(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040154
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】電子部品間で確実に信号を転送するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G04G 17/00 20130101AFI20240315BHJP
A44C 5/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G04G17/00 F
G04G17/00 E
A44C5/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023219303
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2021005227の分割
【原出願日】2019-08-26
(31)【優先権主張番号】16/140,679
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ステルマン,ジェイコブ
(57)【要約】
【課題】第1構成要素と、第2構成要素とを備える電子機器用ヒンジシステムを提供する。
【解決手段】第1構成要素は、第1筐体と、第1筐体内で延在する第1基板と、第1のコネクタと、第1のコネクタ内に設けられた複数の湾曲要素とを含んでもよい。第1基板は、導電性要素と、導電性要素に電気的に接続された超小型電子機器とを有してもよい。湾曲要素は、導電性を有し、互いに間隔を空けてもよい。各湾曲要素は、第1構成要素の導電性要素と電気的に接続されてもよい。第2構成要素は、第2筐体と、第2筐体の端部に設けられた第2のコネクタとを含んでもよい。第1のコネクタは、第1構成要素が第2構成要素と係合するときに第1のコネクタが第2のコネクタと回転可能に連結されるよう、第2のコネクタと嵌合するように構成されてもよい。
【選択図】
図1F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器用ヒンジシステムであって、
第1構成要素を備え、前記第1構成要素は、
第1筐体と、
前記第1筐体内を延在する第1基板とを含み、前記第1基板は、導電性要素と、前記導電性要素に電気的に接続された1つ以上の超小型電子機器とを有し、前記第1構成要素は、さらに、
前記第1筐体の端部に設けられた第1のコネクタを含み、前記第1のコネクタは、第1方向に前記第1のコネクタを貫通する縦開口部と、前記第1方向に互いに間隔を空けた、前記第1方向と交差する第2方向に前記第1のコネクタの中まで延びる複数の第1開口部とを有し、前記第1構成要素は、さらに、
前記第1のコネクタに設けられた、前記第1方向に互いに間隔を空けた導電性を有する複数の湾曲要素を含み、各湾曲要素は、少なくとも一部が前記縦開口部の周囲を延在する内面と、前記内面の反対側に外面とを有し、各湾曲要素の前記外面の湾曲部分は、前記複数の第1開口部の各々において露出しており、各湾曲要素は、少なくとも前記第1構成要素の前記導電性要素の各々と電気的に接続され、前記電子機器用ヒンジシステムは、さらに、
第2筐体と、前記第2筐体の端部に設けられた第2のコネクタとを含む第2構成要素を備え、
前記第1のコネクタは、前記第1構成要素が前記第2構成要素と係合するときに前記第1のコネクタが前記第2のコネクタと回転可能に連結されるよう、前記第2のコネクタと嵌合するように構成される、電子機器用ヒンジシステム。
【請求項2】
前記第2のコネクタは、各々が前記第2のコネクタの中まで延びる2つの凹部を含み、前記2つの凹部は、前記第1方向に互いに間隔を空けており、前記電子機器用ヒンジシステムは、前記第1方向に前記縦開口部を貫通して前記凹部の各々の中まで延びるピンをさらに備え、前記ピンは、前記第1構成要素を前記第2構成要素と回転可能に連結させる、請求項1に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項3】
前記第2構成要素は、前記第2筐体内を延在する第2基板を含み、前記第2基板は、導電性要素と、前記導電性要素に電気的に接続された1つ以上の超小型電子機器とを有し、
前記第2のコネクタは、前記第1方向に互いに間隔を空けた、前記第1方向と交差する第3方向に前記第2のコネクタの中まで延びる複数の第2開口部を有し、かつ、前記第1方向に互いに間隔を空けた導電性を有する複数の接触部を内部に有し、前記複数の接触部のうちの少なくともいくつかの接触部の一部は、前記複数の第2開口部の各々において露出しており、各接触部は、少なくとも前記第2構成要素の前記導電性要素の各々と電気的に接続され、
前記複数の湾曲要素は、前記第1構成要素が前記第2構成要素と係合するときに前記複数の湾曲要素が前記複数の接触部と電気的に接続されるよう、前記複数の接触部と嵌合するように構成される、請求項1または2に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項4】
前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタは、前記第1構成要素が前記第2構成要素と係合するときに互いに嵌合する連動部品を有し、前記連動部品は、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが互いを基準にして回転することを防ぐように構成される、請求項3に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項5】
前記連動部品は、前記第1のコネクタから延び、かつ、前記第2のコネクタの中まで延びる凹部と係合するように構成されたタブを含み、前記タブおよび凹部の断面は、各々、矩形であり、前記電子機器用ヒンジシステムは、前記第1構成要素が前記第2構成要素に
係合するときに前記湾曲要素と前記複数の接触部との界面の周りを密閉して水を通さないように構成されるガスケットをさらに備える、請求項4に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項6】
前記複数の接触部のうちの少なくともいくつかの接触部は、前記第2筐体によって支持される中央部分と、前記中央部分を基準にして片持ちの自由端とを有し、各自由端は、前記第1構成要素が前記第2構成要素と係合するときに前記複数の湾曲要素の各々と接触すると、曲がって前記複数の第2開口部の各々の中に入るように構成される、請求項3~5のいずれか1項に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項7】
前記第2構成要素は、導電性要素と、前記導電性要素に電気的に接続された1つ以上の電子機器とを有する、前記第2筐体内を延在する第3基板を含み、
前記複数の接触部のうちの少なくともいくつかの接触部は、前記第2基板の前記導電性要素と前記第3基板の前記導電性要素とを電気接続する、請求項3~6のいずれか1項に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項8】
前記複数の接触部の少なくとも1つは、前記第1構成要素が前記第2構成要素と係合するときに前記複数の湾曲要素とは間隔を空けるように構成される、請求項7に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項9】
前記複数の接触部の少なくとも1つは、前記第2基板と電気的に接続され、前記第3基板から電気的に絶縁される、請求項7に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項10】
前記第1構成要素は、電子腕時計ベルトであり、前記第2構成要素は、アナログ腕時計である、先行する請求項のいずれか1項に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項11】
前記第1構成要素は、電子腕時計ベルトであり、前記第2構成要素は、電子腕時計または活動モジュールである、請求項1~9のいずれか1項に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項12】
第1構成要素および第2構成要素は、コンピュータキーボードと、ディスプレイ画面とを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項13】
電子腕時計システムであって、
電子腕時計ベルトを備え、前記電子腕時計ベルトは、
第1の可撓性基板が内部に延在する第1の可撓性筐体を含み、前記第1基板は、導電性要素と、前記導電性要素に電気的に接続された1つ以上の超小型電子機器とを有し、前記電子腕時計ベルトは、さらに、
前記第1筐体の端部に設けられた第1のコネクタを含み、前記第1のコネクタは、互いに間隔を空けた導電性を有する複数の湾曲要素を内部に有し、各湾曲要素は、少なくとも前記第1基板の前記導電性要素の各々と電気的に接続され、前記電子腕時計システムは、さらに、
前記電子腕時計ベルトと回転可能に連結された差し込み口を備え、前記差し込み口は、
円形の棚部と、
