(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040130
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】補強構造体を備えた自動車
(51)【国際特許分類】
B62D 21/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
B62D21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145806
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】102022000018501
(32)【優先日】2022-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア メルッラ
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BA13
3D203BB24
3D203BC12
3D203BC36
3D203CA52
3D203CB24
3D203DA15
3D203DA73
(57)【要約】 (修正有)
【課題】路面上で回転することによる振動を減衰させ、かつ、フレームの高い構造効率を維持する。
【解決手段】フレームを備えた自動車において、フレームは、前部の側に配置された第1の本体、並びに、後部の側に配置された第2の本体を備え、自動車は、サブフレーム(10)を更に備える。サブフレーム(10)は、複数の固定箇所(12a、12b)で、弾性絶縁要素(11)を介して、第2の本体に取り付けられる。自動車は、フレームに取り付けられた、補強構造体(15)を更に備える。サブフレーム(10)は、フレームと補強構造体(15)との間に、動作可能に介在し、かつ、フレーム及び補強構造体(15)と接触している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)であって、
フレーム(2)と、
それぞれの回転軸を中心に、前記フレーム(2)に対して回転可能な複数の車輪と、
前記フレーム(2)に対して、可変の相対距離で前記車輪(2)を支持する、複数のサスペンションと、を備え、
前記自動車(1)が、前記自動車(1)の前進方向(V)を基準に前部(1a)及び後部(1b)を画定し、前記前部(1a)及び前記後部(1b)が、前記自動車(1)の長手方向軸線(X)に沿って互いに反対側にあり、
前記フレーム(2)が、前記前部(1a)の側に配置された第1の本体(4)、及び、前記後部(1b)の側に配置された第2の本体(5)を更に備え、
前記自動車(1)が、前記サスペンションの少なくとも一部が取り付けられるサブフレーム(10)を更に備え、前記サブフレーム(10)が、複数の固定箇所(12a、12b)で、弾性絶縁要素(11)を介して、前記第2の本体(5)に固定されており、
前記フレーム(2)に直接取り付けられた、補強構造体(15)を更に備え、
前記サブフレーム(10)が、前記フレーム(2)と前記補強構造体(15)との間に動作可能に介在し、前記フレーム(2)及び前記補強構造体(15)と接触していることを特徴とする、自動車(1)。
【請求項2】
前記補強構造体(15)が、
中央プレート(40)と、
前記前部(1a)の側に配置された、第3の本体(41)と、
前記後部(1b)の側に配置された、第4の本体(42)と、を備え、
前記第3の本体(41)が、少なくとも第1の孔(43、44)を備え、前記第4の本体(42)が、少なくとも第2の孔(47、48)を備え、前記第1の孔(43、44)及び前記第2の孔(47、48)が、対応する前記固定箇所(12a、12b)に、それぞれ位置合わせされる、請求項1に記載の自動車(1)。
【請求項3】
前記第3の本体(41)が、
前記中央プレート(40)の側面に配置され、前記長手方向軸線(X)に直交する第2の軸線(Y)に直交する平面内で、矩形状の断面を有する、第1の部分(41a)と、
前記第1の部分(41a)を基準に、前記中央プレート(40)の反対側にある、第2の部分(41b)と、を備え、
