(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040172
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】透明導電性酸化物で被覆された物品のシート抵抗を低下させる方法
(51)【国際特許分類】
C03C 17/34 20060101AFI20240315BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20240315BHJP
F25D 23/00 20060101ALN20240315BHJP
【FI】
C03C17/34 Z
B32B9/00 A
F25D23/00 301E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002385
(22)【出願日】2024-01-11
(62)【分割の表示】P 2020505834の分割
【原出願日】2018-08-02
(31)【優先権主張番号】15/669,276
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518301590
【氏名又は名称】ビトロ フラット グラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガンジュ、 アシュトシュ
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナン、スダルシャン
(57)【要約】
【課題】被覆物品の放射率及びシート抵抗を低減させる方法。
【解決手段】本発明は、被覆物品のシート抵抗を低減させる方法であって、室温で125nm~950nmの厚さを有する透明導電性酸化物層を含む被覆を基材に付着させるステップと、透明導電性酸化物層を処理するステップとを含み、処理するステップは、透明導電性酸化物層が224℃~470℃に到達するように、透明導電性酸化物層をフラッシュ・アニーリングすることを含み、透明導電性酸化物層がフラッシュ・アニーリングされることにより、透明導電性酸化物層の表面が加熱され、処理するステップ後の被覆物品のシート抵抗は、20Ω/□以下である。
【選択図】
図7a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆物品のシート抵抗を低減させる方法であって、
室温で125nm~950nmの厚さを有する透明導電性酸化物層を含む被覆を基材に付着させるステップと、
前記透明導電性酸化物層を処理するステップとを含み、
前記処理するステップは、前記透明導電性酸化物層が224℃(435°F)以上かつ470℃(878°F)を超えない温度に到達するように、前記透明導電性酸化物層をフラッシュ・アニーリングすることを含み、前記透明導電性酸化物層がフラッシュ・アニーリングされることにより、前記透明導電性酸化物層の表面が加熱され、前記処理するステップ後の前記被覆物品のシート抵抗は、20Ω/□以下である方法において、
透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む第1の保護膜を付着させるステップと、前記透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に、チタニア及びアルミナを含む第2の保護膜を付着させるステップとをさらに含み、前記第1の保護膜を付着させるステップ及び前記第2の保護膜を付着させるステップが、前記処理するステップの前又は後に行われる、方法。
【請求項2】
前記透明導電性酸化物層が、スズでドープされた酸化インジウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記透明導電性酸化物層が、ガリウムでドープされた酸化亜鉛を含み、少なくとも320nm及び多くとも480nmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記透明導電性酸化物層が、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛を含み、少なくとも344nm及び多くとも860nmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記被覆を付着させるステップが、マグネトロン・スパッタリング真空蒸着プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱ステップが、335℃(635°F)を超えて前記透明導電性酸化物の頂面を上昇させない、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記被覆物品が冷蔵庫ドアである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記付着させるステップが、雰囲気に供給される酸素含有率が0%~1.5%の雰囲気中で行われる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低放射率及び中間色を有する被覆物品に関する。
【背景技術】
【0002】
より低い放射率及びより低いシート抵抗を有する被覆物品を提供するために、透明導電性酸化物(「TCO」:Transparent conductive oxide)が基材に付着される。これによりTCOは、艶出しユニット又はスクリーンを活性化する電極(たとえば、ソーラー・セル)又は加熱層で特に有用になる。TCOは通常、マグネトロン・スパッタリング真空蒸着(「MSVD」:magnetron sputtering vacuum deposition)などの真空蒸着技法によって付着される。概して、より厚いTCO層は、より低いシート抵抗を提供する。しかし、TCOの厚さは被覆物品の色に影響する。したがって、TCO層によって引き起こされる着色作用を調整することが必要とされている。さらに、TCOが被覆物品の色に与える影響を最小にしながら、それでもなお必要とされるシート抵抗を維持するために、TCO層の厚さを最小にすることが必要とされている。
【0003】
被覆スタックは、時間とともに腐食することがある。これから保護するために、保護オーバーコートを被覆に付着させることができる。たとえば、米国特許第4,716,086号及び第4,786,563号に開示されている二酸化チタン膜は、被覆に耐化学薬品性を提供する保護膜である。カナダ特許第2,156,571号に開示されている酸化ケイ素、米国特許第5,425,861号、第5,344,718号、第5,376,455号、第5,584,902号、及び第5,532,180号、並びにPCT国際特許公開第95/29883号に開示されている酸化アルミニウム及び窒化ケイ素もまた、耐化学薬品性を被覆に提供する保護膜である。この技術は、化学的及び/又は機械的により耐久性のある保護オーバーコートによって向上させることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,716,086号
【特許文献2】米国特許第4,786,563号
【特許文献3】カナダ特許第2,156,571号
【特許文献4】米国特許第5,425,861号
【特許文献5】米国特許第5,344,718号
【特許文献6】米国特許第5,376,455号
【特許文献7】米国特許第5,584,902号
【特許文献8】米国特許第5,532,180号
【特許文献9】PCT国際特許公開第95/29883号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
被覆物品は、基材と、基材の上の下層とを含む。下層は、第1の層を含む。第1の層は、高屈折率材料を含有する。第1の層の少なくとも一部分の上に、第2の層が位置決めされる。第2の層は、低屈折率材料を含有する。下層の少なくとも一部分の上に、透明導電性膜が位置決めされる。被覆物品は、少なくとも5Ω/□及び多くとも25Ω/□のシート抵抗を有する。被覆物品は、少なくとも-9及び多くとも1のa*、少なくとも-9及び多くとも1のb*を有する色を有する。
【0006】
任意選択で、被覆物品は、透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に保護層を有することができる。保護層は、透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上の第1の保護膜と、第1の保護膜の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを含む。第2の保護膜は、被覆スタック内の最も外側の膜であり、チタニア及びアルミナの混合物を含む。任意選択で、保護層は、第1の保護膜と第2の保護膜との間に位置決めされた第3の保護膜を含むことができる。
【0007】
被覆基材を形成する方法は、基材を提供することを含む。透明導電性酸化物が特定され、少なくとも5Ω/□及び多くとも25Ω/□のシート抵抗を提供する透明導電性酸化物についての厚さが判定される。第1の下層材料及び第2の下層材料を有する下層が特定される。少なくとも-9及び多くとも1のa*、少なくとも-9及び多くとも1のb*を有する色を被覆基材に提供する第1の下層及び第2の下層についての厚さが判定される。下層内の2つの膜の厚さを使用して、被覆基材の色を調節する。色は透明導電性酸化物膜の厚さによって影響されるため、色は透明導電性酸化物膜の厚さが判定された後に調節される。基材の少なくとも一部分の上に、第1の下層材料を含む第1の下層膜が第1の下層膜厚さで付着される。第1の下層の少なくとも一部分の上に、第2の下層材料を含む第2の下層膜が第2の下層厚さで付着される。透明導電性酸化物膜厚さの第2の下層膜の少なくとも一部分の上に、透明導電性酸化物を有する透明導電性酸化物層が付着される。
【0008】
以下のステップによって作製された少なくとも-9及び多くとも1のa*並びに少なくとも-9及び多くとも1のb*を有する色を有する被覆物品。透明導電性酸化物が特定され、少なくとも5Ω/□及び多くとも25Ω/□のシート抵抗を提供する透明導電性酸化物についての厚さが判定される。第1の下層材料及び第2の下層材料を有する下層が特定される。少なくとも-9及び多くとも1のa*、少なくとも-9及び多くとも1のb*を有する色を被覆基材に提供する第1の下層及び第2の下層についての厚さが判定される。下層内の2つの膜の厚さを使用して、被覆基材の色を調節する。色は透明導電性酸化物膜の厚さによって影響されるため、色は透明導電性酸化物膜の厚さが判定された後に調節される。基材の少なくとも一部分の上に、第1の下層材料を含む第1の下層膜が第1の下層膜厚さで付着される。第1の下層の少なくとも一部分の上に、第2の下層材料を含む第2の下層膜が第2の下層厚さで付着される。透明導電性酸化物膜厚さの第2の下層膜の少なくとも一部分の上に、透明導電性酸化物を有する透明導電性酸化物層が付着される。
【0009】
基材を含む被覆物品。基材の少なくとも一部分の上に、下層が位置決めされる。下層は、少なくとも、基材の少なくとも一部分の上の第1の下層膜と、第1の下層膜の少なくとも一部分の上の任意選択の第2の下層膜とを含む。第1の下層膜は、第1の高屈折率材料を含有する。任意選択の第2の下層膜は、第1の低屈折率層を含有する。第1の下層膜又は任意選択の第2の下層膜の少なくとも一部分の上に、透明導電性酸化物層が位置決めされる。透明導電性酸化物層内に、第2の高屈折率材料が埋め込まれる。被覆物品は、少なくとも5Ω/□及び多くとも25Ω/□のシート抵抗を有する。シート抵抗は、第2の高屈折率材料が透明導電性酸化物層内に埋め込まれていない場合より少なくとも35%高い。
【0010】
任意選択で、被覆物品は、透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に保護層を有することができる。保護層は、透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上の第1の保護膜と、第1の保護膜の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを含む。第2の保護膜は、被覆スタック内の最も外側の膜であり、チタニア及びアルミナの混合物を含む。任意選択で、保護層は、第1の保護膜と第2の保護膜との間に位置決めされた第3の保護膜を含むことができる。
【0011】
基材を含む被覆物品。基材の少なくとも一部分の上に、下層が位置決めされる。下層は、少なくとも、基材の少なくとも一部分の上の第1の下層膜と、第1の下層膜の少なくとも一部分の上の任意選択の第2の下層膜とを含む。第1の下層膜は、第1の高屈折率材料を含有する。任意選択の第2の下層膜は、第1の低屈折率層を含有する。第1の下層膜又は任意選択の第2の下層膜の少なくとも一部分の上に、第1の透明導電性酸化物層が位置決めされる。第1の透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に、埋込み膜が位置決めされる。埋込み膜は、第2の高屈折率材料を有する。第2の透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に、第2の透明導電性酸化物層が位置決めされる。被覆物品は、少なくとも5Ω/□及び多くとも25Ω/□のシート抵抗を有する。シート抵抗は、埋込み膜がない場合より少なくとも35%高い。
【0012】
任意選択で、被覆物品は、透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に保護層を有することができる。保護層は、透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上の第1の保護膜と、第1の保護膜の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを含む。第2の保護膜は、被覆スタック内の最も外側の膜であり、チタニア及びアルミナの混合物を含む。任意選択で、保護層は、第1の保護膜と第2の保護膜との間に位置決めされた第3の保護膜を含むことができる。
【0013】
被覆物品を形成する方法、シート抵抗を増大させる方法、又は被覆物品の光透過率を増大させる方法。基材が提供される。基材の少なくとも一部分の上に、下層が付着される。基材の少なくとも一部分の上に、第1の下層膜が付着される。第1の下層膜は、第1の高屈折率材料を有する。第1の下層膜の少なくとも一部分の上に、任意選択の第2の下層膜が付着される。任意選択の第2の下層膜は、第1の低屈折率層を有する。第1の下層膜又は任意選択の第2の下層膜の少なくとも一部分の上に、第1の透明導電性酸化物層が付着される。第1の透明導電性酸化物膜の少なくとも一部分の上に、埋込み膜が付着される。埋込み膜は、第2の高屈折率材料を有する。埋込み膜の少なくとも一部分の上に、第2の透明導電性酸化物膜が付着される。任意選択で、第2の透明導電性酸化物膜の上に保護層を付着させることができる。任意選択の保護層は、透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上の第1の保護膜と、第1の保護膜の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを含む。第2の保護膜は、被覆スタック内の最も外側の膜であり、チタニア及びアルミナの混合物を含む。任意選択で、保護層は、第1の保護膜と第2の保護膜との間に位置決めされた第3の保護膜を含むことができる。
【0014】
以下のステップによって作製された被覆物品。基材が提供される。基材の少なくとも一部分の上に、下層が付着される。基材の少なくとも一部分の上に、第1の下層膜が付着される。第1の下層膜は、第1の高屈折率材料を有する。第1の下層膜の少なくとも一部分の上に、任意選択の第2の下層膜が付着される。任意選択の第2の下層膜は、第1の低屈折率層を有する。第1の下層膜又は任意選択の第2の下層膜の少なくとも一部分の上に、第1の透明導電性酸化物層が付着される。第1の透明導電性酸化物膜の少なくとも一部分の上に、埋込み膜が付着される。埋込み膜は、第2の高屈折率材料を有する。埋込み膜の少なくとも一部分の上に、第2の透明導電性酸化物膜が付着される。任意選択で、第2の透明導電性酸化物膜の上に保護層を付着させることができる。任意選択の保護層は、透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上の第1の保護膜と、第1の保護膜の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを含む。第2の保護膜は、被覆スタック内の最も外側の膜であり、チタニア及びアルミナの混合物を含む。任意選択で、保護層は、第1の保護膜と第2の保護膜との間に位置決めされた第3の保護膜を含むことができる。
【0015】
被覆物品のシート抵抗を増大させる方法。被覆物品が提供される。被覆物品は、基材と、基材の少なくとも一部分の上の透明導電性酸化物層とを有する。被覆物品は、蒸着後プロセスによって処理される。蒸着後プロセスは、被覆物品を焼き戻しすること、被覆物品を炉に入れることで被覆物品全体を加熱すること、透明導電性酸化物層の一表面のみをフラッシュ・アニーリングすること、又は透明導電性酸化物層に渦電流を通すこととすることができる。別法として、25オーム/平方未満のシート抵抗を有する被覆物品が、本段落に記載の方法によって作製される。
【0016】
被覆物品のシート抵抗を増大させる方法。基材が提供される。基材の少なくとも一部分の上に、透明導電性酸化物が付着される。透明導電性酸化物で被覆された基材に、蒸着後プロセスが適用される。蒸着後プロセスは、被覆物品を焼き戻しすること、被覆物品を炉に入れることで被覆物品全体を加熱すること、透明導電性酸化物層の一表面のみをフラッシュ・アニーリングすること、又は透明導電性酸化物層に渦電流を通すこととすることができる。
【0017】
被覆物品は、被覆スタックを有する基材である。基材の少なくとも一部分が、機能被覆で被覆される。機能被覆の少なくとも一部分の上に、保護層が付着される。保護層は、機能被覆の少なくとも一部分の上の第1の保護膜と、機能被覆の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを有する。第2の保護膜は、被覆スタック内の最後の膜であり、チタニア及びアルミナを含む。任意選択で、第1の保護膜と第2の保護膜との間又は第1の保護膜と機能被覆との間に、第3の保護膜を位置決めすることができる。
【0018】
