(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040133
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】車輪の制御に関連する量を調整するためにステアリングホイールが適応された自動車
(51)【国際特許分類】
B62D 1/04 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
B62D1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145811
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】102022000018495
(32)【優先日】2022-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコ バラトーレ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ ヴァリスコ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィート コニグリアーロ
(72)【発明者】
【氏名】ラファエレ デ シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ フルメリ
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA11
3D030DB13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単純で信頼性のある方法で、変数の制御の汎用性を高める。
【解決手段】自動車であって、互いに位置合わせされ、自動車の両側のそれぞれに配置された少なくとも一対の車輪と、車輪の動作状態に対応する少なくとも1つの制御変数を調整するように構成された制御手段と、自動車を操舵するためのステアリングホイール(5)と、を備え、制御手段が、ステアリングホイール上に配置されて、1つまたは複数の制御変数の調整を命令するために自動車の運転者によって操作可能であるようにステアリングホイールに対して移動可能にステアリングホイールに結合された制御装置(10)を備えることを特徴とする、自動車。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)であって、
-互いに位置合わせされ、前記自動車(1)の両側のそれぞれに配置された少なくとも一対の車輪(2)と、
-前記車輪(2)の動作状態に対応する少なくとも1つの制御変数を調整するように構成された制御手段(6)と、
-前記自動車(1)を操舵するためのステアリングホイール(5)と、
を備え、
前記制御手段(6)が、前記ステアリングホイール(5)上に配置されて、前記少なくとも1つの制御変数の調整を命令するために前記自動車(1)の運転者によって操作可能であるように前記ステアリングホイール(5)に対して移動可能に前記ステアリングホイール(5)に結合された制御装置(10)を備えることを特徴とする、自動車。
【請求項2】
前記少なくとも1つの制御変数が、前記車輪(2)間のトルク分配または前記自動車(1)の車体(3)に対する少なくとも1つの前記車輪(2)の位置合わせに対応する、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記制御装置(10)が、第1の軸(C、C”)を中心とする回転方式で前記ステアリングホイール(5)に結合された第1の制御装置(11、11’、11”)を備え、それにより、前記第1の軸(C、C”)を中心とする前記第1の制御装置(11、11’、11”)の回転が前記少なくとも1つの制御変数の変動に対応する、請求項1または2に記載の自動車。
【請求項4】
前記第1の軸(C、C”)を中心とした前記第1の制御(11、11’、11”)の反対方向へのそれぞれの回転が、前記少なくとも1つの制御変数の増加および減少にそれぞれ対応する、請求項3に記載の自動車。
【請求項5】
前記制御手段(6)が、前記車輪(2)のうちの一方の第1の動作状態および前記車輪(2)のうちの他方の第2の動作状態にそれぞれ対応する第1および第2の制御変数を調整するように構成され、前記制御装置(10)が、第2の軸(D、D”)を中心に回転するように前記ステアリングホイール(5)に結合された第2の制御装置(21、21’、21”)を備え、それにより、前記第1および第2の軸(C、D、C”、D”)を中心とした第1および第2の制御装置(11、21、11’、21’、11”、21”)のそれぞれの回転が、前記第1および第2の制御変数の対応する変動にそれぞれ対応する、請求項3に記載の自動車。
【請求項6】
前記ステアリングホイール(5)が、前記第1の軸(C)を含むステアリングホイール平面に直交する回転軸(B)を有する、請求項3から5のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項7】
