(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040233
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/66 20060101AFI20240315BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20240315BHJP
G09G 5/373 20060101ALI20240315BHJP
B60R 1/26 20220101ALI20240315BHJP
【FI】
H04N5/66 Z
G09G5/38 100
G09G5/373 200
B60R1/26
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024012633
(22)【出願日】2024-01-31
(62)【分割の表示】P 2022555027の分割
【原出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鍜治本 晋明
(57)【要約】
【課題】ソフトスタート用の外付けコンデンサの有無等に依らず妥当な制御を行う。
【解決手段】車両に搭載される表示装置であって、表示画面(13)と、表示画面の表示内容を制御する表示制御部(12)と、を備え、表示制御部は、表示画面に表示される画像の表示位置を移動させるウォブリング処理を実行するウォブリング処理部と、入力画像から第1サイズの出力画像又は第1サイズよりも小さな第2サイズの出力画像を生成するスケーリング処理部と、を有し、車両の状態に応じて第1サイズ又は第2サイズの出力画像を表示画面に表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される表示装置であって、
表示画面と、
前記表示画面の表示内容を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記表示画面に表示される画像の表示位置を移動させるウォブリング処理を実行するウォブリング処理部と、入力画像から第1サイズの出力画像又は前記第1サイズよりも小さな第2サイズの出力画像を生成するスケーリング処理部と、を有し、前記車両の状態に応じて前記第1サイズ又は前記第2サイズの出力画像を前記表示画面に表示させる
、表示装置。
【請求項2】
前記車両の状態が、前記車両の外部を撮影したカメラ画像が前記表示画面に表示される状態に相当するとき、前記表示制御部は、前記第2サイズの出力画像を前記表示画面に表示させる
、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記車両の状態が、前記車両の進行方向が後退方向に設定され且つ前記カメラ画像が前記表示画面に表示される状態に相当するとき、前記表示制御部は、前記第2サイズの出力画像を前記表示画面に表示させる
、請求項2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子などを用いて構成される表示画面では、所謂焼き付きが生じることがある。焼き付きを抑制するための処理としてウォブリング処理が知られている。ウォブリング処理では、表示画面に表示される画像の表示位置を移動させる(例えば時間経過と共に8の字の軌跡に沿って移動させる)ことで、焼き付きを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-205611号公報
【特許文献2】特開2018-8578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ウォブリング処理を行うと、ウォブリング処理の過程において表示画面に表示されるべき出力画像の一部が表示領域からはみ出して表示されなくなる現象(以下、画像欠けと称する)が発生する。ウォブリング処理によって、出力画像の画像情報が存在しなくなる箇所には黒画像が表示される。或いは、黒画像の表示を回避するために、ウォブリング処理用の画素を出力画像に付加するといった手当てが必要となる。尚、ウォブリング処理に基づく画像欠けについては後にも説明される。
【0005】
画像欠けが実質的に問題とならないケースも多々あるが、状況によっては画像欠けによる弊害を無視できないケースも存在する。
【0006】
そこで本発明は、ウォブリング処理に基づく画像欠けの弊害抑制に寄与する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、車両に搭載される表示装置であって、表示画面と、前記表示画面の表示内容を制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記表示画面に表示される画像の表示位置を移動させるウォブリング処理を実行可能とし、前記車両の状態に応じて前記ウォブリング処理を禁止する構成(第1の構成)である。
【0008】
上記第1の構成に係る表示装置において、前記車両の状態が、前記車両の外部を撮影したカメラ画像が前記表示画面に表示される状態に相当するとき、前記表示制御部は、前記ウォブリング処理を禁止する構成(第2の構成)であっても良い。
【0009】
上記第2の構成に係る表示装置において、前記車両の状態が、前記車両の進行方向が後退方向に設定され且つ前記カメラ画像が前記表示画面に表示される状態に相当するとき、前記表示制御部は、前記ウォブリング処理を禁止する構成(第3の構成)であっても良い。
【0010】
上記第1~第3の構成の何れかに係る表示装置において、前記表示制御部は、前記ウォブリング処理が禁止される状態において、前記ウォブリング処理が禁止されない状態よりも、前記表示画面の輝度を低下させる構成(第4の構成)であっても良い。
【0011】
本発明に係る他の表示装置は、車両に搭載される表示装置であって、表示画面と、前記表示画面の表示内容を制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記表示画面に表示される画像の表示位置を移動させるウォブリング処理を実行するウォブリング処理部と、入力画像から第1サイズの出力画像又は前記第1サイズよりも小さな第2サイズの出力画像を生成するスケーリング処理部と、を有し、前記車両の状態に応じて前記第1サイズ又は前記第2サイズの出力画像を前記表示画面に表示させる構成(第5の構成)である。
【0012】
上記第5の構成に係る表示装置において、前記車両の状態が、前記車両の外部を撮影したカメラ画像が前記表示画面に表示される状態に相当するとき、前記表示制御部は、前記第2サイズの出力画像を前記表示画面に表示させる構成(第6の構成)であっても良い。
【0013】
上記第6の構成に係る表示装置において、前記車両の状態が、前記車両の進行方向が後退方向に設定され且つ前記カメラ画像が前記表示画面に表示される状態に相当するとき、前記表示制御部は、前記第2サイズの出力画像を前記表示画面に表示させる構成(第7の構成)であっても良い。
【0014】
本発明に係る更に他の表示装置は、車両に搭載される表示装置であって、表示画面と、前記表示画面の表示内容を制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記表示画面に表示される画像の表示位置を移動させるウォブリング処理を実行可能とし、前記表示画面に表示される画像が文字画像を含む場合、前記文字画像の表示位置に応じて前記ウォブリング処理を禁止する構成(第8の構成)である。
【0015】
上記第8の構成に係る表示装置において、前記表示制御部は、前記表示画面の所定表示領域の外縁から所定範囲内に前記文字画像が表示される場合、前記ウォブリング処理を禁止する構成(第9の構成)であっても良い。
【0016】
