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特開2024-40237ベンド継手およびベンド継手を備えた排水配管システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040237
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ベンド継手およびベンド継手を備えた排水配管システム
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/08 20060101AFI20240315BHJP
   F16L 43/00 20060101ALI20240315BHJP
   F16L 47/02 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
E04D13/08 301B
E04D13/08 301E
F16L43/00
F16L47/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013401
(22)【出願日】2024-01-31
(62)【分割の表示】P 2020033537の分割
【原出願日】2020-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2019036758
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】寺地 信治
(72)【発明者】
【氏名】池田 基
(72)【発明者】
【氏名】田中 将成
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明彦
(57)【要約】
【課題】本発明は、管内に異常が生じた場合に管内を簡単に確認できる排水集合継手の構造の提供を目的とする。
【解決手段】本発明のベンド継手は、ポリオレフィン系樹脂からなり、サイフォン発生部を有する排水配管に適用されるベンド継手であって、第1直管部と、第2直管部と、前記第1直管部および前記第2直管部を連結するベンド管部を備え、前記ベンド管部の途中部分に第3直管部が形成され、前記第1直管部の軸線と前記第3直管部の軸線の交差角度と、前記第2直管部の軸線と前記第3直管部の軸線の交差角度が、いずれも45゜以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン系樹脂からなり、サイフォン発生部を有する排水配管に適用されるベンド継手であって、
第1直管部と、第2直管部と、前記第1直管部および前記第2直管部を連結するベンド管部を備え、
前記ベンド管部の途中部分に第3直管部が形成され、
前記第1直管部の軸線と前記第3直管部の軸線の交差角度と、前記第2直管部の軸線と前記第3直管部の軸線の交差角度が、いずれも45゜以下であることを特徴とするベンド継手。
【請求項2】
前記第1直管部がオレフィン系樹脂からなる第1直管にバット接合され、前記第2直管部がオレフィン系樹脂からなる第2直管にバット接合され、前記第1直管と前記第2直管のいずれかに前記サイフォン発生部がEF接合部またはハウジング接合部を介し接続されることを特徴とする請求項1に記載のベンド継手。
【請求項3】
前記第3直管部が2つの第3直管部分割体に分割され、
前記第1直管部と、一方の第3直管部分割体と、前記第1直管部および前記一方の第3直管部分割体を連結する第1折曲部を有する第1エルボ管と、
前記第2直管部と、他方の第3直管部分割体と、前記第2直管部および前記他方の第3直管部分割体を連結する第2折曲部を有する第2エルボ管とからなり、
前記第1エルボ管における前記一方の第3直管部分割体と、前記第2エルボ管における前記他方の第3直管部分割体とがバット接合され、前記第3直管部が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のベンド継手。
【請求項4】
建物の複数のルーフドレン部に設けられた複数のサイフォン発生部と、前記複数のサイフォン発生部に接続された集水管を備え、
前記サイフォン発生部と前記集水管が第1直管および第2直管と、これら第1直管および第2直管を接続して設けられた請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のベンド継手により接続されたことを特徴とする排水配管システム。
【請求項5】
前記集水管の一部に請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のベンド継手を介し縦管が接続されたことを特徴とする請求項4に記載の排水配管システム。
【請求項6】
前記縦管の一部に請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のベンド継手を介し横管が接続されたことを特徴とする請求項5に記載の排水配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンド継手およびベンド継手を備えた排水配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集中豪雨の頻度が増加していることに伴って、建物の雨水の排水を効率良くするために、雨水配管が大型化される傾向がある。
これに対し、サイフォン現象を用いることで、雨水配管の小口径化と雨水縦管本数の削減を可能とする雨水排除手段が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、大雨の時にサイフォン作用によって大量の雨水を極めて効率良く排水でき、コストアップや建物の外観を損なうことのないサイフォン式雨水排水装置が開示されている。
