(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040128
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】自動車
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20240315BHJP
B62D 37/02 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B62D25/20 N
B62D37/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145803
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】102022000018489
(32)【優先日】2022-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファブリツィオ ファヴァレット
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB03
3D203BB06
3D203BB07
3D203BB12
3D203CB27
3D203DB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】液体若しくは気体燃料又は電力の消費は、自動車の前方領域から後方領域へと下床の下方を流れる空気が受ける撓みが増加するときに増加し、自動車の前方領域から後方領域へと下床の下方を流れる空気が受ける撓みが減少するときに減少するので、自動車に作用する垂直空気力学的負荷を保証する自動車を提供する。
【解決手段】自動車は、自動車の下床(3)の一部を画定する支持フレーム(2)と、下床から上方に突出する乗員室と、自動車を移動させるための駆動エンジンと、少なくとも部分的に支持フレームに固定され、下床の一部を画定し、自動車の後方領域(9)に取り付けられ、路面に対して異なる傾斜を有する少なくとも2つの動作位置の間を移動するように取り付けられた傾斜部分を有する後方底部(8)が設けられた空気力学的底部(5)とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の下床(3)の一部を画定する支持フレーム(2)と、
前記下床(3)から上方に突出する乗員室(4)と、
前記自動車を移動させるための駆動エンジンと、
前記支持フレーム(2)に少なくとも部分的に固定され、前記下床(3)の一部を画定し、前記自動車の後方領域(9)に取り付けられた後方底部(8)を備える空気力学的底部(5)と、を備え、
前記後方底部(8)が、路面に対して異なる傾斜を有する少なくとも2つの動作位置の間を移動するように取り付けられた傾斜部分(17)を有する、
ことを特徴とする、自動車。
【請求項2】
前記傾斜部分(17)が、前記動作位置の間で支点軸(18)を中心として回転するように取り付けられている、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記後方底部(8)が、前記支持フレーム(2)に固定された固定部分(12)をさらに備え、
前記傾斜部分(17)が、前記動作位置の間で支点軸(18)を中心として回転するように前記固定部分(12)にヒンジ結合されている、請求項1又は2に記載の自動車。
【請求項4】
前記下床(3)の下方で前記支持フレーム(2)又は前記固定部分(12)に固定され、前記支点軸(18)上及び前記傾斜部分(17)の少なくとも一部上に延在する被覆層(20)をさらに備える、請求項2又は3に記載の自動車。
【請求項5】
前記被覆層(20)が、前記傾斜部分(17)とともに前記支点軸(18)を中心として回転するように前記傾斜部分(17)に結合されている、請求項4に記載の自動車。
【請求項6】
前記傾斜部分(17)が、前記傾斜部分(17)に平行な第1の方向(16)に延在し、前記支点軸(18)に平行で前記第1の方向(16)を横断する第2の方向(19)に互いに位置合わせされた複数のスロット(23)を有する、請求項5に記載の自動車。
【請求項7】
前記被覆層(20)が、前記スロット(23)と同数であり、それぞれのスロット(23)を通ってそれぞれ延在する複数の歯(24)を有する、請求項6に記載の自動車。
【請求項8】
各歯(24)が、摺動するように前記相対スロット(23)に係合されるステム(25)と、前記歯(24)を前記傾斜部分(17)にロックするように前記相対スロット(23)に対して前記被覆層(20)の反対側に配置されたヘッド(26)とを備える、請求項7に記載の自動車。
【請求項9】
前記後方底部(8)の前記傾斜部分(17)を下降端位置と上昇端位置との間で連続的に移動させるように構成された動作装置(27)をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項10】
前記自動車の動作パラメータ及び/又は前記自動車の前進経路の幾何学的パラメータに応じて、前記動作装置(27)の動作、したがって前記後方底部(8)の前記傾斜部分(17)の傾斜を選択的に制御するように構成された電子制御ユニット(31)をさらに備える、請求項9に記載の自動車。
【請求項11】
前記後方底部(8)が、前記傾斜部分(17)の両側に配置された2つの空気供給チャネル(15)をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本特許出願は、2022年9月12日に出願されたイタリア特許出願第102022000018489号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、自動車に関する。
【0003】
特に、本発明は、自動車の下床の一部を画定する支持フレームと、支持フレームに取り付けられ、下床から上方に突出する乗員室と、自動車を移動させるための駆動エンジンと、支持フレームに固定され、下床の一部を画定する空気力学的底部と、を備える種類の自動車に関する。
【背景技術】
【0004】
空気力学的底部は、自動車の前方領域に取り付けられた前方底部と、自動車の後方領域に取り付けられた後方底部と、自動車の中央領域に取り付けられた中央底部とを備える。
【0005】
自動車の通常運転中の液体若しくは気体燃料又は電力の消費は、自動車に作用する垂直空気力学的負荷に依存する。
【0006】
自動車に作用する垂直空気力学的負荷は、ひいては、自動車の前方領域から後方領域まで下床の下方を流れる空気が受ける撓みに依存する。
