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特開2024-40307ゲーミングマシン、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040307
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ゲーミングマシン、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/52 20140101AFI20240315BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20240315BHJP
   A63F 13/44 20140101ALI20240315BHJP
   A63F 13/60 20140101ALI20240315BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20240315BHJP
【FI】
A63F13/52
A63F13/54
A63F13/44
A63F13/60
A63F13/80 H
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017394
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2018190139の分割
【原出願日】2018-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】501405122
【氏名又は名称】コナミゲーミング インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】三浦 憲和
(72)【発明者】
【氏名】平塚 進ノ介
(57)【要約】
【課題】ゲーム内イベントを表示するタイミングとサウンドのビートとを同期させる技術を提供する。
【解決手段】ゲーミングマシンは、ディスプレイと、スピーカと、BGM全体のビート情報を含むテンポデータおよびBGMサウンドデータを格納する記憶装置と、ディスプレイとスピーカと記憶装置とに接続されたコントローラと、を備え、コントローラは、BGMサウンドデータに基づいてBGMをスピーカに出力させつつ、ディスプレイでゲームの進行の表示を開始するとともに、テンポデータに基づいてイベントをディスプレイに表示するタイミングを決定し、決定されたタイミングにイベントが表示されるようにアニメーションデータを動的に構成し、動的に構成されたアニメーションデータをディスプレイに表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのイベントを含むゲームの進行を表示するディスプレイと、
前記ゲームのサウンドを出力するスピーカと、
BGM全体のビート情報を含むテンポデータおよび前記BGMのサウンドデータを格納する記憶装置と、
前記ディスプレイと前記スピーカと前記記憶装置とに接続されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記記憶装置に格納された前記BGMのサウンドデータに基づいて前記BGMを前記スピーカに出力させつつ、前記ディスプレイでゲームの進行の表示を開始するとともに、
前記テンポデータに基づいて前記イベントを前記ディスプレイに表示するタイミングを決定し、
前記決定されたタイミングに前記イベントが表示されるようにアニメーションデータを動的に構成し、
前記動的に構成されたアニメーションデータを前記ディスプレイに表示させる、
ゲーミングマシン。
【請求項2】
さらに、プレイヤーの操作を受け付ける操作部を備え、
前記コントローラは、前記プレイヤーが前記操作部を操作したタイミングおよび前記テンポデータに基づいて、前記イベントを前記ディスプレイに表示するタイミングを決定する請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項3】
前記コントローラは、前記イベントの内容をランダムに決定する請求項1または2に記載のゲーミングマシン。
【請求項4】
前記記憶装置は、イベント用サウンドデータを格納し、
前記コントローラは、前記記憶装置に格納された前記イベント用サウンドデータに関するサウンドを前記決定されたタイミングで前記スピーカに出力させる請求項1~3の何れか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項5】
前記記憶装置は、複数のイベントを順次表示するリズムを定めたリズムパターンを格納し、
前記コントローラは、前記テンポデータおよび前記リズムパターンに基づいて、複数のイベントを前記ディスプレイに表示するタイミングをそれぞれ決定し、
前記決定されたタイミングに前記複数のイベントが順次表示されるようにアニメーションデータを動的に構成し、
前記動的に構成されたアニメーションデータを前記ディスプレイに表示させる、
請求項1~4の何れか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項6】
前記ディスプレイは、グリッド状に配置された複数のセルを含むゲーム画面を表示し、
前記コントローラは、前記複数のセルに配置されるシンボルをランダムに決定し、前記ディスプレイに表示される前記シンボルの組合せにより入賞判定を行う請求項1~4の何れか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項7】
前記ディスプレイは、グリッド状に配置された複数のセルの列に対応するリールを有するゲーム画面を表示し、
前記コントローラは、前記リールを回転および停止させることを前記イベントとして、前記リールを回転および停止させるアニメーションデータを構成する請求項5に記載のゲーミングマシン。
【請求項8】
点灯するイルミネーションをさらに含み、
前記コントローラは、前記決定されたタイミングで前記イルミネーションを点灯させる請求項1~7の何れか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項9】
ゲーミングマシンの制御方法であって、
前記ゲーミングマシンは、
少なくとも1つのイベントを含むゲームの進行を表示するディスプレイと、
前記ゲームのサウンドを出力するスピーカと、
BGM全体のビート情報を含むテンポデータおよび前記BGMのサウンドデータを格納する記憶装置と、
前記ディスプレイと前記スピーカと前記記憶装置とに接続されたコントローラと、
を備え、
前記制御方法は、
前記コントローラによって、前記記憶装置に格納された前記BGMのサウンドデータに基づいて前記BGMを前記スピーカに出力させつつ、前記ディスプレイでゲームの進行の表示を開始するとともに、
前記コントローラによって、前記テンポデータに基づいて前記イベントを前記ディスプレイに表示するタイミングを決定し、
前記コントローラによって、前記決定されたタイミングに前記イベントが表示されるようにアニメーションデータを動的に構成し、
前記コントローラによって、前記動的に構成されたアニメーションデータを前記ディスプレイに表示させる、
制御方法。
【請求項10】
ゲーミングマシンを動作させるプログラムであって、
前記ゲーミングマシンは、
少なくとも1つのイベントを含むゲームの進行を表示するディスプレイと、
前記ゲームのサウンドを出力するスピーカと、
BGM全体のビート情報を含むテンポデータおよび前記BGMのサウンドデータを格納する記憶装置と、
前記ディスプレイと前記スピーカと前記記憶装置とに接続されたコントローラと、
を備え、
前記プログラムは、前記コントローラを、
前記記憶装置に格納された前記BGMのサウンドデータに基づいて前記BGMを前記スピーカに出力させつつ、前記ディスプレイでゲームの進行の表示を開始するとともに、
前記テンポデータに基づいて前記イベントを前記ディスプレイに表示するタイミングを決定し、
前記決定されたタイミングに前記イベントが表示されるようにアニメーションデータを動的に構成し、
前記動的に構成されたアニメーションデータを前記ディスプレイに表示させる、
ように動作させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、ゲーミングマシン、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ゲームの提供中にオーディオファイルを再生するゲーミングマシンを開示する。このゲーミングマシンは、ゲーム開始とともにオーディオファイルの再生およびタイマーによる計時を開始し、再生しているオーディオファイルのビートデータをタイマーの値と対比してオンビートとなるタイミングを予測する。ゲーミングマシンは、ゲーム内イベントの発生を認識すると、イベントで使用するオーディオファイルを決定し、再生中のオーディオファイルがオンビートとなるように予測されるタイミングにイベントで使用するオーディオファイルの再生を行う。このようにすることで、イベントで使用するオーディオファイルが再生されるタイミングを再生中のオーディオファイルのビートと同期させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9192857号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のゲーミングマシンにおいては、ゲーム内イベントで使用するオーディオファイルの再生開始を再生中のオーディオファイルのビートと同期させるものであるが、ディスプレイ上にゲーム内イベントが表示されるタイミングについては考慮していない。このため、ディスプレイにゲーム内イベントが表示されるタイミングと、再生中のオーディオファイルのビートとを同期させることはできない。また、ゲーム内イベントが表示されるタイミングと、イベントで使用するオーディオファイルが再生されるタイミングとの間でタイムラグが生じることもある。これらの問題により、ゲーミングマシンでゲームをしているプレイヤーに違和感を与える場合がある。