特許文献1に記載のサイフォン式雨水排水装置では、雨水の落とし口の上方に所定の間隔(高さ方向の間隔)をあけて蓋部を設け、落とし口から排水管に落下してゆく雨水の流量を排水管の内部において満流の状態となるようにコントロールすることができる。この状態を維持することにより生じるサイフォン現象を利用し、効率良く雨水を排水することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-7135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建物の排水管には、縦管から横管に接続する継手の部分が必然的に存在するが、継手の内部で排水管内の満水状態が途切れると、排水管全体でサイフォン現象を発現できなくなるおそれがある。
このため、サイフォン発生部を備えた排水管の継手部分においてサイフォン現象の発現を阻害しないために、連続的な曲率で湾曲する曲げ加工品からなる図11に示す断面構造の曲げ加工ベンド100を用いることが有利と考えられる。
【0006】
ところが、樹脂製の曲げ加工ベンド100は、直管状のパイプを加熱して軟化させ、型にはめて製作するベンドである。このため、内面の曲面形状は滑らかであるが、曲げ角度が大きくなると、しわが寄るか座屈する問題があり、外周側が薄肉になると製品強度が低下するなどの問題がある。
曲げ加工ベンド100の管壁内面にしわが寄った場合、しわの部分で排水の流れが乱れるおそれがあり、場合によってはサイフォン現象の阻害となるおそれがある。
なお、曲げ加工ベンド100において曲げ角度を大きくできないということは、継手寸法を小さくできないという問題を有し、継手の収まりが悪くなる問題もある。
【0007】
また、ベンドとして図12に示す断面構造の射出成形品の90°ベンド101を用いることが考えられる。しかし、射出成形品のベンド101は、内面の曲りコーナー部分に90°に折れ曲がった折曲部102を有するために、この折曲部102の存在がサイフォン現象発現の支障となるおそれがある。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑み、なされたものであって、サイフォン発生部を有する排水配管に好適に用いられるベンド継手およびベンド継手を備えた排水配管システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は以下の形態を提案している。
「1」本形態に係るベンド継手は、オレフィン系樹脂からなり、サイフォン発生部を有する排水配管に適用されるベンド継手であって、第1直管部と、第2直管部と、前記第1直管部および前記第2直管部を連結するベンド管部を備え、前記ベンド管部の途中部分に第3直管部が形成され、前記第1直管部の軸線と前記第3直管部の軸線の交差角度と、前記第2直管部の軸線と前記第3直管部の軸線の交差角度が、いずれも45゜以下であることを特徴とする。
【0010】
第1直管部と第2直管部をベンド管部で接続し、ベンド管部の途中に第3直管部を設け、第1直管部と第3直管部を45°以下の交差角度で接続し、第2直管部と第3直管部を45°以下の交差角度で接続することにより、45゜を超える急角度で水の流れ方向を変更することなく排水を流すことができる。サイフォン発生部から排水配管に満水状態で水を流し込んだとして、ベンド継手の部分において満水状態を維持しながら排水できる。 このため、サイフォン発生部を有し、ベンド継手を有する排水配管の全体においてサイフォン現象を利用した効率の良い排水ができる。
オレフィン系樹脂からなるベンド継手であるならば、塩ビ管等に比べて振動や衝撃に強いため、地震などの震動を受けた場合であっても損傷し難いベンド継手を提供できる。 特に、雨水用の排水配管であるならば、大雨などの場合に効率的な排水ができると同時に、地震などの震動を受けた場合であっても損傷し難いことが重要であり、本形態のベンド継手を用いた排水配管であるならば、大きな地震が生じても損傷するおそれがなく、安全性の高い排水配管を提供できる。
【0011】
「2」本形態に係るベンド継手において、前記第1直管部がオレフィン系樹脂からなる第1直管にバット接合され、前記第2直管部がオレフィン系樹脂からなる第2直管にバット接合され、前記第1直管と前記第2直管のいずれかに前記サイフォン発生部がEF接合部またはハウジング接合部を介し接続される構成を採用できる。
【0012】
第1直管部をオレフィン系樹脂からなる第1直管にバット接合し、第2直管部をオレフィン系樹脂からなる第2直管にバット接合した構成を採用することにより、接合部分の内面側にビードに起因する凹凸部分の少ない接続構造を提供できる。
また、バット接合した部分にはビードに起因する多少の凹凸部が発生するが、第1直管部と第1直管を接合するバット接合部分、および、第2直管部と第2直管を接合するバット接合部分はいずれも直管部分に存在するので、排水の流れに対する影響は少なく、サイフォン現象の発現に対する悪影響は生じない。
このため、サイフォン発生部におけるサイフォン現象発現の支障とならないベンド継手を提供できる。
【0013】
「3」本形態において、前記第3直管部が2つの第3直管部分割体に分割され、前記第1直管部と、一方の第3直管部分割体と、前記第1直管部および前記一方の第3直管部分割体を連結する第1折曲部を有する第1エルボ管と、前記第2直管部と、他方の第3直管部分割体と、前記第2直管部および前記他方の第3直管部分割体を連結する第2折曲部を有する第2エルボ管とからなり、前記第1エルボ管における前記一方の第3直管部分割体と、前記第2エルボ管における前記他方の第3直管部分割体とがバット接合され、前記第3直管部が形成されたことが好ましい。
【0014】
第1エルボ管と第2エルボ管からなる分割構造とすることにより、各エルボ管の曲りを45°以下にできるので、各エルボ管を射出成形品から構成できる。45°以下の曲りのベンド管であるならば、射出成形品のベンド管として形状の設計自由度が高く、2つ組み合わせた場合であっても、曲げ加工によるベンド管に比べて収まりの良い構造を採用できる。
また、バット接合した部分にはビードに起因する多少の凹凸部を生じるが、バット接合した部分は第3直管部、即ち、直管部分に存在するので、排水の流れに対する影響は少なく、サイフォン現象の発現に対する悪影響は生じない。
【0015】
「4」本形態の排水配管システムは、建物の複数のルーフドレン部に設けられた複数のサイフォン発生部と、前記複数のサイフォン発生部に接続された集水管を備え、前記サイフォン発生部と前記集水管が第1直管および第2直管と、これら第1直管および第2直管を接続して設けられた「1」~「3」のいずれかに記載のベンド継手により接続されたことを特徴とする。