前記第1及び第2の部分(41a、41b)が、前記長手方向軸線(X)に沿って連続して配置され、
前記第2の部分(41b)が、前記中央プレート(40)から前記第1の部分(41a)に向かう方向に、前記長手方向軸線(X)に沿って進むにつれて、前記長手方向軸線(X)及び前記第2の軸線(Y)に直交する第3の軸線(Z)に平行に漸進的に減少する延在部を有する、請求項2に記載の自動車(1)。
【請求項4】
前記第1の孔(43、44)が、前記第1の部分(41a)に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の自動車(1)。
【請求項5】
前記補強構造体(15)が、前記長手方向軸線(X)に平行な正中面(M)を基準に、対称であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動車(1)。
【請求項6】
前記サブフレーム(10)が、前記前部(1a)の側に配置された、2つの前部固定箇所(12a)と、前記後部(1b)の側に配置された、2つの後部固定箇所(12b)とを備え、
前記前部固定箇所(12a)が、前記長手方向軸線(X)に直交する第1の方向(I)に沿って、互いに位置合わせされており、前記後部固定箇所(12b)が、前記第1の方向(I)に平行な第2の方向(J)に沿って、互いに位置合わせされており、
前記前部固定箇所(12a)が、前記長手方向軸線(X)に平行に、前記後部固定箇所(12b)から離隔しており、
前記2つの前部固定箇所(12a)のうち一方が、第3の方向(K)に沿って、前記正中面(M)を基準として、前記サブフレーム(10)の第1の半体(10a)に配置された、対応する後部固定箇所(12b)と位置合わせされており、
前記2つの前部固定箇所(12a)のうち他方が、第4の方向(L)に沿って、前記サブフレーム(10)の前記正中面(M)を基準として、前記サブフレーム(10)の第2の半体(10b)に配置された、対応する後部固定箇所(12b)と位置合わせされており、
前記第3の方向(K)、及び、前記第4の方向(L)が、互いに入射していることを特徴とする、請求項5に記載の自動車(1)。
【請求項7】
前記第1の半体(10a)に配置された、前記前部固定箇所(12a)及び前記後部固定箇所(12b)が、前記正中面(M)を基準として、前記第2の半体(10b)に配置された、前記前部固定箇所(12a)及び前記後部固定箇所(12b)に対して、対称に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の自動車(1)。
【請求項8】
使用時に、前記前部固定箇所(12a)のそれぞれが、前記長手方向軸線(X)に直交しかつ垂直な第3の軸線(Z)を基準に、同じ第1の座標に配置され、
前記後部固定箇所(12b)のそれぞれが、前記第3の軸線(Z)を基準に、同じ第2の座標に配置され、
前記前部固定箇所(12a)のそれぞれが、前記自動車(1)が載る地面を基準に、前記後部固定箇所(12b)のそれぞれよりも下方に配置される、請求項6又は7に記載の自動車(1)。
【請求項9】
前記フレーム(2)が複数の第3の穴(51)を備え、かつ、前記サブフレーム(10)が複数の第4の孔(13)を備え、
前記第4の孔(13)の各々が、対応する前記固定箇所(12a、12b)に配置され、
前記弾性絶縁要素(11)の各々が、対応する前記第4の孔(13)に収容された弾性ブッシング(110)を備え、
前記自動車(1)が、前記補強構造体(15)を前記フレーム(2)に固定するための、接続要素(50)を更に備えており、
前記接続要素(50)の各々が、前記第1の孔(43、44)の1つ又は前記第2の孔(47、48)の1つと係合し、前記接続要素(50)の各々が、更に、対応する前記第3の穴(51)及び対応する前記弾性ブッシング(110)に、同時に係合することを特徴とする、請求項2から8のいずれか一項に記載の自動車(1)。
【請求項10】
前記接続要素(50)の各々が、
前記フレーム(2)の側に配置された第1の軸方向端部(60a)と、前記第1の軸方向端部(60a)の反対側にあり、前記補強構造体(15)の側に配置された、第2の軸方向端部(60b)とを画定する、ねじ(60)と、
