薬の受け取りおよび有効期限を案内するメッセージを患者端末4に送信するようにしてもよい。さらに、有効期限通知部25は、有効期限までにオンライン服薬指導が実行されなかった場合に、有効期限切れを案内するメッセージを患者端末4に送信するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態において、処方箋受付装置1で処方箋の受付を行う際に、処方薬を調剤するのに必要十分な医薬品の在庫が調剤薬局併設型店舗201にあるかどうかを確認して患者に提示するようにしてもよい。
図9~
図11は、この場合における調剤側端末3B、サーバ装置2Bおよび処方箋受付装置1Bの機能構成例を示すブロック図である。
図10および
図11において、
図5および
図4に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0068】
図9に示すように、調剤側端末3Bは、機能構成として在庫管理部91および在庫情報送信部92を備えるとともに、記憶媒体として在庫情報記憶部90を備えている。また、
図10に示すように、サーバ装置2Bは、機能構成として在庫情報保存部26および在庫応答部27を備えるとともに、情報記憶部20に代えて情報記憶部20Bを更に備えている。また、
図11に示すように、処方箋受付装置1Bは、機能構成として在庫問い合わせ部111および在庫情報提示部112を更に備えている。
【0069】
調剤側端末3Bの在庫管理部91は、調剤薬局併設型店舗201が保有している全医薬品の在庫状況を示す情報(以下、在庫情報という)を在庫情報記憶部90に記憶して管理する。例えば、調剤薬局併設型店舗201において医薬品を薬保管庫に入庫および出庫するたびに、入庫内容を示す情報および出庫内容を示す情報を入力し、その入力した情報に基づいて、在庫情報記憶部90に記憶されている在庫情報を更新する。情報の入力は、例えば調剤薬局併設型店舗201のスタッフがコンピュータの入力デバイスを操作することによって行う。なお、医薬品に付与されているユニークなコード情報を読み取ることによって自動的に在庫管理を行う公知の在庫管理システムを利用してもよい。
【0070】
在庫情報送信部92は、在庫情報記憶部90に記憶されている在庫情報を逐次サーバ装置2Bに送信する。例えば、在庫情報送信部92は、在庫情報記憶部90に記憶されている在庫情報を所定の時間間隔で繰り返しサーバ装置2Bに送信する。あるいは、在庫情報送信部92は、在庫情報記憶部90に記憶されている在庫情報が更新されるたびに、更新後の在庫情報をサーバ装置2Bに送信するようにしてもよい。
【0071】
サーバ装置2Bの在庫情報保存部26は、調剤側端末3Bから逐次送信された在庫情報を受信し、情報記憶部20Bに逐次更新して保存する。在庫応答部27は、在庫情報保存部26により情報記憶部20Bに保存された在庫情報に基づいて、処方箋受付装置1Bからの在庫の問い合わせに応答する。この応答により処方箋受付装置1Bに返信する応答情報は、処方薬を調剤するのに必要十分な医薬品の在庫があるかどうかを示す情報である。例えば、在庫応答部27は、「在庫あり」、「在庫なし」、「在庫数不足」といった情報を処方箋受付装置1Bに応答する。「在庫なし」または「在庫数不足」の場合は、医薬品の取り寄せにかかる所要日数の情報を更に含めるようにしてもよい。
【0072】
処方箋受付装置1Bの在庫問い合わせ部111は、処方箋情報取得部13により取得された処方箋情報により示されている処方薬の在庫状況をサーバ装置2Bに問い合わせ、サーバ装置2Bからの応答情報を取得する。問い合わせの際に、在庫応答部27は、処方箋情報から解析した処方の内容(医薬品名、用量、日数など)をサーバ装置2Bに送信する。在庫情報提示部112は、在庫問い合わせ部111により取得された応答情報をディスプレイ34に表示する。
【0073】
このようにすれば、患者は、在庫の有無および医薬品の取り寄せに要する日数を把握することができ、それを踏まえてオンライン服薬指導の希望日時を指定することが可能となる。なお、在庫情報提示部112は、服薬指導関連情報を入力するための操作画面の中に応答情報を表示するようにしてもよい。
【0074】
また、処方薬を調剤するのに必要十分な医薬品の在庫が調剤薬局併設型店舗201にないことが確認された場合に、患者が調剤の依頼を中止できるようにしてもよい。例えば、在庫情報提示部112が、医薬品の在庫状況を示す応答情報とともに、応答情報の内容を承諾する旨の承諾ボタンおよび承諾しない旨の拒否ボタンを含む操作画面を表示する。そして、承諾ボタンが操作された場合には処方箋の原本を処方箋回収箱32に回収する一方、拒否ボタンが操作された場合には処方箋の原本を返却口33に返却するようにする。
【0075】
また、上記実施形態において、処方箋受付装置1での処方箋の受付が完了した後に、調剤薬局併設型店舗201において実施される処方薬の調製から交付までの進捗状況を患者端末4に通知するようにしてもよい。
図12および
図13は、この場合における調剤側端末3Cおよびサーバ装置2Cの機能構成例を示すブロック図である。
図13において、
図5に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0076】