被覆物品を作製する方法は、基材を提供することを含む。基材の少なくとも一部分の上に、機能被覆が付着される。機能被覆の少なくとも一部分の上に、第1の保護膜が付着される。第1の保護膜の少なくとも一部分の上に、チタニア及びアルミナを含む第2の保護膜が付着される。任意選択で、第1の保護膜と第2の保護膜との間又は第1の保護膜と機能被覆との間に、第3の保護膜が付着される。
【0019】
透明導電性酸化物層の吸収率、抵抗率、又は放射率を低減させる方法。基材が提供される。0%~2.0%の酸素を含む雰囲気中で、基材の少なくとも一部分の上に透明導電性酸化物層が付着される。
【0020】
以下のステップによって作製された透明導電性酸化物層を含む低減された吸収率、抵抗率、又は放射率を有する被覆物品。基材が提供される。0%~2.0%の酸素を含む雰囲気中で、基材の少なくとも一部分の上に透明導電性酸化物層が付着される。
【0021】
特許又は出願ファイルは、カラーで実行された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面を有する本特許又は特許出願公開の複製は、請求があり次第、必要な手数料の支払いに応じて特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】本発明の特徴を組み込む被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図1b】本発明の特徴を組み込む被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図1c】本発明の特徴を組み込む被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図1d】本発明の特徴を組み込む被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図2a】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図2b】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図2c】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図2d】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図2e】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図3a】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図3b】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図3c】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図3d】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図3e】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図4a】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図4b】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図5a】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図5b】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)である。
【
図6a】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)。
【
図6b】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)。
【
図6c】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)。
【
図6d】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)。
【
図6e】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)。
【
図6f】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)。
【
図6g】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)。
【
図6h】本発明の特徴を組み込む他の被覆の側面図(原寸に比例せず)。
【
図7a】ITOのシート抵抗と指定の温度まで加熱されたITO透明導電性酸化物層の表面を有したサンプルについての厚さとの関係を示すグラフである。
【
図7b】ITOのシート抵抗と指定の温度まで加熱されたITO透明導電性酸化物層の表面を有したサンプルについての厚さとの関係を示すグラフである。
【
図8a】スズでドープされた酸化インジウムの透明導電性酸化物層の結晶化を示すXRDグラフである。
【
図8b】スズでドープされた酸化インジウムの透明導電性酸化物層の結晶化を示すXRDグラフである。
【
図8c】スズでドープされた酸化インジウムの透明導電性酸化物層の結晶化を示すXRDグラフである。
【
図9】蒸着時及び加熱後のガリウムでドープされた酸化亜鉛の透明導電性酸化物層のシート抵抗を示す図である。
【
図10】蒸着時及び加熱後のアルミニウムでドープされた酸化亜鉛の透明導電性酸化物層のシート抵抗を示す図である。
【
図11】厚さ170nmのスズでドープされた酸化インジウムの透明導電性酸化物層を有する基材の色に対する下層の作用を示すグラフである。
【
図12】厚さ175~225nmのスズでドープされた酸化インジウムの透明導電性酸化物層及びシリカの保護層を有する基材の色に対する下層の作用を示すグラフである。
【
図13a】シート抵抗に対する埋込み膜の作用を示すグラフである。
【
図13b】放射率に対する埋込み膜の作用を示すグラフである。
【
図13c】埋込み膜を有するインジウムでドープされた酸化スズのXRDグラフである。
【
図14】異なる保護層の耐久性を示す棒グラフである。
【
図15】異なる保護層の耐久性を示す棒グラフである。
【
図16a】0%~2%の酸素を有する雰囲気中のインジウムでドープされた酸化スズを含む透明導電性酸化物層についての正規化吸収率を示す線グラフである。
【
図16b】0%~2%の酸素を有する雰囲気中のインジウムでドープされた酸化スズを含む透明導電性酸化物層についての正規化吸収率を示す線グラフである。
【
図17a】0%~2%の酸素を有する雰囲気中のインジウムでドープされた酸化スズを含む透明導電性酸化物層についての放射率を示すグラフである。
【
図17b】0%~2%の酸素を有する雰囲気中のインジウムでドープされた酸化スズを含む透明導電性酸化物層についての放射率を示すグラフである。
【
図18】0%~6%の酸素を有する雰囲気中のアルミニウムでドープされた酸化亜鉛を含む透明導電性酸化物層についての正規化吸収率を示すグラフである。
【
図19】コータに供給される酸素含有率に応じた正規化吸収率を示すグラフである。
【
図20】透明導電性酸化物層の表面温度に応じた蒸着後処理後のインジウムでドープされた酸化スズを含む透明導電性酸化物層についてのシート抵抗を示すグラフである。
【
図21】透明導電性酸化物の表面温度に応じたシート抵抗を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
「左」、「右」、「上(upper)」、「下(lower)」など、本明細書で使用される空間又は方向を表す用語は、図面に示されているとおり本発明に関する。本発明は様々な代替の向きをとることができ、したがってそのような用語は、限定的であると見なされるべきでないことを理解されたい。
【0024】
本明細書では、「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上(above)」、「下(below)」などの空間又は方向を表す用語は、図面に示されているとおり本発明に関する。しかし、本発明は様々な代替の向きをとることができ、したがってそのような用語は、限定的であると見なされるべきでないことを理解されたい。さらに、本明細書では、本明細書及び特許請求の範囲で使用される寸法、物理的特性、処理パラメータ、成分の数量、反応状態などを表すすべての数は、すべての例において、「約(about)」という用語によって修飾されると理解されたい。したがって、逆の内容が示されない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲に記載する数値は、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変動する可能性がある。少なくとも、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を限定しようとすることなく、各数値は、少なくとも報告される有効桁の数に照らして、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。さらに、本明細書に開示するすべての範囲は、範囲の始まり及び終わりの値並びにその中に含まれるあらゆる部分範囲を包含すると理解されたい。たとえば、「1~10」という記載の範囲は、最小値1~最大値10(これらの数値も含む)のあらゆる部分範囲、すなわち最小値1又はそれ以上で始まり、最大値10又はそれ以下で終わるすべての部分範囲、たとえば1~3.3、4.7~7.5、5.5~10などを含むと見なされるべきである。加えて、それだけに限定されるものではないが、本明細書で参照する発行特許及び特許出願などのすべての文献は、全体として「参照により組み込まれている」と見なされるべきである。別段の指定がない限り、量に対するあらゆる参照は、「重量パーセント」単位である。「膜」という用語は、所望又は選択された組成を有する被覆の領域を指す。「層」は、1つ又は複数の「膜」を含む。「被覆」又は「被覆スタック」は、1つ又は複数の「層」から構成される。「金属」及び「金属酸化物」という用語は、ケイ素は厳密には金属ではないが、それぞれケイ素及びシリカ、並びに従来認識されている金属及び金属酸化物を含むと見なされるべきである。
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるすべての数は、すべての例において、「約(about)」という用語によって修飾されると理解されたい。本明細書に開示するすべての範囲は、範囲の始まり及び終わりの値並びにその中に含まれるあらゆる部分範囲を包含すると理解されたい。本明細書に記載する範囲は、指定の範囲における平均値を表す。
【0026】
「~の上(over)」という用語は、「基材からより遠い」ことを意味する。たとえば、第1の層「の上」に位置する第2の層は、第2の層が第1の層より基材から遠くに位置することを意味する。第2の層は、第1の層に直接接触していてもよく、又は第2の層と第1の層との間に1つ若しくは複数の他の層が位置してもよい。
【0027】
本明細書で参照するすべての文献は、全体として「参照により組み込まれている」と見なされるべきである。
【0028】
別段の指定がない限り、量に対するあらゆる参照は、「重量パーセント」単位である。
【0029】
「可視光」という用語は、380nm~780nmの範囲内の波長を有する電磁放射を意味する。「赤外放射」という用語は、780nmより大きく100、000nmまでの範囲内の波長を有する電磁放射を意味する。「紫外放射」という用語は、100nmから380nm未満の範囲内の波長を有する電磁エネルギーを意味する。
【0030】
「金属」及び「金属酸化物」という用語は、ケイ素は慣例的に金属とは見なされないこともあるが、それぞれケイ素及びシリカ、並びに従来認識されている金属及び金属酸化物を含む。「少なくとも」とは、「より大きい又は等しい」ことを意味する。「以下」とは、「より小さい又は等しい」ことを意味する。
【0031】
本明細書のすべての曇り値及び透過値は、Haze-Gard Plusの視程計(BYK-Gardner USAから市販)を使用して、ASTM D1003-07に従って判定されたものである。
【0032】
コータ内のパーセント酸素が参照される例では、パーセント酸素は、コータ・チャンバに添加される酸素の他のガスに対する量である。たとえば、2%の酸素がコータ・チャンバの雰囲気に添加される場合、2%の酸素及び98%のアルゴンがコータ・チャンバに添加される。アルゴンは、他のガスに置き換えることもできるが、多くの場合、ガスは不活性ガスである。
【0033】
本明細書における本発明に関する議論では、特定の特徴について、特定の限界の範囲内で「詳細には」又は「好ましくは」と説明することがある(たとえば、特定の限界の範囲内で「好ましくは」、「より好ましくは」、又は「さらに好ましくは」)。本発明は、これらの詳細な又は好ましい限度に限定されるものではなく、開示の範囲全体を包含することを理解されたい。
【0034】
本発明は、任意の組合せで、本発明の以下の態様を含み(comprises)、それらの態様からなり(consists of)、又は本質的にそれらの態様からなる(consists essentially of)。本発明の様々な態様は、別個の図面に示されている。しかし、これは図及び議論を簡単にすることのみを目的とすることを理解されたい。本発明の実施の際には、1つの図面に示す本発明の1つ又は複数の態様を、他の図面のうちの1つ又は複数に示す本発明の1つ又は複数の態様と組み合わせることができる。
【0035】
例示的な物品は、
図1に示すように、基材10と、基材10の上の下層12と、下層12の上の透明導電性酸化物14とを含む。
【0036】
物品2は、窓、ソーラー・ミラー、ソーラー・セル、又は有機発光ダイオードとすることができる。基材10に付着される被覆は、低い放射率、低い抵抗率、耐引っ掻き性、無線周波減衰、又は所望の色を提供することができる。
【0037】
基材10は、可視光に対して透明、半透明、又は不透明とすることができる。「透明」とは、0%より大きく最高100%の可視光線透過率を有することを意味する。別法として、基材12は、半透明又は不透明とすることができる。「半透明」とは、電磁エネルギー(たとえば、可視光)が通過することを可能にするがこのエネルギーを拡散し、したがって観察者とは反対側の物体ははっきり見えないことを意味する。「不透明」とは、0%の可視光線透過率を有することを意味する。
【0038】
基材10は、ガラス、プラスチック、又は金属とすることができる。好適なプラスチック基材の例には、アクリルポリマー、たとえばポリアクリレート;ポリアルキルメタクリレート、たとえばポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレートなど;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリアルキルテレフタレート、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど;ポリシロキサン含有ポリマー;若しくはこれらを調製するための任意のモノマーのコポリマー、又はこれらの任意の混合物、或いはガラス基材が含まれる。好適なガラス基材の例には、従来のソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、又は有鉛ガラスが含まれる。ガラスは、透明ガラスとすることができる。「透明ガラス」とは、非着色又は無色ガラスを意味する。別法として、ガラスは、着色又は他の色ガラスとすることができる。ガラスは、アニール又は熱処理ガラスとすることができる。本明細書では、「熱処理」という用語は、焼き戻しされている又は少なくとも部分的に焼き戻しされていることを意味する。ガラスは、従来のフロートガラスなどの任意のタイプとすることができ、任意の光学特性、たとえば可視光線透過率、紫外線透過率、赤外線透過率、及び/又は全体的な太陽エネルギー透過率の任意の値を有する任意の組成とすることができる。好適な金属基材の例には、アルミニウム又はステンレス鋼が含まれる。
【0039】
基材10は、550ナノメートル(nm)の基準波長及び2ミリメートルの厚さで高い可視光線透過率を有することができる。「高い可視光線透過率」とは、550nmで85%以上、87%以上など、90%以上など、91%以上など、92%以上などの可視光線透過率を意味する。
【0040】
下層12は、単一の層、均質な層、勾配層、2重層とすることができ、又は複数の層を含むことができる。「均質な層」とは、被覆全体にわたって材料がランダムに分散している層を意味する。「勾配層」とは、2つ以上の成分を有し、基材12からの距離が変化するにつれて成分の濃度が変動する(連続的変化又は連続的変化)層を意味する。
【0041】
下層12は、2つの膜、すなわち第1の下層膜20及び第2の下層膜22を含むことができる。第1の下層膜20は、基材10の上に位置決めされ、第2の下層膜22より基材10に近い。第1の下層膜20は、第2の下層膜22及び/又は基材10より高い屈折率を有する材料とすることができる。たとえば、第1の下層膜20は、金属酸化物、窒化物、又は酸窒化物を含むことができる。第1の下層膜20のための好適な金属の例には、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、タンタル、これらの合金、又はこれらの混合物が含まれる。たとえば、第1の下層膜20は、亜鉛、スズ、アルミニウム、及び/若しくはチタン、これらの合金、又はこれらの混合物の酸化物を含むことができる。たとえば、第1の下層膜20は、亜鉛及び/又はスズの酸化物を含むことができる。たとえば、第1の下層膜20は、酸化亜鉛及び酸化スズ、又はスズ酸亜鉛を含むことができる。
【0042】
第1の下層膜20は、酸化亜鉛を含むことができる。酸化亜鉛膜をスパッタリングするための亜鉛ターゲットは、亜鉛ターゲットのスパッタリング特性を改善するために、1つ又は複数の他の材料を含むことができる。たとえば、亜鉛ターゲットは、最高15重量%、最高10重量%など、最高5重量%などのそのような材料を含むことができる。その結果得られる酸化亜鉛層は、添加材料のわずかな割合の酸化物、たとえば最高15重量%、最高10重量%、最高9重量%の材料酸化物を含むはずである。本明細書では、少量の添加材料(又は添加材料の酸化物)が存在する場合でも、亜鉛ターゲットのスパッタリング特性を強化するために添加材料の最高10重量%、たとえば最高5重量%を有する亜鉛ターゲットから蒸着させた層を「酸化亜鉛層」と呼ぶ。そのような材料の例は、スズである。
