IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フェラーリ エッセ.ピー.アー.の特許一覧

<>
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図1
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図2
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図3
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図4
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図5
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図6
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図7
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図8
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図9
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図10
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図11
  • 特開-回転電気機械の三相ステータ巻線 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040129
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】回転電気機械の三相ステータ巻線
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20240315BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H02K3/04 J
H02K3/04 E
H02K3/28 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145804
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】102022000018525
(32)【優先日】2022-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ フェラーラ
(72)【発明者】
【氏名】パオロ ファヴェルツァーニ
(72)【発明者】
【氏名】エンリコ アリオ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ポッジョ
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA05
5H603CB18
5H603CB23
5H603CB24
5H603CC03
5H603CC17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型且つ軽量な回転電気機械を実現することを可能にした三相ステータ巻線を提供する。
【解決手段】回転電気機械の三相ステータ巻線は、両端部をそれぞれ2つ有する複数のコイルと、それぞれが3つのコイルのスター接続を画定し、3つのコイルのそれぞれの第1の端部を互いに接続することによって3つのコイルのスター中心を構成する複数の第1の接続ブリッジと、スター接続の並列接続を画定する3つの第2の接続ブリッジ(14、15、16)であって、三相ステータ巻線の外側に向かう端子を画定する対応するピン(17)がそれぞれ設けられ、ピンのそれぞれが、各スター接続のそれぞれのコイルの第2の端部を互いに接続する、第2の接続ブリッジと、を有する。各第2の接続ブリッジは、それ自体に閉じられた継ぎ目のない円形形状を有する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械(1)の三相ステータ巻線(12)であって、
それぞれが2つの対向する端部(10、11)を有する複数のコイル(8)と、
少なくとも3つのコイル(8)のスター接続を画定し、前記3つのコイル(8)のそれぞれの第1の端部(10)を互いに接続することによって前記3つのコイル(8)のスター中心を構成する少なくとも1つの第1の接続ブリッジ(13)と、
前記スター接続の並列接続を画定する3つの第2の接続ブリッジ(14、15、16)であって、それぞれ、前記三相ステータ巻線(12)の外側に向かう端子を画定する対応するピン(17)を備え、前記ピンのそれぞれが、各スター接続のそれぞれのコイル(8)の第2の端部(11)を互いに接続する、第2の接続ブリッジと、を備え、
各第2の接続ブリッジ(14、15、16)が、それ自体に閉じられた途切れのない円形形状を有し、