【0005】
本開示は、ゲーム内イベントを表示するタイミングとサウンドのビートとを同期させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様においては、ゲーミングマシンが提供される。ゲーミングマシンは、ディスプレイ、スピーカ、記憶装置、およびコントローラを備える。ディスプレイは、少なくとも1つのイベントを含むゲームの進行を表示する。スピーカは、ゲームのサウンドを出力する。記憶装置は、BGM(background music)全体のビート情報を含むテンポデータおよびBGMのサウンドデータを格納する。コントローラは、ディスプレイとスピーカと記憶装置とに接続される。コントローラは、記憶装置に格納されたBGMのサウンドデータに基づいてBGMをスピーカに出力させつつ、ディスプレイでゲームの進行の表示を開始する。コントローラは、BGMのテンポデータに基づいて、イベントをディスプレイに表示するタイミングを決定する。コントローラは、決定されたタイミングにイベントが表示されるようにアニメーションデータを動的に構成する。コントローラは、動的に構成されたアニメーションデータをディスプレイに表示させる。
【0007】
本開示の一態様に係るゲーミングマシンによれば、プレイヤーの操作に応じてBGMがスピーカから出力されるとともに、ディスプレイでゲームの進行の表示が開始される。BGMのテンポデータに基づいてイベントをディスプレイに表示するタイミングが決定され、決定されたタイミングにイベントが表示されるように動的に構成されたアニメーションデータがディスプレイに表示される。このように、イベントの表示タイミングがBGMのテンポデータに基づいて決定されるため、イベントの表示タイミングをBGMのテンポと同期させることができる。これにより、ゲーミングマシンは、ゲーム内イベントを表示するタイミングとサウンドのビートとを同期させることができる。
【0008】
一実施形態においては、ゲームングマシンはさらにプレイヤーの操作を受け付ける操作部を備えた構成とすることができる。この場合のコントローラは、プレイヤーによる操作部の操作タイミングおよびBGMのテンポデータに基づいてイベントをディスプレイに表示するタイミングを決定してもよい。この構成によれば、プレイヤーの操作に応じて発生しタイミングが一意に定まらないイベントであっても、その画面表示をBGMのビートと同期させることができる。
【0009】
一実施形態においては、コントローラは、イベントの内容をランダムに決定してもよい。この構成によれば、ランダムに発生してタイミングが一意に定まらないイベントであってもその画面表示をBGMのビートと同期させることができる。
【0010】
一実施形態においては、記憶装置は、イベント用サウンドデータを格納し、コントローラは、記憶装置に格納されたイベント用サウンドデータに関するサウンドを決定されたタイミングでスピーカに出力させてもよい。この構成によれば、イベントの表示タイミングをイベント用のサウンドとも同期させることができる。
【0011】
一実施形態においては、記憶装置は、複数のイベントを順次表示するリズムを定めたリズムパターンを格納し、コントローラは、テンポデータおよびリズムパターンに基づいて、複数のイベントをディスプレイに表示するタイミングをそれぞれ決定し、決定されたタイミングに複数のイベントが順次表示されるようにアニメーションデータを動的に構成し、動的に構成されたアニメーションデータをディスプレイに表示させてもよい。この構成によれば、複数のイベントをディスプレイに表示するタイミングがリズムパターンにより定まるリズムおよびBGMのビートに基づいて決定されるため、複数のイベントの表示タイミングをリズムパターンにより定まるリズムに乗せつつBGMのビートと同期させることができる。これにより、プレイヤーに複数のイベントの繋がりを容易に理解させることができ、サウンドを用いたイベントの表現に幅を持たせることができる。
【0012】
一実施形態においては、ディスプレイは、グリッド状に配置された複数のセルを含むゲーム画面を表示し、コントローラは、複数のセルに配置されるシンボルをランダムに決定し、ディスプレイに表示されるシンボルの組合せにより入賞判定を行ってもよい。この構成によれば、スロットゲームの提供中において、イベントの表示タイミングをBGMのビートと同期させることができる。
【0013】
一実施形態においては、ディスプレイは、グリッド状に配置された複数のセルの列に対応するリールを有するゲーム画面を表示し、コントローラは、リールを回転および停止させることをイベントとして、リールを回転および停止させるアニメーションデータを構成してもよい。この構成によれば、リールの回転および停止動作のタイミングをBGMのビートと同期させることができる。このように、プレイヤーが最も注目するリールの回転および停止動作のタイミングをBGMのビートと同期させることにより、プレイヤーにリズミカルなゲームの進行を提供するとともに、BGMとリールの動作とを融合させた快適なゲームを提供することができる。
【0014】
一実施形態においては、ゲーミングマシンは、点灯するイルミネーションをさらに含み、コントローラは、決定されたタイミングでイルミネーションを点灯させてもよい。この構成によれば、イベントの表示タイミングをイルミネーションの点灯とも同期させることができる。
【0015】
本開示の他の態様においては、ゲーミングマシンの制御方法が提供される。ゲーミングマシンは、ディスプレイ、スピーカ、記憶装置、およびコントローラを備える。ディスプレイは、少なくとも1つのイベントを含むゲームの進行を表示する。スピーカは、ゲームのサウンドを出力する。記憶装置は、BGM全体のビート情報を含むテンポデータおよびBGMのサウンドデータを格納する。コントローラは、ディスプレイとスピーカと記憶装置とに接続される。制御方法は、コントローラによって、記憶装置に格納されたBGMのサウンドデータに基づいてBGMをスピーカに出力させつつ、ディスプレイでゲームの進行の表示を開始する。制御方法は、コントローラによって、テンポデータに基づいてイベントをディスプレイに表示するタイミングを決定する。制御方法は、コントローラによって、決定されたタイミングにイベントが表示されるようにアニメーションデータを動的に構成する。制御方法は、コントローラによって、動的に構成されたアニメーションデータをディスプレイに表示させる。
【0016】
本開示の他の態様においては、ゲーミングマシンのプログラムが提供される。ゲーミングマシンは、ディスプレイ、スピーカ、記憶装置、およびコントローラを備える。ディスプレイは、少なくとも1つのイベントを含むゲームの進行を表示する。スピーカは、ゲームのサウンドを出力する。記憶装置は、BGM全体のビート情報を含むテンポデータおよびBGMのサウンドデータを格納する。コントローラは、ディスプレイとスピーカと記憶装置とに接続される。プログラムは、コントローラを、記憶装置に格納されたBGMのサウンドデータに基づいてBGMをスピーカに出力させつつ、ディスプレイでゲームの進行の表示を開始するように動作させる。プログラムは、コントローラを、テンポデータに基づいてイベントをディスプレイに表示するタイミングを決定するように動作させる。プログラムは、コントローラを、決定されたタイミングにイベントが表示されるようにアニメーションデータを動的に構成するように動作させる。プログラムは、コントローラを、動的に構成されたアニメーションデータをディスプレイに表示させるように動作させる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の種々の態様に係るゲーミングマシンによれば、ゲーム内イベントを表示するタイミングとサウンドのビートとを同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係るゲーミングマシンの一例を示す斜視図である。
図2】ゲーミングマシンの構成の一例を示すブロック図である。
図3図2のゲーミングマシンのゲーム画面の一例を示す概略図である。
図4】表示領域に表示されるシンボルの序列を示しているシンボル配列を含む仮想リールストリップの一例を示す図である。
図5】表示領域に表示されるシンボルの一例を示す図である。
図6図4の判定領域で設定されるペイラインの一例を示す図である。
図7】ゲーミングマシンのソフトウェアおよびデータの一例を示すブロック図である。
図8】BGM関連データの原型となるデータの一例である。
図9】変換されたテンポデータの一例である。
図10図9のテンポデータに関連付けられた設定データの一例である。
図11】リズムパターンデータの例を音符のシーケンスで表現した図である。
図12】ゲーミングマシンの動作時に使用されるアルゴリズム(方法MT1)を説明するフローチャートである。
図13】ゲーミングマシンの動作時に使用されるアルゴリズム(方法MT2)を説明するフローチャートである。
図14】BGMのテンポに合わせたリールストップ用のサウンドの一例を説明する図である。
