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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040236
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】テストソケット
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20240315BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20240315BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20240315BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20240315BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R1/067 C
G01R1/073 D
H01R33/76 505Z
H01L21/66 B
【審査請求】有
【請求項の数】51
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024012986
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】63/507,337
(32)【優先日】2023-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】112128446
(32)【優先日】2023-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】515320905
【氏名又は名称】穎▲うぇい▼科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】葉 柏漢
(72)【発明者】
【氏名】孫 家彬
(57)【要約】
【課題】テストソケットを提供する。
【解決手段】対向する第1の表面及び第2の表面と貫通孔とを有する台座と、該第1の表面に位置する導電弾性シートと、該導電弾性シートに臨む第1の接触端を有する複数の弾力金属部材とを備え、該第1の接触端は該導電弾性シートへの没入に適するバンプを含む。該台座に該導電弾性シートが被覆されることにより、弾力金属部材が汚れることを回避する。特に、該弾力金属部材が押圧され該バンプが該導電弾性シートに没入した場合、抵抗値が低いのみならず、さらには該弾力金属部材が押圧されていない状態の抵抗値よりも優れている。また、該バンプが該導電弾性シートに没入した場合、該バンプ表面が清潔されるとともに、それらの弾力金属部材と該導電弾性シートとの接触がより安定になるという効果を奏することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と、該第1の表面に対向する第2の表面と、該第1の表面と該第2の表面とを連通する複数の貫通孔とを有する台座と、
該台座の該第1の表面の上方に位置する導電弾性シートと、
該複数の貫通孔にそれぞれ設けられる複数の弾力金属部材と、
を備え、
該弾力金属部材は該導電弾性シートに臨む第1の接触端を有し、
該第1の接触端は該導電弾性シートへの没入に適するバンプを含むことを特徴とするテストソケット。
【請求項2】
該弾力金属部材の該バンプは、該導電弾性シートの内部に没入されるように該導電弾性シートの表面への突き刺しに適することを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項3】
該弾力金属部材の該バンプは複数あり、且つ先鋭状であることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項4】
該弾力金属部材の該バンプは、該導電弾性シートに押し付けられて没入され、該導電弾性シートで被覆されていることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項5】
該弾力金属部材はスプリングプローブ、垂直型プローブまたは微細電気機械プローブであることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項6】
該導電弾性シートは、該弾力金属部材の該バンプとの間に間隔が空けられるように、該台座の枠ベースに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項7】
該バンプの長さは0.01mm以上であり、且つ該導電弾性シートの厚さよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項8】
該弾力金属部材は、該貫通孔に設けられる弾性体と、該弾性体に回動可能に設けられ、該第1の接触端が接続される金属バンプと、該金属バンプに接続され、該第2の表面に向かって延在する第2の接触端とをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項9】
該台座は金属ベースであり、該導電弾性シートは、該弾力金属部材にそれぞれ対応する複数の導電弾性領域と該導電弾性領域内に分布される複数の導電粒子とを含み、該導電弾性領域の幅は、該導電弾性領域が該台座に接触するように該貫通孔の孔径よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項10】
該導電弾性シートの厚さは0.15mm以上2mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項11】
該導電弾性シートの厚さは0.15mm以上0.4mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項12】
該導電弾性シートは、基板と、該基板内に散布される複数の導電粒子とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項13】
該導電粒子の粒径は0.005mm以上0.1mm以下であることを特徴とする、請求項12に記載のテストソケット。
【請求項14】
該複数の導電粒子の該導電弾性シートにおける割合は30%以上90%以下であることを特徴とする、請求項12に記載のテストソケット。
【請求項15】
該台座の該第2の表面の下方に位置する他の導電弾性シートをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項16】
該導電弾性シートは対向する第1の接触面及び第2の接触面を有し、該導電弾性シートは該第1の接触面で該第1の表面に臨むように該台座に設けられ、該第2の接触面の該弾力金属部材に対応する箇所には該第2の接触面から突出する複数の凸パッドが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項17】
該導電弾性シートは、該貫通孔を密封するように、該台座の該第1の表面に被覆されていることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項18】
該台座は、該導電弾性シートの外周に設けられ、流体インレットと流体アウトレットとを有する枠体をさらに含み、該導電弾性シートは該台座の該第1の表面に設けられ、該枠体と該導電弾性シートの上側面とは、該流体インレット及び該流体アウトレットに連通し、流体が流れ込む流体空間を形成していることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項19】
該導電弾性シートは、複数の導電弾性領域を有する基板と、該導電弾性領域内に散布される複数の導電粒子とを含み、少なくとも1つの該導電弾性領域は少なくとも2つの該弾力金属部材に対応することを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項20】
導電部材をさらに含み、該導電弾性シートは該弾力金属部材にそれぞれ対応する複数の導電弾性領域を有する基板と、該導電弾性領域内に散布される複数の導電粒子とを含み、該導電部材は少なくとも2つの該導電弾性領域に電気的に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項21】
該弾力金属部材は接地プローブまたは電源プローブであることを特徴とする、請求項20に記載のテストソケット。
【請求項22】
該導電弾性シートの外周には支持体が設けられ、該導電弾性シートは、該弾力金属部材の両端がそれぞれ該台座の該第1の表面と該第2の表面から突出するとともに該導電弾性シートに接触するように、該導電弾性シートと該第1の表面または該第2の表面との間に間隙が空けられて該支持体により該台座に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項23】
