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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040226
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20240315BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240315BHJP
   B65H 5/08 20060101ALI20240315BHJP
   B65H 5/12 20060101ALI20240315BHJP
   B65H 5/00 20060101ALI20240315BHJP
   B65H 5/22 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G15/20 505
B65H5/08 A
B65H5/12 A
B65H5/00 D
B65H5/00 E
B65H5/22 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024012006
(22)【出願日】2024-01-30
(62)【分割の表示】P 2022550393の分割
【原出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 孝幸
(57)【要約】
【課題】記録媒体のばたつきを抑制する。
【解決手段】画像形成装置は、記録媒体の搬送方向前端側を把持部によって把持した状態で該記録媒体を搬送する搬送部と、前記記録媒体を転写ベルトとで挟んだ状態で搬送し支持する第一の支持部と、前記記録媒体に対して送風して支持する第二の支持部と、を備え、前記搬送部による搬送によって前記記録媒体が前記第一の支持部から離れる前は、前記記録媒体は、前記把持部と前記第一の支持部と前記第二の支持部とで支えられ、前記搬送部による搬送によって前記記録媒体が前記第一の支持部から離れた後は、前記記録媒体は、前記把持部と前記第二の支持部とで支えられ、前記第二の支持部の送風は、前記第一の支持部と前記転写ベルトとの挟み位置を前記記録媒体の後端が通過し終える前に、前記記録媒体の支持を開始して気流を安定させた状態とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送方向前端側を把持部によって把持した状態で該記録媒体を搬送する搬送部と、
前記記録媒体を転写ベルトとで挟んだ状態で搬送し支持する第一の支持部と、
前記記録媒体に対して送風して支持する第二の支持部と、
を備え、
前記搬送部による搬送によって前記記録媒体が前記第一の支持部から離れる前は、前記記録媒体は、前記把持部と前記第一の支持部と前記第二の支持部とで支えられ、
前記搬送部による搬送によって前記記録媒体が前記第一の支持部から離れた後は、前記記録媒体は、前記把持部と前記第二の支持部とで支えられ、
前記第二の支持部の送風は、前記第一の支持部と前記転写ベルトとの挟み位置を前記記録媒体の後端が通過し終える前に、前記記録媒体の支持を開始して気流を安定させた状態とする
画像形成装置。
【請求項2】
前記第二の支持部は、前記搬送部が前記記録媒体の前端側を保持した保持位置よりも後端側で前記記録媒体を支持する
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無端ワイヤーからなる搬送部材で転写材を搬送し、転写材に転写された未定着トナー像を輻射熱によって加熱溶融する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-148973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置としては、記録媒体の一方の面に画像形成位置で画像を形成する画像形成部と、記録媒体の前端側を保持した状態で該記録媒体を搬送し、画像形成位置を通過させる搬送部と、画像形成部によって画像が形成される記録媒体の他方の面を支持しながら、該記録媒体を搬送部と共に搬送する搬送体と、を備える構成が考えられる。この構成において、搬送部による搬送によって搬送体から後端が離間した記録媒体の他方の面を、離間後から支持する構成では、記録媒体がばたつく場合がある。
【0005】
本発明の少なくとも一の実施形態は、搬送部による搬送によって搬送体から後端が離間した記録媒体の他方の面を、離間後から支持する構成に比べ、記録媒体のばたつきを抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、記録媒体の一方の面に画像形成位置で画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体の前端側を保持した状態で該記録媒体を搬送し、前記画像形成位置を通過させる搬送部と、前記画像形成部によって画像が形成される記録媒体の他方の面を支持しながら、該記録媒体を前記搬送部と共に搬送する搬送体と、前記搬送部による搬送によって前記搬送体から離間した記録媒体の前記他方の面を、離間前から支持する支持部と、を備える画像形成装置である。
【0007】
第2態様では、前記第1態様の画像形成装置において、前記搬送体は、前記記録媒体を前記画像形成部とで挟み込んだ状態で搬送し、前記支持部は、前記搬送体と前記画像形成部との挟込位置を前記記録媒体の後端が通過し終える前に、前記他方の面の支持を開始する。
【0008】
第3態様では、前記第1又は第2態様の画像形成装置において、前記支持部は、前記搬送部が前記記録媒体の前端側を保持した保持位置よりも後端側で前記他方の面を支持する。
【0009】
第4態様では、前記第1~第3態様のいずれか1つの画像形成装置において、前記支持部は、非接触で前記他方の面を支持する。
【0010】
第5態様では、前記第4態様の画像形成装置において、前記支持部は、前記他方の面に対して空気を送風する送風部である。
【発明の効果】
【0011】
前記第1態様の構成によれば、搬送部による搬送によって搬送体から後端が離間した記録媒体の他方の面を、離間後から支持する構成に比べ、記録媒体のばたつきが抑制される。
【0012】
前記第2態様の構成によれば、搬送体と画像形成部との挟込位置を記録媒体の後端が通過し終えた後に、支持部が記録媒体の他方の面の支持を開始する構成に比べ、記録媒体のばたつきが抑制される。
【0013】
前記第3態様の構成によれば、搬送部が記録媒体の前端側を保持した保持位置と同じ位置で、支持部が他方の面を支持する構成に比べ、記録媒体のばたつきが抑制される。
【0014】
前記第4態様の構成によれば、支持部が、記録媒体の他方の面に接触して記録媒体を支持する構成に比べ、支持部が搬送部と干渉することが抑制される。
【0015】
前記第5態様の構成によれば、支持部が、磁力又は静電力により記録媒体の他方の面を非接触で支持する構成に比べ、記録媒体に用いられる材質の自由度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
図2】本実施形態に係るトナー像形成部の構成を示す概略図である。
図3】本実施形態に係る定着装置の構成を示す概略図である。
図4】本実施形態に係る定着装置の構成を示す平面図である。
図5】本実施形態に係る定着ユニットの一部を拡大して示す概略図である。
図6】本実施形態に係る定着ユニットを示す平面図である。
図7】チェーングリッパの変形例を示す斜視図である。
図8】送風機の変形例を示す側面図である。
図9】変形例1の構成を示す概略図である。
図10】変形例2の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、装置前後方向(装置奥行方向)を示す。
【0018】
