(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004013
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】作業用ボックス
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20240109BHJP
F24F 1/0378 20190101ALI20240109BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
E04H1/12 A
F24F1/0378
E04H1/12 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103429
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤井 浩司
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 陵二
(72)【発明者】
【氏名】渥美 智美
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050BC05
(57)【要約】
【課題】圧縮機を必要とせずに作業用ボックスの温度を調整できるようにすること。
【解決手段】複数のフレームを用いて構成された骨格にパネル及び扉を取り付けて人が作業可能な内部空間が形成される作業用ボックスであって、ペルチェ素子を用いて内部空間の空気の温度調整をする空気調和機を備えた作業用ボックスとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレームを用いて構成された骨格にパネル及び扉を取り付けて人が作業可能な内部空間が形成される作業用ボックスであって、
ペルチェ素子を用いて内部空間の空気の温度調整をする空気調和機を備えた作業用ボックス。
【請求項2】
空気調和機は、ペルチェ素子と、ペルチェ素子の放熱面と吸熱面の何れか一方に接続された第一の熱交換部と、ペルチェ素子の放熱面と吸熱面の残りの一方に接続された第二の熱交換部と、を備えた熱交換ユニットを備え、
作業用ボックスの外側からの吸気を熱交換ユニットの第一の熱交換部と第二の熱交換部の双方に供給可能とし、
第一の熱交換部を通過した空気を作業用ボックスの内部空間に取り込むとともに、
第二の熱交換部を通過した空気を作業用ボックスの外部に排出する構成とした請求項1に記載の作業用ボックス。
【請求項3】
ペルチェ素子を用いた空気調和機の少なくとも一部を、骨格に取り付けられる内側パネルと、内側パネルよりも外側に取り付けられる外側パネルと、の間に配置した請求項2に記載の作業用ボックス。
【請求項4】
空気調和機に、作業用ボックスの外側から吸気する吸気ファンと、ペルチェ素子を用いた熱交換ユニットと、空気調和機を動作させる制御ユニットと、を備え、
吸気ファンと、熱交換ユニットと、制御ユニットと、を空気調和機が取り付けられるパネルに沿うように並べて配置した請求項3に記載の作業用ボックス。
【請求項5】
空気調和機に、ペルチェ素子と、放熱部と、吸熱部と、を備えた熱交換ユニットを備え、
熱交換ユニットを通過した空気を作業用ボックスの内部空間に吐き出す送風口が、内部空間に配置される少なくとも一つの机の高さよりも上側に配置された請求項2から4の何れかに記載の作業用ボックス。
【請求項6】
平面視において、側面に設けられたパネルと平行となる第一の仮想直線と、第一の仮想直線と垂直となる第二の仮想直線の双方を、骨格を構成するフレームにより四角状に区画される領域の中央を通るように引いた場合に四分割される部分のうちの少なくとも一つに空気調和機が位置し、
四分割される部分のうちの空気調和機が位置していない部分に、内部空間の空気を作業用ボックスの外に排気する排気口が位置する請求項2から4の何れかに記載の作業用ボックス。
【請求項7】
作業用ボックスの内部空間であって、平面視において、骨格を構成するフレームにより四角状に区画される領域の中央から見て前方、後方、右方、左方の何れかに机が配置され、
内部空間に配置される空気調和機が、前記領域の中央から見た前記四方向のうち、机が配置されている方向とは異なる方向の何れかに配置された請求項2から4の何れかに記載の作業用ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、人が中に入って学習などの作業を行う個室において、冷風若しくは温風を導き出す冷暖房装置を備えるものが知られている。冷暖房装置は、個室内に冷風若しくは温風を導き出す室内機の他に圧縮機などを有する室外機を備えるものであることが多いが、室外機は圧縮機や凝縮器が備えられていることが多く、通常、大型である。また、室内機と室外機を一体構造としたものもあるが、多くの場合は大型の室外機の他に室内機も必要となり、それぞれに設置スペースを必要とする。また、一般的に圧縮機などは特有の音を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、作業用ボックスは、通常の部屋とは異なり、比較的狭く作られており、大きな室内機が配置されていると、窮屈に感じることがある。また、作業用ボックスは作業に集中したい人が利用することが多いため、通常の部屋にいるよりも音を気にする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、圧縮機を必要とせずに作業用ボックスの温度を調整できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、複数のフレームを用いて構成された骨格にパネル及び扉を取り付けて人が作業可能な内部空間が形成される作業用ボックスであって、ペルチェ素子を用いて内部空間の空気の温度調整をする空気調和機を備えた構成とする。