図15】ゲーミングマシンの動作時に使用されるアルゴリズム(方法MT3)を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ実施形態を詳細に説明する。各図において同一または相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面および動作において示されるように、本開示は、ゲーミングシステム、ゲーミングマシン、表示方法、およびゲーミングマシンのプログラムを対象にする。
【0020】
図1は、実施形態に係るゲーミングマシンの一例を示す斜視図である。図1に示されるゲーミングマシン10は、所定のゲーム価値をプレイヤーから受け付け、ゲーム結果を生成し、ゲーム結果およびペイテーブルに応じてプレイヤーに配当を提供し得る。
【0021】
図1に示されるように、ゲーミングマシン10は、上部ディスプレイ14(ディスプレイの一例)、下部ディスプレイ16(ディスプレイの一例)、およびキャビネット12を備える。キャビネット12は、ゲーミングマシン10の構成要素を制御するコントローラ22(図2参照)も収容する。
【0022】
上部ディスプレイ14および下部ディスプレイ16は、液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置などの平面パネルディスプレイ装置である。上部ディスプレイ14および下部ディスプレイ16は、コントローラ22を介して制御されることによって、ゲーム画面をプレイヤーへ提供する。後述のとおり、上部ディスプレイ14および下部ディスプレイ16の少なくとも一方は、少なくとも1つのイベントを含むゲームの進行を表示する。上部ディスプレイ14および下部ディスプレイ16の周囲には、装飾的な照明を提供するイルミネーション36が設けられてもよい。
【0023】
キャビネット12は、下部ディスプレイ16の下側に配置される。キャビネット12には、その前面に前方へ張り出すようにしてコントロールパネル18が設けられる。コントロールパネル18には、プレイヤートラッキングユニット20、スピーカ26、紙幣/チケット識別ユニット28、プリンタユニット30、および、操作部32が設けられる。
【0024】
プレイヤートラッキングユニット20は、プレイヤー識別カードを認識するカードリーダー、データをプレイヤーに提示するディスプレイ、およびプレイヤーによる入力を受け付けるキーパッドを含む。プレイヤートラッキングユニット20は、コントローラ22または外部システムと共に協調動作することによって、プレイヤーによってカードリーダーに挿入されたプレイヤー識別カードに記録された情報を読み取り、その情報および/または外部システムと通信することによって取得された情報をディスプレイ上に表示する。さらに、プレイヤーからの入力がキーパッドによって受け付けられ、ディスプレイがその入力に従って変更され、必要に応じて外部システムとの通信が実行される。
【0025】
スピーカ26は、コントロールパネル18の左右に設けられる。スピーカ26は、コントローラ22を介して制御されることによってサウンドをプレイヤーに提供する。
【0026】
紙幣/チケット識別ユニット28は、紙幣/チケットが挿入される挿入開口部を露出させた状態でキャビネット12に収容され得る。挿入口の内側には各種センサで紙幣/チケットを識別する識別部が設けられる。識別部の出力口側には紙幣/チケット貯留部が設けられる。紙幣/チケット識別ユニット28は、ゲーム価値である紙幣/チケット(バウチャーおよびクーポンを含む)を受け付けて、ゲーム価値として識別し、コントローラ22に通知する。
【0027】
プリンタユニット30は、チケットが出力されるチケット出力口を露出させた状態でキャビネット12に収容され得る。チケット出力口の内側には所定情報を印刷用紙に印刷する印刷部が設けられ、印刷部の用紙入口側には印刷用紙を収容する収容部が設けられる。プリンタユニット30は、コントローラ22の制御下で、情報を用紙に印刷し、クレジット払い出し処理に従ってゲーミングマシン10からチケットを出力する。出力されたチケットは、別のゲーミングマシンの紙幣/チケット識別ユニット28に挿入されることによって、払い出されたクレジットをゲームプレイに利用することも可能であり、または、カジノ内のキオスク端末またはカジノケージで換金され得る。
【0028】
操作部32は、プレイヤーの操作を受け付ける。操作部32は、ゲーミングマシン10のプレイヤーから種々の指示を受け付けるボタン34のグループを含む。例えば、操作部32は、スピンボタンおよび設定ボタンのグループを含んでもよい。スピンボタンは、ゲームのインスタンスを開始する(リールの回転を開始する)ための指示を受け付ける。設定ボタンのグループは、ベットボタンのグループ、ライン指定ボタンのグループ、マックスベットボタン、およびペイアウトボタンなどを含む。ベットボタンのグループは、プレイヤーからのベットのクレジット額(ベット額)に関する指示操作を受け付ける。ライン指定ボタンのグループは、プレイヤーから、後述するライン判定に係るペイラインを指定する指示操作を受け付ける。マックスベットボタンは、プレイヤーが一度にベットすることができる最大クレジット額に関する指示操作を受け付ける。ペイアウトボタンは、ゲーミングマシン10に蓄積されたクレジットの払い出しを指示する指示操作を受け付ける。
【0029】
図2は、ゲーミングマシンの構成の一例を示すブロック図である。ゲーミングマシン10は、コントローラ22を含む。コントローラ22は、CPUなどのプロセッサ38、インターフェイスユニット40、メモリ42(記憶装置の一例)、およびストレージ44(記憶装置の一例)などを備える。コントローラ22は、制御ボードとしてキャビネット12の内部に収容され得る。コントローラ22は、インターフェイスユニット40を介して各部と通信可能に構成され、プロセッサ38のメモリ42またはストレージ44に記録されたプログラムを実行することによって各部の動作を制御し、ゲームをプレイヤーに提供する。
【0030】
インターフェイスユニット40は、プロセッサ38に接続されたメモリバス、各種拡張バス、シリアルインターフェイス、USBインターフェイス、イーサネット(登録商標)インターフェイスなどのプロセッサ38の通信機能を提供するチップセットを含む。
【0031】
メモリ42は、揮発性の記憶媒体であるRAM、不揮発性の記憶媒体であるROM、および書き換え可能な不揮発性の記憶媒体であるEEPROMを含む構成とすることができる。ストレージ44は、外部記憶装置としての機能をコントローラ22に提供し、取り外し可能な記憶媒体であるメモリカードおよび光磁気ディスクなどの読み取り装置を使用することができ、ハードディスクを利用することも可能である。
【0032】
インターフェイスユニット40には、紙幣/チケット識別ユニット28、プリンタユニット30、プレイヤートラッキングユニット20、グラフィックコントローラ50、入力コントローラ52、サウンドコントローラ53、およびイルミネーションコントローラ54が接続される。グラフィックコントローラ50、入力コントローラ52、サウンドコントローラ53、およびイルミネーションコントローラ54は、制御ボードとしてキャビネット12の内部に収容され得る。
【0033】
コントローラ22は、グラフィックコントローラ50を介して上部ディスプレイ14および下部ディスプレイ16に接続される。コントローラ22は、入力コントローラ52を介して操作部32に接続される。コントローラ22は、イルミネーションコントローラ54を介してイルミネーション36に接続される。
【0034】
コントローラ22は、メモリ42およびストレージ44に格納されたプログラムを実行することによって各部を制御し、ゲームをプレイヤーに提供する。ここで、例えば、コントローラ22の基本機能を提供するオペレーティングシステムおよびサブシステムのプログラムおよびデータをメモリ42のEEPROMに格納し、ゲームを提供するアプリケーションのプログラムおよびデータをストレージ44に格納するように構成されてもよい。そのような構成によれば、ストレージ44を交換することによってゲームを簡単に変更または更新することができる。さらに、コントローラ22は、複数のCPUを含むマルチプロセッサ構成としてもよい。
【0035】
以下、コントローラ22に接続された各ブロックについて説明する。紙幣/チケット識別ユニット28は、挿入口で紙幣/チケットを受け付け、紙幣種別またはクレジットの払い出し処理に対応する識別情報をコントローラ22に通知する。コントローラ22は通知された内容に応じてゲーム内で使用可能なクレジット額を増加させる。プリンタユニット30は、操作部32に含まれるペイアウトボタンの操作を受け付けるコントローラ22の制御下で、ゲーミングマシン10からのクレジット払い出し処理に対応した情報を、チケットに印刷されて出力される。
【0036】
プレイヤートラッキングユニット20は、コントローラ22と協調動作し、プレイヤーの情報などをカジノ管理システムとの間で送受信する。グラフィックコントローラ50は、コントローラ22の制御下で上部ディスプレイ14および下部ディスプレイ16を制御し、各種グラフィックスデータを含むディスプレイイメージを表示する。サウンドコントローラ53は、コントローラ22の制御下でスピーカ26を駆動し、アナウンス、効果音、BGMなどの各種サウンドを提供する。イルミネーションコントローラ54は、コントローラ22の制御下でイルミネーション36の点灯制御を行う。
【0037】
