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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040231
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】線材処理システム及び線材処理方法
(51)【国際特許分類】
   B21C 47/26 20060101AFI20240315BHJP
   B21C 47/18 20060101ALI20240315BHJP
   B21C 47/24 20060101ALI20240315BHJP
   B21C 47/02 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B21C47/26 C
B21C47/18 A
B21C47/24 B
B21C47/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024012529
(22)【出願日】2024-01-31
(62)【分割の表示】P 2020172167の分割
【原出願日】2020-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】390029089
【氏名又は名称】高周波熱錬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 文昭
(72)【発明者】
【氏名】村山 勝彦
(57)【要約】
【課題】被処理線材の接合部を自動的に精度よく除去すること。
【解決手段】繰り出し部110は、複数本の線材を接合してなる被処理線材を繰り出す。線材処理部130は、繰り出し部110によって繰り出された被処理線材に対して、熱処理及び成形の少なくともいずれかを含む線材処理を行う。収容部150は、線材処理部130によって線材処理が行われた被処理線材を収容する。接合部検出部120は、繰り出し部110によって繰り出された被処理線材における線材の接合部の通過を検出する。切断部140は、線材処理部130と収容部150との間において、接合部検出部140による接合部の通過の検出結果に基づいて被処理線材を切断することにより、被処理線材における接合部を除去する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の線材を接合してなる被処理線材を繰り出す繰り出し部と、
前記繰り出し部によって繰り出された前記被処理線材に対して、熱処理及び成形の少なくともいずれかを含む線材処理を行う線材処理部と、
前記線材処理部によって前記線材処理が行われた前記被処理線材を収容する収容部と、
前記繰り出し部によって繰り出された前記被処理線材における線材の接合部の通過を検出する接合部検出部と、
前記線材処理部と前記収容部との間において、前記接合部検出部による前記接合部の通過の検出結果に基づいて前記被処理線材を切断することにより、前記被処理線材における前記接合部を除去する切断部と、
を含む線材処理システムであって、
前記被処理線材は、第1の線材と、前端が前記第1の線材の終端と接合された第2の線材と、を含み、
前記繰り出し部は、
前記被処理線材のうち前記第1の線材が巻かれる第1のドラムと、
前記被処理線材のうち前記第2の線材が巻かれる第2のドラムと、
前記第1のドラム及び前記第2のドラムに巻かれた前記被処理線材を引き込む引き込み部を有し、前記引き込み部により引き込んだ前記被処理線材を繰り出す可動ガイドであって、前記引き込み部が、前記第2の線材の巻きの中心軸よりも前記第1の線材の巻きの中心軸に近い第1の位置と、前記第1の線材の巻きの中心軸よりも前記第2の線材の巻きの中心軸に近い第2の位置と、に変位可能な可動ガイドと、
前記可動ガイドによる前記第1の線材の後端の引き込みを検出する後端検出部と、
前記後端検出部により前記第1の線材の後端の引き込みが検出される前は、前記引き込み部の位置を前記第1の位置にし、前記後端検出部により前記第1の線材の後端の引き込みが検出された後は、前記引き込み部の位置を前記第2の位置にするガイド制御部と、
を備える線材処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の線材処理システムであって、
前記後端検出部は、前記第1の線材の後端の、前記引き込み部の側への変位を検出するリミットスイッチである線材処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材を処理する線材処理システム及び線材処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の鋼材である線材を線材処理装置に通すことで線材の線材処理を行う線材処理システムが知られている。この線材処理には、例えば、焼入れ等の熱処理や、伸線などの成形などがある。
【0003】
また、線材処理システムにおいて、複数本の線材に対する線材処理を効率よく均一に行うために、複数本の線材を溶接等により接合して1本の被処理線材とし、その被処理線材に対して線材処理を行う方法が知られている。例えば、特許文献1には、先の線材の後端と後の線材の前端とを溶接して連続移動することで各線材を熱処理することが記載されている。
【0004】
また、線材処理システムにおいて、ドラム等に巻かれたコイル状の線材を順次解きながら繰り出して線材処理を行い、線材処理を行った線材を回転ドラム等で巻き取って再度コイル状の線材とする方法が知られている。この方法に関連する技術として、例えば特許文献2には、長尺ワークをドラムに複数回巻回して長尺ワークの束を形成する際に、結束用線材を挿入することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-221554号公報