【0007】
また、空気調和機は、ペルチェ素子と、放熱部と、吸熱部と、を備えた熱交換ユニットを備え、作業用ボックスの外側からの吸気を熱交換ユニットの放熱部と吸熱部の双方に供給可能とし、放熱部と吸熱部の一方を通過した空気を作業用ボックスの内部空間に取り込むとともに、もう一方を通過した空気を作業用ボックスの外部に排出する構成とすることが好ましい。
【0008】
また、ペルチェ素子を用いた空気調和機の少なくとも一部を、骨格に取り付けられる内側パネルと、内側パネルよりも外側に取り付けられる外側パネルと、の間に配置した構成とすることが好ましい。
【0009】
また、空気調和機に、作業用ボックスの外側から吸気する吸気ファンと、ペルチェ素子を用いた熱交換ユニットと、空気調和機を動作させる制御ユニットと、を備え、吸気ファンと、熱交換ユニットと、制御ユニットと、を空気調和機が取り付けられるパネルに沿うように並べて配置する構成とすることが好ましい。
【0010】
また、空気調和機に、ペルチェ素子と、放熱部と、吸熱部と、を備えた熱交換ユニットを備え、熱交換ユニットを通過した空気を作業用ボックスの内部空間に吐き出す送風口が、内部空間に配置される少なくとも一つの机の高さよりも上側に配置された構成とすることが好ましい。
【0011】
また、平面視において、側面に設けられたパネルと平行となる第一の仮想直線と、第一の仮想直線と垂直となる第二の仮想直線の双方を、骨格を構成するフレームにより四角状に区画される領域の中央を通るように引いた場合に四分割される部分のうちの少なくとも一つに空気調和機が位置し、四分割される部分のうちの空気調和機が位置していない部分に、内部空間の空気を作業用ボックスの外に排気する排気口が位置する構成とするのが好ましい。
【0012】
また、作業用ボックスの内部空間であって、平面視において、骨格を構成するフレームにより四角状に区画される領域の中央から見て前方、後方、右方、左方の何れかに机が配置され、内部空間に配置される空気調和機が、前記領域の中央から見た前記四方向のうち、机が配置されている方向とは異なる方向の何れかに配置された構成とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、圧縮機を必要とせずに作業用ボックスの温度を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態における作業用ボックスを上方から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示す作業用ボックスの分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す作業用ボックスの扉と一部のパネルを外した状態を示す図である。
【
図5】
図4とは異なる面から見た実施形態の空気調和機の斜視図である。
【
図6】
図4に示す空気調和機のほぼ中央を縦方向に切った断面図である。
【
図8】吸気ファンで吸い込まれた空気を熱交換ユニットの第一熱交換部に通してから排出するイメージを示した図である。
【
図9】吸気ファンで吸い込まれた空気を熱交換ユニットの第二熱交換部に通してから排出するイメージを示した図である。
【
図10】
図1に示す作業用ボックスに組み込まれた空気調和機の内側パネルと外側パネルとの位置関係が分かるようにした断面図である。
【
図11】
図10に示す空気調和機を分解した状態を示す図である。
【
図12】
図1に示す作業用ボックスのルーバーと机の位置関係が分かるように示した断面図である。
【
図13】
図1に示す作業用ボックスの机の前で作業する作業者とルーバーの位置関係が分かるように示した断面図である。ただし、空気調和機から出てくる空気を矢印で表している。
【
図14】平面視において、側面に設けられたパネルと平行となる第一の仮想直線と、第一の仮想直線と垂直となる第二の仮想直線の双方を、骨格を構成するフレームにより四角状に区画される領域の中央を通るように引いた場合に四分割される部分のうちの少なくとも一つに空気調和機が位置し、四分割される部分のうちの空気調和機が位置していない部分に、内部空間の空気を作業用ボックスの外に排気する排気口が位置する例を示す図である。ただし、空気調和機は右側面に取り付けられており、四分割される部分のうち空気調和機が位置している部分は作業用ボックスの右後の部分であり、内部空間の空気を作業用ボックスの外に排気する排気口が位置する部分は作業用ボックスの左後の部分である。
【
図15】平面視において、側面に設けられたパネルと平行となる第一の仮想直線と、第一の仮想直線と垂直となる第二の仮想直線の双方を、骨格を構成するフレームにより四角状に区画される領域の中央を通るように引いた場合に四分割される部分のうちの少なくとも一つに空気調和機が位置し、四分割される部分のうちの空気調和機が位置していない部分に、内部空間の空気を作業用ボックスの外に排気する排気口が位置する例を示す図である。ただし、空気調和機は後面に取り付けられており、四分割される部分のうち空気調和機が位置している部分は作業用ボックスの右後の部分であり、内部空間の空気を作業用ボックスの外に排気する排気口が位置する部分は作業用ボックスの左後の部分である。
【