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0019】
図1に示される画像形成装置10は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。具体的には、画像形成装置10は、記録媒体の一例としての用紙Pにトナー画像を形成する電子写真式の画像形成装置である。さらに具体的には、画像形成装置10は、図1に示されるように、収容部50と、排出部52と、画像形成部12と、対向ロール36と、搬送機構60と、反転機構80と、定着装置100と、送風機構170と、冷却部90と、を有している。
【0020】
(収容部50)
図1に示される収容部50は、用紙Pを収容する機能を有している。画像形成装置10では、収容部50は、複数(例えば2つ)が備えられている。この複数の収容部50から選択的に用紙Pが送り出される構成とされている。記録媒体の一例としての用紙Pとしては、予め定められた大きさ(サイズ)とされた枚葉紙(カット紙)が用いられる。また、用紙Pは、一方の面の一例としての表面PA(図5参照)と、他方の面の一例としての裏面PB(図5参照)と、を有している。用紙Pの表面PAは、トナー像が転写される画像領域GR(図4参照)、すなわち、未定着画像が形成される画像領域GRを有している。
【0021】
(排出部52)
図1に示される排出部52は、画像が形成された用紙Pが排出される部分である。具体的には、定着装置100で画像が定着された後に、冷却部90で冷却された用紙Pが排出部52に排出される構成とされている。
【0022】
(画像形成部12及び対向ロール36)
図1に示される画像形成部12は、記録媒体の一方の面に画像を形成する画像形成部の一例である。具体的には、画像形成部12は、電子写真方式により用紙Pの表面PAにトナー像を形成する機能を有している。さらに具体的には、画像形成部12は、図1に示されるように、トナー像を形成するトナー像形成部20と、トナー像形成部20で形成されたトナー像を用紙Pに転写する転写装置30と、を有している。対向ロール36(もしくは、転写胴、転写体と呼ぶ)は、搬送体の一例である。なお、対向ロール36の構成については、転写装置30の構成と共に説明する。
【0023】
〔トナー像形成部20〕
トナー像形成部20は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。画像形成装置10では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部20が備えられている。図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0024】
各色のトナー像形成部20は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されている。具体的には、各色のトナー像形成部20は、図2に示されるように、図2における矢印A方向に回転する感光体ドラム21(感光体)と、感光体ドラム21を帯電させる帯電器22と、を有している。さらに、各色のトナー像形成部20は、帯電器22によって帯電された感光体ドラム21を露光して感光体ドラム21に静電潜像を形成する露光装置23と、露光装置23によって感光体ドラム21に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置24と、を有している。
【0025】
〔転写装置30〕
図1に示される転写装置30は、各色の感光体ドラム21のトナー像を、中間転写体に重畳して一次転写し、該重畳されたトナー像を用紙Pに二次転写する機能を有している。具体的には、転写装置30は、図1に示されるように、中間転写体としての転写ベルト31と、一次転写ロール33と、二次転写部34と、を備えている。
【0026】
一次転写ロール33は、感光体ドラム21に形成されたトナー像を、感光体ドラム21と一次転写ロール33との間の一次転写位置T(図2参照)で転写ベルト31に転写する機能を有している。
【0027】
転写ベルト31は、図1に示されるように、無端状を成し、複数のロール32に巻き掛けられて姿勢が決められている。転写ベルト31は、複数のロール32の少なくとも1つが回転駆動されることで、矢印B方向へ周回し、一次転写された画像を二次転写位置NTへ搬送する。
【0028】
対向ロール36は、転写ベルト31に対向するように、転写ベルト31の下側に配置されている。二次転写部34は、図1に示されるように、対向ロール36との間に転写ベルト31が配置されるように、転写ベルト31の内側に配置されている。二次転写部34は、具体的には、コロトロンで構成されている。この二次転写部34と対向ロール36との間が、二次転写位置NTとされている。二次転写位置NTでは、対向ロール36と転写ベルト31とが接触している。本実施形態では、二次転写部34と、対向ロール36とによって、転写ベルト31に転写されたトナー像を用紙Pに転写する転写部35が構成されている。なお、二次転写位置NTは、画像形成位置の一例である。
【0029】
本実施形態では、搬送機構60の後述のチェーングリッパ66によって前端部が保持された状態で搬送される用紙Pが、対向ロール36の外周面に配置され、該チェーングリッパ66と対向ロール36によって用紙Pを搬送し、二次転写位置NTを通過させる。すなわち、対向ロール36は、用紙Pの裏面PBを外周面で支持しながら、用紙Pを搬送する。二次転写位置NTを通過した用紙Pは、さらに、チェーングリッパ66によって搬送されて、対向ロール36から後端が離間する。転写部35では、転写ベルト31に転写されたトナー像が、二次転写部34の放電により発生された静電力により、二次転写位置NTを通過する用紙Pに転写される。二次転写位置NTでは、対向ロール36と転写ベルト31とが用紙Pを挟み込んだ状態で搬送する。したがって、二次転写位置NTは、対向ロール36と転写ベルト31とで用紙Pを挟み込む挟込位置といえる。
【0030】
(搬送機構60)
図1に示される搬送機構60は、用紙Pを搬送する機構である。具体的には、搬送機構60は、収容部50に収容された用紙Pを搬送し、二次転写位置NTを通過させる機能を有している。さらに、搬送機構60は、二次転写位置NTから後述の定着ユニット120(後述の加熱ロール130及び加圧ロール140)へ用紙Pを搬送する機能を有している。換言すれば、搬送機構60は、トナー像が転写された用紙Pを定着装置100において搬送する機能を有している。
【0031】
具体的には、搬送機構60は、図1に示されるように、送出ロール62と、複数の搬送ロール64と、チェーングリッパ66と、を有している。送出ロール62は、収容部50に収容された用紙Pを送り出すロールである。複数の搬送ロール64は、送出ロール62が送り出した用紙Pをチェーングリッパ66へ搬送するロールである。
【0032】
チェーングリッパ66は、図3及び図4に示されるように、用紙Pの前端側(先端側)を保持して用紙Pを搬送する搬送部である。具体的には、チェーングリッパ66は、一対のチェーン72と、保持部材(把持部材)としてのグリッパ76と、を備えている。
【0033】
一対のチェーン72は、図1に示されるように、環状に形成されている。この一対のチェーン72は、装置前後方向(図1のD方向)に間隔をおいて配置されている(図4参照)。そして、一対のチェーン72は、それぞれ、対向ロール36及び後述の加圧ロール140の各々に対する軸方向の一端側及び他端側に配置された一対のスプロケット(図示省略)と、装置前後方向に間隔をおいて配置された一対のスプロケット74と、に巻き掛けられている。これらの一対のスプロケットのいずれかが回転することで、チェーン72が矢印C方向へ周回する構成とされている(図1参照)。
【0034】