前記三相ステータ巻線(12)が、各第2の接続ブリッジ(14、15、16)がその周方向延長部に沿って可変断面を有することを特徴とする、三相ステータ巻線。
【請求項2】
各第2の接続ブリッジ(14、15、16)の断面が、前記ピン(17)の領域においてより大きく、対応するピン(17)の反対側においてより小さい、請求項1に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項3】
各第2の接続ブリッジ(14、15、16)が、一定の軸方向厚さおよび可変の半径方向幅を有する、請求項2に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項4】
前記ピン(17)が位置する各第2の接続ブリッジ(14、15、16)の半分が、より大きい半径方向幅を有し、前記ピン(17)に対向する各第2の接続ブリッジ(14、15、16)の他の半分が、より小さい半径方向幅を有する、請求項3に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項5】
それぞれが3つのコイル(8)のスター接続を画定し、前記3つのコイル(8)のそれぞれの第1の端部(10)を互いに接続することによって前記3つのコイル(8)のスター中心を構成する複数の第1の接続ブリッジ(13)を備える、請求項1に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項6】
前記第1の接続ブリッジ(13)が、互いに並んで同一平面上に配置され、全てが一緒に円周を構成する、請求項5に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項7】
前記第1の接続ブリッジ(13)が、互いに電気的に絶縁されている、請求項5に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項8】
環状且つ円形形状を有し、前記第1の接続ブリッジ(13)を収容し、ステータ(5)の磁性コア(6)と前記第1の接続ブリッジ(13)との間に介在されるように構成された内部絶縁支持体(19)を備える、請求項5に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項9】
前記第1の内部絶縁支持体(19)が、複数の第1の座部(21)を備え、前記第1の座部のそれぞれが、対応する第1の接続ブリッジ(13)の形状を負に再現し、前記対応する第1の接続ブリッジ(13)を収容する、請求項8に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項10】
前記接続ブリッジ(13~16)が、軸方向に上下に積み重ねられて配置され、中間絶縁支持体(22)が、前記接続ブリッジ(13~16)の間に介在される、請求項1から9のいずれか一項に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項11】
前記第2の接続ブリッジ(14、15、16)が、互いに軸方向に重ねられ、前記第1の接続ブリッジ(13)と軸方向に重ねられ、
前記接続ブリッジ(13~16)の間に介在され、それぞれが環状且つ円形形状を有する3つの中間絶縁支持体(22)が設けられ、
軸方向最外側の接続ブリッジ(16)を覆い、環状且つ円形形状を有する外部絶縁支持体(24)が設けられる、
請求項10に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項12】
各中間絶縁支持体(22)が、両側に第2の座部(23)を備え、各座部が、対応する接続ブリッジ(13~16)の形状を負に再現し、前記対応する接続ブリッジ(13~16)を収容し、
前記外部絶縁支持体(24)が、前記軸方向最外側の接続ブリッジ(16)の形状を負に再現し、前記軸方向最外側の接続ブリッジ(16)を収容する第3の座部(25)を備える、
請求項11に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項13】
前記コイル(8)の前記端部(10、11)および前記接続ブリッジ(13~16)が、全て、前記三相ステータ巻線(12)の同じヘッドの領域内の同じ側に配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項14】
各コイル(8)が、個々に絶縁され且つ撚り合わされたまたは織り合わされた細いワイヤの少なくとも1つのストランドからなるリッツ型導体ケーブル(9)によって構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の三相ステータ巻線(12)。
【請求項15】
各コイル(8)が、ステータ(5)の磁性コア(6)の対応する磁極(7)の周りに螺旋状に巻回された導体ケーブル(9)によって構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の三相ステータ巻線(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本特許出願は、2022年9月12日に出願されたイタリア特許出願第102022000018525号の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、回転電気機械の三相ステータ巻線に関する。