図16】平面視において、側面に設けられたパネルと平行となる第一の仮想直線と、第一の仮想直線と垂直となる第二の仮想直線の双方を、骨格を構成するフレームにより四角状に区画される領域の中央を通るように引いた場合に四分割される部分のうちの少なくとも一つに空気調和機が位置し、四分割される部分のうちの空気調和機が位置していない部分に、内部空間の空気を作業用ボックスの外に排気する排気口が位置する例を示す図である。ただし、空気調和機は前面に取り付けられており、四分割される部分のうち空気調和機が位置している部分は作業用ボックスの左前の部分であり、内部空間の空気を作業用ボックスの外に排気する排気口が位置する部分は作業用ボックスの左後の部分である。
【
図17】平面視において、側面に設けられたパネルと平行となる第一の仮想直線と、第一の仮想直線と垂直となる第二の仮想直線の双方を、骨格を構成するフレームにより四角状に区画される領域の中央を通るように引いた場合に四分割される部分のうちの少なくとも一つに空気調和機が位置し、四分割される部分のうちの空気調和機が位置していない部分に、内部空間の空気を作業用ボックスの外に排気する排気口が位置する例を示す図である。ただし、空気調和機は左側面に取り付けられており、四分割される部分のうち空気調和機が位置している部分は作業用ボックスの左前の部分であり、内部空間の空気を作業用ボックスの外に排気する排気口が位置する部分は作業用ボックスの左後の部分である。
【
図18】
図1に示す作業用ボックスのセンサの位置を示す図である。
【
図19】作業用ボックスの内部空間に配置したセンサが扉の外側を検知対象としていることを示すイメージ図である。
【
図20】連結する骨格どうしと連結部材の例を示す図である。
【
図21】骨格どうしを連結部材を介して接続して構築した作業用ボックスの例を示す図である。ただし、扉と一部のパネルは取り外した状態である。
【
図22】
図21に示す作業用ボックスの平面図である。ただし上部のパネルと一部の内部機器は取り外した状態である。
【
図23】
図21に示す作業用ボックスを正面から見た状態が分かるようにした断面図である。
【
図24】骨格どうしを連結部材を介して接続して構築した作業用ボックスの
図21とは異なる例を示す図である。ただし、扉と一部のパネルは取り外した状態である。
【
図25】
図24に示す作業用ボックスの平面図である。ただし上部のパネルと一部の内部機器は取り外した状態である。
【
図26】
図24に示す作業用ボックスを正面から見た状態が分かるようにした断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図6に示されていることから理解されるように、本実施形態の作業用ボックス1は、複数のフレーム11を用いて構成された骨格12にパネル13及び扉14を取り付けて人が作業可能な内部空間Spが形成されている。この作業用ボックス1は、ペルチェ素子521を用いて内部空間Spの空気の温度調整をする空気調和機50を備えている。このため、圧縮機を必要とせずに作業用ボックス1の温度を調整することが可能となる。
【0016】
なお、作業用ボックス1は、内部に机15や椅子などの備品が設置され、パソコンでの作業やスマートフォンなどの携帯端末による電話、TV会議システムやWEB会議システムなどを利用した遠隔者との打合せなどの作業を行うワーキングルームとして利用されるものであってもよいし、読書、瞑想、睡眠、食事などの作業を行うプライベートルームとして利用されるものであってもよい。
【0017】
実施形態の作業用ボックス1は、複数のフレーム11を組み合わせた骨格12にパネル13や扉14を備えた構成である。パネル13は、内側に取り付けられ内部空間Sp側から視認可能な内側パネル13aと、外側に取り付けられ作業用ボックス1の外側から視認可能な外側パネル13bを備えている。実施形態では内側パネル13aと外側パネル13bの間に空間が形成されるものであり、内側パネル13aと外側パネル13bの二重構造となっている。パネル13を二重構造とすれば、防音性を高めることができるため、外側からの音を遮ることができ、作業用ボックス1の内部空間Spでの作業に集中しやすくなる。また、作業用ボックス1の内部空間Spの音が作業用ボックス1の外に漏れにくくなることで、セキュリティ性を高めることができる。
【0018】
内側パネル13aは防音材を備える構成とするのが好ましい。また、内側パネル13aと外側パネル13bとの間の空間に、防音材を備える構成とするのも好ましい。なお、防音材は内側パネル13aもしくは内側パネル13aと外側パネル13bとの間の空間のすべてに備える必要はない。
【0019】
実施形態の作業用ボックス1の内部空間Spには、机15が取り付けられている。机15は、上下方向に延びるフレーム11に対して取付金具を用いて固定されている。
【0020】
また、実施形態の作業用ボックス1は、作業用ボックス1の外側から吸気する換気用吸気口41と、作業用ボックス1の外側に排気する排気口42とを備えている。
図3に示す例では、作業用ボックス1の底面に換気用吸気口41が設けられ、背面上部に排気口42が設けられている。また、この排気口42に隣接して、排気ファン81も備えている。なお、換気用吸気口41、排気口42、排気ファン81の位置は、このような例に限る必要はない。
【0021】
また、実施形態の作業用ボックス1は床面に沿った移動を可能とするキャスター43と、適度な突出量に調整することで作業用ボックス1全体を支える脚としての役割を果たすことが可能なアジャスタ44を備えている。つまり実施形態では、キャスター43を利用して設置場所まで動かした後で、アジャスタ44を調整することで、アジャスタ44で支えるように作業用ボックス1を設置することができる。
【0022】
図1、
図4から