ナット(70)と、
を備え、
前記ねじ(60)の各々が、前記第1の軸方向端部(60a)から前記第2の軸方向端部(60b)に向かって、
対応する第3の穴(51)と係合する、第1のねじ切りされた伸長部(61)と、
対応する前記弾性ブッシング(110)に係合する、第2の伸長部(62)と、
前記補強構造体(15)と係合する、第3の伸長部(63)と、
前記フレーム(2)の反対側で、前記補強構造体(15)を越えて突出する、第4のねじ切りされた伸長部(64)と、を備え、
前記ナット(70)が、前記第4の伸長部(64)で、前記ねじ(60)と係合することを特徴とする、請求項9に記載の自動車(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強構造体を備えた自動車に関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本特許出願は、2022年9月12日に出願されたイタリア特許出願第102022000018501号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
自動車のフレームは、自動車のすべての構成要素が直接的又は間接的に固定される、支持構造体である。より具体的には、内燃機関又は電気モータであり得るエンジン、及び、車輪を支持するサスペンションが、フレームに固定される。
【0004】
乗員の快適性を高めるために、路面上で車輪が回転することによって発生する振動が、フレームへ伝達することを最小限にしなければならない。そのため、例えばゴムブロックなどの弾性絶縁要素を介してフレームに固定されたリアサブフレームに、リアサスペンションを取り付けることが提案されている。前述した弾性絶縁要素は、リアサブフレームからフレームを振動的に絶縁するものである。
【0005】
言い換えれば、路面上で車輪が回転することによって発生する振動は、(リアサスペンションが直接拘束される)リアサブフレームに伝達されるが、弾性絶縁要素が介在することで、リアサブフレームからフレームには伝達されない(又は、その伝達は最小限である)。
【0006】
このソリューションは、フレームに伝達され、したがって車室の乗員によって知覚される振動レベルの低減に、非常に効果的であることが証明されている。
【0007】
サブフレームを収容するためには、フレームの幾何学的形状は、サブフレームが振動するための、十分な空間を保証するようなものでなければならない。例えば、この部分は、車両の側面図において「C」字型の凹状である。
【0008】
しかしながら、このフレームの立体配座は、静特性、ねじり剛性及び屈曲剛性、並びに周波数応答に関して、構造効率に大きな影響を及ぼす。
【0009】
したがって、上記に照らして、路面上で回転することによる振動を減衰させ、かつ、フレームの高い構造効率を維持するために、公知の自動車を改善する必要があると考えられている。
【0010】
本発明の目的は、上記の必要性に、好ましくは簡単かつ確実な方法で対応することである。
【発明の概要】
【0011】
この目的は、請求項1に記載の自動車によって達成される。
【0012】
各従属請求項は、本発明の特定の実施形態を定義するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
次に、本発明の非限定的な実施形態の実施例を示す、添付の図面を参照して、本発明の説明を行う。
【
図1】明瞭にするために部品を取り除いた、本発明による自動車の、下方からの概略斜視図である。
【
図2】
図1に示す自動車の、2つの構成要素の斜視図である。
【
図4】
図2の線IV-IVに沿った、拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、数字1は、フレーム2、並びに、それぞれの回転軸を中心にフレーム2に対して回転可能であり、フレーム2を地面に対して移動させるように適合された、複数の車輪(図示せず)を備える、自動車全体を示す。
【0015】
自動車1は、自動車1の重心を起点とし、以下のものを含む、一体の参照系を画定する(
