(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040267
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】塗布具
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20240315BHJP
A45D 29/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A45D34/04 530
A45D29/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016233
(22)【出願日】2024-02-06
(62)【分割の表示】P 2020185468の分割
【原出願日】2020-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】520067600
【氏名又は名称】Wit株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154276
【弁理士】
【氏名又は名称】乾 利之
(72)【発明者】
【氏名】武田 綾子
(72)【発明者】
【氏名】野尻 英行
(57)【要約】
【課題】本発明は、塗布部と非塗布部との間に形成された爪先部が挿入可能なスリット部を有し、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布可能な塗布具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の塗布具は、塗布液を含侵可能または塗布液が含侵した塗布部と、 塗布部に当接または所定距離だけ離間して対向配置され塗布液を含侵または透過させない非塗布部と、塗布部と非塗布部との間に配置され爪先部が挿入可能であって内側面で爪先部を挟むスリット部と、スリット部の内側面を構成するように配置される塗布部の外側面であって挿入された爪先部の表面に面当接して塗布液を塗布可能な塗布面と、スリット部に爪先部が挿入された状態において指先が当接する領域に配置される面状の指ガイド部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向にのびる塗布部材と、前記塗布部材を前記第1方向における一端側の一部を所定長さだけ突出させた状態で収容する外筒部と、を有する塗布具であって、
前記塗布部材は、
塗布液を含侵可能または塗布液を含侵させた塗布部と、
前記塗布部に当接または所定距離だけ離間して対向配置され、塗布液を含侵または透過させない非塗布部と、
前記塗布部と前記非塗布部との間に配置され、爪先部が挿入可能であると共に、挿入された爪先部を内側面により挟むスリット部と、
前記スリット部の内側面を構成するように配置される前記塗布部の外側面であって、挿入された爪先部の表面に面当接して前記塗布液を塗布可能な塗布面と、
前記非塗布部の外側面における前記スリット部に爪先部が挿入された状態において指先が当接する領域に配置される面状の指ガイド部と、を有し、
前記スリット部における開口部は、前記塗布部材における前記外筒部から突出した部分における前記第1方向の端部に形成され、
前記指ガイド部は、前記外筒部から突出した部分の前記端部を構成する前記非塗布部の端面に形成される
塗布具。
【請求項2】
前記非塗布部における前記端面は、平面状であり、
前記指ガイド部は、平面状である
請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記外筒部から突出した部分の前記端部を構成する前記塗布部の端面は、前記非塗布部における前記端面と同一面上または平行に配置される
請求項1または2に記載の塗布具。
【請求項4】
前記スリット部は、挿入された爪先部の大きさ、形状および移動に対応して幅が変化するよう変形可能に構成される
請求項1から3のいずれかに記載の塗布具。
【請求項5】
前記塗布部は、
前記スリット部に爪先部が挿入された状態において、該塗布具と爪先部とが相対移動されると、爪先部の表面に押圧されて変形し、前記塗布面が爪先部の表面に面当接した状態を維持する
請求項1から4のいずれかに記載の塗布具。
【請求項6】
前記塗布部は、前記非塗布部よりも柔軟性が高い
請求項1から5のいずれかに記載の塗布具。
【請求項7】
前記スリット部に爪先部が挿入された状態において、該塗布具を爪先部の外縁に沿って移動させた場合、
前記スリット部は、挿入された爪先部を内側面により挟んで該塗布具のブレを抑制し、
前記指ガイド部は、指先に当接した状態で摺動移動して該塗布具の移動をガイドする
請求項1から6のいずれかに記載の塗布具。
【請求項8】
前記スリット部は、
挿入された爪先部と該塗布具との相対移動をガイド可能である
請求項1から7のいずれかにに記載の塗布具。
【請求項9】
前記スリット部における前記塗布部側の内側面である前記塗布面は、凹状の曲面であり、
前記スリット部における前記非塗布部側の内側面は、凸状の曲面であり、
前記スリット部における開口部は、前記凹状の曲面と前記凸状の曲面とにより画定された曲線状である
請求項1から8のいずれかに記載の塗布具。
【請求項10】
前記非塗布部は、前記外筒部に連結または固定されている
請求項1から9のいずれかに記載の塗布具。
【請求項11】
塗布液を収容する収容部と、
前記収容部に収容された前記塗布液を前記塗布部に供給可能な供給部と、を有する
請求項1から10のいずれかに記載の塗布具。
【請求項12】
前記非塗布部は、外部からの押圧操作により前記供給部側に移動可能に構成され、
前記供給部は、押圧受付部と、前記押圧受付部に連結され一体的に移動する蓋部と、前記収容部の通液孔からの塗布液を吸収すると共に前記塗布部に塗布液を供給可能な吸液部と、を有し、
前記押圧受付部は、
前記非塗布部と前記収容部との間に配置され、押圧操作を受けて移動する前記非塗布部により押圧され前記収容部側へ移動可能に構成され、
前記蓋部は、
前記押圧受付部と一体的に移動して、前記通液孔を塞ぐ閉位置から前記通液孔を塞がない開位置に移動可能に構成され、
前記吸液部は、
前記蓋部が前記開位置に位置した場合、前記通液孔からの塗布液を吸収すると共に前記塗布部に塗布液を供給可能となるよう構成される
請求項11に記載の塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具に関する。詳細には、本発明は、爪先部に塗布液を塗布する塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、爪先部に所定幅でマニキュア(塗布液)を塗布するフレンチネイルにおいて、一定の幅でマニュキュアを塗布することは困難であった。特に、自分自身で爪先部に一定の幅でマニュキュアをきれいに塗布することは困難であり、更には、利き手ではない手で爪先部に一定の幅でマニュキュアをきれいに塗布することは非常に困難であった。
【0003】
例えば、ブラシを使用してマニュキュアを爪先部に塗布する場合、塗布ラインが歪んだり、塗布ラインの外縁からマニュキュアがはみだしたりして、一定の幅でマニュキュアをきれいに塗布することは困難であった。特に、ブラシでの塗布には微妙な動きが必要なため、利き手ではない手で爪先部に一定の幅でマニュキュアをきれいに塗布することは非常に困難であった。
【0004】
また、例えば、マスキングテープを使用する場合、爪にマスキングテープを貼り、マニキュアを塗布した後、マスキングテープを剥がすことで爪先部に一定の幅でマニュキュアを塗布可能であるが、作業が煩雑であり手間がかかること、マスキングテープをはがす際に塗布済のマニュキュアが剥がれてしまう等の問題があった。
【0005】
これに対し、例えば、液体を吸収保持する多孔質体等からなる塗布主体に、爪先を誘導するネイルガイド部と、このネイルガイドに連設され表面を塗布用に平面としたネイル塗布部を有するネイルアート用塗布具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された技術は、爪先をネイルガイド部に当接させてマニュキュアを塗布するので、マニュキュアのラインの形状は爪先の外縁形状に影響されるという問題があった。
【0008】