【0016】
本形態のベンド継手を用いることにより、サイフォン現象の発現に支障のない継手とすることができるので、1本の集水管で従来の集水管より多くの排水を流すことができる。 このため、1本の集水管に複数のサイフォン発生部を接続することが可能となり、複数のサイフォン発生部からの排水を1本の集水管を用いて効率良く排水できるようになる。 また、1つのサイフォン発生部に対し1つの集水管と1つの縦管を接続して排水配管システムを構成する場合に比べ、集水管の本数と縦管の本数の両方を削減できる。
この結果、建物に設ける集水管と縦管の本数を削減でき、安価な排水配管システムを提供できる。
【0017】
「5」本形態の排水配管システムは、前記集水管の一部に「1」~「3」のいずれかに記載のベンド継手を介し縦管が接続された構成を採用できる。
「6」本形態の排水配管システムは、前記縦管の一部に「1」~「3」のいずれかに記載のベンド継手を介し横管が接続された構成を採用できる。
【0018】
前記ベンド継手は縦管や横管に接続して設けることができ、これらに設けることで、第1直管や第2直管を含め、それらに接続された縦管や横管を含めた配水管全体においてサイフォン現象の発現に支障のない構造を提供できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、サイフォン発生部から排水配管に満水状態で水を流し込んだとして、ベンド継手の部分を介して満水状態を維持しながら排水することができ、ベンド継手の部分を含めた排水配管の全体でサイフォン現象を利用した効率の良い排水ができる。
また、オレフィン系樹脂からなるベンド継手であるならば、塩ビ管等に比べて振動や衝撃に強いため、地震などの震動を受けた場合であっても損傷し難い、安全性の高いベンド継手を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係るベンド継手とEF継手を備えた排水配管の一例を示す部分断面図である。
図2】同ベンド継手を示す縦断面図である。
図3図1に示す構成の排水配管に適用されるサイフォン発生部の第1の例を示す断面図である。
図4図1に示す構成の排水配管に適用されるサイフォン発生部の第2の例を示す断面図である。
図5図1に示すベンド継手を備えた排水配管を建物に適用した場合に構成される排水配管システムの一例を示す図である。
図6図1に示す縦管の下端に接続されるベンド継手とEF継手の一例を示す側面図。
図7】本発明の第2実施形態に係るベンド継手を備えた排水配管の一例を示す部分断面図である。
図8】実施形態に係るベンド継手と従来の曲げ加工ベンドおよび従来の射出成形ベンドに関し収まりの関係を示す説明図。
図9】片側受け口EF継手を図2に示すベンド継手に接合した一例を示す断面図。
図10】ハウジング接合継手の一例を示す部分断面図。
図11】曲げ加工品からなる従来のベンド継手の一例を示す側面図である。
図12】射出成形品からなる従来のベンド継手の一例を示す側面図である。
図13】本発明の第1例に係るベンド継手を備えた排水配管の一例を示す部分側面図である。
図14】本発明の第2例に係るベンド継手を備えた排水配管の一例を示す部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1図3を参照し、本発明の一実施形態に係るベンド継手を備えた雨水排水装置の一例について以下に説明する。
本実施形態に係るベンド継手を備えた雨水排水装置は、例えば、ビルやマンションなどの建物の排水用に適用される。
図1に示す実施形態では、建物の屋上階の躯体を上下に貫通するように接続直管Sを設けてルーフドレン部RDが設けられ、この接続直管Sの上端部にサイフォン発生部2が接続されている。接続直管Sの上端部とサイフォン発生部2は図1の例では建物の屋上スラブの上面に設けられた凹部3に納まるように配置されている。
【0022】
接続直管Sの下方に電気融着受け口付き継手(以下、EF継手と呼称する。)4を介して第1直管1が接続され、その下端にベンド継手5を介して第2直管(横管)6が接合されている。更に、第2直管6には複数、例えば、2つのEF継手4と横管9を介して第2直管(横管)6が接続され、第2直管6には更にベンド継手7と第1直管1とEF継手4を介して縦管8が接続されている。EF継手4により接合された部分がEF接合部4Aとされている。
サイフォン発生部2の構造は図3あるいは図4などに示す構造を採用できるが、これらの構造については後に詳述する。
なお、ルーフドレン部RDは、建物のバルコニー床やベランダ等にも設けられるので、これらに設けられているルーフドレンに本形態を適用することもできる。
【0023】
図1に示す構造において、サイフォン発生部2と接続直管Sと複数のEF継手4と第1直管1とベンド継手5と第2直管6と横管9と、ベンド継手7と縦管8を備えて雨水排水装置10が構成されている。
この例の構造において、接続直管Sと第1直管1とベンド継手5と第2直管6と横管9とベンド継手7と縦管8は、いずれもオレフィン系樹脂から形成されている。
オレフィン系樹脂として、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)などを用いることができる。
【0024】
EF(エレクトロフュージョン)継手4は両側に受け口部を有する直管本体から構成され、直管本体内周部に電熱線が組み込まれ、直管本体外周部に前記電熱線通電用のケーブルコネクタ4aが設けられている。直管本体の一方の受け口に接続直管Sの一端が挿入され、他方の受け口に第1直管1の一端が挿入されている。直管本体は上述のオレフィン系樹脂からなる。
EF継手4においては、ケーブルコネクタ4a、4aを図示略の融着機に接続して通電し、電熱線を加熱することで直管本体の一方の受け口側に接続直管Sが融着され、他方の受け口側に第1直管1が融着されている。
【0025】
第1直管1は鉛直に配置され、第2直管6は水平に配置されているので、第1直管1と第2直管6を接続するベンド継手5は90°ベンドの1種であり、このベンド継手5は図2に示す断面構造を有する。