上記第8又は第9の構成に係る表示装置において、前記表示制御部は、前記ウォブリング処理が禁止される状態において、前記ウォブリング処理が禁止されない状態よりも、前記表示画面の輝度を低下させる構成(第10の構成)であっても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ウォブリング処理に基づく画像欠けの弊害抑制に寄与する表示装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る車載システムの全体構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係り、車載システムを搭載した車両の概略的な上面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両の車室内の一部を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係り、入力画像と所定の表示領域との関係を示す図である。
【
図5】
図1に示される表示制御部の内部ブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るウォブリング処理の説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るウォブリング処理の説明図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るスケーリング処理の説明図である。
【
図9】本発明の実施形態に係り、ウォブリング処理に基づき画像欠けが生じる様子を示す図である。
【
図10】本発明の第2実施例に係り、第1サイズの出力画像と第2サイズの出力画像を示す図である。
【
図11】本発明の第2実施例に係り、第1サイズの出力画像が所定の表示領域に表示される様子を示す図である。
【
図12】本発明の第2実施例に係り、第2サイズの出力画像が所定の表示領域に表示される様子を示す図である。
【
図13】本発明の第5実施例に係り、出力画像が表示されるべき表示領域内の端部表示領域を説明するための図である。
【
図14】本発明の第6実施例に係り、車両の車室内の様子を概略的に示す図である。
【
図15】本発明の第6実施例に係り、前席ユニット及び後席ユニットの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
【0020】
図1は本発明の実施形態に係る車載システムSYSの全体構成図である。車載システムSYSは、表示部10、スピーカ部20、車載センサ部30及びAV情報供給部40を備える。
図2は車載システムSYSを搭載した車両CRの概略的な上面図である。
図3に車両CRの車室内の一部を示す。車両CRの車室内において、運転席近傍には、運転手が操作する部品としてステアリングホイール2、シフトレバー3及びイグニッションスイッチ4が設けられると共に、運転手が視認可能な表示画面SCRが設けられる。表示画面SCRは、表示部10における表示画面13であっても良いし、表示画面13以外の表示画面であっても良い。
【0021】
ステアリングホイール2は、運転手による回転操作を受け当該回転操作に応じて車両CRの進行方向を調整するための輪状の部品である。シフトレバー3は、運転手の操作に基づき、車両CRの進行可否及び車両CRの進行方向を設定したり、車両CRの変速を行ったりする。イグニッションスイッチ4は、運転手の操作に基づき、車両CRの各電装機器に対する電源の供給又は非供給を指定すると共に、車両CRのエンジンの始動又は停止を指定する。
【0022】
表示部10、スピーカ部20、車載センサ部30及びAV情報供給部40は、夫々に、車両CRの内部に形成された車内ネットワーク50に接続され、車内ネットワーク50を介し、任意の情報及び信号を相互に双方向通信可能である、又は、任意の情報及び信号の一方向通信が可能である。車内ネットワーク50としてCAN(Controller Area Network)やAVCLAN(Audio Visual Communication Local Area Network)を利用可能である。尚、
図1では、車内ネットワーク50に接続される構成要素として、表示部10、スピーカ部20、車載センサ部30及びAV情報供給部40のみが示されているが、それら以外にも図示されない様々な装置(例えば、パワーステアリングシステム、ブレーキシステム、レーダ装置、ドライブレコーダ)が車内ネットワーク50に接続される。
【0023】
ここでは、車両CRとして路面上を走行可能な車両(自動車等)を主として想定するが、車両CRは任意の種類の車両であって良い。車両CRにおいて、運転席からステアリングホイール2に向かう向きを「前方」と定義し、ステアリングホイール2から運転席に向かう向きを「後方」と定義する。前後方向に直交し且つ路面に平行な方向を左右方向と定義する。左右方向における左、右は、車両CRの運転席に座り且つ前方を向いている、車両CRの運転手から見た左、右であるとする。
【0024】
表示部10は、表示モード設定部11、表示制御部12及び表示画面13を備える。表示モード設定部11及び表示制御部12は、マイクロコンピュータ、映像用集積回路及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)などから構成される。
【0025】
表示モード設定部11は表示部10の表示モードを設定する。表示部10の表示モードの候補として複数の候補モードがあり、表示モード設定部11は複数の候補モードの何れかを表示部10の表示モードに設定する。複数の候補モードの具体例は後述される。
【0026】
表示制御部12は表示画面13の表示内容を制御する。この際、表示制御部12は、表示モード設定部11により設定された表示部10の表示モードに応じて表示画面13の表示制御を行うことができる(詳細は後述)。表示制御部12は、AV情報供給部40から供給される画像情報VIに基づく画像を表示画面13に表示させることができる。尚、本実施形態において、用語“画像情報”を、それと等価な用語“映像情報”に読み替えることもできる。
【0027】
表示画面13は、各々に有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)を備えた画素回路をマトリクス状に配列することで形成された有機ELパネルである。有機EL素子は、自身に流れる電流によって輝度が制御される電気光学素子である。表示制御部12の制御の下で各画素回路の有機EL素子が発光する又は非発光となることで、表示画面13に所望の画像が表示される。
【0028】
スピーカ部20は、音響用集積回路及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)並びに1以上のスピーカから構成され、AV情報供給部40から供給される音響情報AIに基づく音を出力する(音波を出力する)。尚、表示部10は、音響情報AIに基づき表示画面13を含む表示パネルを振動させる機構を有していても良い。この場合、音響情報AIに基づき表示画面13を含む表示パネルを振動させることで音響情報AIを表す音(音波)が表示パネルから出力されることになり、当該表示パネル自体がスピーカ部20として機能する(表示部10にスピーカ部20が内包されると考えて良い)。
【0029】
車載センサ部30は、車両CRに設置された複数のセンサから成る。
図1には、複数のセンサに含まれる2つのセンサとして、シフトレバーセンサ31及び車速センサ32が示されている。
【0030】
シフトレバーセンサ31は、車両CRのシフトレバー3の位置を検出するセンサであり、変位センサなどを用いて構成される。シフトレバー3の位置は、運転手の操作に基づきドライブ位置、リバース位置及びパーキング位置を含む複数の位置の何れかに設定される。シフトレバー3がドライブ位置にあるとき車両CRのアクセルペダルの踏み込みに応じて車両CRが前進し(前方に向けて走行し)、シフトレバー3がリバース位置にあるとき車両CRのアクセルペダルの踏み込みに応じて車両CRが後退する(後方に向けて走行する)。シフトレバー3がパーキング位置にあるとき車両CRのアクセルペダルの踏み込みに関わらず車両CRは前進も後退もしない。シフトレバーセンサ31によって検出されたシフトレバー3の位置を表す情報をシフト情報と称する。表示部10は車内ネットワーク50を介してシフト情報を取得することができる。
【0031】
車速センサ32は車両CRの走行速度(移動速度)を検出する。車速センサ32によって検出された車両CRの走行速度を表す情報を車速情報と称する。表示部10は車内ネットワーク50を介して車速情報を取得することができる。