また、爪先をネイルガイド部に当接させてマニュキュアを塗布するので、マニュキュアの幅を調整することができず、マニュキュアの幅が爪先部より狭い幅になってしまったり、爪先部よりも広い幅になってしまったりするという問題があった。
【0009】
また、フレンチネイルにおいて、爪先部の表面だけでなく、裏面にもネイルを塗布する場合があり、この場合にも好適に使用できる塗布具が求められている。
【0010】
本発明は、塗布部と非塗布部との間に形成された爪先部が挿入可能なスリット部を有し、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布可能な塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、塗布液を含侵可能または塗布液を含侵させた塗布部と、前記塗布部に当接または所定距離だけ離間して対向配置され、塗布液を含侵または透過させない非塗布部と、前記塗布部と前記非塗布部との間に配置され、爪先部が挿入可能なスリット部と、前記スリット部の内側面を構成するように配置される前記塗布部の外側面であって、挿入された爪先部の表面に面当接して前記塗布液を塗布可能な塗布面と、を有する塗布具に関する。
【0012】
また、本発明の塗布具において、前記スリット部は、挿入された爪先部と該塗布具との相対移動をガイド可能であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の塗布具は、前記非塗布部の外側面における前記スリット部に爪先部が挿入された状態において指先が当接する領域に配置される指ガイド部と、を更に有することが好ましい。
【0014】
また、本発明の塗布具において、前記指ガイド部は、前記スリット部に爪先部が挿入された状態において、該塗布具を爪先部の外縁に沿って移動させた場合、指先に当接して該塗布具の移動をガイドすることが好ましい。
【0015】
また、本発明の塗布具において、前記塗布部および前記非塗布部は、第1方向にのびる略筒状であり、前記スリット部における開口部は、前記第1方向における端部に配置されることが好ましい。
【0016】
また、本発明の塗布具において、前記スリット部における開口部は、前記塗布部側に膨らむ曲線状であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の塗布具において、前記塗布部は、前記非塗布部よりも柔軟性が高いことが好ましい。
【0018】
また、本発明の塗布具において、前記塗布部は、前記スリット部に爪先部が挿入された状態において、該塗布具と爪先部とが相対移動されると、爪先部の表面に押圧されて変形し、前記塗布面が爪先部の表面に面当接した状態を維持することが好ましい。
【0019】
また、本発明の塗布具は、前記塗布部および非塗布部を一部が露出した状態で収容する外筒部と、を更に有し、前記スリット部の開口部は、前記外筒部から露出した部分に配置されていることが好ましい。
【0020】
また、本発明の塗布具において、前記非塗布部は、前記外筒部に連結または固定されていることが好ましい。
【0021】
また、本発明の塗布具は、塗布液を収容する収容部と、前記収容部に収容された前記塗布液を前記塗布部に供給可能な供給部と、を有することが好ましい。
【0022】
また、本発明の塗布具において、前記非塗布部は、外部からの操作を前記供給部に伝達可能に配置され、前記供給部は、前記非塗布部から伝達された操作に対応して、収容する塗布液を前記塗布部に供給可能に構成されることが好ましい。
【0023】
本発明は、第1方向にのびる塗布部材と、前記塗布部材を前記第1方向における一端側の一部を所定長さだけ突出させた状態で収容する外筒部と、を有する塗布具であって、前記塗布部材は、塗布液を含侵可能または塗布液を含侵させた塗布部と、前記塗布部に当接または所定距離だけ離間して対向配置され、塗布液を含侵または透過させない非塗布部と、前記塗布部と前記非塗布部との間に配置され、爪先部が挿入可能であると共に、挿入された爪先部を内側面により挟むスリット部と、前記スリット部の内側面を構成するように配置される前記塗布部の外側面であって、挿入された爪先部の表面に面当接して前記塗布液を塗布可能な塗布面と、前記非塗布部の外側面における前記スリット部に爪先部が挿入された状態において指先が当接する領域に配置される面状の指ガイド部と、を有し、前記スリット部における開口部は、前記塗布部材における前記外筒部から突出した部分における前記第1方向の端部に形成され、前記指ガイド部は、前記外筒部から突出した部分の前記端部を構成する前記非塗布部の端面に形成される塗布具に関する。
【0024】
また、本発明の塗布具において、前記非塗布部における前記端面は、平面状であり、前記指ガイド部は、平面状であることが好ましい。
【0025】
また、本発明の塗布具において、前記外筒部から突出した部分の前記端部を構成する前記塗布部の端面は、前記非塗布部における前記端面と同一面上または平行に配置されることが好ましい。
【0026】
また、本発明の塗布具において、前記スリット部は、挿入された爪先部の大きさ、形状および移動に対応して幅が変化するよう変形可能に構成されることが好ましい。
【0027】
また、本発明の塗布具において、前記塗布部は、前記スリット部に爪先部が挿入された状態において、該塗布具と爪先部とが相対移動されると、爪先部の表面に押圧されて変形し、前記塗布面が爪先部の表面に面当接した状態を維持することが好ましい。
【0028】
また、本発明の塗布具において、前記塗布部は、前記非塗布部よりも柔軟性が高いことが好ましい。
【0029】
また、本発明の塗布具において、前記スリット部に爪先部が挿入された状態において、該塗布具を爪先部の外縁に沿って移動させた場合、前記スリット部は、挿入された爪先部を内側面により挟んで該塗布具のブレを抑制し、前記指ガイド部は、指先に当接した状態で摺動移動して該塗布具の移動をガイドすることが好ましい。
【0030】
また、本発明の塗布具において、前記スリット部は、挿入された爪先部と該塗布具との相対移動をガイド可能であることが好ましい。
【0031】
また、本発明の塗布具において、前記スリット部における前記塗布部側の内側面である前記塗布面は、凹状の曲面であり、前記スリット部における前記非塗布部側の内側面は、凸状の曲面であり、前記スリット部における開口部は、前記凹状の曲面と前記凸状の曲面とにより画定された曲線状であることが好ましい。
【0032】
また、本発明の塗布具において、前記非塗布部は、前記外筒部に連結または固定されていることが好ましい。
【0033】
また、本発明の塗布具は、塗布液を収容する収容部と、前記収容部に収容された前記塗布液を前記塗布部に供給可能な供給部と、を有することが好ましい。
【0034】
また、本発明の塗布具において、前記非塗布部は、外部からの押圧操作により前記供給部側に移動可能に構成され、前記供給部は、押圧受付部と、前記押圧受付部に連結され一体的に移動する蓋部と、前記収容部の通液孔からの塗布液を吸収すると共に前記塗布部に塗布液を供給可能な吸液部と、を有し、前記押圧受付部は、前記非塗布部と前記収容部との間に配置され、押圧操作を受けて移動する前記非塗布部により押圧され前記収容部側へ移動可能に構成され、前記蓋部は、前記押圧受付部と一体的に移動して、前記通液孔を塞ぐ閉位置から前記通液孔を塞がない開位置に移動可能に構成され、前記吸液部は、前記蓋部が前記開位置に位置した場合、前記通液孔からの塗布液を吸収すると共に前記塗布部に塗布液を供給可能となるよう構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、塗布部と非塗布部との間に形成された爪先部が挿入可能なスリット部を有し、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布可能な塗布具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】実施形態の塗布具を説明する概略図であって、(a)塗布具の上面図、(b)塗布具の正面図である。
【
図2】実施形態の塗布具における使用態様を説明する図である。
【
図3】実施形態の塗布具を構成する塗布部材を説明する斜視図である。
【
図4】塗布部材のスリット部における開口部の形状を説明する上面図であって、(a)実施形態のスリット部における上面図、(b)から(g)変形例のスリット部における上面図である。