周方向に互いに間隔を空けた導電性を有する複数の接触部を内部に有する、前記円形の棚部内に設けられた中間コネクタとを含み、各接触部は、前記円形の棚部の底面において露出する第1端部と、前記底面とは反対側の前記円形の棚部の上面において露出する第2端部とを有し、前記複数の接触部の前記第1端部は、前記複数の湾曲要素と係合し、かつ電気的に接続され、前記電子腕時計システムは、さらに、
電子腕時計を備え、前記電子腕時計は、
第2基板が内部を延在する第2筐体を含み、前記第2基板は、導電性要素と、前記導電性要素に電気的に接続された1つ以上の超小型電子機器とを有し、前記電子腕時計は、さらに、
前記周方向に互いに間隔を空けた導電性を有する複数のピンを内部に有する、前記第2筐体の表面に設けられた第2のコネクタを含み、各ピンは、前記第2筐体の底面において露出した自由端を有し、各ピンは、少なくとも前記第2基板の前記導電性要素の各々と電気的に接続され、
前記複数のピンは、前記電子腕時計が前記差し込み口と係合するときに前記ピンの自由端が前記複数の接触部の前記第2端部と係合し、かつ電気的に接続されるよう、前記複数の接触部と嵌合するように構成される、電子腕時計システム。
【請求項14】
前記電子腕時計は、回転させられて前記差し込み口と係合するように構成され、前記電子腕時計と前記差し込み口とは、前記ピンが前記周方向に前記複数の接触部と間隔を空けている第1の係合位置と、前記ピンが前記周方向に前記複数の接触部と一列に並ぶ第2の係合位置とを有する、請求項13に記載の電子腕時計システム。
【請求項15】
前記複数の接触部の各々は、前記中間コネクタによって支持される中央部分を有し、前記複数の接触部の各々の前記第2端部は、凹形状を有し、かつ前記中央部分を基準にして片持ちであり、前記ピンの各々は、方位角上に長い形状を有し、かつ前記第2筐体の前記底面から突出しており、前記複数の接触部の各々の前記第2端部は、前記電子腕時計と前記差し込み口とが前記第2の係合位置になったときに前記ピンの各々と接触すると、曲がって前記中間コネクタの中に入るように構成される、請求項14に記載の電子腕時計システム。
【請求項16】
前記電子腕時計および前記差し込み口が前記第1の係合位置と前記第2の係合位置との間で移動する間、前記第2の係合位置になる前に前記ピンと前記複数の接触部との電気接続が1箇所だけ存在するように、前記ピンは互いに不規則に間隔を空けており、前記複数の接触部は互いに不規則に間隔を空けている、請求項14または請求項15に記載の電子腕時計システム。
【請求項17】
電子腕時計ベルトであって、
可撓性筐体と、
前記可撓性筐体内を延在する可撓性基板とを備え、前記可撓性基板は、導電性要素と、前記導電性要素に電気的に接続された1つ以上の超小型電子機器とを有し、前記電子腕時計ベルトは、さらに、
前記可撓性筐体の端部に設けられたコネクタを含み、前記コネクタは、第1方向に前記コネクタを貫通する縦開口部と、前記第1方向に互いに間隔を空けた、前記第1方向と交差する第2方向に前記コネクタの中まで延びる複数の横開口部とを有し、前記電子腕時計ベルトは、さらに、
前記コネクタに設けられた、前記第1方向に互いに間隔を空けた導電性を有する複数の湾曲要素を含み、各湾曲要素は、少なくとも一部が前記縦開口部の周囲を延在する内面と、前記内面とは反対側の外面とを有し、各湾曲要素の前記外面の湾曲部分は、前記複数の開口部の各々において露出しており、各湾曲要素は、少なくとも前記導電性要素の各々と電気的に接続される、電子腕時計ベルト。
【請求項18】
前記縦開口部を貫通して前記第1方向に延びるピンをさらに備え、前記ピンは、前記電子腕時計ベルトの前記コネクタを対応する腕時計のコネクタと回転可能に連結させるように構成される、請求項17に記載の電子腕時計用ベルト。
【請求項19】
少なくとも一部が前記縦開口部の周囲を延在し、かつ前記縦開口部と前記湾曲要素の前
記内面との間に延びるスペーサーをさらに備え、前記スペーサーは、前記湾曲要素を互いにおよび前記縦開口部から電気的に絶縁するように構成される、請求項17または18に記載の電子腕時計用ベルト。
【請求項20】
前記コネクタは、前記可撓性筐体の第1端部に設けられた第1のコネクタであり、前記湾曲要素は、第1の複数の湾曲要素であり、前記電子腕時計ベルトは、前記第1端部とは反対側の前記可撓性筐体の第2端部において設けられた第2のコネクタと、前記第2のコネクタ内に設けられた第2の複数の湾曲要素とをさらに備え、前記第2の複数の湾曲要素の各々は、前記導電性要素の各々と電気的に接続される、請求項17~19のいずれか1項に記載の電子腕時計用ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年9月25日に出願された米国特許出願第16/140,679号の継続出願であり、その開示内容を、引用により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
従来の電子腕時計および活動モジュールは、腕時計ベルトとの間で信号を転送しない。しかしながら、電子腕時計業界は、バイオセンシング技術の発展に向けて進んでおり、腕時計ベルトに追加のセンサー、バッテリ、および/またはカメラを搭載することが今後必要になるであろう。これにより、腕時計ベルトと電子腕時計または活動モジュールとの間を電気的接続する必要があるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
簡単な概要
本開示は、第1構成要素(たとえば、腕時計ベルト)と第2構成要素(たとえば、電子腕時計)とを回転可能に連結させることによって、追加の電力を使うことなく第1構成要素と第2構成要素との間で信号を確実に転送することができる電子腕時計システムおよび電子機器用ヒンジシステムを可能にする。
【0004】
本開示の一態様は、第1構成要素と第2構成要素とを備える電子機器用ヒンジシステムを提供する。第1構成要素は、第1筐体と、第1筐体内を延在する第1基板と、第1筐体の端部に設けられた第1のコネクタと、第1のコネクタ内に設けられた複数の湾曲要素とを含んでもよい。第1基板は、導電性要素と、当該導電性要素に電気的に接続された1つ以上の超小型電子機器とを有してもよい。第1のコネクタは、第1方向に第1のコネクタを貫通する縦開口部を有してもよい。第1のコネクタは、第1方向に互いに間隔を空けた、第1方向と交差する第2方向に第1のコネクタの中まで延びる複数の第1開口部を有してもよい。湾曲要素は、導電性を有し、第1方向に互いに間隔を空けてもよい。各湾曲要素は、少なくとも一部が縦開口部の周囲を延在する内面と、内面の反対側に外面とを有してもよい。各湾曲要素の外面の湾曲部分は、複数の第1開口部の各々において露出してもよい。各湾曲要素は、少なくとも第1構成要素の導電性要素と電気的に接続されてもよい。第2構成要素は、第2筐体と、第2筐体の端部に設けられた第2のコネクタとを含んでもよい。第1のコネクタは、第1構成要素が第2構成要素と係合するときに第1のコネクタが第2のコネクタと回転可能に連結されるよう、第2のコネクタと嵌合するように構成されてもよい。
【0005】
本開示の別の態様は、電子腕時計ベルトと、当該電子腕時計ベルトと回転可能に連結された差し込み口と、電子腕時計とを備える電子腕時計システムを提供する。電子腕時計ベルトは、第1の可撓性基板が内部に延在する第1の可撓性筐体と、第1筐体の端部に設けられ、複数の湾曲要素を内部に設ける第1のコネクタとを含んでもよい。第1基板は、導電性要素と、当該導電性要素に電気的に接続された1つ以上の超小型電子機器とを有してもよい。湾曲要素は、導電性を有し、互いに間隔を空けてもよい。各湾曲要素は、少なくとも第1基板の導電性要素の各々と電気的に接続されてもよい。差し込み口は、円形の棚部と、複数の接触部を内部に有する、円形の棚部の内部に設けられた中間コネクタとを含んでもよい。接触部は、導電性を有し、周方向に互いに間隔を空けてもよい。各接触部は、円形の棚部の底面において露出する第1端部と、底面の反対側の円形の棚部の上面にお
いて露出する第2端部とを有してもよい。接触部の第1端部は、複数の湾曲要素と係合し、かつ電気的に接続されてもよい。
【0006】
電子腕時計は、第2基板が内部に延在する第2筐体と、複数のピンを内部に有する、第2筐体の表面に設けられた第2のコネクタとを備えてもよい。第2基板は、導電性要素と、当該導電性要素に電気的に接続された1つ以上の超小型電子機器とを有してもよい。ピンは、導電性を有し、周方向に互いに間隔を空けてもよい。各ピンは、第2筐体の底面において露出した自由端を有してもよい。各ピンは、少なくとも第2基板の導電性要素の各々と電気的に接続されてもよい。複数のピンは、電子腕時計が差し込み口と係合するときにピンの自由端が接触部の第2の端部と係合し、かつ電気的に接続されるよう、複数の接触部と嵌合するように構成されてもよい。
【0007】