インターフェイスユニット40は、ゲーミングマシン10の外部と通信するための各種通信インターフェイスを含む。インターフェイスユニット40は、一例として、イーサネット58,60、およびシリアルインターフェイス62によって外部ネットワークと通信することができる。図3においては、公知のサーバサイドのゲーミングネットワーク(サーバベースゲーミング)、G2Sネットワーク(ゲーム-システム間)、およびスロット情報システム(スロットデータシステム)とそれぞれ通信を行う場合の一例が示される。
【0038】
図3は、図2のゲーミングマシンのゲーム画面の一例を示す概略図である。図3に示されるように、所定のプログラムを実行しているコントローラ22によって、下部ディスプレイ16には、スロットゲームを表示する表示領域64を有するゲーム画面が表示される。表示領域64は、一例としてゲーム画面の下方の領域に表示される。表示領域64以外のゲーム画面には、ゲームに関する情報やアニメーションなどの演出が表示される。
【0039】
表示領域64は、シンボルを表示するためのグリッド68を含んでいる。このような表示領域を使用することによって、ゲーミングマシン10は、表示領域64に表示されるシンボルの組合せに従って入賞判定を行い、配当を支払うスロットマシンとして動作する。
【0040】
下部ディスプレイ16は、複数のシンボルをグリッド68に表示する。グリッド68は、複数の行および列を含む。グリッド68は、シンボルの停止位置である複数のセル70によって構成される。図3は3×5のグリッド状に配置された複数のセルを含むゲーム画面を示す。グリッドの行数や列数は特に限定されず、3-4-4-4-3であってもよい。表示領域64の複数のセル70のそれぞれに、1つのシンボルが停止されて表示される。
【0041】
複数のセル70のそれぞれに配置されるシンボルは、仮想リールストリップを用いて決定される。図4は、表示領域に表示されるシンボルの序列を示しているシンボル配列を含む仮想リールストリップの一例を示す図である。図4に示されるように、グリッド68の各セル70には、仮想リールセット82をなす仮想リールストリップ72、74、76、78、および80を含む仮想リール66のシンボル配列に基づいてシンボルが表示される。つまり、グリッド68のセル70は、列ごとに仮想リールストリップ72~80が対応付けられており、各仮想リールストリップ72~80の所定部分に配置されたシンボルが表示される。さらに、仮想リールストリップ72~80のシンボル配列に基づいて列ごとに各シンボルを移動(スクロールまたはスピン)することによってグリッド68のセル70に表示されるシンボルが変動し、列ごとに移動(スクロールまたはスピン)を停止することによってシンボルが停止される。ここで、仮想リールストリップ72~80はデータであり、コントローラ22は、メモリ42またはストレージ44に含まれるプログラム、およびセル列ごとに調整されるシンボル配列(すなわち各リールストリップ上のシンボルの並び順)を表示するデータを使用する。さらに、仮想リールセット82は、このような仮想リールストリップ72~80の総称である。なお、仮想リールセットは、ゲーム内容に応じて複数用意されてもよい。例えば、プライマリゲームで使用される仮想リールセットと、ボーナスゲームやフリーゲームで用いられる仮想リールセットとを別にしてもよい。
【0042】
仮想リールストリップ72~80は、各シンボル位置86にある20個のシンボル84で構成されてもよく、これらのシンボルはリールごとに定義された順に並んでいる。図5は、図4に示されたシンボル84の詳細である。各仮想リールストリップ72~80は、図7に示された種々のシンボル84のシンボルセット88から選択されたシンボルを含んでいる。このシンボルセット88は、標準シンボルとしてトランプを模したカードシンボル(「9」、「10」、「J」、「Q」、「K」、および「A」)、およびパターンを示す画像シンボル(「PicA」、「PicB」、「PicC」、および「PicD」)を含んでいる。さらに、このシンボルセット88は、入賞組み合わせが判定されたときに別のシンボルとして代用されるワイルドシンボル(「Wild」)、およびゲームフィーチャーが提供されるかどうかを判定するために使用されるトリガーシンボル(「Trigger」)を含んでいる。これらの各シンボルは、入賞時のそれらの値に関して互いに相違するランクを有し、それらのランクは、「9」、「10」、「J」、「Q」、「K」、「A」、「PicE」、「PicD」、「PicC」、「PicB」、「PicA」という序列で徐々に上昇する。入賞時にランクの高いシンボルを含んでいるシンボルの組み合わせは、入賞時にランクの低いシンボルの組み合わせと比べて、より大きい入賞配当を獲得することができる。仮想リールセット82は複数のクレジット入賞シンボル85(「Prize」)をさらに含む。各クレジット入賞シンボル85は、ゲーム中にプレイヤーに付与することができる種々のクレジット額を示す。種々のクレジット額は、ゲームごとに10、15、20、30、60、150、350、700、1000、1500、および3000クレジットからランダムに選択されたクレジット数値を含んでもよい。各クレジット数値は、各スピンの開始時に、ラインごとのベットが乗じられてもよい。クレジット額に加えて、クレジット入賞シンボルは、ゲーム中にプレイヤーに付与することができるプログレッシブボーナスおよび/またはボーナスゲームトリガーを示してもよい。
【0043】
図4に戻り、一実施形態においては、シンボル位置の一部は固定シンボルを含み、その他のシンボル位置は、可変シンボル90(「inn」)によって表された可変シンボルを含んでもよい。例示的な実施形態においては、ゲームのプレイごとに、固定シンボル位置はシンボル84のセットからの関連する所定シンボルを含み、可変シンボル90はシンボルセット88からランダムに選択されたシンボルを含む。
【0044】
コントローラ22は、ゲームを開始し、各仮想リールストリップ72~80の停止位置をランダムに決定する。下部ディスプレイ16に表示される仮想リールストリップ72~80は、現在の位置から移動し、停止位置に基づいて停止して、ゲームの結果を表す。このため、下部ディスプレイ16またはグリッド68においては、仮想リールストリップ72~80に含まれるシンボルは、表示領域64の垂直方向に連続的に移動(スクロールまたはスピン)され、シンボル配列に基づくシンボルの序列で整列された1つのセル70の1つのシンボルが停止されて表示される。
【0045】
コントローラ22は、操作部32によって受け付けられたプレイヤーの操作に従って下部ディスプレイ16に表示される複数のシンボルを変動および停止し、表示領域64内で停止されたシンボルに従って配当が支払われてもよい。
【0046】
表示領域64では、ペイラインが設定され、入賞が決定されるときに使用される。ペイラインは、左端の列のセルから右端の列に跨がるように設定され、複数のセル70を組み合わせて入賞を決定するラインである。設定されたペイラインのうちの有効ラインの数は、プレイヤー用の操作部32の設定ボタンのグループに含まれるライン指定ボタンのグループの操作によって選択される。コントローラ22は、シンボルの組み合わせであるゲームの結果に関して、設定されたペイライン上で同一シンボルが所定数を超えて揃った場合に入賞を判定し、シンボルのタイプおよび個数に従って配当をプレイヤーに支払う。図6は、図3の表示領域64で設定されるペイラインの一例を示す図である。図6に示されるように、ゲーミングマシン10においては、表示領域64内の3行および5列のセルの、所定数のペイライン(40パターンのライン)が設定され得る。入賞を判定するためのシステムは、設定されたペイライン上で左端の列のセルから所定数の同一シンボルが揃ったときに入賞を決定してもよいし、設定されたペイライン上で右端の列のセルから所定数の同一シンボルが揃ったときに入賞を判定してもよいし、所定のペイライン上の連続した列で所定数の同一シンボルが揃ったときに入賞を判定するものであっても構わない。加えて、所定の数よりも多い「Trigger」は、ペイラインに関わらず、入賞組み合わせまたはトリガー条件を形成する。
【0047】
図7は、ゲーミングマシンのソフトウェアおよびデータの一例を示すブロック図である。ゲーミングマシン10は、ゲームアプリケーション92およびシステムアプリケーション108を含む。ゲームアプリケーション92およびシステムアプリケーション108は、例えばメモリ42に格納される。ゲームアプリケーション92およびシステムアプリケーション108は、プログラムであり、コンピュータ実行可能命令の一例であるプログラムコード94,110を含む。プログラムコード94,110は、プロセッサ38によって実行された場合、プロセッサ38に、ゲームを生成してゲーミングマシン10の下部ディスプレイ16に表示させる。プロセッサ38によって実行されたときに、ゲームアプリケーション92はゲーム専用/フロントエンド機能を提供し、システムアプリケーション108は汎用/バックエンド機能を提供する。
【0048】
ゲームアプリケーション92およびシステムアプリケーション108は、同一のオペレーティングシステム130上で実装される。これらのアプリケーションは、互いに異なるオペレーティングシステム上で実装されてもよいし、互いに異なるプロセッサによって実装されてもよい。
【0049】
ゲームアプリケーション92は、ゲーム専用/フロントエンド機能を提供する際に使用するデータを有する。一例として、ゲームアプリケーション92は、リールレイアウトデータ96、ペイテーブルデータ98、グラフィックスデータ100、サウンドデータ102、BGM関連データ104、およびリズムパターンデータ106を含む。