【
図5】塗布部材の構成およびスリット部の形状を説明する断面図であって、(a)実施形態のスリット部における断面図、(b)から(f)変形例のスリット部における断面図である。
【
図6】実施形態の塗布具における使用方法を説明する図である。
【
図7】異なる指の爪への使用態様を示す図であって、(a)使用前の態様、(b)人差し指の爪への使用態様、(c)小指の爪への使用態様を示す図である。
【
図8】実施形態の塗布具における使用方法および爪先部の塗布状態を説明する図である。
【
図9】塗布具の使用時における塗布部材の動作(変形)を説明する図であって、(a)使用開始前、(b)から(d)使用時、(e)使用後を説明する図である。
【
図10】変形例の塗布具における使用方法および爪先部の塗布状態を説明する図である。
【
図11】変形例の塗布具を説明する概略図であって、(a)塗布具の上面図、(b)塗布具の正面図である。
【
図12】塗布部の変形例を説明する概略図であって、(a)塗布部の上面図、(b)塗布具の側面図である。
【
図13】非塗布部の変形例を説明する概略図であって、(a)非塗布部の上面図、(b)非塗布部のL-L断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る塗布具について説明する。
図1から
図11により、本実施形態および変形例における塗布具について説明する。
図1は、実施形態の塗布具を説明する概略図であって、(a)塗布具の上面図、(b)塗布具の正面図である。
図2は、実施形態の塗布具における使用態様を説明する図である。
図3は、実施形態の塗布具を構成する塗布部材を説明する斜視図である。
図4は、塗布部材のスリット部における開口部の形状を説明する上面図であって、(a)実施形態のスリット部における上面図、(b)から(g)変形例のスリット部における上面図である。
図5は、塗布部材の構成およびスリット部の形状を説明する断面図であって、(a)実施形態のスリット部における断面図、(b)から(f)変形例のスリット部における断面図である。
図6は、実施形態の塗布具における使用方法を説明する図である。
図7は、異なる指の爪への使用態様を示す図であって、(a)使用前の態様、(b)人差し指の爪への使用態様、(c)小指の爪への使用態様を示す図である。
図8は、実施形態の塗布具における使用方法および爪先部の塗布状態を説明する図である。
図9は、塗布具の使用時における塗布部材の動作(変形)を説明する図であって、(a)使用開始前、(b)から(d)使用時、(e)使用後を説明する図である。
図10は、変形例の塗布具における使用方法および爪先部の塗布状態を説明する図である。
図11は、変形例の塗布具を説明する概略図であって、(a)塗布具の上面図、(b)塗布具の正面図である。
図12は、塗布部の変形例を説明する概略図であって、(a)塗布部の上面図、(b)塗布具の側面図である。
図13は、非塗布部の変形例を説明する概略図であって、(a)非塗布部の上面図、(b)非塗布部のL-L断面図である。
【0038】
まず、
図1から
図5により、実施形態における塗布具1について説明する。
図1から
図3に示すように、塗布具1は、塗布部材10と、塗布液110を収容する収容部120と、収容部120に収容された塗布液110を塗布部材10(塗布部11)に供給可能な供給部60と、塗布部材10、収容部120および供給部60を収容する外筒部100と、を有する。
【0039】
塗布具1は、指200の爪210における爪先部220の表面に所定幅のラインを形成するよう塗布液110を塗布する塗布具である。塗布具1は、塗布部材10におけるスリット部20(後述)に挿入された爪先部220の表面に所定幅のラインを形成するよう塗布液110を塗布可能に構成される。ここで、爪先部220は、爪210の先端部分であり、指200の指先201から延出した部分である。
【0040】
塗布具1は、非塗布部15の端面に形成され、塗布時において指先201が当接される指ガイド部15a(後述)を有する。塗布時において、指先201は、指ガイド部15aに当接すると共に摺動移動する。
【0041】
塗布具1において、塗布部材10(塗布部11)には、供給部60から塗布液110が供給される。詳細には、塗布部材10(塗布部11)には、供給部60を介して、収容部120に収容された塗布液110が供給される。
【0042】
続けて、
図1から
図3に示すように、塗布部材10は、塗布部11と、非塗布部15と、スリット部20と、塗布面22と、指ガイド部15aと、を有する。
塗布部材10は、塗布部11と非塗布部15とを所定間隔のスリット部20が形成されるよう当接または所定距離だけ離間して対向配置して形成される。
【0043】
また、塗布部材10は、本実施形態において、外筒部100(先端部101)に収容配置されている。塗布部材10は、スリット部20の開口部21(後述)が外筒部100から外部に露出するよう外筒部100に収容配置される。また、塗布部材10は、塗布部11および非塗布部15を一部が先端部101から突出した状態で外筒部100に収容配置される。塗布部材10(塗布部11)は、例えば、外筒部100から0~20mm突出して収容配置される(例えば、
図12参照)。
【0044】
また、塗布部材10は、塗布部11の端部または非塗布部15の端部の一方がより突出して配置されるように構成されていてもよい。例えば、塗布部材10は、塗布部11の端面が非塗布部15の端面よりも0~15mm程度突出するように形成されていてもよい。例えば、実施例として、非塗布部15が外筒部100から1~5mm突出して配置され、塗布部11が非塗布部15から更に0~15mm突出して配置されるようにしてもよい(例えば、
図12参照)。
【0045】
また、塗布部材10は、本実施形態において、非塗布部15が外筒部100の長手方向に移動可能に外筒部100に収容配置されている。非塗布部15は、外部からの押圧操作等により長手方向に移動して、供給部60に対して外部からの操作を伝達可能に構成される。
【0046】
塗布部材10は、本実施形態において、塗布部11および非塗布部15が外筒部100の長手方向(第1方向)にのびる略筒状であり、全体として円筒形状に構成されている。ここで、塗布部材10の形状は、円筒状に限定されず、例えば、多角柱(筒)状、円錐状、角錐状、立方体状、球体状や楕円体状等であってもよい。
【0047】
塗布部材10の径は、例えば、5から15mm、好ましくは7から13mm、更に好ましくは8から11mmであるが、特に限定されない。使用性、外観や、後述する外筒部の内径等に応じて、適宜設定できる。
また、塗布部材10の長さは、例えば、1から10cm、好ましくは2から8cm、更に好ましくは2から5cmであるが、特に限定されない。使用性、外観、使用態様(使用期間、使い捨て等)や外筒部100の長さ等に応じて、適宜設定できる。
【0048】
塗布部11は、塗布液を含侵可能または塗布液110を含侵させた部材である。塗布部11は、非塗布部15と当接または所定距離だけ離間して対向配置されている。塗布部11は、非塗布部15とともにスリット部20を形成する。また、塗布部11は、外側面であって、スリット部20の内側面を構成するように配置される塗布面22を有する。
【0049】
塗布部11は、挿入された爪先部220の形状および移動に対応して変形可能に構成される。塗布部11は、例えば、異なる指200の大きさや形状が異なる爪先部220がスリット部20に挿入された場合、挿入された爪先部220に対応して変形可能に構成される。また、塗布部11は、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において、塗布具1と爪先部220とが相対移動されると、爪先部220の表面に押圧されて変形するよう構成されている。塗布部11は、スリット部20に挿入された爪先部220の形状および移動に対応して変形して、塗布面22が爪先部220の表面に面当接した状態を維持する。
【0050】
塗布部11は、本実施形態において、非塗布部15よりも柔軟性が高い。塗布部11は、本実施形態において、例えば、非塗布部15よりも弾性変形性(圧縮および伸縮)が高い。塗布部11は、素材、形状やスリット部20の形状等を調整することで、非塗布部15よりも柔軟性が高い態様に調整される。塗布部11は、スリット部20に挿入された爪先部220の大きさ、形状および移動に対応して変形する柔軟性を有するよう構成される。