【0043】
第1の下層膜20は、酸化亜鉛及び酸化スズの合金を含むことができる。たとえば、第1の下層膜20は、スズ酸亜鉛層を含むことができ、又はスズ酸亜鉛層とすることができる。「スズ酸亜鉛」とは、式ZnXSn1-XO2-X(式1)の組成物を意味し、ここで「x」は、0より大きく1未満の範囲内で変動する。たとえば、「x」は、0より大きくすることができ、0より大きく1未満の任意の分数又は小数とすることができる。スズ酸亜鉛層は、式1の形式のうちの1つ又は複数を支配的な量で有する。従来、x=2/3のスズ酸亜鉛層は「Zn2SnO4」と呼ばれる。酸化亜鉛及び酸化スズの合金は、80重量%~99重量%の亜鉛及び20重量%~1重量%のスズ、85重量%の亜鉛~99重量%の亜鉛及び15重量%のスズ~1重量%のスズ、90重量%の亜鉛~99重量%の亜鉛及び10重量%のスズ~1重量%のスズなど、約90重量%の亜鉛及び10重量%のスズなどを含むことができる。
【0044】
第2の下層膜22は、第1の下層膜20より低い屈折率を有する材料とすることができる。たとえば、第2の下層膜22は、金属酸化物、窒化物、又は酸窒化物を含むことができる。第2の下層膜22のための好適な金属の例には、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、リン、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、タンタル、これらの合金、又はこれらの混合物が含まれる。
【0045】
たとえば、第2の下層膜22は、シリカ及びアルミナを含むことができる。この例によれば、第2の下層膜22は、少なくとも50重量%のシリカ、50~99重量%のシリカ及び50~1重量%のアルミナ、60~98重量%のシリカ及び40~2重量%のアルミナ、70~95重量%のシリカ及び30~5重量%のアルミナ、80~90重量%のシリカ及び10~20重量%のアルミナ、又は8重量%のシリカ及び15重量%のアルミナを有するはずである。
【0046】
下層12の上に透明導電性酸化物層14が位置する。透明導電性酸化物層14は、単一の層とすることができ、又は複数の層若しくは領域を有することができる。透明導電性酸化物層14は、少なくとも1つの導電性酸化物層を有する。たとえば、透明導電性酸化物層14は、1つ又は複数の金属酸化物材料を含むことができる。たとえば、透明導電性酸化物層14は、Zn、Fe、Mn、Al、Ce、Sn、Sb、Hf、Zr、Ni、Bi、Ti、Co、Cr、Si、In、又はこれらの材料のうちの2つ以上の合金のうちの1つ又は複数を含む1つ又は複数の酸化物を含むことができる。たとえば、透明導電性酸化物層14は、酸化スズを含むことができる。別の例では、透明導電性酸化物層14は、酸化亜鉛を含む。
【0047】
透明導電性酸化物層14は、それだけに限定されるものではないが、F、In、Al、P、Cu、Mo、Ta、Ti、Ni、Nb、W、Ga、Mg、及び/又はSbなどの1つ又は複数のドーパント材料を含むことができる。たとえば、ドーパントは、In、Ga、Al、又はMgとすることができる。ドーパントは、10重量%未満、5重量%未満など、4重量%未満など、2重量%未満など、1重量%未満などの量で存在することができる。透明導電性酸化物層14は、ガリウムでドープされた酸化亜鉛(「GZO」:gallium-doped zinc oxide)、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛(「AZO」:aluminum-doped zinc oxide)、インジウムでドープされた酸化亜鉛(「IZO」:indium-doped zinc oxide)、マグネシウムでドープされた酸化亜鉛(「MZO」:magnesium-doped zinc oxide)、又はスズでドープされた酸化インジウム(「ITO」:tin-doped indium oxide)などのドープされた金属酸化物とすることができる。
【0048】
透明導電性酸化物層14は、75nm~950nm、90nm~800nmなど、100nm~700nmなどの範囲内の厚さを有することができる。たとえば、透明導電性酸化物層14は、125nm~450nm、少なくとも150nm、又は少なくとも175nmの範囲内の厚さを有することができる。透明導電性酸化物層14は、600nm、500nm、400nm、350nm、300nm、275nm、250nm、又は225nm以下の厚さを有することができる。
【0049】
異なる透明導電性酸化物層14の材料は、同じ厚さで異なるシート抵抗を有し、同様に物品の光学的特性に異なる形で影響する。理論上、シート抵抗は、25Ω/□(オーム/平方)未満、又は20Ω/□未満、又は18Ω/□未満になるはずである。たとえば、透明導電性酸化物層14がGZOを含む場合、少なくとも300nm及び多くとも400nmの厚さを有することができる。透明導電性酸化物層14がAZOを含む場合、少なくとも350nm又は少なくとも400nmの厚さ、及び多くとも950nm、又は多くとも800nm、又は多くとも700nm、又は多くとも600nmの厚さを有するはずである。透明導電性酸化物層14がITOを含む場合、少なくとも75nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも125nm、又は少なくとも150nm、又は少なくとも175nm、及び多くとも350nm、多くとも300nm、多くとも275nm、又は多くとも250nm、又は多くとも225nmの厚さを有することができる。
【0050】
透明導電性酸化物層14は、5nm~60nm、5nm~40nmなど、5nm~30nmなど、10nm~30nmなど、10nm~20nmなど、10nm~15nmなど、11nm~15nmなどの範囲内の表面粗さ(RMS)を有することができる。
【0051】
たとえば、透明導電性酸化物層14がスズでドープされた酸化インジウムであるとき、透明導電性酸化物層14の厚さは、75nm~350nm、100nm~300nm、125nm~275nm、150nm~250nm、又は175nm~225nmの範囲内とすることができる。
【0052】
透明導電性酸化物層14は、5Ω/□~25Ω/□、8Ω/□~20Ω/□などの範囲内のシート抵抗を有することができる。たとえば、10Ω/□~18Ω/□などである。
【0053】
たとえば、物品は、ガラス基材10とすることができ、ガラス基材10の上に下層12が位置する。下層12は、少なくとも2つの膜、すなわち第1の下層膜20及び第2の下層膜22を有することができる。第1の下層膜20は、酸化亜鉛及び酸化スズの合金とすることができ、第2の下層膜22は、シリカ及びアルミナの合金とすることができる。第2の膜22の上に、透明導電性酸化物層14が位置することができる。透明導電性酸化物層14は、ITO、GZO、又はAZOとすることができる。
【0054】
透明導電性酸化物膜は、その物品に、たとえば25Ω/□未満の特定のシート抵抗を提供する。概して、透明導電性酸化物の厚さが増大するにつれて、シート抵抗は低下する。所望のシート抵抗及び所望のシート抵抗を実現するために透明導電性酸化物にとって必要な厚さが特定された後、光学設計ソフトウェアを使用して、第1の膜及び第2の膜の厚さを判定することができる。好適な光学モデル化ソフトウェアの一例は、FILM STARである。理論上、a*、b*の色を-1、-1にしようとする。この色では、ある程度の変動が許容可能である。たとえば、a*は、1、0、又は-0.5まで上げ、-9、-4、-3、又は-1.5まで下げることができ、b*の値は、1、0、又は-0.5まで上げ、-9、-4、-3、又は-1.5まで下げることができる。所望の色を得るために、第1の膜20及び第2の膜22の厚さを変化させて、特定された透明導電性酸化物及び透明導電性酸化物の厚さに対する所望の色を得る。たとえば、第1の膜は、厚さ10~20nm又は厚さ11~15nmとすることができ、第2の膜は、厚さ25~35nm又は厚さ29~34nmとすることができる。
【0055】
図1c及び
図1dを参照すると、物品2は、任意選択で、透明導電性酸化物層14の上に、本明細書に記載する保護層などの保護層16を含むことができる。たとえば、保護層16は、第1の保護膜60及び第2の保護膜62を含むことができる。第2の保護膜62は、チタニア及びシリカの混合物を含むことができる。たとえば、保護層16は、第1の保護膜60、第2の保護膜62、及び第3の保護膜64を有することができる。
【0056】
本発明の例示的な方法は、被覆基材を形成することである。基材10が提供される。透明導電性酸化物が特定される。透明導電性酸化物が特定された後、少なくとも5Ω/□及び/又は25Ω/□以下、具体的には20Ω/□以下、より具体的には18Ω/□以下のシート抵抗を被覆基材に提供する透明導電性膜についての厚さを特定することができる。被覆基材の所望の色も特定される。第1の下層材料及び第2の下層材料は、光学設計ソフトウェアを使用して特定され、上記で特定された透明導電性酸化物層を有する物品に色を提供する第1の下層膜厚さ及び第2の下層膜厚さが判定され、a*は、1まで上げ、-9まで下げることができ、b*の値は、1まで上げ、-9まで下げることができる。下層12は、基材の上に第1の下層材料を付着させて第1の下層膜20を特定された第1の膜厚さまで形成し、第1の下層膜の上に第2の下層材料を特定された第2の下層膜厚さまで付着させて第2の下層膜22を形成することによって、基材の上に付着される。透明導電性酸化物材料は、下層12の上に特定された透明導電性膜厚さまで付着されて、透明導電性酸化物層14を形成する。
【0057】
透明導電性酸化物層14の厚さは、基材のシート抵抗及び色に影響する。下層12は、特有の厚さの透明導電性酸化物層14を有する物品の色を調節するために使用される。これは、第1の下層材料及び第2の下層材料を特定し、次いでFILM STARなどのツールを使用して、所望の色を提供する各下層材料についての厚さを特定することによって行われる。第1及び第2の下層材料が特定された後、任意の所望の色を実現するために、これらの材料のそれぞれの厚さを調節することができる。典型的には、所望の色は、a*、b*を-1、-1にすることである。この色では、ある程度の変動が許容可能である。たとえば、a*は、1まで上げ、-9まで下げることができ、b*の値は、1まで上げ、-9まで下げることができる。
【0058】
たとえば、-1のa*及び-1のb*を有する色を有するソーラー・セルを作製したいと考えることがある。ガラス基材が提供されるはずである。透明導電性酸化物材料は、インジウムでドープされた酸化スズ(「ITO」)として特定することができる。本明細書に開示する本発明では、ITO透明導電性酸化物膜の厚さが125nm~275nmである場合、5Ω/□~25Ω/□のシート抵抗を実現することができることが理解されよう。所望の色を実現するために、酸化亜鉛及び酸化スズを含む第1の下層膜20と、シリカ及びアルミナを含む第2の下層膜22とを有する下層12を選択することができる。第1の下層膜20は、10nm~15nmの厚さを有するはずであり、第2の下層膜22は、29nm~34nmの厚さを有するはずである。第1の下層膜20は、基材10の上に特定された厚さで付着され、第2の下層膜22は、第1の下層膜20の上に特定された厚さで付着される。透明導電性酸化物層14は、第2の下層膜22の上に特定された厚さで付着され、したがって-9~1、具体的には-4~0、より具体的には-3~1、より具体的には-1.5~-0.5のa*、及び-9~1、具体的には-4~0、より具体的には-1.5~-0.5のb*を有する色を有する物品を形成する。
【0059】
別の例では、ガラス基材10が提供されるはずである。透明導電性酸化物層材料は、インジウムでドープされた酸化スズ(「ITO」)として特定することができる。ITO透明導電性酸化物膜の厚さが125nm~275nmである場合、5Ω/□~25Ω/□、具体的には20Ω/□以下、より具体的には18Ω/□以下のシート抵抗を実現するはずであることが理解されよう。所望の色を実現するために、酸化亜鉛及び酸化スズを含む第1の下層膜20と、シリカを含む第2の下層膜22とを有する下層12を選択することができ、さらに保護層16が被覆基材に与える色に対する作用を考慮することができる。この例では、少なくとも30nm及び45nm以下の厚さを有するシリカの保護層が使用される。第1の下層膜20は、10nm~15nmの厚さを有するはずであり、第2の下層膜22は、29nm~34nmの厚さを有するはずである。第1の下層膜20は、基材10の上に特定された厚さで付着され、第2の下層膜22は、第1の下層膜20の上に特定された厚さで付着される。透明導電性酸化物層14は、第2の下層膜22の上に、上記で論じたシート抵抗を提供する特定された厚さで付着され、したがって-9~1、又は-4~0、又は-3~1、又は-1.5~-0.5のa*、及び-9~1、又は-4~0、又は-3~1、又は-1.5~-0.5のb*を有する色を有する被覆基材を形成する。
【0060】
これらの例では、下層は、被覆基材の色を調節するために使用される。
【0061】
図2は、基材10と、基材の上の下層12と、下層12の上の透明導電性酸化物層14と、透明導電性酸化物層14内に埋め込まれた第2の高屈折率材料を含む埋込み膜24とを含む別の例示的な物品2を示す。
【0062】
基材10は、本明細書に論じる基材のいずれかとすることができる。
【0063】
下層12は、第1の下層膜20と、任意選択の第2の下層膜22とを有することができる。第1の下層膜20は、第1の高屈折率材料を有する。任意選択の第2の下層膜22は、第1の低屈折率材料を有する。第1の高屈折率材料は、第1のより低屈折率の材料より高い屈折率を有する。
【0064】
透明導電性酸化物層14は、上記で論じた透明導電性酸化物のいずれかとすることができる。
【0065】
埋込み膜24は、透明導電性酸化物層14内に埋め込まれた第2の高屈折率材料を有する。第2の高屈折率材料は、第1の低屈折率材料より高い屈折率を有する任意の材料とすることができる。たとえば、埋込み膜24を形成する第2の高屈折率材料は、金属酸化物、窒化物、又は酸窒化物を含むことができる。埋込み膜24のための好適な酸化物材料の例には、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、リン、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、並びに/又はこれらの合金及び/若しくは混合物の酸化物が含まれる。たとえば、埋込み膜24は、ケイ素及び/又はアルミニウムの酸化物を含むことができる。
【0066】
たとえば、埋込み膜24は、ケイ素及びアルミニウムの酸化物を含むことができる。この例によれば、第2の下層膜22は、少なくとも50体積%のシリカ、50~99体積%のシリカ及び50~1体積%のアルミナ、60~98体積%のシリカ及び40~2体積%のアルミナ、70~95体積%のシリカ及び30~5体積%のアルミナ、80~90重量%のシリカ及び10~20重量%のアルミナ、又は8重量%のシリカ及び15重量%のアルミナを有するはずである。
【0067】
埋込み膜24は、5nm~50nm、10~40nm、又は15~30nmの範囲内の厚さを有することができる。
【0068】
物品は、任意選択で、透明導電性酸化物層14の上に、本明細書に記載する保護層などの保護層16を含むことができる。たとえば、保護層16は、第1の保護膜60及び第2の保護膜62を含むことができる。第2の保護膜62は、チタニア及びシリカの混合物を含むことができる。たとえば、保護層16は、第1の保護膜60、第2の保護膜62、及び第3の保護膜64を含む。
【0069】
図3は、基材10と、基材の上の下層12と、下層12の上の第1の透明導電性酸化物層114と、第1の透明導電性酸化物層114の上の埋込み膜124とを含む別の例示的な物品2を示す。埋込み膜124の上に、第2の透明導電性酸化物層115が位置する。任意選択で、第2の透明導電性酸化物層115の上に、保護層16を付着させることができる。
【0070】
埋込み膜124は、金属酸化物、窒化物、又は酸窒化物を含むことができる。第2の高屈折率金属のための好適な材料の例には、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、リン、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、並びに/又はこれらの合金及び/若しくは混合物の酸化物が含まれる。たとえば、第2の高屈折率材料は、シリカ及び/又はアルミナを含むことができる。
【0071】
たとえば、埋込み膜124は、シリカ及びアルミナを含むことができる。第2の高屈折率材料は、少なくとも50体積%のシリカ、50~99体積%のシリカ及び50~1体積%のアルミナ、60~98体積%のシリカ及び40~2体積%のアルミナ、若しくは70~95体積%のシリカ及び30~5体積%のアルミナ、80~90重量%のシリカ及び10~20重量%のアルミナ、又は8重量%のシリカ及び15重量%のアルミナを有するはずである。
【0072】
埋込み膜124は、5nm~50nm、10~40nm、又は15~30nmの範囲内の厚さを有することができる。
【0073】