前記第1の制御装置(11、11’)が、前記第1の軸を中心に回転し、前記第1の軸(C)に沿って延在するハンドルを備える、請求項6に記載の自動車。
【請求項8】
前記第1の制御装置(11’)が、前記第1の軸(C)を中心に回転し、前記第1の軸(C)に対して横方向に延在するハンドルを備える、請求項6に記載の自動車。
【請求項9】
前記ステアリングホイール(5)が、前記第1の軸(C”)に直交するステアリングホイール平面にさらに直交する回転軸(B)を有する、請求項3から5のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項10】
前記第1の制御装置(11”)が、前記第1の軸(C”)の周りに配置された円形方向にしたがって回転可能であり、前記ステアリングホイール(5)の回転軸(B)に直交するステアリングホイール平面を横断する平面上にある、請求項3から5のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項11】
前記制御装置(10)が、第1の並進軸に沿って移動可能に前記ステアリングホイール(5)に結合された第1の制御装置(11、11’、11”)を備え、それにより、前記第1の並進軸に沿った前記第1の制御装置(11、11’、11”)の並進が、前記少なくとも1つの制御変数の変動に対応する、請求項1または2に記載の自動車。
【請求項12】
前記並進軸に沿った前記第1の制御装置(11、11’、11”)の反対方向へのそれぞれの並進が、前記少なくとも1つの制御変数の増加および減少にそれぞれ対応する、請求項11に記載の自動車。
【請求項13】
前記制御手段(6)が、前記車輪(2)のうちの一方の第1の動作状態および前記車輪(2)のうちの他方の第2の動作状態にそれぞれ対応する第1および第2の制御変数を調整するように構成され、前記制御装置(10)が、第2の並進軸に沿って移動可能に前記ステアリングホイール(5)に結合された第2の制御装置(21、21’、21”)を備え、それにより、前記第1および前記第2の並進軸(C、D、C”、D”)にそれぞれ沿った第1および第2の制御装置(11、21、11’、21’、11”、21”)のそれぞれの並進が前記第1および第2の制御変数の対応する変動にそれぞれ対応する、請求項11に記載の自動車。
【請求項14】
前記第1の制御装置(11、11’、11”)を選択的に解放可能に前記ステアリングホイール(5)に固定するように構成された解放可能なロック手段(15)をさらに備え、それにより、前記ロック手段(15)が解放されると、前記第1の制御装置(11、11’、11”)が前記ステアリングホイール(5)に対して移動可能に戻る、請求項3から13のいずれか一項に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、具体的にはスポーツ車両に関する。
[関連出願の相互参照]
【0002】
本特許出願は、2022年9月12日に出願されたイタリア特許出願第102022000018495号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
通常、自動車には、自動車の動的挙動に直接反映される車輪の状態、すなわち車輪の構成を特徴付ける静的または動的変数のセットを制御するための制御装置が設けられている。
【0004】
例えば、変数は、車輪のキャンバ、車輪のトーイン、より一般的には、車体に対する各車輪の向きもしくは位置合わせ、または各車輪に供給されるトルクを含むことができる。
【0005】
進行方向に対して横方向に位置合わせされた2つの車輪、例えば2つの駆動輪が与えられると、変数のうちの1つは、2つの車輪について差動値をとることができる。
【0006】
例えば、自動車エンジンから到来するトルクは、適切な電子制御によって、例えばブレーキの差動化制御によって、車軸間、したがって駆動輪間に分配されることができる。
【0007】
制御は、一般に、例えば操舵角、ヨー角、平均速度などを示す量を含む、自動車の動作状態に関する情報に基づく。
【0008】
一般に、自動車の運転中に上述した変数の制御の汎用性を高める必要性が感じられる。
【0009】
本発明の目的は、好ましくは単純で信頼性のある方法で、上記の必要性を満たすことである。
【発明の概要】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の自動車によって達成される。
【0011】
従属請求項は、本発明の特定の実施形態を定義するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、非限定的な実施例として、添付の図面を参照して、本発明の実施形態をそのより良い理解のために説明する。
【0013】
【
図2】第1の実施形態に係る自動車のステアリングホイールの正面図である。
【