図1)
・長手方向軸線X
・軸線Xに直交する、軸線Y
・使用時に、軸線X及びYに直交し、かつ垂直な軸線Z。
【0016】
自動車1は更に、長手方向軸線Xに沿って互いに反対側にある、前部1a及び後部1bを画定する。以下の説明では、「前部の」及び「後部の」という形容詞は、後部1bから前部1a(
図1)に向かって方向付けられる、自動車1の前進方向Vに関連して理解されるものとする。
【0017】
より詳細には、自動車1は、前部1aに配置された2つの前輪、及び、後部1bに配置された2つの後輪を備える。
【0018】
更に、自動車1は、以下のものを備える。
・軸線Zに沿って、フレーム2から可変の相対距離で車輪を支持する、複数のサスペンション(図示せず)。
・サスペンションの少なくとも一部が固定され、弾性絶縁要素11を間に挟んでフレーム2に固定される、サブフレーム10。
【0019】
図1に示すように、フレーム2は、以下のものを備える。
・自動車1の車室が画定される、中央本体3。
・前部1aの側に配置され、前輪を支持する前部本体4。
・後部1bの側で、後輪を支持する後部本体5。
【0020】
更に、後部本体5は、自動車1の車輪が載る地面に向き、サブフレーム10が少なくとも部分的に収容されるように適合された、凹部6を備える。図示の実施形態では、凹部6は、軸線X及びZを通る平面において、C字形の断面を有する(
図1)。
【0021】
サブフレーム10は、複数の固定箇所12a、12bで、フレーム2の後部本体5に固定される。図示の実施形態では、4つの固定箇所12a、12bがある(
図1)。
【0022】
詳細には、サブフレーム10は、固定箇所12a、12bの各々に貫通孔13を備え、弾性絶縁要素11は各々、それぞれの孔13に収容された、弾性ブッシング110を備える(
図4)。
【0023】
更に、各弾性ブッシング110は、以下のものを備える。
・関連する孔13の内壁と接触して配置された、例えばゴム製の、変形可能な円筒形部分111。
・好ましくは金属製であり、円筒形部分111に対して径方向内側に配置された、円筒形部分112。
【0024】
円筒形部分111、112は、互いに同軸に配置される。更に、弾性ブッシング110の軸は、軸線Zに平行に配置される(
図4)。
【0025】
より詳細には、サブフレーム10は、前部1aの側に配置された2つの前部固定箇所12a、及び、後部1bの側に配置された2つの後部固定箇所12bを備える。
【0026】
軸線Yに沿って、サブフレーム10を2つの半体10a及び10bの2つに分割する、長手方向軸線Xに平行に向けられた、サブフレーム10の正中面Mを画定することもできる。2つの半体10a、10bの各々が、長手方向軸線Xを基準に互いに離隔した、前部固定箇所12a及び後部固定箇所12bを備える(
図2)。
【0027】
詳細には、2つの半体10a、10bの一方の前部固定箇所12a及び後部固定箇所12bは、正中面Mを基準に、2つの半体10a、10bの他方の前部固定箇所12a及び後部固定箇所12bと、対称に配置される。
【0028】
より詳細には、前部固定箇所12aは、軸線Yに平行な方向Iに沿って、互いに位置合わせされる。同様に、後部固定箇所12bは、軸線Y及び方向Iに平行な方向Jで、互いに位置合わせされる(
図2)。
【0029】
更に、2つの半体10a、10bの各々の前部固定箇所12a及び後部固定箇所12bは、長手方向軸線Xを横切って互いに入射する、それぞれの方向K、Lにおいて、互いに位置合わせされる。
【0030】
言い換えれば、固定箇所12a、12bは、等脚台形の各頂点に配置される。
【0031】
更に、前部固定箇所12aのそれぞれは、軸線Zに対して同じ第1の座標に配置され、後部固定箇所12bのそれぞれは、軸線Zに対して同じ第2の座標に配置される。特に、前部固定箇所12aは、後部固定箇所12bより下方に配置される。言い換えれば、前部固定箇所12aは、後部固定箇所12bよりも、地面に近くなるように適合される。
【0032】
更に、サブフレーム10は、以下のものを備える(
図2)。
・方向Kにおいて互いに位置合わせされた、前部固定箇所12aと、対応する後部固定箇所12bとを接合する、本体20。