第1の透明導電性酸化物層114及び第2の透明導電性酸化物層115は、75nm~950nm、90nm~800nmなど、125nm~700nmなどの範囲内の総計厚さを有する。たとえば、総計厚さは、950nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、350nm、300nm、275nm、250nm、又は225nm以下とすることができる。総計厚さは、少なくとも75nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも125nm、150nm、又は175nmとすることができる。第1の透明導電性酸化物層114は、少なくとも10nm、少なくとも25nm、50nm、75nm、又は100nm、及び多くとも650nm、550nm、475nm、350nm、250nm、又は150の厚さを有することができる。第2の透明導電性酸化物層115は、少なくとも10nm、少なくとも25nm、50nm、75nm、又は100nm、及び多くとも650nm、550nm、475nm、350nm、250nm、又は150の厚さを有することができる。たとえば、第1の透明導電性酸化物層114及び第2の透明導電性酸化物層115がITOを含む場合、第1の透明導電性酸化物層114は、少なくとも25nm、50nm、75nm、又は100nm、及び多くとも200nm、175nm、150nm、又は125nmの厚さを有することができ、第2の透明導電性酸化物層115は、少なくとも25nm、50nm、75nm、又は100nm、及び多くとも200nm、175nm、150nm、又は125nmの厚さを有することができる。別の例では、透明導電性酸化物層114及び第2の透明導電性酸化物層115がAZOを含む場合、第1の透明導電性酸化物層114は、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも200nm、250nm、又は300nm、及び多くとも650nm、550nm、多くとも450nm、多くとも325nm、又は多くとも200nmの厚さを有することができ、第2の透明導電性酸化物層115は、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも200nm、250nm、又は300nm、及び多くとも650nm、550nm、多くとも450nm、多くとも325nm、又は多くとも200nmの厚さを有することができる。別の例では、透明導電性酸化物層114及び第2の透明導電性酸化物層115がGZOを含む場合、第1の透明導電性酸化物層114は、少なくとも30nm、少なくとも60nm、少なくとも75nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも125nm、少なくとも150nm、200nm、又は300nm、及び多くとも350nm、多くとも300nm、275nm、多くとも250nm、又は多くとも225nmの厚さを有することができ、第2の透明導電性酸化物層115は、少なくとも30nm、少なくとも60nm、少なくとも75nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも125nm、少なくとも150nm、200nm、又は300nm、及び350nm、多くとも300nm、275nm、多くとも250nm、又は多くとも225nmの厚さを有することができる。
【0074】
第1の透明導電性酸化物層114及び第2の透明導電性酸化物層115の厚さを変化させることによって、埋込み膜124を透明導電性酸化物層14内でより高い位置又は透明導電性酸化物層14内でより低い位置へ動かす。意外なことに、埋込み膜24、124が被覆スタック内でどこに位置決めされるかにかかわらず、シート抵抗は大幅に増大する(
図13a参照)。さらに意外なことに、透明導電性酸化物層14内の埋込み膜24、124の位置は、光透過率に異なる影響を与える(
図13b参照)。第1の透明導電性酸化物層114が第2の透明導電性酸化物層115より薄く、それによって埋込み膜124が透明導電性酸化物層14内でより低く位置決めされるとき、光透過率は増大する(
図13b参照)。第1の透明導電性酸化物層114が第2の透明導電性酸化物層115より厚く、それによって埋込み膜124が透明導電性酸化物層14内でより高く位置決めされるとき、この増大はより顕著になる(
図13b参照)。しかし、第1の透明導電性酸化物層114の厚さが第2の透明導電性酸化物層115の厚さにほぼ等しく、それによって埋込み膜124が透明導電性酸化物層14のほぼ中央に位置決めされる場合、透過率は低下する(
図13b参照)。たとえば、第2の透明導電性酸化物膜115は、第1の透明導電性酸化物膜114より少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%(すなわち、少なくとも2倍)、少なくとも125%、又は少なくとも150%厚くすることができ、第1の透明導電性酸化物膜114より多くとも250%厚く、多くとも200%厚く、多くとも150%厚く、多くとも125%厚く、多くとも100%(すなわち、多くとも2倍)厚く、多くとも75%厚く、多くとも50%厚く、又は多くとも25%厚くすることができる。別法として、第2の透明導電性酸化物膜115は、第1の透明導電性酸化物膜114より少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%(すなわち、少なくとも2倍)、少なくとも125%、又は少なくとも150%薄くすることができ、第1の透明導電性酸化物膜114より多くとも250%薄く、多くとも200%薄く、多くとも150%薄く、多くとも125%薄く、多くとも100%(すなわち、多くとも2倍)薄く、多くとも75%薄く、多くとも50%薄く、又は多くとも25%薄くすることができる。
【0075】
本発明の別の例は、被覆物品2を作製する方法である。基材10が提供される。基材10の少なくとも一部分の上に、第1の高屈折率材料を有する第1の下層膜20が付着される。第1の下層膜20の少なくとも一部分の上に、第1の低屈折率材料を有する第2の下層膜22が付着され、第1のより低屈折率の材料は、第1の高屈折率膜より低い屈折率を有する。下層12の少なくとも一部分の上に、第1の透明導電性酸化物膜114が付着される。第1の透明導電性酸化物膜114の少なくとも一部分の上に、第2の高屈折率材料を有する埋込み膜124が付着され、第2の高屈折率材料は、第1の低屈折率材料より大きい屈折率を有し、又は第1の高屈折率に対する屈折率の10%若しくは5%の範囲内の屈折率を有し、又は第1の高屈折率材料と同じ材料であり、又は第1の高屈折率材料と同じ屈折率を有する。埋込み膜124の少なくとも一部分の上に、第2の透明導電性酸化物膜115が付着される。第2の高屈折率膜は、透明導電性酸化物膜を2つの部分、すなわち第1の透明導電性酸化物膜及び第2の透明導電性酸化物膜に分割する。
【0076】
埋込み膜124はまた、被覆基材に対する色を調節することを可能にする。色は、少なくとも-9、-4、-3、又は-1.5、及び多くとも1、0、又は-0.5のa*、並びに少なくとも-9、-4、-3、又は-1.5、及び多くとも1、0、又は-0.5のb*を有することができる。
【0077】
2つの高屈折率材料及び低屈折率材料の厚さを変化させることによって、被覆基材の色を調節することができる。この目的で、まず透明導電性酸化物膜114及び115で使用される材料を特定するべきである。その材料が特定された後、所望のシート抵抗が特定される。材料及びシート抵抗を知ることによって、透明導電性酸化物層14の厚さ、又は第1の透明導電性酸化物膜114及び第2の透明導電性酸化物膜115の総計厚さを判定することができる。透明導電性酸化物層14は、被覆基材の色に影響する。この色の影響を相殺するために、光学設計ツール(たとえば、FILM STAR)を使用して、第1の下層膜20及び第2の下層膜22についての厚さ、並びに埋込み膜24、124の厚さを特定することができる。これは、透明導電性酸化物層14の厚さをソフトウェアに入力し、第1の高屈折率材料、第2の高屈折率材料、及び第1のより低屈折率の材料を特定することによって行われる。これらのパラメータによって、第1の下層膜20及び第2の下層膜24、並びに埋込み膜24、124の厚さを判定することができる。次いで、これらの膜はそれらの特定された厚さで付着される。
【0078】
たとえば、この方法は、第1の透明導電性酸化物膜114で使用される第1の透明導電性酸化物材料、及び第2の透明導電性酸化物115で使用される第2の透明導電性酸化物材料を特定することを含むことができる。これらの透明導電性酸化物は、GZO、AZO、IZO、MZO、又はITOとすることができる。
【0079】
透明導電性酸化物層14についての厚さは、まず所望のシート抵抗を特定することによって特定することができる。シート抵抗が特定された後、次いで両方の透明導電性酸化物膜114、115の総計厚さを特定することができる。シート抵抗は、少なくとも8Ω/□、少なくとも10Ω/□、又は少なくとも12Ω/□とすることができ、多くとも25Ω/□、多くとも20Ω/□、又は多くとも18Ω/□とすることができる。それらの値を実現するために、総計の透明導電性酸化物層14の厚さは、少なくとも75nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも175nm、少なくとも180nm、少なくとも190nm、少なくとも200nm、少なくとも205nm、少なくとも225nm、又は少なくとも360nmとすることができる。透明導電性酸化物層14は被覆基材の色に影響するため、透明導電性酸化物膜114、115の総計厚さを最小にすることが重要である。この目的で、透明導電性酸化物膜114、115の総計厚さは、多くとも800nm、多くとも700nm、多くとも360nm、少なくとも350nm、多くとも300nm、多くとも275nm、多くとも250nm、多くとも225nm、多くとも205nm、多くとも200nm、多くとも190nm、多くとも180nm、又は多くとも175nmとすることができる。
【0080】
また、透明導電性酸化物内の埋込み膜24、124の位置を判定することもできる。その際、透過率を増大させたいか、それとも低下させたいかを考慮する(
図13(b)参照)。第1の透明導電性酸化物膜114は、第2の導電性酸化物膜115より厚く、より薄く、又はほぼ同じ厚さとすることができる。
【0081】
第1の下層膜20のための第1の高屈折率材料、第2の下層膜22のための第1の低屈折率材料、及び埋込み膜24、124のための第2の高屈折率材料が特定される。任意選択で、各保護層膜60、62、及び/又は64についての特定された厚さを有する保護層16を特定することができる。所望の色が特定される。それらのパラメータは、FILM STARなどの光学設計ツールに入力され、第1の下層膜20及び下層膜22並びに埋込み膜124についての厚さが特定される。
【0082】
下層12、透明導電性酸化物層14、埋込み膜24、124、及び任意選択の保護層16を有する被覆スタックは、基材の上に特定された厚さで付着される。下層膜20、22、及び埋込み膜24、124の厚さは、物品2の色を所望の色に調節する。
【0083】
図4a及び
図4bは、基材10と、基材10の上の下層12と、下層12の上の透明導電性酸化物層14と、透明導電性酸化物層14の上の保護層16とを含む別の例示的な物品2を示す。基材10、下層12、及び透明導電性酸化物層14は、本明細書に論じる基材又は下層のいずれかとすることができる。透明導電性酸化物層14は、本明細書に論じる埋込み層24、124によって分割することができる。
【0084】
保護層16は、透明導電性酸化物層14の上に位置し、又は任意選択で透明導電性酸化物層14に直接接触している。保護層16は、少なくとも2つの保護膜60、62又は少なくとも3つの保護膜60、62、64を含むことができる。
【0085】
図4aは、保護層が2つの保護膜60、62を有する物品の一例を示す。第1の保護膜60は、透明導電性酸化物層14の上に位置決めされ、第2の保護膜62より透明導電性酸化物層14に近い。第2の保護膜62は、被覆物品上の被覆18内で最も外側の膜である。
【0086】
第1の保護膜60は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、又はこれらの混合物を含むことができる。たとえば、第1の保護膜は、シリカ及びアルミナの混合物を含むことができる。別の例では、第1の保護膜60は、スズ酸亜鉛を含むことができる。別の例では、第1の保護膜60は、ジルコニアを含むことができる。
【0087】
第2の保護膜62は、チタニア及びアルミナの混合物を含む。第2の保護膜62は、基材10の上に付着された被覆18内の最後の膜である。
【0088】
第2の保護膜62は、40~60重量パーセントのアルミナ及び60~40重量パーセントのチタニア、45~55重量パーセントのアルミナ及び55~45重量パーセントのチタニア、48~52重量パーセントのアルミナ及び52~48重量パーセントのチタニア、49~51重量パーセントのアルミナ及び51~49重量パーセントのチタニア、又は50重量パーセントのアルミナ及び50重量パーセントのチタニアを含む。
【0089】
図4bに示すように、保護層16は、第1の保護膜60と第2の保護膜62との間に位置決めされた第3の保護膜64をさらに含むことができる。第3の保護膜64は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、又はこれらの混合物を含むことができる。たとえば、第3の保護膜64は、シリカ及びアルミナの混合物を含むことができる。別の例では、第3の保護膜64は、スズ酸亜鉛を含む。別の例では、第3の保護膜64は、ジルコニアを含む。
【0090】
基材10、機能被覆112、及び保護層16を含む別の例示的な物品が、
図5a及び
図5bに示されている。この方法の基材は、ガラス、プラスチック、又は金属とすることができる。
【0091】
機能被覆112は、任意の機能被覆とすることができる。たとえば、機能被覆112は、複数の誘電体膜又は複数の金属膜を含むことができる。機能被覆は、本明細書に記載する下層12、及び/又は本明細書に記載する透明導電性酸化物層14を含むことができる。保護層16は、本明細書に記載する第1の保護膜60及び第2の保護膜62とすることができる。この例では、第2の保護膜62が最も外側の膜であり、アルミナ及びチタニアを含む。
【0092】
保護層は、少なくとも20nm、40nm、60nm、又は80nm、100nm、又は120nm、及び多くとも275nm、255nm、240nm、170nm、150nm、125nm、又は100nmの総厚さを有することができる。第1の保護膜は、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも27nm、少なくとも35nm、少なくとも40nm、少なくとも54nm、少なくとも72nm、及び多くとも85nm、70nm、60nm、50nm、45nm、30nmの厚さを有することができる。第2の保護膜は、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも27nm、少なくとも35nm、少なくとも40nm、少なくとも54nm、少なくとも72nm、及び多くとも85nm、70nm、60nm、50nm、45nm、30nmの厚さを有することができる。任意選択の第3の保護膜は、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも27nm、少なくとも35nm、少なくとも40nm、少なくとも54nm、少なくとも72nm、及び多くとも85nm、70nm、60nm、50nm、45nm、30nmの厚さを有することができる。たとえば、保護層は、以下の表1に挙げる厚さを有することができる。一実施例では、第1の保護膜は、少なくとも20nm又は少なくとも30nm、及び多くとも60nm又は多くとも50nmの厚さを有する。第2の保護膜は、少なくとも15nm又は少なくとも20nm、及び多くとも50nm又は多くとも40nmの厚さを有する。任意選択の第3の保護層は、少なくとも5nm又は少なくとも10nm、及び多くとも30nm又は多くとも20nmの厚さを有する。任意選択の第3の保護層は、第1の保護膜と機能層との間又は第1の保護膜と第2の保護膜との間に位置決めすることができる。
【表1】
【0093】
機能被覆112は、単一膜の機能被覆とすることができ、或いは1つ若しくは複数の誘電体層及び/又は1つ若しくは複数の赤外反射層を含む複数膜の機能被覆とすることができる。
【0094】
機能被覆112は、たとえば、日射制御被覆とすることができる。「日射制御被覆」という用語は、それだけに限定されるものではないが、日射量、たとえば被覆物品から反射され、被覆物品によって吸収され、又は被覆物品を通過する可視、赤外、又は紫外放射の量、遮蔽係数、放射率などの被覆物品の日射特性に影響を及ぼす1つ又は複数の層又は膜から構成される被覆を指す。日射制御被覆は、それだけに限定されるものではないが、IR、UV、及び/又は可視スペクトルなど、日射スペクトルの選択された部分を阻止、吸収、又は濾過することができる。
【0095】
機能被覆112は、たとえば、1つ又は複数の誘電体膜を含むことができる。誘電体膜は、それだけに限定されるものではないが、金属酸化物、金属合金の酸化物、窒化物、酸窒化物、又はこれらの混合物を含む反射防止材料を含むことができる。誘電体膜は、可視光に対して透明とすることができる。誘電体膜のための好適な金属酸化物の例には、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、及びこれらの混合物の酸化物が含まれる。これらの金属酸化物は、酸化ビスマス中のマンガン、酸化インジウム中のスズなど、少量の他の材料を有することができる。加えて、亜鉛及びスズを含有する酸化物(たとえば、以下に定義するスズ酸亜鉛)、インジウム-スズ合金、窒化ケイ素、ケイ素アルミニウム窒化物、又は窒化アルミニウムの酸化物など、金属合金又は金属混合物の酸化物を使用することができる。さらに、アンチモン若しくはインジウムでドープされた酸化スズ又はニッケル若しくはホウ素でドープされた酸化ケイ素などのドープされた金属酸化物を使用することができる。誘電体膜は、金属合金酸化物膜、たとえばスズ酸亜鉛などの実質上単一相の膜とすることができ、又は亜鉛及び酸化スズから構成される相の混合物とすることができ、又は複数の膜から構成することができる。
【0096】
機能被覆112は、放射反射膜を含むことができる。放射反射膜は、それだけに限定されるものではないが、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀、又はこれらの混合物などの反射金属を含むことができる。一実施例では、放射反射膜は、金属銀層を含む。
【0097】
一実施例では、機能被覆は、基材10の上の第1の誘電体層120と、第1の誘電体層120の上の第2の誘電体層122と、第1の誘電体層と第2の誘電体層120との間(
図7a参照)又は第2の誘電体層122の上(
図6a参照)に位置する金属層126とを含む。保護被覆16は、金属層126の上に位置決めされる(
図6b参照)。任意選択で、金属膜と第1の誘電体層(
図6c参照)又は第2の誘電体層(
図6d参照)との間に、下塗り剤128を付着させることができる。
【0098】