【0003】
本発明は、車両に搭載され、(電気エネルギーを吸収して機械的駆動トルクを発生させることによって)モータとして、または(機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することによって)発電機として使用されることができる自動車用の回転電気機械に有利な用途を見出すものである。
【背景技術】
【0004】
自動車用の回転電気機械は、中心回転軸の周りを回転するように回転可能に取り付けられたシャフトと、シャフトとともに回転するようにシャフトにキー止めされた略永久磁石ロータと、ロータの周りに配置され、ロータの内側に封入されたステータとを備える。
【0005】
米国特許出願公開第2008150377号明細書、国際公開第2014041265号および米国特許出願公開第2012286593号明細書は、回転電気機械の三相ステータ巻線であって、複数のコイルおよび4つの接続ブリッジを有し、それぞれがコイルの端子に接続され、それ自体に閉じられた継ぎ目のない円形形状を有する、三相ステータ巻線を記載している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、高いエネルギー効率および高い固有の性能(出力および/またはトルク)を有し、小型且つ軽量な回転電気機械を実現することを可能にし、高度に自動化された生産プラントにおいて容易に実現可能な回転電気機械の三相ステータ巻線を提供することである。
【0007】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載の回転電気機械の三相ステータ巻線が提供される。
【0008】
特許請求の範囲は、本明細書の不可欠な部分を形成する、本発明の好ましい実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
ここで、本発明を、そのいくつかの非限定的な実施形態を示す以下の添付の図面を参照して説明する。
図1】実現される回転電気機械の長手方向断面の概略図である。
図2図1の回転電気機械の三相ステータ巻線を備えたステータの斜視図である。
図3図1の回転電気機械の三相ステータ巻線を備えたステータの斜視図である。
図4図2および図3の三相ステータ巻線を備えたステータの断面図である。
図5図2および図3の三相ステータ巻線の接続ブリッジのセットの斜視図である。
図6】本発明の一部ではない変形例にかかる図5の接続ブリッジの分解斜視図である。
図7図6の詳細の拡大図である。
図8図6の詳細の拡大図である。
図9図6の詳細の拡大図である。
図10図2および図3の三相ステータ巻線の電気図である。
図11】本発明の一部である図5のいくつかの接続ブリッジの異なる実施形態の斜視図である。
図12】本発明の一部である図5のいくつかの接続ブリッジの異なる実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1において、番号1は、全体として、自動車用の可逆式同期電気機械(すなわち、電気エネルギーを吸収して駆動機械トルクを発生させることによる電気モータとして、および機械エネルギーを吸収して電気エネルギーを発生させることによる発電機としての両方として機能することができる)を示している。
【0011】
電気機械1は、少なくとも2つの駆動輪を備える電気駆動車両に(すなわち、二輪駆動または四輪駆動の電気駆動車両に)設置されるように意図されている。特に、電気機械1は、(直接的に、または場合によってはクラッチを備えたトランスミッションによって)駆動輪に接続されることができる。すなわち、電気機械1と駆動輪との間に直接接続が存在することができ、単純な減速機が存在することができ、あるいはクラッチも存在することができる。
【0012】
電気機械1は、中心回転軸3の周りを回転するように取り付けられたシャフト2と、シャフト2とともに回転するようにシャフト2にキー止めされた永久磁石ロータ4と、ロータ4の周りに配置され、ロータ4の内側に封入された円筒管状のステータ5とを備える。ロータ4とステータ5との間には、低減された厚さ(通常、ステータ5の内側でロータ4の回転を安全に可能にするために必要な最小値)を有する環状のエアギャップが画定される。
【0013】
図2および図3に示されているものによれば、ステータ5は、スタックにクランプされた(すなわち、互いに積み重ねられた)一連の金属シート(強磁性材料によって構成される)によって形成された磁性コア6を備える。磁性コア6は、複数の突出磁極7(磁極拡張部とも呼ばれる)を備え、そのそれぞれは、ロータ4に向かって半径方向に突出し、図3においてよりよく見える。添付の図面に示される実施形態では、18個の磁極7が存在するが、もちろん異なる数の磁極7が設けられることができる。
【0014】