図7に示すことから理解されるように、実施形態の作業用ボックス1は、ペルチェ素子521を用いて内部空間Spの空気の温度調整をする空気調和機50を備えている。実施形態の空気調和機50は、ペルチェ素子521を利用した熱交換ユニット52、作業用ボックス1の外部から空気を吸気して内部に送る吸気ファン51、ペルチェ素子521への電力供給など動作制御を行う制御ユニット53を備えている。また、実施形態の空気調和機50は、熱交換ユニット52、吸気ファン51、制御ユニット53が筐体54に納められている。実施形態の筐体54は、筐体用内側部材541と筐体用外側部材542を備えるものであり、それらを重ねることで形成される内部に、熱交換ユニット52、吸気ファン51、制御ユニット53が収められる。
【0023】
なお、ペルチェ素子521を利用した空気調和機50であれば、空気調和機50が大型になることを抑制できるうえ、発生する音を実質的に吸気ファン51の音のみとすることが可能であるので、圧縮機を利用した空気調和機より音の発生を抑制することができる。
【0024】
次に、実施形態の空気調和機50を構成する主たる構成要素について順に説明をする。吸気ファン51は、空気調和機50の外部から導入した空気を熱交換ユニット52に送ることができるものである。吸気ファン51は吸込み方向と吐き出し方向が異なるものであるのが好ましく、例えば遠心ファンもしくはブロアファンを使用するのが好ましい。なお、実施形態では吸気ファン51はファン取付部材61を介在させて筐体54に取り付けられる。
【0025】
実施形態の熱交換ユニット52は、直流電流を流すことで一方の面が放熱し、他方の面が吸熱する板状のペルチェ素子521を用いている。また、この熱交換ユニット52は、ペルチェ素子521の放熱面と吸熱面の何れか一方に接続された第一の熱交換部522と、ペルチェ素子521の放熱面と吸熱面の残りの一方に接続された第二の熱交換部523と、を備えている。つまり、第一の熱交換部522と第二の熱交換部523でペルチェ素子521を挟むような構成となっている。
【0026】
第一の熱交換部522と第二の熱交換部523は、一方が空気の温めに利用可能であり、他方が空気の冷却に利用可能である。なお以下では、主に第一の熱交換部522がペルチェ素子521の吸熱面となる側に接続され、冷房として使用する例について説明をするが、ペルチェ素子521は電気を流す向きを変えることで、放熱面と吸熱面の位置を逆転させることができるため、構成は同じでも、電流の向きを変えることで暖房として利用することもできる。このため、制御部において、ペルチェ素子521への電流の向きを切り替えられる構成とするのが好ましい。
【0027】
実施形態では、第一の熱交換部522と第二の熱交換部523とペルチェ素子521は一体となるように接続される。より具体的には、ペルチェ素子521に対して第一の熱交換部522と第二の熱交換部523が接着される。また、間にペルチェ素子521を介在させた第一の熱交換部522と第二の熱交換部523は、雄ねじと雌ねじを用いてしっかりと固定されている。一体となった第一の熱交換部522と第二の熱交換部523とペルチェ素子521は、取付部材56を用いて、筐体54に取り付けられる。
【0028】
実施形態の第一の熱交換部522は、ペルチェ素子521の吸熱面に接するように配置されたヒートシンクである。この第一の熱交換部522は取付部材56によって筐体54に固定される。また、実施形態では取付部材56に導風板561を備えるようにしており、第一の熱交換部522を通過した空気が、筐体54に設けた送風開口543に向けて排出されやすくなるようにするのが好ましい。また、作業用ボックス1の内部空間Spに向かって送風される側の導風板561は、送風開口543にロスなく冷気を供給するために、四面を塞ぐ構成(ダクト状の構成)とするのが好ましい(
図6、
図8参照)。
【0029】
取付部材56を第一の熱交換部522の側面と筐体54の間に配置し、吸気ファン51から送られた空気が第一の熱交換部522を通過することなく、第一の熱交換部522の側面と筐体54の間を通り抜けることを抑制できるようにするのが好ましい。また、取付部材56は、第一の熱交換部522を出た空気が、第一の熱交換部522の側面と筐体54の間を通って逆戻りすることを抑制できるようにするのが好ましい。
【0030】
実施形態の第二の熱交換部523は、ペルチェ素子521の放熱面に接するように配置されたヒートシンクである。この第二の熱交換部523は取付部材56によって筐体54に固定される。また、実施形態では取付部材56に導風板562を備えるようにしており、第二の熱交換部523を通過した空気が、筐体54に設けた空気調和機用排気口545に向けて排出されやすくなるようにするのが好ましい(
図6、
図9参照)。この例では、第二の熱交換部523を通過した空気が空気調和機用排気口545に向かうように、傾斜面状の導風板562としている。
【0031】
取付部材56を第二の熱交換部523の側面と筐体54の間に配置し、吸気ファン51から送られた空気が第二の熱交換部523を通過することなく、第二の熱交換部523の側面と筐体54の間を通り抜けることを抑制できるようにするのが好ましい。また、取付部材56は、第二の熱交換部523を出た空気が、第二の熱交換部523の側面と筐体54の間を通って逆戻りすることを抑制できるようにするのが好ましい。
【0032】
なお、ペルチェ素子521を用いての熱交換は、放熱側をより冷やすようにすることで、吸熱側の効率を上げることができる。実施形態で、第二の熱交換部523側の導風板562をダクト状としていないのは、空気調和機50を冷房として利用する際の効率を考慮したものであり、第二の熱交換部523から熱を奪いやすくすることで、第一の熱交換部522での冷却を促進させるためである。
【0033】
