(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040170
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】濃縮物容器
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20240315BHJP
A61M 1/16 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A61M1/28 100
A61M1/16 161
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024002295
(22)【出願日】2024-01-11
(62)【分割の表示】P 2019572408の分割
【原出願日】2018-06-27
(31)【優先権主張番号】102017114400.5
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ヘッドマン フランク
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト ナジャ
(57)【要約】
【課題】わずかな貯蔵要件で簡単な溶液調製を可能にする濃縮物容器を提供すること。
【解決手段】本発明は、希釈剤で、具体的には水で希釈された時に透析液を形成するように設計された濃縮物を含む濃縮物容器に関し、この濃縮物容器は、濃縮物に関する少なくとも1つの情報を含むコードを有する第1のコネクタと、透析液に関する少なくとも1つの情報を含む、第1のコードとは異なる第2のコードを有する第2のコネクタとに接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈剤で、具体的には水で希釈された後に透析液を形成するように構成された濃縮物を有する濃縮物容器において、
該濃縮物容器は、前記濃縮物に関する少なくとも1つの情報を含む第1のコードを有する第1のコネクタと連通し、
前記透析液に関する少なくとも1つの情報を含む、前記第1のコードとは異なる第2のコードを有する第2のコネクタとも連通している、
ことを特徴とする濃縮物容器。
【請求項2】
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタは、互いに分離可能である、
請求項1に記載の濃縮物容器。
【請求項3】
前記第1及び第2のコードは、それぞれバーコード又はカラーコードである、
請求項1又は2に記載の濃縮物容器。
【請求項4】
前記第1及び第2のコネクタ間に所定の破断点が配置される、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の濃縮物容器。
【請求項5】
前記第1及び第2のコネクタは、差し込み式接続又はキャップ式接続によって互いに接続される、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の濃縮物容器。
【請求項6】
前記第1のコードは、前記濃縮物容器から、前記第2のコードよりも空間的に離れて配置される、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の濃縮物容器。
【請求項7】
前記コネクタは、前記濃縮物容器に直接配置され、または、
前記コネクタは、前記濃縮物容器の内部空間と連通する中空空間を有するライン要素に配置される、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の濃縮物容器。
【請求項8】
前記1又は2以上のコネクタと前記濃縮物容器との間に延びるラインが設けられ、該ラインに、前記濃縮物容器を前記1又は2以上のコネクタから分離できる接続要素、具体的にはルアーコネクタが配置されている、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の濃縮物容器。
【請求項9】
前記濃縮物容器は、単一の容器、具体的には単一のバッグを含む、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の濃縮物容器。
【請求項10】
前記濃縮物容器は、複数の容器と、前記濃縮物を収容する濃縮物受け取り容器とを有し、前記透析液を受け取るための溶液容器を有する、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の濃縮物容器。
【請求項11】
前記濃縮物受け取り容器は硬質容器として構成され、及び/又は、前記溶液容器はバッグとして構成される、
請求項10に記載の濃縮物容器。
【請求項12】
前記濃縮物受け取り容器は、前記第1のコードを有する前記第1のコネクタと連通し、前記溶液容器は、前記第2のコードを有する前記第2のコネクタと連通する、