図3によりよく示されているものによれば、各磁極7の周りには、磁極7の周りに巻回された特定の巻数を形成するように磁極7の周りに巻回された導体ケーブル9(外部絶縁)によって構成された対応するコイル8が配置されている。各コイル8は、導体ケーブル9の2つの端部を構成し、コイル8の始点および終点を画定する2つの端部10および11を有する。添付の図面に示される実施形態によれば、コイル8の端部10および11は、全て、磁性コア6の同じ側に配置され、したがって、磁性コア6の同じ側には、コイル8間の全ての接続部も配置されて、三相ステータ巻線12(図10に概略図で示す)を形成する。すなわち、コイル8の端部10および11ならびにそれぞれの接続部は、全て、三相ステータ巻線12の同じヘッドの領域に配置される。図示されていない異なる実施形態によれば、コイル8の端部10および11は、部分的に磁性コア6の一方の側に配置され且つ部分的に磁性コア6の他方の側に配置され、したがって、三相ステータ巻線12を形成するためのコイル8間の接続部も両側に位置する。すなわち、コイル8の端部10および11ならびにそれぞれの接続部は、三相ステータ巻線12の両方のヘッドの領域に配置される。
【0015】
図5および図6に示されているものによれば、コイル8の端部10および11の領域(すなわち、三相ステータ巻線12の同じヘッドの領域)には、円形(環状)形状を有し、コイル8の端部10および11に電気的に接続されて三相ステータ巻線12を実現する一連の接続ブリッジ13~16が配置される。
【0016】
それぞれが3つのコイル8から構成される6つのスター接続を構成するように、三相ステータ巻線12の対応するスター中心を画定する6つの接続ブリッジ13が設けられる。特に、各接続ブリッジ13は、したがって互いにスター接続された3つのコイル8の端部10を互いに接続する。また、6つのスター接続の並列接続を画定する3つの接続ブリッジ14、15、および16も設けられ、それぞれに外側に向かって三相ステータ巻線12の端子を画定する対応するピン17が設けられる。特に、各接続ブリッジ14、15または16は、6つのコイル8の端部11を互いに接続する(それぞれが3つのコイル8の対応するスターに属する)。
【0017】
好ましい実施形態によれば、各接続ブリッジ13~16は、電気機械1の中心回転軸3に対して垂直に配置され、電気機械1の中心回転軸3と同軸の円形形状(特に、多かれ少なかれ延長された円周の円弧として成形される)を有し、接続ブリッジ13~16から外側に向かって半径方向に片持ち支持されて突出し且つコイル8の端部10および11と係合する一連の圧着フォーク18を外部に有する平板によって構成される。すなわち、コイル8の端部10および11は、圧着フォーク18の内側に挿入されてロックされる。可能な実施形態によれば、コイルの端部10または11が圧着フォーク18に挿入されると、圧着フォーク18は、(塑性、したがって永久変形によって)端部10または11の周りに締め付けられ、溶接を実行する必要なしに、端部10または11を圧着フォーク18の内側にロックする。代替的な実施形態によれば、コイルの端部10または11が圧着フォーク18に挿入されると、溶接が実行されて、端部10または11を圧着フォーク18の内側により良好にロックする。
【0018】
換言すれば、好ましい実施形態によれば、各接続圧着フォーク18は、「U」字形であり、対応する端部10または11(すなわち、コイル8を構成する導体ケーブル9の末端)を受け入れて収容するように適合される。各圧着フォーク18は、対応する端部10または11の断面よりも大きい断面を最初に有し、それにより、端部10または11は、特定の遊びを伴って圧着フォーク18の内側に入ることができる。換言すれば、各圧着フォーク18は、端部10または11を遊びを伴って収容し、したがって端部10または11の容易な進入を可能にするために、対応する端部10または11よりも最初は大きい。端部10または11が対応する圧着フォーク18に挿入されると、圧着フォーク18は、端部10または11をクランプするために(すなわち、端部10または11にしっかりと接着するために)塑性変形によって締め付けられる。特に、特殊なクランプによって、圧着フォーク18は、端部10または11に対して変形して、端部10または11と(さらに特定の圧力によって)密接する。このようにして、一方では、端部10および11を対応する圧着フォーク18に容易に挿入することが可能であり、他方では、端部10および11と対応する圧着フォーク18との間の安定したスリットのない機械的結合を確実にすることが可能である。換言すれば、圧着フォーク18が最初は端部10および11よりも大きいという事実のおかげで、端部10および11を圧着フォーク18に結合することは容易且つ迅速(したがって、容易に自動化可能)である。さらに、圧着フォーク18が塑性変形されて対応する端部10および11をクランプするという事実のおかげで、圧着フォーク18と対応する端部10および11との間の最適な(機械的な、したがって電気的な)接触を常に得ることが可能である。
【0019】
図7によりよく示されているものによれば、6つの接続ブリッジ13は、互いに並んで同一平面上に配置され、全てが一緒に円周を構成する(2つの隣接する接続ブリッジ13が接触するのを防止するために、2つの隣接する接続ブリッジ13の間で明らかに中断される)。