該弾力金属部材の該バンプが該導電弾性シートの下表面を突き刺し該導電弾性シートに没入した場合、該バンプの先端と該導電弾性シートの上表面との距離は0.35mmより小さく、または、該バンプの先端と該導電弾性シートの上表面との距離は該導電弾性シートの厚さの85%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のテストソケット。
【請求項24】
第1の表面と、該第1の表面に対向する第2の表面と、該第1の表面及び該第2の表面を連通する複数の貫通孔とを有する台座と、
該複数の貫通孔にそれぞれ設けられる複数の弾力金属部材と、
該台座及び該複数の弾力金属部材の上方に位置し、厚さが2mm以下である導電弾性シートと、
を含むことを特徴とするテストソケット。
【請求項25】
該導電弾性シートの厚さは0.4mm以下であることを特徴とする、請求項24に記載のテストソケット。
【請求項26】
該弾力金属部材は該導電弾性シートに臨む第1の接触端を有し、該第1の接触端はバンプが該導電弾性シートの内部に没入可能となるように該導電弾性シートの表面への突き刺しに適するバンプを含むことを特徴とする、請求項24に記載のテストソケット。
【請求項27】
該バンプは複数であり、且つ先鋭状であることを特徴とする、請求項26に記載のテストソケット。
【請求項28】
該バンプの長さは0.01mm以上であり、且つ該導電弾性シートの厚さよりも小さいことを特徴とする、請求項26に記載のテストソケット。
【請求項29】
該台座は金属ベースであり、該導電弾性シートは、該弾力金属部材にそれぞれ対応する複数の導電弾性領域と該導電弾性領域内に散布される複数の導電粒子とを含み、該導電弾性領域の幅は、該導電弾性領域が該台座に接触するように該貫通孔の孔径よりも大きいことを特徴とする、請求項24に記載のテストソケット。
【請求項30】
該導電弾性シートの厚さは0.15mm以上0.4mm以下であることを特徴とする、請求項24に記載のテストソケット。
【請求項31】
該導電弾性シートは、基板と、該基板内に散布される複数の導電粒子とを含むことを特徴とする、請求項24に記載のテストソケット。
【請求項32】
該台座は、該導電弾性シートの外周に設けられ、流体インレットと流体アウトレットとを有する枠体をさらに含み、該導電弾性シートは該貫通孔を密封するように該台座の該第1の表面に設けられ、該枠体と該導電弾性シートの上側面とは、該流体インレット及び該流体アウトレットと連通し、流体が流れ込む流体空間を形成していることを特徴とする、請求項24に記載のテストソケット。
【請求項33】
導電部材をさらに含み、該導電弾性シートは該弾力金属部材にそれぞれ対応する複数の導電弾性領域を有する基板と、該導電弾性領域内に散布される複数の導電粒子とを含み、該導電部材は少なくとも2つの該導電弾性領域に電気的に接続されていることを特徴とする、請求項24に記載のテストソケット。
【請求項34】
台座と、
該台座に位置する導電弾性シートと、
該台座内に設けられる複数の弾力金属部材と、
を含み、
該弾力金属部材が該導電弾性シートに没入した場合、該弾力金属部材と該導電弾性シートとの間の接触抵抗値は、該弾力金属部材が被測定素子の導電バンプに接触する際の接触抵抗値よりも小さいことを特徴とするテストソケット。
【請求項35】
該台座は対向する第1の表面及び第2の表面と該第1の表面及び該第2の表面に連通する複数の貫通孔とを含み、該第1の表面には該導電弾性シートが設けられ、該貫通孔には該弾力金属部材が設けられることを特徴とする、請求項34に記載のテストソケット。
【請求項36】
該弾力金属部材は該導電弾性シートに臨む第1の接触端を有し、該第1の接触端は該導電弾性シートへの没入に適するバンプを含むことを特徴とする、請求項34に記載のテストソケット。
【請求項37】
該弾力金属部材の該バンプは、該導電弾性シートの内部に没入されるように、該導電弾性シートの表面への突き刺しに適することを特徴とする、請求項36に記載のテストソケット。
【請求項38】
該弾力金属部材の該バンプは複数あり、且つ先鋭状であることを特徴とする、請求項36に記載のテストソケット。
【請求項39】
該バンプの長さは0.01mm以上であり、且つ該導電弾性シートの厚さよりも小さいことを特徴とする、請求項36に記載のテストソケット。
【請求項40】
該導電弾性シートは、基板と、該基板内に散布される複数の導電粒子とを含むことを特徴とする、請求項34に記載のテストソケット。
【請求項41】
該台座は、該導電弾性シートの外周に設けられ、流体インレットと流体アウトレットとを有する枠体をさらに含み、該導電弾性シートは該貫通孔を密封するように該台座の該第1の表面に設けられ、該枠体と該導電弾性シートとの上側面は、該流体インレット及び該流体アウトレットと連通し、流体が流れ込む流体空間を形成していることを特徴とする、請求項35に記載のテストソケット。
【請求項42】
該導電弾性シートの厚さは0.4mm以下であることを特徴とする、請求項34に記載のテストソケット。
【請求項43】
第1の表面と、該第1の表面に対向する第2の表面と、該第1の表面と該第2の表面とを連通する複数の貫通孔とを有する金属ベースと、
該複数の貫通孔にそれぞれ設けられ、該金属ベースと同軸構造を構成する複数の弾力金属部材と、
該金属ベースの該第1の表面の上方に位置し、該弾力金属部材との接触に適する導電弾性シートと、を備える、
テストソケット。
【請求項44】
該弾力金属部材は、該導電弾性シートの内部に没入されるように該導電弾性シートの表面への突き刺しに適するバンプを有することを特徴とする、請求項43に記載のテストソケット。
【請求項45】
該導電弾性シートは、該弾力金属部材の該バンプとの間に間隔が空けられるように、該金属ベースの枠ベースに設けられていることを特徴とする、請求項44に記載のテストソケット。
【請求項46】
該弾力金属部材は接地プローブであり、該金属ベースに電気的に接続されていることを特徴とする、請求項43に記載のテストソケット。
【請求項47】
導電部材をさらに含み、該導電弾性シートは該弾力金属部材にそれぞれ対応する複数の導電弾性領域を有する基板と、該導電弾性領域内に散布される複数の導電粒子とを含み、該導電部材は少なくとも2つの該導電弾性領域に電気的に接続されていることを特徴とする、請求項43に記載のテストソケット。
【請求項48】
該導電弾性領域の幅は、該導電弾性領域が台座に接触するように該貫通孔の孔径よりも大きいことを特徴とする、請求項47に記載のテストソケット。
【請求項49】
該金属ベースは、該導電弾性シートの外周に設けられ、流体インレットと流体アウトレットとを有する枠体をさらに含み、該枠体と該導電弾性シートの上側面とにより、該流体インレット及び該流体アウトレットと連通し、流体が流れるのに適する流体空間を定義していることを特徴とする、請求項43に記載のテストソケット。
【請求項50】
該ベースの該第2の表面の下方に位置する他の導電弾性シートをさらに含むことを特徴とする、請求項43に記載のテストソケット。
【請求項51】
該貫通孔は連続の表面であり、該弾力金属部材の一方側の表面とは実質的に同じ距離を有する請求項50に記載のテストソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体テストの技術に関し、特にテストソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージテストにおいては、テストの目的を達成するために、通常、例えば半導体パッケージまたはチップである被測定物が載置される複数のプローブを有するテストソケット(Socket)が使用され、さらに、各プローブが半導体パッケージまたはチップに電気的に接続した後、各プローブを介してテスト信号が半導体パッケージまたはチップに伝送される。
【0003】
テストの条件の高度化に伴い、テスト過程において信号品質に対する要求がますます高くなっている。従って、プローブと被測定物との間の伝送経路は、テストインタフェースにおいて極めて重要な役割を担っている。このため、伝送経路の短縮または接触インタフェース同士の接触性の向上は、当分野が解決しようとする重要な課題となっている。
【0004】
図1は、従来のテストソケットの被測定物に対するテストを模式的に示す。図に示すように、テストソケット100は、複数の貫通孔102を有する台座101と、各該貫通孔102にそれぞれ設けられたプローブ103とを含む。該テストソケット100は、テスト設備104に設けられ、該テスト設備104からテスト信号を受信する。該テスト設備104は、例えばプリント回路板(Printed circuit board、PCB)であってもよい。テストの際に、複数の導電バンプ91(例えばハンダボール)を有する被測定物9を該台座101に載置し、被測定物9に対して下方へ力を印加することで、被測定物9の導電バンプ91とプローブ103のプローブヘッドとが直接電気的に接続され、テスト信号が各該プローブ103及び各該導電バンプ91を介して被測定物9に伝送され、被測定物9のテストが行われる。