【0050】
リールレイアウトデータ96は、仮想リールストリップを含むデータであり、一例として図4に示される仮想リールセット82を含む。ペイテーブルデータ98は、入賞組合せと入賞とを関連付けたテーブルである。グラフィックスデータ100は、上部ディスプレイ14および下部ディスプレイ16に表示させるグラフィックスデータである。グラフィックスデータ100は、イベント用のアニメーションデータを生成するためのデータを含む。イベントは、一例として、プレイヤーの操作に応じたリールストップや、トリガーされたボーナスフィーチャー、ランダムに発生するボーナスフィーチャーなどである。
【0051】
サウンドデータ102は、オーディオ波形データとすることができる。サウンドデータ102は、BGMのサウンドデータおよびイベント用のサウンドデータを含んでいる。BGMのサウンドデータは、ゲーミングマシン10がプレイヤーにゲームを提供する際に背景音楽として再生する楽曲のデータである。例えば、ゲーミングマシン10は、ゲーム実行可能な状態とされたときにBGMのサウンドデータを再生開始し、ゲーム提供中は再生を継続し、ゲーム実行可能な状態でなくなったときに再生終了する構成としてもよい。より具体的には、ゲーミングマシン10は、ゲーム価値がゲーミングマシン10に投入された時点からBGMのサウンドデータを再生開始してもよい。さらに、ゲーミングマシン10は、プレイヤーがゲーム価値を全て消費するまで、あるいは、プレイヤーがゲーム価値を払い出すまでBGMのサウンドデータを再生継続してもよい。ゲーミングマシン10が複数のBGMを提供する場合には、サウンドデータ102は複数の楽曲についてサウンドデータを含む構成としてもよい。
【0052】
ここで、BGMのサウンドデータは、曲の冒頭であるイントロ部分のサウンドデータと、メロディが繰り返すリピート部分のサウンドデータとを含んでもよい。この場合、楽曲の開始時はイントロ部分のサウンドデータを用いてサウンドが出力され、イントロ部分のサウンドデータの終了後はリピート部分のサウンドデータがループ再生される。イベント用のサウンドデータは、イベント時に出力される楽曲や効果音などである。例えば、リールが停止する際の効果音、リールが回転している間の効果音、当選時に再生される楽曲、高額当選の際に再生される楽曲、ゲーム価値を払い出す際に再生される効果音および楽曲等をイベント用のサウンドデータとして用いることができる。
【0053】
BGM関連データ104は、BGMのサウンドデータについてのテンポデータを含んでいる。テンポデータは、BGM全体のテンポまたはビートのタイミングの情報(ビート情報の一例)を記述したデータである。所定のプログラムコードを実行するコントローラ22がBGMのサウンドデータを再生すると、そのテンポデータのテンポに従って、または、テンポデータに記述されたタイミングでビートを刻むように、BGMの楽曲がスピーカ26から出力される。このようなテンポデータは、上述したループ再生のために、ループスタートポイントとループエンドポイントとの情報を含んでいてもよい。
【0054】
図8は、BGM関連データ104の原型となるデータの一例である。このようなデータはBGMのサウンドデータを生成するシーケンスソフト等のツールから出力してもよいし、別の方法により構成しても構わない。図8に示されるように、このBGM関連データ104は、時刻に関連付けられた複数のビート1040を含むテンポデータであり、それぞれのビート1040はタイミング情報1041に関連付けられている。すなわち、最初のビート1040はタイミング情報1041が「00:00:00:000」、すなわち0ミリ秒に関連付けられている。次のビート1040はタイミング情報1041が「00:00:00:250」、すなわち250ミリ秒に関連付けられている。以下同様に、6000ミリ秒、6250ミリ秒、6500ミリ秒、48000ミリ秒、48250ミリ秒、48500ミリ秒にビートを刻むことが示されている。すなわち、このテンポデータでは、0ミリ秒から48500ミリ秒までの区間において、250ミリ秒間隔でビートが刻まれている。
【0055】
図8に示されるように、BGM関連データ104は、それぞれのビート1040に関連付けられる設定データ1042を含んでもよい。設定データ1042は、拍情報および設定S1~S3が関連付けられている。拍情報は楽曲の譜面上の位置を示す情報である。拍情報の最も大きい単位は小節であり、小節は拍に区切られ、拍はティックに区切られる。このティックはシーケンスソフトにおける拍情報の最小単位であり、480または960で一拍となる。設定S1は、ループスタートポイントまたはループエンドポイントとなるビートの設定である。設定S1として開始符号『[』が関連付けられたビートは、ループスタートポイントのビートであることを示す。設定S1として終了符号『]』が関連付けられたビートは、ループエンドポイントのビートであることを示す。図8の例においては、6500ミリ秒のビートが開始符号と関連付けられている。このため、6500ミリ秒のビート(4小節目の2拍目のビート)において、ループ再生が開始する。また、48500ミリ秒のビートが終了符号と関連付けられている。このため、48500ミリ秒のビート(25小節目の2拍目のビート)において、ループ再生が終了する。ループ再生が終了した場合、再びループスタートポイントのビートからサウンドデータが出力される。設定S2は音の強さ、設定S3は音の長さである。
【0056】
図8に示したBGM関連データ104は、種々のデータ形式に変換されてもよい。また、設定データ1042は、個々のビート1040に設定せず、ビート1040の総体であるテンポデータに対して1つ設定されてもよい。図9は変換されたテンポデータの一例であり、図10図9のテンポデータに関連付けられた設定データ1042の一例である。図10に示される設定データ1042は、図9に示されるビート1040に関連付けられている。図10に示されるように、設定データ1042は、ビートの総数、ループ開始位置のタイミング情報、ループ開始位置の累積拍数、BGMの終了位置のタイミング情報を有している。所定のプログラムコードを実行するコントローラ22がBGMのサウンドデータを再生すると、図9のテンポに従って、図10に示されるループ開始位置からループ再生を開始させるように、BGMの楽曲がスピーカ26から出力される。図8に示したBGM関連データ104をランタイム環境で図9に示したデータ形式に変換する構成としてもよい。また、図8および図9ではタイミング情報1041としてミリ秒を単位とした数字を示したが、後述するようにアニメーションとBGMとの同期を図る観点からは、タイミング情報1041の単位は当該時に表示されるフレームのフレームカウント値に変換してもよい。
【0057】
ゲーミングマシン10が複数のBGMを提供する場合には、BGM関連データ104はそれぞれのBGMのサウンドデータに関連付けられたテンポデータを含んでもよい。この場合、複数のテンポデータを識別するために、それぞれのテンポデータは、BGMを識別する識別子と関連付けられてもよい。複数のテンポデータは、1つのファイルに包含させる形でデータを構成してもよいし、BGM毎に別ファイルとして構成しても構わない。
【0058】
図7に戻り、リズムパターンデータ106は、イベントを実行または発生させるタイミングのシーケンスにかかる情報を含んでいる。リズムパターンデータ106は、所定期間のリズムの規則性である。リズムパターンデータ106は、全てのイベントに共通して適用されるリズムパターンを1つ含んでもよいし、イベントごとに使い分けるために複数のリズムパターンを含んでもよい。図11に、リズムパターンデータ106の例を音符のシーケンスで表現して示す。図11の(a)に示したリズムパターンデータ106は、連続した5つの4部音符から構成されているので、イベント実行または発生のタイミングは1拍目、2拍目、3拍目、4拍目、5拍目となる。また、図11の(b)に示したリズムパターンデータ106は、連続した2つの4分音符と3つの8部音符から構成されているので、イベント実行または発生のタイミングは1拍目、2拍目、3拍目、3拍目裏、4拍目となる。リズムパターンデータ106のデータ形式に特に制限はなく、所望のデータ形式とすることができる。
【0059】
システムアプリケーション108は、メーター112、会計ログデータ114、動作ログデータ116、ゲームリコールデータ118を有する。メーター112は、ゲーミングマシン10の現在のクレジット残高を示すためのクレジットメーター、および現在のゲームセッションの入賞総数を示すための入賞メーターを含む。メーター112は、コインの投入、コインの返却、合計ドロップ、接客係が支払うジャックポット、および/または紙幣の投入などの、バックグラウンドメーターをさらに含む。これらのメーターは、不揮発性メモリ上のデータとしてまたはハードウェアメーターとして実装されてもよい。会計ログデータ114は、エラーイベント、紙幣ログ、現金引き出しログ、チケットログなどを含んでいる蓄積データである。動作ログデータ116は、ゲーミングマシン10のログデータである。ゲームリコールデータ118は、プライマリゲームおよびフリーゲームのボーナスの結果を含む蓄積データである。ゲームリコールデータ118は、不揮発性メモリに格納され得る。
【0060】
ゲームアプリケーション92およびシステムアプリケーション108は、同一のオペレーティングシステム130上に実装することができる。ただし、これらのアプリケーションは、互いに異なるオペレーティングシステム上に実装してもよいし、さらに互いに異なるプロセッサ上に実装してもよい。