本開示のさらに別の態様は、可撓性筐体と、当該可撓性筐体内を延在する可撓性基板と、当該可撓性筐体の端部に設けられたコネクタと、コネクタ内に設けられた複数の湾曲要素とを備える電子腕時計ベルトを提供する。可撓性基板は、導電性要素と、当該導電性要素に電気的に接続された1つ以上の超小型電子機器とを有してもよい。コネクタは、第1方向にコネクタを貫通する縦開口部を有してもよい。コネクタは、第1方向に互いに間隔を空けた、第1方向と交差する第2方向にコネクタの中まで延びる複数の横開口部を有してもよい。湾曲要素は、導電性を有し、第1方向に互いに間隔を空けてもよい。各湾曲要素は、少なくとも一部が縦開口部の周囲を延在する内面と、内面とは反対側の外面とを有してもよい。各湾曲要素の外面の湾曲部分は、複数の開口部の各々において露出してもよい。各湾曲要素は、少なくとも導電性要素の各々と電気的に接続されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本開示の態様に係る、電子腕時計システムの斜視図である。
【
図1C】
図1Aの腕時計ベルトのコネクタの一部透明な拡大斜視図である。
【
図1E】
図1Aの腕時計ベルトと電子腕時計との連結の一部透明な拡大斜視図である。
【
図1F】第1の位置で示された、
図1Aの腕時計ベルトと電子腕時計との連結の横断面図である。
【
図1G】第2の位置で示された、
図1Aの腕時計ベルトと電子腕時計との連結の別の横断面図である。
【
図2A】本開示の態様に係る、
図1Fのリングの変形例の横断面図である。
【
図2B】本開示の態様に係る、
図1Fのコネクタの変形例の横断面図である。
【
図2C】本開示の態様に係る、
図1Fの接触部の変形例の横断面図を示す。
【
図2D】本開示の態様に係る、
図1Fの接触部の変形例の横断面図を示す。
【
図2E】本開示の態様に係る、
図1Fの接触部の変形例の横断面図を示す。
【
図3A】本開示の態様に係る、
図1Bの腕時計ベルトのコネクタの変形例の拡大斜視図である。
【
図3B】本開示の態様に係る、
図1Dの電子腕時計のコネクタの変形例の拡大斜視図である。
【
図3C】
図3Aの腕時計ベルトのコネクタおよび
図3Bの電子腕時計のコネクタの拡大斜視図である。
【
図4A】本開示の態様に係る、電子腕時計システムの斜視図である。
【
図4B】
図4Aの腕時計ベルトと、差し込み口と、電子腕時計との連結の一部透明な拡大斜視図である。
【
図4C】電子腕時計を差し込み口から間隔を空けた状態で、
図4Aの腕時計ベルトと、差し込み口と、電子腕時計とを示した一部透明な拡大斜視図である。
【
図4G】
図4Aの腕時計ベルトと、差し込み口と、電子腕時計との連結の横断面図である。
【
図4H】
図4Aの電子腕時計の接触部と差し込み口の接触部との連結の線図であり、1対の接触部のみが互いに回転可能に位置合わせされている。
【
図5】本開示の態様に係る、活動モジュールシステムの斜視図である。
【
図6】本開示の態様に係る、アナログ腕時計システムの斜視図である。
【
図7】本開示の態様に係る、ラップトップヒンジシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
概要
この技術は、一般に、腕時計とベルトとの間、キーボードと画面との間、またはその他のデバイスの可動構成要素間で信号を確実に転送するように構成される電子機器用ヒンジシステムまたは機構に関する。特に、この機構は、第1構成要素と第2構成要素との間を回転可能に電気的に接続させる。機構は、第2構成要素に含まれる複数の導電性接触部と嵌合する複数の湾曲要素(たとえば、湾曲要素はリングである、または、湾曲要素は、湾曲部分と任意の形状の部分とを有する要素である)を第1構成要素に含む。湾曲要素(たとえば、リング)と接触部との電気接続は、回転の間、維持されてもよい。なぜならば、湾曲要素(たとえば、リング)が接触部を基準にして回転するとき、湾曲要素(たとえば、リング)のそれぞれの外周面に沿って接触部の端部がスライド可能であるからである。
【0010】
いくつかの実施態様では、第1構成要素は、腕時計ベルトであってもよく、第2構成要素は、スマートウォッチなど、電子腕時計であってもよい。第1構成要素は、複数の湾曲要素を有するコネクタを含んでもよい。いくつかの実施態様では、複数の湾曲要素は、互いに間隔を空けた横並びの導電性リングを含む。リングは、従来のピンを収容するように構成された第1構成要素の1つの開口部(または縦開口部)の周囲を延在する。従来のピンは、第1構成要素(たとえば、腕時計ベルト)を第2構成要素(たとえば、スマートウォッチ)のコネクタに連結させるために使われてもよい。第2構成要素は、互いに間隔を空けた横並びの導電性接触部を有するコネクタを含んでもよい。接触部は、腕時計ベルトがスマートウォッチに連結されたときにリングと嵌合するように構成される。ユーザが通常に動いている間、腕時計ベルトがスマートウォッチを基準にして回転するとき、接触部とリングとの間の電気接続は維持されている。
【0011】
上述した腕時計ベルトおよびスマートウォッチ実施態様では、横並びの導電性接触部は、横並びのリングと1つまたは2つの基板またはプリント回路基板(PCB)との間に様々な種類の接続を含んでもよい。たとえば、接触部の端部を短くするまたは接触部の端部が第2PCBに接触する箇所に導電パッドを設けないことによって、接触部がリングのうちの1つと第1PCBのみの間を延在するようにしてもよい。別の例では、接触部は、第1PCBと第2PCBとの間を延在してもよいが、リングにまで延在しないよう、短くされてもよい。特定の実施態様では、横並びの同じ接触部を用いてもよく、上述した接触部の変形例のうちの1つ以上を組み合わせて1つのスマートウォッチ用コネクタとしてもよい。この点に関して、PCBは、いずれの通信に関しても、1つ以上の接触部をプログラムによって選択してもよい。
【0012】
腕時計ベルトは、様々な種類の腕時計に連結されてもよい。一例において、腕時計ベルトは、スマートウォッチの機能を可能にしつつ、従来のアナログ腕時計に連結されてもよい。たとえば、腕時計ベルトは、アナログ腕時計に電気的に接続されなくてもよいが、スマート機能のためのディスプレイおよびインターフェースとして機能するスマートフォンと通信可能である。別の例では、腕時計ベルトは、スマートウォッチに連結されてもよい。これにより、補助電源、カメラ、または活動に特有の機能など、様々な構成要素および/または機能を腕時計ベルトと腕時計との間で分散できるようになる。また、腕時計ベルトは、ディスプレイ画面を有さないスマートモジュールに連結されてもよい。このような実施態様では、腕時計ベルトは、スマートモジュールと機能を分けるおよび/または共有することができるが、スマートフォンは、ディスプレイおよびインターフェースとして使われてもよい。一実施態様では、上述したリングと接触部との間の回転可能な連結を1つ以上のヒンジに組み込んで、ラップトップキーボードからラップトップ画面に信号を送信できるようにしてもよい。
【0013】
別のスマートウォッチ実施態様など、いくつかの例では、リングと接触部との間の連結は、第1構成要素と第2構成要素との間の回転しない連結に含まれてもよい。このような実施態様では、第1構成要素と第2構成要素との間で電気接続をより強固にしつつ、互いに回転しないようにする連動部品が含まれてもよい。たとえば、腕時計ベルトは、スマートウォッチの凹部と係合するように構成されたタブを含むコネクタを有してもよく。タブおよび凹部の断面は、互いに回転しないように矩形である。腕時計ベルトおよびスマートウォッチは、各々、リングおよび接触部の露出部分の周囲を延在する連続リップを有してもよい。腕時計ベルトのリップは、スマートウォッチのリップに係合できる。腕時計ベルトのリップがスマートウォッチのリップと係合するときに密閉して水を通さないように、スマートウォッチのリップの内側の周囲をガスケットが延在してもよい。
【0014】
一実施態様では、たとえば差し込み式マウントなど、差し込み口(バヨネットマウント)を有する電子腕時計システムにリングと接触部との間の連結が含まれてもよい。上述したように、このような実施態様では、腕時計ベルトのコネクタは、横並びの導電性リングなど、複数の湾曲要素を含んでもよい。上述した接触部は、たとえば、横並びのリングを貫通する、ばね荷重された腕時計ベルトピンを用いて、腕時計ベルトと回転可能に連結された差し込み口(たとえば、円形の差し込み口)に収められてもよい。スマートウォッチが差し込み口に完全に係合したときにピンが回転させられて差し込み口の接触部と接触するように、横並びの導電性ピンを有する電子腕時計(たとえば、スマートウォッチ)が差し込み口に回転可能に係合してもよい。スマートウォッチが回転して差し込み口と係合する間、スマートウォッチが差し込み口に完全に係合する前にピンと接触部との電気接続が1箇所だけ存在するように、ピンと接触部とが互いに不規則に間隔を空けてもよい。
【0015】
上述した電子機器用ヒンジシステムまたは機構は、様々なメリットおよび利点を有し得る。この機構は、腕時計など、電子機器の構成要素間で通信させるために電力を必要としない。また、機構は、低コストであり、簡単に取り外し可能、接続可能であり、汚れに強く、電子機器の構成要素同士の可動範囲が広くなる。さらには、この機構によって、PCBが、それぞれ異なるコネクタ間をプログラムによって切り替えることができるようになる。記載の電子機器用ヒンジ機構は、電子腕時計システム、電子腕時計ベルト、活動モジュール、スマートウォッチ、スマートウェアラブルモジュール、アナログ腕時計、およびラップトップヒンジなど、様々なデザインの電子機器に組み込むことができる。