請求項10又は11に記載の濃縮物容器。
【請求項13】
透析治療又は腹膜透析治療を行うための透析装置、具体的には腹膜透析装置であって、前記透析装置は、請求項1から12のいずれか1項に記載の濃縮物容器の前記第1のコネクタ及び/又は前記第2のコネクタのための少なくとも1つの受け部と、前記1又は2以上のコネクタ上に存在する前記コードの前記情報を読み取るための読み取り手段とを有し、前記透析装置は、前記コードに応じて前記濃縮物容器内に希釈剤を分注し、及び/又は前記濃縮物容器から前記透析液を排出させるように構成される、
ことを特徴とする透析装置。
【請求項14】
透析液、具体的には腹膜透析液の調製方法であって、請求項1から12のいずれか1項に記載の濃縮物容器が前記第1のコネクタによって前記透析装置に、具体的には前記腹膜透析装置に接続されることにより、前記透析装置によって前記第1のコードが読み取られ、前記第1のコードに応じて前記濃縮物容器内に希釈剤が導入され、その後に前記第1のコネクタが取り外され、又は覆われ、又は前記第2のコネクタに接続され、或いは前記濃縮物容器が前記第2のコネクタによって同じ透析装置又は異なる透析装置に接続されることにより、前記透析装置によって前記第2のコードが読み取られる、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記濃縮物の前記希釈後に、前記第1のコネクタが前記第2のコネクタから取り除かれ、又は前記第2のコネクタに接続され、又は前記第2のコネクタによって覆われる、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希釈剤との、具体的には水との希釈後に透析液を形成するように設計された濃縮物を有する濃縮物容器に関する。
【背景技術】
【0002】
腹膜透析では、既製の透析液を投与することが通例である。通常、これらの透析液は、3~6リットルの量が投与される。通常の腹膜透析治療では、1日当たり3つのバッグが必要とされ、すなわち相当な物流労力と相当な貯蔵スペースとが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の基本目的は、わずかな貯蔵要件で簡単な溶液調製を可能にする濃縮物容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する濃縮物容器によって達成される。
【0005】
従って、この濃縮物容器は、濃縮物に関する少なくとも1つの情報を含む第1のコードを有する第1のコネクタと連通するとともに、透析液に関する少なくとも1つの情報を含む、第1のコードとは異なる第2のコードを有する第2のコネクタとさらに連通する。
【0006】
このような濃縮物容器は、完成した透析液で満たされた容器よりも大幅に少ない容積しか必要としない。濃縮物は、現場、すなわち自宅などのPOC(診療現場)において希釈剤で希釈して透析液を生成することができる。なお、「透析液」という用語は、投与準備が整った溶液、及び完全な透析液を取得するためにさらに希釈又は混合する必要がある溶液の両方を意味する。
【0007】
第1のコネクタは第1のコードを有し、第2のコネクタは、第1のコードとは異なる第2のコードを有する。第1のコードは、濃縮物の量、組成又はタイプ、必要な希釈剤の量などの、濃縮物に関する少なくとも1つの情報を含む。第2のコードは、透析液の体積、組成、濃度などの、透析液に関する少なくとも1つの情報を含む。
【0008】
濃縮物を希釈する際には、この目的で第1のコードを読み取ることにより、希釈を行う装置が、希釈剤の量などを分かった上で対応する量を混合できるようになる。
【0009】
希釈によって濃縮物から透析液が調製されると、第2のコードの情報を読み取ることによって、これがどの溶液であるかが分かるようになる。
【0010】
従って、透析液の調製と調製された透析液の投与とをいずれも2つのコードによって実行することができ、これらのコードは、誤った希釈、溶液バッグの取り違えなどによるエラーリスクが最小化されるように、透析液の調製及びその投与に必要な全ての必須情報を含むことが好ましい。
【0011】
第1のコネクタ及び第2のコネクタは、例えば破断可能な接続などによって互いに分離可能であることが好ましい。
【0012】
第1及び第2のコードは、それぞれバーコードであることが好ましい。これらのバーコードは、読み取り中のコネクタの配向が影響しないように外周を取り巻く(peripheral)ことが好ましい。
【0013】
第1及び第2のコネクタ間には、所定の破断点が位置することができる。この場合、最初に第1のコードを読み取り、その後に希釈剤、具体的にはRO水(RO:逆浸透)を混合することによって濃縮物から透析液を調製する。このプロセスが完了すると、第1のコネクタを取り除き、透析装置の、好ましくは腹膜透析装置の受け部に第2のコネクタを差し込み、ここで読み取りを行う。これにより、これがどの透析液であるかについての情報が透析装置内に存在するようになる。