【0032】
この他、車両CRに搭載される様々なセンサ(例えば、ステアリングセンサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ)も車載センサ部30に含められていて良く、各センサの取得情報は車内ネットワーク50を介して表示部10に送られて良い。
【0033】
AV情報供給部40は、表示部10に対して画像情報VIを供給し、スピーカ部20に対して音響情報AIを供給する。画像情報VI及び音響情報AIは任意の方法で取得又は生成されて良い。
図1の例では、AV情報供給部40に、カメラ部41、ナビゲーション部42、記録媒体43、放送波受信部44及び通信部45が設けられている。表示部10に供給されるべき画像情報VIは、カメラ部41、ナビゲーション部42、記録媒体43、放送波受信部44又は通信部45から取得されて良く、スピーカ部20に供給されるべき音響情報AIはナビゲーション部42、記録媒体43、放送波受信部44及び通信部45から取得されて良い。
【0034】
カメラ部41は車両CRに設置された1以上のカメラから成り、カメラ部41に設けられる個々のカメラを単位カメラと称する。単位カメラは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサなどの撮像素子及び光学系を備え、自身の視野(換言すれば撮影領域)内の撮影を行って、撮影により得られた画像(即ち視野内の像)を示す画像情報を生成する。単位カメラにより生成された画像情報を、以下、カメラ画像情報と称し、カメラ画像情報にて表される二次元画像をカメラ画像と称する。単位カメラは所定の撮影フレームレートにて自身の視野内の撮影を周期的に繰り返し行う。撮影フレームレートは1秒間当たりの撮影の回数に相当する。撮影フレームレートは任意であるが、例えば60[フレーム/秒]である。単位カメラにおいて撮影フレームレートの逆数の間隔で1フレーム分のカメラ画像情報が周期的に生成される。1フレーム分のカメラ画像情報により1枚の静止画像としてのカメラ画像が表され、複数フレーム分のカメラ画像情報により動画像としてのカメラ画像が表される。カメラ画像情報が画像情報VIとして表示部10に供給されることがある。
【0035】
カメラ部41には、単位カメラの1つとしてカメラ41Rが設けられている(
図2参照)。カメラ41Rは車両CRの外部であって且つ車両CRの後方側領域に視野を持つリアカメラであり、車両CRの車体の適所に設置される。
図2からは明らかではないが、車両CRの外部であって且つ車両CRの後方側における所定領域内の路面がカメラ41Rの視野に含まれるよう、カメラ41Rの俯角が適切に設定される。カメラ41Rにて生成されたカメラ画像情報が画像情報VIとして表示部10に供給されることがある。
【0036】
尚、カメラ部41において、リアカメラとしてのカメラ41Rに加え、車両CRの外部であって且つ車両CRの前方側領域に視野を持つフロントカメラ、車両CRの外部であって且つ車両CRの右側領域に視野を持つライトカメラ、及び、車両CRの外部であって且つ車両CRの左側領域に視野を持つレフトカメラが設けられても良い。フロントカメラ、ライトカメラ及びレフトカメラの夫々も単位カメラの一種であり、各単位カメラのカメラ画像情報が画像情報VIとして表示部10に供給されても良い。リアカメラ、フロントカメラ、ライトカメラ及びレフトカメラの内、任意の1以上のカメラのみがカメラ部41に設けられていても良い。本実施形態では、以下、単位カメラとしてカメラ41Rにのみ注目し、単にカメラ画像、カメラ画像情報と述べた場合、それらは、カメラ41Rの撮影結果に基づくカメラ画像、カメラ画像情報を指すものとする。
【0037】
ナビゲーション部42は、表示部10と協働してナビゲーション動作を実行する。ナビゲーション部42は、車両CRの現在地から目的地までの走行予定ルートを設定し、地図画像上に走行予定ルートを重畳した画像であるナビゲーション画像を生成する。ナビゲーション動作が実行されるとき、ナビゲーション画像を表す画像情報が画像情報VIとして表示部10に供給されることでナビゲーション画像が表示画面13に表示され、運転手による目的地までの運転操作が支援される。
【0038】
記録媒体43は、映画等を構成する画像情報及び音響情報を格納した光ディスク等で構成される。記録媒体43に格納された画像情報及び音響情報が画像情報VI及び音響情報AIとして表示部10及びスピーカ部20に供給されることで、記録媒体43に格納された映画等の映像及び音声が表示部10にて表示及びスピーカ部20にて出力される。
【0039】
放送波受信部44は、テレビ放送波を受信することでテレビ放送波に含まれる画像情報及び音響情報を抽出する。テレビ放送波に基づく画像情報及び音響情報が画像情報VI及び音響情報AIとして表示部10及びスピーカ部20に供給されることで、テレビ放送波に基づく映像及び音声が表示部10にて表示及びスピーカ部20にて出力される。
【0040】
通信部45は、所定の移動体通信回線を介してインターネットを含む情報通信網に接続可能であり、情報通信網に接続された任意の装置との間で双方向通信が可能である。通信部45は、情報通信網に接続された任意の装置から画像情報及び音響情報を受信することができ、受信した画像情報及び音響情報を画像情報VI及び音響情報AIとして表示部10及びスピーカ部20に供給することができる。
【0041】
以下では、画像情報VI及び音響情報AIの内、画像情報VIにのみ注目し、画像情報VIに関する処理について詳説する。
図4を参照し、画像情報VIにて表される二次元画像を入力画像IIと称する。表示画面13には、入力画像IIの表示に割り当てられた表示領域として所定の表示領域DR
Wが設けられる。所定の表示領域DR
Wは、表示画面13の全表示領域の一部であっても良いが、以下では、所定の表示領域DR
Wは表示画面13の全表示領域であるとする。故に、表示画面13では、表示領域DR
W内においてのみユーザに視認可能な画像が表示される。ユーザとは、車載システムSYSのユーザであり、表示画面13の観察者となる。以下の説明において、表示画面13での表示とは、特に記述なき限り、表示領域DR
Wにおける表示を指すと解される。
【0042】
X軸及びY軸にて定義される二次元画像空間を想定する。X軸及びY軸は互いに直交する。X軸は表示画面13及び表示領域DRWの水平方向に平行であり、Y軸は表示画面13及び表示領域DRWの垂直方向に平行である。X軸は任意の二次元画像(入力画像II及び後述の出力画像OIを含む)の水平方向にも平行であるとし、Y軸は任意の二次元画像(入力画像II及び後述の出力画像OIを含む)の垂直方向にも平行であるとする。表示領域DRWには、X軸方向に沿ってWX個の画素が配列され且つY軸方向に沿ってWY個の画素が配列される。表示領域DRWにおいて、画素はX軸方向及びY軸方向にマトリクス状に配列される。このため、表示領域DRWを構成する画素数は(WX×WY)個である。WX及びWYの夫々は2より随分と大きい整数値を持つ。WX及びWYの具体的な数値は任意であるが、例えば、(WX,WY)=(1920,1080)、又は、(WX,WY)=(1280,720)である。
【0043】
図5に、表示制御部12の一部のブロック図を示す。表示制御部12は、ウォブリング処理部12a、スケーリング処理部12b及び処理管理部12cを備える。
【0044】
ウォブリング処理部12aは所定条件下においてウォブリング処理を行う。ウォブリング処理とは、表示画面13に表示される画像の表示位置を時間経過と共に移動させる処理である。この移動は画像情報VIに依存しない移動である。つまり、ウォブリング処理が実行される期間では、表示部10に供給される画像情報VIが不変であっても、表示画面13に表示される画像の表示位置が時間経過と共に移動される。有機EL素子を用いて構成される表示画面13では所謂焼き付きが発生し得る。ウォブリング処理により焼き付きが低減される。
【0045】
図6及び
図7を参照してウォブリング処理の具体例を説明する。今、表示画面13の表示領域DR