図12に示すように、調剤側端末3Cは、機能構成として進捗管理部121および進捗情報送信部122を備えるとともに、記憶媒体として進捗情報記憶部120を備えている。また、
図13に示すように、サーバ装置2Cは、機能構成として進捗情報保存部28および進捗情報通知部29を更に備えるとともに、情報記憶部20に代えて情報記憶部20Cを備えている。
【0077】
調剤側端末3Cの進捗管理部121は、調剤薬局併設型店舗201において調剤側端末3Cがサーバ装置2Cから処方箋情報を受信した後に実施される処方薬の調製から交付までの進捗状況を示す情報(以下、進捗情報という)を進捗情報記憶部120に記憶して管理する。例えば、「処方箋確認中」「調製中」、「オンライン服薬指導待ち」、「ロッカー収納済み」、「配送業者に引き渡し」といった進捗情報を調剤薬局併設型店舗201のスタッフが調剤側端末3Cに入力し、その入力した情報に基づいて、進捗情報記憶部120に記憶されている進捗情報を更新する。
【0078】
進捗情報送信部122は、進捗情報記憶部120に記憶されている進捗情報を逐次サーバ装置2Cに送信する。例えば、進捗情報送信部122は、進捗情報記憶部120に記憶されている進捗情報を所定の時間間隔で繰り返しサーバ装置2Cに送信する。あるいは、進捗情報送信部122は、進捗情報記憶部120に記憶されている進捗情報が更新されるたびに、更新後の進捗情報をサーバ装置2Cに送信するようにしてもよい。
【0079】
サーバ装置2Cの進捗情報保存部28は、調剤側端末3Cから逐次送信された進捗情報を受信し、情報記憶部20Cに逐次更新して保存する。進捗情報通知部29は、進捗情報保存部28により情報記憶部20Cに保存された進捗情報を患者端末4に通知する。例えば、進捗情報通知部29は、情報記憶部20Cに記憶されている進捗情報が更新される都度、更新後の進捗情報を患者端末4に通知する。患者端末4のアドレス情報として、服薬指導情報取得部18が取得した連絡先情報を用いることが可能である。
【0080】
このようにすれば、患者は、処方箋受付装置1に処方箋を投入して調剤の依頼を行った後、処方薬の調製から交付までの進捗状況を把握することができ、交付が行われるまで安心して待つことができる。また、進捗状況を患者に都度知らせることにより、オンライン服薬指導を受けることや、所定または指定の場所で処方薬の受け取りを行うことを患者に認識させることができ、これらを患者が忘れないように注意喚起することもできる。
【0081】
以上、
図7~
図12を用いて複数の変形例を説明したが、これらの変形例は何れか1つのみを単独で適用するようにしてもよいし、複数を組み合わせて適用するようにしてもよい。
【0082】
なお、上記実施形態では、患者がオンライン服薬指導の希望日時を指定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、調剤薬局併設型店舗201が服薬指導の実施日時を指定するようにしてもよい。また、上記実施形態では、処方箋様式判定部14および個別条件判定部16を設ける構成について説明したが、これらは必須の構成ではない。ただし、設けることが好ましい。
【0083】
また、上記実施形態では、処方箋受付装置1を一般店舗202(調剤施設ではない施設)に設置する例について説明したが、調剤施設に設置してもよい。この場合、調剤施設の近くに自宅または職場がある患者が、調剤施設に出向き、処方箋受付装置1を用いて非対面で調剤の依頼を行うことができる。また、オンライン服薬指導を行うことにより、非対面で処方薬の交付を受けることができる。完全非対面での薬交付を望む患者にとっての利便性を図ることが可能である。この場合、処方箋受付装置1に加えて処方薬交付装置を調剤薬局併設型店舗201に設置するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、処方箋に基づく調剤および服薬指導を行う組織の例としてドラッグストアチェーンを挙げたが、これに限定されない。例えば、調剤薬局でもよい。この場合、処方箋受付装置1は、駅やスーパー、駐車場、コンビニエンスストアなど任意の場所に設置可能である。
【0085】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0086】
1,1A,1B,1C 処方箋受付装置
2,2A,2B,2C サーバ装置
3,3B,3C 調剤側端末
4 患者端末
11 操作画面表示部
12 情報入力部
13 処方箋情報取得部
14 処方箋様式判定部
15,15A 回収・返却制御部
16 個別条件判定部
17,17A 処方箋情報送信部
18 服薬指導情報取得部
19 服薬指導関連情報送信部
20,20A,20B,20C 情報記憶部
21 処方箋情報転送部
22 服薬指導関連情報保存部
23 オンライン接続提供部
24 有効期限情報保存部
25 有効期限通知部
26 在庫情報保存部
27 在庫応答部
28 進捗情報保存部
29 進捗情報通知部
31 処方箋挿入口
32 処方箋回収箱
33 返却口
34 ディスプレイ
35 スキャナ
71 有効期限判定部
91 在庫管理部
92 在庫情報送信部
111 在庫問い合わせ部
112 在庫情報提示部
121 進捗管理部
122 進捗情報送信部
201 調剤薬局併設型店舗(調剤施設)
202 一般店舗