【0014】
これらの2つのコネクタは、透析液の調製後に2つのコネクタ、従って2つのコードが互いに分離されて、第2のコードによって符号化された透析液を収容する濃縮物容器をその後に直接治療に利用できるように並んで配置されることが好ましい。
【0015】
第1及び第2のコネクタは、プラグイン式コネクタ又はキャップ式接続によって互いに接続することができる。従って、例えば透析液の調製後に第2のコネクタを第1のコネクタ上又は第1のコネクタ内に差し込むことができる。その後、完成した透析液を有する濃縮物容器を透析装置に接続すると、第1のコードではなく第2のコードが読み取られる。
【0016】
2つのコネクタは、互いに隣接して配置されることが好ましい。
【0017】
第1のコードは、濃縮物容器から第2のコードよりも空間的に離して配置することができる。透析液の調製後には、第1のコードを分離することにより、濃縮物容器に第2のコネクタのみが残ってそのコードを読み取ることができる。
【0018】
一般に、コネクタは濃縮物容器に直接配置することができる。コネクタは、濃縮物容器の内部空間と連通する中空空間を有するライン要素(line piece)、具体的にはホースに配置されることが好ましい。希釈剤は、このライン要素を通じて濃縮物容器内に導かれ、濃縮物容器からの透析液の排出もこのライン要素を通じて行われる。
【0019】
さらに、1又は2以上のコネクタと濃縮物容器との間に延びるラインを設け、このライン内に、濃縮物容器を1又は2以上のコネクタから分離できる接続要素、具体的にはルアーコネクタを配置することもできる。これにより、空の濃縮物容器を後で排液容器として使用することができる。この目的のために、例えばプラグイン式接続部として設計できる接続要素を開いて、コネクタが濃縮物容器から分離されるようにする。
【0020】
コードを有するコネクタを含む濃縮物容器は、完全なユニットとして設けることも、或いは単独で提供することもできる。濃縮物容器及び混合バッグの個々のコンポーネントを接続することにより、考えられる既製の溶液毎に別個のユニット(濃縮物容器及び混合バッグ)を在庫に保持しておく必要なく、様々な異なる既製の濃縮溶液及びバッグサイズ又は容器サイズを使用できる可能性が高まる。
【0021】
一般に、コネクタには、汚染又は汚濁から保護するために消毒キャップを設けることができる。
【0022】
濃縮物容器は硬質とすることができる。しかしながら、濃縮物容器が柔軟な壁部を有する容器、すなわちバッグであることも本発明の対象である。
【0023】
これらの実施形態の組み合わせも考えられ、本発明の対象である。
【0024】
従って、本発明の意味における濃縮物容器は、実際には濃縮物を収容する濃縮物受け取り容器と透析液を受け取るための溶液容器という形の複数の容器を有することができる。これらの容器は、最初に溶剤、具体的にはRO水を濃縮物受け取り容器内の濃縮物と完全に混合し、その後にこの混合物、すなわち透析液を溶液容器内に導くことができるように互いに流体連通する。濃縮物受け取り容器は、第1のコードを有する第1のコネクタを有し、溶液容器は、第2のコードを有する第2の容器を有する。
【0025】
従って、「濃縮物容器」という用語は、必ずしも正確に1つの容器が設けられることを意味しないことができる。複数の容器を設けることもできる。
【0026】
この点、濃縮物受け取り容器は硬質容器(カートリッジ)として設計され、及び/又は溶液容器は、混合溶液、すなわち透析液を受け取るバッグとして形成されることが好ましい。完全に満たされていない固定容器からは体積を除去することができないので、カートリッジの固定壁は、溶剤又は不希釈濃縮物が透析装置内に注入されるのを防ぐことができる。また、除去を試みる際に、対応する吸い込み圧力を空のバッグ又は溶液容器の閉鎖、又はこれらとの非混合の指標として使用することもできる。
【0027】
2つの容器は、接続要素によって接続することができる。濃縮物受け取り容器は、2つのコンポーネントの接続に起因してバッグ側又は溶液容器側が開く。
【0028】
濃縮物受け取り容器の入口又は出口開口部の形は、溶液と濃縮物の混合を支援することができる。
【0029】
濃縮物受け取り容器は、空気分離器としての役割を果たすことができる。
【0030】
好ましい実施形態では、好ましくはバッグとして設計される溶液容器が複数の機能を担う。溶液容器は、その閉鎖システムを使用して、カートリッジ又は濃縮物受け取り容器のコネクタポイントを貫通し、混合物、すなわち透析液を受け取り、治療中に透析液を分注し、次の治療において排液バッグとして機能する。
【0031】
濃縮物受け取り容器は、第1のコードを有する第1のコネクタに接続され、溶液容器は、第2のコードを有する第2のコネクタに接続されることが好ましい。この点、これらの2つのコネクタは、濃縮物受け取り容器の同じ側又は異なる側に存在することができる。溶液容器及び第2のコネクタは、例えば第2のコネクタが濃縮物受け取り容器から取り除かれ又は別様に分離するという点で、濃縮物受け取り容器から分離可能であることが好ましい。