図3】第2の実施形態に係る自動車のステアリングホイールの正面図である。
【
図4】第3の実施形態に係る自動車のステアリングホイールの正面図である。
【
図5】第4の実施形態に係る自動車のステアリングホイールの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、参照符号1は、自動車全体を示すために使用される。
【0015】
自動車1は、複数の車輪を備え、そのうちの少なくとも2つは、自動車の両側に一対の車輪2を形成し、すなわち、右車輪および左車輪である。
【0016】
車輪2は、特に自動車1の進行方向に対して横方向の軸Aに沿って互いに位置合わせされる。
【0017】
車輪2は、例えば、駆動輪とすることができる。
【0018】
具体的には、車輪2は、後部駆動輪であるが、自動車は、前部駆動とすることができる。
【0019】
あるいは、自動車1の車輪は、一般性を失うことなく、全ての駆動輪とすることができる。
【0020】
自動車1は、図示されていない既知のタイプのサスペンションによって車輪2に対して懸架された車体3をさらに備える。
【0021】
車体3は、自動車1の乗員室4を画定し、自動車は、運転位置を有する。
【0022】
自動車1は、特に運転位置に配置されるステアリングホイール5をさらに備える。
【0023】
再び運転位置において、自動車1はまた、運転者を着座位置において支持するとともに運転者の手によってステアリングホイール5を把持するのに適したステアリングホイール5の反対側に図示されない座部を備える。
【0024】
ステアリングホイール5は、自動車1を操舵する既知の機能を有する。特に、ステアリングホイール5は、ステアリングホイール軸Bを中心に回転可能である。
【0025】
より詳細には、自動車1は、特に車軸、具体的には後車軸を含む、例えば既知のタイプの図示しない操舵装置を備える。
【0026】
操舵装置は、軸Bを中心とするステアリングホイール5の回転に応答して、且つステアリングホイール5の回転角度に対応するように、自動車1の車輪のうちの少なくとも2つを操舵するように構成される。
【0027】
さらにまた、自動車1は、車輪2の動作状態に影響を及ぼし、あるいは車輪2の動作状態に対応する1つ以上の制御変数を調整するように構成され、あるいは制御可能な制御アセンブリ6を備える。
【0028】
例えば、制御アセンブリ6は、駆動輪2の間のトルク分配を調整するように、または駆動輪2に送達されるそれぞれのトルクを独立して調整するように制御可能なトルク送達ユニット、例えば牽引または制動トルク送達ユニットを備えることができる。
【0029】
この場合、制御変数は、トルク分布に直接対応する単一の変数、または駆動輪2に供給されるトルクにそれぞれ対応する2つの変数を含むことができる。
【0030】
あるいは、制御変数は、車体3に対する少なくとも1つの車輪2の位置合わせまたは姿勢に対応する1つまたは複数の変数を含むことができる。
【0031】
例えば、制御変数は、一方または両方の車輪2のキャンバ角に対応する変数、一方または両方の車輪2のトウ角に対応する変数、他方の車輪2に対する一方の車輪2の差動化された操舵角に対応する変数、および車体2に対する一方または両方の車輪2の位置合わせまたは向きに影響を及ぼす同様の変数を含むことができる。
【0032】
制御アセンブリ6は、多くの方法で製造されることができるため、概略的な形態で示されている。
【0033】
例えば、制御アセンブリ6は、エンジン/モータ、特に内燃エンジンまたは電気モータと、エンジン/モータから駆動輪にトルクを伝達するように構成され、車輪2に差動化されたトルクを伝達するための独立したクラッチを有する既知の差動装置のような、車輪2に対する牽引またはトルクベクタリングの動的制御の適用に適した差動装置を含む変速機チェーンとを含むトルク送達ユニットとすることができる。
【0034】
一般に、制御アセンブリ6のトルク送達ユニットは、例えば別個のトルクを駆動輪2に送達するように構成されたそれぞれの独立した動力または制動源によって、または例えば動力源からの入力トルクの駆動輪2への分配を調整するように制御可能なトルク分配装置によって、別個のトルクをそれぞれの車輪2に送達するように制御可能とすることができる。
【0035】
車輪2の少なくとも1つの位置合わせに対応する制御変数の場合、制御アセンブリ6は、前記変数のそれぞれ、例えば車輪2のキャンバおよび/またはトウ、および/または車輪2の一方の操舵を、車輪2の他方の操舵に対して差動化された方法で調整するための既知の図示しないアクチュエータ装置を備えることができる。
【0036】
制御アセンブリ6は、ステアリングホイール5上にまたはステアリングホイール5に配置された少なくとも制御装置10を備える。明確にするために、ステアリングホイールに配置された表現は、制御装置10がステアリングホイール5の任意の点に配置することができることを意味すると理解される。
【0037】
制御装置10は、ステアリングホイール5に対して移動可能に結合されている。