【0005】
ただし、テスト過程において、プローブ103のプローブヘッドは通常球状または針状構造であり、しかもテストソケット100のプローブ103および被測定物9の導電バンプ91はいずれも固体の硬質金属であるため、該プローブヘッドと該導電バンプ91との間は点接触で接続される。従って、両者の間には接触性や安定性の不良の問題がある。これによって、インタフェース箇所(即ち該プローブヘッドと該導電バンプ91との接触箇所)に高い接触抵抗値が生じ、また、接触抵抗値の向上に伴い、プローブヘッドと導電バンプ91との接触箇所をテスト信号の電流が流れると、深刻な熱電効果が発生することがある。また、熱電効果によって生じた高温がプローブ103の弾力に影響を与えるため、プローブ103の弾力が低下し、これに伴ってプローブ103と被測定物9との接触性が不安定となり、最終的に悪循環に陥る。さらに、従来のプローブ103のテスト時に、内部にあるスプリングの弾力によってプローブヘッドが被測定物9の導電バンプ91を押し上げるため、プローブヘッドの磨耗が発生し、それによって発生した金属屑によりプローブヘッドが汚れ、前記の接触抵抗値が高くなり、ひいては導電バンプ91またはプローブヘッド同士の短絡による被測定物9の損壊が生じるため、前記の各種の不良反応を回避するように、特殊な清潔道具を使ってプローブヘッドの清潔を行う必要がある。なお、前記プローブヘッドの磨耗によるプローブ103の損壊が発生した場合、使用不能になったプローブ103の取り替えを行う必要がある。しかしながら、テストソケット100には多数のプローブ103が設置されており、多数のプローブ103から損壊したものを特定するのに手間がかかり、極めて不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を鑑み、如何にしてプローブと被測定物との間の良好な接触安定性を提供するとともに接触抵抗値を効果的に低減させ、それに伴い生じた熱電効果を回避するテストソケットを提供することは、この技術分野における当業者が追い求める目標となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来技術の課題を解決するために、本発明に係るテストソケットは、第1の表面と、該第1の表面に対向する第2の表面と、該第1の表面及び該第2の表面に連通する複数の貫通孔とを有する台座と、該台座の該第1の表面の上方に位置する導電弾性シートと、各該複数の貫通孔にそれぞれ設けられる複数の弾力金属部材と、を備え、各該弾力金属部材は該導電弾性シートに臨む第1の接触端を有し、該第1の接触端は該導電弾性シートへの没入に適するバンプを含む。
【0008】
一つの実施例において、各該弾力金属部材の該バンプは、該導電弾性シートの内部に没入されるように該導電弾性シートの表面への突き刺しに適する。
【0009】
一つの実施例において、各該弾力金属部材の該バンプは複数あり、且つ先鋭状である。
【0010】
他の実施例において、各該弾力金属部材の該バンプは、該導電弾性シートに沈むように押し付けられることにより、該導電弾性シートに被覆されている。
【0011】
他の実施例において、各該弾力金属部材はスプリングプローブ、垂直型プローブまたは微小電気機械プローブである。
【0012】
他の実施例において、該導電弾性シートは、各該弾力金属部材の該バンプとの間に間隔が開けるように、該台座の枠ベースに設けられている。
【0013】
他の実施例において、該バンプの長さは0.01mm以上であり、且つ該導電弾性シートの厚さよりも小さい。
【0014】
他の実施例において、各該弾力金属部材は、各該貫通孔に設けられる弾性体と、該弾性体に回動可能に設けられ、該第1の接触端が接続される金属バンプと、該金属バンプに接続され、該第2の表面に向かって延在する第2の接触端とをさらに含む。
【0015】
他の実施例において、該台座は金属ベースであり、該導電弾性シートは、各該弾力金属部材にそれぞれ対応する複数の導電弾性領域と各該導電弾性領域内に散布する複数の導電粒子とを含み、各該導電弾性領域の幅は、各該導電弾性領域が該台座に接触するように各該貫通孔の孔径よりも大きい。
【0016】
他の実施例において、該導電弾性シートの厚さは0.15mm以上2mm以下である。
【0017】
他の実施例において、該導電弾性シートの厚さは0.15mm以上0.4mm以下である。
【0018】
他の実施例において、該導電弾性シートは、基板と、該基板内に分布される複数の導電粒子とを含む。
【0019】
他の実施例において、各該導電粒子の粒径は0.005mm以上0.1mm以下である。
【0020】
他の実施例において、該複数の導電粒子の該導電弾性シートにおける割合は30%以上90%以下である。
【0021】
他の実施例において、該台座の該第2の表面の下方に位置する他の導電弾性シートをさらに含む。
【0022】
他の実施例において、該導電弾性シートは対向する第1の接触面及び第2の接触面を有し、該導電弾性シートは、該第1の接触面が該第1の表面に臨むように該台座に設けられ、該第2の接触面の各該弾力金属部材に対応する箇所には該第2の接触面から突出する複数の凸パッドが設けられている。
【0023】
他の実施例において、該導電弾性シートは、各該貫通孔を密封するように、該台座の該第1の表面に被覆されている。
【0024】
他の実施例において、該台座は、該導電弾性シートの外周に設けられ、流体インレットと流体アウトレットとを有する枠体をさらに含み、該導電弾性シートは該台座の該第1の表面に設けられ、該枠体と該導電弾性シートの上側面とは、該流体インレット及び該流体アウトレットと連通され、流体が流れ込む流体空間を形成している。
【0025】
他の実施例において、該導電弾性シートは、複数の導電弾性領域を有する基板と、各該導電弾性領域内に散布する複数の導電粒子とを含み、少なくとも1つの該導電弾性領域は少なくとも2つの該弾力金属部材に対応する。
【0026】
他の実施例において、本発明は、導電部材をさらに含み、該導電弾性シートは各該弾力金属部材にそれぞれ対応する複数の導電弾性領域を有する基板と、各該導電弾性領域内に散布する複数の導電粒子とを含み、該導電部材は少なくとも2つの該導電弾性領域に電気的に接続される。
【0027】
他の実施例において、該弾力金属部材は接地プローブまたは電源プローブである。
【0028】
他の実施例において、該導電弾性シートの外周に支持体が設けられ、該導電弾性シートは、各該弾力金属部材の両端がそれぞれ該台座の該第1の表面と該第2の表面から突出するとともに該導電弾性シートに接触するために、該導電弾性シートと該第1の表面または該第2の表面との間に間隙があるように、該支持体により該台座に設けられている。
【0029】
さらに他の実施例において、各該弾力金属部材の該バンプが該導電弾性シートの下表面を突き刺し該導電弾性シートに没入した場合、該バンプの先端と該導電弾性シートの上表面との距離は0.35mmより小さく、または、該バンプの先端と該導電弾性シートの上表面との距離は、該導電弾性シートの厚さの85%以下である。
【0030】
また、本発明に係るテストソケットは、第1の表面と、該第1の表面に対向する第2の表面と、該第1の表面及び該第2の表面に連通する複数の貫通孔とを有する台座と、各該複数の貫通孔にそれぞれ設けられる複数の弾力金属部材と、該台座及び該複数の弾力金属部材の上方に位置し、厚さが2mm以下である導電弾性シートと、を含む。
【0031】
一つの実施例において、該導電弾性シートの厚さは0.4mm以下である。
【0032】
他の実施例において、各該弾力金属部材は該導電弾性シートに臨む第1の接触端を有し、該第1の接触端は該バンプが該導電弾性シートの内部に没入可能となるように該導電弾性シートの表面への突き刺しに適するバンプを含む。
【0033】
他の実施例において、該バンプは複数であり、且つ先鋭状である。
【0034】
他の実施例において、該バンプの長さは0.01mm以上であり、且つ該導電弾性シートの厚さよりも小さい。
【0035】
他の実施例において、該台座は金属ベースであり、該導電弾性シートは、各該弾力金属部材にそれぞれ対応する複数の導電弾性領域と各該導電弾性領域内に散布する複数の導電粒子とを含み、各該導電弾性領域の幅は、各該導電弾性領域が該台座に接触するように各該貫通孔の孔径よりも大きい。
【0036】
他の実施例において、該導電弾性シートの厚さは0.15mm以上0.4mm以下である。
【0037】
他の実施例において、該導電弾性シートは、基板と、該基板内に散布する複数の導電粒子とを含む。
【0038】
他の実施例において、該台座は、該導電弾性シートの外周に設けられ、流体インレットと流体アウトレットとを有する枠体をさらに含み、該導電弾性シートは各該貫通孔を密封するように該台座の該第1の表面に設けられ、該枠体と該導電弾性シートの上側面とは、該流体インレット及び該流体アウトレットに連通され、流体が流れ込む流体空間を形成している。
【0039】