一対のチェーン72には、図4に示されるように、グリッパ76が取り付けられた取付部材75が装置前後方向に沿って掛け渡されている。取付部材75は、チェーン72の周方向(周回方向)に沿って予め定められた間隔で複数が一対のチェーン72に固定されている。なお、各図では、チェーン72の図示を簡略化するため、チェーン72の構成部をブロック状に示している。
【0035】
グリッパ76は、図4に示されるように、装置前後方向に沿って予め定められた間隔で複数が取付部材75に取り付けられている。グリッパ76は、用紙Pの前端部を保持(把持)する機能を有している。用紙Pの前端部を保持することで、用紙搬送方向における用紙Pの位置が決まりやすく、転写部35において用紙Pと画像との位置合わせ(レジ合わせ)が容易である。具体的には、グリッパ76は、図3及び図5に示されるように、爪76Aと爪台76Bとを有している。グリッパ76では、爪76Aと爪台76Bとの間に用紙Pの前端部を挟むことで用紙Pを保持する構成とされている。具体的には、グリッパ76は、表面PAにおけるトナー像が転写される画像領域GR(図4参照)外において、用紙Pの前端部を保持する。さらに、本実施形態では、用紙Pに対する搬送方向の下流側に配置されたグリッパ76が、用紙Pの搬送方向の下流側から用紙Pの前端部を保持する。なお、グリッパ76は、例えば、爪76Aが爪台76Bに対してバネ等により押し付けられる共に、カム等の作用により爪76Aが爪台76Bに対して開閉される。なお、画像領域GR外にトンボと呼ばれる、印刷物を作成する際に、仕上がりサイズに断裁するための位置や多色刷りの見当合わせのためのマークを形成する場合がある。そのような画像はグリッパ76と、図4に示す上面視で、重なる位置に形成されてもかまわない。またグリッパ76は、画像領域GRと一部が重なってもかまわないが、形成される画像が重ならないようにすべきである。
【0036】
そして、チェーングリッパ66では、グリッパ76が用紙Pの前端部を保持した状態で、チェーン72が矢印C方向へ周回することで、用紙Pが搬送される。チェーングリッパ66は、表面PAを上方へ向けた状態で用紙Pを二次転写位置NTへ搬送し、二次転写位置NTを通過させる。さらに、チェーングリッパ66は、用紙Pを後述の加熱部102を通過させた後、後述の定着ユニット120へ搬送する。なお、チェーングリッパ66は、前端部を保持するが、用紙Pの後端側を保持しないため、チェーングリッパ66のみで搬送されている状態の用紙Pは、後端側が自由状態となる。
【0037】
以上のように、チェーングリッパ66は、用紙Pを加熱部102を通過させ、且つ、加熱部102から定着ユニット120へ搬送する機能を有する部分で、定着装置100を兼
ねている。なお、搬送機構60において用紙Pが搬送される搬送経路の一部が、図1にお
いて一点鎖線にて示されている。また、以下では、搬送機構60が用紙Pを搬送する搬送
方向の上流を、単に「上流」と表現し、該搬送方向の下流を、単に「下流」と表現する場
合がある。
【0038】
(反転機構80)
図1に示される反転機構80は、定着装置によって画像が定着された記録媒体の表裏を
反転させる反転機構の一例である。具体的には、反転機構80は、定着装置100によっ
てトナー像が定着された用紙Pの表裏を反転させる機構である。さらに具体的には、反転
機構80は、図1に示されるように、複数(例えば、2つ)の搬送ロール82と、反転装
置84、複数(例えば、7つ)の搬送ロール86と、有している。
【0039】
複数の搬送ロール82は、定着装置100から送られた用紙Pを反転装置84へ搬送す
るロールである。
【0040】
反転装置84は、一例として、用紙Pの搬送方向が例えば90度ずつ変化するように、
用紙Pを複数回折り返しながら搬送することで、メビウスの帯のように用紙Pを捻って、
用紙Pの表裏を反転させる装置とされている。
【0041】
複数の搬送ロール86は、反転装置84で表裏が反転させた用紙Pをチェーングリッパ
66へ搬送するロールである。すなわち、複数の搬送ロール86は、表裏が反転された用
紙Pをチェーングリッパ66に受け渡す機能を有している。
【0042】
このように、反転機構80が用紙Pの表裏を反転させてチェーングリッパ66に受け渡すことで、チェーングリッパ66は、受け渡された用紙Pを、定着済のトナー画像を裏面PBに有する用紙Pとして搬送する。
【0043】
なお、反転機構80において用紙Pが搬送される搬送経路の一部が、図1において一点鎖線にて示されている。また、反転機構80としては、用紙Pをスイッチバックさせることで反転させる機構であってもよい。
【0044】
(定着装置100)
図3に示される定着装置100は、画像形成部によって形成された画像を記録媒体に定着させる定着装置の一例である。具体的には、定着装置100は、転写装置30で転写されたトナー像を用紙Pへ定着する装置である。
【0045】
図1に示されるように、定着装置100は、用紙Pの搬送方向における二次転写位置NTの下流側に配置されている。この定着装置100は、図3に示されるように、加熱部102と、前述のチェーングリッパ66と、定着ユニット120(定着部)と、を有している。
【0046】
〔加熱部102〕
図3に示される加熱部102は、記録媒体の表面を非接触で加熱する加熱部の一例である。具体的には、加熱部102は、チェーングリッパ66で搬送される用紙Pの表面PAを非接触で加熱する機能を有している。
【0047】
この加熱部102は、用紙Pの搬送方向において二次転写位置NT(図1参照)の下流側であって、チェーングリッパ66によって搬送される用紙Pの表面PAに対向するように配置されている。具体的には、加熱部102は、反射板104と、複数のヒータ106(加熱源)と、金網112と、を備えている。
【0048】
[反射板104]
反射板104は、ヒータ106からの赤外線を装置下側(チェーングリッパ66によって搬送される用紙P側)へ反射する機能を有している。反射板104は、例えばアルミニウム板等の金属板を用いて形成されている。反射板104は、装置下側が開放された箱状に形成されている。
【0049】
[ヒータ106]
ヒータ106は、装置前後方向に長さを有する円柱状の赤外線ヒータである。ヒータ106は、反射板104の内部に装置幅方向に沿って、複数(例えば、40本)並べられている。ヒータ106は、具体的には、カーボンフィラメント109と、内部にカーボンフィラメント109が収容された円筒状の石英管108と、を備えて構成されている。石英管108の表面には、黒色の赤外線放射膜が形成されている。このように、石英管108の表面に黒色の赤外線放射膜が形成されていることで、例えば、白膜が形成されている場合と比して、ヒータ106は、赤外線を効率よく放射するようになっている。ここで、本実施形態において、黒色とは、無彩色点(x=0.333,y=0.333、Y=0)からの色度のズレが色差ΔEで100以内である色である。なお、図3では、ヒータ106の具体的な構成を示すため、加熱部102の左上側にヒータ106を拡大して示している。また、本実施例における赤外線ヒータ106は、赤外線の放射波長の波長ピークが、2〔μm〕以上5〔μm〕以下に設定されており、いわゆる遠赤外線の領域である。そして加熱部102のヒータ106の表面温度は、300〔℃〕以上1175〔℃〕以下の予め定められた温度とされている。さらに、本実施形態では反射板104の装置幅方向の長さが1〔m〕に対し、遠赤外線を効率よく放射するヒータ106を装置幅方向に20本以上100本以下の密度で並べることで、良好な加熱分布が得られている。
【0050】