【0038】
制御装置10は、制御アセンブリ6によって制御変数のうちの少なくとも1つを制御するために運転者によって操作されることができる。
【0039】
より正確には、制御装置10は、操作可能部または制御装置11、例えば、ハンドル、レバー、ブレード、ボタン、タッチ感知面、ロッドなどを備える。
【0040】
さらに、制御装置10は、好ましくは、ステアリングホイール5に対する操作可能部11の動きを示す量を検出するように構成されたトランスデューサ12を備える。実際に、操作可能部11は、特に運転者による手動で、ステアリングホイール5に対して移動可能である。
【0041】
トランスデューサ12は、検出された量に対応する信号を生成するようにさらに構成される。
【0042】
制御装置10は、トランスデューサ12によって生成された信号から操作可能部11の動きに関する情報を抽出し、抽出された情報に基づいて操作可能部11の動きに対応する方法で制御アセンブリ6を制御し、したがって制御アセンブリ6による操作可能部11の動きに対応する制御された制御変数の変動を引き起こすように構成された制御ユニット13をさらに備える。
【0043】
制御変数は、様々な状態量のうちの1つに対応することができ、ひいては、場合によっては車輪2のそれぞれの状態を表す量間の関係に対応することができる。
【0044】
例えば、制御変数は、例えば車輪2にそれぞれ加えられるトルク間の量間の比、または車体3に対する車輪2の向きをそれぞれ示す2つの角度間の比、例えば差動化された操舵角、キャンバ角、またはトウ角とすることができる。
【0045】
例えば、車輪2の間のトルク分布に対応する制御変数を定義することができる比は、車輪2に及ぼされるトルクの合計に対する分布比とすることができる。
【0046】
制御アセンブリ6は、相対領域全体にわたって制御変数のそれぞれを連続的に調整することができるように構成される。換言すれば、所定の限界内で、または一般的にも、制御変数のそれぞれの任意の値は、制御アセンブリ6によって達成されることができる。
【0047】
例えば、制御変数がそれぞれ車輪2に対する量間の比の観点で表されることができる場合、比の全ての実際の値は、送達制御アセンブリ6を介して取得されることができる。
【0048】
換言すれば、制御アセンブリ6は、制御装置10によって制御変数の制御可能性を確実にするように構成される。正確には、制御可能性という用語は、制御理論によってそれに起因する意味にしたがってここで理解されるべきである。
【0049】
好ましくは、
図2に示すように、操作可能部11の動きは、軸Cを中心とした回転運動である。
【0050】
実施形態、例えば
図2に示す実施形態によれば、軸Cは、軸Bに直交する平面に属する。
【0051】
特に、操作可能部11は、軸Cを中心に回転し、軸Cに沿って延在するハンドルを備える。
【0052】
換言すれば、操作可能部11は、軸Cを中心に回転するようにステアリングホイール5に結合され、その結果、操作可能部11の回転またはより一般的には動きは、制御変数の1つ、例えば、同じトルクの他方に対して駆動輪2に送達されるトルクの1つ、または車輪2の他方に対する同じ角度の値に対する車輪2の一方に対する角度の値の変動に対応し、角度は、車体3に対してこの説明で既に述べたものの任意の角度とすることができる。あるいは、変動は、相対的な用語ではなく絶対的な用語であってもよい。
【0053】
好ましくは、自動車1は、操作可能部11をステアリングホイール5に選択的に解放可能に固定またはロックするように構成される解放可能ロック装置15をさらに備える。
【0054】
より具体的には、ロック装置15は、例えば運転者によって意図的に解放されていないときに、操作可能部11の移動を阻止する。
【0055】
換言すれば、操作可能部11の移動は、ロック装置が解放されるときにのみロック装置15によって解放される。ロック装置15は、運転者が手動で解放されることができる。
【0056】
ロック装置15を使用するという考え自体は革新的であるが、ロック装置15の機能は、様々なタイプの既知の機構によって、例えば電気機械的または純粋に機械的な作動によって実行されることができ、したがって詳細には説明しない。
【0057】
例として、ロック装置15は、操作可能部11に設けられた座部にばねによって押し込まれたピンと、ピンを座部から解放し、したがってステアリングホイール5に対する操作可能部11の動きを解放または自由にするために、例えばステアリングホイール5または操作可能部11に対する押しボタンまたは同等の制御によって電気的または機械的に操作される機構とを備えることができる。
【0058】
ばねは、機構が操作されていないときにピンを座部に戻すなどの弾性反応を及ぼして、操作可能部11のステアリングホイール5へのロックを確実にする。
【0059】
好ましくは、操作可能部11は、制御変数のヌル変動に対応する静止位置を有する。
【0060】