【0016】
システム例
図1A~
図1Fを参照して、例示的な電子腕時計システム10は、スマートウォッチなど、電子腕時計14と係合した電子腕時計ベルト12を備える。
【0017】
電子腕時計ベルト
電子腕時計ベルト12は、ユーザの手首の周りにフィットするように構成された筐体20を含む。筐体20は、エラストマーなど、可撓性を有する材料から作られてもよい。また、腕時計ベルト12は、筐体20内を延在する基板22を含む。基板22は、筐体20がユーザの手首の周りで曲げられると、ユーザの手首の周りで曲がるように構成されるよう、可撓性を有してもよい。基板22は、導電性要素と、センサー、バッテリ、またはカメラのうちの1つ以上など、導電性要素に電気的に接続された1つ以上の超小型電子機器とを有してもよい。腕時計ベルト12は、内部に1つ以上の基板22を有してもよい。基板22の各々は、1つ以上の超小型電子機器を含んでもよい。
【0018】
腕時計ベルト12は、筐体20の各端部に設けられたコネクタ24を含んでもよい。各コネクタ24は、PET(Polyethylene Terephthalate)など、硬質材料から作られて
もよい。各コネクタ24は、筐体20の端部に取り付けられてもよく、円形または半円形の断面を規定する部分を有してもよい。各コネクタ24は、コネクタを第1方向D1に貫通する縦開口部26を有してもよい。各コネクタ24の外面の丸み部分は、部分的に縦開口部26を中心に周方向C1に延びてもよい。各コネクタ24は、第1方向に互いに間隔を空けた、第1方向D1と交差する第2方向D2にコネクタの丸み部分の中まで延びる複数の横開口部28を有してもよい。
【0019】
各コネクタ24は、当該コネクタに設けられた複数の湾曲要素を含む。例示的な構成では、各湾曲要素は、リング30であり、複数の湾曲要素は、コネクタ内に設けられた複数のリング30から構成される。図に示すように、5つのリング30が存在するが、その他の例では、5つよりも多いまたは少ない数のリングが存在してもよい。リング30は、導電性を有し、第1方向D1に互いに間隔を空けていてもよい。図に示すように、リング30は、第1方向D1に等しい距離で互いに間隔を空けているが、その他の例では、隣接するリング間の距離は、1つのコネクタ24内で異なってもよい。他の例では、リング30の数、大きさ、および相対位置は、異なってもよい。リング30は、各々、金めっき金属または別の導電性材料であってもよい。
図1Fから分かるように、各リング30は、縦開口部26の周囲を延在する内面34と、内面とは反対側の外面36とを規定する内部空間(lumen)32を有してもよい。各リング30の外面36の湾曲部分33は、複数の横開
口部28の各々において露出する。
【0020】
各リング30は、基板22の導電性要素のうちの少なくとも1つと、1つ以上の導電性ワイヤ38を通して電気的に接続されてもよい。ワイヤ38は、リング30から基板22まで、コネクタ24と筐体20との間に延びる開口部29を貫通してもよい。各コネクタは、縦開口部26の周囲を延在し、かつリング30の内部空間32を貫通する1つ以上のスペーサー39を含んでもよい。また、いくつかの例では、スペーサー39は、隣接するリング30間を延在してもよい。
図1Eから分かるように、スペーサー39は、円筒形状を有してもよい。スペーサー39は、リング30を互いにおよび縦開口部26から電気的に絶縁するように構成されてもよい。
【0021】
電子腕時計
図1Dに示すように、電子腕時計14は、筐体40を含む。電子腕時計14は、筐体40内を延在する1つ以上の基板を含んでもよい。たとえば、
図1Fから分かるように、これらの基板は、筐体40内を各々が延在する上部プリント回路基板(「PCB」)41と下部PCB42とを含む2つの並列した基板であってもよい。上部PCB41および下部PCB42の一方または両方は、導電性要素と、導電性要素に電気的に接続された、マイクロプロセッサおよびメモリなど、1つ以上の超小型電子機器とを有してもよい。異なる数の基板が使われてもよく、基板の相対的な位置および大きさは、異なってもよいことを理解されたい。
【0022】
図1Dから分かるように、電子腕時計14は、筐体40の各端部に設けられたコネクタ44を含んでもよい。各コネクタ44は、たとえば、第2方向D2に筐体40から延びる1つ以上の突起45を有してもよい。図示した例では、各コネクタ44は、2つの突起45を有する。しかしながら、その他の例では、突起の数、大きさ、および位置は、異なり得る。各突起45は、第1方向D1に突起の中まで延びる凹部46を有してもよい。凹部46は、第1方向D1に互いに間隔を空けてもよい。コネクタ44は、第1方向D1に互いに間隔を空けた、第2方向D2にコネクタの中まで延びる複数の横開口部48を有してもよい。横開口部48は、筐体40の中まで直接延びてもよい。
【0023】
各コネクタ44は、当該コネクタに設けられた複数の接触部50を含む。図に示すように、5つの接触部50が存在し、リング30の数と同じであるが、その他の例では、5つよりも多いまたは少ない数の接触部が存在してもよい。接触部50は、導電性を有し、第1方向D1に互いに間隔を空けていてもよい。図に示すように、接触部50は、第1方向D1に等しい距離で互いに間隔を空けているが、その他の例では、隣接する接触部の間のこの距離は、1つのコネクタ44内で異なってもよい。他の例では、接触部50の数、大きさ、形状、および相対位置は、異なってもよい。各接触部50は、接触部の第1部分が第2部分を基準にして曲げられたときに接触部が付勢されて最初の形状に戻るよう、形状記憶特性を有する型打加工されたばね金属要素であってもよい。他の例では、接触部50は、形状記憶特性を有さなくてもよく、接触部とリング30との接触を維持する力が筐体40または別の構成要素によってもたらされてもよい。接触部50は、各々、金めっき金属または別の導電性材料であってもよい。
【0024】
各接触部50は、筐体40によって支持される中央部分52と、中央部分を基準にして片持ちの自由端54と、第1PCB41および第2PCB42に接触する第2端部56とを有してもよい。各接触部50の中央部分52は、それぞれの横開口部48内に設けられた絶縁グロメット57を貫通してもよい。各絶縁グロメット57は、接触部を互いにおよび筐体40から電気的に絶縁するように構成されてもよい。筐体40の材料が接触部50を互いに電気的に絶縁することができる例など、いくつかの例では、絶縁グロメット57を省略してもよい。接触部50の各々の自由端54は、複数の横開口部48の各々において露出する。
【0025】
絶縁パッド55は、各横開口部48内で露出した筐体40の表面上に設けられてもよい。各絶縁パッド55は、自由端が移動されて筐体と接触した状況において、接触部50の各々の自由端54を筐体40から電気的に絶縁するように構成されてもよい。各横開口部48内で露出した筐体40の表面の材料が誘電体材料である例など、いくつかの例では、追加の電気的な絶縁は必要でない場合もあるため、絶縁パッド55は、省略してもよい。
【0026】
接触部50のうちの少なくともいくつかの接触部によって、第1PCB41の導電性要素と第2PCB42の導電性要素とが電気的に接続される。
図1Fから分かるように、接触部50の各々の第2端部56は、第1PCB41の導電性要素と接触する第1箇所58と、第2PCB42の導電性要素と接触する第2箇所59とを有してもよい。
【0027】
電子腕時計ベルトと電子腕時計との回転可能な連結
図1Aから分かるように、電子腕時計ベルト12は、電子腕時計14と係合してもよい。この係合を実現するために、各コネクタ24は、腕時計ベルト12が電子腕時計14と係合したときに腕時計ベルトの各コネクタが対応する電子腕時計のコネクタと回転可能に連結するよう、対応するコネクタ44と嵌合するように構成される。
【0028】
各コネクタ24と対応するコネクタ44との回転可能な連結は、
図3Cに示すピン60
など、円筒形のピンによってもたらされてもよい。円筒形のピンは、第1方向D1にコネクタ44の突起45の各々の凹部46の中まで延びており、対応するコネクタ24の縦開口部26を完全に貫通してもよい。各コネクタ24は、筐体40を基準にして円筒形のピンを中心に回転してもよい。円筒形のピンが各コネクタ24を対応するコネクタ44と回転可能に結合させると、電子腕時計ベルト12が電子腕時計14と係合するときにリングが接触部と電気的に接続されるように、各リング30は1つの接触部50の対応する自由端54に接触することになる。このために、隣接するリング間の間隔が等しくても異なっても、隣接するリング30間の間隔は、隣接する接触部50間の間隔と一致しなければならない。
【0029】
リング30と接触部50との物理的および電気的接触は、接触部の形状記憶の付勢によって維持されてもよい。電子腕時計ベルト12が電子腕時計14と係合するときに接触部の自由端がコネクタ24の横開口部28の中まで延びており、接触部の自由端とリング30との間に干渉が生じるよう、接触部50の各々の自由端54は、それぞれの横開口部48を完全に貫通し、筐体40の表面からわずかに突き出ている。
【0030】