A2サイズ以上の幅が広い記録媒体を記録媒体の搬送方向が長辺となるよう搬送して、記録媒体上のトナーを加熱する場合に、1メートルあたり20本より少ない本数の遠赤外線のヒータ106で加熱した場合、個々のヒータ106の出力量を上げるためにカーボンフィラメントに印加する電圧を上昇させる必要があるが、黒色の赤外線放射膜の温度が上昇し、遠赤外線よりも近赤外線光成分により加熱された周囲の空気からの熱伝導によるトナーの溶融が支配的となる。結果としてヒータ106近傍とヒータ106間での溶融ムラが発生する。一方、1〔m〕当たり20本以上とすることで、カーボンフィラメントを遠赤外線の放射を優勢とすることができるため、トナー溶融に対して放射源からの距離依存の小さい遠赤外線を、20本未満の場合と比較して、効果的に利用できるため、ヒータ106間の溶融ムラが低減される。また100本より大きいと、過剰な遠赤外線が放射されるために、トナーが溶融する程度に被照射体の温度を制御することが困難となることに加え、後段にある定着装置がトナーの熱により加熱されて温度制御が困難となるため、100本以下が好ましい。特にB2サイズ以上の記録媒体を記録媒体の搬送方向が長辺となるよう搬送する場合には、30本以上50本以下が好ましい。
【0051】
[金網112]
金網112は、反射板104の下側の開口における縁部に固定されている。これにより、金網112は、反射板104の内部と、反射板104の外部とを仕切っている。そして、金網112は、チェーングリッパ66によって搬送される用紙Pとヒータ106とが接触するのを防止している。
【0052】
〔チェーングリッパ66〕
図3に示されるチェーングリッパ66は、加熱部に記録媒体の表面を対向させながら記録媒体を搬送する搬送部の一例である。チェーングリッパ66に備えられたグリッパ76は、少なくとも記録媒体の前端側を保持する保持部の一例である。なお、記録媒体の前端側とは、記録媒体における搬送方向の中央より下流側(前側)の部分である。
【0053】
具体的には、チェーングリッパ66は、前述のように、グリッパ76が用紙Pの前端部を保持した状態で、チェーン72が矢印C方向へ周回することで、加熱部102のヒータ106に用紙Pの表面PAを対向させながら、用紙Pを搬送する。すなわち、チェーングリッパ66は、用紙Pを、加熱部102の加熱領域を通過させる機能を有している。なお、チェーングリッパ66による搬送では、用紙Pの後端側は、保持されておらず、自由状態である。
【0054】
さらに、チェーングリッパ66は、用紙Pを加熱部102から定着ユニット120へ搬送する機能を有している。このように、チェーングリッパ66は、用紙Pを、加熱部102の加熱領域を通過させ、且つ加熱部102から定着ユニット120へ搬送する機能を有する部分において、定着装置100の搬送部の一例として機能している。
【0055】
〔定着ユニット120〕
図3に示される定着ユニット120は、用紙Pの画像を用紙Pに定着する定着部である。具体的には、定着ユニット120は、用紙Pに接触して用紙Pを加熱及び加圧することで、トナー像を用紙Pに定着する機能を有している。本実施の形態では、加熱及び加圧を行う加熱部102を用いて説明するが、加熱は必ずしも必要でなく、前工程の加熱部102で溶融したトナーの表面性の向上、例えばグロスの調整を目的とすれば、加圧部による加圧が行われる形態のみでも適用可能である。
【0056】
この定着ユニット120は、図3に示されるように、用紙Pの搬送方向において、加熱部102の下流側に配置されている。具体的には、定着ユニット120は、加熱ロール130と、加圧ロール140と、従動ロール150と、を有している。
【0057】
[加熱ロール130]
図3に示される加熱ロール130は、加熱部に対する搬送方向下流側に配置され、記録媒体を加熱する加熱部材の一例である。具体的には、加熱ロール130は、加熱部102に対する搬送方向下流側に配置され、用紙Pに接触して用紙Pを加熱する機能を有している。この加熱ロール130は、用紙Pの表面PAに接触するように、装置前後方向を軸方向として配置されている。
【0058】
また、加熱ロール130は、円筒状の基材132と、基材132の外周に形成されたゴム層134と、ゴム層134の外周に形成された離型層136と、基材132の内部に収容されたヒータ138(加熱源)と、を有している。ヒータ138は、例えば、単一又は複数のハロゲンランプで構成されている。
【0059】
加熱ロール130には、図6に示されるように、加圧ロール140に設けられた後述の突き当て部149に突き当てられる被突き当て部139が設けられている。被突き当て部139は、加熱ロールに設けられた被突き当て部の一例である。具体的には、被突き当て部139は、加熱ロール130と同等の外径を有する円筒状に形成されている。さらに、被突き当て部139は、加熱ロール130の軸方向の一端部及び他端部に、加熱ロール130の同軸上に且つ加熱ロール130と一体回転するように設けられている。
【0060】
[従動ロール150]
図3に示される従動ロール150は、加熱ロール130の外周面における用紙Pに対する接触領域以外の領域に接触するように、装置前後方向を軸方向として配置されている。また、従動ロール150は、円筒状の基材152と、基材152の内部に収容されたヒータ154(加熱源)と、を有している。この従動ロール150は、加熱ロール130に従動して回転し、加熱ロール130を加熱する。加熱ロール130が従動ロール150によって加熱されること、及び加熱ロール130自身がヒータ138を有していることで、加熱ロール130の表面温度は、予め定められた温度となる。
【0061】
[加圧ロール140]
図3に示される加圧ロール140は、加熱ロールとの間で記録媒体を加圧し、保持部が入り込む凹部が外周面に形成された加圧部材の一例である。具体的には、加圧ロール140は、加熱ロール130との間に用紙Pを挟んで用紙Pを加圧する機能を有している。この加圧ロール140は、加熱ロール130の下側に装置前後方向を軸方向として配置されている。
【0062】
加圧ロール140は、円筒状の基材142と、基材142の外周に形成されたゴム層144と、ゴム層144の外周に形成された離型層146と、を有している。
【0063】
加圧ロール140の周長は、グリッパ76がチェーン72に配置された配置間隔と同じとされている。また、図5及び図6に示されるように、加圧ロール140の外周面には、装置前後方向に延びる凹部148が形成されている。
【0064】
そして、用紙Pの前端側を保持するグリッパ76が、加圧ロール140と加熱ロール130との間を通過する場合に、当該グリッパ76が凹部148に入り込むように構成されている。
【0065】
さらに、加圧ロール140には、図6に示されるように、加熱ロール130の被突き当て部139に突き当たる突き当て部149が設けられている。突き当て部149は、加圧ロールの凹部に対する軸方向外側に設けられ、被突き当て部139に突き当たって加熱ロール130と加圧ロール140との軸間距離を保つ突き当て部の一例である。
【0066】
突き当て部149は、加圧ロール140と同等の外径を有する円筒状に形成されている。この突き当て部149は、加圧ロール140の凹部148に対する軸方向外側に設けられている。具体的には、突き当て部149は、加圧ロール140の軸方向の一端部及び他端部に、加圧ロール140の同軸上に且つ加圧ロール140と一体回転するように設けられている。
【0067】
突き当て部149が被突き当て部139に突き当たった状態で、加熱ロール130及び加圧ロール140が回転することで、凹部148が加熱ロール130に対向した状態となっても、加熱ロール130と加圧ロール140との軸間距離が保たれる。その結果、図示しない付勢部材によって、加圧ロール140が加熱ロール130側に付勢されている荷重の面圧はある範囲に収まる。従来の一般的な定着器における面圧は400[kPa]程度である。
【0068】
なお、定着ユニット120では、加圧ロール140が、駆動部(図示省略)によって回転駆動され、その加圧ロール140に従動して加熱ロール130が回転し、その加熱ロール130に従動して従動ロール150が回転する。
【0069】
〔送風機構170〕