【特許文献2】特開2015-140210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数本の線材を溶接等により接合して1本の被処理線材とし、その被処理線材に対して線材処理を行う方法においては、被処理線材の接合部において、溶接等による意図しない変質が生じてしまう。このため、線材処理を行った後の被処理線材から接合部を除去することが望ましい。
【0007】
そのために、例えば、作業者が、線材処理装置を通る線材を目視で監視し、接合部が通過したら、線材処理装置の後段の切断装置を動作させるための操作を行うことにより、接合部を切断して除去する方法が考えられる。
【0008】
しかしながら、この方法では、作業者をその場に長時間拘束することになる。また、作業者の操作によって切断装置を動作させるため、接合部の見落としにより製品へ接合部が混入する場合がある。また、作業者の操作タイミングのばらつきを見越して、接合部の前後を長めに切断除去することを要し、廃棄される線材が多くなる。このように、被処理線材から接合部のみを精度よく除去することは困難である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被処理線材の接合部を自動的に精度よく除去することができる線材処理システム及び線材処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の線材処理システムは、複数本の線材を接合してなる被処理線材を繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部によって繰り出された前記被処理線材に対して、熱処理及び成形の少なくともいずれかを含む線材処理を行う線材処理部と、前記線材処理部によって前記線材処理が行われた前記被処理線材を収容する収容部と、前記繰り出し部によって繰り出された前記被処理線材における線材の接合部の通過を検出する接合部検出部と、前記線材処理部と前記収容部との間において、前記接合部検出部による前記接合部の通過の検出結果に基づいて前記被処理線材を切断することにより、前記被処理線材における前記接合部を除去する切断部と、を含む。
【0011】
また、本発明の一態様の線材処理方法は、複数本の線材を接合してなる被処理線材を繰り出し、前記繰り出し部によって繰り出された前記被処理線材に対して、熱処理及び成形の少なくともいずれかを含む線材処理を線材処理部により行い、前記線材処理を行った前記被処理線材を収容部により収容し、前記繰り出し部によって繰り出された前記被処理線材における線材の接合部の通過を検出し、前記線材処理部と前記収容部との間において、前記接合部の通過の検出結果に基づいて前記被処理線材を切断することにより、前記被処理線材における前記接合部を除去する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被処理線材の接合部を自動的に精度よく除去することができる線材処理システム及び線材処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の線材処理システムの一実施例である線材処理システム100の一例を示す図(その1)である。
図2】本発明の線材処理システムの一実施例である線材処理システム100の一例を示す図(その2)である。
図3】本発明の線材処理システムの一実施例である線材処理システム100の一例を示す図(その3)である。
図4】本発明の線材処理システムの一実施例である線材処理システム100の一例を示す図(その4)である。
図5】本発明の線材処理システムの一実施例である線材処理システム100の一例を示す図(その5)である。
図6】本発明の線材処理システムの一実施例である線材処理システム100の一例を示す図(その6)である。
図7】本発明の線材処理システムの一実施例である線材処理システム100の一例を示す図(その7)である。
図8】可動ガイド113の構成の一例を示す図(その1)である。
図9】可動ガイド113の構成の一例を示す図(その2)である。
図10】後端検出部114の構成の一例を示す図(その1)である。
図11】後端検出部114の構成の一例を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(本発明の線材処理システムの一実施例)
図1図7は、本発明の線材処理システムの一実施例である線材処理システム100の一例を示す図である。
【0016】
図1に示す線材処理システム100は、複数本の線材を溶接等により接合して1本の被処理線材とし、その被処理線材に対して線材処理を行うことにより、複数本の線材に対して連続して線材処理を行う処理ラインである。
【0017】
線材とは、金属材料からなる長尺材である。金属材料は、例えば鋼である。線材は、断面が円形、矩形、三角形など各種の形状の長尺材とすることができる。また、線材は、断面の形状が一定でない異形断面の長尺材であってもよい。
【0018】
線材に対する線材処理には、熱処理及び成形の少なくともいずれかが含まれる。熱処理は、例えば、焼入れや焼戻しなどの熱処理である。この熱処理は、例えば、線材に高周波の電流による電磁誘導を起こし、線材の表面を加熱させて焼入れを行う高周波焼入れ等の熱処理である。ただし、熱処理は、これに限らず、電磁誘導以外の方法による熱処理であってもよい。
【0019】
成形は、例えば、線材を伸ばして線材の径を小さくする伸線である。ただし、成形は、これに限らず、例えば、線材上でインデントロールを転動させることにより異形断面を形成するインデント加工や、他の各種の線材に対する加工であってもよい。
【0020】
図1に示すように、線材処理システム100は、繰り出し部110と、接合部検出部120と、線材処理部130と、切断部140と、収容部150と、を含む。
【0021】
<繰り出し部110について>