【0061】
ゲームアプリケーション92およびシステムアプリケーション108をオペレーティングシステム130で実行するために、ミドルウェア120を使用してもよい。図7に示した構成では、ミドルウェア120として、アニメーション122、サウンドプレイヤ124、タイマー126、および、ネットワーク128のソフトウェアモジュールを使用している。アニメーション122は、コンピュータグラフィックスのアニメーションを生成する際に利用されるソフトウェアモジュールである。サウンドプレイヤ124は、サウンドを再生する際に利用されるソフトウェアモジュールである。タイマー126は、タイマーを管理するソフトウェアモジュールである。ネットワーク128は、他のゲーミングマシン10などと通信する際に利用されるソフトウェアモジュールである。
【0062】
ゲーミングマシン10に内蔵または外付けされたデバイスをオペレーティングシステム130が認識し、使用するために、デバイスドライバ140を用いることができる。デバイスドライバ140は、オペレーティングシステム130に内蔵されていてもよいし、オペレーティングシステム130に外付けされる形の実装であっても構わない。
【0063】
ゲームアプリケーション92およびシステムアプリケーション108は、上述したプログラムおよびデータに限られることはなく、ゲームの実行、管理などの任意の機能を実装するために追加のプログラムおよびデータを有してもよい。
【0064】
図12は、ゲーミングマシンの動作時に使用されるアルゴリズム(方法MT1)を説明するフローチャートである。図12に示される方法MT1(制御方法の一例)は、コントローラ22がゲームアプリケーション92を実行することにより、実行される。提供されるゲームの一例は、ビデオスロットゲームである。
【0065】
図12に示されるように、コントローラ22は、コイン投入の有無を判定する(ステップS10)。ここで、コイン投入とは、ゲーミングマシン10に紙幣、コイン、バウチャー、クーポン等が投入されることを指し、モバイル端末、カードまたはオンラインアカウントに記録された金銭またはクレジット情報をゲーミングマシン10へ移動させることを含む。コントローラ22は、代表的には、紙幣/チケット識別ユニット28を介してコイン投入の有無を判定する。コントローラ22は、コイン投入を検出しない場合には、ステップS10の判定を繰り返す。コントローラ22は、コイン投入を検出した場合には、サウンドデータ102およびBGM関連データ104に基づいてBGMサウンドデータの再生を開始し、BGMをスピーカ26から出力させる(ステップS12)。BGMサウンドデータの再生が開始された場合、タイマー126はBGMサウンドデータの再生開始からの経過時間の計測を開始する。
【0066】
次に、コントローラ22は、ゲーム開始の入力の有無を判定する(ステップS14)。コントローラ22は、操作部32および入力コントローラ52を介して、プレイヤーによるゲーム開始の入力の有無を判定する。一例として、コントローラ22は、プレイヤーによるスピンボタンの押下操作をゲーム開始の入力として、その有無を判定する。コントローラ22は、ゲーム開始の入力がない場合には、ステップS14の判定を繰り返す。コントローラ22は、ゲーム開始の入力がある場合には、各リールの停止位置をランダムに決定する(ステップS16)。コントローラ22は、乱数生成器により生成された乱数に基づいて各リールの停止位置を決定する。コントローラ22は、各リールの停止位置だけでなく、適用するフィーチャーやボーナスイベントの有無についても乱数生成器により生成された乱数に基づいて決定してもよい。
【0067】
次に、コントローラ22は、BGMの現在のフレームカウントを取得する(ステップS18)。コントローラ22は、タイマー126を介して、BGMの現在のフレームカウントを取得する。現在のフレームカウントは、BGMが再生を開始してから何フレーム経過したかを示す数値である。例えば、フレームレートが60FPSである場合であって、BGMが再生を開始してから3900ミリ秒経過しているときには、現在のフレームカウントは「234(=60*3900/1000)」となる。
【0068】
次に、コントローラ22は、現在のフレームカウントから所定フレーム数以降のフレームカウントからオンビートになる最初のフレームカウントを特定する(ステップS20)。コントローラ22は、BGM関連データ104のテンポデータを参照してBGMがオンビートとなるタイミングのフレームカウントを選択する。例えば、BGMがオンビートとなるフレームカウントが「45」、「75」、「105」、「135」、「165」、「195」、「225」、「255」…と連続している場合であって、現在のフレームカウントが「65」、所定フレーム数が「60」であるときには、現在のフレームカウントに所定フレーム数を加算した「125」以降のカウント値であって、最も「125」に近い値である「135」をBGMがオンビートになる最初のフレームカウントとして特定する。
【0069】
次に、コントローラ22は、各リールを停止するフレームカウントを決定する(ステップS22)。コントローラ22は、一例として、ステップS20で特定されたフレームカウントで第1リールを停止し、第2リールを次の拍でオンビートとなるフレームカウント165、第3リールをその次の拍でオンビートとなるフレームカウント195、第4リールをその次の拍でオンビートとなる225、第5リールをその次にオンビートとなるフレームカウント255で停止させるものと決定する。
【0070】
次に、コントローラ22は、各リールのスピンおよび停止のアニメーションを生成し、表示を開始させる(ステップS30)。コントローラ22は、グラフィックスデータ100およびミドルウェア120にかかるソフトウェアモジュールであるアニメーション122を使用して、ステップS22で決定されたリールを停止させるフレームカウントまでスピンさせ、S16で決定された停止位置に停止させるアニメーションを生成する。この際、例えば、コントローラ22は、各リールのアニメーションで使用するフレームの量に応じて、スピン表示するリールの長さを修正してもよい。このようにすることで、スピン速度を変更することなく、所定タイミングで所定の停止位置で停止するアニメーションを生成することができる。リールの長さの修正は、例えばリールの中間部分について表示を省略することにより行われる。コントローラ22は、決定されたフレームカウントにおいて決定されたシンボルが停止表示されるように、修正されたリールを用いてリールのスピンおよび停止のアニメーションを生成する。コントローラ22は、生成されたアニメーションを下部ディスプレイ16に表示させる。
【0071】
次に、コントローラ22は、各リールを決定されたフレームカウントで停止させる(ステップS32)。このステップは、コントローラ22がステップS30で生成されたアニメーションを再生することにより行われ、各リールは決定されたフレームカウントで停止する。ここで、リールを停止するタイミングはBGMがオンビートになるフレームに設定されているので、リールはBGMのビートに合わせて停止し、リールが停止するタイミングとBGMがオンビートになるタイミングとの間でタイムラグは生じない。
【0072】
次に、コントローラ22は、各リールに表示されたシンボルに基づいて入賞判定を行う(ステップS34)。コントローラ22は、下部ディスプレイ16に表示された表示領域内のシンボルの組合せと入賞組合せとを比較する。コントローラ22は、比較結果に基づいて入賞の有無を決定する。
【0073】
ステップS34において入賞組合せがある場合には支払いへ移行する(ステップS36)。コントローラ22は、入賞組合せに応じて入賞額をプレイヤーに支払う(ステップS38)。一方、コントローラ22は、ステップS34において入賞組合せがない場合には図12に示される処理を終了する。
【0074】
以上、図12に示される処理が実行されることにより、リール停止(イベントの一例)の表示タイミングをBGMのビートと同期させることができる。
【0075】
図13は、ゲーミングマシンの動作時に使用されるアルゴリズム(方法MT2)を説明するフローチャートである。図13に示される方法MT2(制御方法の一例)は、コントローラ22がゲームアプリケーション92を実行することにより、実行される。提供されるゲームの一例は、ビデオスロットゲームである。方法MT2は、図14を参照しつつ説明する。図14は、BGMのビートに合わせたリールストップ用のサウンドの一例を説明する図である。
【0076】
ステップS40~ステップS50までの処理は、図12のステップS10~ステップS20までの処理と同一である。ここまでの処理で、図14に示されるように、スピンボタンが押下された時刻T1においてゲーム開始の入力が判定され(ステップS44)、所定フレーム数以降のフレームカウントから最初にオンビートになるフレームカウント(時刻T2に相当)が決定される(ステップS50)。
【0077】
最初にオンビートになるフレームカウントが特定された後に、コントローラ22は、第1リール(仮想リールストリップ72)を停止するフレームカウントを決定する(ステップS52)。コントローラ22は、ステップS50で特定されたフレームカウント(時刻T2に相当)を、第1リールを停止するフレームカウントと決定する。
【0078】