接触部50の各々の自由端54は、電子腕時計ベルト12が電子腕時計14と係合するときに各々のリング30と接触すると、筐体40に向かって曲がるように構成される。各リング30が接触部50の自由端54と接触するときに、片持ちの自由端は、筐体40によって支持された中央部分52を基準にして移動する。各自由端54は、中央部分を基準にして曲げられると付勢されて最初の形状に戻るため、接触部50の形状記憶によって、接触部とリングとの接触を維持する、対応するリング30に対抗する力がもたらされる。接触部50およびその自由端54は、例示の形状を有するように図示されているが、その他の形状も可能であることを理解されたい。たとえば、自由端54は、直線状であってもよく、角度を有する形状であってもよく、湾曲状であってもよく、環状であってもよい。
【0031】
リング30と接触部50とのこの物理的および電気的接触は、各コネクタ24が対応するコネクタ44を基準にして回転すると維持される。なぜならば、コネクタが互いを基準にして回転すると自由端54が対応するリング30の外面36に沿ってスライド可能であるからである。たとえば、電子腕時計ベルト12が電子腕時計14を基準にして
図1Fに示す第1の位置から
図1Gに示す第2の位置に移動すると、リング30と接触部50との物理的および電気的接触が維持される。
図1Fの第1の位置では、基板22は、リング30から下向きに延在しており、接触部50の自由端54は、対応する横開口部28の下端近くに位置する。
図1Gの第2の位置では、基板22は、リング30から水平に延在し、接触部50の自由端は、対応する横開口部28の上端近くに位置する。第1の位置と第2の位置との間では、接触部50の自由端54は、対応する横開口部28内でリング30の外面36に沿って上方向にスライドする。
【0032】
腕時計ベルトのリングの変形例
図2Aは、本開示の態様に係る、電子腕時計ベルト12のリング30の変形例を示す図である。複数の湾曲要素は、本開示の全体において、リング形状の断面を有すると示した複数のリング30から構成されると上述したが、そうである必要はない。
図2Aの例では、電子腕時計ベルト12aは、リング30の代わりに、湾曲要素31を有する湾曲要素を有する。湾曲要素31は、各々、金めっき金属または別の導電性材料であってもよい。湾曲要素31は、各々、その外面36aに、腕時計ベルトの複数の横開口部28の各々において露出する湾曲部分33を有する。湾曲要素31は、各々、矩形部分など、任意の形状の非露出部分35を有してもよい。1つのコネクタにおける湾曲要素31の各々は、同じ断面形状または異なる断面形状を有してもよく、電子腕時計ベルト12aの1つのコネクタに含まれる湾曲要素の形状の組合せは、電子腕時計ベルトの別のコネクタとは異なってもよい。
【0033】
図3Cのピン60などのピンが縦開口部を貫通して電子腕時計ベルト12aのコネクタ24aを電子腕時計14aのコネクタ44aと回転可能に結合させるよう、湾曲要素31の断面形状に関わらず、湾曲要素は、少なくとも一部が縦開口部26の周囲を延在してもよい。湾曲要素31などのリングの断面形状の変形例を、本明細書に記載のリング例に適用してもよい。
【0034】
コネクタの変形例
図2Bは、本開示の態様に係る、
図1A~
図1Gのコネクタ24および44の変形例を示す図である。この例は、
図1A~
図1Gに示す例と同様であるが、リングまたは湾曲コネクタが腕時計内に位置する一方、ばねコネクタがベルト内に位置するという点で異なる。この例では、電子腕時計ベルト12bは、
図1A~
図1Gの電子腕時計14のコネクタ44と同様のコネクタ44bを有し、電子腕時計14bは、
図1A~
図1Gの電子腕時計ベルト12のコネクタ24と同様のコネクタ24bを有する。ベルトに含まれるコネクタ44bは、第1方向D1に間隔を空ける突起45bを有し、腕時計に含まれるコネクタ24bは、当該コネクタの丸み部分において複数の横開口部28から露出する、第1方向に互いに間隔を空けるリング30bを含む。コネクタ24bは、それぞれ1つの横開口部28において露出する丸み部分33を有するリング30bを有する。リング30bは、1つ以上の導電性ワイヤ38bを介して電子腕時計14bの1つ以上のPCBと電気的に接続されてもよい。
【0035】
コネクタ44bは、中央部分52を基準にして片持ちの自由端54と、腕時計ベルト12bの基板と電気的に接続され得る第2端部56とを有する接触部51を有する。接触部51は、腕時計ベルト12b内の1つ以上の基板と電気的に接続されてもよく、
図1A~
図1Gの接触部50の形状、
図2C~
図2Fで後述する接触部50a、50b、もしくは50cの形状、または、環状、湾曲状などの任意の様々なその他の形状など、様々な断面形状を有してもよい。あくまでも一例として、接触部の自由端54は、角度を付けられてもよく、湾曲していてもよく、輪にされていてもよく、直線であってもよく、横開口部28を貫通してリング30bと係合するようになされるその他の形状をとってもよい。1つのコネクタ44bに含まれる接触部51の各々は、同じ断面形状または異なる断面形状を有してもよく、電子腕時計ベルト12bの1つのコネクタに含まれる接触部の形状の組合せは、電子腕時計ベルトの別のコネクタとは異なってもよい。
【0036】
電子腕時計ベルトまたは電子腕時計内に位置するリングまたは接触部の変形例を、本明細書に記載の例に適用してもよい。いくつかの例では、1つの電子腕時計ベルトは、一端にコネクタ24を有し、他端にコネクタ44bを有してもよく、1つの対応する電子腕時計は、一端にコネクタ44を有し、他端にコネクタ24bを有してもよい。
【0037】
電子腕時計の接触部の変形例
図2C~
図2Eは、本開示の態様に係る、電子腕時計14の接触部50の変形例を示す図である。
図2Cは、
図1Fの接触部50と同様の形状の接触部50aを示すが、第1PCB41と電気的に接続されているのみであって、第2PCB42とは電気的に接続されていない。接触部50aは、第1PCB41の導電性パッド62と接触するが、接触部が第2PCB42と接触する箇所では、第2PCBの誘電体基板部分など、第2PCBは、電気的に絶縁特徴を有する部品を有する。そのため、接触部50aは、第2PCB42に物理的に接触するが、第2PCBの導電性要素とは電気的に絶縁される。
【0038】
図2Dは、接触部50と同様の形状であるが、接触部50よりも短い第2端部56bを有する接触部50bを示す。接触部50bの第2端部56bは、第1PCB41と物理的および電気的に接触する程度に長いが、第2PCB42に接触するほど長くはない。その
ため、電子腕時計ベルト12が電子腕時計14と係合し、リング30が対応する接触部と係合するとき、接触部50bは、対応するリングと第1PCB41とを電気的に接続するのみである。
【0039】
図2Eは、接触部50と同様の形状であるが、接触部50よりも短い自由端54cを有する接触部50cを示す。接触部50cの第2端部56cは、第1PCB41を第2PCB42と物理的および電気的に接触させる程度に長いが、当該接触部は、対応するリング30に接触するほど長くはない。そのため、電子腕時計ベルト12が電子腕時計14と係合するとき、接触部50cは、第1PCB41と第2PCB42とを電気的に接続するが、当該接触部は対応するリング30とは間隔を空けているので、対応するリングと第1PCBまたは第2PCBとを電気的に接続しない。
【0040】
図2Fは、1つのコネクタ44dと組み合わされた状態の接触部50、50b、および50cの例を示す。電子腕時計ベルトのコネクタ24が電子腕時計のコネクタ44dと係合するとき、接触部50は、対応するリング30と(
図2Fにおいて透明の)第1PCB41および第2PCB42の両方とを電気的に接触させる程度に長い。接触部50bは、第2PCB42に届かないので、対応するリング30と第1PCB41とを電気的に接続するのみである。接触部50cは、対応するリング30に届かないので、第1PCB41と第2PCB42とを電気的に接続するのみである。
【0041】
非回転式コネクタの変形例
図3A~
図3Dは、本開示の態様に係る、
図1A~
図1Fの電子腕時計システム10の変形例である例示的な電子腕時計システム110を示す図である。電子腕時計システム110は、電子腕時計システム10と同じであってもよいが、下記の特徴が異なる。
図3Dから分かるように、電子腕時計システム110は、電子腕時計114と係合される電子腕時計ベルト112を備える。
【0042】
腕時計ベルト112は、筐体120の各端部に設けられたコネクタ124を含み、電子腕時計114は、筐体140の各端部に設けられたコネクタ144を含む。コネクタ124およびコネクタ144は、上述したコネクタ24および44と同じであるが、腕時計ベルト112が電子腕時計114と係合するときに互いに嵌合するように構成された連動部品をさらに含む。連動部品は、コネクタが互いを基準にして回転することを防ぐように構成される。
【0043】
連動部品は、コネクタ124の側面166から第1方向D1に延びる2つのタブ164と、第1方向D1および第2方向D2にコネクタ144のそれぞれの突起145の中まで延びる2つの凹部168とを含む。タブ164および凹部168の各々の断面は、矩形であり、タブ164が凹部168と係合するように構成されるよう、第1方向D1および第2方向D2の各々に垂直な第3方向D3のタブの高さは、第3方向の凹部の高さとほぼ等しいまたはそれよりもわずかに低い。タブ164および凹部168の矩形断面は、タブが凹部に係合するときにコネクタ124および144を互いに回転可能に固定するように構成される。