繰り出し部110は、線材処理部130に被処理線材を通すために、被処理線材を順次繰り出して線材処理部130に投入する。被処理線材は、例えば、線材処理部130による処理対象の複数本の線材を溶接により接合してなる1本の線材であり、溶接により接合された接合部P1を含む。図1に示す例では、被処理線材には、第1の線材11及び第2の線材12が含まれる。
【0022】
線材同士の溶接は、例えばバット溶接機等の電気抵抗溶接機を用いて行うことができる。また、電気抵抗溶接機を用いて接合した線材の接合部P1に対して、再度加熱することにより軟化処理を施して、接合部P1の靭性を確保するようにしてもよい。これにより、後述の線材処理部130における接合部P1の分離破壊を抑制することができる。
【0023】
繰り出し部110から繰り出された被処理線材は、図示しない送り装置により、切断部140の方(図1の右方向)へ一定の速度で送られる。この送り装置は、少なくとも、線材処理部130と切断部140との間に、又は切断部140と収容部150との間に設けられ、被処理線材を引っ張ることにより被処理線材を送る。
【0024】
繰り出し部110は、具体的には、第1のドラム111と、第2のドラム112と、可動ガイド113と、後端検出部114,115と、ガイド制御部116と、を備える。
【0025】
第1のドラム111には第1の線材11がコイル状に巻かれている。第2のドラム112には第2の線材12がコイル状に巻かれている。第2の線材12は、第1の線材11の直後に線材処理が行われる線材である。
【0026】
第1のドラム111及び第2のドラム112の設置後に、第1の線材11と第2の線材12とを接合することにより、上記の被処理線材が形成される。ここで、線材の両端部のうち、先に繰り出し部110から繰り出される端部をその線材の前端と称し、前端とは反対側の端部をその線材の後端と称する。
【0027】
第1の線材11の前端は、図1に示す状態においては既に繰り出し部110から繰り出され、後述の収容部150に達している。第1の線材11の後端は、第2の線材12の前端と溶接により接合されている。
【0028】
接合部P1は、第1の線材11の後端と第2の線材12の前端とが溶接により接合されている部分である。例えば、この接合部P1に、カラースプレー等を用いて、特定の色(一例としては青)の塗料を付しておく。この塗料による着色は、例えば、第1の線材11と第2の線材12とを接合した後、第1の線材11の後端が可動ガイド113によって繰り出されるまでの間に行われる。
【0029】
また、第1のドラム111は、第1の線材11の巻きの中心軸(例えば図8の中心軸801)が地面に垂直になるように設置されている。同様に、第2のドラム112は、第2の線材12の巻きの中心軸が地面に垂直になるように設置されている。すなわち、第1の線材11及び第2の線材12は、地面に対して垂直な軸を中心に巻かれている。
【0030】
可動ガイド113は、第1のドラム111及び第2のドラム112に分けて巻かれた被処理線材を順次引き込む引き込み部113aと、引き込み部113aにより引き込んだ被処理線材を線材処理部130へ向けて送り出す送り出し部113bと、を有する。一例としては、可動ガイド113は、被処理線材を通す筒状の部材である。
【0031】
第1の線材11及び第2の線材12を含む被処理線材は、上記の通り、切断部140の方(図1の右方向)へ一定の速度で送られる。このとき、被処理線材は、前端の方から順次、巻きが解かれて第1のドラム111及び第2のドラム112から離れ、可動ガイド113の引き込み部113aに引き込まれ、可動ガイド113の送り出し部113bから線材処理部130へ向けて繰り出される。
【0032】
また、可動ガイド113は、ガイド制御部116からの制御により、少なくとも引き込み部113aの部分が、第2の線材12の巻きの中心軸よりも第1の線材11の巻きの中心軸に近い第1の位置と、第1の線材11の巻きの中心軸よりも第2の線材12の巻きの中心軸に近い第2の位置と、に変位可能である。第1の位置及び第2の位置は、いずれも第1のドラム111や第2のドラム112より高い位置、すなわち、第1のドラム111や第2のドラム112に対して地面とは反対側の位置である。
【0033】
図1に示す状態においては、可動ガイド113には、被処理線材のうち第1の線材11の部分が引き込まれている。このとき、ガイド制御部116からの制御により、可動ガイド113の引き込み部113aは、第1のドラム111より高い位置であって、第1のドラム111における第1の線材11の巻きのほぼ中心軸上(第1の位置)に位置する。
【0034】
これにより、第1のドラム111の第1の線材11が、第1の線材11の巻きの中心軸に近い方向にある引き込み部113aへ向かって引かれるため、第1の線材11の巻きを円滑に解き、第1の線材11を効率よく繰り出すことができる。
【0035】
さらに、引き込み部113aは、第1の線材11の巻きの中心軸上の位置を中心に旋回可能であってもよい。これにより、第1の線材11の巻きをさらに円滑に解くことができる。この構成については後述する(例えば図8図9参照)。
【0036】
後端検出部114は、第1のドラム111に巻かれた第1の線材11の後端の可動ガイド113による引き込みを検出する。すなわち、後端検出部114は、第1のドラム111に巻かれた第1の線材11がなくなったことを検出する。そして、後端検出部114は、検出結果を示す検出信号をガイド制御部116へ出力する。
【0037】
同様に、後端検出部115は、第2のドラム112に巻かれた第2の線材12の後端の可動ガイド113による引き込みを検出し、検出結果を示す検出信号をガイド制御部116へ出力する。後端検出部114,115の構成については後述する(例えば図10図11参照)。
【0038】
ガイド制御部116は、後端検出部114,115から出力される検出結果に基づいて、可動ガイド113の引き込み部113aの位置を、上記の第1の位置又は第2の位置となるように制御する。
【0039】