図3に示される送風機構170は、支持部の一例であり、送風部の一例でもある。この送風機構170は、用紙Pの裏面PBに空気を送風する機構である。具体的には、送風機構170は、送風機160と、通気板180と、を有している。
【0070】
〔送風機160〕
図3に示される送風機160は、用紙Pの裏面PBへ向けて空気を送風する機器である。この送風機160は、装置前後方向に見てチェーン72の内側(内周側)であって、加熱部102の下側に複数が配置されている。複数の送風機160は、図3及び図4に示されるように、用紙Pの搬送方向及び装置前後方向に沿って、二次元状(マトリックス状)に配置されている。なお、図4では、送風機160の図示を簡略化するため、一部の送風機160の羽根を省略している。
【0071】
送風機160は、図3に示されるように、上方を向いており、上方へ向けて送風する構成されている。すなわち、加熱部102に対向した状態の用紙Pの裏面PBのみに対して、用紙Pの厚み方向へ空気を送風する構成とされている。換言すれば、送風機160は、チェーングリッパ66によって搬送される用紙Pの裏面PBに対向するように配置されている。さらに換言すれば、チェーングリッパ66が、送風機160に用紙Pの裏面PBを対向させながら用紙Pを搬送する構成とされている。
【0072】
送風機160としては、一例として、軸方向へ送風する軸流送風機が用いられている。なお、送風機160としては、多翼送風機(例えば、シロッコファン)などの、遠心方向へ送風する遠心送風機を用いてもよい。
【0073】
送風機160では、チェーングリッパ66が搬送する用紙Pの裏面PBに送風することで、用紙Pが浮き上がる。これにより、用紙Pの裏面PBが非接触状態となる。具体的には、少なくとも、用紙Pの画像領域GR内の裏面PBが非接触状態となる。さらに具体的には、少なくとも、用紙Pの画像領域GR内の裏面PBが、通気板180に対して非接触状態となる。したがって、送風機160は、用紙Pの画像領域GR内の裏面PBが非接触状態でチェーングリッパ66によって用紙Pが搬送されるように、当該非接触状態を維持する機能を有している。なお、用紙Pの画像領域GR外の裏面PBについては、通気板180に対して接触することが許容される。なお、送風機160の送風口から送風される空気が、直接用紙Pの表面PAに供給されないようにする必要がある。本実施形態の画像形成装置10は、乾式トナーを用いて画像を形成する方式の画像形成装置であり、送風口から直に用紙Pの表面に空気が供給されると、未定着のトナー画像を乱す虞があるからである。また裏面PBにのみ空気を供給することで、表面PAに転写されたトナーを冷やすことが抑制される。
【0074】
〔通気板180〕
図3に示される通気板180は、送風部から記録媒体の裏面へ向けて送風される空気を通過させる複数の通気穴を有する通気部の一例である。具体的には、通気板180は、送風機160から用紙Pの裏面PBへ向けて送風される空気を通過させる複数の通気穴182が形成されたプレートで構成されている。
【0075】
この通気板180は、装置前後方向に見てチェーン72の内側(内周側)であって、加熱部102の下側且つ送風機160の上側に、装置上下方向を厚み方向として配置されている。すなわち、送風機160の送風方向側に送風機160を覆うように配置されている。換言すれば、通気板180は、チェーングリッパ66によって搬送される用紙Pの裏面PBに対向するように配置された配置部材の一例ともいえる。
【0076】
各通気穴182は、通気板180の厚み方向に貫通している。複数の通気穴182は、図4に示されるように、用紙Pの搬送方向及び装置前後方向に沿って、二次元状(マトリックス状)に配置されている。なお、図4では、通気板180の図示を簡略化するため、通気穴182の一部を省略している。
【0077】
この通気板180では、送風機160から送風された空気を、複数の通気穴182で通過させて、チェーングリッパ66で搬送される用紙Pの裏面PBに当てる構成とされている。換言すれば、送風機160が、複数の通気穴182が形成された通気板180を介して、チェーングリッパ66で搬送される用紙Pの裏面PBに送風する構成とされている。
【0078】
通気板180は、金属板で構成されている。この通気板180は、ヒータ106からの赤外線を装置上側(チェーングリッパ66によって搬送される用紙P側)へ反射する反射板としての機能も有している。
【0079】
以上のように、送風機構170では、送風機160が、複数の通気穴182が形成された通気板180を介して、チェーングリッパ66で搬送される用紙Pの裏面PBに送風する。これにより、送風機構170は、用紙Pを裏面PBから支持する。
【0080】
〔送風機構170における送風領域の配置〕
送風機構170では、図3に示されるように、送風機160及び通気板180により設定される送風領域の上流端部170Xは、二次転写位置NTと図3に示される保持位置66Xとの間に配置されている。具体的には、該上流端部170Xは、二次転写位置NTに対する下流側であって、保持位置66Xに対する上流側に配置されている。
【0081】
具体的には、送風機構170の送風領域の上流端部170Xは、図3に示される離間位置36Xと保持位置66Xとの間に配置されている。具体的には、該上流端部170Xは、離間位置36Xに対する下流側であって、保持位置66Xに対する上流側に配置されている。
【0082】
離間位置36Xは、チェーングリッパ66で搬送される用紙Pの後端が対向ロール36から離間する位置である。離間位置36Xは、対向ロール36の外周面に用紙Pが接触する領域の下流端ともいえる。なお、本実施形態では、離間位置36Xは、二次転写位置NTに対する下流側に位置している。場合によっては、用紙Pの後端は、対向ロール36の下流端部36Z(対向ロール36の上端から右回りで角度が270度の位置)で離間する。すなわち、離間位置36Xが対向ロール36の下流端部36Zに位置する場合がある。
【0083】
保持位置66Xは、チェーングリッパ66が搬送する用紙Pの後端が離間位置36Xに位置する場合において、チェーングリッパ66が用紙Pを保持する位置である。ここでの用紙Pは、画像形成装置10で用いられる最小サイズの用紙Pである。なお、保持位置66Xは、少なくとも、画像形成装置10で用いられる最大サイズの用紙Pによって規定される保持位置であればよい。
【0084】
そして、送風機構170では、用紙Pの後端が離間位置36Xを通過する前に、送風による裏面PBの支持を開始する。すなわち、送風機構170は、用紙Pの後端が対向ロール36から離間する前に、送風による裏面PBの支持を開始する。具体的には、送風機構170は、用紙Pの後端が二次転写位置NTを通過し終える前に、送風による裏面PBの支持を開始する。すなわち、送風機構170は、用紙Pが二次転写位置NTを通過している状態において、送風による裏面PBの支持を開始する。
【0085】
さらに、送風機構170は、用紙Pの後端が送風領域に対する下流側に到達するまでの間、二次転写位置NTを通過した用紙Pの裏面PBに送風して、用紙Pの裏面PBを支持する。このように、送風機構170では、チェーングリッパ66による搬送によって対向ロール36から後端が離間した用紙Pの裏面PBを、離間前から支持する。送風の開始時は気流が不安定になりやすいということからも、対向ロール36と用紙Pの裏面PBが接触しているとき(離間前)から送風を開始することが好ましいと言える。
【0086】
また、前述のように、送風機構170の送風領域の上流端部170Xは、図3に示される離間位置36Xと保持位置66Xとの間に配置されているため、用紙Pの裏面PBにおける保持位置66Xよりも後端側に送風された状態で、用紙Pの後端が対向ロール36から離間する。すなわち、送風機構170が保持位置66Xよりも後端側で裏面PBを支持した状態において、用紙Pの後端が対向ロール36から離間する。
【0087】