【0051】
塗布部11は、例えば、毛細管力によって塗布液110を含侵保持するものが好ましい。塗布部11は、例えば、成形した繊維体(フェルト、合成繊維)や、複雑な断面形状のある合成樹脂体により構成される。詳細には、塗布部11は、例えば、連続気泡を有する多孔質体等の合成樹脂体や、起毛体や植毛体等の繊維体であり、好ましくは各種繊維を集束し合成樹脂で接着して得られる繊維束体等であり、更に好ましくは気孔率が50%以上、特に好ましくは気泡率が50~90%の繊維束体である。この場合、繊維太さは、2~30デニールであり、好ましくは5~25デニールである。
【0052】
塗布部11は、例えば、ポリエステルやナイロン、ウレタンなどの繊維を束ねて接着し整形することで製造することができる。塗布部11は、塗布液110を浸透または含浸させるために必要な気孔を有するスポンジ状になるよう製造される。気泡率は、使用される塗布液110により異なるが、例えば、50~90%に調整される。塗布部11において、例えば、繊維は塗布部材10の長手方向に沿ってい配置されており、長手方向の押圧力に対しては変形されにくいが、塗布部材10の径方向への押圧力に対しては変形しやすい。塗布部11は、スリット部20に爪先部が挿入された場合、湾曲状の爪先部220における凸部により外側面(塗布面22)が押圧されるが、含浸したインク(または空気)が押し出されて変形するため、外側面(塗布面22)が爪先部220の表面形状に対応して変形する。また、塗布部11は、スリット部20から爪先部が抜き出された場合、塗布液110(または空気)が再び含浸しして復元するという反発弾性を有する。これにより、塗布部11は、スリット部20に爪先部220を挿入している状態においては、爪先部220の形状や移動に対応して塗布面22が変形するように構成されると共に、スリット部20から爪先部220を抜いた場合には、通常状態に復帰するよう構成される。
また、塗布部11の素材として、例えば、オレフィン系素材を用いてもよく、この場合、PES6-80(密度80kg/m3)~PES6-220(密度220kg/m3)であることが好ましい。オレフィン系素材として、例えば、PP(ポリプロピレン)とPE(ポリエチレン)との混合物、例えば、PP:PE=50:50の混合物を用いることができるが、これに限定されない。また、この場合、繊維の太さは3~10デニール、好ましくは5~7デニールである。
【0053】
また、塗布液110は、例えば、顔料インク、染料インク、塗料やマニキュア液等である。顔料インクは、例えば、油性顔料インク、水性顔料インク、無溶剤顔料インク、ゲル状顔料インク、エマルジョン顔料インク等である。また、染料インクは、例えば、油性染料インク、水性染料インク、無溶剤染料インク、ゲル状染料インク、エマルジョン染料インク等である。また、塗料は、油性塗料、水性塗料、無溶剤塗料、ラッカー、合成樹脂塗料、酒精塗料等である。マニキュア液は、上述の顔料インク、染料インク、塗料に含まれるものであるが、例えば、油性マニキュア液、水性マニキュア液、無溶剤マニキュア液等である。マニキュア液は、アクリルやニトロセルロースなどの合成樹脂を着色し有機溶剤に溶いた一般的なマニキュア液でもよく、有機溶剤等を含まない水性マニュキュア液でもよい。
【0054】
塗布液110は、上述のように顔料インク、染料インク、塗料やマニキュア液であり、好ましくは有機溶剤を含まない顔料インク、染料インク、塗料やマニキュア液であり、更に好ましくは水性系の顔料インク、染料インク、塗料やマニキュア液である。本実施形態においては、塗布液110として、水性顔料インクが使用される。塗布液110の色は、白色、赤色、紅色等、何色でもよく、透明または半透明であってもよい。また、塗布液110は、パールやラメ等を含むものであってもよい。
【0055】
非塗布部15は、塗布液110を含侵または透過させない部材である。非塗布部15は、塗布部11に当接または所定距離だけ離間して対向配置される。非塗布部15は、塗布部11とともにスリット部20を形成する。
また、非塗布部15の端面(端面5aの全部または一部)は、指ガイド部15aを構成する。詳細には、非塗布部15の外側面である端面は、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において指先201が当接する領域である指ガイド部15aを構成する。
【0056】
非塗布部15は、塗布部11とは別個の部材であり、塗布液110を含侵または透過させない部材である。非塗布部15は、当接した指先201に塗布液110を付着させない。また、非塗布部15は、供給部60から供給される塗布液110を含侵または透過させない。
【0057】
非塗布部15は、塗布液110を含侵または透過させない部材であり、例えば、ゴム、樹脂や金属等により構成される。また、非塗布部15は、ゴム、樹脂、ビニールや金属等により構成されるシートや板状の部材を全表面に配置することでも形成可能である。
【0058】
非塗布部15は、塗布部11よりも変形性が低くなるよう材質や形状が調整される。非塗布部15は、爪先部220がスリット部20に挿入された状態で移動された場合、変形しないことが好ましい。
【0059】
非塗布部15は、本実施形態において、外部からの操作を供給部60に伝達可能に配置される。非塗布部15は、外筒部100の長手方向に移動可能に外筒部100に収容配置されている。本実施形態において、非塗布部15は、外部からの押圧操作等により長手方向に移動して、供給部60に対して外部からの操作を伝達可能に構成される。
【0060】
スリット部20は、塗布部材10の端面5における表面から内部にかけて形成されている。スリット部20は、塗布部11と非塗布部15との間に配置される。スリット部20は、爪先部220が挿入可能に構成されている。
スリット部20は、塗布部材10の端面5に形成される開口部21を有する。また、スリット部20の内側面を構成するように配置される塗布部11の外側面は、挿入された爪先部220の表面に面当接して塗布液110を塗布可能な塗布面22を構成する。
【0061】
スリット部20の開口部21は、塗布部材10の端面5(第1方向における端部)に配置される。スリット部20は、開口部21が外筒部100から外部に露出するよう配置される。また、スリット部20は、開口部21が外筒部100(先端部101)から突出して配置される端面5に形成されている。
【0062】
本実施形態において、スリット部20の開口部21は、塗布部11側に膨らむ曲線状である。本実施形態において、スリット部20の形状は、開口部21が曲線状であり、開口部21のいずれの位置における深さも同じ深さである形状である。ここで、スリット部20の形状は、これに限定されず、例えば、開口部21は更に湾曲した曲線状や直線状であってもよく、開口部21がのびる方向において、中央側が深く、両端側が浅い形状であってもよい。また、スリット部20の断面形状(例えば、
図5参照)は、深さ方向に平行な断面を有していてもよく、深さ方向に対して傾斜した断面を有していても良い。塗布部材10の変形例として、異なる形状のスリット部20を有する例について後述する。
【0063】
スリット部20の幅(塗布部11と非塗布部15との間の距離)は爪先部220が挿入可能であれば、特に限定されないが、例えば、0から5mm、好ましくは0から2mmに設定できる。また、スリット部20の幅を調整することで、塗布面22が非塗布部15に当接しない状態を維持可能である。
スリット部20の深さ(端面5から底面27までの距離、指ガイド部15aを含む面から底面27までの距離)は、塗布ラインの幅に対応した深さに設定され、特に限定されないが、例えば、2から10mm、好ましくは4から8mmに設定できる。
【0064】
また、スリット部20の位置、形状、幅および深さは、爪先部220への塗布性に応じて設定される。スリット部20の位置、形状、幅および深さは、挿入される爪先部220大きさ(指の種類等)、塗布ラインの幅のほか、塗布部11の変形性(弾力変形性、爪先部の表面のへの追従性等)を視点として調整される。
【0065】