例えば、ガイド制御部116は、後端検出部114により第1の線材11の後端の引き込みが検出される前は、図1に示すように、引き込み部113aの位置を、第1の線材11の巻きの中心軸付近(第1の位置)にする。
【0040】
その後、図2に示すように、第1のドラム111に巻かれた第1の線材11がなくなり、接合部P1が後端検出部114を通過したとする。この場合に、ガイド制御部116は、後端検出部114からの検出信号に応じて、可動ガイド113の引き込み部113aを、図3に示す状態に変位させる。すなわち、ガイド制御部116は、引き込み部113aの位置を、第2の線材12の巻きの中心軸付近(第2の位置)にする。
【0041】
これにより、第2のドラム112の第2の線材12が、第2の線材12の巻きの中心軸に近い方向にある引き込み部113aへ向かって引かれるため、第2の線材12の巻きを円滑に解き、第2の線材12を効率よく繰り出すことができる。
【0042】
また、引き込み部113aは、第2の線材12の巻きのほぼ中心軸上の位置を中心に旋回可能であってもよい。これにより、第2の線材12の巻きをさらに円滑に解くことができる。この構成については後述する(例えば図8図9参照)。
【0043】
<接合部検出部120について>
接合部検出部120は、繰り出し部110と線材処理部130との間において、繰り出し部110によって繰り出された被処理線材の接合部P1の通過を検出する。
【0044】
具体的には、接合部検出部120は、繰り出し部110から線材処理部130へ送られる被処理線材を光学的にセンシングする光学センサ121を備える。光学センサ121は、繰り出し部110から線材処理部130へ送られる線材における上記の特定の色(一例としては青)を検出し、検出結果を示す検出信号を切断部140へ出力する。例えば、図4に示すように接合部P1が光学センサ121の付近を通過すると、光学センサ121は、被処理線材の接合部P1を検出したことを示す検出信号を切断部140へ出力する。
【0045】
光学センサ121は、例えば、線材を撮像する撮像装置を含み、その撮像装置によって得られた画像から特定の色の領域を検出することにより接合部P1を検出する。ただし、光学センサ121の構成はこれに限らない。例えば、光学センサ121は、特定の色の光のみを通過させるカラーフィルタと、そのカラーフィルタを通過した光を電気信号に変換する光電変換素子により構成されてもよい。
【0046】
接合部検出部120が繰り出し部110と線材処理部130との間、すなわち線材処理部130よりも前段において接合部P1の通過を検出することで、接合部P1を検出するための塗料が、線材処理部130における線材処理によって消失あるいは減衰するものであっても接合部P1を検出することができる。
【0047】
<線材処理部130について>
線材処理部130は、繰り出し部110によって繰り出されて線材処理部130を通る被処理線材に対して、上記の線材処理を行う。図1に示す例では、線材処理部130は、被処理線材に対して高周波焼入れ等の熱処理を行う熱処理装置131を備える。この場合に、線材処理部130は、被処理線材に高周波の電流による電磁誘導を発生させるためのコイルと、そのコイルに高周波の電流を流すための電源回路と、により構成される。
【0048】
<切断部140について>
切断部140は、線材処理部130と収容部150との間において、接合部検出部120による接合部P1の通過の検出結果に基づいて被処理線材を切断することにより、被処理線材から接合部P1を除去する。
【0049】
具体的には、切断部140は、カッタ141と、切断制御部142と、を備える。カッタ141は、線材処理部130と収容部150との間において被処理線材を切断する。切断制御部142は、カッタ141を駆動することにより、カッタ141による被処理線材の切断を制御する。
【0050】
上記のように、繰り出し部110によって繰り出された被処理線材は一定の速度で切断部140へ送られる。このため、接合部検出部120により接合部P1の通過が検出されてから、その接合部P1がカッタ141へ到達するまでの時間は、被処理線材を送る一定の速度と、光学センサ121とカッタ141との間の距離と、に応じた一定の時間t1(距離/速度)である。
【0051】
切断制御部142は、接合部検出部120の光学センサ121から出力された検出信号に基づいて、接合部検出部120により接合部P1の通過が検出されたタイミングt0を特定し、特定したタイミングt0から上記一定の時間t1が経過したタイミングt0+t1を、接合部P1がカッタ141に到達するタイミングとして特定する。
【0052】
そして、切断制御部142は、接合部P1がカッタ141に到達するタイミングt0+t1より早いタイミング(t0+t1-α)と、接合部P1がカッタ141に到達するタイミングt0+t1より遅いタイミング(t0+t1+α)と、においてカッタ141に被処理線材を切断させる(αは時間)。これにより、被処理線材における接合部P1の前後(例えば、直前の部分と直後の部分)を切断し、被処理線材から接合部P1を除去することができる。
【0053】
例えば、図4に示した状態において光学センサ121から切断制御部142へ検出信号が出力されてから一定の時間t1(より詳細にはt1-α)が経過すると、図5に示すように、切断制御部142は、カッタ141によって被処理線材を2回切断する。これにより、接合部P1の前後が切断され、接合部P1を含む廃棄線材D1が除去される。したがって、溶接により性質が変化した接合部P1を含まない第1の線材11を収容部150に収容させることができる。接合部P1を含む廃棄線材D1は廃棄される。
【0054】
また、被処理線材を接合部P1の位置で切断することにより、被処理線材を第1の線材11及び第2の線材12に分けるように切断することができる。
【0055】
このように、接合部検出部120が線材処理部130の前段において接合部P1の通過を検出する構成であっても、接合部検出部120による接合部P1の検出から一定の時間t1が経過した後に切断部140が被処理線材の切断を行うことで、線材処理部130の後段において被処理線材の接合部P1を切断除去することができる。