他の実施例において、導電部材をさらに含み、該導電弾性シートは、各該弾力金属部材にそれぞれ対応する複数の導電弾性領域を有する基板と、各該導電弾性領域内に分布される複数の導電粒子とを含み、該導電部材は少なくとも2つの該導電弾性領域に電気的に接続されている。
【0040】
また、本発明に係るテストソケットは、台座と、該台座に位置する導電弾性シートと、該台座内に設けられる複数の弾力金属部材と、を含み、該弾力金属部材が該導電弾性シートに没入した場合、該弾力金属部材と該導電弾性シートとの間の接触抵抗値は、該弾力金属部材が被測定素子の導電バンプに接触する際の接触抵抗値よりも小さい。
【0041】
一つの実施例において、該台座は、対向する第1の表面及び第2の表面と、該第1の表面及び該第2の表面に連通する複数の貫通孔とを含み、該第1の表面には該導電弾性シートが設けられ、各該貫通孔には各該弾力金属部材が設けられる。
【0042】
他の実施例において、各該弾力金属部材は該導電弾性シートに臨む第1の接触端を有し、該第1の接触端は該導電弾性シートへの没入に適するバンプを含む。
【0043】
他の実施例において、各該弾力金属部材の該バンプは、該導電弾性シートの内部に没入されるように、該導電弾性シートの表面への突き刺しに適する。
【0044】
他の実施例において、各該弾力金属部材の該バンプは複数あり、且つ先鋭状である。
【0045】
他の実施例において、該バンプの長さは0.01mm以上であり、且つ該導電弾性シートの厚さよりも小さい。
【0046】
他の実施例において、該導電弾性シートは、基板と、該基板内に散布する複数の導電粒子とを含む。
【0047】
他の実施例において、該台座は、該導電弾性シートの外周に設けられ、流体インレットと流体アウトレットとを有する枠体をさらに含み、該導電弾性シートは各該貫通孔を密封するように該台座の該第1の表面に設けられ、該枠体と該導電弾性シートの上側面とは、該流体インレット及び該流体アウトレットに連通され、流体が流れ込む流体空間を形成している。
【0048】
他の実施例において、該導電弾性シートの厚さは0.4mm以下である。
【発明の効果】
【0049】
上記のように、本発明に係るテストソケットによれば、各弾力金属部材の第1の接触端のバンプを導電弾性シートに没入させ、該第1の接触端と該導電弾性シートとの接触面積を増加させることにより、接触抵抗値低減の目的を達成するとともに、該導電弾性シートでバンプが被覆されることにより、各該弾力金属部材に揺動が発生しにくく、接触の安定化の効果を奏する。また、該バンプが該導電弾性シートを突き刺さした場合、各該導電粒子と直接接触できるため、素早く抵抗値を低減するとともに該第1の接触端の表面の清潔の目的を達成することができる。また、各該貫通孔を該導電弾性シートで密封することにより、貫通孔への不純物の侵入による各該弾力金属部材の汚れの問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は従来のテストソケットによる被測定物へのテストを示す構成図である。
図2図2は本発明に係るテストソケットの立体分解図である。
図3図3は本発明に係るテストソケットの立体構造図である。
図4図4図3のA-A断面線の断面図である。
図5図5は本発明に係るテストソケットに被測定物が載置されるテスト模式図である。
図6図6図5における領域Sの一部拡大図である。
図7図7は本発明に係るテストソケットにおいて導電弾性シートが凸パッドを有する構造模式図である。
図8図8は本発明に係るテストソケットにおいて導電弾性シートが凸パッドを有する使用状態模式図である。
図9図9は本発明に係るテストソケットに枠ベースが設けられた構造模式図である。
図10A図10A図10Bは本発明に係るテストソケットに枠体が設けられた構造模式図である。
図10B図10A図10Bは本発明に係るテストソケットに枠体が設けられた構造模式図である。
図11図11は本発明に係るテストソケットがウェハに適用される構成図である。
図12図12は本発明に係るテストソケットが4端点測定(Kelvin contact)に適用される構成図である。
図13A図13A図13Bは本発明に係るテストソケットにおいて、導電弾性シートに導電部材が設けられる構造図である。
図13B図13A図13Bは本発明に係るテストソケットにおいて、導電弾性シートに導電部材が設けられる構造図である。
図14A図14A図14Cは本発明に係るテストソケットにおける設計の異なる弾力金属部材の構造図である。
図14B図14A図14Cは本発明に係るテストソケットにおける設計の異なる弾力金属部材の構造図である。
図14C図14A図14Cは本発明に係るテストソケットにおける設計の異なる弾力金属部材の構造図である。
図15A図15A図15Bは従来のテストソケットのプローブ及び被測定物の導電バンプの抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。
図15B図15A図15Bは従来のテストソケットのプローブ及び被測定物の導電バンプの抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。
図16A図16A図16Bは本発明に係るテストソケットの弾力金属部材及び被測定物の導電バンプの抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。
図16B図16A図16Bは本発明に係るテストソケットの弾力金属部材及び被測定物の導電バンプの抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。
図17A図17A図17Bはそれぞれ従来のテストソケットのプローブ及び本発明に係るテストソケットの弾力金属部材が表面処理されない場合の抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。
図17B図17A図17Bはそれぞれ従来のテストソケットのプローブ及び本発明に係るテストソケットの弾力金属部材が表面処理されない場合の抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。
図18図18は従来のテストソケットのプローブ及び本発明に係るテストソケットの弾力金属部材が複数回テストされた抵抗値の変化図である。
図19A図19A図19Bはそれぞれ従来のテストソケットのプローブの初回の使用、及び300回テストされた抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。
図19B図19A図19Bはそれぞれ従来のテストソケットのプローブの初回の使用、及び300回テストされた抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。
図20A図20A図20Bはそれぞれ本発明に係るテストソケットの初回の使用、及び300回テストされた抵抗値と弾力との関係図である。
図20B図20A図20Bはそれぞれ本発明に係るテストソケットの初回の使用、及び300回テストされた抵抗値と弾力との関係図である。
図21A図21A図21Bはそれぞれ従来のテストソケットのプローブ及び本発明に係るテストソケットの弾力金属部材に6Aの電流を流した場合の弾力及び温度変化推移図である。
図21B図21A図21Bはそれぞれ従来のテストソケットのプローブ及び本発明に係るテストソケットの弾力金属部材に6Aの電流を流した場合の弾力及び温度変化推移図である。
図22A図22A図22Cは、従来のテストソケットの新旧プローブ及び本発明に係るテストソケットの使用中の弾力金属部材に3Aの電流を流した場合の弾力及び温度変化推移図である。
図22B図22A図22Cは、従来のテストソケットの新旧プローブ及び本発明に係るテストソケットの使用中の弾力金属部材に3Aの電流を流した場合の弾力及び温度変化推移図である。
図22C図22A図22Cは、従来のテストソケットの新旧プローブ及び本発明に係るテストソケットの使用中の弾力金属部材に3Aの電流を流した場合の弾力及び温度変化推移図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
下記において特定の具体的な実施例により本発明の技術内容を説明する。本明細書に記載の内容は、この技術分野に精通した者なら簡単に本発明のその他の利点や効果を理解できる。本発明は、その他の異なる実施例によって施行や応用を加えることが可能である。
【0052】
図2は本発明に係るテストソケットの立体分解図である。図3は本発明に係るテストソケットの立体分解図である。図4図3のA-A断面線の断面図である。図に示すように、本発明に係るテストソケット1は、台座11と、該台座11の上方に位置する導電弾性シート12と、該導電弾性シート12に向かって延在するように該台座11に設けられる複数の弾力金属部材13とを含む。一つの具体的な実施例において、本発明に係るテストソケット1は、プローブソケットまたはプローブカードであり、テスト装置4に設置され、各該弾力金属部材13が該テスト装置4からテスト信号を受信可能にする。該弾力金属部材13はプローブであってもよい。本発明に係るテストソケット1に関する詳細は以下の通りである。