また、スリット部20は、挿入された爪先部220と塗布具1(塗布部材10)との相対移動をガイド可能である。また、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において塗布具1と爪先部220とが相対移動されると、スリット部20を形成する塗布部11が爪先部220の表面に押圧されて変形する。スリット部20は、爪先部220の移動に対応し、スリット部20の内側面である塗布面22が爪先部220の表面に面当接した状態を維持するよう変形する。そのため、塗布具1は、爪先部220に好適に所定幅の塗布ラインを形成可能である。
【0066】
また、スリット部20は、挿入された爪先部220を挟むようにして、爪先部220の表面に塗布液110を塗布可能に構成される。スリット部20は、挿入された爪先部220を挟むので、塗布具1の移動を好適にガイド可能であると共に、爪先部220の表面に塗布液110を塗布可能である。スリット部20は、挿入された爪先部220を挟むので、塗布具1をゆっくりと少しずつ移動させることができ、爪先部220に所望の塗布液110のラインを簡易に形成できる。
【0067】
塗布面22は、スリット部20の内側面を構成するように配置される塗布部11の外側面である。塗布面22は、挿入された爪先部220の表面に面当接して塗布液110を塗布可能な部分である。塗布面22は、スリット部20の内側面(塗布部11の外側面)であって、指ガイド部15aに指先201を当接した状態で挿入された爪先部220の表面に当接して塗布液を塗布可能な塗布面である。
塗布面22は、爪先部220の移動に対応した塗布部11の変形により、爪先部220の表面に面当接した状態が維持される。
【0068】
本実施形態において、塗布面22の形状は、曲面状であるが、これに限定されず、平面状、波状、1または複数の突部を有する形状であってもよい。また、塗布面22と非塗布部15との間の距離(スリット部20の幅)は、爪先部220が挿入可能な距離であればよく、特に限定されない。
【0069】
塗布面22は、スリット部20の位置、形状、幅および深さにより、形状や変形性が異なる。塗布面22は、爪先部220への塗布性に応じて設定される。塗布面22は、挿入される爪先部220大きさ(指の種類等)、塗布ラインの幅等に応じて、スリット部20の位置、形状、幅および深さを調整することで適した形態に調整される。また、同様に、塗布面22に爪先部220の表面への追従性が調整される。また、塗布面22の深さ方向の長さ(端面5からスリット部20の底面までの距離)により、塗布ラインの幅が設定される。
【0070】
指ガイド部15aは、非塗布部15の外側面(端面)に配置される。指ガイド部15aは、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において指先201が当接する領域に配置される。指ガイド部15aは、塗布部材10の端面5におけるスリット部20の開口部21近傍に配置される。指ガイド部15aは、塗布液110が透過または浸透しない非塗布部15の端面に形成されているので、当接した指先201に塗布液110が付着することを防止可能に構成される。
【0071】
指ガイド部15aは、スリット部20における開口部21の近傍に、該開口部21がのびる方向に沿って配置されている。指ガイド部15aにおける外縁は、スリット部20の開口部21における外縁を構成する。
【0072】
指ガイド部15aは、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において、該塗布具1を爪先部220の外縁に沿って移動させた場合、指先201に当接して塗布具1の移動をガイドする。指ガイド部15aは、爪先部220に塗布液110を塗布する作業において、塗布具1の移動をガイドする。指ガイド部15aは、爪先部220に塗布液110を塗布する作業において、塗布具1の指先201の一方の端部から他方の端部への塗布具1の移動をガイドする。
【0073】
指ガイド部15aは、塗布液110が透過または浸透しない非塗布部15の端面に形成されているので、爪先部220に塗布液110を塗布するための塗布具1の移動において、該指ガイド部15aに当接した状態で相対的に摺動移動する指先201に塗布液110が付着することを防止する。
【0074】
指ガイド部15aは、本実施形態において、非塗布部15が外部からの操作を供給部60に伝達可能に配置されるので、非塗布部15を押圧操作する操作部として機能する。作業者が指ガイド部15aを押圧することで、非塗布部15が供給部60側に移動して、供給部60(押圧受付部61)に押圧操作が伝達される。
【0075】
ここで、
図4および
図5により、塗布部材10の変形例について説明する。主にスリット部20の形状が異なる変形例について説明する。
まず、
図4(a)から(g)により、スリット部20における開口部21の形状が異なる変形例について説明する。
図4(a)には、本実施形態の塗布部材10における上面図が示されている。
図4(a)に示すように、本実施形態の塗布部材10におけるスリット部20は、開口部21の形状が塗布部11側に膨らむ曲線状に形成されている。本実施形態の塗布部材10は、爪先部220の形状に対応した曲面状のスリット部20を有する。
【0076】
続けて、
図4(b)には、変形例Aの塗布部材10Aにおける上面図が示されている。
図4(b)に示すように、変形例Aの塗布部材10Aにおけるスリット部20Aは、開口部21Aの形状が塗布部11A側に更に膨らむ曲線状に形成されている。変形例Aにおけるスリット部20Aは、開口部21Aが本実施形態の開口部21よりも湾曲度合いが大きい曲線状に形成されている。変形例Aの塗布部材10Aは、より湾曲した爪先部220の形状に対応した曲面状のスリット部20Aを有する。
【0077】
続けて、
図4(c)には、変形例Bの塗布部材10Bにおける上面図が示されている。
図4(c)に示すように、変形例Bの塗布部材10Bにおけるスリット部20Bは、開口部21Bの位置が本実施形態の塗布部材10よりも
図4(c)における左側に形成されている。言い換えると、スリット部20Bは、塗布部11Bが塗布部材10の塗布部11(
図4(a)参照)に比べて幅(径方向の長さ)が狭くなるような位置に形成されている。変形例Bにおける塗布部11Bは、本実施形態における塗布部11よりも変形性が高くなるよう形成されている。
【0078】
続けて、
図4(d)には、変形例Cの塗布部材10Cにおける上面図が示されている。
図4(d)に示すように、変形例Cの塗布部材10Cにおけるスリット部20Cは、開口部21Cの形状が直線状に形成されている。
【0079】
続けて、
図4(e)には、変形例A1の塗布部材10A1における上面図が示されている。
図4(e)に示すように、変形例A1の塗布部材10A1におけるスリット部20A1は、開口部21A1の両端側において塗布部11A1と非塗布部15A1とが当接している形状である。変形例A1におけるスリット部20A1は、中央部においては塗布部11A1と非塗布部15A1とが離間し、両端側においては塗布部11A1と非塗布部15A1とが互いに当接して、形成されている。本変形例においては、塗布部11A側の塗布面21A1における湾曲度合いを大きくして、塗布面22A1の両端側が非塗布部15A1に当接するようにしている。変形例A1によれば、開口部21A1の両端側において塗布部11A1と非塗布部15A1とが当接しているので、塗布液110を塗布しにくい爪先部220の両端側にも好適に塗布液110を塗布することができる。
【0080】
続けて、
図4(f)には、変形例A2の塗布部材10A2における上面図が示されている。
図4(f)に示すように、変形例A2の塗布部材10A2におけるスリット部20A2は、開口部21A2の中央部においては幅が狭く、両端側において幅が広くなっている形状である。変形例Aと比較して、変形例A2におけるスリット部20A2は、中央部においては塗布部11A2と非塗布部15A2とが近接して配置され、両端側においては塗布部11A2と非塗布部15A2とが、より離間して配置されている。本変形例においては、塗布部11A2側の塗布面22A2における湾曲度合いを小さくすると共に、非塗布部15A2を塗布部11A2に近接して配置している。変形例A2によれば、開口部21A2における両端側の幅が広くなっているので、爪先部220が挿入しやすくなっている。また、変形例A2によれば、開口部21A2における中央部の幅が狭くなっているので、挿入した爪先部220をしっかり挟むようにして好適に塗布液110を塗布することができる。
【0081】