誘電体膜120及び122は、可視光に対して透明とすることができる。誘電体膜120及び122のための好適な金属酸化物の例には、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、及びこれらの混合物の酸化物が含まれる。これらの金属酸化物は、酸化ビスマス中のマンガン、酸化インジウム中のスズなど、少量の他の材料を有することができる。加えて、亜鉛及びスズを含有する酸化物(たとえば、上記で定義したスズ酸亜鉛)、インジウム-スズ合金、窒化ケイ素、ケイ素アルミニウム窒化物、又は窒化アルミニウムの酸化物など、金属合金又は金属混合物の酸化物を使用することができる。さらに、アンチモン若しくはインジウムでドープされた酸化スズ又はニッケル若しくはホウ素でドープされた酸化ケイ素などのドープされた金属酸化物を使用することができる。誘電体膜120及び122は、金属合金酸化物膜、たとえばスズ酸亜鉛などの実質上単一相の膜とすることができ、又は亜鉛及び酸化スズから構成される相の混合物とすることができる。誘電体膜120及び122は、100Å~600Å、200Å~500Åなど、250Å~350Åなどの範囲内の総計厚さを有することができる。
【0099】
金属膜126は、金属金、銅、パラジウム、アルミニウム、銀、及びこれらの合金からなる群から選択することができる。たとえば、金属膜126は、銀とすることができる。
【0100】
任意選択の下塗り剤128は、単一の膜又は複数の膜とすることができる。たとえば、下塗り剤128は、スパッタリングプロセス又は後の加熱プロセス中に金属膜126の劣化又は酸化を防止するために蒸着プロセス中に犠牲にすることができる酸素捕捉材料を含むことができる。下塗り剤128はまた、被覆を通過する可視光などの電磁放射の少なくとも一部分を吸収することができる。下塗り剤128として有用な材料の例には、チタン、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ニッケル-クロム合金(Inconelなど)、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素及びアルミニウムの合金、コバルト及びクロムを含有する合金(たとえば、Stellite(登録商標))、並びにこれらの混合物が含まれる。たとえば、下塗り剤148は、チタンとすることができる。
【0101】
保護層16は、第1の保護膜60及び第2の保護膜62、又は第1の保護膜60(
図5a及び
図6a~
図6d参照)、第2の保護膜62、及び第3の保護膜64(
図5b及び
図6e~
図6h)を含むことができる。
【0102】
被覆物品を作製する方法では、基材10の上に下層12が付着され、下層12の上に透明導電性酸化物層14が付着される。基材10の上に下部被覆12を付着させることができ、下層12の少なくとも一部分の上に透明導電性酸化物層14を付着させることができ、又は下部被覆12及び透明導電性酸化物層14を有する基材10を提供することができる。透明導電性酸化物の少なくとも一部分の上に、保護層16が付着される。保護層16は、まず透明導電性酸化物の上に第1の保護膜60を付着させ、次いで第1の保護膜60の上に第2の保護膜62を付着させることによって付着される。任意選択で、第1の保護膜60の上に第3の保護膜64を付着させることができ、第3の保護膜64の上に第2の保護膜62を付着させることができる。
【0103】
被覆物品を作製する方法では、基材10の上に機能被覆112が付着される。基材10の上に機能被覆112を付着させることができ、又は機能被覆112を有する基材を提供することができる。機能被覆112の上に、保護層16が付着される。保護層16は、まず透明導電性酸化物の上に第1の保護膜60を付着させ、次いで第1の保護膜60の上に第2の保護膜62を付着させることによって付着される。任意選択で、第1の保護膜60の上に第3の保護膜64を付着させることができ、第3の保護膜64の上に第2の保護膜62を付着させることができる。
【0104】
本発明の別の例示的な方法は、被覆物品のシート抵抗を増大させる方法である。被覆物品が提供される。被覆物品は、基材と、基材の少なくとも一部の上の透明導電性酸化物層とを有する。被覆物品は、蒸着後プロセスによって処理される。
【0105】
蒸着後プロセスは、被覆物品を焼き戻しすること、透明導電性酸化物層の一表面のみをフラッシュ・アニーリングすること、又は透明導電性酸化物層に渦電流を通すこととすることができる。
【0106】
被覆物品を焼き戻しすることは、透明導電性酸化物層の表面が、少なくとも5、10、15、20、25、又は30秒、及び多くとも120、90、60、55、50、45、40、35、又は30秒にわたって、193.3℃(380°F)超、少なくとも223.9℃(435°F)、又は少なくとも335℃(635°F)に到達するように、物品全体を加熱することによって行われる。透明導電性酸化物層は、335℃(635°F)又は430℃(806°F)を超えて加熱されるべきではない。被覆物品は、加熱された後、特定の速度で常温まで急速に冷却される。
【0107】
被覆物品をフラッシュ・アニーリングして、シート抵抗を増大させることができる。これは、フラッシュ・ランプを使用して被覆物品の一表面を加熱することによって行われる。加熱される表面は、透明導電性酸化物層が位置する表面である。この表面は、少なくとも5、10、15、20、25、又は30秒、及び多くとも120、90、60、50、55、45、40、35、又は30秒にわたって、193.3℃(380°F)超、少なくとも223.9℃(435°F)、又は少なくとも335℃(635°F)の温度まで加熱される。この表面は、520℃(968°F)以下、470℃(878°F)以下、430℃(806°F)以下、又は335℃(635°F)以下に加熱されるべきである。この表面は、加熱された後、常温まで冷却される。
【0108】
透明導電性酸化物(「TCO」)に渦電流を通すことは、変化する磁場に透明導電性酸化物層を露出させることによって行うことができる。たとえば、TCOで被覆された基材の上に、磁場を印加することができる。TCOは磁場に面する。透明導電性酸化物層に渦電流が通される。
【0109】
別の例示的な方法は、被覆物品のシート抵抗を低下させる方法である。基材が提供される。この方法の基材は、ガラス、プラスチック、又は金属とすることができる。任意選択で、基材は下層で被覆される。下層は、1つの膜、2つの膜、又はそれ以上を含むことができる。基材は、基材又は下層の少なくとも一部分の上に透明導電性酸化物を付着させることによって、透明導電性酸化物で被覆される。任意選択で、透明導電性酸化物層内に埋込み膜が付着される。この任意選択のステップは、透明導電性酸化物層の第1の部分を付着させ、透明導電性酸化物層の第1の部分の少なくとも一部分の上に埋込み層を付着させ、埋込み層の少なくとも一部分の上に透明導電性酸化物層の第2の部分を付着させることによって行われる。被覆物品は、上述した蒸着後プロセスのうちの1つによって処理される。
【0110】
任意選択で、この方法は、透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に、本明細書に記載する保護層を付着させることをさらに含むことができる。保護層は、2つの保護膜又は3つの保護膜を有することができる。
【0111】
蒸着後プロセスで物品を処理することによって、物品のシート抵抗は、25オーム/平方未満、20オーム/平方未満、18オーム/平方未満、16オーム/平方未満、又は15オーム/平方未満まで低下する。これは、TCOの厚さを低減させるのに特に有用である。たとえば、AZOは、400nm又は320nmより小さく160nmより大きい厚さを有することができる。AZOは、344nmより小さく172nmより大きい厚さを有するはずである。ITOは、275nm又は175nmより小さく95nmより大きい厚さを有するはずである。
【0112】
1つの例示的な実施例は、ガラス基材が提供される被覆ガラス物品を作製する方法である。好ましくはマグネトロン・スパッタリング真空蒸着プロセス、若しくは放射熱を使用しない何らかの他のプロセスによって、ガラス基材の上に下部被覆が付着され、又は室温で基材の上に下部被覆が付着される。好ましくは、下部被覆は2つの膜を含み、第1の膜は酸化亜鉛及び酸化スズを含み、第2の膜はシリカ及びチタニアを含む。好ましくはマグネトロン・スパッタリング真空蒸着プロセス、放射熱を使用しない何らかの他のプロセスによって、下部被覆の上に透明導電性酸化物が付着され、又は室温で下部被覆の上に透明導電性酸化物が付着される。好ましくは、透明導電性酸化物はスズでドープされた酸化インジウムである。好ましくはマグネトロン・スパッタリング真空蒸着プロセス、若しくは放射熱を使用しない何らかの他のプロセスによって、透明導電性酸化物の上に任意選択の保護層が付着され、又は室温で透明導電性酸化物の上に任意選択の保護層が付着される。透明導電性酸化物の吸収率は、0.2以下であり、且つ/又は少なくとも0.05の高さである。
【0113】
1つの例示的な実施例では、物品は冷蔵庫ドアである。冷蔵庫ドアは、組立て前のある時点で蒸着後プロセスによって処理されるはずであるが、ドアの外部のための金属が被覆された後に適当に処理されるはずである。典型的には、冷蔵庫ドアを加熱させると、ドアに適当に嵌合する形状に被覆物品を屈曲させることが可能になる。この加熱プロセスにより透明導電性酸化物が結晶化し、シート抵抗が低減されるはずである。
【0114】
上記の説明で開示した概念から逸脱することなく、本発明に修正を加えることができることが、当業者には容易に理解されよう。したがって、本明細書に詳細に説明する特定の実施例は例示のみを目的とし、本発明の範囲に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲及びそのあらゆる均等物の完全な幅が与えられるべきである。
【0115】
実例1 (010761)
ガラス基材を下層及び透明導電性酸化物層で被覆した。下層は、第1の下層膜及び第2の下層膜を有した。第1の下層膜は、ガラス基材の上のスズ酸亜鉛であり、第2の下層膜は、第1の下層膜の上のシリカ-アルミナ合金であり、約85重量パーセントのシリカ及び15重量パーセントのアルミナを有した。第2の下層膜の上の透明導電性酸化物層は、スズでドープされた酸化インジウム(「ITO」)であった。
【0116】
被覆物品の伝導率を改善するために、物品全体を炉に入れ、透明導電性酸化物層の温度を測定した(
図7a及び
図7b参照)。
【0117】
以下のサンプルを試験して、ITOのそれぞれの厚さに対して改善された伝導率を確立した。
【表2】
【0118】
図7a及び
図7bに見ることができるように、ITOの蒸着後加熱は、厚さにかかわらず、約55~70Ω/□から約10~25Ω/□へシート抵抗を低下させた。ITO厚さが少なくとも96.8nmより厚いときは、加熱温度にかかわらず、シート抵抗は25Ω/□未満であった。ITO厚さが少なくとも109.2であるとき、ITO表面が520℃(968°F)に到達した場合、シート抵抗は20Ω/□未満であった。約127.9nmの場合、任意の温度まで加熱されたとき、ITOは20Ω/□未満のシート抵抗を有した。シート抵抗の改善は予想外であった。他の透明導電性酸化物でも類似の結果が得られており、これは透明導電性酸化物にかかわらず、温度は193.3℃(380°F)超、少なくとも223.9℃(435°F)、又は430℃(806°F)以下になるはずであることを示唆している。
【0119】
図8a~
図8cに示すように、蒸着後加熱は、ITO層の結晶度を増大させた。試験したサンプルを以下の表3に挙げる。
【表3】
【0120】
ITOの結晶形成を増大させるために必要とされる最小表面温度に集中することによって、エネルギーの節約による大きな利益が得られる。
【0121】
実例2
ガラス基材を透明導電性酸化物層で被覆した。透明導電性酸化物は、ガリウムでドープされた酸化亜鉛(「GZO」)であった。異なるGZO厚さを有するいくつかのサンプルを準備し、サンプルについてのシート抵抗を測定し、蒸着時GZOのシート抵抗に対する蒸着後処理の効果を比較した。蒸着後プロセスは、被覆物品を炉に入れることであった。フラッシュ・アニーリングの前後に各サンプルのシート抵抗を試験し、結果を
図9に示す。試験したサンプルについての厚さ及びシート抵抗を以下の表4に挙げる。
【表4】
【0122】
図9に示すように、GZOの蒸着後フラッシュ・アニーリングは、試験した厚さのすべてに対するシート抵抗を改善した。改善は、GZOが厚さ約320~480nmであるときに最も顕著であった。GZO層が厚さ約320nmであったとき、「蒸着時」GZO層は35.6Ω/□のシート抵抗を提供したのに対して、熱処理後のシート抵抗は12.7Ω/□であった。これは、この厚さにおいてフラッシュ・アニーリングがシート抵抗を許容可能な範囲まで低減させたのに対して、フラッシュ・アニーリングを行っていない場合、シート抵抗は許容できないほど高かったために重要である。
【0123】
類似の結果は、GZOが厚さ480nmであるときに観察された。「蒸着時」GZOサンプルのシート抵抗は約21.8Ω/□であったのに対して、熱処理済みサンプルは7.8Ω/□であった。
【0124】
シート抵抗の差は、GZOの厚さが非常に大きくなるまで低減される。たとえば、約950nmの場合、「蒸着時」GZOサンプルは約8Ω/□のシート抵抗を有したのに対して、フラッシュ・アニーリング済みサンプルは約5Ω/□のシート抵抗を有した。この場合、どちらのサンプルも十分に低いシート抵抗を有した。
【0125】
したがって、
図9に示すように、透明導電性酸化物としてGZOを有したサンプルに対して、最も大きく最も顕著なシート抵抗の差を提供する厚さは、GZO層が少なくとも厚さ300nm及び多くとも厚さ500nmのときである。
【0126】
熱処理は、許容可能なシート抵抗に到達するために必要とされる透明導電性酸化物層の厚さを低減させる。いかなる蒸着後処理も行わない場合、シート抵抗が20Ω/□未満になるまでに、GZOを少なくとも550nmまで付着させなければならないはずである。加熱は、より薄いGZO層を付着させることを可能にする。これは、適当な被覆物品を作製するコストを低減させるだけでなく、GZOが被覆物品の光学的特性及び色に与える影響も低減させる。
【0127】
これは意外な発見であり、より薄い透明導電性酸化物層のシート抵抗を改善する費用効果の高い手法を提供した。
【0128】
実例3
ガラス基材を、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛(「AZO」)の透明導電性酸化物層で被覆した。異なるAZO厚さを有するいくつかのサンプルを準備し、サンプルについてのシート抵抗を測定し、蒸着時AZOのシート抵抗に対する蒸着後処理の効果を比較した。蒸着後プロセスは、被覆物品を炉に入れることを伴った。フラッシュ・アニーリングの前後に各サンプルのシート抵抗を試験し、結果を
図10に示す。試験したサンプルについての厚さ及びシート抵抗を以下の表5に挙げる。
【表5】
【0129】
図10に示すように、AZOの蒸着後加熱は、試験した厚さのすべてについてシート抵抗を改善した。改善は、AZOが厚さ約344~860nmであるときに最も顕著であった。AZO層が厚さ344nmであったとき、「蒸着時」AZO層は約78.3Ω/□のシート抵抗を提供したのに対して、熱処理後のシート抵抗は19.5Ω/□であった。これは、この厚さにおいて加熱がシート抵抗を許容可能な範囲まで低減させたのに対して加熱を行っていない場合、シート抵抗は許容できないほど高かったために重要である。
【0130】
類似の結果は、AZOが厚さ860nmであるときに観察された。「蒸着時」AZOサンプルのシート抵抗は約26.6Ω/□であったのに対して、熱処理済みサンプルは約7.1Ω/□であった。
【0131】
シート抵抗の差は、AZOの厚さが非常に大きくなるまで低減される。たとえば、約1050nmの場合、「蒸着時」AZOサンプルは約17.0Ω/□のシート抵抗を有したのに対して、熱処理済みサンプルは3.9Ω/□のシート抵抗を有した。この場合、どちらのサンプルも十分に低いシート抵抗を有した。
【0132】
したがって、
図10に示すように、透明導電性酸化物としてAZOを有したサンプルに対して、最も大きく最も顕著なシート抵抗の差を提供する厚さは、AZO層が少なくとも厚さ344nm及び多くとも厚さ860nmのときである。
【0133】
加熱はまた、許容可能なシート抵抗に到達するために必要とされる透明導電性酸化物層の厚さを低減させる。いかなる蒸着後処理も行わない場合、シート抵抗が20Ω/□未満になるまでに、AZOを少なくとも1032nmまで付着させなければならないはずである。加熱は、より薄いAZO層を付着させることを可能にする。これは、適当な被覆物品を作製するコストを低減させるだけでなく、AZOが被覆物品の光学的特性及び色に与える影響も低減させる。
【0134】
これは意外な発見であり、より薄い透明導電性酸化物層のシート抵抗を改善する費用効果の高い手法を提供した。
【0135】
実例4
FILM STARを使用して、様々な下層厚さを試験し、どの厚さが許容可能な色又は中間色を提供するかを判定した。下層及び透明導電性酸化物を有するガラス基材を使用した。下層は、第1の膜及び第2の膜を有した。第1の下層膜は、ガラス基材の上のスズ酸亜鉛であり、第2の下層膜は、第1の下層膜の上のシリカ-アルミナ合金であり、約85重量パーセントのシリカ及び15重量パーセントのアルミナを有した。第2の下層膜の上の透明導電性酸化物層は、厚さ170nmのスズでドープされた酸化インジウム(「ITO」)層であった。
【0136】
まず、所望のシート抵抗を判定した。この例では、所望のシート抵抗は約10Ω/□~15Ω/□であった。このシート抵抗を実現するために、透明導電性酸化物層は厚さ約170nmであるべきであると判定した。
【0137】
FILM STARを使用して、ガラス及び透明導電性酸化物層の材料及び厚さを入力した。次に、第1の下層膜及び第2の下層膜のための材料を判定した。この例では、第1の下層膜材料はスズ酸亜鉛であり、第2の下層膜材料はシリカ-アルミナ合金であり、85重量パーセントのシリカ及び15重量パーセントのアルミナを有した。FILM STARによって、以下の被覆を分析した(表6及び
図11参照)。まず、サンプルにおける第1の下層の厚さは8nm~17nmの範囲であり、第2の下層膜の厚さは27nm~35nmの範囲であった。
【表6】
【0138】
図11に示すように、第1の下層膜が厚さ13nmであり、第2の下層膜が厚さ31nmであったとき、a*、b*が-1、-1の中間色が得られた。第1の下層膜が厚さ11nm~15nmであり、第2の下層膜が厚さ29nm~33.5nmであったとき、a*が-3~1であり、b*が-3~1である許容可能な色が得られた。
【0139】
実例5
FILM STARを使用して、透明導電性酸化物層の変動する厚さを試験し、下層についての適当な厚さを判定した。この例では、FILM STARパラメータは、第1の下層膜及び第2の下層膜を有する下層で被覆されたガラス基材を含んだ。第1の下層膜はスズ酸亜鉛であり、第2の下層膜はシリカであった。第2の下層膜の上の透明導電性酸化物層は、スズでドープされた酸化インジウム(「ITO」)であった。ITO層の上に、シリカの保護層が位置した。表7及び