・方向Lにおいて互いに位置合わせされた、前部固定箇所12aと、対応する後部固定箇所12bとを接合する、本体21。
・本体20及び21を互いに接合し、それらに対して横方向に延在する、2つのクロスメンバ22、23。
【0033】
特に、本体20は半体10aの側に配置され、本体21は半体10bの側に配置される。
【0034】
クロスメンバ22及び23は、長手方向軸線Xに沿って互いに離隔し、互いに、かつ軸線Yに平行に延在する。
【0035】
詳細には、クロスメンバ23は、方向Jに延在し、後部固定箇所12bのそれぞれを接
合する。クロスメンバ22は、長手方向軸線Xに沿って、後部固定箇所12bに向かって、前部固定箇所12aから離隔している。
【0036】
より詳細には、軸線Yに直交する平面において、クロスメンバ22、23の断面は、矩形状である。
【0037】
好ましくは、更に、クロスメンバ22及び23は、軸線Zを基準に、互いに位置合わせされる、又は実質的に位置合わせされる。特に、クロスメンバ22及び23の上面、すなわち地面の反対側の表面は、同一平面にある、又は実質的に同一平面にある。
【0038】
更に、本体20は、以下のものを備える。
・軸線Yに直交する平面において、三角形又は略三角形の形状を有し、クロスメンバ22と、半体10aに配置された後部固定箇所12bとの間に延在する、部分20a。
・クロスメンバ22と、半体10aに配置された前部固定箇所12aとの間に延在する、アーム20b。
【0039】
部分20aは、長手方向軸線Xに平行に、又は実質的に平行に延在し、アーム20bは、長手方向軸線Xを横切る方向に向けられる。
【0040】
本体20と同様に、本体21は、以下のものを備える。
・軸線Yに直交する平面において、三角形又は略三角形の形状を有し、クロスメンバ22と、半体10bに配置された後部固定箇所12bとの間に延在する部分21a。
・クロスメンバ22と、半体10bに配置された前部固定箇所12aとの間に延在する、アーム21b。
【0041】
部分21aは、長手方向軸線Xに平行に、又は実質的に平行に延在し、アーム21bは、長手方向軸線Xを横切る方向に向けられる。
【0042】
後部1bから前部1aに向かう方向に、長手方向軸線Xに沿って進むにつれて、軸線Yに平行なアーム20b及びアーム21bの対応する箇所の間の距離は、徐々に増加する。言い換えれば、後部1bから前部1aに向かう方向に、長手方向軸線Xに沿って進むにつれて、アーム20b及び21bは、クロスメンバ22から分岐する。
【0043】
更に、部分20a及び21aは、正中面Mを基準に、互いに対称に、又は実質的に対称に配置された、それぞれの開口部25、26を備える。具体的には、開口部25及び26には、図示しない後輪のアクスルシャフトが交差している。
【0044】
図示の実施形態では、サブフレーム10はまた、本体20及び21を互いに接合し、それらに対して横方向に延在する、クロスメンバ24を備える。更に、クロスメンバ24は、クロスメンバ22及び23より上方に配置され、すなわち、クロスメンバ22及び23よりも、車輪が載る地面から、より離隔している。
【0045】
クロスメンバ24は、軸線Y及びクロスメンバ22、23と、平行に延在する。また、クロスメンバ24は、部分20a、21aの三角形状の上部頂点同士を接合する。
【0046】
更に、サブフレーム10は、1つ又は複数のリアサスペンション、すなわち後輪をフレーム2に間接的に接続する、サスペンションを連結できるように構成された、複数の連結要素30を備える(
図2及び
図3)。特に、リアサスペンションのレバーは、サブフレーム10にのみ接続され、フレーム2の後部本体5に、直接的には接続されない。
【0047】
好ましくは、連結要素30は、部分20a及び21aに配置される(
図2)。
【0048】
有利には、自動車1は、フレーム2に直接固定された、補強構造体15を備える。サブフレーム10は、フレーム2と補強構造体15との間に動作可能に介在し、特に軸線Zに平行に、フレーム2及び補強構造体15と接触する(
図1)。
【0049】