次に、コントローラ22は、第2リール(仮想リールストリップ74)から第5リール(仮想リールストリップ80)までを停止させるリズムパターンを取得する(ステップS56)。コントローラ22は、リズムパターンデータ106を参照し、リール停止イベントのリズムパターンを取得する。例えば、図14に示されるように、各リールに対応して図11の(b)に示したリズムパターンが取得される。
【0079】
次に、コントローラ22は、ステップS50で特定されたフレームカウント(時刻T2に相当)、およびステップS56で取得されたリズムパターンに基づいて、第2リールから第5リールまでを停止させるフレームカウントを決定する(ステップS58)。コントローラ22は、図14に示されるように、特定されたフレームカウント(時刻T2に相当)と、リズムパターンの先頭(第1リールの停止タイミング)とを一致させることにより、第2リールから第5リールまでを停止させるフレームカウントをリズムパターンに沿って決定する。
【0080】
続くステップS60~ステップS68は、図12に示されるステップS30~ステップS38と同一であり、アニメーションの表示および入賞判定、支払いが行われる。
【0081】
以上、図13に示される処理が実行されることにより、リール停止(イベントの一例)の表示タイミングをBGMのビートと同期させるとともに、リール停止のサウンドをBGMにオンビートで重ねることができる。
【0082】
図15は、ゲーミングマシンの動作時に使用されるアルゴリズム(方法MT3)を説明するフローチャートである。図15に示される方法MT3(制御方法の一例)は、コントローラ22がゲームアプリケーション92を実行することにより、実行される。方法MT3は、例えば図12の入賞判定(ステップS34)において、下部ディスプレイ16に表示された表示領域内のシンボルの組合せが、ボーナスゲームを獲得するシンボルの組合せを含む場合に、処理が開始される。
【0083】
図15に示されるように、コントローラ22は、ボーナスゲーム用のBGMの再生を開始する。コントローラ22は、サウンドデータ102およびBGM関連データ104に基づいてボーナスゲーム用のBGMサウンドデータを再生し、ボーナスゲーム用のBGMをスピーカ26から出力させる(ステップS70)。
【0084】
続くステップS72の処理は、図12のステップS14の処理と同一であり、ゲーム開始の入力が判定される。
【0085】
ゲーム開始の入力がある場合には、コントローラ22は、複数のシナリオからランダムにシナリオを選択する(ステップS74)。このようなボーナスゲームのシナリオは、メモリ42に予め記憶させておくことができる。コントローラ22は、メモリ42を参照して、乱数生成器により発生させた乱数に基づいて複数のシナリオから1つのシナリオを選択する。以下では、ボーナスゲームとして、下部ディスプレイ16に表示されたシンボルにかかるオブジェクトが上部ディスプレイ14の上方へジャンプし、ジャンプした高さに応じた額をボーナスとして支払うゲームを例に説明する。オブジェクトは、複数回ジャンプしてもよい。この場合、ボーナスゲームのシナリオには、オブジェクトがジャンプする位置、回数、高さ等の組合せが記録されている。
【0086】
続くステップS76の処理は、図12のステップS20の処理と同一であり、所定フレーム数以降のフレームカウントからオンビートになる最初のフレームカウントが特定される。
【0087】
次に、コントローラ22は、最初のイベントを発生させるフレームカウントを決定する(ステップS78)。コントローラ22は、一例として、ステップS76で特定されたフレームカウントを、最初のイベントを発生させるフレームカウントと決定する。これにより、オブジェクトがジャンプを開始するタイミングのフレームカウントが特定される。
【0088】
次に、コントローラ22は、後続のイベントを発生させるフレームカウントを決定する(ステップS80)。コントローラ22は、ステップS76で特定されたフレームカウントおよびBGM関連データ104のテンポデータに基づいて、後続のイベントを発生させるフレームカウントを決定する。後続のイベントは、例えば、オブジェクトの2回目のジャンプであってもよいし、オブジェクトの他の移動であってもよい。
【0089】
次に、コントローラ22は、イベントのアニメーションを生成し、表示を開始させる(ステップS82)。コントローラ22は、グラフィックスデータ100およびアニメーション122に基づいて、ステップS78およびステップS80において決定されたフレームカウントに基づいて動作するアニメーションを生成する。コントローラ22は、生成されたアニメーションを下部ディスプレイ16および上部ディスプレイ14に表示させる。
【0090】
次に、コントローラ22は、ゲーム結果を表示し、入賞額を支払う(ステップS84)。
【0091】
以上、図15に示される処理が実行されることにより、ボーナスゲーム(イベントの一例)の表示タイミングをBGMのビートと同期させることができる。
【0092】
以上、本実施形態に係るゲーミングマシン10によれば、プレイヤーの操作に応じてBGMがスピーカ26から出力されるとともに、下部ディスプレイ16でゲームの進行の表示が開始される。BGMのテンポデータに基づいてイベントを上部ディスプレイ14および/または下部ディスプレイ16に表示するフレームカウントが決定され、決定されたフレームカウントにイベントが表示されるように動的に構成されたアニメーションデータが上部ディスプレイ14および/または下部ディスプレイ16に表示される。このように、イベントの表示タイミングがBGMのテンポデータに基づいて決定されるため、イベントの表示タイミングをBGMのビートと同期させることができる。さらに、イベントの表示タイミングは、ユーザの操作にも基づいて決定されるため、ユーザ操作に伴って発生するリール停止(イベントの一例)であっても、リール停止の表示タイミングをBGMのビートと同期させることができる。これにより、ゲーミングマシン10は、プレイヤーに満足度の高いエクスペリエンスとしてのゲーム内イベントを提供することができる。
【0093】
本実施形態に係るゲーミングマシン10によれば、ランダムに発生してタイミングが一意に定まらないボーナスゲーム(イベントの一例)であっても、その画面表示をBGMのビートと同期させることができる。本実施形態に係るゲーミングマシン10によれば、イベントの表示タイミングをイベント用のサウンドとも同期させることができる。
【0094】
本実施形態に係るゲーミングマシン10によれば、リズムパターンに含まれるリズムでイベント用のサウンドを出力することができるため、種々のイベント用のサウンドを用いたとしてもイベントが発生していることをプレイヤーに容易に理解させることができる。このように、イベント用のサウンドとして種々のサウンドを利用することができるため、サウンドを用いた演出に幅を持たせることができる。
【0095】
本実施形態に係るゲーミングマシン10によれば、個々のリールの回転および停止(複数のイベントの一例)を上部ディスプレイ14および/または下部ディスプレイ16に表示するタイミングがリズムパターンデータ106により定まるリズムおよびBGMのビートに基づいて決定されるため、個々のリールの回転および停止の表示タイミングをリズムパターンデータ106により定まるリズムに乗せつつBGMのビートと同期させることができる。これにより、プレイヤーに複数のイベントの繋がりを容易に理解させることができ、サウンドを用いたイベントの表現に幅を持たせることができる。プレイヤーが最も注目するリールの停止動作のタイミングをBGMのビートと同期させることにより、プレイヤーにリズミカルなゲームの進行を提供するとともに、BGMとリールの動作とを融合させた快適なゲームを提供することができる。
【0096】
以上、ゲーミングマシン、ゲーミングシステム、および表示方法の例示的な実施形態が詳細に説明された。ゲーミングマシン、システム、および方法は、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されず、むしろゲーミングマシンおよび/またはシステムの構成要素、ならびに/あるいは方法のステップは、本明細書に記載された他の構成要素および/またはステップから独立して別個に使用されることがある。例えば、ゲーミングマシンは、他のゲーミングシステムおよび方法と組み合わせて使用されてもよく、本明細書に記載されたゲーミングマシンのみを使用する実施に限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、他の多くのゲーミングシステムの適用に関連して実施され、利用され得る。
【0097】
例えば、実施形態においてはスロットマシンの形態でゲームを提供するゲーミングマシン10を説明したが、本発明はそれに限定されず、ポーカー、ブラックジャックと呼ばれるビデオカードゲーム、ビンゴ、キノ、ホイールゲームなどの状態でゲームが提供されてもよい。さらに、本発明をパチンコマシンまたはパチンコスロットマシンに適用することができる。
【0098】
また、本明細書におけるコントローラは1つのプロセッサに限定されるものではなく、複数のプロセッサを含み得る。つまり、コントローラは、GPUを含めてコントローラと称してもよい。
【0099】
また、本開示に係るイベントは実施形態に記載されたイベントに限定されない。例えば、コントローラ22は、リールのスピン中の表示に演出を追加したアニメーションデータを構成してもよい。つまり、リールのスピン中の表示に追加される演出もイベントに含んでもよい。また、コントローラ22は、BGMのオンビートのタイミングでイルミネーション36を点灯させてもよい。つまり、イルミネーション36の点灯もイベントに含んでもよい。
【0100】