ベンド継手5は、第1直管1側に設けられている第1エルボ管11と第2直管6側に設けられている第2エルボ管12からなる。
第1エルボ管11において、第1直管1側に第1直管部13が形成され、第2エルボ管12において第2直管6側に第2直管部15が形成されている。第1エルボ管11と第2エルボ管12において両者が接合した部分に第3直管部16が形成されている。
第3直管部16において、第1エルボ管11側に第3直管部分割体17が形成され、第2エルボ管12側に第3直管部分割体18が形成されている。
第3直管部分割体17と第3直管部分割体18は互いの端部どうしを後述するバット接合することで直管状に一体化され、第3直管部分割体17と第3直管部分割体18とから第3直管部16が構成されている。
【0026】
第1エルボ管11において第1直管部13と第3直管部分割体17の間に第1折曲部20が形成され、第2エルボ管12において第2直管部15と第3直管部分割体18の間に第2折曲部21が形成されている。
以上説明のように、第1エルボ管11は第1直管部13と第1折曲部20と第3直管部分割体17からなり、第2エルボ管12は第2直管部15と第2折曲部21と第3直管部分割体18からなる。更に、ベンド継手5において、第1折曲部20と第3直管部分割体17と第3直管部分割体18と第2折曲部21と第2直管部15とからベンド管部19が構成されている。
また、図2の例では、第1直管部13の中心軸線と前記第3直管部16の中心軸線の交差角度、及び、前記第2直管部15の中心軸線と前記第3直管部16の中心軸線の交差角度が、いずれも45゜に設定されている。従って、第1エルボ管11と第2エルボ管12はいずれも45゜エルボの1種である。
【0027】
第1エルボ管11の第1直管部13において、第1直管1側には第1直管1と同等の外径と肉厚を有する薄肉部13aが形成され、第1直管部13において第1折曲部20側には厚肉部13bが形成されている。第1折曲部20の肉厚は第1直管部13の厚肉部13bよりも若干厚肉に形成されている。第3直管部分割体17の肉厚は第1直管部13の厚肉部13bと同等厚さに形成されている。
第1折曲部20の外周部20aの内面側には第1直管部13の内周面と第3直管部分割体17の内周面になだらかに連続する内曲面20bが形成されている。第1折曲部20の内周部20cの内面側には第1直管部13の内面を延長した内周部20dと、第3直管部分割体17の内面を延長した内周部20eが形成され、内周部20dと内周部20eの交差部分に角部20fが形成されている。
【0028】
第2エルボ管12は第1エルボ管11と同等の形状を有する。
第2エルボ管12の第2直管部15において、第2直管6側には第2直管6と同等の外径と肉厚を有する薄肉部15aが形成され、第2直管部15において第1折曲部20側には厚肉部15bが形成されている。第2折曲部21の肉厚は第2直管部15の厚肉部15bよりも若干厚肉に形成されている。第3直管部分割体18の肉厚は第2直管部15の厚肉部15bと同等厚さに形成されている。
【0029】
第2折曲部21の外周部21aの内面側には第2直管部15の内周面と第3直管部分割体18の内周面になだらかに連続する内曲面21bが形成されている。第2折曲部21の内周部21cの内面側には第2直管部15の内面を延長した内周部21dと、第3直管部分割体18の内面を延長した内周部21eが形成され、内周部21dと内周部21eの交差部分に角部21fが形成されている。
【0030】
第1エルボ管11は第1直管部13の薄肉部13aを第1直管1の下端部に同軸になるように突き合わせてバット接合することで第1直管1の下端に一体化されている。第2エルボ管12は第2直管部15の薄肉部15aを第2直管6の端部に同軸になるように突き合わせてバット接合することで第2直管6の端部に一体化されている。
このため、第1直管1と第1エルボ管11との接合部分にはバット接合に起因するビードからなる凹凸部25aを外周部に備えた融着部(バット接合部)25が形成され、第2直管6と第2エルボ管12との接合部分にもバット接合に起因するビードからなる凹凸部26aを外周部に備えた融着部(バット接合部)26が形成されている。
【0031】
第1エルボ管11と第2エルボ管12は、第3直管部分割体17と第3直管部分割体18を同軸になるように突き合わせてバット接合することで一体化されている。
このため、第3直管部分割体17と第3直管部分割体18の接合部分にはバット接合に起因するビードからなる凹凸部27aを外周部に備えた融着部(バット接合部)27が形成され、第3直管部分割体17と第3直管部分割体18を一体化することで第3直管部16が形成されている。
なお、前記バット接合とは、接合するべき樹脂製の管体同士の端部を同軸になるように突き合わせ、突き合わせた管体の端部どうしをヒーター等により加熱溶融し、端部どうしを圧着しながら冷却することで融着する接合方法である。
なお、バット接合に起因する凹凸部は適宜切削手段により削り取って接合部の外周面を滑らかに仕上げても良い。
【0032】
以上説明したベンド継手5は、図1に示すように第1直管1と第2直管6を接続しているが、縦管8と接続する部分にはベンド継手7が設けられている。
ベンド継手7は、ベンド継手5と同等構造であり、ベンド継手5とは取付方向が異なるのみで、その他の構成はベンド継手5と同じである。
ベンド継手7の設置側において、横管9にEF継手4を介し第2直管6が接合され、縦管8の上端にEF継手4を介し第1直管1が接合され、これら第2直管6と第1直管1の間にベンド継手7が設けられている。
【0033】
次に、第1直管1の上端部に設けられるサイフォン発生部について説明する。
サイフォン発生部2は、一例として、図3に示すように、第1直管1の上端側に設けられている集水口31の開口を覆うように集水口31の上方に配置された蓋部材であることが好ましい。集水口31は、例えば建物の屋上階の躯体上に開口されており、集水口31には第1直管1の上端部が接続されている。
【0034】
上述の蓋部材としては、例えば、図3に示すサイフォンドレン部材32や図4に示すサイフォンドレン部材33が挙げられる。