【0053】
該台座11は被測定物2(図5参照)が載置されるベースである。具体的には、該台座11は第1の表面111と、該第1の表面111に対向する第2の表面112と、該第1の表面111及び該第2の表面112に連通する複数の貫通孔113とを含み、該第2の表面112でテスト信号を供給するテスト装置4に設置される。さらに、台座11の該第1の表面111の上方には例えば半導体パッケージ、チップまたはウェハ等の被測定物2が設置される。一つの実施例において、該台座11は該第1の表面111の外周から該第2の表面112の方向(図2に示す下方向)に向かって延在して側壁が形成される。また、該台座11は金属材からなるベースであってもよい。一つの具体的な実施例において、該台座11は同軸型テストベースであってもよく、高周波テストに適用できる。
【0054】
該導電弾性シート12は機械的性能(例えば延性と強靭性)に優れる薄片であり、該台座11の第1の表面111に位置する。具体的には、該導電弾性シート12は、対向する第1の接触面121と第2の接触面122とを含み、導電媒体からなる軟性シート状構造である。該導電媒体が押圧された場合、押圧方向に沿って導電経路が形成可能であり、電気経路の上下が導通となり、テストの目的を達成することができる。また、該導電弾性シート12は該第1の表面111に貼付可能である。即ち、該導電弾性シート12は該台座11の第1の表面111を被覆し、各貫通孔113を密封することができる。このように、金属屑、塵埃または液体の各貫通孔113への侵入を回避することができ、各貫通孔113及びその内部の弾力金属部材13の清潔の維持が可能となり、弾力金属部材13の酸素との接触を低減させ、弾力金属部材13の金属酸化の問題を少なくすることができる。
【0055】
一つの具体的な実施例において、図2~4に示すように、該導電弾性シート12は、複数の弾力金属部材13に対して複数の導電弾性領域Rが定義された基板123と、各該導電弾性領域R内に散布する複数の導電粒子124とを含んでもよい。このように、該導電弾性シート12は各該導電弾性領域R内にのみ導電粒子124が散布しており、基板123における導電弾性領域R以外の領域には導電粒子124を有しない。即ち、導電弾性シート12には導電粒子が分布された各導電弾性領域Rからなるなる複数の導電弾性パッド(Bump Pad)がある。従って、該導電弾性シート12の第1の接触面121と第2の接触面122との間には、各導電弾性領域R(または各導電弾性パッド)の箇所にのみ導電経路が形成され、隣接の導電弾性パッドに形成された導電経路間のショートの発生や、導電経路の電流の他の導電経路への漏れの問題を回避することができる。
【0056】
各弾力金属部材13はそれぞれ第1の接触端131及び第2の接触端132を有し、各該貫通孔113内に設けられている。各弾力金属部材13では、第1の接触端131が内部の弾力により台座11の第1の表面111の方向へシフト可能であり、または、押圧力を受けて貫通孔113内の方向に向かって移動可能である。一つの具体的な実施例において、本発明に係る弾力金属部材13は例えばスプリングプローブ、垂直型プローブまたは微細電気機械プローブ等のプローブ、またはその他弾力性延伸性を有して被測定物2に対してパッケージテストを行うためのストロークを提供可能な素子であるが、それらに限定されるものではない。
【0057】
特に、各弾力金属部材13の第1の接触端131は該導電弾性シート12に臨み、導電弾性シート12への没入に適するバンプ1311を含む。本発明は、バンプ1311と導電弾性シート12との接触面積を増加させることにより、低い接触抵抗値を達成する。第1の接触端131が被測定物2に直接電気的に接続する場合と比較して、より好ましい接触抵抗値を得ることができる。即ち、弾力金属部材13のバンプ1311が導電弾性シート12に没入した場合、該バンプ1311と該導電弾性シート12との間の接触抵抗値は、該第1の接触端131が被測定物2に直接接触する接触抵抗値より小さくてもよい。
【0058】
実験の検証によれば、被測定物2に弾力金属部材13で直接接触する場合、その実際の抵抗値は約37.7mΩである。また、本発明に係るテストソケット1の導電弾性シート12の厚さが0.2mmであるとすると、弾力金属部材13のバンプ1311が導電弾性シート12に没入した後、その接触抵抗値は30.4mΩとなるため、本発明の設計がより好ましいテスト環境を提供することができる。
【0059】
また、第1の接触端131のバンプ1311は、導電弾性シート12への没入に適するものであり、その態様として、第1の接触端131は導電弾性シート12をバンプ1311で押圧した後、導電弾性シート12に変形が生じたため、バンプ1311の全部または一部が導電弾性シート12で被覆される第1の態様と、バンプ1311が導電弾性シート12に直接突き刺し導電弾性シート12内に嵌入される第2の態様とが挙げられる。より具体的には、第1種の未嵌入態様として、第1の接触端131のバンプ1311が導電弾性シート12の表面を突き刺さずに導電弾性シート12の表面に陥入し、結果、導電弾性シート12の内部に没入する。即ち、バンプ1311の全部または一部は導電弾性シート12で被覆される。このように、弾力金属部材13と導電弾性シート12との間の接触面積を増加させることができる。また、第2種の嵌入態様として、第1の接触端131はバンプ1311により導電弾性シート12の表面(図4に示す第1の接触面121)を突き刺し、導電弾性シート12の内部に入り込んだ場合でも、同様に弾力金属部材13と導電弾性シート12との間の接触面積を増加させることができる。
【0060】
図5は本発明に係るテストソケットに被測定物が載置されるテスト模式図である。図6図5における領域Sの一部拡大図である(図4を併せて参照)。図4に示すように、導電弾性シート12の導電弾性領域における第1の接触面121と第2の接触面122とが押圧されない場合、各導電粒子124同士は互いに電気的に接続されなくてもよい。図5~6に示すように、被測定物2が力Fの押圧を受けた場合、導電弾性シート12が弾力性を有するため、被測定物2の導電バンプ21が導電弾性シート12に陥入可能であるのみならず、弾力金属部材13のバンプ1311も導電弾性シート12に没入することになる。導電バンプ21およびバンプ1311からの上下押圧により、押圧方向の各導電粒子124同士の距離は次第に小さくなり、相互に接触することになる。即ち、各導電弾性領域Rにおいて被押圧方向に沿って第1の接触面121と第2の接触面122との間の電気的接続の導電経路を提供する。このように、被測定物2のテスト過程において、テスト信号で形成された電流を各導電弾性領域Rにおいて生成された導電経路に流した場合、他の導電弾性領域Rにおける導電経路への漏れはなく、被測定物2の導電バンプ21が密集しまたは半導体製造工程の発展に伴い被測定物2の微小化が進んでいるとしても、導電経路においてテスト信号を伝送する目的を確保することができ、各導電経路間の干渉の防止効果を奏する。
【0061】
実際の応用として、図4図6に示すように、本発明に係るテストソケット1の初期状態(図4参照)において、各弾力金属部材13のバンプ1311は導電弾性シート12内に没入していない。即ち、各弾力金属部材13及び導電弾性シート12は、分離しているか単に接触している状態にある。テストの際に、台座11はテスト装置4からテスト信号を受信することができる。具体的には、複数の導電バンプ21(例えばハンダボール)を有する被測定物2を台座11及び導電弾性シート12に載置した後、各導電バンプ21を対応する弾力金属部材13に対向して配置して、被測定物2が力Fを受けて下方に導電弾性シート12に押圧すると、被測定物2及び各弾力金属部材13は導電弾性シート12の導電弾性パッド(即ち導電粒子が散布している導電弾性領域R)を上下から押圧する。この場合、各弾力金属部材13は、バンプ1311が導電弾性シート12に没入することで、導電弾性シート12において、対応する導電バンプ21と弾力金属部材13との間に導電経路(図6参照)が形成される。このように、対応する導電バンプ21及び弾力金属部材13は導電経路を介して電気的に接続され、テスト信号は弾力金属部材13、導電弾性シート12、導電バンプ21を介して被測定物2に伝送され、被測定物2に対してテストが行われる。弾力金属部材13のバンプ1311が導電弾性シート12に没入することにより、より大きい接触面積を得るとともに接触抵抗値を低減することができる。また、導電弾性シート12は導電弾性パッドの設計により、隣接する導電弾性パッドにおいて形成された導電経路同士の干渉の問題を回避することができる。
【0062】