【0056】
また、上記のように、被処理線材は一定の速度で切断部140に送られてくる。このため、カッタ141は、被処理線材を切断する際に、被処理線材の移動方向(送り方向)と平行な方向に移動する、走行切断を行うことが好ましい。
【0057】
これにより、カッタ141による被処理線材の切断に時間がかかる場合に、カッタ141により被処理線材の送りが阻害されることを抑制することができる。このため、カッタ141による被処理線材の切断時に、被処理線材の送りや線材処理部130による線材処理を停止させずに、被処理線材に含まれる第1の線材11及び第2の線材12に対する線材処理を連続して行うことができる。
【0058】
被処理線材の移動方向と平行な方向におけるカッタ141の移動速度は、被処理線材の送りの速度と同じであることが望ましい。これにより、切断時におけるカッタ141の破損を防止することができる。
【0059】
また、切断制御部142は、被処理線材の切断(例えば接合部P1の前後の切断)を行うと、被処理線材を切断したことを示す通知信号を収容部150へ出力する。
【0060】
<収容部150について>
収容部150は、線材処理部130によって線材処理が行われた被処理線材を収容する。具体的には、収容部150は、ガイド151と、振り分け部152と、第1の巻き取り装置153と、第2の巻き取り装置154と、を備える。ガイド151及び振り分け部152は、切断部140により切断された各線材を、第1の巻き取り装置153及び第2の巻き取り装置154に対して交互に振り分ける。
【0061】
図1図5に示す状態においては、振り分け部152は、第1の線材11を第1の巻き取り装置153へ送っている。これにより、第1の巻き取り装置153によって第1の線材11が巻き取られる。
【0062】
切断制御部142から上記通知信号が出力されると、振り分け部152は、図6に示すように変位し、その後に送られてくる第2の線材12の前端を第2の巻き取り装置154に誘導する。これにより、図7に示すように、振り分け部152は第2の線材12を第2の巻き取り装置154へ送る状態となり、第2の巻き取り装置154によって第2の線材12が巻き取られる。
【0063】
このように、被処理線材を接合部P1の位置で切断するごとに、第1の巻き取り装置153及び第2の巻き取り装置154のうち被処理線材の振り分け先を自動的に切り替えることができる。これにより、カッタ141による被処理線材の切断時に、被処理線材の送りや線材処理部130による線材処理を停止させずに、被処理線材に含まれる第1の線材11及び第2の線材12に対する線材処理を連続して行いつつ、第1の線材11及び第2の線材12を個別に巻き取ることができる。
【0064】
(線材の追加について)
図1図7において、繰り出し部110による繰り出し対象が第1の線材11から第2の線材12へ移行する状況について説明したが、例えば図4図7に示した状態において、第1の線材11がなくなった第1のドラム111に代えて、第2の線材12の次に線材処理を行うための第3の線材が巻かれた新たなドラム(不図示)を設置してもよい。この場合に、第3の線材の前端と、第2の線材12の後端と、を溶接により接合し、第2の線材12の後端付近を後端検出部115に通しておく。
【0065】
このようにすることで、第2のドラム112に巻かれた第2の線材12がなくなると、第2の線材12の後端の変位(図11参照)が後端検出部115により検出され、ガイド制御部116が引き込み部113aを第1の位置に再度移動させる。これにより、繰り出し部110による繰り出し対象が、第3の線材に移行する。
【0066】
このように、繰り出し部110において線材がなくなったドラムを順次交換し、繰り出し中の線材の後端付近を後端検出部114又は後端検出部115に通しておくことにより、被処理線材を継ぎ足しながら継続して繰り出すことができる。このため、例えば線材処理部130の動作を停止させずに、複数の線材に対する線材処理を連続して行うことができる。
【0067】
また、図1図9において、収容部150による収容対象が第1の線材11から第2の線材12へ移行する状況について説明したが、例えば図6図7に示した状態において、第1の線材11を巻き取り終わった第1の巻き取り装置153から第1の線材11を取り外しておいてもよい。
【0068】
このようにすることで、第2の線材12と第3の線材との接合部(不図示)が接合部検出部120により検出され切断部140により切断されると、振り分け部152は図1に示した状態に再度変位し、第3の線材の前端を第1の巻き取り装置153に誘導する。これにより、振り分け部152は第3の線材を第1の巻き取り装置153へ送る状態となり、第1の巻き取り装置153によって第3の線材が巻き取られる。
【0069】
このように、巻き取りが終わった巻き取り装置から順次線材を取り外すことにより、接合部が除去されコイル状に巻かれた線材を順次製造することができる。
【0070】
(可動ガイド113の構成)
図8及び図9は、可動ガイド113の構成の一例を示す図である。図8に示すように、可動ガイド113は、支柱部810と、第1のアーム820と、中空回転体830と、第2のアーム840と、を備える。
【0071】
図8においては、図1図2に示した状態、すなわち可動ガイド113の引き込み部113aが、第1の線材11の巻きの中心軸801に近い第1の位置にある状態の可動ガイド113及び第1のドラム111を示している。なお図8においては第2のドラム112の図示を省略している。
【0072】
支柱部810は、第1のドラム111及び第2のドラム112の近くの地面に下端が固定されている。例えば、支柱部810は、第1のドラム111における第1の線材11の巻きの中心軸801と支柱部810との間の距離と、図示しない第2のドラム112における第2の線材12の巻きの中心軸と支柱部810との間の距離と、が等しくなる位置に固定される。