Wの所定位置に画像Irefを表示すべきことを表す画像情報VIが表示部10に与えられたとする。この画像情報VIは時間経過に対して不変であるとする。画像Irefは表示領域DR
Wよりも十分に小さな画像サイズを有する。この場合において、ウォブリング処理が実行されるとき、ウォブリング処理の実行期間中、画像Irefの表示位置は、表示領域DR
Wの所定位置を中心に、時間経過と共に所定軌跡に沿って連続的に且つ繰り返し移動せしめられる。
図7の例において、所定軌跡はアラビア数字の8の字に沿った軌跡であるが、所定軌跡は任意に変更可能である。画像Irefの表示位置の移動は一定の周期を有していて良い。ウォブリング処理により、画像Irefの中心の表示位置は、X軸方向及びY軸方向の夫々において、所定のウォブリング幅分、変動する。ウォブリング幅は、ユーザが過度に違和感を覚えない程度の幅に設定される。ウォブリング幅は、表示領域DR
W上の画素を単位とする幅(1つの画素のX軸又はY軸方向の大きさを単位とする幅)であって良く、例えば、数画素分の幅や10画素分の幅である。
【0046】
ウォブリング処理部12aに対し処理管理部12cからイネーブル信号EN
WBが入力される(
図5参照)。イネーブル信号EN
WBはアクティブ(例えばハイレベル)又はノンアクティブ(例えばローレベル)の信号状態をとる二値化信号である。処理管理部12cはイネーブル信号EN
WBの信号状態を制御することでウォブリング処理を許可又は禁止することができる。ウォブリング処理部12aにおいて、イネーブル信号EN
WBがアクティブの信号状態にあるときにのみウォブリング処理が許可され、イネーブル信号EN
WBがノンアクティブの信号状態にあるときにはウォブリング処理が禁止される。ウォブリング処理が禁止されるとは、詳細にはウォブリング処理の実行が禁止されることを指す。ウォブリング処理が禁止されるとき、ウォブリング処理が実行されることは無い。ウォブリング処理が許可されるとは、詳細にはウォブリング処理の実行が許可されることを指す。
【0047】
ウォブリング処理部12aは、イネーブル信号ENWBがアクティブの信号状態にあるとき、常にウォブリング処理を実行するようにしても良い。或いは、イネーブル信号ENWBがアクティブの信号状態にあることを前提に、特定の条件下においてのみウォブリング処理を実行するようにしても良い。例えば、ウォブリング処理部12aは、イネーブル信号ENWBがアクティブの信号状態にあることを前提に、所定時間以上継続して入力画像IIが不変であるときにウォブリング処理を実行開始し、その後、入力画像IIに変化があると、ウォブリング処理を終了しても良い。
【0048】
スケーリング処理部12bは、入力画像IIに対してスケーリング処理を行う。スケーリング処理では入力画像IIの画像サイズの変換を行う。画像サイズの変換は、幾何学的変換による画像サイズの拡大又は縮小である。任意の画像の画像サイズは、当該画像を構成するX軸方向及びY軸方向の画素数にて定義される。表示領域DRWのサイズも同様であり、表示領域DRWのサイズは、表示領域DRWを構成するX軸方向及びY軸方向の画素数にて定義される。
【0049】
図8にスケーリング処理前後の画像の関係を示す。スケーリング処理部12bによるスケーリング処理後の入力画像IIを出力画像OIと称する。入力画像IIにおけるX軸方向の画素数、Y軸方向の画素数は、夫々、I
X、I
Yにより表される。出力画像OIにおけるX軸方向の画素数、Y軸方向の画素数は、夫々、O
X、O
Yにより表される。表示領域DR
Wにはスケーリング処理後の入力画像II(即ち出力画像OI)が表示される。スケーリング処理部12bは、出力画像OIの画像サイズが表示領域DR
Wのサイズに応じたものとなるよう入力画像IIに対してスケーリング処理を行う。
【0050】
処理管理部12cは、スケーリング処理部12bに対してスケーリング率k
SCLを出力することでスケーリング処理の内容を制御する(
図5参照)。スケーリング処理部12bは、スケーリング率k
SCLに従うスケーリング処理を行う。ここでは、説明の簡単化のため、入力画像II、出力画像OI及び表示領域DR
Wのアスペクト比は互いに同じであるとする。即ち “I
X:I
Y=O
X:O
Y=W
X:W
Y”であるとする。スケーリング処理部12bは、“O
X=k
SCL×I
X”且つ“O
Y=k
SCL×I
Y”となるようにスケーリング処理が実行する。このとき、典型的には例えば“(O
X,O
Y)=(W
X,W
Y)”とされ、その場合には表示領域DR
Wの全体を使って出力画像OIの全体が表示領域DR
Wに表示される。
【0051】
“(O
X,O
Y)=(W
X,W
Y)”であるとき、表示の対象となる画像を最も大きく表示することができる。しかしながら、“(O
X,O
Y)=(W
X,W
Y)”であるときにウォブリング処理を行うと、
図9に示す如く、ウォブリング処理の過程において出力画像OIの一部が表示領域DR
Wに表示されなくなる現象(画像欠け)が発生する。ウォブリング処理によって、出力画像OIの画像情報が存在しなくなる箇所には画像情報VIに基づかない黒画像が表示される。或いは、黒画像の表示を回避するために、ウォブリング処理用の画素を出力画像OIに付加するといった手当てが必要となる。
【0052】
以下、複数の実施例の中で、ウォブリング処理又はスケーリング処理の制御に関わる具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0053】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。第1実施例では、常に“(OX,OY)=(WX,WY)”であるとし、表示部10の表示モードに応じてウォブリング処理を許可又は禁止する。以下、詳細を説明する。
【0054】
上述したように、表示部10の表示モードの候補として複数の候補モードがあり、表示モード設定部11は複数の候補モードの何れかを表示部10の表示モード(以下単に表示モードと称することがある)に設定する。ここでは、上記複数の候補モードに、カメラ画像モード、ナビゲーションモード、記録媒体再生モード、テレビモード、及び、ネット情報閲覧モードが含まれるものとし、それらのモードを例に挙げて、ウォブリング処理の許可又は禁止制御を説明する。
【0055】
車載システムSYSに設けられた図示されない操作部(例えば表示部10に設けられた操作部)に対しユーザは所定操作を入力することができ、表示モード設定部11は、入力された所定操作に基づいて、上記複数の候補モードの何れかを表示モードを設定することができる。
【0056】
カメラ画像モードが表示モードに設定されたとき、カメラ部41の撮影結果に基づくカメラ画像情報が画像情報VIとして表示部10に供給され、カメラ画像情報によるカメラ画像が入力画像IIとされる。結果、カメラ画像が表示画面13(詳細には表示領域DRW)に表示される。
【0057】
ナビゲーションモードが表示モードに設定されたとき、上述のナビゲーション画像を表す画像情報が画像情報VIとして表示部10に供給され、ナビゲーション画像が入力画像IIとされることでナビゲーション画像が表示画面13(詳細には表示領域DRW)に表示される。ナビゲーションモードが表示モードに設定されるとき、ナビゲーション部42によりナビゲーション動作が実行される。
【0058】
記録媒体再生モードが表示モードに設定されたとき、記録媒体43に格納された画像情報が画像情報VIとして表示部10に供給され、記録媒体43に格納された画像情報に基づく画像(映画等の画像)が入力画像IIとされる。結果、記録媒体43に格納された画像情報に基づく画像(映画等の画像)が表示画面13(詳細には表示領域DRW)に表示される。
【0059】
テレビモードが表示モードに設定されたとき、放送波受信部44にて受信されたテレビ放送波に基づく画像情報が画像情報VIとして表示部10に供給され、テレビ放送波の画像情報に基づく画像(放送された画像)が入力画像IIとされる。結果、テレビ放送波の画像情報に基づく画像(放送された画像)が表示画面13(詳細には表示領域DRW)に表示される。
【0060】