さらに送風機構170では、送風機160および通気板180により設定される送風領域は、前述の加熱部102により設定される加熱領域よりも用紙Pの搬送方向上流に向けて長く設定されている。すなわち、転写部35を通過した後の用紙Pは、加熱部102に突入するよりも前に送風機160により裏面PBを送風されることになる。これにより用紙Pの姿勢が安定した状態で加熱部102に運ばれる。より好ましくは転写部35の直後であって、転写ベルト31と重力方向で重複しない位置を開始点として、用紙Pの搬送方向下流に向けて送風領域が設定されていることが好ましい。
【0088】
また、送風機構170では、送風機160および通気板180により設定される送風領域は、前述の加熱部102により設定される加熱領域よりも用紙Pの搬送方向下流に向けて長く設定されている。すなわち、送風機構170では、加熱部102の加熱領域を通過した後も、用紙Pの裏面PBに送風する。これにより用紙Pの姿勢が安定した状態で定着ユニット120へ運ばれる。
【0089】
(冷却部90)
冷却部90は、図1に示されるように、用紙Pの搬送方向において、定着ユニット120の下流側に配置されている。また、冷却部90は、装置幅方向に並んでいる複数(例えば2つ)の冷却ロール92を備えている。
【0090】
冷却ロール92は、金属等により形成された円筒状のロールで構成されている。冷却ロール92は、その内部で空気が流通することで、空冷(空気との熱交換)により用紙Pを冷却する構成とされている。
【0091】
(画像形成装置10の補足)
画像形成装置10で用いられる用紙Pの搬送方向長さは、一例として、570mm以上680mm以下とされる。また、チェーン72の周方向に沿って複数配置されたグリッパ76間の該周方向(搬送方向)に沿った距離は、一例として、840mmとされる。また、該複数のグリッパ76の各々に保持された用紙Pの間の該周方向(搬送方向)に沿った距離は、一例として、160mm以上270mm以下とされる。
【0092】
送風機構170の上流端部170Zから対向ロール36の下流端部36Zまでの距離L1は、一例として、230mm以上260mm以下とされる。対向ロール36の直径は、一例として、285mmとされる。また、二次転写位置NTから対向ロール36の下流端部36Zまでの距離L2は、一例として、140mmとされる。
【0093】
加熱部102の上流端部(加熱領域の上流端部)から対向ロール36の下流端部36Zまでの距離L3は、最大用紙長さ680mmよりも離れている構成であってもよい。加熱部102で用紙Pが燃えたときに、用紙Pが対向ロール36と接触していると、対向ロール36が燃えてしまうおそれがあるが、本構成では、燃えることが回避される。
【0094】
また、送風機構170の上面(本実施形態では通気板180の上面)、もしくは送風機構170の上面(本実施形態では通気板180の上面)の少なくとも上流端部およびその送風領域の少なくとも上流端部が、対向ロール36の重力方向の上端よりも下に位置している。
【0095】
本実施形態では、送風機構170の上流端部170Zおよび送風領域の上流端部170Xは、図3に示される離間位置36Xと保持位置66Xとの間に配置されており、用紙Pの後端が対向ロール36から離間した後、送風機構170(送風機160又は通気板180)に接触する前に送風を開始する構成であってもよい。なお、用紙Pの送風機構170への接触は、用紙Pが垂れ下がることで生じる。本構成は、例えば、離間位置36Xの下流に配置されたセンサで用紙Pの後端を検知したタイミングで送風を開始することで実行してもよいし、予め定められた位置に配置されたセンサで検知した時点から予め定められた時間が経過した後に送風を開始することで実行してもよい。予め定められた時間は、タイマー等で計測される。
【0096】
また、用紙Pが対向ロール36から離間した後、用紙Pの後端が送風機構170の上面よりも重力方向下側に、送風機構170の上流端部170Zと対向ロール36との間に落ちる前に、送風を開始する構成であってもよい。本構成においても、例えば、離間位置36Xの下流に配置されたセンサで用紙Pの後端を検知したタイミングで送風を開始することで実行してもよいし、予め定められた位置に配置されたセンサで検知した時点から予め定められた時間が経過した後に送風を開始することで実行してもよい。予め定められた時間は、タイマー等で計測される。
【0097】
本実施形態では、反射板104と断熱カバーとが一体になっている。また、送風機構170の上流端部170Z及び送風領域の上流端部170Xは、加熱部102よりも上流側に位置しており、反射板104及び断熱カバーよりも上流に送風機構170及びその送風領域が存在している。
【0098】
ここで、反射板104や断熱カバーといった熱を受けやすい部材に用紙Pが接触すると用紙Pが燃える可能性がある。また、用紙Pが接触することでトナー像の乱れも起こりうる。本実施形態では、反射板104及び断熱カバーよりも上流に送風機構170及びその送風領域が存在しているため、用紙Pが反射板104及び断熱カバーを通過する前に、非接触で安定した用紙Pの支持が行われる。
【0099】
また、送風機構170及びその送風領域は、反射板104及び断熱カバーよりも下流にも存在している。このため、用紙Pが反射板104及び断熱カバーを通過した後、定着ユニット120へ搬送されるまで、用紙Pが安定して支持される。なお、反射板104と断熱カバーとは別体で構成されていても構わない。
【0100】
(本実施形態に係る作用)
図1に示される収容部50から送り出された用紙Pは、複数の搬送ロール64で搬送され、チェーングリッパ66へ受け渡される。チェーングリッパ66へ受け渡された用紙Pは、チェーングリッパ66によって、グリッパ76で前端部が保持された状態で二次転写位置NTへ搬送され、転写ベルト31からトナー像が表面PAに転写される。トナー像が転写された用紙Pは、図3に示されるように、チェーングリッパ66によって、加熱部102のヒータ106に表面PAが対向した状態で搬送され、トナー像が加熱される。
【0101】
加熱部102でトナー像が加熱された用紙Pは、さらにチェーングリッパ66によって、定着ユニット120に搬送され、加熱ロール130及び加圧ロール140で挟まれて加圧及び加熱される。これにより、トナー像が用紙Pに定着される。用紙Pの表面PAにのみ画像を形成する場合は、トナー像が定着された用紙Pは、図1に示される冷却部90の冷却ロール92で冷却された後、排出部52へ排出される。
【0102】
ここで、本実施形態では、前述のように、チェーングリッパ66による搬送によって対向ロール36から後端が離間した用紙Pの裏面PBを、送風機構170による送風によって、離間前から支持する。すなわち、送風機構170は、用紙Pの後端が対向ロール36から離間する前に、送風による用紙Pの裏面PBの支持を開始する。
【0103】
ところで、チェーングリッパ66による搬送によって対向ロール36から後端が離間した用紙Pの裏面PBを、送風機構170による送風によって、離間後から支持する構成(以下、構成Aという)では、用紙Pの後端が対向ロール36から離間した後から送風機構170によって支持されるまでの間、チェーングリッパ66によって用紙Pの前端部のみが保持された状態となる。このため、用紙Pがばたつく場合がある。特に、用紙Pが薄紙の場合は、厚紙に比べ、垂れやすく、ばたつきが生じやすい。また、用紙Pが一旦ばたつくと、その後に、用紙Pが支持された場合でも、用紙Pのばたつきが収まりにくい。また、特に、粉体の一例であるトナーの未定着画像が、二次転写位置NTから定着ユニット120までの間で用紙P上にある場合、用紙Pがばたつくと、未定着画像が、画像形成装置10内の他の部材へ接触しやすくなったり、ばたつきによる振動が発生しやすくなったりするため、未定着トナー画像の乱れや用紙Pの傷や折れ等が生じる恐れがある。また、用紙Pがばたつくと、加熱部102に接触しやすくなることで、用紙Pの表面のトナー画像が乱れるだけでなく、用紙Pが燃えてしまう恐れがある。