これらの説明から理解されるように、空気調和機50は、ペルチェ素子521と、ペルチェ素子521の放熱面と吸熱面の何れか一方に接続された第一の熱交換部522と、ペルチェ素子521の放熱面と吸熱面の残りの一方に接続された第二の熱交換部523と、を備えた熱交換ユニット52を備え、作業用ボックス1の外側からの吸気を熱交換ユニット52の第一の熱交換部522と第二の熱交換部523の双方に供給可能とし、第一の熱交換部522を通過した空気を作業用ボックス1の内部空間Spに取り込むとともに、第二の熱交換部523を通過した空気を作業用ボックス1の外部に排出する構成とすることが好ましい。
【0034】
ところで、熱交換ユニット52に適切に空気が流れやすいようにするため、筐体54と熱交換ユニット52の間の隙間はあまりない方が好ましい。しかしながら、熱交換ユニット52と筐体54の間には隙間が生じやすい。このため、筐体54と熱交換ユニット52の間に、別の部材を配置するのが好ましい。
図6及び
図7に示す例では、熱交換ユニット52と筐体用内側部材541の間にパッキン62aが配置されている。また、熱交換ユニット52と筐体用外側部材542の間にパッキン62bが配置されている。より具体的には、熱交換ユニット52の第一の熱交換部522と筐体用内側部材541の間にパッキン62aが配置され、熱交換ユニット52の第二の熱交換部523と筐体用外側部材542の間にパッキン62bが配置されている。このようにすることで、熱交換ユニット52に適切に空気が流れやすいようにすることができる。
【0035】
実施形態の空気調和機50は空気調和機50の作動を制御する制御ユニット53を備えている。実施形態の制御ユニット53は、ペルチェ素子521に直流電力を送る電源部と、空気調和機50の作動を制御する制御部を備えている。また、制御部に繋がるスイッチ63を備えている。このスイッチ63をオンすると、吸気ファン51が回転するとともにペルチェ素子521へ電力を供給することができる。また、スイッチ63をオフにすると吸気ファン51の回転が停止し、ペルチェ素子521への電力の供給も停止する。なお、スイッチは物理的にオンオフを切り替えるものでもよいし、電子端末などの操作によって制御部に信号を送ってオンオフを切り替えるものでもよい。
【0036】
空気調和機50における吸気ファン51、熱交換ユニット52、制御ユニット53の配置は、どのようなものでも構わないが、吸気ファン51と、熱交換ユニット52と、制御ユニット53と、を空気調和機50が取り付けられるパネル13に沿うように並べて配置するのが好ましい。より詳しくは、空気調和機50に、作業用ボックス1の外側から吸気する吸気ファン51と、ペルチェ素子521を用いた熱交換ユニット52と、空気調和機50を動作させる制御ユニット53と、を備え、吸気ファン51と、熱交換ユニット52と、制御ユニット53と、を空気調和機50が取り付けられるパネル13に沿うように並べて配置した作業用ボックス1とすることが好ましい。吸気ファン51と、熱交換ユニット52と、制御ユニット53と、をパネル13に沿うように並べて配置することで、空気調和機50を薄型にすることができる。
【0037】
図1、
図10、
図11に示す例では、作業用ボックス1の右側面に空気調和機50が取り付けられており、吸気ファン51、熱交換ユニット52、制御ユニット53が上下方向に並んで配置されている。これらから理解されるように実施形態の空気調和機50は作業用ボックス1に組み込まれている。圧縮機などを有する室外機である場合、床面などに室外機のねじ止めなどがされるが、本構成ではそのようなことはしなくてよい。キャスター43が付いているような作業用ボックス1は、移動できることが前提であるが、空気調和機50が作業用ボックス1に組み込まれている場合、圧縮機などを有する室外機と異なり、容易に移動させることができる。
【0038】
また、ペルチェ素子521を用いた空気調和機50の少なくとも一部を、骨格12に取り付けられる内側パネル13aと、内側パネル13aよりも外側に取り付けられる外側パネル13bと、の間に配置した構成とすることが好ましい。このようにすれば、空気調和機50の内部空間Spへの突出量及び外側に出る突出量を抑制することができる。
【0039】
実施形態の空気調和機50は、筐体54を内側パネル13aの外側面(外側パネル13b側の面)に接触した状態で取り付ける。このため、筐体54が作業用ボックス1の内部空間Spを圧迫することがない。なお、
図12に示す例では、作業者Pが操作しやすいように物理スイッチ63を作業用ボックス1の内部空間Spに配置させているため、その分、突出しているが、電子端末で操作する構成や、タッチパネルなどを採用するようにすれば、内部空間Spの圧迫をより軽減することができる。
【0040】
ところで、空気調和機50の送風開口543に対応させてルーバー64を取り付けてもよい。ルーバー64を取り付けることで、作業用ボックス1内で作業する人の好みに合わせて風向きを変えることができ、より快適に作業することができる。ルーバー64は、上下、左右など自在に向きを変えられるものであることが好ましい。
図12に示す例では、作業者Pが操作しやすいように作業用ボックス1内に配置させている。ルーバー64の配置はこのような例に限る必要はなく、ルーバー64を内側パネル13aと外側パネル13bとの間に形成される空間に配置するようにしてもよい。このようにすれば、ルーバー64が内部空間Spでの作業者Pの動作を邪魔することはない。
【0041】
実施形態の空気調和機50は、吸気ファン51を運転することにより、外気吸気口544を通じて作業用ボックス1の外側から吸気する。人が中に入る作業用ボックス1の内部空間Spから吸気するのではなく、作業用ボックス1の外側から吸気するため、効率よく冷却できる。
【0042】