【0032】
濃縮物容器は、使い捨て物品であることが好ましい。
【0033】
透析装置又は希釈装置は、1又は2以上のコネクタを受け取るコネクタ片を有し、このコネクタ片は、硬質濃縮物容器を機械的に支持することができる。このことは、上述した(named)硬質濃縮物受け取り容器にも当てはまることが好ましい。
【0034】
さらに、本発明は、透析治療又は腹膜透析治療を行うための透析装置、具体的には腹膜透析装置であって、請求項1から12のいずれか1項に記載の濃縮物容器の第1のコネクタ及び/又は第2のコネクタのための少なくとも1つの受け部と、1又は2以上のコネクタ上に存在するコードの情報を読み取るための読み取り手段とを有し、コードに応じて濃縮物容器内に希釈剤を分注し、及び/又は容器から透析液を排出させるように構成された透析装置にも関する。
【0035】
この透析装置は、濃縮物容器内に希釈剤、具体的には水を注入するポンプ装置を有することができる。この透析装置は給水ラインに接続され、上述したポンプ装置を使用して透析液を調製することができる。
【0036】
同じ透析装置又は異なる透析装置、具体的には腹膜透析装置は、ポンプ手段によって患者の腹部内に透析液が注入されるように第2のコードを読み取るための読み取り手段を有する。
【0037】
本発明の枠組み内では、「透析装置」という用語は腹膜透析装置を意味するものと理解されることが好ましい。しかしながら、この用語又は本発明はこのように限定されるわけではなく、他のタイプの透析装置も対象とする。腹膜透析装置は、溶液又は希釈剤がポンプによって搬送される、或いは重量測定的に、すなわちポンプを使用せずに流れが生じる透析装置とすることができる。
【0038】
さらに、本発明は、透析液、具体的には腹膜透析液の調製方法であって、請求項1から12の1項に記載の濃縮物容器が第1のコネクタによって透析装置に接続されることにより、透析装置によって第1のコードが読み取られ、第1のコードに応じて濃縮物容器内に希釈剤が導入され、その後に第1のコードが取り外され、又は覆われ、或いは濃縮物容器が第2のコネクタによって同じ透析装置又は異なる透析装置に接続されることにより、透析装置によって第2のコードが読み取られる、方法にも関する。
【0039】
濃縮物の希釈後には、第1のコネクタを取り除き、又は第2のコネクタに接続し、又は第2のコネクタによって覆うことができる。これにより、濃縮物の希釈によって調製された透析液に関する情報を含むコードを有する第2のコネクタを読み取ることができる。
【0040】
なお、複数形ではない名詞、「1つの」が付された名詞は、たとえ対象要素のうちの1つが本発明の好ましい実施形態を表す場合であっても、必ずしも正確にこの要素のみが存在することを意味するものではない。むしろ、これらの用語の使用は複数の要素も対象とする。従って、複数形の用語の使用は単数も含み、逆に単数形の用語の使用は複数の対象要素も対象とする。
【0041】
図面に示す実施形態を参照しながら、本発明のさらなる詳細及び利点についてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】第2のコネクタを第1のコネクタに差し込む前の濃縮物容器である。
【
図2】並んで配置された2つのコネクタと、これらの間の所定の破断点とを有する濃縮物容器である。
【
図3】複数のバッグが接続された腹膜透析装置の図である。
【
図4】ライン内に接続要素が配置された
図2による濃縮物容器である。
【
図5a】濃縮物受け取り容器及び溶液容器を有する濃縮物容器の様々な実施形態の図である。
【
図5b】濃縮物受け取り容器及び溶液容器を有する濃縮物容器の様々な実施形態の図である。
【
図5c】濃縮物受け取り容器及び溶液容器を有する濃縮物容器の様々な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
なお、図では、同じ要素又は同じ機能を有する要素には同じ数字を付す。
【0044】
図1による実施形態では、液体又は固体濃縮物Kが入った濃縮物容器を参照番号10で示す。
【0045】
濃縮物容器10は、第1のコードC1を有する第1のコネクタK1が、端部に存在するホースライン20に接続されている。
【0046】
例えば腹膜透析装置によって、又は異なるユニットによって形成される希釈ステーション(dilution station)では、ホース20を通じて濃縮物容器10の内部に水が導入され、これによって濃縮物が希釈される。希釈ステーションは、第1のコードC1を読み取り、これに応じて希釈を行う。希釈後には、希釈ステーションのコネクタ片を開いて、接続されたバッグ10又はもう一つの濃縮物容器10を有する1又は2以上のコネクタK1を取り外し、接続されたバッグ10又はもう一つの濃縮物容器10を有する1又は2以上のコネクタK1をコードC2を有するキャップK2によって閉じる。コードC2は、希釈濃縮物、すなわち透析液に関する情報を有している。