図3に示すように、サイフォンドレン部材32は、蓋状に形成された網体35と、落し口36を有して第1直管1の受け口1Aに嵌合される装着筒37と、網体35と装着筒37とを接続し、上面視で落し口36に重ならない位置で周方向に間隔をあけて配置された複数の縦リブ38と、網体35と装着筒37との接続部分から径方向外側に拡径するフランジ39と、を備えている。網体35は、集水口31にゴミ等が流入しないようにするためのゴミ除けである。装着筒37の外径は、集水口31に嵌入可能な径に設定されている。装着筒37の外周面には雄ねじが形成されている。
【0035】
サイフォンドレン部材32に組み合わされる例において、第1直管1の受け口1Aには、受け口1Aの上端から径方向外側に拡径するフランジ40と、受け口1Aの上端から受け口1Aの軸線J2に沿って所定の高さ下降した(即ち、所定の距離で図3に図示略の曲管部側に進んだ)位置で内壁面から径方向内側に突出するリブ41が設けられている。
リブ41が設けられているのは、受け口1Aの内径が縮小されることで、ベンチュリ効果と類似した効果が発揮され、満流状態が発生し易くなり、サイフォン現象が発生するからである。軸線J2に沿う方向において、受け口1Aの上端からリブ41までの受け口1Aの内壁面には、サイフォンドレン部材32の装着筒37に対して螺合可能となるように雌ねじが形成されている。
【0036】
サイフォンドレン部材32は、装着筒37の雄ねじを受け口1Aの雌ねじに螺合させつつ、フランジ39、40同士の間に集水口31周囲の支持板42を挟み込むようにして装着されると共に、受け口1Aに接続されている。
【0037】
サイフォンドレン部材33は、図4に示すように、板状に形成された蓋45と、落し口46を構成し、上面視で落し口46に重ならない位置で蓋45の外周に沿って間隔をあけて配置され、かつ蓋45の底面から下方に延びて蓋45を支持する複数の縦リブ47と、蓋45の底面から垂下すると共に径方向に沿って上面視で放射状に形成されたガイド部48と、蓋45の外周に沿って間隔をあけて配置され、かつ蓋45の上面から上方に突出するように設けられた位置決めリブ49と、を備えている。
【0038】
ガイド部48の下端は、側面視で蓋45の径方向中心から外側に進むに従って漸次、蓋45に近づくように形成され、テーパー状又はベルマウス形状をなしている。このような蓋45によって、第1直管1への空気の巻き込みが少なくなるため、満流状態が発生し易くなり、サイフォン現象を発生できる。
【0039】
サイフォンドレン部材33は、連結部材50を介して第1直管1の受け口1Aに接続されている。連結部材50は、受け口1Aに内嵌可能な筒状部51と、筒状部51の上端から拡径するフランジ52と、を備えている。連結部材50は、筒状部51が集水口31に挿通すると共に、フランジ52の底面が集水口31の周囲の支持板42に載置され、係止されている。
【0040】
サイフォンドレン部材33の複数の縦リブ47の底面は、連結部材50のフランジ52の上面に合った形状に加工されている。複数の縦リブ47とフランジ52、及び筒状部51と受け口1Aは、それぞれ、接着剤等によって接着されていてもよく、融着されていてもよい。また、図3に示すサイフォンドレン部材32を用いた上述の構成例と同様に、筒状部51の外周面に雄ねじが形成され、受け口1Aの内周面に雌ねじが形成され、筒状部51と受け口1Aが螺合されていてもよい。
【0041】
図3または図4に記載の構成によれば、サイフォン発生部2がサイフォンドレン部材32、33に例示される構成であり、集水口31に第1直管1の受け口1Aが接続されているので、集水口31に集められた雨水を支持板42と網体35や蓋45との間、かつ複数の縦リブ38、47の間から落し口36、46に導き、第1直管1に満水状態で流入させ、サイフォン現象を良好に発生させることができる。
【0042】
第1直管1に満水状態で流入された雨水は、ベンド継手5の内部を流れて第2直管6に至る。本形態のベンド継手5は、基本的に45゜ベンドである第1エルボ管11と第2エルボ管12からなるため、第1直管1からベンド継手5に至る部分において排水の流れが急な角度で変更される部分が無く、円滑に流れるため、満水状態を維持したまま排水を第2直管6側に流すことができる。
【0043】
本形態のベンド継手5にあっては、第1直管1に対し第1エルボ管11の第1直管部13をバット接合しているため、融着部25にビードに起因する多少の凹凸部を有する。しかし、この凹凸部は第1直管部13に存在しているため、排水の流れに対する影響は少なく、サイフォン現象の発現に必要な満水状態に悪影響を及ぼすおそれはない。また、融着部27を第3直管部16に設け、融着部26を第2直管部15に設け、いずれも直管部に設けているので、これらの融着部に存在する凹凸部が満水状態に悪影響を及ぼすおそれはない。このため、ベンド継手5を流れる排水は満水状態を維持したまま、第2直管6に到達する。
【0044】
第2直管6を満水状態で通過した排水は次にベンド継手7に至るが、ベンド継手7もベンド継手5と同等構造であるので、ベンド継手7を流れる排水は満水状態を維持したまま、縦管8に到達する。
このように、本形態の雨水排水装置10は、サイフォン発生部2で発生させた満水状態を維持したまま排水を第1直管1、ベンド継手5、第2直管(横管)6、ベンド継手7、縦管8の順に送水できるので、サイフォン現象を利用した効率の良い排水ができる。
【0045】
また、第1直管1、ベンド継手5、第2直管6、ベンド継手7、縦管8を全てオレフィン系樹脂製とするならば、塩ビ管等に比べて振動や衝撃に強いため、地震などの震動を受けた場合であっても損傷し難い雨水排水装置10を提供できる。
オレフィン系樹脂管は硬質塩化ビニル管に比べてJIS K 6815-1、JIS K 6815-3に従って測定される引張破断伸びが高い。硬質塩化ビニル管の引張破断伸びが50~150%であるのに対して、オレフィン系樹脂管の引張破断伸びは350%以上である。特に、ISO/TR9080に規定する外挿方法でPE100の高密度ポリエチレン管を用いた場合に引張破断伸びは500%以上となるため、地震による振動により損傷し難いものとすることができる。
【0046】