図6に示す例では、吸気された空気は、吸気ファン51の内部で向きを変えて、熱交換ユニット52の吸熱部と放熱部の双方に空気を送り込む。吸熱部のヒートシンクを通過した空気は冷却されて、筐体54に備えた開口状の送風開口543を通って作業用ボックス1の内部空間Spに取り込まれる。一方、放熱部のヒートシンクを通過した空気は温められて、筐体54に備えた空調用排気口545から作業用ボックス1の外側に排出される。なお、
図6に示す例では、吸気ファン51の吸入口が外側向きに配置されるため、作業用ボックス1の内部空間Spに騒音が生じることを抑制できる。
【0043】
なお、空気調和機50は、空気を内部空間Spに向けて流す経路に、空気清浄部材を備えるようにしてもよい。空気清浄部材は、空気清浄機能を備えた光触媒フィルターなどにすればよい。空気清浄部材は、空気調和機50の内部に配置してもよいし、空気調和機50の外部に配置してもよい。例えば、空気調和機50の送風部と、空気調和機50の外部に配置されるルーバー64との間に空気清浄部材を備える構成としてもよい。空気清浄部材を備える構成とすることで、不特定の人が使用することが想定される作業用ボックス1の内部空間Spの空気清浄を行うことができる。
【0044】
ところで、実施形態の作業用ボックス1は、送風口が机15の高さよりも上方になるように配置されている。このため、作業者Pが送風口の位置を認識しやすい。また、空気調和機50を内部空間Spの冷房として使用する場合には、机15の高さより上側の空間に早めに冷やされた空気をもたらすことができる。机15の高さより上側に位置する部分は、作業者Pの顔や手など、露出されている部分が位置することが多いことから、作業者Pを直接冷やすことで、早めに冷却を感じることが期待できる。なお、実施形態では空気調和機50の送風開口543が送風口となるが、例えば、送風開口543に送風用の管などを接続して、その端部で空気を作業用ボックス1の内部空間Spに吐き出す場合は、その吐き出し箇所が送風口となる。つまり、実質的に熱交換ユニット52を通過した空気を作業用ボックス1の内部空間Spに吐き出す部分が送風口である。
【0045】
これらの記載から理解されるように、作業用ボックス1は、空気調和機50に、ペルチェ素子521と、放熱部と、吸熱部と、を備えた熱交換ユニット52を備え、熱交換ユニット52を通過した空気を作業用ボックス1の内部空間Spに吐き出す送風口が、内部空間Spに配置される少なくとも一つの机15の高さよりも上側に配置された構成とすることが好ましい。
【0046】
また、作業者Pの上半身に近い位置から送風されるようにすることが好ましい。このため、送風口は机15の高さよりも上方、かつ、机15の上面から上方1m以内の範囲に配置することが好ましい。また、送風口は机15の高さよりも上方、かつ、作業用ボックス1の内部空間Spの高さの下から2/3までの範囲に配置することが好ましい。直接冷気を作業者Pに当てることができれば、作業者Pが冷却を実感しやすくなる。なお、常に作業用ボックス1の換気が行われる場合、内部空間Sp全体の冷却効率が悪くなるが、作業者Pの上半身に近い位置で送風されるようにすれば、冷却されているという感覚は高めやすくなるため、換気をしていても、冷却に関する満足感を得やすくなる(
図13参照)。
【0047】
ところで、空気調和機50は、内部空間Spの空気を作業用ボックス1の外に排気する排気口42から遠ざけて配置するのが好ましい。例えば、平面視において、側面に設けられたパネル13と平行となる第一の仮想直線L1と、第一の仮想直線L1と垂直となる第二の仮想直線L2の双方を、骨格12を構成するフレーム11により四角状に区画される領域の中央を通るように引いた場合に四分割される部分のうちの少なくとも一つに空気調和機50が位置し、四分割される部分のうちの空気調和機50が位置していない部分に、内部空間Spの空気を作業用ボックス1の外に排気する排気口42が位置する構成とすることが好ましい。空気調和機50と排気口42とを近接させすぎると、熱交換ユニット52によって冷却された空気がそのまま排気口42から作業用ボックス1の外に排気されるおそれがあるが、このような構成とすれば、熱交換ユニット52によって冷却された空気がそのまま排気口42から排気されるのを抑制することができる。
【0048】
具体的には、平面視において骨格12を構成するフレーム11により四角状に区画される領域の中央は、平面視で内部空間Spの中央であり、作業者Pが内部空間Spにおいて作業を行う位置となる。作業者Pを中央として四分割される部分のうちの少なくとも一つに空気調和機50が位置し、四分割される部分のうちの空気調和機50が位置していない部分に、内部空間Spの空気を作業用ボックス1の外に排気する排気口42が位置する構成とすれば、空気調和機50の送風口から吹き出された空気が作業者Pに当たることなく、排気口42から排気されることを抑制できる。
【0049】
図14に示す例では、空気調和機50は右側面に取り付けられており、四分割される部分のうち空気調和機50が位置している部分は作業用ボックス1の右後の部分であり、内部空間Spの空気を作業用ボックス1の外に排気する排気口42が位置する部分は作業用ボックス1の左後の部分である。
【0050】
図15に示す例では、空気調和機50は後面に取り付けられており、四分割される部分のうち空気調和機50が位置している部分は作業用ボックス1の右後の部分であり、内部空間Spの空気を作業用ボックス1の外に排気する排気口42が位置する部分は作業用ボックス1の左後の部分である。
【0051】
図16に示す例では、空気調和機50は前面に取り付けられており、四分割される部分のうち空気調和機50が位置している部分は作業用ボックス1の左前の部分であり、内部空間Spの空気を作業用ボックス1の外に排気する排気口42が位置する部分は作業用ボックス1の左後の部分である。