ネット情報閲覧モードが表示モードに設定されたとき、インターネットを含む情報通信網を通じ通信部45にて受信した画像情報が画像情報VIとして表示部10に供給され、通信部45にて受信した画像情報に基づく画像(ウェブページ画像等)が入力画像IIとされる。結果、通信部45にて受信した画像情報に基づく画像(ウェブページ画像等)が表示画面13(詳細には表示領域DRW)に表示される。
【0061】
処理管理部12c(
図5参照)は、表示モード設定部11により設定された表示部10の表示モードが、禁止対象モードに属するとき、イネーブル信号EN
WBをノンアクティブにすることでウォブリング処理を禁止し、非禁止対象モードに属するとき、イネーブル信号EN
WBをアクティブにすることでウォブリング処理を許可する。
【0062】
ウォブリング処理の実行に基づく画像欠けが及ぼす影響の大小を考慮して、禁止対象モード及び非禁止対象モードの分類が行われる。まず、少なくともカメラ画像モードは禁止対象モードに分類される。カメラ画像モードにおける画像欠けは、運転手の視界支援を阻害するものであるため、車両CRの運行安全性の観点から避けられるべきだからである。特に
図2のカメラ41R(リアカメラ)のカメラ画像を表示画面13に表示した状態で車両CRを後退させる運転操作が行われるとき、画像欠けの発生は極力避けられるべきである。
【0063】
尚、表示モード設定部11はシフト情報に基づいて表示モードの設定を行っても良く、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されていることに基づき表示モードをカメラ画像モードに設定するようにしても良い。或いは、表示モード設定部11はシフト情報及び車速情報に基づいて表示モードの設定を行っても良く、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されていて且つ車両CRの速度がゼロでないときに(即ち、車両CRが後方に向けて走行しているときに)表示モードをカメラ画像モードに設定するようにしても良い。
【0064】
ナビゲーションモード、記録媒体再生モード、テレビモード及びネット情報閲覧モードは、全て非禁止対象モードに分類されて良い。或いは、ナビゲーションモード、記録媒体再生モード、テレビモード及びネット情報閲覧モードの内、一部のモードを禁止対象モードに分類し、他の一部のモードを非禁止対象モードに分類しても良い。例えば、テレビ放送波による画像の端部には、時刻や字幕など、ウォブリング処理を通じ部分的に非表示となると不都合が生じるもの又はユーザに違和感を覚えさせやすいものが含まれやすい。これを考慮し、テレビモードを禁止対象モードに分類しても良い。他方、ナビゲーション画像の構成にもよるが、ナビゲーション画像の表示に画像欠けが生じても支障が少ないと考えられるため、ナビゲーションモードは非禁止対象モードに分類する、といった運用が可能である。
【0065】
本実施例の如く、表示モードに応じてウォブリング処理を許可又は禁止することにより、ウォブリング処理による画像欠けの問題を実質的に解消することができる。
【0066】
但し、禁止対象モードに分類されるモード(カメラ画像ードなど)が表示モードに設定されたとき、ウォブリング処理が禁止されるので焼き付きの問題が残る。これを考慮し、禁止対象モードに分類されるモードが表示モード設定されたときには、非禁止対象モードに分類されるモードが表示モードに設定されたときよりも、表示画面13の輝度を低く設定すると良い。輝度の低下により焼き付きが生じにくくなる。
【0067】
表示画面13の輝度とは、表示画面13の平均輝度を表すと共に表示領域DRWの平均輝度(表示領域DRWに表示される画像の平均輝度)を表す。ユーザは、上記操作部(不図示)に対する操作を通じて第1輝度(基準輝度)を指定することができる。或いは、固定された第1輝度が予め定められている。表示制御部12は、非禁止対象モードに分類されるモードが表示モードに設定されているときには、表示画面13の輝度を第1輝度に設定し、禁止対象モードに分類されるモードが表示モードに設定されているときには、表示画面13の輝度を第1輝度よりも低い第2輝度に設定すると良い。第1及び第2輝度間の差は任意である。
【0068】
尚、実際の表示画面13の輝度は画像情報VIに依存するので、第1輝度及び第2輝度とは、一定且つ所定の画像情報VIに基づく出力画像OIを表示画面13(表示領域DRW)に表示させたときの表示画面13(表示領域DRW)の輝度を表すと解して良い。何れにせよ、第1輝度と比べて相対的に第2輝度の方が低い。
【0069】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。複数の候補モードの例を含め、表示部10の表示モードについて第1実施例で述べた事項は第2実施例にも適用される。但し、第2実施例では、表示部10の表示モードに依存せずウォブリング処理が常に許可されていて良く(常にイネーブル信号ENWBがアクティブであっても良く)、代わりに、表示部10の表示モードに応じてスケーリング処理の内容を可変制御する。以下、詳細を説明する。
【0070】
処理管理部12cはスケーリング率kSCLを可変することができ、スケーリング処理部12bは、スケーリング率kSCLに応じて、入力画像IIから第1サイズの出力画像OI又は第1サイズよりも小さな第2サイズの出力画像OIを生成することができる。第1サイズは基準サイズに相当し、第2サイズは縮小サイズに相当すると言える。
【0071】
図10に、第1サイズの出力画像OIである出力画像OI
1と、第2サイズの出力画像OIである出力画像OI
2を示す。出力画像OI
1におけるX軸方向の画素数、Y軸方向の画素数は、夫々、O
X1、O
Y1により表される。出力画像OI
2におけるX軸方向の画素数、Y軸方向の画素数は、夫々、O
X2、O
Y2により表される。“O
X1>O
X2”、“O
Y1>O
Y2”、且つ、“O
X1:O
Y1=O
X2:O
Y2”である。
【0072】
ここで “(O
X1,O
Y1)=(W
X,W
Y)”である。即ち、出力画像OI
1の画像サイズは表示領域DR
Wのサイズに等しい。故に、第1サイズの出力画像OI
1が表示領域DR
Wに表示されるとき、
図11に示す如く、表示領域DR
Wの全体を使って出力画像OI
1の全体が表示される(
図11では、表示領域DR
Wの外縁と出力画像OI
1の外縁が重なり合っている)。これに対し、第2サイズの出力画像OI
2が表示領域DR
Wに表示されるときには、
図12に示す如く、表示領域DR
Wの一部で出力画像OI
2の全体が表示される。
【0073】
第1サイズの出力画像OI1を表示領域DRWに表示しているときにウォブリング処理を実行すると画像欠けが発生するが、第2サイズの出力画像OI2を表示領域DRWに表示しているときにウォブリング処理を実行しても画像欠けは発生しない又は画像欠けが抑制できる。
【0074】
そこで、第2実施例に係る処理管理部12c(
図5参照)は、表示モード設定部11により設定された表示部10の表示モードが禁止対象モードに属するときには入力画像IIから第2サイズの出力画像OI
2が生成されるよう、且つ、表示モード設定部11により設定された表示部10の表示モードが非禁止対象モードに属するときには入力画像IIから第1サイズの出力画像OI
1が生成されるよう、スケーリング率k
SCLを設定する。表示モードの設定方法は第1実施例で述べた通りである。
【0075】
そうすると、設定された表示モードが禁止対象モードに属するときには(例えばカメラ画像モードであるときには)、第2サイズの出力画像OI2が表示領域DRWに表示される。このとき、イネーブル信号ENWBがアクティブとされるが故にウォブリング処理が実行されても良く、実際にウォブリング処理が実行されたとしても画像欠けは発生しない又は画像欠けが抑制される。これに対し、設定された表示モードが非禁止対象モードに属するときには、第1サイズの出力画像OI1が表示領域DRWに表示される。このとき、イネーブル信号ENWBがアクティブとされるが故にウォブリング処理が実行されても良く、実際にウォブリング処理が実行された場合には画像欠けが発生するが、画像欠けが生じても支障が無いと判断される表示モードが非禁止対象モードに分類されているため実質的な問題は生じない。