【0044】
また、連動部品は、コネクタ124から第2方向D2に延びて複数の横開口部128の周囲を延在するリップ170を含む。リップ172は、コネクタ144から第2方向に延びて複数の横開口部148の周囲を延在する。ガスケット174は、リップ172の内面の周囲を延在する。腕時計ベルト112が電子腕時計114と係合するときにリップ170がリップ172の中に挿入されて、ガスケットがリップ170と172との間を密閉して水を通さないように構成されるよう、リップ170の外面の輪郭は、ガスケット174の内面の輪郭とほぼ等しい。
図3Dから分かるように、これにより、ガスケット174は
、腕時計ベルト112が電子腕時計114と係合するときにリング130と接触部150との界面の周りを密閉して水を通さないように構成される。
【0045】
上述した連動部品は、
図3A~
図3Dに示す特定の例とは異なってもよい。たとえば、タブは、コネクタ144の突起145上に設けられてもよく、補完凹部がコネクタ124の中まで延びるように設けられてもよい。また、ガスケット174は、リップ170の外面の周囲を延在するように設けられてもよい。別の変形例では、リップ172の外面の輪郭がガスケット174の内面の輪郭とほぼ等しく、腕時計ベルト112が電子腕時計114と係合されたときにリップ172がリップ170の中に挿入されるよう、リップ170と172の輪郭は逆であってもよく、ガスケット174は、リップ170の内面の周囲を延在するように設けられてもよい。
【0046】
差し込み口マウントの変形例
図4A~
図4Hは、本開示の態様に係る、
図1A~
図1Fの電子腕時計システム10の変形例である例示的な電子腕時計システム210を示す。
図4Aおよび
図4Cから分かるように、電子腕時計システム210は、腕時計ベルトを電子腕時計と連結させるように構成される差し込み口216を通して電子腕時計214と係合される電子腕時計ベルト212を備える。差し込み口またはバヨネットマウントは、たとえば、差し込み式マウントまたはその他の種類のマウントを含んでもよい。
【0047】
腕時計ベルト
電子腕時計ベルト212は、上述した筐体20および基板22と同様の筐体220および基板222を含む。腕時計ベルト212は、上述したコネクタ24と同様のコネクタ224を筐体220の各端部に設けているが、
図4Gから分かるように、突起245を基準にして中心からずれた位置にある接触部250を収容するために、横開口部228が、横開口部28と比較すると、コネクタ224の丸み部分に沿った中心からずれた周方向位置に位置している点が異なる。各コネクタ224は、当該コネクタに設けられた、上述したリング30と同様の複数のリング230(
図4G)を含む。各リング230の外面236の湾曲部分233は、複数の横開口部228の各々において露出する。
【0048】
差し込み口
図3Cのピン60などのピンによって、差し込み口216は、電子腕時計214と腕時計ベルト212との連結に関して上述した方法と同様の方法で腕時計ベルト212に回転可能に連結されてもよい。
図4Cから分かるように、差し込み口216は、円形の棚部240の形をした筐体を含む。円形の棚部240は、底面241と、底面の反対側に上面242とを有してもよい。
【0049】
差し込み口216は、円形の棚部240内に設けられた中間コネクタ244を円形の棚部の両側に含んでもよい。各中間コネクタ244は、たとえば、筐体である円形の棚部240から第2方向D2に延びる1つ以上の突起245を有してもよい。図に示す例では、各中間コネクタ244は、2つの突起245を有する。しかしながら、その他の例では、突起の数、大きさ、および位置は、異なり得る。各突起245は、第1方向D1に突起の中まで延びる凹部246を有してもよい。凹部246は、第1方向D1に互いに間隔を空けてもよい。中間コネクタ244は、第1方向D1に互いに間隔を空けた、第2方向D2に中間コネクタの中まで延びる複数の横開口部248(
図4Dおよび
図4E)を有してもよい。横開口部48は、円形の棚部240の中まで直接延びてもよい。
【0050】
各中間コネクタ244は、当該中間コネクタに設けられた複数の接触部250を含む。図に示すように、5つの接触部250が存在し、リング230の数と同じであるが、その他の例では、5つよりも多いまたは少ない数のリングが存在してもよい。接触部250は
、導電性を有してもよく、たとえば、金めっき金属また別の導電性材料である。各接触部250は、中間コネクタ244によって支持された中央部分252と、円形の棚部の底面241において露出する第1端部254と、円形の棚部の上面242において露出する第2端部256とを有してもよい。各接触部250の第1端部254は、中央部分252を基準にして片持ちであってもよく、各接触部の第2端部256は、凹形状を有し、かつ、中央部分を基準にして片持ちであってもよい。各接触部250は、接触部の第1端部254または第2端部256が接触部の中央部分252を基準にして曲げられたときに接触部が付勢されて最初の形状に戻るよう、形状記憶特性を有する型打加工されたばね金属要素であってもよい。他の例では、接触部250は、形状記憶を有さなくてもよく、接触部とリング230および/またはピン290との接触を維持する力が円形の棚部240または別の構成要素によってもたらされてもよい。他の例では、接触部250の数、大きさ、形状、および相対位置は、異なってもよい。
【0051】
接触部250の各々の第1端部254は、円形の棚部240の底面241にある複数の横開口部248の各々において露出しており、接触部の各々の第2端部256は、円形の棚部の上面242において露出している。各接触部250は、絶縁インサート257に固定され、当該絶縁インサート257を貫通してもよい。絶縁インサート257は、差し込み口216の中まで延びる対応する凹部258内に収容される。横開口部248の少なくとも一部は、絶縁インサート257によって規定されてもよい。絶縁インサート257は、接触部250を互いにおよび円形の棚部240から電気的に絶縁するように構成されてもよい。絶縁インサート257は、接触部250の各々の中央部分252を支持してもよく、接触部の各々の第1端部254および第2端部256は、絶縁インサートを基準にして片持ちであってもよい。円形の棚部240の材料が接触部250を互いに電気的に絶縁することができる例など、いくつかの例では、絶縁インサート257を省略してもよい。
【0052】
接触部250は、互いに間隔を空けてもよい。接触部250の第1端部254は、第1方向D1に互いに間隔を空けてもよい、
図4Eに示すように、接触部の第2端部256は、第2の周方向C2に互いに間隔を空けてもよいが、
図4Bに示すように。接触部250の第2端部256のうちの特定の第2端部の正確な形状および長さは、第2の周方向C2に沿って必ず間隔を空けるために、互いに異なってもよい。
【0053】
電子腕時計
電子腕時計214は、筐体280を含む。電子腕時計214は、筐体280内を延在する1つ以上の基板を含んでもよい。
図4Gから分かるように、基板は、筐体280内を延在するPCB281を含んでもよい。異なる数の基板を使用してもよく、基板の位置および大きさは、それぞれ異なってもよいことを理解されたい。
図4Cに示すように、筐体280の底面282は、円形の輪郭を有してもよく、当該輪郭は、円形の棚部240の上面242の輪郭と嵌合するように構成される。
【0054】
電子腕時計214は、筐体280の底面282の各端部に設けられたコネクタ284を含んでもよい。各コネクタ284は、当該コネクタに設けられた複数のピン290を含む。ピン290は、各々、導電性を有してもよく、たとえば、金めっき金属または別の導電性材料である。各ピン290は、第2筐体の底面において露出した自由端292を有してもよい。ピン290の自由端292の各々は、方位角上に長い形状を有し、筐体280の底面282の下に突出してもよい。図に示すように、5つのピン290が存在し、接触部250およびリング230の数と同じであるが、その他の例では、5つのよりも多いまたは少ない数のピンが存在してもよい。ピン290は、マイクロプロセッサおよびメモリなど、電子腕時計214内に設けられた1つ以上の超小型電子機器と電気的に接続されるPCB281の導電性要素と電気的に接続されてもよい。
【0055】
ピン290は、第2の周方向C2に互いに間隔を空けてもよい。
図4Fに示すように、ピン290は、第2の周方向C2に等しい距離で互いに間隔を空けているが、その他の例では、
図4Hに示す線図の例など、隣接するピン290の間の周方向距離は、1つのコネクタ284内で異なってもよい。ピン290および接触部の第2の端部が、電子腕時計214が差し込み口216に係合されたときに互いに嵌合するように構成されるため、第2の周方向C2におけるピン290の間隔は、第2の周方向における接触部250の第2端部256の間隔と同じでなければならない。