続けて、
図4(g)には、変形例A3の塗布部材10A3における上面図が示されている。
図4(g)に示すように、変形例A3の塗布部材10A3におけるスリット部20A3は、開口部21A3の両端側における幅が非常に広くなっている形状である。また、非塗布部15A3は、円筒状(上面視では円形)である。変形例Aと比較して、変形例A3におけるスリット部20A3は、両端側においては塗布部11A3と非塗布部15A3とが、より離間して配置されている。本変形例においては、非塗布部15A3を塗布部11A3の径(直径)よりも小さい径(直径)の円筒状(上面視では円形)にしている。変形例A3によれば、開口部21A3における両端側の幅が非常に広くなっているので、爪先部220が、より挿入しやすくなっている。また、変形例A3によれば、非塗布部15A3を円筒状(上面視では円形)にしているので、爪先部220の内側面を非塗布部15A3の側面に当接させた状態で、爪先部220をスリット部20A3の一端側から挿入することで、爪先部220に好適に塗布液110を塗布することができる。
【0082】
続けて、
図5(a)から(f)により、スリット部20の深さや形状等が異なる変形例について説明する。
図5(a)には、本実施形態の塗布部材10における断面図(
図4(a)におけるA-A断面図)が示されている。ここで、以下の変形例における断面図は、各変形例における不図示の上面図における
図4(a)のA-A断面図に相当する断面図である。
図5(a)に示すように、本実施形態の塗布部材10におけるスリット部20は、塗布部11の内側面と、非塗布部15の内側面とが略平行に配置され、底面27が両内側面と直交する(垂直になる)ように配置されて形成されている。本実施形態において、スリット部20の底面27は、塗布部11の一部により形成されている。塗布部11は、塗布部材10の端面5と反対側の端面6側が径方向において厚くなるように形成されている。
【0083】
続けて、
図5(b)に示すように、変形例Dの塗布部材10Dは、本実施形態の塗布部材10と基本的な構造は同じであるが、スリット部20Dが本実施形態のスリット部20よりも深さが浅くなるよう形成されている点で異なる変形例である。変形例Dの塗布部材10Dは、例えば、本実施形態の塗布部材10よりも幅が狭い塗布ラインを形成可能である。
【0084】
続けて、
図5(c)に示すように、変形例Eの塗布部材10Eは、本実施形態の塗布部材10と基本的な構造は同じであるが、塗布部11Eの長さ(塗布部材10Eの長手方向における長さ)が非塗布部15Eの長さよりも長い点で異なる変形例である。塗布部材10Eにおいて、塗布部11の端面11aEが非塗布部15の端面である指ガイド部15aよりも長手方向に突出して配置(
図5(c)における上側に配置)されている点で、本実施形態と異なる変形例である。変形例Dの塗布部材10Dは、例えば、本実施形態の塗布部材10よりも幅が広い塗布ラインを形成可能である。変形例Dの塗布部材10Dは、例えば、爪先部220に加え、爪の中央部の一部を含む領域に(幅の広い)塗布ラインを形成可能である。
【0085】
続けて、
図5(d)に示すように、変形例Fの塗布部材10Fは、本実施形態の塗布部材10と基本的な構造は同じであるが、スリット部20Fの底面27Fが非塗布部15Fの一部により形成されている点で異なる変形例である。非塗布部15Fは、塗布部材10Fの端面5と反対側の端面6F側が径方向において厚くなるように形成されている。
【0086】
続けて、
図5(e)に示すように、変形例Gの塗布部材10Gは、塗布部11Gと非塗布部15Gとが接着部19により接着されている点で本実施形態の塗布部材10と異なる変形例である。また、塗布部材10Gは、スリット部20Gの幅が本実施形態のスリット部20の幅より狭く形成されている点で異なる変形例である。また、塗布部材10Gにおいて、スリット部20Gの底面27Gは、接着部19の上面により構成される。ここで、接着部19は、塗布液110を透過または含侵可能な材料により構成されていてもよく、塗布液110を透過または含侵しない材料により構成されていてもよい。
【0087】
続けて、
図5(f)に示すように、変形例Hの塗布部材10Hは、塗布部11Hの外側面である塗布面22Hが長手方向に対して傾斜している点で異なる変形例である。塗布部材10Hは、スリット部20Hにおける塗布部11H側の内側面(塗布面22H)が端面5H側に向かうにしたがって非塗布部15Hから離間するように傾斜している点で異なる変形例である。変形例Hの塗布部材10Hは、例えば、本実施形態の塗布部材10よりも爪先部220の先端側への塗布を好適にすることができる。
【0088】
図1に示すように、供給部60は、非塗布部15から伝達された操作に対応して、収容部120に収容される塗布液110を塗布部11に供給可能に構成される。
供給部60は、押圧受付部61と、押圧受付部61に連結され一体的に移動する蓋部63と、収容部120の通液孔122からの塗布液110を吸収すると共に塗布部11に塗布液110を供給可能な吸液部65と、を有する。
【0089】
押圧受付部61は、塗布部材10(塗布部11、非塗布部15)と収容部120との間に配置される。押圧受付部61は、本実施形態において、非塗布部15に対する押圧操作を受け付ける。具体的には、押圧受付部61は、押圧操作を受けて移動する非塗布部15により押圧され収容部120側へ移動するよう構成される。押圧受付部61は、通常状態において、スポンジ材等により構成される吸液部65により通常位置(
図1に示す位置)に保持されているが、非塗布部15の移動により収容部120側の供給位置に移動される。押圧受付部61が供給位置に移動されることで、蓋部63も後述の閉位置から開位置に移動される。
【0090】
蓋部63は、連結された押圧受付部61と一体的に移動する。蓋部63は、吸液部65に形成された貫通孔に挿通された連結部62により押圧受付部61に連結される。蓋部63は、押圧受付部61が通常位置に位置した状態において、収容部120の通液孔122を塞ぐ閉位置に位置して、収容部120に収容される塗布液110の吸液部65側への通液を規制する。蓋部63は、押圧受付部61が供給位置に位置した状態において、収容部120の通液孔122を塞がない開位置に位置する。これにより、収容部120に収容される塗布液110は、通液孔122を介して、吸液部65に供給される。
【0091】
吸液部65は、収容部120の通液孔122からの塗布液110を吸収すると共に塗布部11に塗布液110を供給可能に構成される。また、本実施形態において、吸液部65は、押圧受付部61および蓋部63を所定位置に保持する機能を有する。
吸液部65は、非塗布部15への押圧操作により蓋部63が開位置に移動されることで通液孔122から供給される塗布液110を吸収し保持する。そして、吸液部65は、保持した塗布液110を塗布部11に供給可能に構成される。吸液部65は、塗布部11に直接当接して塗布液110を供給してもよく、塗布部11との間に配置される吸液性の供給部材(不図示)を介して塗布部11に間接的に塗布液110を供給してもよい。
【0092】
続けて、
図1に示すように、塗布液110を収容する収容部120は、外筒部100における本体部105に収容配置される。収容部120は、上述の供給部60を介して、塗布液110を塗布部11に供給可能に構成される。本実施形態の収容部120は、供給部60とユニット化されている。塗布液110がなくなった際において、簡易に一体的に交換可能である。また、使用開始前に収容部120を交換することで、異なる色や性状の塗布液を使用することが可能である。
【0093】
続けて、
図1に示すように、外筒部100は、塗布部材10、収容部120および供給部60を収容する。外筒部100は、先端部101と、本体部105とを有する。
先端部101は、塗布部材10を保持する。先端部101は、内側面に形成される複数の保持部130により塗布部材10を保持する。先端部101は、端面5が外部に露出した状態で塗布部材10を保持する。また、先端部101は、該先端部101の端部から端面5側の端部を突出させた状態で塗布部材10を保持する。
【0094】
図6から
図9により、塗布具1における使用方法について説明する。
まず、
図6に示すように、塗布作業者は、塗布具1を所定角度で保持し、爪先部220をスリット部20に挿入する。スリット部20における開口部21の形状が曲線状であるので、爪先部220がスムースに挿入される。