言い換えれば、サブフレーム10は、フレーム2と補強構造体15との間で、その延在部の少なくとも一部にわたって押し込まれ、かつ/又は、サンドイッチ状に挟まれる。
【0050】
補強構造体15がフレーム2に直接取り付けられるということは、サブフレーム10とは独立して、補強構造体15がフレーム2に取り付けられることを意味する。
【0051】
自動車1は、補強構造体15をフレーム2に固定するように適合され、本明細書の以下の部分で詳細に説明される、接続要素50を更に備える。フレーム2は、対応する接続要素50にそれぞれ係合されるように適合された、具体的にはねじ穴である、複数の穴51を備える。
【0052】
詳細には、補強構造体15は、後部本体5において、フレーム2に直接固定される。
【0053】
図示の実施形態では、補強構造体15は、以下のものを備える。
・中央プレート40。
・前部1aの側に配置された、前部本体41。
・後部1bの側に配置された、後部本体42。
【0054】
図示されていない代替の実施形態によれば、中央プレート40、前部本体41、及び/又は後部本体42は、単一の部品を形成する。
【0055】
図3に示すように、中央プレート40は長方形であり、軸線Yに平行に延在する2つの側面401、402、並びに、軸線Xに平行に延在する2つの側面403、404を備える。
【0056】
更に、中央プレート40は、以下のものを備える。
・中央部分40a。
・軸線Xに平行な中央部分40aの全延長部に沿って、側面403及び404にそれぞれ延在する、2つの補強要素40b、40c。
【0057】
前部本体41は、側面401において中央プレート40に固定されており、補強構造体15をフレーム2に固定するための、2つの貫通孔43、44を備える。詳細には、孔43及び44はそれぞれ、軸線Zに平行に、対応する前部固定箇所12a(正確には、サブフレーム10の対応する孔13)、及びフレーム2の対応する穴51と、位置合わせされる。
【0058】
孔43、44は、正中面Mを基準に互いに対称であり、軸線Yに平行な方向に、互いに位置合わせされる。
【0059】
軸線Yに平行な前部本体41の延在部は、軸線Yに沿った中央プレート40の延在部よりも大きい。特に、前部本体41は、半体10aの側及び半体10bの側の両方で、側面401を基準に、軸線Yに平行に突出する。
【0060】
更に詳細には、前部本体41は、以下のものを備える(
図3)。
・中央プレート40の側方に配置され、軸線Yに直交する平面において矩形状の断面を有する、第1の部分41a。
・第1の部分41aに対して、中央プレート40の反対側にある、第2の部分41b。
【0061】
第1の部分41a及び第2の部分41bは、軸線Xに沿って、連続して配置される。
【0062】
中央プレート40から第1の部分41aに向かう方向に、軸線Xに沿って進むにつれて、第2の部分41bは、軸線Zに平行に漸減する延在部を有する。
【0063】
より詳細には、孔43及び44は、第1の部分41aに配置される。
【0064】
補強構造体15は更に、前部本体41を中央プレート40に固定するように、かつ/又は、前部本体41と中央プレート40との間の接続を補強するように適合された、2つのアングル部品45、46を備える。詳細には、2つのアングル部品45、46の各々は、前部本体41と、対応する補強要素40b、40cとの両方に固定される。より詳細には、アングル部品45、46は、中央プレート40を基準に、軸線Yに平行に突出する、前部本体41の対応する部分に固定される。
【0065】
更に、好ましくは、補強構造体15は、正中面Mを基準に対称である。
【0066】
後部本体42は、側面402で中央プレート40に固定されており、補強構造体15をフレーム2に固定するための、2つの貫通孔47、48を備える。
【0067】
詳細には、孔47及び48の各々は、軸線Zに平行に、対応する後部固定箇所12b(正確には、サブフレーム10の対応する孔13)、及びフレーム2の対応する穴51と、位置合わせされる。
【0068】
孔47、48は、正中面Mに対して互いに対称であり、軸線Yに平行な方向に、互いに位置合わせされる。また、孔47、48の軸線は、軸線Zと平行に配置される。
【0069】