特に、雨水用の排水配管であるならば、大雨などの場合に効率的な排水ができると同時に、地震などの震動を受けた場合であっても損傷し難いことが重要であり、安全性の高い雨水排水装置10を提供できる。マンションやビル等の建物においては、地震があっても雨水排水を止めることはできないため、地震に強い雨水排水装置10を提供できることは特に効果が大きい。
【0047】
本形態のベンド継手5、7は、第1エルボ管11と第2エルボ管12をバット接合して構成されるが、第1エルボ管11と第2エルボ管12は個々に射出成形により製造することができる。このため、第1エルボ管11と第2エルボ管12は形状の設計自由度が高く、製造が容易である。また、本形態の如く第1エルボ管11と第2エルボ管12を組み合わせた場合であっても、曲げ加工に伴う制約の大きい従来の曲げベンドに比較すると収まりに優れている。
【0048】
また、ベンド継手5において排水の流れが速い外周側に、なだらかな曲面を有する内曲面20b、21bを設けているので、満水状態を維持したままスムーズに排水を流すことができる。一方、ベンド継手5の内周側には角部20f、21fを有するが、角部20f、21fを通過する場合の排水の曲り角度が45゜であり、小さいため、ベンド継手5の内周側においても満水状態を維持したままスムーズに排水を流すことができる。
【0049】
「排水配管システム」
図5はマンションやビル等の建物60の屋上に設けられている複数のルーフドレン部RDに対し図1に示す雨水排水装置10を適用した排水配管システム10Sの一形態を示す。
図5に示す建物60は、3階建てのビルであり、1階と2階との間、2階と3階との間にそれぞれスラブ61が設けられ、側壁62、63、64、65によって外壁が構成された概略構造の建物である。
図示を略した屋上階のスラブのコーナー部分に沿って3つずつ、合計6つのルーフドレン部RDが所定の間隔で設置されている。
【0050】
各ルーフドレン部RDにおいて、第1直管1が設けられ、第1直管1の下端にベンド継手5を介し第2直管6が接続され、第2直管6が個々に集水管66に接続されている。
集水管66は建物60において2本設けられ、一方の集水管66が建物60の手前側の側壁62に沿って延在され、他方の集水管66が対向する奥側の側壁64に沿って延在されている。
【0051】
図5に示すように、集水管66は手前側の側壁62と奥側の側壁64に隣接する他の側壁63の近傍まで延在され、他の側壁63に沿って鉛直に立設された縦管67に接続されている。集水管66と縦管67の接続部に図1に示す構造のベンド継手7が適用されている。
縦管67の下端は側壁63の底部側にまで延在され排水横主管68に接続され、縦管67の下端と排水横主管68の接続部に図1に示す構造のベンド継手5が適用されている。 なお、図1で例示した構造と同様に、ベンド継手5の上流側の直管と下流側の直管の接合部分にはそれぞれEF継手が設けられ、ベンド継手7の上流側の直管と下流側の直管の接合部分にもそれぞれEF継手が設けられているが、図5ではこれらEF継手の記載は略している。
【0052】
図5に示す建物60に適用された排水配管システム10Sにおいては、1本の集水管66に3本の第1直管1を接続し、3つのサイフォン発生部2から3本の第1直管1に満水状態で雨水を流すことができる。
また、集水管66を縦管67に接続した部分にベンド継手7を適用し、縦管67を排水横主管68に接続した部分にベンド継手5を適用している。このため、集水管66を満水状態で流れた雨水は縦管67と排水横主管68においても満水状態を維持しながら排水される。
【0053】
従って、建物60においてルーフドレン部RDから第1直管1、ベンド継手5、第2直管6、集水管66、ベンド継手7、縦管67、ベンド継手5、排水横主管68と繋がる排水経路において全て満水状態のまま排水できるので、効率良く排水ができる。このため、大雨などの場合に大量の雨水が建物60に降り注いだとしても、前述の排水経路を利用して効率の良い排水ができる。
【0054】
また、ルーフドレン部RDから第1直管1を介し、排水横主管68に至るまでの排水経路にサイフォン現象を利用して満水状態で雨水を流すことができるため、1本の集水管66と1本の縦管67に流すことができる水の流量を大きく設定できる。このため、従来、1つのルーフドレン部RDに対し1本の集水管と1本の縦管を接続していた構造に比べ、建物60に設ける集水管66の本数と縦管67の本数を削減できる効果がある。
例えば、図5に示す建物60において、6つのルーフドレン部RDが設けられているので、従来構造では6本の集水管と6本の縦管が必要であったが、本形態の構造を採用することにより、2本の集水管66と2本の縦管67を設けることで対応できる。このため、4本の集水管と4本の縦管を省略できることとなる。
【0055】
図5に示す排水配管システム10Sについて、建物60の屋上部分は夏期などの高温時期の日中に高温に加熱され、夜間には冷却される。このため、第1直管1と第2直管6と集水管66には熱収縮に伴う相当の応力が負荷される。
この点、ベンド継手5、7では、第1直管1との融着部25、第2直管6との融着部26、第3直管部分割体17、18の融着部27をいずれも直管部分に設けているため、上述の熱収縮に起因する応力が作用したとして継手の曲がった部分に融着部を設けた構造よりもこれら融着部が損傷し難い特徴を有する。よって、ベンド継手5、7は、繰り返し熱応力を受ける建物の屋上階の配管に適用したとして、耐久性に優れる特徴を有する。
【0056】
図6は縦管67の下端部において排水横主管68に接続する部分にベンド継手5と第2直管6を設けるとともに、第2直管6にEF継手4と拡径継手69を介して排水横主管68を接続した構造の一例を示す。
ベンド継手5に第2直管6を接続した上で第2直管6にEF継手4と直管58と拡径継手69を介し他の配管、例えば、排水横主管68を接続することができる。
【0057】
EF継手4は、先に説明した通り接合する管同士に被着できる直管本体を有し、発熱により直管を融着した継手である。
以上説明したように、本形態のベンド継手5、7は必要に応じてEF継手4など、他の継手と併用して配管を接続しても良い。
オレフィン系樹脂からなる配管や継手は接着などができないため、EF継手を用いて接合することができる。本形態のベンド継手5、7ではバット接合により直管に融着接合したが、第2直管6に対する他の直管の接合は必要に応じてEF継手など一般的な他の構造の継手を適用することができる。