【0104】
これに対して、本実施形態では、対向ロール36から後端が離間した用紙Pの裏面PBを離間前から支持するので、構成Aに比べ、用紙Pのばたつきが抑制される。このように、用紙Pのばたつきが抑制されることで、トナー画像の乱れ、加熱部102への用紙Pの接触が抑制される。
【0105】
また、本実施形態では、送風機構170は、用紙Pの後端が二次転写位置NTを通過し終える前に、送風による裏面PBの支持を開始する。すなわち、本実施形態では、用紙Pが対向ロール36と転写ベルト31とで挟み込まれた状態から、裏面PBの支持を開始する。このため、用紙Pの後端が二次転写位置NTを通過し終えた後に、送風機構170が送風による裏面PBの支持を開始する構成に比べ、用紙Pのばたつきが抑制される。
【0106】
また、本実施形態では、送風機構170は、チェーングリッパ66が用紙Pを保持した保持位置よりも後端側で裏面PBを支持する。このため、チェーングリッパ66が用紙Pを保持した保持位置と同じ位置で送風機構170が裏面PBを支持する構成に比べ、用紙Pのばたつきが抑制される。
【0107】
また、本実施形態では、送風機構170が、非接触で用紙Pの裏面PBを支持するので、用紙Pの裏面PBに接触して記録媒体を支持する構成に比べ、送風機構170がチェーングリッパ66と干渉することが抑制される。
【0108】
また、本実施形態では、送風により用紙Pの裏面PBを支持するので、磁力又は静電力により用紙Pの裏面PBを非接触で支持する構成に比べ、記録媒体として用いられる材質の自由度が高い。
【0109】
また、本実施形態では、図3に示されるように、加熱部102において、チェーングリッパ66で搬送する用紙Pの裏面PBに対して、送風機160が送風することで、送風機160は、用紙Pの画像領域GR内の裏面PBが非接触状態で用紙Pが搬送されるように、当該非接触状態を維持する。
【0110】
ここで、加熱部102に表面PAを対向させながら用紙Pを搬送する際に、用紙Pの画像領域GR内の裏面PBが、装置の構成部に接触する構成(第一構成)では、用紙Pが接触する当該構成部(例えば通気板180)が、定着装置100の稼働が継続して加熱部102によって加熱された場合に、当該構成部によって用紙Pが加熱され、トナーの溶融が進む。
【0111】
これにより、定着装置100の稼働初期と、定着装置100の稼働が継続したときとにおいて、トナーの溶融度が変動する。このため、定着装置100の稼働初期と、定着装置100の稼働が継続したときとにおいて、加熱部102及び加熱ロール130の加熱温度を変える必要があり、加熱温度の制御が複雑になる。
【0112】
これに対して、本実施形態では、送風機160が、用紙Pの画像領域GR内の裏面PBが非接触状態で用紙Pが搬送されるように、当該非接触状態を維持するので、前述の第一構成に比べ、用紙Pの裏面PBが加熱されず、用紙Pの裏面PBから受ける熱(例えば伝導熱)の影響が低減される。換言すれば、加熱部102や加熱ロール130の加熱温度の制御が複雑になることが抑制され、両面印刷時の用紙Pの裏面PBのトナーが熱の影響で溶けつつ、用紙Pの裏面PBが送風機構170に接触することでトナー画像が乱れるといったことが抑制される。
【0113】
特に、用紙Pの両面に画像を形成する場合に、定着済のトナー画像を裏面PBに有する用紙Pが、加熱部102においてチェーングリッパ66で搬送された場合でも、用紙Pの裏面PBが加熱されず、第一構成に比べ、定着済のトナー像が溶融することが抑制される。なお、特に用紙Pの両面に画像を形成する際の、定着済みのトナー像の溶融を抑制するという目的からは、定着済のトナー画像を裏面PBに有する用紙Pが加熱部102を通過するときに裏面PBが非接触状態になるように、搬送部や送風部を制御する。用紙Pの裏面PBに定着済みのトナー像を有さず、表面PAにのみ未定着のトナー像を有している場合には、裏面PBに通気板180などが常時接触しながら搬送するようにしてもよい。
【0114】
また、本実施形態では、加熱部102において、チェーングリッパ66で搬送する用紙Pの裏面PBに対して、複数の通気穴182が形成された通気板180を介して、送風機160が送風する。このため、送風機160から送風される空気が通気穴182を通過せずに直接、用紙Pの裏面PBに当たる構成(第二構成)に比べ、用紙Pの裏面PBに空気が不均一に当たることが抑制される。これにより、前述の第二構成に比べ、用紙Pの姿勢が変動しにくい。
【0115】
また、本実施形態では、図5に示されるように、用紙Pの前端側を保持するグリッパ76が、加圧ロール140と加熱ロール130との間を通過する場合に、グリッパ76が凹部148に入り込む。このため、凹部148が形成されていない加圧ロール140と加熱ロール130との間で用紙Pを加圧する構成に比べ、用紙Pを加圧する際にグリッパ76が邪魔になりにくい。
【0116】
また、本実施形態では、図6に示される突き当て部149が被突き当て部139に突き当たった状態で、加熱ロール130及び加圧ロール140が回転することで、凹部148が加熱ロール130に対向した状態となっても、加熱ロール130と加圧ロール140との軸間距離を保たれる。このため、軸間距離が保もたれていない加圧ロール140と加熱ロール130との間で用紙Pを加圧する構成に比べ、用紙Pを加圧する圧力の変動が抑制される。
【0117】
(チェーングリッパ66の変形例)
本実施形態では、チェーングリッパ66では、用紙Pに対する搬送方向の下流側に配置されたグリッパ76が、用紙Pの搬送方向の下流側から用紙Pの前端部を保持していたが、これに限られない。保持部の一例としては、図7に示されるように、用紙Pの両側の側端側に配置され、用紙Pに対する側端側から用紙Pの前端側部分を保持するグリッパ761を用いてもよい。
【0118】
(他の変形例)
本実施形態では、記録媒体の一例として用紙Pを用いたが、これに限られない。記録媒体の一例としては、例えばフィルムなどであってもよく、記録媒体の一例として、用紙P以外の、シート状(紙状、膜状)に形成されたシート材を用いてもよい。
【0119】
また、本実施形態では、画像形成部12は、中間転写体としての転写ベルト31を有する構成であったが、これに限られない。画像形成部の一例としては、直接転写型の画像形成部であってもよい。また、画像形成部の一例としては、用紙Pへのインクの吐出により画像を形成するインクジェット式の画像形成部であってもよい。
【0120】
また、本実施形態では、搬送体は、転写部35の対向ロール36であったが、これに限られない。対向ロール36は、転写部35から搬送された用紙Pの裏面PBを支持する支持ロールや支持ブロックであってもよい。その際、支持ロールは用紙Pが転写部35で挟み込まれた状態で、用紙Pを支持する位置に配置されるとより良い。また、転写部35を抜けてから加熱部102までの間、もしくは転写部35を抜けてから定着ユニット120までの間は、用紙Pの表面が他の部材に接触しないことが好ましい。
【0121】
また、本実施形態では、離間位置36Xが、二次転写位置NTに対する下流側に位置していたが、これに限られない。例えば、離間位置36Xが二次転写位置NTの下流端に位置する構成であってもよい。すなわち、用紙Pの後端が、二次転写位置NTを通過し終えると、用紙Pの後端が対向ロール36から離間する構成であってもよい。また、画像形成部の一例として、インクジェット式の画像形成部などを用いた場合では、二次転写位置NT(挟込位置)は存在せず、用紙Pは、対向ロール36の外周面に配置された後、挟み込まれることなく、対向ロール36から後端が離間する構成とされる。
【0122】
また、本実施形態では、送風機構170は、送風機160と、通気板180と、を有していたが、これに限られない。送風機構170は、通気板180を有せず、送風機160のみを有する構成であってもよい。