【0076】
本実施例の如く、表示モードに関わらずウォブリング処理を許可しつつも、表示モードに応じてスケーリング処理の内容を可変制御することにより、ウォブリング処理による画像欠けの問題を実質的に解消することができる。
【0077】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。第3実施例では、常に“(OX,OY)=(WX,WY)”であるとし、車両CRの状態に応じてウォブリング処理を許可又は禁止する。第3実施例に示す内容は部分的に第1実施例に示した内容と重複するが、以下に、第3実施例の方法を詳説する。
【0078】
第3実施例に係る処理管理部12cは、車両CRの状態に応じてイネーブル信号ENWBをアクティブ又はノンアクティブにすることで、ウォブリング処理を許可又は禁止する。
【0079】
具体的には例えば、処理管理部12cはシフトレバーセンサ31からのシフト情報を参照し、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されているときには(即ち車両CRの進行方向が後退方向に設定されている状態において)、ウォブリング処理を禁止する。処理管理部12cは、シフトレバー3の位置がリバース位置以外の位置(例えばドライブ位置又はパーキング位置)に設定されているときには、ウォブリング処理を許可する。
【0080】
シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されているとき、その旨を表すシフト情報に基づいて表示部10の表示モードはカメラ画像モードに設定されると良い。表示モードがカメラ画像モードに設定されているとき、第1実施例で述べたように、カメラ部41の撮影結果に基づくカメラ画像情報が画像情報VIとして表示部10に供給され、カメラ画像情報によるカメラ画像が入力画像IIとされる。結果、カメラ画像が表示画面13(詳細には表示領域DR
W)に表示される。ここで表示されるカメラ画像は、
図2のカメラ41R(リアカメラ)の撮影に基づくカメラ画像である。処理管理部12cは、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されている状態(即ち車両CRの進行方向が後退方向に設定されている状態)において、車両CRの外部を撮影したカメラ画像(ここではカメラ41Rのカメラ画像)が表示画面13に表示されるとき、ウォブリング処理を禁止すると良い。
【0081】
即ち、第3実施例では以下のようにして良い。車両CRの状態が、車両CRの外部を撮影したカメラ画像(ここではカメラ41Rのカメラ画像)が表示画面13に表示される状態に相当するとき、処理管理部12cはウォブリング処理を禁止して良い。より詳細には、車両CRの状態が、車両CRの進行方向が後退方向に設定され且つ上記カメラ画像(ここではカメラ41Rのカメラ画像)が表示画面13に表示される状態に相当するとき、処理管理部12cはウォブリング処理を禁止して良い。
【0082】
尚、ウォブリング処理の許可又は禁止の制御のために参照される車両CRの状態とは、車両CRの走行状態であっても良く、車両CRの速度がゼロでないときには(即ち車両CRの走行中には)ウォブリング処理を禁止する一方、車両CRの速度がゼロであるときには(即ち車両CRの停止中には)ウォブリング処理を許可する、といった方法を採用することも可能である。
【0083】
即ち例えば、処理管理部12cは、シフトレバーセンサ31からのシフト情報に加えて車速センサ32からの車速情報も参照し、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されていて且つ車両CRの速度がゼロでないときに(即ち車両CRが後方に向けて走行しているときに)、ウォブリング処理を禁止するようにしても良い。シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されているときにカメラ41Rのカメラ画像が入力画像IIとされて良い点は上述した通りである。この場合において、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されていても車両CRの速度がゼロであるときにはウォブリング処理が許可されても良く、シフトレバー3の位置がリバース位置以外の位置(例えばドライブ位置又はパーキング位置)に設定されているときにも、ウォブリング処理が許可されて良い。
【0084】
本実施例で述べる方法によれば、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されており、カメラ41R(リアカメラ)のカメラ画像が表示されるような場合など、画像欠けが発生すると好ましくない状況においてウォブリング処理が禁止される。結果、画像欠けが発生すると好ましくない状況での画像欠けが抑止される。これにより例えば、表示画面13を用いて車両CR後方の視界が良好に確保され、安全運転に資する。画像欠けが発生しても支障が少ないと考えられる状況ではウォブリング処理が許可されるので、焼き付きの抑制も図られる。
【0085】
但し、ウォブリング処理が禁止されるとき焼き付きの問題が残る。そこで、ウォブリング処理が禁止される状態においては、ウォブリング処理が禁止されない状態よりも、表示画面13の輝度を低く設定しても良い。輝度の低下により焼き付きが生じにくくなる。
【0086】
表示画面13の輝度とは、表示画面13の平均輝度を表すと共に表示領域DRWの平均輝度(表示領域DRWに表示される画像の平均輝度)を表す。ユーザは、上記操作部(不図示)に対する操作を通じて第1輝度(基準輝度)を指定することができる。或いは、固定された第1輝度が予め定められている。表示制御部12は、処理管理部12cによりウォブリング処理が許可されているときには表示画面13の輝度を第1輝度に設定し、処理管理部12cによりウォブリング処理が禁止されているときには表示画面13の輝度を第1輝度よりも低い第2輝度に設定すると良い。第1及び第2輝度間の差は任意である。
【0087】
尚、実際の表示画面13の輝度は画像情報VIに依存するので、第1輝度及び第2輝度とは、一定且つ所定の画像情報VIに基づく出力画像OIを表示画面13(表示領域DRW)に表示させたときの表示画面13(表示領域DRW)の輝度を表すと解して良い。何れにせよ、第1輝度と比べて相対的に第2輝度の方が低い。
【0088】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。第4実施例では、車両CRの状態に依存せずウォブリング処理が常に許可されていて良く(常にイネーブル信号ENWBがアクティブであっても良く)、代わりに、車両CRの状態に応じてスケーリング処理の内容を可変制御する。第4実施例に示す内容は部分的に第2実施例に示した内容と重複するが、以下に、第4実施例の方法を詳説する。
【0089】
第2実施例で述べたように、処理管理部12cはスケーリング率k
SCLを可変することができ、スケーリング処理部12bは、スケーリング率k
SCLに応じて、入力画像IIから第1サイズの出力画像OIである出力画像OI
1又は第2サイズの出力画像OIである出力画像OI
2を生成することができる(
図10参照)。出力画像OI
1及びOI
2の特性は第2実施例で述べた通りである(
図10~
図12参照)。故に、第1サイズの出力画像OI
1を表示領域DR
Wに表示しているときにウォブリング処理を実行すると画像欠けが発生するが、第2サイズの出力画像OI
2を表示領域DR
Wに表示しているときにウォブリング処理を実行しても画像欠けは発生しない又は画像欠けが抑制される。
【0090】
第4実施例に係る表示制御部12は、ウォブリング処理を許可しつつも、車両CRの状態に応じて、第1サイズの出力画像OI1又は第2サイズの出力画像OI2を表示画面13(表示領域DRW)に表示させる。処理管理部12cがスケーリング率kSCLを第1の率に設定することで入力画像IIから出力画像OI1が生成されて表示画面13(表示領域DRW)に表示され、処理管理部12cがスケーリング率kSCLを第2の率に設定することで入力画像IIから出力画像OI2が生成されて表示画面13(表示領域DRW)に表示される。第1の率と第2の率は互いに異なる。