【0058】
図7は、本発明に係るベンド継手の第2実施形態を示すもので、この第2実施形態のベンド継手70も、基本構造は図2に示したベンド継手5と同等の構造を採用しているが、接続する第1直管71と第2直管76の内径および外径が図2に示す第1直管1と第2直管6の内径および外径よりも小さい場合の適用例を示す。
ベンド継手70が第1エルボ管11と第2エルボ管12から構成され、第1エルボ管11が第1直管部13と第1折曲部20と第3直管部分割体17から構成されている点、第2エルボ管12が第2直管部15と第2折曲部21と第3直管部分割体18から構成されている点は同等である。第1エルボ管11が第1直管71にバット接合され、第2エルボ管12が第2直管76にバット接合され、第1エルボ管11の第3直管部分割体17と第2エルボ管12の第3直管部分割体18がバット接合されている点も同等である。
その他、同等部分の構造においては同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
図7の構造では第1直管部13の長さと第3直管部分割体17、18の長さと第2直管部15の長さがいずれも、図1の構造よりも長く形成されている。
この構造により、第1直管71と第2直管76の内径および外径が小さくなった場合であっても、ベンド継手70で対応することができる。
第1直管71と第2直管76の内径および外径が小さくなった場合、第1直管部13の長さと第3直管部分割体17、18の長さと第2直管部15の長さを図2に示す長さと同等長さに設定すると、ベンド継手内の短い距離で排水の流れが急角度で方向を変えることとなる。
【0060】
第1直管71と第2直管76の内径および外径が小さくなった場合、特に第3直管部分割体17、18の長さを図1に示す構造よりも長く設定することで、水の流れを45°変更する位置を第3直管部分割体17、18の長さ分だけ離間することができる。これにより、よりスムーズな流れを生み出してベンド継手70における満水状態を維持したまま排水を流すことができる。
このため、図7の構造のように径の小さな第1直管71と第2直管76の接続であっても、ベンド継手70を用いることでサイフォン現象の阻害とならないような排水の流れにすることができる。
なお、これまで説明した実施形態では、第1直管1と第2直管6を交差角度90°で接合した構造に適用したが、第1直管1と第2直管6を90°以下の他の交差角度とした場合に適合できるのは勿論である。
また、第1直管部13の軸線と第3直管部16の軸線の交差角度と、第2直管部15の軸線と第3直管部16の軸線の交差角度が、いずれも同じ角度である必要は無く、異なる角度であっても良い。
【0061】
図8は、図11に示す形状の従来の曲げ加工ベンド100と、図2に示す実施形態のベンド継手5と、従来のEF継手180を対比し、それぞれの収まり寸法の関係を示す。
これらのベンドはいずれも90°ベンドであるので、各ベンドまたは継手を水平に配置して平面視した場合、それらの内側に90°で交差する仮想線A、Bによるコーナー部Cを策定し、コーナー部Cを各ベンドの長さ方向中央部内側に当接させ、各継手の両端側を仮想線A、Bに沿わせて平行に設置した場合の収まり寸法を比較した。
ここでの収まり寸法とは、仮想線Aの一部から仮想線に対し直角方向に離間する各継手の最大寸法(mm)を測定した結果である。
【0062】
曲げ加工ベンド100は直管状のパイプを加熱して軟化させ、型にはめて製作するベンドであるから、基本的に円弧状のベンドである。よって曲げ加工ベンド100はその内周側中央部をコーナー部Cに接するように配置した場合の収まりと仮定する。
EF継手180は接続するべき配管を取り囲む大きさの筒状部185を2つ接続した形状を有し、内部に加熱用の電熱線を備えることから、筒状部185の肉厚は電熱線を含むことにより相当に大きくなる。この比較の場合、45°エルボタイプのEF継手(EF継手を2個繋げたタイプ)の内側中央部をコーナー部Cに接するように配置した場合の収まりと仮定する。
【0063】
接続するべき配管の内径が50mm、65mm、75mm、100mm、125mm、150mmの場合に、対応する大きさの曲げ加工ベンド、本形態のベンド継手、45°EF継手(積水化学工業株式会社製「EF45°エルボ」、内径50:KE4L50、内径75:HE4L75、内径100:HE4L1H)において、それぞれの収まり寸法Mを測定した。それらの結果を以下の表1に纏めて記載する。
【0064】
【表1】
【0065】
本形態のベンド継手とEF継手(2個使用)と90度曲げ加工ベンドについて、対比した結果、本形態のベンド継手が最も良好な収まりを示すことを確認できた。
【0066】
ところで、これまでの説明においては、建物の屋上階に設けられるルーフドレン部RDに本実施形態を適用した例について説明したが、ルーフドレンは、バルコニー床やベランダ床、テラス床などにも設置されるので、バルコニー床やベランダ床、テラス床などに設置したルーフドレン部に対し本形態を適用しても良い。
また、ベンド継手5、7は、縦管と横管の接続部分に限らず、横管同士の接続部分で90°曲りを生じる部分に適用しても良いのは勿論である。
【0067】
図9は、図2に示す第1直管1と第2直管6を有するベンド継手5に対し、EF受け口付きパイプ80をベンド接合した構造の一例を示す。
第1直管1の先端部にバット接合部82を介しEF受け口付きパイプ80がベンド接合され、第2直管6の先端部にバット接合部83を介しEF受け口付きパイプ80がベンド接合されている。
【0068】
EF受け口付きパイプ80は、第1直管1あるいは第2直管6の先端部にバット接合された首部85と、首部85の先端側に延在された拡径部86を有し、拡径部86の内周側に螺旋状に配した電熱線87が内設されている。拡径部86の内周には他の配管の端部を挿入するための受け口部88が形成されている。拡径部86の外周面には先に説明したEF継手4に設けられているケーブルコネクタ4aと同等構造のケーブルコネクタ80aが形成されている。
EF受け口付きパイプ80において、首部85、拡径部86はいずれも前述のオレフィン系樹脂からなる。