【0047】
コードC1及びC2はバーコードである。例えば、コネクタの異なるカラーコーディングなどの異なる符号化も可能である。
【0048】
このように符号化されたバッグ又は濃縮物容器は、この時点で患者に適用することができる。
【0049】
バッグ接続部又はコネクタは、
図2のさらなるコネクタを伴う。この構成では、濃縮物容器に近い側に配置されたコードC2を有するコネクタK2が、所定の破断点Sを介して、濃縮物容器から離れた側に配置されたコードC1を有するコネクタK1に接続されている。
【0050】
バッグに近いコネクタK2即ちコードC2は、希釈濃縮物、すなわち透析液に関する情報を含み、バッグから離れたコネクタK1即ちコードC1は、非希釈濃縮物に関する情報を含む。
【0051】
濃縮物Kの希釈後に、コネクタK2を有する濃縮物容器が治療に利用できるように、コネクタK1を取り外す。
【0052】
図3から分かるように、ここでは図示の実施形態の腹膜透析装置Pが希釈ステーションの役割を果たして、他の腹膜透析装置に完成した溶液を提供する。希釈ステーションは、バーコードC1から濃縮物の種類を認識して必要な量の水を混合する。
【0053】
図3から分かるように、同じ機械に複数の濃縮物容器を接続することによって、同時に又は連続的に複数の濃縮物容器(ここでは6つの濃縮物容器)を調製することができる。
【0054】
この目的のために、患者ラインLは、溶剤供給部(例えば、RO水プラント)に接続される。最初の混合後には、設けられた破断点(
図2及び
図3の参照記号Sを参照)でバッグ又は濃縮物容器を分離し、これを直ちに投与に利用できる一方でさらなる混合物を調製することもできる。
【0055】
従って、考えられる実施形態は、複数の機械に供給できるようにするために、大容量(large-volume quantities)を混合し始めることを含むことができる。使用したセットは、バッグ又は濃縮物容器の最初の混合後にはもはや治療に利用することはできない。
【0056】
さらに、接続バッグ内への流体の搬送のみを可能にする弁をコネクタに追加することも考えられる。こうすることで、偶発的な吸い込みが避けられる。
【0057】
図2から分かるように、
図2による実施形態では、濃縮物容器の充填開始時にコネクタK1及びK2がいずれも濃縮物容器に接続されている。バッグの充填後には、コネクタK1及びK2間の接続が、例えば破断によって解除される。濃縮物容器は、この手順による透析液を収容する明確に識別可能な溶液バッグになる。
【0058】
図4には、ホースラインにさらなる接続要素Vが配置された濃縮物容器を示す。従って、この濃縮物容器は、治療後に排液バッグとして使用することもできる。
【0059】
参照記号Aは、バッグ又は濃縮物容器上の目盛り線の形の体積明細(volume specification)を示す。これにより、バッグを充填ステーションから除去した後に、バッグを特定のレベルまで満たす必要があることなどの、充填されたバッグのさらなる目視チェックが可能になる。
【0060】
濃縮物容器には、特に大量の流体の場合にその輸送を容易にするさらなるハンドルを設けることもできる。
【0061】
図4による実施形態では、濃縮物が濃縮物容器内にパックされて存在する。このパッケージングを参照番号100によって示す。濃縮物は、希釈剤に接触すると劣化し、従って濃縮物容器の入口に位置することが好ましい。これにより、充填中に溶液との最適な混合を達成することができる。
【0062】
本発明の別の考えられる実施形態では、濃縮物が無害な染料で染色される。これにより、濃縮物と希釈剤が十分に混ざり合ったかどうかについてのチェックが可能になる。
【0063】
本発明は、有利な実施形態においてとりわけ以下の利点をもたらす。
【0064】
溶液バッグ又は濃縮物容器は、完成直後に次のバッグ又は濃縮物容器が満たされている間に希釈ユニットから取り外すことができる。
【0065】
溶液バッグ又は濃縮物容器は、できる限り最適な消費時間の利用を可能にするように時間差で希釈して取り外すことができる。
【0066】
図5aには、濃縮物容器が2つの容器を、すなわち一方では第1のコードを含む第1のコネクタ101を有する濃縮物受け取り容器100と、濃縮物受け取り容器100と流体連通する第2のコネクタ201を有する溶液容器200とを有する実施形態を示す。濃縮物受け取り容器100内には、濃縮物102が存在する。これらの容器は、接続要素300によって互いに接続される。濃縮物受け取り容器100は、この接続部によってバッグ200の方に開く。
【0067】
図5bには、バッグ部分を接続できるバーコード部分又はコネクタ201において濃縮物受け取り容器100の出口が開く実施形態を示す。
【0068】