本明細書に記載されたようなコントローラ、コンピューティングデバイス、またはコンピュータは、少なくとも1つまたは複数のプロセッサまたは処理ユニットおよびシステムメモリを含む。コントローラは、通常、少なくとも何らかの形態のコンピュータ読み取り可能な媒体も含む。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、コンピュータ記憶媒体および通信媒体が挙げられるが、これらに限定されない。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、またはその他のデータなどの情報の格納を可能にする任意の方法または技術で実装された揮発性および不揮発性の、脱着可能および脱着不能な媒体を含み得る。通信媒体は、典型的には、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、またはその他のデータを、搬送波またはその他の搬送機構などの変調データ信号で具現化し、任意の情報配信媒体を含む。情報が信号にコード化されるように設定または変更された1または複数のその特性を有する変調データ信号については、当業者にはよく理解されているはずである。上記の任意の組み合わせもコンピュータ読み取り可能な媒体の範囲内に含まれる。
【0101】
本明細書に例示され説明された本発明の実施形態における動作の実行または実施の順序は、特に指定がない限り必須ではない。すなわち、本明細書に説明された動作は、特に指定がない限り任意の順序で実施されてもよく、本発明の実施形態は、本明細書に開示された動作よりも多いまたは少ない動作を含んでもよい。例えば、特定の動作を、別の動作の前、別の動作と同時、もしくは別の動作の後に実行または実施することは、本発明の態様の範囲内であると考えられる。
【0102】
いくつかの実施形態においては、本明細書に説明されるようなプロセッサには、システムおよびマイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、および本明細書に説明された機能を実行できる任意の他の回路またはプロセッサを含む、任意のプログラマブルシステムが含まれる。上記の例は、例示にすぎず、したがって、プロセッサという用語の定義および/または意味を何ら限定することを意図していない。
【0103】
本明細書は、本発明を開示するために、最良の形態を含む例を使用しており、また、任意の装置またはシステムを作製および使用すること、および任意の組み込まれた方法を実施することを含めて当業者が本発明を実施することを可能にするために、最良の形態を含む例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に思い付く他の例を含むことができる。本発明の他の態様および特徴は、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の検討から得ることができる。本発明は、特に添付の特許請求の範囲内に記載された以外の方法で実施され得る。添付の特許請求の範囲内に列挙されたステップおよび/または機能は、その列挙されたステップおよび/または機能の順序に関わらず、動作の特定の順序に限定されないことにも留意されたい。
【0104】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴は、いくつかの図面に示され他の図面に示されていないことがあるが、これは単に便宜のためである。本発明の原理に従って、図面の任意の特徴が任意の他の図の任意の特徴と組み合わされて参照および/または請求されることがある。
【符号の説明】
【0105】
10…ゲーミングマシン、14…上部ディスプレイ、16…下部ディスプレイ、22…コントローラ、42…メモリ、44…ストレージ、102…サウンドデータ、104…BGM関連データ、1040…ビート、106…リズムパターンデータ、MT1,MT2,MT3…方法。
図1
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【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれシンボルの配置された複数のリールを有するゲーム画面を表示し、回転させた前記リールをランダムに決定された位置に停止させるとともに、前記リールのスピン中に演出を表示する演出イベントを含むゲームの進行を表示するディスプレイと、
前記ゲームのサウンドを出力するスピーカと、
BGM全体のビート情報を含むテンポデータおよび前記BGMのサウンドデータを格納する記憶装置と、
前記ディスプレイと前記スピーカと前記記憶装置とに接続されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記記憶装置に格納された前記BGMのサウンドデータに基づいて前記BGMを前記スピーカに出力させつつ、前記ディスプレイでゲームの進行の表示を開始するとともに、
前記テンポデータに基づいてリールスピン中に前記演出イベントを前記ディスプレイに表示するタイミングを決定し、
前記決定されたタイミングに前記演出イベントが表示されるアニメーションデータを動的に構成し、
前記動的に構成されたアニメーションデータを前記ディスプレイに表示させ
前記ディスプレイに表示された前記シンボルの組み合わせにより入賞判定を行うゲーミングマシン。
【請求項2】
さらに、プレイヤーの操作を受け付ける操作部を備え、
前記コントローラは、前記プレイヤーが前記操作部を操作したタイミングおよび前記テンポデータに基づいて、前記演出イベントを前記ディスプレイに表示するタイミングを決定する請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項3】
前記記憶装置は、演出イベント用サウンドデータを格納し、
前記コントローラは、前記記憶装置に格納された前記演出イベント用サウンドデータに関するサウンドを前記決定されたタイミングで前記スピーカに出力させる請求項1又は2に記載のゲーミングマシン。
【請求項4】
前記記憶装置は、複数の演出イベントを順次表示するリズムを定めたリズムパターンを格納し、
前記コントローラは、前記テンポデータおよび前記リズムパターンに基づいて、複数の演出イベントを前記ディスプレイに表示するタイミングをそれぞれ決定し、
前記決定されたタイミングに前記複数の演出イベントが順次表示されるようにアニメーションデータを動的に構成し、
前記動的に構成されたアニメーションデータを前記ディスプレイに表示させる、
請求項1~の何れか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項5】
点灯するイルミネーションをさらに含み、
前記コントローラは、前記決定されたタイミングで前記イルミネーションを点灯させる請求項1~の何れか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項6】
ゲーミングマシンの制御方法であって、
前記ゲーミングマシンは、
それぞれシンボルの配置された複数のリールを有するゲーム画面を表示し、回転させた前記リールをランダムに決定された位置に停止させるとともに、前記リールのスピン中に演出を表示する演出イベントを含むゲームの進行を表示するディスプレイと、
前記ゲームのサウンドを出力するスピーカと、
BGM全体のビート情報を含むテンポデータおよび前記BGMのサウンドデータを格納する記憶装置と、
前記ディスプレイと前記スピーカと前記記憶装置とに接続されたコントローラと、
を備え、
前記制御方法は、
前記コントローラによって、前記記憶装置に格納された前記BGMのサウンドデータに基づいて前記BGMを前記スピーカに出力させつつ、前記ディスプレイでゲームの進行の表示を開始するとともに、
前記コントローラによって、前記テンポデータに基づいてリールスピン中に前記演出イベントを前記ディスプレイに表示するタイミングを決定し、
前記コントローラによって、前記決定されたタイミングに前記演出イベントが表示されるアニメーションデータを動的に構成し、
前記コントローラによって、前記動的に構成されたアニメーションデータを前記ディスプレイに表示させ、
前記ディスプレイに表示された前記シンボルの組み合わせにより入賞判定を行う、
制御方法。
【請求項7】
ゲーミングマシンを動作させるプログラムであって、
前記ゲーミングマシンは、
それぞれシンボルの配置された複数のリールを有するゲーム画面を表示し、回転させた前記リールをランダムに決定された位置に停止させるとともに、前記リールのスピン中に演出を表示する演出イベントを含むゲームの進行を表示するディスプレイと、
前記ゲームのサウンドを出力するスピーカと、
BGM全体のビート情報を含むテンポデータおよび前記BGMのサウンドデータを格納する記憶装置と、
前記ディスプレイと前記スピーカと前記記憶装置とに接続されたコントローラと、
を備え、
前記プログラムは、前記コントローラを、
前記記憶装置に格納された前記BGMのサウンドデータに基づいて前記BGMを前記スピーカに出力させつつ、前記ディスプレイでゲームの進行の表示を開始するとともに、
前記テンポデータに基づいてリールスピン中に前記演出イベントを前記ディスプレイに表示するタイミングを決定し、
前記決定されたタイミングに前記演出イベントが表示されるアニメーションデータを動的に構成し、
前記動的に構成されたアニメーションデータを前記ディスプレイに表示させ、
前記ディスプレイに表示された前記シンボルの組み合わせにより入賞判定を行うように動作させる、プログラム。