【0020】
接続ブリッジ13を収容し、磁性コア6と接続ブリッジ13との間に介在される内部絶縁支持体19が設けられている。好ましい実施形態によれば、内部絶縁支持体19は、電気絶縁性の成形プラスチック材料から構成される。内部絶縁支持体19は、電気機械1の中心回転軸3と同軸の環状且つ円形形状を有し、すなわち、継ぎ目のない(すなわち、中断のない)円形リングである。内部絶縁支持体19は、内部絶縁支持体19から磁性コア6に向かって軸方向に延在し、磁性コア6の外面に係合して内部絶縁支持体19を磁性コア6に半径方向に角度的にロック(拘束)する脚部20(特に4つの脚部20)を有する。内部絶縁支持体19は、対応する接続ブリッジ13の形状を負に再現し、対応する接続ブリッジ13を収容する複数の座部21を備える。特に、各座部21は、対応する接続ブリッジ13の圧着フォーク18が外側に向かって半径方向に出ることができる、外側に向かって開口部を有する。
【0021】
(本発明の一部を形成しない変形例を示す)図7図8、および図9によりよく示されているものによれば、各接続ブリッジ14、15、または16は、開放円形形状(すなわち、連続性の中断を伴う)を有し、対応するピン17は、接続ブリッジ14、15、または16から軸方向および半径方向に突出する。好ましくは、各接続ブリッジ14、15または16において、対応するピン17は、接続ブリッジ14、15または16の内側にあるように、接続ブリッジ14、15または16の半径方向内面から半径方向に突出する。接続ブリッジ13~16は、軸方向に上下に積み重ねられて配置され、3つの中間絶縁支持体22が接続ブリッジ13~16の間に介在される。各中間絶縁支持体22は、電気機械1の中心回転軸3と同軸の環状且つ円形形状を有し、すなわち、継ぎ目のない円形リング(すなわち、中断のない)である。各中間絶縁支持体22は、両側にそれぞれの座部23を備え、各座部は、対応する接続ブリッジ13~16の形状を負に再現し、対応する接続ブリッジ13~16を収容する。特に、各座部23は、対応する接続ブリッジ13~16の圧着フォーク18が外側に向かって半径方向に出ることができる、外側に向かって開口部を有する。
【0022】
(軸方向に)最外側の接続ブリッジ16を覆う外部絶縁支持体24が設けられている。好ましい実施形態によれば、外部絶縁支持体24は、電気絶縁性の成形プラスチック材料から構成される。外部絶縁支持体24は、電気機械1の中心回転軸3と同軸の環状且つ円形形状を有し、すなわち、継ぎ目のない円形リング(すなわち、中断のない)である。外部絶縁支持体24は、軸方向最外側の接続ブリッジ16の形状を負に再現し、軸方向最外側の接続ブリッジ16を収容する座部25を備える。特に、座部25は、軸方向最外側の接続ブリッジ16の圧着フォーク18が外側に向かって半径方向に出ることができる、外側に向かって開口部を有する。好ましい実施形態によれば、外部絶縁支持体24は、外部絶縁支持体24から軸方向に立ち上がり、ピン17の間に介在される(図5によりよく示されているように)2つの分離パネル26を有する。
【0023】
好ましい実施形態によれば、絶縁支持体22、24、および26は、互いに結合(インターロック、接合)し、したがって(図5に示すように)接続ブリッジ13~16の内部を囲む単一の構造を実現するように成形される。
【0024】
本発明の一部を形成しない図6図9に示す実施形態では、接続ブリッジ14、15、および16は、開放円形形状を有し、すなわち、それらは、それら自体に近接せず、それらの連続性に中断がある。
【0025】
図11および図12に示す実施形態および本発明の目的では、接続ブリッジ14、15および16は、閉鎖円形(環状)形状を有し、すなわち、それらの連続性を何ら中断することなくそれら自体に近接する。この実施形態は、各接続ブリッジ14、15または16を横切る電流のより均一な分布を可能にし、したがって、同じ量の導電性金属(典型的には銅)がジュール効果による電力損失を低減することを可能にし、またはジュール効果による同じ量の電力損失が導電性金属の量を低減することを可能にするため、より有利である。特に、図11および図12に示す実施形態では、より小さい接続ブリッジ14、15および16(すなわち、導電性金属がより少ない)があり、より軽量で軸方向により短い三相ステータ巻線12が実現されることを可能にする(接続ブリッジ14、15、および16の寸法の低減はまた、軸方向の厚さの低減によっても実現される)。
【0026】
特に、接続ブリッジ14、15、および16の軸方向の厚さの低減は、約2mmの軸方向の厚さを有する接続ブリッジ14、15、および16を実現することを可能にするため、特に重要である。圧着フォーク18は、約2mmの最大軸方向厚さを有することができ、したがって、接続ブリッジ14、15、および16の軸方向厚さが約2mmであっても、圧着フォーク18および接続ブリッジ14、15、および16は、同じ厚さを有し、したがって、それらの実現は、はるかに単純である(本質的に、それは、均一な厚さのプレートを剪断する操作である)。代わりに、接続ブリッジ14、15、および16の軸方向の厚さが3mm以上のオーダーである場合、圧着フォーク18の厚さを2mmに低減するために、比較的複雑な追加の機械加工が必要である。