【0052】
図17に示す例では、空気調和機50は左側面に取り付けられており、四分割される部分のうち空気調和機50が位置している部分は作業用ボックス1の左前の部分であり、内部空間Spの空気を作業用ボックス1の外に排気する排気口42が位置する部分は作業用ボックス1の左後の部分である。
【0053】
なお、空気調和機50は、上記したように四分割される部分のうちの一つに必ずしも位置する必要はなく、四分割される部分のうちの複数にわたって位置してもよい(例えば、右前と右後にわたった配置。)。その場合四分割される部分のうちの空気調和機50が位置していない部分に、排気口42が位置することとなる(例えば、空気調和機50が右前と右後にわたった配置の場合、排気口42は、左前の配置、左後の配置、左前と左後にわたった配置、の何れか。)。
【0054】
また、作業用ボックス1は、作業用ボックス1の内部空間Spであって、平面視において、骨格12を構成するフレーム11により四角状に区画される領域の中央から見て前方、後方、右方、左方の何れかに机15が配置され、内部空間Spに配置される空気調和機50が、前記領域の中央から見た前記四方向のうち、机15が配置されている方向とは異なる方向の何れかに配置された構成とすることが好ましい。
【0055】
このような構成とすることにより、空気調和機50が、机15の上に配置した端末などで作業をする作業者Pの顔の正面に向けて送風することを回避することができる。このため、作業に集中する環境とすることが可能となる。また、人に近い位置に送風口を配置できるため、冷却効果を高めることが可能となる。
【0056】
図13に示す例では、机15は、左側面側のパネル13と隣接するように配置されている。机15は、この左側面側のパネル13の両端に配置された上下方向に延びるフレーム11に固定されている。また、机15はフレーム11でなく、パネル13に固定されるものでもよい。また、空気調和機50が配置される面と机15が配置される面が異なる構成とすることが好ましい。なお、作業用ボックス1の内部空間Spに配置される机15は1つであることに限らない。作業用ボックス1の内部空間Spに配置される机15は複数であっても良い。
【0057】
実施形態の作業用ボックス1は、作業者Pの有無を検知可能なセンサ71を備えている。このようなセンサ71を備えた構成とすれば、例えば、作業者Pが内部空間Spにいるかどうかをセンサ71で検知し、その結果から制御部において空気調和機50の作動を制御するような構成とすることができる。より具体的には、作業者Pが退出したときに、空気調和機50の消し忘れを防ぐように制御することが可能となる。
【0058】
また、センサ71で検視した結果を基にして、作業者Pの有無を通知することが可能な表示部65を作業用ボックス1に備えるようにしてもよい。
図1に示す例では、作業用ボックス1の外側前面に表示部65が備えられており、外部にいる人が、当該作業用ボックス1が利用されている最中かどうかの確認を容易におこなうことができる。
【0059】
ところで、人を検知する人感センサとしては、一般的に赤外線センサを用いることが多い。ところが、人感センサとして使用される赤外線センサは、人が発する熱量の変化を検知するものである。このため、人が一定時間動かない場合には、赤外線センサでは人を検知することができず、人がいないと誤認識してしまうおそれがある。この場合、人がいるにもかかわらず空気調和機50を停止させたり、表示部65に誤った情報を表示させたりするおそれがある。
【0060】
このため、作業用ボックス1に備えるセンサ71は赤外線センサではなく、物体との距離を検出できる距離センサとすることが好ましい。例えば、レーザーなどの光の反射を検知してその物体との距離を検出できる距離センサを作業用ボックス1に備えるセンサとして利用すればよい。このようにすれば、人が一定時間動かない場合であっても、人がいるかどうか正確に検知できる。また、物体との光の反射を検知する距離センサを用いれば、熱量を発する人の検知に限らず、忘れ物などを検出することもできる。
【0061】
距離センサの少なくとも一つは、天井面もしくは天井に近接した周囲側面に備えることが好ましい。また、作業用ボックス1に距離センサを複数備える場合、天井面もしくは天井に近接した周囲側面に距離センサを配置するとともに、少なくとも一つの距離センサを机15の下に備える構成とするのが好ましい。机15より上方に配置した距離センサによって作業用ボックス1の内部空間Spを確認する場合、机15の下は死角になるおそれがあるが、机15の下にも距離センサを配置することで、その死角の部分の確認も可能となる。
【0062】
また、作業用ボックス1の内部空間Spであって、平面視において、骨格12を構成するフレーム11により四角状に区画される領域の中央から見て前方の面、後方の面、右方の面、左方の面の四面のうち、机15より上方に配置した距離センサが隣接する面と対向する面に隣接するように机15の下に配置した距離センサが配置されている構成とすることが好ましい。
図18に示す例では、距離センサの一つが背面右側上部に配置されており、他の距離センサの一つが前面左側の机15の下に配置されている。
【0063】
また、机15より上方に配置した距離センサが放射する向きと机15の下に配置した距離センサが放射する向きが異なるようにするのが好ましい。また、机15より上方に配置した距離センサが放射する向きと机15の下に配置した距離センサが放射する向きが逆側になるようにするのが好ましい。
図18に示す例では、上部のセンサ71の放射向きは、背面側から前面側方向かつ、右側面から左側面方向であり、机15の下のセンサ71の放射向きは、前面側から背面側方向かつ、左側面から右側面方向である。
【0064】