図4Gから分かるように、各ピン290は、絶縁インサート294に固定され、当該絶縁インサート294を貫通してもよい。絶縁インサート294は、筐体280の中まで延びる対応する凹部296内に収容される。絶縁インサート294は、ピン290を互いにおよび筐体280から電気的に絶縁するように構成されてもよい。
【0056】
回転可能な連結
図4Gから分かるように、電子腕時計ベルト212は、差し込み口216を通して電子腕時計214と係合してもよい。差し込み口216は、腕時計ベルトと電子腕時計との間を介在してこれらを物理的および電気的に接続する。
【0057】
ベルトと差し込み口との連結
電子腕時計ベルト212と差し込み口216との係合は、上述した電子腕時計ベルト12と電子腕時計14との係合と同様である。この係合を実現するために、各コネクタ224は、腕時計ベルト212が差し込み口216と係合されたときに腕時計ベルトの各コネクタが対応する差し込み口の中間コネクタと回転可能に連結するよう、対応する中間コネクタ244と嵌合するように構成される。各コネクタ224と対応する中間コネクタ244との回転可能な連結は、
図3Cに示すピン60など、円筒形のピンによってもたらされてもよい。
【0058】
円筒形のピンが各コネクタ224を対応する中間コネクタ244と回転可能に連結させると、電子腕時計ベルト212が差し込み口216と係合するときにリングが接触部と電気的に接続されるように、各リング230は1つの接触部250の対応する第1端部254に接触することになる。このために、隣接するリング同士の間隔が等しくても異なっていても、隣接するリング230間の間隔は、隣接する接触部250間の間隔と一致しなければならない。
【0059】
1つ以上のリング230と接触部250との物理的および電気的接触は、接触部の形状記憶の付勢によって維持されてもよい。電子腕時計ベルト212が差し込み口216と係合するときに接触部の第1端部がコネクタ224の横開口部228の中まで延びており、接触部の第1端部とリング230との間に干渉が生じるよう、1つ以上の接触部250の第1端部254は、それぞれの横開口部248を完全に貫通し、円形の棚部240の底面241からわずかに突き出ている。各リング230が接触部250の第1端部254と接触したとき、片持ちの第1端部は、円形の棚部240によって支持される中央部分252を基準にして動く。各第1端部254は、中央部分252を基準にして曲げられると付勢されて最初の形状に戻るため、接触部250の形状記憶によって、接触部とリングとの物理的および電気的な接触を維持する、対応するリング230に対抗する力がもたらされる。
【0060】
腕時計と差し込み口との連結
電子腕時計214と差し込み口216との係合は、筐体280の底面282が円形の棚部240に係合して第1の係合位置になるまで電子腕時計を差し込み口の中まで平行移動させた後、電子腕時計および差し込み口が第2の係合位置になるまで電子腕時計を差し込み口を基準にして回転させることによって実現される。第1の係合位置では、ピン290
が第2の周方向C2に接触部250と間隔を空けている。第2の係合位置では、すべてのピンが接触部の各々に対して第2の周方向に一列に並ぶ。
【0061】
電子腕時計214および差し込み口216が第2の係合位置になると、ピン290は、接触部250と物理的に係合し、かつ電気的に接続され、筐体280の底面282から延びるタブ286と円形の棚部240の底面241から延びるタブ249との係合によって、腕時計が平行移動することによって電子腕時計が差し込み口から外れることを防ぐ。このために、以下により詳細を説明するが、隣接するピン290間の間隔が等しくても異なっても、隣接するピン間の間隔は、隣接する接触部250間の間隔と一致しなければならない。
【0062】
ピン290の自由端292および接触部250の第2端部256の構造は、十分な回転力がもたらされない限り、電子腕時計が回転することによって電子腕時計214が差し込み口216から外れることを防ぐように構成される。ピン290と接触部250との物理的および電気的接触は、接触部の形状記憶の付勢ならびにピンおよび接触部の補完形状によって維持されてもよい。電子腕時計214と差し込み口216とが係合する前は、接触部250の各々の第2端部256は、円形の棚部240の上面242の少し上を延在する。電子腕時計214が差し込み口216と係合するとき、方位角上に長いピン290の各々の自由端292は、接触部250の第2端部256の凹み部分の中まで延在し、接触部の第2の端部とピンとの間に干渉が生じる。
【0063】
各ピン290が接触部250の第2端部256と接触するとき、片持ちの第2端部は、第2端部が曲がって中間コネクタ244の中に入るよう、円形の棚部240によって支持される中央部分252を基準にして動く。各第2端部256が中央部分252を基準にして曲げられると最初の形状に戻るように付勢されるため、接触部250の形状記憶によって、接触部とピンとの物理的および電気的接触を維持する、対応するピン290に対抗する力がもたらされる。ピン290と接触部250との間のこの力は、この力およびピンと接触部との間の干渉に打ち勝つのに十分な回転力がもたらされない限り、電子腕時計214の回転によって電子腕時計が差し込み口216から外れることを防ぐように構成される。
【0064】
腕時計および差し込み口の接触部およびピンの位置
第1の係合位置から第2の係合位置に向けて電子腕時計214が差し込み口216を基準にして回転させられている間、短絡が生じるのを防ぐために、第2の係合位置に到達する前のいずれの時点においても、ピン290と接触部250との間の物理的および電気的接続が1つだけ存在することが望ましい。これは、一連の特定の規則に従って、接触部250の第2端部256を互いに不規則に間隔を空けて、同じ不規則な間隔をピン290に対して第2の周方向C2に適用することによって実現することができる。このような間隔の一例を、中間位置(第1の係合位置と第2の係合位置との間)を示した
図4Hに示す。ピン290と接触部250との間の唯一の物理的および電気的接続は、第3ピン290cと第2の接触部250bとの間の物理的および電気的接続である。
【0065】
上述した所望の不規則な間隔を実現できる一連の特定の規則は、第1、第2、第3、第4、および第5の接触部250a、250b、250c、250d、250e間の関係、および隣接する接触部同士の角距離(A、B、C、およびD)によって表現することができる。AがB+Cと等しくない、BがC+Dと等しくない、かつ、DがB+Cと等しくない場合、第2の係合位置に到達するまでに、ピン290と接触部250との間の物理的および電気的接続は、いずれの時点においても、数学的にかならず1つしかない。
図4Hに示す特定の例では、A=25°、B=10°、C=20°、D=40°であるので、上記式が成立し、所望の短絡防止条件を実現することができる。
【0066】
その他の変形例
上述した例示的なシステムは、すべて、電子腕時計と電子腕時計ベルトとに関係する回転可能な連結を含むが、上述した回転可能なリングと接触部との間の電気的連結は、様々な回転可能な連結の例で実現されてもよい。
【0067】
たとえば、
図5は、例示的な電子活動モジュールシステム300を示す。電子腕時計ベルト12は、電子活動モジュール314に連結されてもよい。電子活動モジュール314は、内蔵ディスプレイ画面を有さない。電子活動モジュール314は、EKGモジュールなど、スマートメディカルモジュールであり得る。電子腕時計ベルト12は、電子活動モジュール314に、予備のバッテリ容量および/または腕時計ベルトとスマートフォンとの間のワイヤレス通信を提供できる。このような活動モジュールシステム300では、スマートフォンは、ユーザが電子活動モジュール314と通信を行うためのディスプレイおよびインターフェースとして機能することができる。
【0068】
図6は、例示的な電子アナログ腕時計システム400を示す。電子腕時計ベルト12は、アナログ腕時計414に連結されてもよい。アナログ腕時計414は、内蔵ディスプレイ画面や内蔵スマートウォッチ機能を有していない可能性がある。電子アナログ腕時計システム400によって、電子腕時計ベルト12がスマートウォッチの機能を使用可能にしつつ、スタイリッシュおよび/または価値の高いアナログ腕時計をユーザが装着できるようにしてもよい。電子腕時計ベルト12は、医療機能、スポーツ機能、支払い機能など、活動固有の機能をアナログ腕時計414に提供してもよい。電子腕時計ベルト12は、スマートフォンとワイヤレス通信を行うことができる。このような電子アナログ腕時計システム400では、スマートフォンは、電子腕時計ベルト12と通信を行ってユーザが腕時計ベルトの活動固有の機能を監視するおよび/または制御するためのディスプレイおよびインターフェースとして機能することができる。
【0069】
図7は、コンピュータキーボード520をディスプレイ画面530と回転可能に連結する電子機器用ヒンジ510において上述したリングと接触部との間の回転可能な電気連結が実現され得る例示的なラップトップシステム500を示す図である。このようなラップトップシステム500は、コンピュータキーボード520をディスプレイ画面530に選択的に取り外し可能にしつつ、回転する電子機器用ヒンジ510に電気信号を通すことができる。
【0070】