【0073】
支柱部810の上端には、第1のアーム820の基端が、支柱部810に対して回転可能に設けられている。回転軸811は、支柱部810に対して第1のアーム820が回転する際の回転軸であり、地面に対して垂直である。
【0074】
第1のアーム820は、長手方向が回転軸811に対して斜めになるように設けられている。したがって、回転軸811を中心に第1のアーム820を回転させることにより、第1のアーム820の先端は回転軸811を中心に旋回する。
【0075】
また、図示しないが、可動ガイド113には、ガイド制御部116からの制御によって、回転軸811を中心に第1のアーム820を回転させるアクチュエータが設けられる。このアクチュエータには、例えばエアシリンダなどの各種のアクチュエータを用いることができる。
【0076】
第1のアーム820の先端付近には、第1のドラム111と対向するように中空回転体830が設けられている。中空回転体830は、第1のアーム820に対して回転可能に設けられている。回転軸831は、第1のアーム820に対して中空回転体830が回転する際の回転軸であり、地面に対して垂直である。また、中空回転体830は、回転軸831と平行な方向に貫通する貫通孔を有する中空構造になっている。
【0077】
また、中空回転体830には、第2のアーム840の基端が固定されている。第2のアーム840は、長手方向が回転軸831に対して斜めになるように設けられている。したがって、上記のように中空回転体830が回転軸831を中心に第1のアーム820に対して回転可能であることにより、第2のアーム840の先端は回転軸831を中心に旋回可能になっている。
【0078】
第2のアーム840の先端付近にはリング841が設けられている。したがって、リング841は、第2のアーム840の先端とともに、回転軸831を中心に旋回可能になっている。
【0079】
第1のドラム111から解かれた第1の線材11は、リング841及び中空回転体830の貫通孔を通り、線材処理部130へ向かって繰り出される。この場合に、リング841は上記の引き込み部113aを構成する。すなわち、第1の線材11が繰り出されるにしたがって、第1のドラム111に巻かれた第1の線材11はリング841から可動ガイド113に引き込まれる。
【0080】
したがって、第1の線材11は、第1の線材11の巻きの中心軸801に近い第1の位置にあるリング841(引き込み部113a)へ向かって引かれるため、上記のように、第1の線材11の巻きを円滑に解くことができる。
【0081】
さらに、図8に示す構成においては、引き込み部113aであるリング841が、回転軸831を中心に旋回可能である。ここで、第1の線材11は第1のドラム111に巻かれているため、第1の線材11のうち第1のドラム111から離れかかっている部分(図8に示す部分11a)は、第1の線材11が第1のドラム111から解かれるにしたがって、中心軸801を中心に回転する。
【0082】
また、第1の線材11が線材処理部130の方へ引っ張られる力により、リング841が、中空回転体830の下端と、第1の線材11のうち第1のドラム111から離れかかっている部分(図8に示す部分11a)と、から引っ張られる。
【0083】
その結果、図9に示すように、リング841は、第1の線材11が第1のドラム111から解かれるにしたがって、中心軸801を中心に旋回する。これにより、第1の線材11の巻きをさらに円滑に解くことができる。なお、図9は、第1の線材11が第1のドラム111からおよそ半周分解かれた状態を示しており、それに伴ってリング841もおよそ半周分旋回している。
【0084】
また、上記のように、後端検出部114により、第1のドラム111に巻かれた第1の線材11の後端が可動ガイド113により引き込まれたことが検出されると、ガイド制御部116は、上記のアクチュエータを制御して、第2のドラム112における第2の線材12の巻きの中心軸上に中空回転体830が位置するように、支柱部810に対して第1のアーム820を回転させる。
【0085】
これにより、引き込み部113aであるリング841の位置が、第2のドラム112における第2の線材12の巻きの中心軸の近くの第2の位置になるため、第2の線材12の巻きを円滑に解くことができる。
【0086】
さらに、リング841は、第2の線材12が第2のドラム112から解かれるにしたがって、第2のドラム112における第2の線材12の巻きの中心軸を中心に旋回する。これにより、第2の線材12の巻きをさらに円滑に解くことができる。
【0087】
また、リング841(引き込み部113a)が旋回しながら被処理線材を引き込むことにより、巻かれた被処理線材を引き出す際の、被処理線材のねじれ負荷を低減することができる。
【0088】
(後端検出部114,115の構成)
図10及び図11は、後端検出部114の構成の一例を示す図である。後端検出部114の構成について説明するが、後端検出部115の構成についても後端検出部114の構成と同様である。
【0089】
図10及び図11に示す例では、後端検出部114は、スタンド部1010と、レバー1020と、を備えるリミットスイッチである。スタンド部1010は、地面に固定されたU字型の部材である。レバー1020は、スタンド部1010におけるU字の内側に設けられる。
【0090】
例えば図1に示した状態においては、図10に示すように、第1の線材11のうち接合部P1に近い部分が、スタンド部1010のU字の内側のうちレバー1020の下側を通るように配置される。図10に示す例では接合部P1がスタンド部1010に対して第1のドラム111とは反対側になるように配置されているが、接合部P1がスタンド部1010と第1のドラム111との間になるように配置されてもよい。
【0091】