【0091】
具体的には例えば、表示制御部12は、シフトレバーセンサ31からのシフト情報を参照し、シフトレバー3の位置がドライブ位置に設定されているときには(即ち車両CRの進行方向が前進方向に設定されている状態においては)、ウォブリング処理を許可しつつ第1サイズの出力画像OI1を表示画面13(表示領域DRW)に表示させる。一方、表示制御部12は、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されているときには(即ち車両CRの進行方向が後退方向に設定されている状態においては)、ウォブリング処理を許可しつつ第2サイズの出力画像OI2を表示画面13(表示領域DRW)に表示させる。処理管理部12cは、シフトレバー3の位置がドライブ位置及びリバース位置以外の位置(例えばパーキング位置)に設定されているときには、ウォブリング処理を許可しつつ第1サイズの出力画像OI1を表示画面13(表示領域DRW)に表示させて良い。
【0092】
シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されているとき、その旨を表すシフト情報に基づいて表示部10の表示モードはカメラ画像モードに設定されると良い。表示モードがカメラ画像モードに設定されているとき、第1実施例で述べたように、カメラ部41の撮影結果に基づくカメラ画像情報が画像情報VIとして表示部10に供給され、カメラ画像情報によるカメラ画像が入力画像IIとされる。結果、カメラ画像が表示画面13(詳細には表示領域DR
W)に表示される。ここで表示されるカメラ画像は、
図2のカメラ41R(リアカメラ)の撮影に基づくカメラ画像である。表示制御部12は、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されている状態(即ち車両CRの進行方向が後退方向に設定されている状態)において、車両CRの外部を撮影したカメラ画像(ここではカメラ41Rのカメラ画像)が表示画面13に表示されるとき、ウォブリング処理を許可しつつ第2サイズの出力画像OI
2を表示画面13(表示領域DR
W)に表示させると良い。
【0093】
表示制御部12は、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されている状態(即ち車両CRの進行方向が後退方向に設定されている状態)であっても、車両CRの外部を撮影したカメラ画像以外の画像(例えばナビゲーション画像)が表示画面13に表示されているときにおいては、ウォブリング処理を許可しつつ第1サイズの出力画像OI1を表示画面13(表示領域DRW)に表示させて良い。
【0094】
即ち、第4実施例では以下のようにして良い。車両CRの状態が、車両CRの外部を撮影したカメラ画像(ここではカメラ41Rのカメラ画像)が表示画面13に表示される状態に相当するとき、表示制御部12は、ウォブリング処理を許可しつつ第2サイズの出力画像OI2を表示画面13(表示領域DRW)に表示させて良い。より詳細には、車両CRの状態が、車両CRの進行方向が前進方向に設定されている状態に相当するとき、表示制御部12は、ウォブリング処理を許可しつつ第1サイズの出力画像OI1を表示画面13(表示領域DRW)に表示させて良く、一方で、車両CRの状態が、車両CRの進行方向が後退方向に設定され且つ上記カメラ画像(ここではカメラ41Rのカメラ画像)が表示画面13に表示される状態に相当するとき、表示制御部12は、ウォブリング処理を許可しつつ第2サイズの出力画像OI2を表示画面13(表示領域DRW)に表示させて良い。
【0095】
尚、出力画像OIのサイズ制御のために参照される車両CRの状態とは、車両CRの走行状態であっても良く、車両CRの速度がゼロでないときには(即ち車両CRの走行中には)第2サイズの出力画像OI2を表示画面13に表示する一方、車両CRの速度がゼロであるときには(即ち車両CRの停止中には)第1サイズの出力画像OI1を表示画面13に表示する、といった方法を採用することも可能である。
【0096】
即ち例えば、表示制御部12は、シフトレバーセンサ31からのシフト情報に加えて車速センサ32からの車速情報も参照し、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されていて且つ車両CRの速度がゼロでないときに(即ち車両CRが後方に向けて走行しているときに)、ウォブリング処理を許可しつつ第2サイズの出力画像OI2を表示画面13に表示するようにしても良い。シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されているときにカメラ41Rのカメラ画像が入力画像IIとされて良い点は上述した通りである。この場合において、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されていても車両CRの速度がゼロであるときには、ウォブリング処理を許可しつつ第1サイズの出力画像OI1を表示画面13に表示して良く、シフトレバー3の位置がリバース位置以外の位置(例えばドライブ位置又はパーキング位置)に設定されているときにも、ウォブリング処理を許可しつつ第1サイズの出力画像OI1を表示画面13に表示して良い。
【0097】
本実施例の如く、ウォブリング処理を許可しつつも、車両CRの状態に応じスケーリング処理の内容を可変制御することで、ウォブリング処理による画像欠けの問題を実質的に解消することができる。即ち、シフトレバー3の位置がリバース位置に設定されており、カメラ41R(リアカメラ)のカメラ画像が表示されるような場合など、画像欠けが発生すると好ましくない状況において、ウォブリング処理を許可しつつも比較的小さな第2サイズの出力画像OI2を表示する。結果、画像欠けが発生すると好ましくない状況での画像欠けが抑止される。例えば、表示画面13を用いて車両CR後方の視界が良好に確保され、安全運転に資する。画像欠けが発生しても支障が少ないと考えられる状況では、ウォブリング処理を許可しつつ比較的大きな第1サイズの出力画像OI1を表示する。ウォブリング処理の許可により焼き付きが抑制される。
【0098】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。第5実施例では、常に“(OX,OY)=(WX,WY)”であるとし、表示画面13上の文字画像の位置に応じてウォブリング処理を許可又は禁止する。これについて、以下、詳説する。
【0099】
第5実施例に係る表示制御部12(例えば処理管理部12c)は、入力画像II又は出力画像OIに文字を表す文字画像が含まれるか否かを検出する文字画像検出部(不図示)を備える。文字画像の検出方法として周知の方法を用いることができる。そして、入力画像II又は出力画像OIに文字画像が含まれている場合、処理管理部12cは、表示領域DRW上における文字画像の表示位置に応じてイネーブル信号ENWBをアクティブ又はノンアクティブにすることにより、ウォブリング処理を許可又は禁止する。
【0100】
図13の斜線領域R
EDGEは、表示領域DR
Wの一部領域であって、表示領域DR
Wの外縁から所定範囲内に存在する端部表示領域である。表示領域DR
Wは4つの辺SD1~SD4にて囲まれた矩形領域であり、辺SD1~SD4にて表示領域DR
Wの外縁が形成される。辺SD1及びSD2はX軸に平行な2辺であって互いに対向する。辺SD3及びSD4はY軸に平行な2辺であって互いに対向する。表示領域DR
W内において、辺SD1から所定距離以内にある領域と、辺SD2から所定距離以内にある領域と、辺SD3から所定距離以内にある領域と、辺SD4から所定距離以内にある領域との合成領域が、端部表示領域R
EDGEに相当する。ここにおける所定距離は、表示領域DR
W上の画素を単位とする距離(1つの画素のX軸又はY軸方向の大きさを単位とする距離)であり、例えば、数画素分の距離や10画素分の距離である。所定距離によって上記所定範囲の大きさが定まる。所定距離は上述のウォブリング幅に基づいて決定されて良い。ウォブリング処理が実行されていないときに端部表示領域に表示される画像は、ウォブリング処理が実行されたならば、ウォブリング処理の実行過程で表示領域DR