たとえば、ラップトップシステム500は、1つ以上の電子機器用ヒンジ510を有してもよい。電子機器用ヒンジ510は、各々、コンピュータキーボード520に取り付けられる対応する1つのコネクタ44(
図1D)と、ディスプレイ画面530に取り付けられる対応する1つのコネクタ24(
図1B)とを含む。ラップトップシステム500は、1対のコネクタ44と24とを連結させる、
図3Cに示すピン60などの1つ以上の要素またはその一部を引き出すおよび引っ込ませるように構成されるトグルを含んでもよい。このようなピン60またはその一部が引っ込んだとき、コンピュータキーボード520とディスプレイ画面530とは互いに離れてもよく、このようなピンまたはその一部が引き出されたとき、コンピュータキーボードとディスプレイ画面とが互いに再び連結されてもよい。
【0071】
特に明示しない限り、上記の別例は、相互排他的(mutually exclusive)ではない。しかし、様々な組合せで実装してユニークな利点を実現してもよい。上述した機能のこれらのおよびその他の変形例および組合せは、添付の特許請求の範囲によって示される発明の主題を逸脱しない範囲で利用することができるため、上記実施の形態の説明は、特許請求の範囲によって示される発明の主題を限定するものではなく、例とし
てとらえるべきである。これに加えて、本明細書に記載の例、および「such as」、「including」などの言葉で表現された節の提供は、特許請求の範囲の発明の主題を具体例に限定すると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例は、多くの可能な実施の形態のうちの1つを例示しているにすぎない。さらには、異なる図面における同一の参照番号は、同一または同様の要素を識別する。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電性要素を収容する第1の筐体と、前記第1の筐体の端部に設けられた第1のコネクタとを含む第1構成要素と、
第2の筐体と、前記第2の筐体の端部に設けられた第2のコネクタとを含む第2構成要素とを備え、
前記第1構成要素が前記第2構成要素と係合するときに前記第1のコネクタが前記第2のコネクタと回転可能に導電接続されるよう、前記第1のコネクタは、前記第2のコネクタと嵌合するように構成され、
前記第2のコネクタが第3のコネクタと係合するときに前記第2のコネクタが前記第3のコネクタと導電接続されるよう、前記第2のコネクタは、前記第3のコネクタと嵌合するようにさらに構成される、電子機器用ヒンジシステム。
【請求項2】
前記第2の筐体は、複数の第2の導電性要素を収容し、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとは、嵌合したときに、前記第1の筐体にある前記複数の導電性要素と前記第2の筐体にある前記複数の第2の導電性要素との間に電気接続を形成する、請求項1に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項3】
前記第1構成要素は、電子腕時計ベルトであり、前記第2構成要素は、電子腕時計である、請求項1または2に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項4】
前記第1のコネクタは、第1方向に前記第1のコネクタを貫通する縦開口部と、
前記第1方向に互いに間隔を空けた、前記第1方向と交差する第2方向に前記第1のコネクタの中まで延びる複数の第1開口部とを含む、請求項1~3のいずれかに記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項5】
前記第2のコネクタは、各々が前記第2のコネクタの中まで延びる2つの凹部を含み、前記2つの凹部は、前記第1方向に互いに間隔を空けており、前記電子機器用ヒンジシステムは、前記第1方向に前記縦開口部を貫通して前記凹部の各々の中まで延びるピンをさらに備え、前記ピンは、前記第1構成要素を前記第2構成要素と回転可能に連結させる、請求項4に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項6】
前記第1のコネクタは、前記第1のコネクタに設けられた、前記第1方向に互いに間隔を空けた導電性を有する複数の湾曲要素をさらに含み、各湾曲要素は、少なくとも前記第1構成要素の前記複数の導電性要素の各々と電気的に接続される、請求項4に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項7】
前記第2のコネクタは、前記第1方向に互いに間隔を空けた、前記第1方向と交差する第3方向に前記第2のコネクタの中まで延びる複数の第2開口部を含み、かつ、前記第1方向に互いに間隔を空けた導電性を有する複数の接触部を内部に有し、前記複数の接触部のうちの少なくともいくつかの接触部の一部は、前記複数の第2開口部の各々において露出しており、各接触部は、少なくとも前記第2構成要素の前記複数の第2の導電性要素の各々と電気的に接続され、
前記第1のコネクタは、複数の湾曲要素をさらに含み、前記複数の湾曲要素は、前記第1構成要素が前記第2構成要素と係合するときに前記複数の湾曲要素が前記複数の接触部と電気的に接続されるよう、前記複数の接触部と嵌合するように構成される、請求項4に記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項8】
前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタは、前記第1構成要素が前記第2構成要素と係合するときに互いに嵌合する連動部品を有し、前記連動部品は、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが互いを基準にして回転することを防ぐように構成される、請求項1~7のいずれかに記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項9】
前記第1構成要素と前記第2構成要素との界面の周りを密閉して水を通さないように構成されるガスケットをさらに備える、請求項1~8のいずれかに記載の電子機器用ヒンジシステム。
【請求項10】
電子腕時計システムであって、
回路を内部に有する腕時計ハウジングを備え、前記回路は、複数の導電性要素を含み、前記電子腕時計システムは、さらに、
前記腕時計ハウジングの表面に隣接して設けられた腕時計用コネクタを備え、前記腕時計用コネクタは、複数のピンを含み、前記複数のピンは、導電性を有し、互いに間隔を空けており、各ピンは、複数の接触部を有する腕時計ベルト用コネクタの差し込み口と回転可能に導電接続した状態で係合するように構成された露出した端部を有し、各ピンは、少なくとも前記複数の導電性要素の各々と電気的に接続され、
前記腕時計用コネクタが前記差し込み口と係合するときに前記複数のピンの複数の自由端が前記複数の接触部と係合して電気的に接続されるよう、前記複数のピンは、前記差し込み口の前記複数の接触部と嵌合するように構成され、
前記差し込み口が前記腕時計用コネクタと係合するときに前記腕時計ハウジングにある前記複数の導電性要素と前記腕時計ベルト用コネクタとの間に電気接続が形成されて前記腕時計ベルト用コネクタが前記差し込み口を基準にして回転している間維持されるよう、前記差し込み口は、前記腕時計用コネクタと回転可能に係合されるように構成される、電子腕時計システム。
【請求項11】
前記複数のピンの各々は、方位角上に長い形状を有し、かつ前記腕時計ハウジングの底面から突出する、請求項10に記載の電子腕時計システム。
【請求項12】
前記複数のピンは互いに不規則に間隔を空けている、請求項10に記載の電子腕時計システム。
【請求項13】
前記端部が前記差し込み口と係合している間、完全に係合した位置になる前に前記複数のピンと前記複数の接触部との電気接続が1箇所だけ存在する、請求項10に記載の電子腕時計システム。
【請求項14】
電子腕時計ベルトであって、
複数の導電性要素を収容する可撓性筐体と、
前記第1の筐体の端部に設けられた、内部に複数の湾曲要素を配置したコネクタとを備え、前記複数の湾曲要素は、導電性を有し、互いに間隔を空けており、各湾曲要素は、少なくとも前記可撓性筐体にある前記複数の導電性要素の各々と電気的に接続され、
前記可撓性筐体と回転可能に連結され、かつ、前記可撓性筐体および腕時計ハウジングの両方と嵌合するように構成された差し込み口をさらに備える、電子腕時計ベルト。
【請求項15】
前記差し込み口は、周方向に互いに間隔を空けた導電性を有する複数の接触部を内部に有する中間コネクタをさらに備え、各接触部は、第1端部を有し、前記複数の接触部の前記第1端部は、前記複数の湾曲要素と係合し、かつ電気的に接続される、請求項14に記載の電子腕時計ベルト。
【請求項16】
前記差し込み口は、円形の棚部をさらに備え、前記中間コネクタは、前記円形の棚部内に設けられる、請求項15に記載の電子腕時計ベルト。
【請求項17】
各接触部の第1端部は、前記円形の棚部の底面において露出し、各接触部の第2端部は、前記底面とは反対側の前記円形の棚部の上面において露出する、請求項16に記載の電子腕時計ベルト。
【外国語明細書】