そして、図2に示した状態においては、図11に示すように、第1の線材11の後端が可動ガイド113によって引き上げられ、それによってレバー1020が持ち上げられて変位し、第1の線材11がスタンド部1010の上方へ抜ける。
【0092】
また、レバー1020が持ち上げられると、後端検出部114は、第1のドラム111に巻かれた第1の線材11の後端の可動ガイド113による引き込みを検出したことを示す検出信号をガイド制御部116へ出力する。これより、ガイド制御部116が、可動ガイド113の引き込み部113aを第2の位置に変位させ、図3に示した状態となる。
【0093】
図10図11に示したように、後端検出部114は、第1の線材11の後端の、可動ガイド113の側(図10図11の上方)への変位を検出するリミットスイッチにより構成することができる。同様に、後端検出部115は、第2の線材12の後端の、可動ガイド113の側への変位を検出するリミットスイッチにより構成することができる。
【0094】
以上説明した線材処理システム100によれば、繰り出された被処理線材における線材の接合部P1の通過を検出し、その検出結果に基づいて、線材処理部130と収容部150との間において被処理線材を切断することにより、被処理線材における接合部P1を除去することができる。
【0095】
これにより、作業者に接合部P1の位置の監視及び切断装置の操作を行わせなくても、被処理線材から接合部P1を自動的に除去することができる。このため、作業者の拘束時間を低減することが可能になる。また、作業者の操作によらず、接合部P1の通過の検出結果に基づいて自動的に被処理線材を切断するため、被処理線材から接合部P1のみを精度よく除去することができる。
【0096】
また、線材処理システム100によれば、接合部P1の通過の検出を、被処理線材の繰り出し部110と線材処理部130との間において行うことができる。これにより、接合部P1の特徴が線材処理によって消失あるいは減衰するものであっても、接合部を確実に検出することができる。
【0097】
また、線材処理システム100によれば、被処理線材における第1の線材11の後端の引き込みが検出される前は、可動ガイド113の引き込み部113aの位置を、第1の線材11の巻きの中心軸に近い第1の位置にし、第1の線材11の後端の引き込みが検出された後は、引き込み部113aの位置を、第2の線材12の巻きの中心軸に近い第2の位置にすることができる。これにより、第1の線材11及び第2の線材12の巻きを円滑に解き、第1の線材11及び第2の線材12を効率よく繰り出すことができる。
【0098】
また、線材処理システム100によれば、切断部140の後段において、切断部140が被処理線材を切断するタイミングに応じて被処理線材を第1の巻き取り装置153及び第2の巻き取り装置154に振り分けることにより、第1の線材11を第1の巻き取り装置153へ送り、第2の線材12を第2の巻き取り装置154へ送ることができる。これにより、溶接等により接合した第1の線材11及び第2の線材12を、再度分離して収容することができる。
【0099】
このように、線材処理システム100によれば、被処理線材の効率的な繰り出しのための引き込み部113aの位置の制御、線材処理後の被処理線材における接合部P1の切断除去、及び切断後の被処理線材の振り分けを自動で(作業者による操作によらないで)行うことができる。
【0100】
このため、作業者による作業量や作業者の拘束時間を減らし、複数の線材に対する線材処理を効率よく行うことができる。
【0101】
また、作業者による操作の遅れや、作業者による接合部P1の見逃し等に起因する、可動ガイド113等の破損や線材処理システム100の緊急停止などのトラブルを抑制することができる。
【0102】
また、作業者の操作により被処理線材を切断する場合と比べて、被処理線材から接合部P1を精度よく切断除去することができる。すなわち、例えば図1に示した廃棄線材D1のうち、接合部P1でない部分を短くすることが可能になり、溶接等により変質していないにもかかわらず廃棄される線材を減らすことができる。
【0103】
(線材処理システム100の変形例)
接合部検出部120において被処理線材の接合部P1を検出するために、接合部P1に予めカラースプレー等を用いて特定の色の塗料を付しておく方法について説明したが、このような方法に限らない。
【0104】
例えば、線材同士の溶接により、被処理線材の接合部P1に、光学的に判定可能な特徴(例えば溶接痕等の色や形状)が表れる場合は、接合部P1に塗料を付さなくても、光学センサ121によってその特徴を検出することにより接合部P1の通過を検出することができる。
【0105】
又は、線材同士の溶接により、被処理線材の接合部P1に形状的な特徴(例えば盛り上がり)が表れる場合は、接合部P1に塗料を付さなくても、光学センサ121に代えてその特徴を検出可能な接触式のリミットスイッチを設けることにより、接合部P1の通過を検出することができる。
【0106】
又は、被処理線材の接合部P1に、磁気や匂いなどのセンシング可能な特徴を付しておき、その特徴をセンシングするセンサを接合部検出部120に設けることにより、接合部P1の通過を検出してもよい。
【0107】
また、接合部検出部120が繰り出し部110と線材処理部130との間、すなわち線材処理部130よりも前段において接合部P1の通過を検出する構成について説明したが、このような構成に限らない。
【0108】
例えば、接合部P1を検出するための形状や色などの特徴部が、線材処理部130における線材処理によって消失しないものである場合は、接合部検出部120が、線材処理部130と切断部140との間において接合部P1の通過を検出する構成としてもよい。
【0109】
また、図1図7等において、線材処理部130による線材処理として熱処理について説明したが、線材処理部130による線材処理は、上記のように、伸線等の成形であってもよいし、熱処理と成形の組み合わせであってもよい。
【0110】