【0007】
これに関して、自動車に作用する垂直空気力学的負荷、したがって液体若しくは気体燃料又は電力の消費は、自動車の前方領域から後方領域へと下床の下方を流れる空気が受ける撓みが増加するときに増加し、自動車の前方領域から後方領域へと下床の下方を流れる空気が受ける撓みが減少するときに減少することが指摘されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した種類の既知の自動車は、主に、下床及び空気力学的底部の位置が、運転条件及び路面の条件に基づいて、その通常動作中に自動車に作用する正確な垂直空気力学的負荷を保証することができず、したがって、液体若しくは気体燃料又は電力の正確な消費を保証することができないという事実に起因するいくつかの欠点を被っている。
【0009】
本発明の目的は、前述の欠点を簡単で比較的低コストの方法で排除するように設計された自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載の自動車が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
ここで、本発明の非限定的な実施形態を示す、添付の図面を参照して、本発明の説明を行う。
【
図1】より明確にするために部品を取り除いた、本発明にかかる自動車の好ましい実施形態の概略斜視図である。
【
図2】より明確にするために部品を取り除いた、
図1の自動車の概略底面図である。
【
図3】より明確にするために部品を取り除いた、
図1の自動車の詳細の第1の概略斜視図である。
【
図4】より明確にするために部品を取り除いた、
図3の詳細の第2の概略斜視図である。
【
図5】より明確にするために部品を取り除いた、
図3の詳細の概略側面図である。
【
図6】断面の部分であり、より明確にするために部品を取り除いた、
図3の詳細の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び
図2を参照すると、番号1は、全体として、自動車1の下床3の一部を画定する支持フレーム2を備える自動車、特にスポーツカーを示している。
【0013】
自動車1は、フレーム2に取り付けられ、床3から上方に突出する乗員室4と、フレーム2に部分的に固定され、床3の一部を画定する空気力学的底部5とをさらに備える。
【0014】
底部5は、自動車1の前方領域7においてフレーム2に固定された前方底部6と、自動車1の後方領域9に取り付けられた後方底部8と、底部6と底部8との間で自動車1の中央領域11においてフレーム2に固定された細長中央底部10とを備える。
【0015】
自動車1は、本明細書には示されておらず、この特定の場合には、後方領域9の中央に取り付けられ、自動車1の通常動作中にフレーム2に対して少なくとも1つの自由度を有するように、本明細書には示されていない既知の弾性ショックアブソーバ装置の介在によってフレーム2に接続される既知の駆動エンジンをさらに備える。
【0016】
図3から
図6によれば、後方底部8は、フレーム2に固定され、中央底部10に面する矩形を有するプレート13と、プレート13に対して中央底部10の反対側に取り付けられた環状を有するフレーム14とを順に備える固定部分12を備える。
【0017】
フレーム14は、互いに平行で自動車1の進行方向16に平行な2つの空気供給チャネル15を画定するように構成される。
【0018】
後方底部8は、矩形を有し、フレーム14内に取り付けられ、チャネル15の間に延在する可動部分17をさらに備える。
【0019】
部分17は、部分12に対して、したがって自動車フレーム2に対して、方向16を横切る方向19に平行な支点軸18を中心として、部分17がフレーム14と実質的に同一平面上にある下降位置と上昇位置との間で回転するように、部分12にヒンジ止めされている(
図3及び
図5)。
【0020】
後方底部8は、好ましくは必ずしもそうである必要はないが、弾性変形可能な材料から作られ、底部8の下方に取り付けられ、方向19に分布して軸18上及び部分17の少なくとも一部に延在する複数の締結ねじ21によって固定部分12に固定される被覆層20をさらに備える。
【0021】
部分17及び層20は、部分17を通して得られ、互いに及び方向16に平行であり、方向19において互いに位置合わせされた複数のスロット23を備える結合装置22によって互いに接続される。
【0022】
装置22は、各スロット23について、層20から上方に突出し、摺動するようにスロット23に係合するステム25を有するそれぞれの歯24と、スロット23に対して層20の反対側で得られ、層20を部分17自体に対して垂直に部分17上にロックするヘッド26とをさらに備える。
【0023】
軸18を中心とした部分17の回転に続いて、層20は、歯24が相対的なスロット23の内側を摺動することを可能にするように、軸18を中心として部分17によって移動される。
【0024】
層20は、軸18を中心とした部分17の任意の位置における後方底部8の連続性及び空気力学的特性を保証する。
【0025】
部分17は、この特定の場合には、2つの電動アクチュエータシリンダ28を備える動作装置27によって軸18を中心として連続的に移動される。
【0026】
各シリンダ28は、フレーム2に結合され、部分17に結合された出力ロッド30を有する電気モータ29を備える。
【0027】
自動車1は、自動車1の動作パラメータ、例えば速度、及び/又は自動車1の前進経路(図示せず)の幾何学的パラメータに応じて、動作装置27及びアクチュエータシリンダ28の動作、したがって路面に対する部分17の傾斜を選択的に制御するように構成された電子制御ユニット31をさらに備える。
【0028】
軸18を中心とした部分17の上昇は、下床3の下方を前方領域7から後方領域9に流れる空気による撓みの増加、したがって、自動車1に作用する垂直空気力学的負荷の増加をもたらす。
【0029】
軸18を中心とした部分17の下降は、下床3の下方を前方領域7から後方領域9に流れる空気による撓みの減少、したがって、自動車1に作用する垂直空気力学的負荷の減少をもたらす。
【0030】
自動車1はいくつかの利点を有し、これは、主に、部分17、動作シリンダ28、及び電子制御ユニット31によって画定されたアセンブリが、軸18を中心とした部分17の位置及び自動車1に作用する空気力学的負荷を選択的に制御することを可能にし、したがって自動車1の液体若しくは気体燃料又は電力の消費を最適化するという事実に起因する。
【外国語明細書】