より好ましくは、自動車1は、操作可能部11の静止位置からの移動に応答して反作用を生じさせるように構成された既知のタイプの図示しない位置復帰装置を備え、反作用は、操作可能部11を静止位置に再設定する傾向がある。
【0061】
例えば、位置復帰装置は、動きに比例する方法で反応を生成するためのばねを備えることができる。
【0062】
既に上述したように、トランスデューサ12によって生成された信号は、ここでは軸Cを中心とした回転によって具体的に定義される操作可能部11の移動の指示量に対応する。
【0063】
より詳細には、制御装置10は、ステアリングホイール5上に配置され、軸Dを中心に回転可能にそれに結合されたさらなる操作可能部または制御装置21をさらに備える。
【0064】
操作可能部21は、操作可能部11とは別の位置に配置されている。
【0065】
好ましくは、
図2の実施形態では、軸C、Dのうちの一方または両方は曲線状である。特に、軸C、Dは、同じ理想的な閉曲線、例えば円形または楕円形に属する。
【0066】
操作可能部21は、操作可能部11と構造的に同一とすることができる。
【0067】
さらにまた、操作可能部21は、好ましくは、操作可能部11がステアリングホイール5に結合されるのと同様に、ステアリングホイール5に結合される。
【0068】
それぞれの動き、すなわち軸C、Dを中心とした操作可能部11、21のそれぞれの回転は、駆動輪2に対する制御変数の対応する変動に対応する。
【0069】
制御変数は、好ましくは相同、すなわち同じタイプからなるが、それぞれ車輪2を指す。
【0070】
換言すれば、制御グループは、車輪2にそれぞれ関連付けられた、または車輪2に対する動作状態にそれぞれ対応する少なくとも2つの制御変数を調整するように構成される。
【0071】
操作可能部11、21のそれぞれの回転が、制御変数、例えば車輪2に送達されるトルクの対応する変数の相対的な増加または減少に対応するという意味で、変動は絶対的とすることができる。
【0072】
特に、ある方向への移動、より具体的には回転は増加に対応し、反対方向への回転は制御変数の対応する変数の減少に対応する。
【0073】
操作可能部11、21のそれぞれの回転が制御変数の対応する変数の相対的な増加または減少に対応するという意味で、変動はまた、一般性を失うことなく、例えば制御変数のうちの他のものに比例して、または任意の所定の関係もしくは法則にしたがって、制御変数のうちの他のものの関数として相対的とすることができる。
【0074】
回転と制御変数との間の対応関係に関して、操作可能部11の回転に関して既に説明したことは、操作可能部21の回転にも当てはまる。
【0075】
すなわち、対応関係は、特定のユニット、例えば同じ制御ユニット13による回転および制御の変換を介して、変換の結果に基づいて取得される。
【0076】
実際には、操作可能部21は不要である。実際に、図示されていない代替形態によれば、操作可能部11は、一方または両方の車輪2の動作状態の変化に対応する制御変数を制御するのに十分である。
【0077】
例えば、軸Cを中心とした反対方向への操作可能部11のそれぞれの回転は、それぞれ、車輪2に及ぼされるトルクの一方の比率の増加および減少、または車輪2に及ぼされるトルクの他方に対する車輪2の一方の位置合わせ角度の値の増加および減少、または車輪2の他方に対する同じ位置合わせ角度の値の増加および減少に対応することができる。
【0078】
ここでも、位置合わせ角度は、本明細書で既に述べた角度のいずれか1つとすることができる。
【0079】
対応関係は、既に上述したものと同様に、変換および結果としての制御によって取得されることができる。
【0080】
ここで、さらなる実施形態を
図3を参照して説明する。
図3の実施形態は、
図2の実施形態と同様であり、したがって、それを後者と区別する部分においてのみ説明する。可能な場合、同じ特徴を示すために同じ参照符号が使用される。
【0081】
図3の実施形態では、操作可能部11は、機能は変化しないが、操作可能部11’によって構造的に置き換えられている。操作可能部11’は、軸Cを中心に回転するが、軸Cに対して横方向またはより正確には半径方向に延在するハンドルを備えるため、操作可能部11とは異なる。
【0082】
実際には、操作可能部11のようにそれ自体の軸を中心に回転する代わりに、操作可能部11’は、軸Cを中心にヒンジ止めされた端部を有する。
【0083】
図3の実施形態では、制御装置10は、操作可能部21’と構造的に類似し、
図2の操作可能部11と同じ機能を有するさらなる操作可能部21’を備える。
【0084】
操作可能部21’は、実際には、操作可能部21を置き換えることを意図している。
【0085】
ここで、さらなる実施形態を
図4を参照して説明する。
図4の実施形態は、
図2の実施形態と同様であり、したがって、それを後者と区別する部分においてのみ説明する。可能な場合、同じ特徴を示すために同じ参照符号が使用される。
【0086】