【0095】
これにより、スリット部20は、爪先部220が挿入されると、爪先部220の大きさや形状に応じて変形する。スリット部20(塗布部11)は、塗布面22が爪先部220の表面に好適に面当接するよう変形する。
具体的には、
図7(a)に示す通常状態から
図7(b)または
図7(c)に示す使用状態に変形する。
【0096】
図7(b)は、人差し指の爪先部220Aが挿入された状態を示す図であり、スリット部20(塗布部11)は、幅広い爪先部220Aの形状に対応して変形する。
図7(c)は、小指の爪先部220Bが挿入された状態を示す図であり、スリット部20(塗布部11)は、幅が狭く湾曲度合いの大きい爪先部220Bの形状に対応して変形する。
上述より、塗布具1は、スリット部20(塗布部11)が好適に変形することで、大きさや形状の異なる爪先部に対応可能に構成されている。
【0097】
続けて、
図6および
図8に示すように、塗布作業者は、指先201を指ガイド部15aに当接させる。本実施形態において、爪先部220の先端(外縁)は、スリット部20の底面27に当接しない。
【0098】
続けて、塗布作業者は、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において、塗布具1を爪先部220の外縁に沿って移動させる。これにより、塗布具1は、爪先部220に所定幅で曲線状の塗布ラインを形成できる。本実施形態においては、塗布具1は、爪先部220の表面全体に塗布ラインを形成できる。
【0099】
ここで、
図9(a)から(e)により、塗布作業者がスリット部20に爪先部220の一端側から挿入して、塗布具1を爪先部220の外縁に沿って回動するように他端側まで移動させた場合(
図8参照)における塗布部材の動作(変形)について説明する。
まず、塗布作業者が爪先部220の一端側をスリット部20の一端20a側に挿入することで、塗布部材10は、
図9(a)の通常状態から
図9(b)の変形状態に変化する。具体的には、
図9(b)に示すように、スリット部20(塗布部11)は、該一端20a側の幅が広がるように変形する。スリット部20(塗布部11)は、塗布面22が一端20a側に挿入された爪先部220の表面に面当接するよう変形する。
【0100】
続けて、塗布作業者が塗布具1を爪先部220の外縁に沿って一端側から先端部側に回動移動させることで、塗布部材10は、
図9(b)の変形状態から
図9(c)の変形状態に変化する。具体的には、
図9(c)に示すように、スリット部20(塗布部11)は、爪先部220の形状に対応するように変形する。スリット部20(塗布部11)は、塗布面22が爪先部220の表面全体に面当接するよう変形する。
【0101】
続けて、塗布作業者が塗布具1を爪先部220の外縁に沿って先端部側から他端側に回動移動させることで、塗布部材10は、
図9(c)の変形状態から
図9(d)の変形状態に変化する。具体的には、
図9(d)に示すように、スリット部20(塗布部11)は、他端20b側の幅が広がるように変形する。スリット部20(塗布部11)は、塗布面22が他端20b側に挿入されている爪先部220の表面に面当接するよう変形する。
【0102】
続けて、塗布作業者が爪先部220の他端側をスリット部20の他端20b側から抜き出すことで、塗布部材10は、
図9(d)の変形状態から
図9(e)の通常状態に変化する。
上述のように、塗布具1における塗布部材10(塗布部11、スリット部20)は、スリット部20に挿入された爪先部220の大きさ、形状および移動に対応して、塗布面22が爪先部220の表面に面当接した状態を維持するよう変形可能に構成される。
【0103】
図10により、変形例Jの塗布具1Jの使用方法について説明する。塗布具1Jは、スリット部20Jの深さが本実施形態のスリット部20よりも浅く、非塗布部15Jの端面(指ガイド部15Ja、不図示)が塗布部11Jの端面よりも高い(長手方向に突出)変形例である。塗布具1Jは、塗布領域が狭い塗布ラインを形成するのに適した変形例である。
まず、塗布作業者は、塗布具1Jにおけるスリット部20Jに爪先部220を挿入する。スリット部20Jにおける開口部21の形状が曲線状であるので、爪先部220がスムースに挿入される。
【0104】
続けて、塗布作業者は、指先201を指ガイド部15aに当接させる。この状態において、爪先部220の先端(外縁)は、スリット部20Jの底面に当接する。
【0105】
続けて、塗布作業者は、スリット部20Jに爪先部220が挿入された状態において、塗布具1Jを爪先部220の外縁に沿って回動するように移動させる。これにより、爪先部220に所定幅で曲線状の塗布ラインを形成できる。本変形例においては、爪先部220の全部ではなく、爪先部220の外縁側に所定幅の塗布ラインを形成できる。
【0106】
図11により、変形例Kの塗布具1Kついて説明する。塗布具1Kは、非塗布部15Kが外筒部100K(先端部101K)と一体的に構成されている点で本実施形態の塗布具1と異なる変形例である。塗布具1Kは、非塗布部15Kと外筒部100Kとを一体的に形成可能な塗布具である。
【0107】
また、変形例Kの塗布具1Kにおいて、非塗布部15Kの端面である指ガイド部15Kaと、外筒部100K(先端部101K)の端部とは、連続した同一面を構成するように形成されているので、指ガイド部15Kaの面積を広くすることができる。ここで、非塗布部15Kの端面である指ガイド部15Kaと、外筒部100K(先端部101K)の端部とが同一面を構成しないようにしてもよく、例えば、本実施形態の塗布具1における位置関係と同様としてもよい。
【0108】
また、変形例Kの塗布具1Kは、供給部60Kを動作させる別部材を有していてもよい。また、塗布具1Kは、供給部60K、収容部120Kおよび外筒部100Kにおける位置関係や形状等を調整して、指ガイド部15Kaへの押圧操作により、非塗布部15Kおよび外筒部100Kの全部または一部が移動して供給部60Kを動作させるように構成されていてもよい。
【0109】
本実施形態(変形例を含む)によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態によれば、塗布具は、塗布液を含侵可能または塗布液を含侵させた塗布部と、塗布部に当接または所定距離だけ離間して対向配置され、塗布液を含侵または透過させない非塗布部と、塗布部と非塗布部との間に配置され、爪先部が挿入可能なスリット部と、スリット部の内側面を構成するように配置される塗布部の外側面であって、挿入された爪先部の表面に面当接して塗布液を塗布可能な塗布面と、を有する。これにより、塗布作業者は、スリット部に爪先部を挿入することで、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。
【0110】
また、スリット部は、挿入された爪先部と該塗布具(塗布部材)との相対移動をガイド可能である。これにより、塗布作業者は、挿入された爪先部と該塗布具(塗布部材)とを相対移動させること、例えば、塗布具を爪先部の外縁方向に移動させることで、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。
【0111】
また、塗布具は、非塗布部の外側面におけるスリット部に爪先部が挿入された状態において指先が当接する領域に配置される指ガイド部と、を更に有する。これにより、塗布作業者は、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。例えば、塗布作業者は、利き手ではない手で作業した場合でも簡易に爪先部に一定の幅で塗布ラインを形成できる。また、これより、塗布具は、指先の塗布液を付着させることなく、爪先部に塗布ラインを形成可能に構成される。
【0112】
また、本実施形態によれば、指ガイド部は、スリット部に爪先部が挿入された状態において、塗布具を爪先部の外縁に沿って移動させた場合、指先に当接して該塗布具の移動をガイドする。これにより、塗布作業者は、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。例えば、塗布作業者は、利き手ではない手で作業した場合でも簡易に爪先部に一定の幅で塗布ラインを形成できる。また、これより、塗布具は、指先の塗布液を付着させることなく、爪先部に塗布ラインを形成可能に構成される。