図5cからは、接続された溶液バッグ200内にカートリッジ100を介して流体を搬送できるようにする弁400を配置できることが分かる。これにより、濃縮物の吸い込みが構成面(construction aspect)から抑制される。溶液バッグの充填後には、容器間の接続が500において遮断される。
【0069】
充填の開始時には、カートリッジ100に汎用の空バッグ(universal empty bag)が接続される。バッグの充填後には、カートリッジ100とバーコード部分201との間の接続が解除される。この手順では、汎用の空バッグが、この時点で第2のサイクラー(cycler)を使用して投与できる明確な溶液バッグになる。
【0070】
従って、1つの溶液バッグの完成直後に次のバッグが満たされている間に、この溶液バッグを希釈ユニットから取り外すことができる。さらに、溶液バッグは、できる限り最適な消費時間の利用を可能にするように時間差で希釈して取り外すことができる。
【0071】
以下、本発明を限定しない例示的な性質のいくつかのシナリオを示す。
【0072】
シナリオA:
HD環境と同様にサイクラー、すなわち腹膜透析装置が溶剤供給部に接続され、この目的でセットのバッグ接続(ポート)が必要とされる。
【0073】
さらなるポートは、カートリッジによって占有することができる。カートリッジは、典型的には6lの空のバッグに接続される。
【0074】
混合物の生成直後に治療手順を開始することができる。
【0075】
シナリオB:
サイクラーが溶剤供給部に接続される。この目的でセットのバッグ接続(ポート)が必要とされる。
【0076】
1つのポートのみが濃縮物によって占有される。カートリッジは、完全な治療の量を受け入れることができるバッグに接続される。
【0077】
これまでは、患者がこの充填されたバッグを搬送する必要がなかったので、このシナリオは不可能であった。このような手順は、コスト及び使い捨て物品のゴミの量を削減する。
【0078】
シナリオC:
このプロセスを治療において使用できる通常の溶液バッグと組み合わせることも等しく可能である。
【0079】
シナリオD:
現在の患者ラインが溶剤供給部に接続される。これにより、第1のステップにおいて最大6つのバッグの混合を開始することができる。
【0080】
第2のステップにおいて、セットを変更することなく最初に混合した溶液を患者に投与する。
【0081】
シナリオE:
サイクラーが希釈ステーションの役割を果たして他のサイクラーに溶液を提供する。これにより、1回の混合手順で6つのバッグを生成できるようになる。
【0082】
この目的で、現在の患者ラインを溶剤供給部に接続する。最初の混合後にバッグをカートリッジから分離し、この時点で投与に利用することができる。システムの有利な適合は、最初の大容量の混合を含む。混合ユニット内で使用されるセットは治療に利用できないからである。この目的に適したカートリッジは、
図5bで確認することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈剤で希釈された後に透析液を形成するように構成された濃縮物を収容する濃縮物容器であって、
該濃縮物容器は、前記濃縮物に関する少なくとも1つの情報を有する第1のコネクタに連結されるように構成され、
前記濃縮物容器は、前記透析液に関する少なくとも1つの情報を有し前記第1のコネクタの前記濃縮物容器側に配置、または前記第1のコネクタの前記濃縮物容器と反対側に取外し可能に配置される第2のコネクタと連結されるように構成されている、
ことを特徴とする濃縮物容器。
【請求項2】
前記第1のコネクタと第2のコネクタとは、互いに取り外し可能である、
請求項1に記載の濃縮物容器。
【請求項3】
前記第1及び第2のコードは、それぞれバーコード又はカラーコードである、
請求項1または2に記載の濃縮物容器。
【請求項4】
前記第1コネクタ及び第2のコネクタ間に所定の破断点が配置される、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の濃縮物容器。
【請求項5】
透析液の調製方法であって、
請求項1から4のいずれか1項に記載の濃縮物容器を、先端に配置された前記第1のコネクタを介して透析装置に接続し前記透析装置が前記第1のコードを読み取るステップと、
前記第1のコードに応じて前記濃縮物容器内に希釈剤を導入するステップと、
前記第1のコネクタを取外す、又は、前記第1のコネクタに前記第2のコネクタを連結することにより、前記第2のコネクタを先端に配置されるステップと、
前記先端に配置された第2のコネクタを介して、前記濃縮物容器を前記透析装置に連結し、該透析装置に前記第2のコネクタの第2のコードを読み取らせるステップと、を備えた、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記透析液が、腹膜透析液であり、
前記透析装置が、前記腹膜透析装置である、
請求項5に記載の方法。
【外国語明細書】