図4の実施形態によれば、操作可能部11は、機能は変化しないが、操作可能部11”によって構造的に置き換えられている。
【0087】
操作可能部11”は、ステアリングホイール5上に配置され、ステアリングホイールの平面に直交する、軸Bに直交する、あるいは軸Bに平行な軸C”を中心に回転するようにステアリングホイール5に結合される。
【0088】
図示されていないこの実施形態の変形例によれば、軸C”は異なって配向され、したがって、制御装置11”は、軸C”の周りに配置され、ステアリングホイールの平面に対して横方向またはより好ましくは直交する平面上にある円形方向に回転可能である。後者の平面は、軸C”に直交する。
【0089】
図4の実施形態では、制御装置10は、操作可能部11”と構造的に類似し、
図2の操作可能部21と同じ機能を有するさらなる操作可能部21”を備える。操作可能部21”は、実際には、操作可能部21を置き換えることを意図している。
【0090】
操作可能部21”は、ステアリングホイール5上に配置され、ステアリングホイールの平面に直交し、軸Bに直交する軸D”を中心に回転するようにステアリングホイール5に結合される。
【0091】
この実施形態の図示されていない変形例によれば、軸D”は異なって配向され、したがって、制御装置21”は、軸D”の周りに配置され、ステアリングホイールの平面に対して横方向またはより好ましくは直交する平面上にある円形方向に回転可能である。後者の平面は、軸D”に直交する。
【0092】
ここで、さらなる実施形態を
図5を参照して説明する。
図5の実施形態は、
図2の実施形態と同様であり、したがって、それを後者と区別する部分においてのみ説明する。可能な場合、同じ特徴を示すために同じ参照符号が使用される。
【0093】
図5の実施形態によれば、操作可能部11は、機能は変化しないが、操作可能部11'''によって構造的に置き換えられている。
【0094】
操作可能部11'''は、ステアリングホイール5上に配置され、図示されていない変形例によれば、ステアリングホイールの平面上にあるか、またはステアリングホイールに対して横方向とすることができる並進軸C”に沿って移動可能にステアリングホイール5に結合される。換言すれば、操作可能部11'''は、並進軸C”に沿ってステアリングホイール5に対して並進することができる。
【0095】
図5の実施形態では、制御装置10は、操作可能部11'''と構造的に類似し、
図2の操作可能部21と同じ機能を有するさらなる操作可能部21'''を備える。操作可能部21'''は、実際には、操作可能部21を置き換えることを意図している。
【0096】
操作可能部21”は、ステアリングホイール5上に配置され、図示されていない変形例によれば、ステアリングホイールの平面上にあるか、またはステアリングホイールに対して横方向とすることができる並進軸D'''に沿って移動可能にステアリングホイール5に結合される。
【0097】
換言すれば、操作可能部11'''は、並進軸D'''に沿ってステアリングホイール5に対して並進することができる。好ましくは、軸C”、D'''は互いに平行である。
【0098】
操作可能部11”、21”の並進運動は、操作可能部11、21の回転を同じ機能によって置き換える。
【0099】
以上のことから、本発明に係る座部アセンブリの利点は明らかである。
【0100】
ステアリングホイール上に制御装置10を配置することは、運転者が必要に応じて制御変数を手動で調整することを可能にする。これは、自動車1のより大きな制御汎用性をもたらす。
【0101】
さらにまた、運転者は、自動車1に対するより大きな制御を有し、したがって、運転者の運転経験を大幅に改善する。
【0102】
さらにまた、制御装置10は、熟練運転者が手動で運転性能を最適化することを可能にする。
【0103】
実際に、熟練運転者は、例えば、カーブにおける自動車1のアンダーステアまたはオーバーステアを完全に制御することができる。
【0104】
さらにまた、運転者は、必要に応じて自動車1のドリフトを伴うコーナリング技術を使用することを決定して、自動車1の特性を十分に活用することができる。
【0105】
最後に、特許請求の範囲によって規定される保護範囲から逸脱することなく、本発明に係る自動車1に対し、変更および変形を施し得ることは明らかである。
【0106】
例えば、第1、第2、第3などの数形容詞は明確な目的のみを有するため、必ずしも限定的であると見なされる必要はない。
【0107】
さらにまた、説明および図示された機械部品は、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる数または異なる形態で提供されることができる。
【0108】
さらに、説明および図示された様々な構成要素の寸法は、それらの配置および構成に必ずしも関連しておらず、したがって寸法は配置および構成から独立している。
【0109】
さらにまた、記載された様々な実施形態および変形例は、互いに組み合わせてさらなる実施形態を構成することができる。
【外国語明細書】