【0113】
また、本実施形態によれば、塗布部材(塗布部および非塗布部)は、長手方向(第1方向)にのびる略筒状であり、スリット部は、長手方向(第1方向)における端面(端部)に配置される。また、塗布具は、塗布部材(塗布部および非塗布部)を一部が露出した状態で収容する外筒部と、を更に有し、スリット部の開口部は、外筒部から露出した部分に配置されている。これにより、スリット部に爪先部を挿入することで、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。また、これにより、塗布具は、ペン型の塗布具となり、塗布作業性が向上する。特にペン型の塗布具になれた塗布作業者には好適な態様である。
【0114】
また、本実施形態によれば、スリット部における開口部は、塗布部側に膨らむ曲線状である。これにより、塗布作業者は、スリット部に爪先部を簡易に挿入可能である。これにより、塗布具は、塗布作業を簡易にし、爪先部に一定の幅で塗布液を塗布する作業を簡易にする。
【0115】
また、本実施形態によれば、塗布具は、スリット部により(塗布部と非塗布部とにより)挿入された爪先部をを挟むようにして、爪先部の表面に塗布液を塗布可能に構成される。これにより、塗布具は、爪先部の表面に塗布液を塗布可能であると共に、スリット部により挿入された爪先部をを挟んでいるので、好適に塗布作業が可能に構成される。塗布作業者は、塗布具を爪先部の外縁に沿って回動するように移動させて塗布液を塗布するが、爪先部がスリット部に挟まれた状態であるので、塗布具がブレたりしし難く、きれいな塗布ラインを形成することができる。スリット部(塗布部、非塗布部および塗布面)は、指ガイド部とともに、塗布具の移動をガイドする機能を有する。
【0116】
また、本実施形態によれば、塗布具は、塗布部が非塗布部よりも柔軟性が高くなるよう構成される。塗布部は、素材、形状やスリット部の形状等を調整することで、非塗布部よりも弾性変形性(圧縮および伸縮)が高くなるよう調整される。塗布部は、スリット部に挿入された爪先部の大きさ、形状および移動に対応して変形する柔軟性を有するよう構成される。これにより、塗布作業者は、スリット部に爪先部を挿入することで、好適に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。
【0117】
また、本実施形態によれば、塗布具は、塗布部がスリット部に爪先部が挿入された状態においで、該塗布具と爪先部とが相対移動されると、爪先部の表面に押圧されて変形し、塗布面が爪先部の表面に面当接した状態を維持するよう構成される。これにより、塗布作業者は、スリット部に爪先部を挿入することで、好適に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。
【0118】
また、本実施形態によれば、塗布具は、塗布液を収容する収容部と、収容部に収容された塗布液を塗布部に供給可能な供給部と、を有する。これにより、塗布具は、長期間使用可能である。また、塗布具は、塗布部に塗布液を好適に保持させることができるので、より好適に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。
【0119】
また、本実施形態によれば、塗布具は、非塗布部が外部からの操作を供給部に伝達可能に配置され、供給部が非塗布部から伝達された操作に対応して、収容する塗布液を塗布部に供給可能に構成される。これにより、塗布具は、塗布作業者が非塗布部(指ガイド部)を押圧することで、塗布部に塗布液を供給させることができる。塗布具は、例えば、塗布作業中に簡易な操作で塗布部に塗布液を供給させることが可能に構成される。これにより、塗布具は、より塗布作業性を向上させる。
【0120】
また、本実施形態において、塗布具は、非塗布部が外筒部(先端部)に連結または固定されていてもよい。これにより、塗布具は、非塗布部を外筒部と一体的に成型できるので、製造性に優れる。また、塗布具は、非塗布部の端面である指ガイド部と、外筒部(先端部)の端部とを連続した同一面を構成するように形成できる。これにより、指ガイド部15Kaの面積を広くすることができる。これにより、塗布具は、より簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。
【0121】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
上述の実施形態において、スリット部は、1つであるが、これに限定されず、複数であってもよい。
【0122】
また、本実施形態において、スリット部の開口部における互いに対向する外周は、略同一の形状であるが、これに限定されず、互いに異なる湾曲度合いの外周であってもよい。つまり、スリット部の対向配置される内側面は、互いに異なる曲面形状であってもよい。また、言い換えると、スリット部の内側面を構成する塗布部の外側面(塗布面)と、スリット部の内側面を構成する非塗布部の外側面は、互いに異なる曲面形状であってもよい。これらの形状は、爪先部への塗布性を視点として、適宜調整可能である。
【0123】
また、本実施形態において、塗布部の端面は平面上であるが、これに限定されず、曲面状であってもよい。例えば、
図12に示すように、塗布具1Lにおける非塗布部15L側からの側面視において、塗布部11Lにおける端面の外縁が、中央部が突出した曲面状になるように形成されていてもよい。この場合、スリット部の中央部における溝が深く、端部側が浅くなり、爪先部の形状に対応しており、爪先部に塗布液を好適に塗布することができる。また、
図12においては、非塗布部15Lが外筒部100Lから1~5mm突出して配置され、塗布部11Lが非塗布部15Lから更に0~15mm突出して配置される。塗布部材10(塗布部11)は、外筒部100から0~20mm突出して収容配置される。
【0124】
また、本実施形態において、非塗布部の端面は、非塗布部の短手方向(径方向、各図における水平方向)に平行な平面状に形成されているが、これに限定されず、例えば、曲面状や短手方向に対する傾斜角度が異なる複数の平面の組み合わせにより形成されていてもよい。例えば、
図13に示すように、非塗布部15の端面(指ガイド部15a)は、塗布部11L側(スリット側)に向かうにしたがって他方の端部側(
図13において下方)に向かうよう傾斜した曲面または平面を含むように構成されていてもよい。言い換えると、指ガイド部15aLは、塗布部11L側(スリット側)の一部が、側面視(L-L断面)において下方に向かうよう傾斜していてもよい。この場合、指ガイド部15aLは当接される指先の形状に対応した形状であり、指先を指ガイド部15aLに当接させた状態において爪先部の表面が塗布面に平行に配置され、爪先部の表面を塗布面に密着させることができる。これにより、塗布具は、爪先部に塗布液を好適に塗布することができる。
【0125】
また、本実施形態において、非塗布部は、外面に形成された1または複数の溝部を有してもよい。複数の溝部は、非塗布部の長手方向に沿って形成されていてもよく、短手方向(外周方向)に沿って形成されていてもよく、長手方向や短手方向に交差するように形成されていてもよい。1または複数の溝部は、塗布液を保持可能に形成される。溝部は、塗布部に供給される塗布液を保持可能に形成される。この場合、塗布具(塗布部材)は、溝部に保持された塗布液を利用して爪先部に塗布ラインを形成する。溝部は、毛細管現象を利用して塗布液を保持し、塗布具(塗布部)における塗布時間を調整可能に形成される。
【0126】
また、本実施形態において、非塗布部への外部からの操作は押圧操作に限定されず、例えば、引っ張り操作、スライド操作、回転操作、ひねり操作等、供給部が受付可能に設定された操作内容であれば、特に限定されない。
【0127】
また、上述の塗布具は、塗布部からの塗布液の蒸発を抑制可能であって、該塗布具に着脱可能なキャップ部を更に有していてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 塗布具
5 端面
10 塗布部材
11 塗布部
15 非塗布部
15a 指ガイド部
20 スリット部
21 開口部
22 塗布面
60 供給部
100 外筒部
101 先端部
110 塗布液
120 収容部
220 爪先部