複数備える距離センサの各々が放射する向きが異なるようにすることで、一方の距離センサの死角となる部分を他方の距離センサで補うことができ、作業用ボックス1全体の検出が適切に行うことができる。また、各々のセンサが放射する向きを逆側になるようにすれば、より死角となる部分を減らすことができる。なお、複数備える距離センサが放射する向きは、必ずしも対向する必要はなく、例えば前後方向と左右方向のいずれかは同じであるが、もう一方の方向が逆側となるように配置してもよい。
【0065】
作業用ボックス1の上部に配置された距離センサは、放射が扉14が配置された方向に向かうことを可能とする配置にすることが好ましい。作業用ボックス1へ人が入ってくることを素早く検出することができる。
【0066】
また、特に、作業用ボックス1の扉14が透明な部材を備える構成とする場合に、距離センサの放射が扉14が配置された方向に向かうことを可能とする配置にすることが好ましい。この場合、距離センサが作業用ボックス1の外も検知対象とすることができる(
図19参照)。したがって、作業用ボックス1の内部に設置した距離センサで作業用ボックス1の外にいる人の検知をすることが可能となる。
【0067】
この場合、例えば、作業用ボックス1に入る前に人が近づいてきたことを検知して、事前に作業用ボックス1内の電源を作動させ、照明、空気調和機50などをつけるように制御させることができる。また、作業用ボックス1の周囲に照明をつけて、ボックスの入り口を誘導するように制御することもできる。作業用ボックス1の施錠に電子錠が用いられる場合においては、距離センサの検知により電子錠の認証をスタンバイさせるようにすることもできる。このようにすると、常に認証可能状態にしておく必要がなくなり、消費電力を削減できる。
【0068】
ここまでは、1人用の作業用ボックス1を例示しているが、複数人が入ることができる作業用ボックス1であってもよい。また、1人用の作業用ボックス1の部品を繋げて複数人が入ることができる作業用ボックス1にしてもよい。例えば、縦方向に延びるフレーム11と、横方向に延びるフレーム11と、奥行方向に延びるフレーム11を備えた骨格12を連結部材17によって連結し、連結される骨格12同士の内部空間Spが繋がるように作業用ボックス1を形成してもよい(
図20から
図23参照)。
【0069】
図20から
図23に示す例では、直方体状の骨格12どうしの間に連結部材17を介在させて連結しており、互いの骨格12が隣接する側の側面はパネル13で塞がれていない。このため、互いの骨格12の内側にいる人同士が向かい合って対話することができる。また、実施形態では、連結される側の前後で上下方向に延びる2つのフレーム11に机15が固定されている。また、平面視において机15が固定されている側の側面と対向する側面に空気調和機50が配置されている。
図22に示す例においては、骨格12どうしが連結される側の側面に机15が固定され、その対向する側面に空気調和機50が配置されている。より具体的には、2つの骨格12を連結した作業用ボックス1の中央に机15が固定され、作業用ボックス1の右側面と左側面に空気調和機50が配置されている。なお、排気口42は、作業用ボックス1の後側に配置され、空気調和機50は作業用ボックス1の前側に配置されている。
【0070】
図21に示すような例では、中で作業をする人どうしが机15を挟んで対面するようにして利用されるが、そのような構成である必要はない。例えば、
図24から
図26に示すことから理解されるように、机15を作業用ボックス1の後側に寄せて配置すれば、中で作業をする人どうしが机15の横に並んで利用することができる。なお、この例においては、机15の前及び左右に人が入るスペースがあるため、中で作業をする人どうしが机15を挟んで対面するようにして利用することも、作業をする人どうしが机15の横に並んで利用することも可能となっている。なお、この例では、連結される側の後方で上下に延びるフレーム11に机15を固定するようにしている。より具体的には、2つの骨格12を連結した作業用ボックス1の平面視において、後方に机15が固定され、作業用ボックス1の右側面と左側面に空気調和機50が配置されている。
【0071】
図24から
図26に示す例とは異なり、机15を前側に寄せて配置するようにしても良いが、前側に寄せておくと、作業用ボックス1に入る際に机15が障害になることもあるため、後側に寄せて配置するのが好ましい。
【0072】
骨格12を連結する形態の場合、上部に備えるセンサ71(距離センサなど)を、連結箇所付近(左右中央)に備えるようにするのが好ましい。このようにすれば、センサ71の数を抑制しつつ、全体を検出することが可能となる。なお、この例では、上方に配置したセンサ71の放射向きは、後面側から前面側方向かつ、中央から左右方向となるようにしている。また、机15の下に配置したセンサ71の放射向きは、机15の前面側端部から後面側方向かつ、中央から左右方向となるようにしている。つまり、上方に配置したセンサ71と、机15の下に配置したセンサ71は、前後方向にずれるように配置し、かつ、上方に配置したセンサ71の放射向きと、机15の下に配置したセンサ71の放射向きが、前後逆となるようにしている。
【0073】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 作業用ボックス
11 フレーム
12 骨格
13 パネル
13a 内側パネル
13b 外側パネル
14 扉
15 机
42 排気口
50 空気調和機
51 吸気ファン
52 熱交換ユニット
53 制御ユニット
521 ペルチェ素子
522 第一の熱交換部
523 第二の熱交換部
L1 第一の仮想線
L2 第二の仮想線
Sp 内部空間