また、テストの終了後に被測定物2を除去した後、導電弾性シート12は力Fの押圧から開放される。導電弾性シート12が弾力性を有するため、第1の接触端131のバンプ1311を押し出すことになる。テスト過程において、バンプ1311は表面の酸化による接触抵抗値が増加する恐れがあるが、没入と押出過程において、バンプ1311の表面と導電弾性シート12との間の相互摩擦により、酸化の表面を削り落とすことができ、安定した接触抵抗値を確保できるだけでなく、バンプ1311に対する清潔効果も有する。従って、バンプ1311が電気めっきまたは他の表面処理がなされていなくとも、安定した接触抵抗値を維持することができる。また、弾力金属部材13に導電弾性シート12を設けることにより、弾力金属部材13のバンプ1311が被測定物2の導電バンプ21に直接当接することによる磨耗を回避することができる。即ち、導電弾性シート12は、バンプ1311に対する緩衝や保護の機能をさらに提供し、弾力金属部材13の損壊可能性を低減することができる。より好ましくは、導電弾性シート12に損壊が発生した場合、導電弾性シート12を交換するだけで本発明に係るテストソケットのテスト性能を回復することができる。このように、従来のテストソケットでのプローブが損壊した場合に多くのプローブから損壊したものを特定するという工程を削減することができ、時間やコストの節約効果を奏することができる。また、テスト過程において該導電弾性シート12は弾力金属部材13のバンプ1311で押圧されたり突き刺されたりしたとしても、弾力性を有するので、バンプ1311が押し出された後、押圧前の状態に回復でき、または突き刺された位置をすこし回復することができる。従って、導電弾性シート12がバンプ1311で突き刺されたとしても、良好の使用寿命を有する。
【0063】
特に、第2種の嵌入態様(弾力金属部材13のバンプ1311が導電弾性シート12の表面を突き刺して導電弾性シート12の内部に入り込む)として、下記の特徴がある。第1に、第1の接触端131はバンプ1311により導電弾性シート12内の導電粒子124と直接電気的に接触するので、高速な電気導通という効果を有する。また、バンプ1311が導電弾性シート12に嵌入(挿入)され、より多くの導電粒子124に接触するため、接触抵抗値を効果的に低減することができる。第2に、各弾力金属部材13は、バンプ1311が導電弾性シート12の表面を突き刺した場合、導電弾性シート12の内部に挿入されるので、各弾力金属部材13のバンプ1311全体が導電弾性シート12で被覆され、揺動しにくくなり、テスト過程において保持や接触の安定性が確保される効果を有する。即ち、被測定物2の導電バンプ21に対して各弾力金属部材13は位置ずれしにくくなり(位置合わせが正確になる)、従来のテストの環境下のプローブと被測定物との間の接触面積が小さく、位置ずれによってプローブが損壊するという状況を回避することができる。第3に、テスト時に弾力金属部材13のバンプ1311が導電弾性シート12の内部に挿入され、テスト終了時に導電弾性シート12の弾力で押し出されるため、弾力金属部材13の挿入や退出過程において導電弾性シート12との摩擦量が増し、清潔の効果がある。特に、酸化またはその他老化によってバンプ1311の表面が不潔になる状況を、両者の摩擦により改善できる。また、上記の清潔効果により、バンプ1311の表面は常に新品のような状態に維持されるため、弾力金属部材13のバンプ1311に対して表面加工の保守を別途行う必要はなく、コストを低減することができる。
【0064】
一つの実施例において、該導電弾性シート12(即ち基板123)の厚さTは0.15mm以上2mm以下である。つまり、導電弾性シート12の厚さが不十分であれば、突き刺されやすくなり、導電弾性シート12の厚さが必要以上だと、経路が長くなり、全体の抵抗値が増加する。他の実施例において、好ましくは0.150mm≦厚さT≦1.5mmである。実験結果によれば、導電弾性シート12の厚さT≦0.4mmである場合、抵抗値を顕著に増加させずに同様に良好な導電効果を得ることができる。また、該導電弾性シート12は、厚さT及び弾力金属部材13の没入深さを調整することにより接触抵抗値を制御することができる。一つの例として、導電弾性シート12の厚さTを増加させる場合、弾力金属部材13の導電弾性シート12への侵入深さを増加させることにより、接触抵抗値を所定の範囲内に維持することができる。
【0065】
また、図6に示すように、各弾力金属部材13のバンプ1311が該導電弾性シート12の下表面を突き刺し該導電弾性シート12に没入した場合、バンプ1311の先端と該導電弾性シートの上表面との間の距離tは0.35mmよりも小さく、若しくは、バンプ1311の先端と該導電弾性シート12の上表面との間の距離tは、導電弾性シート12の厚さTの85%以下であってもよい。このように、導電弾性シート12の厚さを変更したとしても、バンプ1311の導電弾性シート12内への没入程度を調整することにより良好な接触抵抗値を維持することができる。
【0066】
他の具体的な実施例において、各導電粒子124の粒径は、その寸法が0.005mm以上0.1mm以下である。粒径が小さすぎると、粒子間の間隙層が過多となり、抵抗値が高すぎてしまい、粒径が大きすぎると、弾力金属部材13が磨耗しやすく、接触面積が少なくなる。また、それら複数の導電粒子124の該導電弾性シート12における割合は、好ましくは30%以上90%以下である。粒子の密度が低すぎると、抵抗値が高くなり、粒子の密度が高すぎると、導電弾性シート12内のコロイド成分が少なくなり、導電弾性シート12の耐用性が下降する。
【0067】
図7は本発明に係るテストソケットにおいて導電弾性シートが凸パッドを有する構造模式図である。図8は本発明に係るテストソケットにおいて導電弾性シートが凸パッドを有する使用状態模式図である。図7に示すように、該導電弾性シート12”は第1の接触面121で第1の表面111に対面して台座11に設けられ、第2の接触面122の各弾力金属部材13に対応する箇所には該第2の接触面122から突出する複数の凸パッド126が設けられている。このように、図8に示すように、複数の導電パッド22を有する被測定物2’は各導電パッド22を介して各凸パッド126に対応して導電弾性シート12”に設置可能である。また、他の実施例において、被測定物の導電パッド22が窪み構造(図示せず)である場合、各該凸パッド126が対応する窪んだ導電パッド22に入ることにより、被測定物2’のテスト過程において導電経路が形成される。
【0068】
図9は本発明に係るテストソケットに枠ベースが設けられた構造模式図である。図に示すように、一つの実施例において該導電弾性シート12は台座11の枠ベース114に設けられ、各弾力金属部材13のバンプ1311との間に間隔距離Hが空けられ、該第1の表面111とも隙間が空けられている。該導電弾性シート12は垂直方向において遊動的に移動可能である。図4における一部の弾力金属部材13のバンプ1311がちょうど導電弾性シート12の表面に接触するか導電弾性シート12内に突き刺した態様と比べて、本実施例の各バンプ1311はテスト時にのみ導電弾性シート12に接触し、押圧してテストを行う際にバンプ1311は導電弾性シート12に突き刺し、即ち、テストが行われていない状態では、バンプ1311は導電弾性シート12内に存在し続けることはない。さらに、テスト毎のバンプ1311が導電弾性シート12を突き刺す位置が異なる可能性があるため、同一の領域を繰り返して突き刺すことはない。従って、本実施例はさらに導電弾性シート12に回復する時間を提供し、導電弾性シート12の使用寿命の延長に寄与することができる。
【0069】
図10A及び図10Bは、本発明に係るテストソケットに枠体が設けられた構造模式図である。図10Aに示すように、テストソケット1の台座11は、導電弾性シート12の基板123の外周に設けられる枠体117をさらに含む。具体的には、枠体117は台座11の第1の表面111に設けられ(例えば接着剤で接着)、導電弾性シート12は枠体117で包囲されている。詳しくは、導電弾性シート12は台座11の第1の表面111に設けられ、各貫通孔113を密封する。該枠体117と該導電弾性シート12の基板123の上表面(即ち導電弾性シート12の第2の接触面122)との間には流体が流れ込む空間が形成されている。即ち、被測定物2が導電弾性シート12の上方に載置される場合、被測定物2の底面と導電弾性シート12の第2の接触面122との間に流体空間118が形成され、被測定物2のテスト過程において、液体または気体など電気不伝導の流体が流体空間118に導入され、流体が流体空間118に流動され(図示の矢印参照)、被測定物2の放熱を行い、被測定物2の冷却の目的を達成する。即ち、流体が流体空間118に流れ込むように、該枠体117に該流体空間118に連通する流体インレット115及び流体アウトレット116が設けられてもよい。
【0070】