【0027】
図11および図12に示す好ましい実施形態によれば、接続ブリッジ14、15、および16は、均一な(一定の)軸方向厚さを有し、可変の半径方向幅を有する:接続ブリッジ14、15、および16の半径方向幅は、ピン17の近くでより大きく、ピン17の反対側でより小さい。換言すれば、ピン17が位置する各接続ブリッジ14、15または16の半分は、より大きい半径方向幅を有するとともに、ピン17に対向する各接続ブリッジ14、15または16の他の半分は、より小さい半径方向幅を有する。
【0028】
絶縁支持体19、22、および24を使用することは、三相ステータ巻線12への接続ブリッジ13~16の結合を大幅に単純化することを可能にする。特に、三相ステータ巻線12から離れた絶縁支持体19、22および24の対応する座部21、23、25に接続ブリッジ13~16を予め組み立て(および連動してロックし)、次いで、コイル8の端部10および11を全ての接続ブリッジ13~16に一体に単一の操作で結合することが可能である。さらにまた、絶縁支持体19、22、および24は、三相ステータ巻線12の構築中に接続ブリッジ13~16を所望の位置に安定して維持することを可能にする。
【0029】
可能な実施形態によれば、コイル8を構成するケーブル9は、巻回されたリッツケーブルであり、したがって、(典型的にはエナメルによって)個々に絶縁され、各ワイヤがケーブル9の外側にある全長の割合に等しい様々な公知の方式のうちの1つにしたがって一緒に撚り合わされたまたは織り合わされた細いワイヤの少なくとも1つのストランドからなる。
【0030】
添付の図面に示される実施形態では、複数の接続ブリッジ13が設けられ、そのそれぞれは、3つのコイル8のスター接続を画定し、3つのコイル8のそれぞれの端部10を互いに接続することによって3つのコイル8のスター中心を構成する。この実施形態では、(6つの)接続ブリッジ13(しかしながら、接続ブリッジ13の数は異なることができる)は、互いに分離され、電気的に絶縁されている。図示されていない異なる実施形態によれば、全てのスター接続のスター中心を構成し、それ自体に閉じられた継ぎ目のない円形形状を有する単一の接続ブリッジ13が提供される。
【0031】
本明細書に記載された実施形態は、本発明の保護の範囲から逸脱することなく、互いに組み合わせられることができる。
【0032】
上述した三相ステータ巻線12は、多くの利点を有する。
【0033】
まず、上述した三相ステータ巻線12は、エネルギー効率が高い(すなわち、入力における機械的または電気的動力と出力における電気的または機械的動力との間の高い歩留まり)。
【0034】
さらにまた、上述した三相ステータ巻線12は、高い固有の性能(出力および/またはトルク)、すなわち、質量および/または体積の単位当たりの高い性能(出力および/またはトルク)を有する。換言すれば、上述した三相ステータ巻線12は、同様の性能を有し、同様の公知の電気機械と比較して、最終的な全体寸法の低減と質量の大幅な低減とを有する。
【0035】
上述した三相ステータ巻線12の実現は、高度に自動化された生産プラントにおいて容易に実現可能である。
【0036】
最後に、上述した三相ステータ巻線12(特に接続ブリッジ13~16)の構造は、ロータ、磁性コア、および接続ブリッジ13~16を変更することなく(圧着フォーク18の寸法を適合させることを除いて)、異なる公称電圧(特に他方の半分)に対して(実質的に)同じ公称性能(すなわち、同じ公称出力および同じ公称トルク)を有する2つの異なる電気機械1が実現されることを可能にする。換言すれば、導体ケーブル9の断面(2倍)、各コイルの巻数(半分)、および圧着フォーク18の寸法のみを変更することによって、同じ性能を有するが公称供給電圧が半分にされた(例えば、800ボルトから400ボルト)電気機械1が実現される。したがって、材料のコストを低減し(多くの構成要素が同じである)、プラントのコストを低減して(組み立てラインは数回の簡単な調整を有して同じである)、異なる公称電圧を有するが実質的に等しい公称性能を有する一連の「スカラー」ステータ巻線12を製造することが可能である。
【0037】
換言すれば、接続ブリッジ13~16は、異なる公称電圧に変更することなく適合されることができる「ユニバーサル端子台」を構成する。
【符号の説明】
【0038】
1 電気機械
2 シャフト
3 回転軸
4 ロータ
5 ステータ
6 磁性コア
7 磁極
8 コイル
9 導体ケーブル
10 端部
11 端部
12 三相ステータ巻線
13 接続ブリッジ
14 接続ブリッジ
15 接続ブリッジ
16 接続ブリッジ
17 ピン
18 圧着フォーク
19 内部絶縁支持体
20 脚部
21 座部
22 中間絶縁支持体
23 座部
24 外部絶縁支持体
25 座部
26 分離パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】