図12は、試験したサンプルを示す。表7は、ITO層及びSiO
2層に関してFILM STARに入力した値を示す。出力は、-1、-1(a*、b*)の色を提供するはずの2つの下層膜についての厚さを提供した。
【表7】
【0140】
これらのサンプルは、透明導電性酸化物層が厚さ175nm~225nmであり、保護被覆が厚さ30nmであるとき、約-1、-1(a*、b*)の色を実現するために、第1の下層膜が少なくとも厚さ10nm及び多くとも厚さ15nmになるべきであり、第2の下層膜が少なくとも厚さ28nm及び多くとも厚さ36nmになるべきであることを示す。これらのサンプルはまた、透明導電性酸化物層が厚さ175nm~225nmであり、保護層が厚さ45nmであるとき、適当な色を実現するために、第1の下層膜が少なくとも厚さ11nm及び多くとも厚さ14nmになるべきであり、第2の下層膜が少なくとも厚さ32nm及び多くとも厚さ38nmになるべきであることを示す。
【0141】
図12は、-1、-1の色をもたらす理想的な厚さを示す。-1、-1が好ましいが、
図11に囲んだ色(すなわち、-3~1のa*、及び-3~1のb*)などの他の色も許容可能である。
【0142】
実例6
様々な深さ及び厚さにおける埋込み膜の効果を試験し、埋込み層のない透明導電性酸化物層と比較した。ガラス基材を底部透明導電性酸化物膜で被覆した。底部透明導電性酸化物膜は、スズでドープされた酸化インジウム(「ITO」)から作製され、厚さ120nm、180nm、又は240nmであった。底部透明導電性酸化物層の上に、埋込み膜を付着させた。埋込み膜は、厚さ15nm又は30nmであり、スズ酸亜鉛膜であった。埋込み膜の上に、頂部透明導電性酸化物膜を付着させた。頂部透明導電性酸化物膜はITOであり、厚さ240nm、180nm、又は120nmであった。底部及び頂部の透明導電性酸化物膜の総計厚さは360nmであった。対照のために、基材の上に、埋込み膜を含まないITO酸化物を360nmの厚さで付着させた。550nmにおけるシート抵抗及び透過率をサンプルに対して測定した。これらのサンプルを以下の表8及び
図13に挙げる。
【表8】
【0143】
図13aに示すように、実験サンプルA~Fは、対照サンプルGと比較すると、少なくとも35%のシート抵抗の改善を有した。サンプルA及びBは、サンプルGと比較すると、少なくとも40%のシート抵抗の改善を有した。サンプルC及びDは、サンプルGと比較すると、少なくとも35%のシート抵抗の改善を有した。サンプルE及びFは、サンプルGと比較すると、少なくとも37%のシート抵抗の改善を有した。
【0144】
このデータに基づいて、埋込み膜は、その位置又は厚さにかかわらず、意外なことに透明導電性酸化物層のシート抵抗を大幅に低下させる。
【0145】
図13bに示すように、サンプルE及びFは、透過率の最大の増大を提供した。サンプルA及びBでは、より小さい改善が見られた。したがって、頂部透明導電性酸化物層と底部透明導電性酸化物層との間に厚さの差を有することによって、光透過量を増大させることができる。さらに、頂部透明導電性酸化物層が底部透明導電性酸化物層より薄く、それによって埋込み層は透明導電性酸化物層の底部より透明導電性酸化物層の頂部の表面に近く位置決めされる場合、透過率がはるかに増大することは意外な発見であった。対照的に、頂部及び底部の透明導電性酸化物層がほぼ等しい場合、光透過率は予想外に低下する。
【0146】
図13cは、埋込み膜も透明導電性酸化物の結晶度に影響することを示す。埋込み膜を有することによって、このXRDデータから、結晶度が予想外に改善されることを見ることができる。
【0147】
実例7
この例では、様々な保護層を調査した。ガラス基材の上に、保護層を配置した。被覆物品は、基材と保護層との間に、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛の透明導電性酸化物を含んだ。下層、機能層、又は透明導電性酸化物層が観察結果に影響しないとは予期されないはずである。
【0148】
ガラス基材は異なる保護層である。サンプル1~3は、単一の膜を含む保護層を有した。これらのサンプルの一覧を表9に提供する。
【表9】
【0149】
サンプル5~11は、第1の保護膜と、第1の保護膜の上の第2の保護膜とを含む保護層を有した。これらのサンプルの一覧を表10に提供する。第1の膜は第2の膜より基材に近く、第2の膜は最も外側の膜である。
【表10】
【0150】
サンプル12~15は、3つの膜を含む保護層を有した。これらのサンプルの一覧を表11に提供する。第1の膜は、第2の膜又は第3の膜より基材に近い。他の図及び上記の説明との一貫性のため、第2の保護膜は最も外側の膜であり、第1の膜と第3の膜との間に第3の保護膜を位置決めした。
【表11】
【0151】
ASTM Cleveland Condensation試験を使用して、これらのサンプルの耐久性を試験した。
図14及び
図15に示すように、最も外側の層としてTiAlOを有した保護膜が最善を実行した。これらの図は、表9~表11に挙げたサンプル1~15についてのdEcmcを示す。
【0152】
具体的には、
図14は、2つ又は3つの保護膜を有し、最も外側の膜がTiAlOであったサンプルが、予想外により良好な耐久性を有したことを示す。具体的には、サンプル6(SiAlO/TiAlO)、サンプル7(SnZn/TiAlO)、及びサンプル13(SnZn/SiAlO/TiAlO)である。
図15は、最も外側の層としてチタニア及びアルミナを有する保護層が、予想外により大きい耐久性を提供したことをさらに実証する。
図15で、サンプル19(ZrO
2/SiAlO/TiAlO)及びサンプル20(SiAlO/ZrO
2/TiAlO)は、他の3つの膜を含む保護層サンプル(サンプル16、17、18、及び21)と比較すると、予想外により良好な耐久性を示す。
【0153】
このデータは、チタニア-アルミナの最も外側の保護膜が大幅に改善された耐久性を提供するという予想外の結果を示す。
【0154】
実例8
透明導電性酸化物が様々な雰囲気中でスパッタリングされたサンプルを試験した。
図16~
図20に示すように、マグネトロン・スパッタリング真空蒸着(「MSVD」)方法を介して、ガラス基材を、インジウムでドープされた酸化スズ(「ITO」)又はアルミニウムでドープされた酸化亜鉛(「AZO」)で被覆した。ITOサンプルは、0%、0.5%、1%、1.5%、又は2%の酸素を含有した雰囲気中でスパッタリングし、その後熱処理し、AZOサンプルは、0%、1%、2%、3%、4%、5%、又は6%の酸素を含有した雰囲気中でスパッタリングし、その後熱処理した。雰囲気の残りはアルゴンであった。ITOサンプルは、225nm、175nm、又は150nmのITO厚さを有し、AZOサンプルは、基材上に付着されたAZOの300nm~350nmの厚さを有した。これらのサンプルを試験して、放射率、吸収率、及び/又はシート抵抗を判定した(放射率は伝導率の測度である)。サンプルの透明導電性酸化物表面が約30秒間で少なくとも223.9℃(435°F)に到達するような期間にわたって被覆物品を炉に入れることによって、これらのサンプルを熱処理した。
【0155】
透明の物品を透明導電性酸化物で被覆するとき、低吸収率及び低シート抵抗(放射率に対応する)の物品が求められる。
図16は、酸素が雰囲気に添加されるにつれて、吸収率が低下することを示す。しかし、
図17に示すように、雰囲気の酸素が0%になったとき、物品の放射率/シート抵抗は最も高くなる。
図16及び
図17を使用すると、スパッタリング雰囲気が雰囲気中に0.75%~1.25%の酸素を有するとき、吸収率と放射率との間の理想的な均衡が得られる。
図17が示すように、雰囲気が2.0%未満の酸素を有する場合、ITOで被覆された熱処理済み物品のシート抵抗は、ITOで被覆された非加熱の物品より低い。雰囲気が1.5%の酸素を含むとき、シート抵抗は大幅に増大する。このデータから推定して、被覆チャンバ内の雰囲気は、1.5%以下、好ましくは1.25%以下の酸素にするべきであるという結論を得た。ITO被覆物品についての吸収率のある程度の低下を得るために、雰囲気は、少なくとも0.5%の酸素、好ましくは少なくとも0.75%の酸素を含有するべきである。
【0156】
実例9
マグネトロン・スパッタリング真空蒸着(「MSVD」)プロセスによって、ガラス基材を、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛層で被覆した。ターゲットは、特定の量の酸素を含有するセラミック・アルミニウムでドープされた酸化亜鉛であった。MSVDプロセスを使用して透明導電性酸化物などの材料を蒸着させるとき、このプロセスはセラミック原材料を解離させ、場合により酸素の一部を逃す。蒸着した材料が酸化することを確実にするために、多くの場合、不活性ガスともに被覆チャンバへ酸素が供給される。この例では、MSVDによって被覆チャンバ内でAZOが蒸着され、チャンバに供給される酸素含有率は0%、1%、2%、3%、4%、5%、又は6%であった。被覆チャンバに供給される雰囲気の残りはアルゴンであったが、任意の不活性ガスを使用することができる。被覆の正規化吸収率を判定した。
図18に示すように、0%の酸素が被覆チャンバに供給されるとき、550nmの正規化吸収率が最善であった。1%の酸素が被覆チャンバに供給されるときも許容可能であった。
図18に示すデータに基づいて、被覆チャンバ内の酸素が0.5%未満である場合、1%の酸素が使用されるときより著しく良好な吸収率を提供することが推定されるはずである。
【0157】
図19に示すように、正規化吸収率は、0%の酸素から1%の酸素で急激な減少を有し、1%の酸素から2%の酸素で最小の減少を有する。このデータは、推定によって、1%未満の酸素、0.5%未満の酸素、又は0.25%未満の酸素、又は0.1%未満の酸素、又は0%の酸素が被覆チャンバに供給されると、最善の吸収率を提供すると結論付けた結論をさらに支持する。
【0158】
実例10
被覆物品の蒸着後加熱に伴う1つの問題は、無駄になるエネルギーの量である。上記で論じたように、透明導電性酸化物(「TCO」)層の蒸着後加熱は、より小さい厚さで改善された性能を提供する。被覆物品を炉に入れて物品全体を加熱するとき、TCO層を結晶化するために必要な温度を超えるとエネルギーが無駄になる。透明導電性酸化物層の性能を改善するために必要とされる表面温度を判定するために、ガラス基材を、厚さ115nm又は厚さ171nmのインジウムでドープされた酸化スズで被覆した。サンプルは、表12及び表13に挙げる温度まで加熱されたITO層の表面を有した。この実験の目的で、被覆物品全体を炉に入れることによって表面を加熱したが、代替としてフラッシュ・ランプを使用することもできる。
【0159】
表面の蒸着後加熱後、各サンプルのシート抵抗を測定した(
図21並びに表12及び表13参照)。結果は、約223.9℃(435°F)で、層がその最低シート抵抗に到達することを示す。加えて、表面の加熱は、いかなる追加のシート抵抗の低減も提供しない。したがって、透明導電性酸化物層のシート抵抗を低減させるために、蒸着後加熱により、透明導電性酸化物層の表面を193.3℃(380°F)超、少なくとも223.9℃(435°F)、223.9℃(435°F)~430℃(806°F)、223.9℃(435°F)~335℃(635°F)、又は223.9℃(435°F)まで加熱するべきである。
【表12】
【表13】
【0160】
本発明について、以下の番号付きの条項においてさらに説明する。
【0161】
条項1:基材と、前記基材の上の下層とを含み、下層が、高屈折率材料を含む第1の下層膜と、第1の層の上にある、低屈折率材料を含む第2の下層膜と、下層の上の透明導電性酸化物層とを含む被覆物品。
【0162】
条項2:高屈折率材料が、酸化亜鉛及び酸化スズを含む、請求項1に記載の被覆物品。
【0163】
条項3:低屈折率材料が、シリカ及びアルミナを含む、条項1又は2に記載の被覆物品。
【0164】
条項4:透明導電性膜が、スズでドープされた酸化インジウムを含む、条項1から3までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0165】
条項5:透明導電性酸化物層が、少なくとも75nm、詳細には少なくとも90nm、より詳細には少なくとも100nm、より詳細には少なくとも125nm、より詳細には少なくとも150nm、又はより詳細には少なくとも175nmの厚さを有する、条項1から4までのいずれか一項に記載の被覆。
【0166】
条項6:透明導電性酸化物層が、多くとも350nm、詳細には多くとも300nm、詳細には多くとも275nm、詳細には多くとも250nm、より詳細には多くとも225nmの厚さを有する、条項1から5までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0167】
条項7:被覆物品が、5~25オーム/平方、詳細には5~20オーム/平方、より詳細には8~18オーム/平方、より詳細には5~15オーム/平方の範囲内のシート抵抗を有する、条項1から6までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0168】
条項8:少なくとも-9及び多くとも1、詳細には少なくとも-4及び多くとも0、より詳細には少なくとも-3及び多くとも1、より詳細には少なくとも-1.5及び多くとも-0.5、より詳細には-1のa*、並びに少なくとも-9及び多くとも1、詳細には少なくとも-4及び多くとも0、より詳細には少なくとも-3及び多くとも1、より詳細には少なくとも-1.5及び多くとも-0.5、より詳細には-1のb*を有する色を被覆物品に提供するように、第1の下層膜が第1の下層厚さを有し、第2の下層膜が第2の下層厚さを有する、条項1から7までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0169】
条項9:高屈折率材料が酸化亜鉛を含む、条項1から8までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0170】
条項10:透明導電性酸化物層の上に保護層をさらに含み、保護層が、第1の保護膜と、第1の保護膜の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを含み、第2の保護膜が最も外側の膜であり、第2の保護膜がチタニア及びアルミナを含む、条項1から9までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0171】
条項11:第1の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項10に記載の被覆物品。任意選択で、第1の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0172】
条項12:第2の保護膜が、35~65重量パーセントのチタニア、詳細には45~55重量パーセントのチタニア、より詳細には50重量パーセントのチタニアを含む、条項9又は10に記載の被覆物品。
【0173】
条項13:第2の保護膜が、65~35重量パーセントのアルミナ、詳細には55~45重量パーセントのアルミナ、より詳細には50重量パーセントのアルミナを含む、条項10から12までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0174】
条項14:第1の保護膜の少なくとも一部分の上に、第1の保護膜と第2の保護膜との間又は第1の保護膜と機能被覆との間に位置決めされた第3の保護膜をさらに含み、第3の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項10から13までのいずれか一項に記載の被覆物品。任意選択で、第3の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0175】
条項15:被覆基材の色を調整する方法であって、基材を提供するステップと、少なくとも5Ω/□及び25Ω/□以下(詳細には20Ω/□以下、より詳細には18Ω/□以下)のシート抵抗を提供する透明導電性酸化物層のための透明導電性酸化物及び透明導電性酸化物層厚さを特定するステップと、透明導電層厚さの透明導電性酸化物を有する被覆基材に、-9~1、詳細には-4~0、より詳細には-3~1、より詳細には-1.5~-0.5のa*、並びに-9~1、詳細には-4~0、より詳細には-3~1、より詳細には-1.5~-0.5のb*を有する色を提供する第1の下層膜のための第1の下層材料及び第1の下層厚さ並びに第2の下層材料及び第2の下層厚さを特定するステップと、第1の下層厚さを有する第1の下層膜を基材の少なくとも一部分の上に付着させるステップと、第2の下層厚さを有する第2の下層膜を第1の下層膜の少なくとも一部分の上に付着させるステップと、透明導電層厚さの透明導電性酸化物の透明導電性酸化物層を下層の少なくとも一部分の上に付着させるステップとを含む方法。
【0176】
条項16:透明導電性酸化物が、スズでドープされた酸化インジウムである、条項15に記載の方法。
【0177】
条項17:透明導電層厚さが、少なくとも125nm(詳細には少なくとも150nm、より詳細には少なくとも175nm)及び950nm(詳細には500nm、より詳細には350nm、より詳細には225nm)以下である、条項15又は16に記載の方法。
【0178】
条項18:第1の下層材料が、酸化亜鉛及び酸化スズを含む、条項15から17までのいずれか一項に記載の方法。
【0179】
条項19:第1の下層厚さが、少なくとも11nm及び15nm以下である、条項15から18までのいずれか一項に記載の方法。
【0180】
条項20:第2の下層材料が、シリカ及びアルミナを含む、条項15から19までのいずれか一項に記載の方法。
【0181】
条項21:第2の下層厚さが、少なくとも29nm及び34nm以下である、条項15から20までのいずれか一項に記載の方法。
【0182】
条項22:透明導電性酸化物層の一部分の上に保護層を付着させるステップをさらに含み、保護層が、第1の保護膜と、第1の保護膜の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを含み、第2の保護膜が最も外側の膜であり、第2の保護膜がチタニア及びアルミナを含む、条項15から21までのいずれか一項に記載の方法。
【0183】