また、図10Bに示すように、該枠体117の上方に流体インレット115’及び流体アウトレット116’を有する密封蓋119を設けることにより、流体が流体インレット115’から流体空間118に流れ(図示の矢印参照)、流体アウトレット116’から導出され、上記の放熱や冷却の目的を達成できる。実際の応用において、密封蓋119は例えば半導体分類機器の熱伝導装置の一部であってもよい。流体が流体空間118に流入した場合、各貫通孔113は導電弾性シート12に密封されているため、流体が各貫通孔113へ流れ込むことを回避できる。また、テストの終了後、液体の抽出、気流の注入またはその他電気制御の方法で流体を除去するだけで、流体空間118に対して清潔を行うのみならず、テスト過程において金属屑や塵埃が各貫通孔113内へ落下して各弾力金属部材13の抵抗値に影響することを回避できる。また、導電弾性シート12はテスト過程において流体(例えば冷却液体)が貫通孔113へ流れ込み、各弾力金属部材13の高周波電気に影響することを回避できる。
【0071】
図11は本発明に係るテストソケットがウェハに適用される構成図である。図に示すように、台座11’の第1の表面111及び第2の表面112にそれぞれ導電弾性シート12及び導電弾性シート12’が設けられている。導電弾性シート12’の基板123’の外周には支持体125が設けられている。該導電弾性シート12’は該支持体125により該台座11’の上に設けられることでテント状構造が形成されている。該基板123’と第2の表面112との間には、各弾力金属部材13’の第2の接触端132’が該台座11’の第2の表面112から突出し、該導電弾性シート12’に接触するように、隙間Gが設けられている。この実施例において、弾力金属部材13’は垂直型プローブ(Cobraプローブ)であってもよい。なお、上記説明では、導電弾性シート12’が台座11’の第2の表面112の他端に設けられてもよいが、それらに限定されない。即ち、導電弾性シート12’は該台座11’の第1の表面111の他端に設けられてもよく、その構造設計は類似しているため、詳しい説明を省略する。
【0072】
一つの例として、本発明に係るテストソケット1’がウェハテストに適用される場合、テストソケット1’はウェハ5のテストに用いられるプローブカードである。テストソケット1’は複数の貫通孔を有する台座11’を備え、各弾力金属部材13’は台座11’の各貫通孔にそれぞれ設けられ、各貫通孔の上開口及び下開口から突出する第1の接触端131’及び第2の接触端132’、並びに各該貫通孔に設けられ該第1の接触端131’及び該第2の接触端132’にそれぞれ押し当てられる弾性部材135’を含む。このように、該テストソケット1’は導電弾性シート12が台座11’の第1の表面111に設けられることにより、その上に被測定物2が載置される。また、支持体125を有する導電弾性シート12’が台座11’の第2の表面112に設けられるため、導電弾性シート12’の第2の接触面(図において上方を向くもの)が該台座11’の第2の表面112に接触することはない。テスト時に、導電弾性シート12’の第1の接触面(図において下方を向くもの)はテストウェハ5の表面に接触してテストを行う。
【0073】
図12は本発明に係るテストソケットが4端点測定(Kelvin contact)に適用される構成図である。図12に示すように、必要に応じて導電弾性領域Rを複数の弾力金属部材13’に対応させることができる。例えば、4端点測定(Kelvin contact)技術に適用される場合、テスト工程が行われるために、1つの導電弾性領域Rを2つの弾力金属部材13’に対応させる。即ち、1つ導電弾性領域Rを2つの弾力金属部材13’が共有することにより、被測定物2の導電バンプ21と複数の弾力金属部材13’とが導電弾性領域Rを介して接続して、テスト工程を行う。
【0074】
図13A図13Bは本発明に係るテストソケットにおける導電弾性シートに導電パージが設けられる構成図である。図13Aに示すように、本発明に係るテストソケット1は、少なくとも2つの弾力金属部材13に対応して導電弾性シート12の第1の接触面121または第2の接触面122に設けられる導電部材14(図では、第1の接触面121を例に挙げる)をさらに含む。導電部材14は隣接の各弾力金属部材に電気的に接続するためのものである。詳しくは、弾力金属部材13が接地プローブである場合、該導電部材14を介して隣接の接地プローブに電気的に接続し、または、弾力金属部材13が電源プローブである場合、該導電部材14を介して隣接の電源プローブに電気的に接続することができる。一つの実施例において、図示のように、導電部材14は導電弾性シート12の第1の接触面121に設けられている。他の実施例において、導電部材14は、さらに、導電弾性シート12の第2の接触面122、即ち、導電部材14は弾力金属部材13と導電弾性シート12との間に設けられてもよい。また、本実施例において、導電部材14が弾力金属部材13と導電弾性シート12との間に位置するため、弾力金属部材13に対応する箇所には肉抜き部(図示せず)が設けられている。弾力金属部材13は該肉抜き部を介して導電弾性シート12に接触可能である。また、図13Bに示すように、本発明に係るテストソケット1は、台座11の第2の表面112の下方に位置する他の導電弾性シート12と、少なくとも2つの弾力金属部材13に対応しかつ該他の導電弾性シート12の下表面に位置する導電部材14とをさらに含む。該導電部材14は、導電回路または接地として用いられてもよい。上記のように、導電弾性シート12に導電部材14が設けられることにより、被測定物2の複数の導電バンプ21の間は導電回路を介して接続やグランドすることができる。さらに、高電流の電源信号が供給される場合、それにより分流として機能してもよい。また、該導電弾性シート12は導電弾性領域の面積または位置の増加により、台座11の第1の表面111または第2の表面112との接触を強化し、接地として機能することもできる。
【0075】
さらに、図13Bに示すように、該台座11は金属ベースであり、導電弾性シート12の各導電弾性領域の幅は、各該導電弾性領域が該台座11に接触可能にするように、各貫通孔113の孔径よりも大きい。即ち、貫通孔113の孔径d(第2の表面112の孔径のように)は導電弾性シート12の各導電弾性領域Rの幅Dよりも小さい。つまり、dはDよりも小さい。このように、各弾力金属部材13は各導電弾性パッドを介して金属の台座11に電気的に接続可能である。これにより、各弾力金属部材13の接地確率を向上させるので、導電部材14は設置せずに省略してもよい。
【0076】
図14A図14Cは本発明に係るテストソケットにおける設計の異なる弾力金属部材の構造図である。図14Aに示すように、各弾力金属部材13のバンプ1311は先鋭状構造であり、一つの実施例において、該バンプ1311の長さLは0.01mm以上かつ導電弾性シートの厚さTよりも小さい(図4参照)。言い換えれば、第1の接触端131のバンプ1311は導電弾性シートを突き刺し、その内部に入りかつ導電弾性シートを貫通しなければよく、その長さLはそれらに限定されるものではない。即ち、さらに弾力金属部材13の第1の接触端131の移動ストローク(または第1の接触端131を移動させる弾力)により、テスト時にバンプ1311が導電弾性シートを少なくとも0.01mmまで突き刺すようにして、弾力金属部材13と導電弾性シートとの間の接触抵抗値の低下の目的を達成することができる。
【0077】
図14Bに示すように、一つの実施例において、弾力金属部材13は管孔を有する主体133と、該管孔の両端にそれぞれ設けられる第1の接触端131及び第2の接触端132と、該管孔内に位置し該第1の接触端131及び該第2の接触端132に押付けられる弾性部材135(例えばスプリング)とを含む。一つの実施例において、本発明に係る弾力金属部材13の第1の接触端131は粗いまたは凹凸となる表面を有して、より大きい接触面積を有し、接触抵抗値の下降の目的を達成することができる。具体的には、該第1の接触端131は複数のバンプ1311を有する。一つの具体的な実施例において、各バンプ1311が尖状構造であり、第1の接触端131全体が冠状構造であるため、弾力金属部材13は各先鋭状構造により導電弾性シートに突き刺し可能である。これにより、冠状を有する第1の接触端131を各バンプ1311で導電弾性シートに突き刺すことにより、導電粒子(図6参照)の集中効果を有する。即ち、導電粒子を冠状構造で包囲された範囲内に制限することで、導電経路の形成時に導電経路がより好ましい導電効果を持たせることができる。
【0078】
図14Cに示すように、他の実施例において、各該弾力金属部材13’は、貫通孔113に設けられる弾性体136と、該弾性体136に回動可能に設けられる金属ブロック137とを含む。該金属ブロック137は台座11の第1の表面111に向かって延在し第1の接触端131’に接続し、該台座11の第2の表面112に向かって延在し第2の接触端132’に接続される。さらに他の実施例において、該弾力金属部材13’は、図8に示すように、さらにプローブカードに適用される構造であってもよい。その構造の説明は上記の通りであるため、詳しい説明を省略する。
【0079】