【0069】
EF受け口付きパイプ80においては、ケーブルコネクタ80a、80aを図示略の融着機に接続して通電し、電熱線87を加熱することで受け口部88に挿入した配管を融着接続することができる。
EF受け口付きパイプ80の拡径部86に直管が挿入されて融着された部分がEF接合部とされる。
【0070】
図10は、先に説明した各形態のベンド継手5、7、第1直管1、第2直管6およびEF継手4と組み合わせて用いることができるハウジング接合継手の一例を示す。
図10において、接続するべき第1主管91と第2主管92において、第1主管91の端部に受け口管93の一部が挿入され、第2主管92の端部に受け口管95の一部が挿入されている。受け口管93において第1主管91の先端から突出された先端部分に拡径部93aが形成され、受け口管95において第2主管92の先端から突出された先端部分に拡径部95aが形成されている。
【0071】
図10に示すように、第1主管91の右側端部と第2主管92の左側端部を向き合わせて主管どうしを一直線状に配置することで拡径部93aと拡径部95aが向き合わされ、これら拡径部93a、95aを覆うようにこれらに巻回された弾性体からなるリング部材96が配置されている。
そして、リング部材96の外周を覆うように半割リング部材を組み合わせたハウジング部材97が設けられ、半割リング部材どうしを締め付けるためのボルト98とナット99が設けられている。なお、半割リングのそれぞれの一端にフランジ部94が突出形成されており、これらを貫通するようにボルト98が設置され、このボルト98にナット99が螺合されている。
ボルト98にナット99を螺合して半割リング部材のフランジ部94どうしを締め付けることでリング部材96を介し拡径部93a、95aが緊結され、ハウジング接合部HGが形成されている。
【0072】
図10に示す接続構造において、第1主管91の左側端部にはバット接合部110を介し直管111が接合され、第2主管92の右側端部にはバット接合部112を介して直管113が接合されている。
【0073】
図10に示す構造を採用することで、第1主管91と第2主管92がいずれもオレフィン系樹脂からなる管体であっても支障なく両者を接合することができる。
オレフィン系樹脂からなる管体どうしは接着で接合することが困難であるから、上述した実施形態のようにEF接合するかバット接合することができる。
これらに対し図10に示す構造は、図1図6に示す配管構造において、バット接合部の代用として、あるいは、EF接合部の代用として用いることができる。あるいは、これらの形態に複数設けられているEF接合部あるいはバット接合部の一部を図10の構造に置き換えても良い。
図10に示す接続構造を採用することでボルトナットの締め付け作業によりオレフィン系樹脂からなる第1主管91と第2主管92の接続ができる。
【0074】
図6に示すように、ベンド継手5をスラブ61の下方に設けることも可能である。ただし、スラブ61の下方だけでなく、例えば側壁62~65などの壁の前後に設けることも可能である。
またこのように、スラブ61の下方や壁の前後に設ける場合、例えば図13および図14に示すような形態を好適に採用することができる。なお図13および図14に示す形態では、ベンド継手5が縦管67と排水横主管68とを接続しているが、ベンド継手5が接続する対象はこれらに限られない。
図13に示す第1例では、縦管67がスラブ61を貫通していて、縦管67の下端がスラブ61の下方に位置している。縦管67の下端と第1直管1とが、スラブ61の下方でEF継手4を介して接合されている。第2直管6と排水横主管68とは、EF継手4を介して接合されている。第2直管6は、振れ止め支持部120によって支持されている。振れ止め支持部120は、例えば、型鋼によって形成される。振れ止め支持部120は、スラブ61の下面に固定されている。振れ止め支持部120は、スラブ61から下方に延びている。なお第1例では、第1直管1と第2直管6とが、互いに同等の長さとなっている。
一方、図14に示す第2例では、第1例と類似している点が多いが、縦管67の下端の位置が異なる。第2例では、縦管67の下端がスラブ61の上方に位置している。第1直管1がスラブ61を貫通している。第1直管1の上端が、スラブ61の上方に位置している。なお第2例では、第1直管1が第2直管6よりも長い。第1直管1にスラブ61を貫通させることが予め想定される場合、第1直管1の長さは、対象とするスラブ61よりも長いことが好ましい。スラブ61の厚さは、一般的に100~200mmであり、第1直管1の長さは200mm以上、好ましくは250mm以上である。
第2例では、第1例に比べて、スラブ61下で縦管67と第1直管1とを接合しない分、収まり寸法Mが小さくて済む。なお第2例のように、第1直管1がスラブ61を貫通する場合、第1直管1のうち、スラブ61内に配置される部分には、熱膨張性の耐火シートを巻くことが好ましい。このような耐火シートは、商品としての流通段階で巻いていてもよく、施工現場で巻いてもよい。
また第2例のように、第1直管1がスラブ61内に配置される場合であっても、融着部25はスラブ61外に配置されることが好ましい。
ここで第2例では、第1直管1がスラブ61内に配置されているが、第2直管6がスラブ61内に配置されてもよい。この場合、第2直管6が第1直管1より長くてもよく、耐火シートは第2直管6に巻かれることが好ましい。さらに第1直管1や第2直管6が、スラブ61に代えて壁を貫通してもよい。
【符号の説明】
【0075】
RD…ルーフドレン部、
10S…排水配管システム、
1…第1直管、
2…サイフォン発生部、
4…EF継手、
4A…EF接合部、
5…ベンド継手、
6…第2直管、
10…雨水排水装置、
13…第1直管部、
15…第2直管部、
16…第3直管部、
17、18…第3直管部分割体、
19…ベンド管部、
20…第1折曲部、
21…第2折曲部、
25、26、27…融着部(バット接合部)、
32、33…サイフォンドレン部材、
66…集水管、67…縦管、68…排水横主管、
69…拡径継手、70…ベンド継手、
HG…ハウジング接合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14