条項23:第1の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項22に記載の方法。任意選択で、第1の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0184】
条項24:第2の保護膜が、35~65重量パーセントのチタニア、詳細には45~55重量パーセントのチタニア、より詳細には50重量パーセントのチタニアを含む、条項22又は23に記載の方法。
【0185】
条項25:第2の保護膜が、65~35重量パーセントのアルミナ、詳細には55~45重量パーセントのアルミナ、より詳細には50重量パーセントのアルミナを含む、条項22から25までのいずれか一項に記載の方法。
【0186】
条項26:第1の保護膜の少なくとも一部分の上に、第1の保護膜と第2の保護膜との間又は第1の保護膜と機能被覆との間に位置決めされた第3の保護膜をさらに含み、第3の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項22から25までのいずれか一項に記載の方法。任意選択で、第3の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0187】
条項27:基材と、基材の少なくとも一部分の上の下層と、下層の少なくとも一部分の上の透明導電性酸化物層とを含む被覆物品。下層は、第1の下層膜と、任意選択の第2の下層膜とを有する。第1の下層膜は、第1の高屈折率材料を含む。任意選択の第2の下層膜は、低屈折率材料を含む。第1の高屈折率材料は、低屈折率材料より高い屈折率を有する。透明導電性酸化物層は、透明導電性酸化物層内に埋め込まれた埋込み膜を有する。埋込み膜は、第2の高屈折率材料を含む。第2の高屈折率材料は、低屈折率材料より高い屈折率を有する。
【0188】
条項28:埋込み膜が、5nm~50nm、詳細には10nm~40nm、より詳細には15nm~30nmの厚さを有する、条項27に記載の被覆物品。
【0189】
条項29:第2の高屈折率材料が、酸化スズ及び酸化亜鉛を含む、条項27又は29に記載の被覆物品。
【0190】
条項30:埋込み膜が、透明導電性酸化物層の頂部のより近くに位置決めされる、条項27から29までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0191】
条項31:埋込み膜が、透明導電性酸化物層の底部のより近くに位置決めされる、条項27から29までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0192】
条項32:埋込み膜が、透明導電性酸化物層のほぼ中央に位置決めされる、条項27から29までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0193】
条項33:透明導電性酸化物層が、ガリウムでドープされた酸化亜鉛(「GZO」)、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛(「AZO」)、インジウムでドープされた酸化亜鉛(「IZO」)、マグネシウムでドープされた酸化亜鉛(「MZO」)、又はスズでドープされた酸化インジウム(「ITO」)、詳細にはGZO、AZO、及びITO、より詳細にはITOからなる群から選択される、条項27から32までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0194】
条項34:高屈折率材料が、酸化亜鉛及び酸化スズを含む、条項27から33までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0195】
条項35:低屈折率材料が、シリカ及びアルミナを含む、条項27から34までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0196】
条項36:透明導電性酸化物層が、少なくとも75nm、より詳細には少なくとも90nm、より詳細には少なくとも100nm、より詳細には少なくとも125nm、より詳細には少なくとも150nm、より詳細には少なくとも175nm、又はより詳細には少なくとも320nmの厚さを有する、条項27から35までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0197】
条項37:透明導電性酸化物層が、多くとも950nm、詳細には多くとも550nm、より詳細には多くとも480nm、より詳細には多くとも350nm、より詳細には多くとも300nm、より詳細には多くとも275nm、より詳細には多くとも250nm、より詳細には多くとも225nmの厚さを有する、条項27から34までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0198】
条項38:被覆物品が、5~20オーム/平方、詳細には8~18オーム/平方、より詳細には5~15オーム/平方の範囲内のシート抵抗を有する、条項27から37までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0199】
条項39:少なくとも-9及び多くとも1、詳細には少なくとも-4及び多くとも0、より詳細には少なくとも-3及び多くとも1、より詳細には少なくとも-1.5及び多くとも-0.5、より詳細には-1のa*、並びに少なくとも-9及び多くとも1、詳細には少なくとも-4及び多くとも0、より詳細には少なくとも-3及び多くとも1、より詳細には少なくとも-1.5及び多くとも-0.5、より詳細には-1のb*を有する色を被覆物品に提供するように、第1の下層膜が第1の下層厚さを有し、第2の下層膜が第2の下層厚さを有し、埋込み膜が埋込み膜厚さを有する、条項27から38までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0200】
条項40:第1の下層膜厚さが11nm~15nmであり、且つ/又は第2の下層膜厚さが29nm~34nmである、条項39に記載の被覆物品。
【0201】
条項41:透明導電性酸化物層の上に保護層をさらに含み、保護層が、第1の保護膜と、第1の保護膜の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを含み、第2の保護膜が最も外側の膜であり、第2の保護膜がチタニア及びアルミナを含む、条項27から40までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0202】
条項42:第1の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項41に記載の被覆物品。任意選択で、第1の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0203】
条項43:第2の保護膜が、35~65重量パーセントのチタニア、詳細には45~55重量パーセントのチタニア、より詳細には50重量パーセントのチタニアを含む、条項41又は42に記載の被覆物品。
【0204】
条項44:第2の保護膜が、65~35重量パーセントのアルミナ、詳細には55~45重量パーセントのアルミナ、より詳細には50重量パーセントのアルミナを含む、条項40から43までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0205】
条項45:第1の保護膜の少なくとも一部分の上に、第1の保護膜と第2の保護膜との間又は第1の保護膜と機能被覆との間に位置決めされた第3の保護膜をさらに含み、第3の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項40から44までのいずれか一項に記載の被覆物品。任意選択で、第3の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0206】
条項46:被覆物品の色を調整する方法。この方法は、基材の少なくとも一部分の上に第1の下層膜を付着させるステップを含む。第1の下層膜は、第1の高屈折率材料を含む。任意選択で、第1の下層膜の少なくとも一部分の上に、低屈折率材料を含む第2の下層膜が付着される。第1の高屈折率材料は、低屈折率材料より高い屈折率を有する。第1の下層膜又は任意選択の第2の下層膜の少なくとも一部分の上に、第1の透明導電性酸化物膜が付着される。第1の透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に、埋込み膜が付着される。埋込み膜は、第2の高屈折率材料を含む。第2の高屈折率材料は、低屈折率材料より高い屈折率を有する。埋込み膜の少なくとも一部分の上に、第2の透明導電性酸化物膜が付着される。
【0207】
条項47:埋込み膜が、5nm~50nm、詳細には10nm~40nm、より詳細には15nm~30nmの厚さを有する、条項46に記載の方法。
【0208】
条項48:第2の高屈折率材料が、酸化スズ及び酸化亜鉛を含む、条項46又は47に記載の方法。
【0209】
条項49:埋込み膜が、透明導電性酸化物層の頂部のより近くに位置決めされる、条項46から47までのいずれか一項に記載の方法。
【0210】
条項50:埋込み膜が、透明導電性酸化物層の底部のより近くに位置決めされる、条項46から47までのいずれか一項に記載の方法。
【0211】
条項51:埋込み膜が、透明導電性酸化物層のほぼ中央に位置決めされる、条項46から47までのいずれか一項に記載の方法。
【0212】
条項52:第1の透明導電性酸化物膜及び/又は第2の透明導電性酸化物膜が、ガリウムでドープされた酸化亜鉛(「GZO」)、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛(「AZO」)、インジウムでドープされた酸化亜鉛(「IZO」)、マグネシウムでドープされた酸化亜鉛(「MZO」)、又はスズでドープされた酸化インジウム(「ITO」)、詳細にはGZO、AZO、及びITO、より詳細にはITOからなる群から選択される、条項46から51までのいずれか一項に記載の方法。
【0213】
条項53:高屈折率材料が、酸化亜鉛及び酸化スズを含む、条項46から52までのいずれか一項に記載の方法。
【0214】
条項54:低屈折率材料が、シリカ及びアルミナを含む、条項46から53までのいずれか一項に記載の方法。
【0215】
条項55:第1の透明導電性酸化物層及び/又は第2の透明導電性酸化物層が、少なくとも80nm、又は詳細には少なくとも120nm、より詳細には少なくとも180nm、より詳細には少なくとも240nm、又はより詳細には少なくとも360nmの厚さを有する、条項46から55までのいずれか一項に記載の方法。
【0216】
条項56:第1の透明導電性酸化物層及び/又は第2の透明導電性酸化物層が、多くとも400nm、詳細には多くとも360nm、より詳細には多くとも240nm、より詳細には多くとも180nm、より詳細には多くとも120nm、又はより詳細には多くとも80nmの厚さを有する、条項46から55までのいずれか一項に記載の方法。
【0217】
条項57:被覆物品が、5~25オーム/平方、詳細には5~20オーム/平方、より詳細には5~18オーム/平方の範囲内のシート抵抗を有する、条項46から56までのいずれか一項に記載の方法。
【0218】
条項58:少なくとも-9及び多くとも1、詳細には少なくとも-4及び多くとも0、より詳細には少なくとも-3及び多くとも1、より詳細には少なくとも-1.5及び多くとも-0.5、より詳細には-1のa*、並びに少なくとも-9及び多くとも1、詳細には少なくとも-4及び多くとも0、より詳細には少なくとも-3及び多くとも1、より詳細には少なくとも-1.5及び多くとも-0.5、より詳細には-1のb*を有する色を被覆物品に提供するように、第1の下層膜が第1の下層厚さを有し、第2の下層膜が第2の下層厚さを有し、埋込み膜が埋込み膜厚さを有する、条項46から57までのいずれか一項に記載の方法。
【0219】
条項59:第1の下層膜厚さが11nm~15nmであり、且つ/又は第2の下層膜厚さが29nm~34nmである、条項46から58までのいずれか一項に記載の方法。
【0220】
条項60:透明導電性酸化物層の上に保護層を付着させるステップをさらに含み、保護層が、第1の保護膜と、第1の保護膜の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを含み、第2の保護膜が最も外側の膜であり、第2の保護膜がチタニア及びアルミナを含む、条項46から59までのいずれか一項に記載の方法。
【0221】
条項61:第1の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項60に記載の方法。任意選択で、第1の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0222】
条項62:第2の保護膜が、35~65重量パーセントのチタニア、詳細には45~55重量パーセントのチタニア、より詳細には50重量パーセントのチタニアを含む、条項60又は61に記載の方法。
【0223】
条項63:第2の保護膜が、65~35重量パーセントのアルミナ、詳細には55~45重量パーセントのアルミナ、より詳細には50重量パーセントのアルミナを含む、条項60から62までのいずれか一項に記載の方法。
【0224】
条項64:第1の保護膜の少なくとも一部分の上に、第1の保護膜と第2の保護膜との間又は第1の保護膜と機能被覆との間に位置決めされた第3の保護膜をさらに含み、第3の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項60から63までのいずれか一項に記載の方法。任意選択で、第3の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0225】
条項65:第1の透明導電性酸化物膜及び第2の透明導電性酸化物膜が、同一の金属酸化物を含有する、条項47から64までのいずれか一項に記載の方法。
【0226】
条項66:基材と、基材の少なくとも一部分の上の下層とを含む被覆物品。下層は、第1の下層膜及び第2の下層膜を有する。第1の下層膜は、第1の高屈折率材料を含む。第2の下層膜は、低屈折率材料を含む。第1の高屈折率材料は、低屈折率材料より高い屈折率を有する。第2の下層膜の少なくとも一部分の上に、第1の透明導電性酸化物膜が位置する。第1の透明導電性酸化物膜の少なくとも一部分の上に、埋込み膜が位置する。埋込み膜は、第2の高屈折率材料を含む。第2の高屈折率材料は、低屈折率材料より高い屈折率を有する。埋込み膜の少なくとも一部分の上に、第2の透明導電性酸化物膜が位置する。
【0227】
条項67:埋込み膜が、5nm~50nm、詳細には10nm~40nm、より詳細には15nm~30nmの厚さを有する、条項66に記載の被覆物品。
【0228】
条項68:第2の高屈折率材料が、酸化スズ及び酸化亜鉛を含む、条項66又は67に記載の被覆物品。
【0229】
条項69:第1の透明導電性酸化物膜が、第2の透明導電性酸化物膜より厚い、条項66から68までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0230】
条項70:第1の透明導電性酸化物膜が、第2の透明導電性酸化物膜より薄い、条項66から68までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0231】
条項71:第1の透明導電性酸化物膜が、第2の透明導電性酸化物膜とほぼ同じ厚さである、条項66から68までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0232】
条項72:第1の透明導電性酸化物膜及び/又は第2の透明導電性酸化物膜が、ガリウムでドープされた酸化亜鉛(「GZO」)、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛(「AZO」)、インジウムでドープされた酸化亜鉛(「IZO」)、マグネシウムでドープされた酸化亜鉛(「MZO」)、又はスズでドープされた酸化インジウム(「ITO」)、詳細にはGZO、AZO、及びITO、より詳細にはITOからなる群から選択される、条項66から71までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0233】
条項73:高屈折率材料が、酸化亜鉛及び酸化スズを含む、条項66から72までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0234】
条項74:低屈折率材料が、シリカ及びアルミナを含む、条項66から73までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0235】
条項75:透明導電性酸化物層が、多くとも950nm、詳細には多くとも550nm、より詳細には多くとも360nmの厚さを有する、条項66から74までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0236】
条項76:被覆物品が、5~20オーム/平方、詳細には8~18オーム/平方、より詳細には5~15オーム/平方の範囲内のシート抵抗を有する、条項66から75までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0237】
条項77:少なくとも-9及び多くとも1、詳細には少なくとも-4及び多くとも0、より詳細には少なくとも-3及び多くとも1、より詳細には少なくとも-1.5及び多くとも-0.5、より詳細には-1のa*、並びに少なくとも-9及び多くとも1、詳細には少なくとも-4及び多くとも0、より詳細には少なくとも-3及び多くとも1、より詳細には少なくとも-1.5及び多くとも-0.5、より詳細には-1のb*を有する色を被覆物品に提供するように、第1の下層膜が第1の下層厚さを有し、第2の下層膜が第2の下層厚さを有し、埋込み膜が埋込み膜厚さを有する、条項66から80までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0238】
条項78:第1の下層膜厚さが11nm~15nmであり、且つ/又は第2の下層膜厚さが29nm~34nmである、条項76から77までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0239】