次に、本発明に係るテストソケットの効果を実験により説明する。従来のテストソケット(図1参照)に対する本発明に係るテストソケット(図2~4参照)の上記効果の差異を説明するために、テスト過程において、本発明および従来のテストソケットは同種の弾力金属部材(例えばプローブ)を使用し、同様の実験環境と条件でテストを行う。それに関する説明は以下の通りである。
【0080】
図15A図15Bは従来のテストソケットのプローブ及び被測定物の導電バンプの抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。図16A図16Bは本発明に係るテストソケットの弾力金属部材及び被測定物の導電バンプの抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。図15Aに示すように、従来のテストソケットのプローブは使用初期において、その弾力が20.7gfで、抵抗値が43.2mΩである。次に、図15Bに示すように、使用してから所定時間経過した後、従来のテストソケットのプローブは、弾力が20.4gfに下降し、抵抗値が155.6mΩに向上する。逆に、図16Aに示すように、本発明に係るテストソケットのプローブ(即ち弾力金属部材)の使用初期に、その弾力は21.4gfであり、抵抗値は35.1mΩである。次に、図16Bに示すように、使用してから所定時間が経過した後、本発明に係るプローブの弾力は21.5gfのままに維持され、その抵抗値はさらに33.6mΩに下降する。このことから、同様のプローブを本発明の構造に利用することにより、プローブの弾力を維持可能である。抵抗値の結果について、従来のテスト結果のように抵抗値が倍増することはないことを確保できるほか、抵抗値のさらなる降下効果を達成することができる。また、図16Bの抵抗値の結果からわかるように、ストローク0.4mm―0.6mmの抵抗値において、本実施例の線は平穏であり、激しく変化する不安定の現象はなく、低ストロークにおいても本発明は良好な接触安定性を提供することを確認できた。
【0081】
さらに、図15Aに示すように、従来のテストソケットはプローブヘッドのストロークに応じて変化し、その抵抗値が50mΩまで徐々に下降する。また、図15Bに示すように、使用してから所定時間経過した後、50mΩまで下降できなくなる。逆に、図16A及び図16Bに示すように、本発明に係るテストソケット及び被測定物の導電バンプが圧力を受けた後、抵抗値が直ちに50mΩ以下に低下し、使用してから所定時間経過したとしても、前記特性を維持することができる。
【0082】
図17A図17Bはそれぞれ従来のテストソケットのプローブと本発明に係るテストソケットの弾力金属部材の未表面処理時の抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。それらの図はプローブのプローブヘッドが例えば電気めっき等表面処理されない結果を説明するためのものである。ここで注意すべき点は、図17Aに示すように、従来のテストソケットのプローブの抵抗値は2081.5mΩと高くなっている。図17Bに示すように、本発明に係るテストソケットのプローブ(即ち弾力金属部材)は依然として50mΩ程度、即ち48.4mΩに維持可能である。このように、本発明に係るプローブ(弾力金属部材)のプローブヘッド(第1の接触端のバンプ)は、表面処理されないままでも従来の設計よりも優れているため、製造コストの低下に寄与する。
【0083】
図18は従来のテストソケットのプローブ及び本発明に係るテストソケットの弾力金属部材が複数回テストされた抵抗値の変化図である。図19A図19Bはそれぞれ従来のテストソケットのプローブの初回の使用、及び300回テストされた抵抗値と弾力金属部材の弾力との関係図である。図20A図20Bはそれぞれ本発明に係るテストソケットの弾力金属部材の初回の使用、及び300回テストされた抵抗値と弾力との関係図である。図18に示すように、複数回使用後のプローブの抵抗値の変更趨勢が説明されている。従来のテストソケットのプローブは何回か使用された後、抵抗値の大幅な向上が発生し、図にも示すように、その抵抗値はさらに不安定になる。これに対して、本発明に係るテストソケットのプローブは複数回テストされたとしても、抵抗値を最適なレベルに維持すること可能である。つまり、複数回使用したとしても、本発明に係るプローブは新品レベルのプローブの抵抗値を維持することができる。
【0084】
さらに、図19Aに示すように、従来のプローブは、初回使用時にその抵抗値及び弾力は通常のレベルであるが、図19Bに示すように、従来のプローブは300回使用された後、その抵抗値は800mΩを超えてしまい、使用に耐えうるでないことがわかる。逆に、図20A及び図20Bに示すように、本発明に係るプローブはたとえ300回使用されたとしても、初期に近い状態に維持可能であり、良好な抵抗値を有する。
【0085】
図21A図21Bはそれぞれ従来のテストソケットのプローブ及び本発明に係るテストソケットの弾力金属部材を6A電流で流した場合の弾力及び温度変化推移図である。それらの図は、プローブに対して6Aまでに電流を連続で流した場合のプローブ弾力及び温度変化を説明するものである。図21Aに示すように、従来のテストソケットのプローブに対して6Aの電流を流した後、その温度は101.6℃に上昇し、100℃を超えており、その弾力は0g近くに下降する。それに対して、図21Bに示すように、本発明に係るテストソケットのプローブの弾性は25gの弾力に維持可能であり、また、温度は従来のプローブの温度約40℃ほど低い61.7℃であるため、本発明に係るテストソケットが大電流のテスト環境に適用されたとしても、良好なパフォーマンスを有することがわかる。
【0086】
図22A図22Cは従来のテストソケットの新旧プローブ及び本発明に係るテストソケットにおける弾力金属部材に3Aの電流を流した場合の弾力及び温度変化推移図である。具体的には、従来のプローブは未使用において抵抗値が37.5mΩとすると、複数回のテスト使用が経過した後、従来のプローブの抵抗値は171.2mΩに上昇したのに対して、本発明において複数回使用されたプローブ(即ち弾力金属部材)が採用されても、その抵抗値は37.7mΩである。上記の条件下で3Aの電流を流して実験を行う。図22Aに示すように、新品のプローブを有する従来のテストソケットであり、従来のプローブではたとえ未使用においても、3Aの電流を流した場合、弾力は維持可能であるが、温度は24.6℃となった。また、図22Bに示すように、古いプローブを有する従来のテストソケットであり、従来のプローブは使用回数または時間の増加に応じてその抵抗値が171.2mΩに上昇し、3Aの電流を流した場合、弾力が影響を受けるのみならず、それよりも温度が80℃を超えて89.680℃という高温となった。逆に、図22Cに示すように、本発明に係るテストソケットのプローブはたとえ複数回使用されたとしても、その抵抗値は37.7mΩに維持可能であり、3Aの電流で流した場合、依然として良好な弾力のパフォーマンスを維持することができ、またその温度は僅かに25.8℃に上昇している。従って、本発明に係るプローブ(即ち弾力金属部材)はたとえ複数回使用されたとしても、従来技術での新品のプローブのパフォーマンスを維持可能であるため、本発明に係るテストソケットが確かに良好なパフォーマンスを達成しうることは十分証明されている。
【0087】
上記実施例は本発明の例示的効果に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、当分野の技術を熟知した者であれば本発明の主旨を逸脱しない範囲でそれらの実施態様に対して修正や変更を施すことが可能である。従って、本発明の権利保護範囲は、後述の特許請求の範囲に含まれ、本発明の効果や実施の目的に影響を与えていなければ、この公開技術に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0088】
1、1’ テストソケット
11、11’ 台座
111 第1の表面
112 第2の表面
113 貫通孔
1311 バンプ
114 枠ベース
115、115’ 流体インレット
116、116’ 流体アウトレット
117 枠体
118 流体空間
119 密封蓋
12、12’、12” 導電弾性シート
121 第1の接触面
122 第2の接触面
123、123’ 基板
124 導電粒子
125 支持体
126 凸パッド
13、13’ 弾力金属部材
131、131’ 第1の接触端
132、132’ 第2の接触端
133 主体
135、135’ 弾性部材
136 弾性体
137 金属ブロック
14 導電部材
2、2’ 被測定物
21 導電バンプ
22 導電パッド
4 テスト装置
5 テストウェハ
9 被測定物
91 導電バンプ
100 テストソケット
101 台座
102 貫通孔
103 プローブ
104 テスト設備
A-A 断面線
D 幅
d 孔径
F 力
G 間隙
H 間隔距離
L 長さ
R 導電弾性領域
S 領域
T 厚さ
t 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C