【0123】
また、本実施形態では、送風機構170は、用紙Pの後端が二次転写位置NTを通過し終える前に、送風による裏面PBの支持を開始していたが、これに限られない。送風機構170は、用紙Pの後端が対向ロール36から離間する前であれば、用紙Pの後端が二次転写位置NTを通過し終えた後に送風による裏面PBの支持を開始してもよい。もしくは、用紙Pが画像形成中は二次転写位置NTに突入する前から送風を開始してもよいし、画像形成中は常に送風を行っていてもよい。
【0124】
また、本実施形態では、送風機構170は、チェーングリッパ66が用紙Pを保持した保持位置よりも後端側で裏面PBを支持していたが、これに限られない。例えば、チェーングリッパ66が、用紙Pの前端側の部分において、搬送方向の中央寄りで保持する場合等では、送風機構170は、チェーングリッパ66が用紙Pを保持した保持位置と同じ位置で裏面PBを支持する構成であってもよい。
【0125】
また、本実施形態では、送風機構170が、非接触で用紙Pの裏面PBを支持していたが、これに限られない。例えば、支持部の一例としては、用紙Pの裏面PBに接触して記録媒体を支持する構成であってもよい。
【0126】
また、本実施形態では、送風により用紙Pの裏面PBを支持していたが、これに限られない。例えば、支持部の一例としては、磁力又は静電力により用紙Pの裏面PBを非接触で支持する構成であってもよい。
【0127】
また、本実施形態では、送風機160は、用紙Pの裏面PBに対して、用紙Pの厚み方向へ空気を送風していたが、これに限られない。例えば、送風機160は、用紙Pの厚み方向に対して斜めに送風してもよい。例えば、送風機160は、用紙Pの裏面PBに対して、用紙Pの搬送方向の上流側に向かって斜めに(図3において右斜め上側に)送風する構成とされる。
【0128】
さらに、図8に示されるように、送風機160を用紙Pの幅方向外側に配置し、用紙Pの両側の側端側から用紙Pの裏面PBに対して空気を送風する構成であってもよい。換言すれば、用紙Pが浮き上がるように、空気が用紙Pの裏面PBに対して供給される構成であればよい。
【0129】
なお、本実施形態では、用紙Pの裏面PBにのみ空気が供給されることとしたが、これに限られない。用紙Pの表面PAに空気が供給される場合、以下の観点から許容されうる。
【0130】
図9に示す例は、用紙Pの安定的な搬送という観点から表面PAに空気が供給される変形例1である。本変形例1においては、図3に示した本実施形態の構成に加えて、用紙Pの表面PA側に向き合うように配置され、表面PAに空気を供給するための送風機190を有する。この送風機190から送風される空気と、送風機160との相対的な風量を調整して、用紙Pの姿勢が搬送方向に並行に保たれるようになっている。この場合、乾式トナーを用いる観点から、送風機190の風量は送風機160の風量よりも小さく、かつ送風機190からの空気によってトナーが飛散しない程度に設定されている。
【0131】
また、図10に示す変形例2では、加熱部102の周辺の空気を換気するために送風機200を、送風機160の送風方向と直交する方向に向くように設けている。すなわち送風機200の送風口は用紙Pの表面PAに沿う方向に開口しており、用紙Pの表面PAに向かい合わないように設けられている。そして送風機200から送風される空気は、用紙Pの表面PAに沿う方向に流れ、送風機200からの空気が用紙Pの表面PAに供給される可能性がある。この場合も変形例1と同様にトナーの飛散が発生しない程度にその風量が設定されていることが望ましい。
【0132】
また、本実施形態では、送風機160は、用紙Pの裏面PBに対して、用紙Pの厚み方向へ空気を送風している形態を用いて説明した。加熱部102と、送風機160との間に記録媒体が存在しない場合に、送風機160による送風を行うと、加熱部102の周辺の温められた空気が装置内に拡散されてしまう虞がある。このような対策として、送風機160は記録媒体が送風機160と対向するタイミングにて送風されるようにすれば、送風される空気が記録媒体に遮られる。いいかえれば、先行する記録媒体と後続する記録媒体との媒体間において、送風を弱め、あるいは停止させることによって、加熱部102に供給される送風機160からの空気が低減され、結果として暖められた空気が装置内に拡散されてしまうことが抑制される。このように、送風機160の駆動制御を行ってもよく、複数の送風機160を個別に駆動制御するようにしてもよい。
【0133】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
本出願は、2020年9月16日出願の日本特許出願である特願2020-155743に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。
【0134】
<付記>
(((1)))
記録媒体の搬送方向前端側を把持部によって把持した状態で該記録媒体を搬送する搬送部と、
前記記録媒体を転写ベルトとで挟んだ状態で搬送し支持する第一の支持部と、
前記記録媒体に対して送風して支持する第二の支持部と、
を備え、
前記搬送部による搬送によって前記記録媒体が前記第一の支持部から離れる前は、前記記録媒体は、前記把持部と前記第一の支持部と前記第二の支持部とで支えられ、
前記搬送部による搬送によって前記記録媒体が前記第一の支持部から離れた後は、前記記録媒体は、前記把持部と前記第二の支持部とで支えられ、
前記第二の支持部の送風は、前記第一の支持部と前記転写ベルトとの挟み位置を前記記録媒体の後端が通過し終える前に、前記記録媒体の支持を開始して気流を安定させた状態とする
画像形成装置。
(((2)))
前記第二の支持部は、前記搬送部が前記記録媒体の前端側を保持した保持位置よりも後端側で前記記録媒体を支持する
(((1)))に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0135】
10 画像形成装置
12 画像形成部
36 対向ロール(搬送体の一例)
66 チェーングリッパ(搬送部の一例)
170 送風機構(支持部の一例、送風部の一例)
NT 二次転写位置NT(画像形成位置の一例)
P 用紙(記録媒体の一例)
PA 表面(一方の面の一例)
PB 裏面(他方の面の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送方向前端側を保持部によって保持した状態で該記録媒体を搬送する搬送部と、
前記記録媒体を転写位置で支えて搬送し支持する第一の支持部と、
前記記録媒体に対して送風して支持する第二の支持部と、
を備え、
前記搬送部による搬送によって前記記録媒体が前記第一の支持部から離れる前は、前記保持部と前記第一の支持部と前記第二の支持部とで前記記録媒体を支え
前記搬送部による搬送によって前記記録媒体が前記第一の支持部から離れた後は、前記保持部と前記第二の支持部とで記録媒体を支え
前記第二の支持部の送風は、前記第一の支持部と転写ベルトとの挟み位置を前記記録媒体の後端が通過し終える前に、前記記録媒体の支持を開始している
画像形成装置。
【請求項2】
前記第二の支持部は、前記搬送部が前記記録媒体の前端側を保持した保持位置よりも後端側で前記記録媒体を支持する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記第一の支持部の後段に非接触の加熱手段を有し、
前記記録媒体が前記加熱手段の加熱領域を通過した後も前記第二の支持部は前記記
録媒体を送風する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第二の支持部は、前記搬送部によって搬送される前記記録媒体の下側の面に対
向する通気板に二次元状に配置された複数の通気穴からの送風によって支持する
請求項1に記載の画像形成装置。