Wからはみ出す。
【0101】
このため、ウォブリング処理が実行されていないと仮定したときに端部表示領域REDGEに重要な画像が表示される場合には、ウォブリング処理を禁止した方が好ましい。ここにおける重要な画像とは、画像欠けの対象となったときの支障が比較的大きい画像を指し、第5実施例では、重要な画像として文字画像を挙げている。例えば、時刻を表す文字画像や字幕を表す文字画像が想定される。
【0102】
具体的な処理として、処理管理部12cは、入力画像II又は出力画像OIに文字画像が含まれている場合、当該文字画像が端部表示領域REDGEに表示されるか否かを判定する。この判定は、ウォブリング処理が実行されずに当該文字画像を含む出力画像OIが表示領域DRWに表示されるとの仮定をおいた上で、行われる。そして、処理管理部12cは、当該文字画像が端部表示領域REDGEに表示される場合にはウォブリング処理を禁止し、そうでない場合にはウォブリング処理を許可して良い。文字画像が端部表示領域REDGEに表示されるとは、上記仮定の下で表示領域DRWの外縁から所定範囲内に文字画像が表示されることに相当し、上記仮定の下で文字画像の一部又は全体が端部表示領域REDGE内に収まる状況或いは文字画像の全体が端部表示領域REDGE内に収まる状況を指す。
【0103】
本実施例で述べる方法によれば、ウォブリング処理の実行による文字画像の画像欠けが回避される。画像欠けが発生しても支障が少ないと考えられる状況ではウォブリング処理が許可されるので、焼き付きの抑制も図られる。
【0104】
尚、ウォブリング処理が禁止されうる場合、焼き付きの問題が残る。そこで、ウォブリング処理が禁止される状態においては、ウォブリング処理が禁止されない状態よりも、表示画面13の輝度を低く設定しても良い。ここにおける輝度の設定方法は、第3実施例で述べた通りである。輝度の低下により焼き付きが生じにくくなる。
【0105】
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。第6実施例に示す内容は、上述の第1~第5実施例の内の任意の実施例と組み合わせることができる。
【0106】
図1の車載システムSYSには表示装置が内包される。表示部10そのものが表示装置であると考えることができる。或いは、表示装置は表示制御部12及び表示画面13にて構成され、表示モード設定部11は表示装置の外部に設けられる、と考えることもできる。また、スピーカ部20も表示装置の構成要素に含まれると考えても良い。AV情報供給部40の全部又は一部(例えば記録媒体43や通信部45)も表示装置の構成要素に含まれていて良い。
【0107】
車載システムSYSは、
図14に示す前席ユニットFUと後席ユニットRUとを備えて構成されるものであっても良い。
図14は車両CRの車室内の様子を概略的に示した図である。車両CRに対し複数の乗員が搭乗できる。車両CRの車内には座席ST1~ST3が設けられる。座席ST1は車両CRの運転手が座る運転席である。
図1において乗員PS1は車両CRの運転手を表す。左、右とは、特に記述なき限り、運転席ST1に前を向いて座る運転手PS1から見た左、右を指す。
【0108】
座席ST1の左側に座席ST2(助手席)が設置され、座席ST1及びST2の後方に座席ST3(以下、後部座席ST3と称することがある)が設けられる。座席ST2及びST3の夫々に運転手PS1以外の乗員(即ち同乗者)が座ることができる。
図14の例において、座席ST3は複数の乗員が座ることのできる幅広座席となっている。
図14において乗員PS2は後部座席ST3に座る同乗者である。前席ユニットFUは運転手PS1用の電子機器であり、後席ユニットRUは後部座席ST3に座る乗員用の電子機器である。
【0109】
前席ユニットFUに設けられた表示画面を運転手PS1が容易に視認可能となるように、前席ユニットFUは運転席ST1の前方に設置される。後席ユニットRUに設けられた表示画面を後部座席ST3に座る乗員(ここでは乗員PS2)が容易に視認可能となるように、後席ユニットRUは座席ST1及びST2の後方側であって且つ座席ST3の前方側に設置される。例えば、後席ユニットRUの筐体は車両CRの天板に支持されて良い。車載システムSYSにおいて、前席ユニットFUは所謂ヘッドセット機器として機能するものであって良く、後席ユニットRUは所謂リアシートエンターテイメント(RSE)機器として機能するものであって良い。車両CR内に形成されたローカルエリアネットワークを通じて、ユニットFU及びRUは無線又は有線接続されて互いに双方向通信が可能である。
図1に示されるナビゲーション部42、記録媒体43、放送波受信部44及び通信部45は前席ユニットFUに設けられて良い。
【0110】
図1の表示画面13は前席ユニットFUの表示画面であって良い。この場合、
図1の表示部10の全体が前席ユニットFUに設けられる。
【0111】
或いは、
図1の表示画面13は後席ユニットRUの表示画面であっても良い。この場合、
図1の表示部10の全体が後席ユニットRUに設けられても良いし、表示制御部12及び表示画面13を後席ユニットRUに設ける一方で表示モード設定部11を前席ユニットFUに設けても良い。
【0112】
表示制御部12及び表示画面13を後席ユニットRUに設ける一方で表示モード設定部11を前席ユニットFUに設けるケースを考え、当該ケースにおけるユニットFU及びRUの構成例を
図15に示す。
【0113】
図15の構成例において、後席ユニットRUは、マイクロコンピュータ71と、映像用集積回路にて構成される映像信号処理部72と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)73と、表示画面13を備える。前席ユニットFUでは、マイクロコンピュータ等にて表示モード設定部11(
図1参照)が実現される。マイクロコンピュータ71、映像信号処理部72及びASIC73により表示制御部12が構成される。表示モード設定部11にて設定された表示モードが、車両CRに形成されたローカルエリアネットワーク(AVCLAN(Audio Visual Communication Local Area Network)など)を通じて後席ユニットRUに通知される。また、画像情報VIも上記ローカルエリアネットワークを通じて前席ユニットFUから後席ユニットRUに伝送されて良い。
【0114】
映像信号処理部72は、マイクロコンピュータ71の制御の下で、画像情報VIに基づく映像信号をASIC73に伝送し、ASIC73が当該映像信号に基づいて表示画面73を駆動することで画像情報VIに基づく画像を表示画面13に表示させる。映像信号処理部72によりスケーリング処理が実行される。マイクロコンピュータ71は映像信号処理部72におけるスケーリング処理のスケーリング率kSCLを設定する。ASIC73にてウォブリング処理が実行される。マイクロコンピュータ71及びASIC73間においてSPI(Serial Peripheral Interface)通信による双方向通信が可能となっており、マイクロコンピュータ71がSPI通信を用いてASIC73におけるウォブリング処理を許可又は禁止する。また、マイクロコンピュータ71はASIC73に輝度制御信号を送信することで、表示画面13の輝度を制御する。
【0115】
尚、表示画面13が有機EL素子にて構成されることを想定したが、表示画面13は有機EL素子以外の電気光学素子(例えば液晶表示素子)を用いて構成されていても良い。但し、焼き付きが生じうるような電気光学素子を用いた場合に、本発明に係る構成は特に有益である。
【0116】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0117】
CR 車両
SYS 車載システム
10 表示部
11 表示モード設定部
12 表示制御部
12a ウォブリング処理部
12b スケーリング処理部
12c 処理管理部
13 表示画面
20 スピーカ部
30 車載センサ部
40 AV情報供給部
DRW 表示領域
II 入力画像
OI 出力画像