また、第1のドラム111及び第2のドラム112に対応してそれぞれ後端検出部114及び後端検出部115を設ける構成について説明したが、後端検出部114及び後端検出部115の一方を省いた構成としてもよい。例えば、第1のドラム111と第2のドラム112との間に後端検出部114を設け、第1の線材11の後端の変位と、その後の第2の線材12の後端の変位と、の両方を後端検出部114により検出してもよい。
【0111】
また、切断制御部142が被処理線材を切断したことを示す通知信号を収容部150へ出力し、収容部150がその通知信号に基づいて被処理線材の振り分けを行う構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、収容部150は、光学センサ121から出力される上記の検出信号に基づいて、接合部P1が切断部140へ到達するタイミングを特定し、特定したタイミングに基づいて被処理線材の振り分けを行ってもよい。
【0112】
以上、説明したとおり、本明細書に開示された線材処理システムは、複数本の線材を接合してなる被処理線材を繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部によって繰り出された前記被処理線材に対して、熱処理及び成形の少なくともいずれかを含む線材処理を行う線材処理部と、前記線材処理部によって前記線材処理が行われた前記被処理線材を収容する収容部と、前記繰り出し部によって繰り出された前記被処理線材における線材の接合部の通過を検出する接合部検出部と、前記線材処理部と前記収容部との間において、前記接合部検出部による前記接合部の通過の検出結果に基づいて前記被処理線材を切断することにより、前記被処理線材における前記接合部を除去する切断部と、を含む。
【0113】
また、本明細書に開示された線材処理システムは、前記接合部検出部が、前記繰り出し部と前記線材処理部との間において前記接合部の通過を検出する。
【0114】
また、本明細書に開示された線材処理システムは、前記引き込み部が、前記第2の線材の巻きの中心軸よりも前記第1の線材の巻きの中心軸に近い第1の位置と、前記第1の線材の巻きの中心軸よりも前記第2の線材の巻きの中心軸に近い第2の位置と、に変位可能な可動ガイドと、前記可動ガイドによる前記第1の線材の後端の引き込みを検出する後端検出部と、前記後端検出部により前記第1の線材の後端の引き込みが検出される前は、前記引き込み部の位置を前記第1の位置にし、前記後端検出部により前記第1の線材の後端の引き込みが検出された後は、前記引き込み部の位置を前記第2の位置にするガイド制御部と、を備える。
【0115】
また、本明細書に開示された線材処理システムは、前記後端検出部が、前記第1の線材の後端の、前記引き込み部の側への変位を検出するリミットスイッチである。
【0116】
また、本明細書に開示された線材処理システムは、前記被処理線材が、第1の線材と、前端が前記第1の線材の終端と接合された第2の線材と、を含み、前記切断部が、前記被処理線材を前記第1の線材及び前記第2の線材に分けるように切断し、前記収容部が、前記被処理線材のうち前記第1の線材を巻き取るための第1の巻き取り装置と、前記被処理線材のうち前記第2の線材を巻き取るための第2の巻き取り装置と、前記切断部の後段において、前記切断部が前記被処理線材を切断するタイミングに応じて前記被処理線材を前記第1の巻き取り装置及び前記第2の巻き取り装置に振り分けることにより、前記第1の線材を前記第1の巻き取り装置へ送り、前記第2の線材を前記第2の巻き取り装置へ送る振り分け部と、を備える。
【0117】
また、本明細書に開示された線材処理システムは、前記繰り出し部により繰り出された前記被処理線材が一定の速度で前記切断部へ送られ、前記切断部が、前記接合部検出部により前記接合部の通過が検出されたタイミングから一定の時間が経過したタイミングにより前記被処理線材を切断する。
【0118】
また、本明細書に開示された線材処理システムは、前記切断部が、前記被処理線材のうち、前記接合部の直前の部分及び前記接合部の直後の部分を切断する。
【0119】
また、本明細書に開示された線材処理システムは、前記切断部が、前記被処理線材の移動方向と同じ方向に移動しながら前記被処理線材を切断する。
【0120】
また、本明細書に開示された線材処理システムは、前記接合部には特定の色が付されており、前記接合部検出部が、前記特定の色を光学的に検出する光学センサである。
【0121】
また、本明細書に開示された線材処理方法は、複数本の線材を接合してなる被処理線材を繰り出し、前記繰り出し部によって繰り出された前記被処理線材に対して、熱処理及び成形の少なくともいずれかを含む線材処理を線材処理部により行い、前記線材処理を行った前記被処理線材を収容部により収容し、前記繰り出し部によって繰り出された前記被処理線材における線材の接合部の通過を検出し、前記線材処理部と前記収容部との間において、前記接合部の通過の検出結果に基づいて前記被処理線材を切断することにより、前記被処理線材における前記接合部を除去する。
【符号の説明】
【0122】
11 第1の線材
12 第2の線材
11 第1の線材
12 第2の線材
100 線材処理システム
110,113b 出し部
111 第1のドラム
112 第2のドラム
113 可動ガイド
113a 引き込み部
114,115 後端検出部
116 ガイド制御部
120 接合部検出部
121 光学センサ
130 線材処理部
131 熱処理装置
140 切断部
141 カッタ
142 切断制御部
150 収容部
151 ガイド
152 振り分け部
153,154 取り装置
801 中心軸
810 支柱部
811,831 回転軸
820 第1のアーム
830 中空回転体
840 第2のアーム
841 リング
1010 スタンド部
1020 レバー
P1 接合部
D1 廃棄線材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11