条項79:透明導電性酸化物層の上に保護層をさらに含み、保護層が、第1の保護膜と、第1の保護膜の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを含み、第2の保護膜が最も外側の膜であり、第2の保護膜がチタニア及びアルミナを含む、条項66から78までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0240】
条項80:第1の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項79に記載の被覆物品。任意選択で、第1の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0241】
条項81:第2の保護膜が、35~65重量パーセントのチタニア、詳細には45~55重量パーセントのチタニア、より詳細には50重量パーセントのチタニアを含む、条項79又は80に記載の被覆物品。
【0242】
条項82:第2の保護膜が、65~35重量パーセントのアルミナ、詳細には55~45重量パーセントのアルミナ、より詳細には50重量パーセントのアルミナを含む、条項79から81までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0243】
条項83:第1の保護膜の少なくとも一部分の上に、第1の保護膜と第2の保護膜との間又は第1の保護膜と機能被覆との間に位置決めされた第3の保護膜をさらに含み、第3の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項79から82までのいずれか一項に記載の被覆物品。任意選択で、第3の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0244】
条項84:第1の透明導電性酸化物層及び/又は第2の透明導電性酸化物層が、多くとも400nm、詳細には多くとも360nm、より詳細には多くとも240nm、より詳細には多くとも180nm、より詳細には多くとも120nm、又はより詳細には多くとも80nmの厚さを有する、条項66から83までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0245】
条項85:基材と、基材の少なくとも一部分の上の機能層と、機能層の少なくとも一部分の上の第1の保護膜と、第1の保護膜の少なくとも一部分の上の第2の保護膜とを含む被覆物品。第2の保護膜は、チタニア及びアルミナを含み、最も外側の膜である。
【0246】
条項86:第1の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項85に記載の被覆物品。
【0247】
条項87:第2の保護膜が、35~65重量パーセントのチタニア、詳細には45~55重量パーセントのチタニア、より詳細には50重量パーセントのチタニアを含む、条項85又は86に記載の被覆物品。
【0248】
条項88:第2の保護膜が、65~35重量パーセントのシリカ、詳細には55~45重量パーセントのシリカ、より詳細には50重量パーセントのシリカを含む、条項85から87までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0249】
条項89:第1の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項85から88までのいずれか一項に記載の被覆物品。任意選択で、第1の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0250】
条項90:機能層が、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛、ガリウムでドープされた酸化亜鉛、及びスズでドープされた酸化インジウムからなる群から選択された透明導電性酸化物層、詳細にはスズでドープされた酸化インジウムを含む、条項85から89までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0251】
条項91:機能層が、銀、金、パラジウム、銅、又はこれらの混合物からなる群から選択された金属、詳細には銀を含む、条項85から90までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0252】
条項92:第1の保護膜の少なくとも一部分の上に、第1の保護膜と第2の保護膜との間又は第1の保護膜と機能被覆との間に位置する第3の保護膜をさらに含む、条項85から91までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0253】
条項93:第3の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項85から91までのいずれか一項に記載の被覆物品。任意選択で、第3の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0254】
条項94:機能層を保護する方法であって、機能層で被覆された物品を提供するステップと、機能被覆の少なくとも一部分の上に第1の保護膜を付着させるステップと、第1の保護膜の少なくとも一部分の上に第2の保護膜を付着させるステップとを含み、第2の保護膜がチタニア及びアルミナを含む、方法。
【0255】
条項95:第1の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項94に記載の方法。
【0256】
条項96:第2の保護膜が、35~65重量パーセントのチタニア、詳細には45~55重量パーセントのチタニア、より詳細には50重量パーセントのチタニアを含む、条項94又は95に記載の方法。
【0257】
条項97:第2の保護膜が、65~35重量パーセントのシリカ、詳細には55~45重量パーセントのシリカ、より詳細には50重量パーセントのシリカを含む、条項94から99までのいずれか一項に記載の方法。
【0258】
条項98:第1の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項94から97までのいずれか一項に記載の方法。任意選択で、第1の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0259】
条項99:機能層が、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛、ガリウムでドープされた酸化亜鉛、及びスズでドープされた酸化インジウムからなる群から選択された透明導電性酸化物層、詳細にはスズでドープされた酸化インジウムを含む、条項94から98までのいずれか一項に記載の方法。
【0260】
条項100:機能層が、銀、金、パラジウム、銅、又はこれらの混合物からなる群から選択された金属、詳細には銀を含む、条項94から99までのいずれか一項に記載の方法。
【0261】
条項101:第1の保護膜の少なくとも一部分の上に、第1の保護膜と第2の保護膜との間又は第1の保護膜と機能被覆との間に位置する第3の保護膜をさらに含む、条項94から100までのいずれか一項に記載の方法。
【0262】
条項102:第3の保護膜が、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、条項94から101までのいずれか一項に記載の方法。任意選択で、第3の保護膜は、チタニア及びアルミナの混合物を含まない。
【0263】
条項103:透明導電性酸化物層の吸収率、被覆物品の放射率、及び/又は被覆物品の吸収率を低減させる方法であって、基材を提供するステップと、透明導電性酸化物層を付着させるステップと、0%~1.0%の酸素、詳細には0%~0.5%の酸素を含む雰囲気中で透明導電性酸化物層を含む被覆物品を熱処理するステップとを含む方法。
【0264】
条項104:透明導電性酸化物層が、インジウムでドープされた酸化スズ(「ITO」)又はアルミニウムでドープされた酸化亜鉛(「AZO」)を含む、条項103に記載の方法。
【0265】
条項105:透明導電性酸化物層が、少なくとも125nm、詳細には少なくとも150nm、より詳細には少なくとも175nm、及び多くとも450nm、多くとも400nm、多くとも350nm、多くとも300nm、多くとも250nm、又は多くとも250nmの厚さを有する、条項103又は104に記載の方法。
【0266】
条項106:透明導電性酸化物層が、インジウムでドープされた酸化スズ(「ITO」)を含み、雰囲気が、0.75%~1.25%の酸素を含む、条項103から105までのいずれか一項に記載の方法。
【0267】
条項107:透明導電性酸化物層が、少なくとも95nm及び多くとも225nmの厚さを含む、条項103から106までのいずれか一項に記載の方法。
【0268】
条項108:透明導電性酸化物層が、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛(「AZO」)を含み、雰囲気が、0%~0.5%の酸素、詳細には0%~0.25%の酸素、より詳細には0%~0.1体積%の酸素、又はより詳細には0体積%の酸素を含む、条項103から107までのいずれか一項に記載の方法。
【0269】
条項109:透明導電性酸化物層が、少なくとも225nm及び多くとも440nmの厚さを含む、条項108に記載の方法。
【0270】
条項110:基材の少なくとも一部分の上に機能被覆を付着させるステップをさらに含み、機能被覆が、基材と透明導電性酸化物層との間に位置決めされる、条項103から109までのいずれか一項に記載の方法。
【0271】
条項111:透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む第1の保護膜を付着させ、第1の保護膜の少なくとも一部分の上に、チタニア及びアルミナを含む第2の保護膜を付着させるステップをさらに含み、第2の保護膜が最も外側の膜である、条項103から110までのいずれか一項に記載の方法。
【0272】
条項112:被覆物品のシート抵抗を低減させる方法であって、室温で透明導電性酸化物層を含む被覆を基材に付着させるステップと、少なくとも5秒、少なくとも10秒、少なくとも30秒、及び120秒、90秒、60秒、55秒、50秒、45秒、40秒、又は35秒以下にわたって、透明導電性酸化物層の頂面を193.3℃(380°F)超又は少なくとも223.9℃(435°F)まで加熱するステップとを含む方法。
【0273】
条項113:加熱ステップが、フラッシュ・アニーリングである、条項112に記載の方法。
【0274】
条項114:透明導電性酸化物層が、少なくとも125nm及び多くとも950nmである、条項112又は113に記載の方法。
【0275】
条項115:透明導電性酸化物層が、スズでドープされた酸化インジウムを含み、少なくとも105nm及び多くとも171nmであり、処理ステップ後の被覆物品のシート抵抗が、20Ω/□未満である、条項112から114までのいずれか一項に記載の方法。
【0276】
条項116:透明導電性酸化物層が、ガリウムでドープされた酸化亜鉛を含み、少なくとも320nm及び多くとも480nmの厚さを有し、処理ステップ後の被覆物品のシート抵抗が、20Ω/□未満である、条項112から115までのいずれか一項に記載の方法。
【0277】
条項117:透明導電性酸化物層が、アルミナでドープされた酸化物を含み、少なくとも344nm及び多くとも880nmの厚さを有し、処理ステップ後の被覆物品のシート抵抗が、20Ω/□未満である、条項112から116までのいずれか一項に記載の方法。
【0278】
条項118:被覆を付着させるステップが、マグネトロン・スパッタリング真空蒸着プロセスを含む、条項112から117までのいずれか一項に記載の方法。
【0279】
条項119:被覆を付着させるステップが、放射熱を使用しない、条項112から118までのいずれか一項に記載の方法。
【0280】
条項120:透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に第1の保護膜を付着させるステップであって、第1の保護膜がチタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、シリカ、又はこれらの混合物を含む、第1の保護膜を付着させるステップと、透明導電性酸化物層の少なくとも一部分の上に第2の保護膜を付着させるステップであって、第2の保護膜がチタニア及びアルミナを含む、第2の保護膜を付着させるステップとをさらに含み、第1の保護膜を付着させるステップ及び第2の保護膜を付着させるステップが、処理ステップの前又は後に行われる、条項112から119までのいずれか一項に記載の方法。
【0281】
条項121:加熱ステップが、335℃(635°F)を超えて透明導電性酸化物の頂面を上昇させない、条項112から120までのいずれか一項に記載の方法。
【0282】
条項122:基材がガラスであり、透明導電性酸化物が、0.3以下の吸収率を有する、条項112から121までのいずれか一項に記載の方法。
【0283】
条項123:基材がガラスであり、透明導電性酸化物が、少なくとも0.05の高さの吸収率を有する、条項112から122までのいずれか一項に記載の方法。
【0284】
条項124:被覆物品が冷蔵庫ドアである、条項112から123までのいずれか一項に記載の方法。
【0285】
条項125:付着させるステップが、雰囲気に供給される酸素含有率が0%~1.5%の雰囲気中で行われる、条項112から124までのいずれか一項に記載の方法。
【0286】
条項126:基材がガラスであり、透明導電性酸化物が、0.2以下であり且つ少なくとも0.05の高さの吸収率を有する、条項112から125までのいずれか一項に記載の方法。
【0287】
条項127:被覆物品を作製する方法であって、基材の上に透明導電性酸化物層を付着させるステップと、少なくとも5秒、少なくとも10秒、少なくとも15秒、少なくとも20秒、少なくとも25秒、少なくとも30秒、及び120秒、90秒、60秒、55秒、50秒、45秒、40秒、又は35秒以下にわたって、透明導電性酸化物の頂面を193.3℃(380°F)超、又は少なくとも223.9℃(435°F)まで上昇させるステップと、430℃(806°F)(又は詳細には335℃(635°F))を超えて透明導電性酸化物の頂面を上昇させないステップとを含む方法。
【0288】
条項128:335℃(635°F)を超えて被覆物品を加熱しないステップをさらに含む、条項127に記載の方法。
【0289】
条項129:透明導電性酸化物層が、スズでドープされた酸化インジウムを含み、少なくとも96nm及び多くとも171nmの厚さ並びに25Ω/□未満のシート抵抗を有する、条項127から128までのいずれか一項に記載の方法。
【0290】
条項130:透明導電性酸化物の上に保護層を付着させるステップをさらに含み、保護層がチタニア及びアルミナを含む、条項1127から129までのいずれか一項に記載の方法。
【0291】
条項131:条項15から26までのいずれか一項に記載の方法によって作製された、-9~1、詳細には-4~0、より詳細には-3~1、より詳細には-1.5~-0.5のa*、及び-9~1、詳細には-4~0、より詳細には-3~1、より詳細には-1.5~-0.5のb*を有する被覆基材。
【0292】
条項132:条項46から65までのいずれか一項に記載の方法によって作製された、-9~1、詳細には-4~0、より詳細には-3~1、より詳細には-1.5~-0.5のa*、及び-9~1、詳細には-4~0、より詳細には-3~1、より詳細には-1.5~-0.5のb*を有する被覆基材。
【0293】
条項133:条項103から111までのいずれか一項に記載の方法によって作製された被覆物品。
【0294】
条項134:条項112から126までのいずれか一項に記載の方法によって作製された被覆物品。
【0295】
条項135:条項127から130までのいずれか一項に記載の方法によって作製された被覆物品。
【0296】
条項136:-9~1、詳細には-4~0、より詳細には-3~1、より詳細には-1.5~-0.5のa*、及び-9~1、詳細には-4~0、より詳細には-3~1、又はより詳細には-1.5~-0.5のb*を提供するための、条項1から14又は27から45までのいずれか一項に記載の下層の使用。
【0297】
条項137:-9~1、詳細には-4~0、より詳細には-3~1、より詳細には-1.5~-0.5のa*、及び-9~1、詳細には-4~0、より詳細には-3~1、又はより詳細には-1.5~-0.5のb*を提供するための、条項15から26又は46から65までのいずれか一項に記載の第1の下層膜及び第2の下層膜の使用。
【0298】
条項138:シート抵抗を低下させるための、条項27から65までのいずれか一項に記載の埋込み膜の使用。
【0299】
条項139:基材上の被覆の耐久性を増大させるための、条項85から93までのいずれか一項に記載の保護層の使用。
【0300】
条項140:保護層が、少なくとも20nm、40nm、60nm、又は80nm、100nm、又は120nm、及び多くとも275nm、255nm、240nm、170nm、150nm、125nm、又は100nmの厚さを有する、条項85から91までのいずれか一項に記載の被覆物品。
【0301】
条項141:第1の保護膜が、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも27nm、少なくとも30nm、少なくとも35nm、少なくとも40nm、少なくとも54nm、少なくとも72nm、及び多くとも85nm、70nm、60nm、50nm、45nm、又は30nmの厚さを有することができる、条項85から91まで又は140のいずれか一項に記載の被覆物品。
【0302】
条項142:第2の保護膜が、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも27nm、少なくとも35nm、少なくとも40nm、少なくとも54nm、少なくとも72nm、及び多くとも85nm、70nm、60nm、50nm、40nm、45nm、30nmの厚さを有することができる、条項85から91まで、140、又は141のいずれか一項に記載の被覆物品。
【0303】
条項143:任意選択の第3の保護膜が、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも27nm、少なくとも35nm、少なくとも40nm、少なくとも54nm、少なくとも72nm、及び多くとも85nm、70nm、60nm、50nm、45nm、30nm、又は多くとも30の厚さを有することができる、条項85から91まで又は140から142までのいずれか一項に記載の被覆物品。