軸線Yに平行な後部本体42の延在部は、軸線Yに平行な中央プレート40の延在部よりも大きいが、軸線Yに平行な前部本体41の延在部よりは小さい。特に、後部本体42は、半体10aの側及び半体10bの側の両方において、側面402を基準に、軸線Yに平行に突出している。
【0070】
接続要素50について、以下でより詳細な説明を行う。具体的には、各接続要素50は、補強構造体15の対応する孔43、44、47、48、サブフレーム10の対応する孔13、及びフレーム2の対応する穴51と、同時に係合する。更に詳細には、対応する孔13に係合する各接続要素50は、孔13の中に収容された、対応する弾性ブッシング110に係合する。
【0071】
具体的には、各接続要素50は、フレーム2の側に配置された軸方向端部60a、並びに、軸方向端部60aの反対側にあり、補強構造体15の側に配置された、軸方向端部60bを画定する、ねじ60(
図4)を備える(そのうちの2つのみが
図3に示されている)。
【0072】
軸方向端部60aから軸方向端部60bにかけて、各ねじ60は、その長手方向軸線に沿って、以下のものを備える。
・フレーム2のそれぞれの穴51と係合する、特にねじ切りされた、伸長部61。
・それぞれの弾性ブッシング110と係合する伸長部62。
・補強構造体15と係合する、伸長部63。
・フレーム2の反対側で、補強構造体15を越えて突出する、特にねじ切りされた、伸長部64。
【0073】
更に、各接続要素50は、伸長部64でねじ60と係合する、ナット70を備える。
【0074】
詳細には、各ねじ60はまた、伸長部62と伸長部63との間に軸方向に介在する、肩部65を備える。より詳細には、各弾性ブッシング110は、対応するねじ60の肩部65に当接して、肩部65のフレーム2に面する側に設置される。
【0075】
図示の実施形態では、各ねじ60はまた、伸長部63にスペーサ66を備え、スペーサ66は、伸長部63と同心円状、かつ径方向外側に配置される。
【0076】
上記に照らして、接続要素50は、サブフレーム10とは独立して、補強構造体15をフレーム2に固定するように適合される。詳細には、接続要素50は、サブフレーム10が存在しない場合でも、補強構造体15をフレーム2に固定する。
【0077】
自動車1の組み立て中、補強構造体15が存在しない状態で、サブフレーム10を、4つの固定箇所12a、12bでフレーム2の後部本体5に予め固定し、したがって、接続要素50を使用して、フレーム2の後部本体5に補強構造体15を直接固定する必要があることに留意されたい。同様に、自動車1を分解する場合、サブフレーム10をフレーム2の後部本体5から取り外すには、接続要素50を予め取り外し、補強構造体15を取り外す必要がある。
【0078】
本発明による、自動車1の動作を以下に説明する。
【0079】
使用時に、車輪はそれぞれの回転軸を中心に回転し、地面に対するフレーム2の移動を決定する。
【0080】
車輪が回転するとき、路面の凹凸によって振動が発生する。この振動は、リアサスペンションによってサブフレーム10に伝達されるが、弾性絶縁要素11が介在することにより、サブフレーム10からフレーム2には伝達されない(又は、その伝達は最小限である)。
【0081】
車両1の動作中、サブフレーム10は、フレーム2と補強構造体15との間に介在し、補強構造体15は、更にフレーム2に直接固定される。
【0082】
上記のことから、本発明による車両1の利点は明らかである。
【0083】
特に、車両1は、フレーム2に直接固定された補強構造体15を備えており、フレーム2と補強構造体15との間にサブフレーム10が介在しているため、フレーム2の高い構造効率を維持しつつ、路面上を回転することによる振動を、減衰させることができる。具体的には、補強構造体15が存在することにより、フレーム2の剛性が高められる。
【0084】
実際には、サブフレーム10はフレーム2に弾性的に固定されるのだが、補強構造体15により、その振動が制限される。
【0085】
最後に、特許請求の範囲によって規定される保護範囲から逸脱することなく、本発明による自動車1に対し、修正及び変形を施し得ることは明らかである。
【外国語明細書】