(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004031
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】交通状況予測装置及び交通状況予測方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240109BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240109BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103461
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】上野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】大場 義和
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB20
5H181DD04
5H181EE02
5H181EE12
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181MC04
5H181MC14
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】突発事象に起因する渋滞を高精度に予測する。
【解決手段】実施形態の交通状況予測装置は、取得部と、検出処理部と、予測処理部とを備える。取得部は、道路に設置された車両感知器により取得される感知器データと、道路を走行中の車両から取得されるプローブデータとを取得する。検出処理部は、プローブデータに基づいて道路上で発生した突発事象に起因するボトルネックを検出する。予測処理部は、ボトルネックに対応するプローブデータと、ボトルネックより上流側に設置された車両感知器により取得された感知器データとが紐付けられた紐付けデータに基づいて、突発事象に起因して将来発生する渋滞に関する渋滞予測情報を生成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に設置された車両感知器により取得される感知器データと、前記道路を走行中の車両から取得されるプローブデータとを取得する取得部と、
前記プローブデータに基づいて前記道路上で発生した突発事象に起因するボトルネックを検出する検出処理部と、
前記ボトルネックに対応する前記プローブデータと、前記ボトルネックより上流側に設置された前記車両感知器により取得された前記感知器データとが紐付けられた紐付けデータに基づいて、前記突発事象に起因して将来発生する渋滞に関する渋滞予測情報を生成する予測処理部と、
を備える交通状況予測装置。
【請求項2】
過去の前記感知器データと、過去の前記プローブデータと、過去に発生した渋滞に関するデータとに基づく教師データを用いて機械学習を行うことにより、前記紐付けデータが入力されることにより前記渋滞予測情報を出力する予測モデルを生成する学習処理部、
を更に備え、
前記予測処理部は、前記予測モデルを用いて前記渋滞予測情報を生成する、
請求項1に記載の交通状況予測装置。
【請求項3】
前記予測モデルは、前記道路を複数に分割する区間ごと又は複数の前記区間を含む路線ごとに生成される、
請求項2に記載の交通状況予測装置。
【請求項4】
前記検出処理部は、前記プローブデータに含まれる少なくとも前記車両の速度及び前記車両の位置に基づいて前記突発事象に起因する前記ボトルネックを検出する、
請求項1に記載の交通状況予測装置。
【請求項5】
前記紐付けデータは、少なくとも前記突発事象が発生した区間及び当該区間の上流側に位置する上流側区間の前記プローブデータと、前記上流側区間の前記感知器データとが紐付けられたデータである、
請求項1に記載の交通状況予測装置。
【請求項6】
前記紐付けデータは、更に、前記突発事象が発生した区間の下流側に位置する区間の前記感知器データが紐付けられたデータである、
請求項1に記載の交通状況予測装置。
【請求項7】
取得部が、道路に設置された車両感知器により取得される感知器データと、前記道路を走行中の車両から取得されるプローブデータとを取得する工程と、
検出処理部が、前記プローブデータに基づいて前記道路上で発生した突発事象に起因するボトルネックを検出する工程と、
予測処理部が、前記ボトルネックに対応するプローブデータと、前記ボトルネックより上流側に設置された前記車両感知器により取得された前記感知器データとが紐付けられた紐付けデータに基づいて、前記突発事象に起因して将来発生する渋滞に関する渋滞予測情報を生成する工程と、
を含む交通状況予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、交通状況予測装置及び交通状況予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路を走行する車両の運転者に対して走行予定の経路の渋滞情報を提供するシステムが利用されている。このようなシステムにおいて、高速道路等に所定間隔で設置された車両感知器により取得される感知器データにより、交通量(走行する車両の台数、速度、密度等)を検知することで、渋滞の発生を検知する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-137696号公報
【特許文献2】特開2021-071995号公報
【特許文献3】特開2017-134003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、将来(予測)の交通状況を鑑みたうえでの渋滞、所要時間等の情報提供をできていない。更に、事故、落下物等の突発事象が発生すると交通量が大きく変化するため、渋滞の発生を予測することが困難である。
【0005】
そこで、実施形態の課題は、突発事象に起因する渋滞を高精度に予測することが可能な交通状況予測装置及び交通状況予測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の交通状況予測装置は、取得部と、検出処理部と、予測処理部とを備える。取得部は、道路に設置された車両感知器により取得される感知器データと、道路を走行中の車両から取得されるプローブデータとを取得する。検出処理部は、プローブデータに基づいて道路上で発生した突発事象に起因するボトルネックを検出する。予測処理部は、ボトルネックに対応するプローブデータと、ボトルネックより上流側に設置された車両感知器により取得された感知器データとが紐付けられた紐付けデータに基づいて、突発事象に起因して将来発生する渋滞に関する渋滞予測情報を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態における道路を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態の交通状況予測システムの全体構成図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の交通状況予測装置の機能構成図である。
【
図4】
図4は、実施形態の紐付けデータを模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の予測モデルの処理を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態の交通状況予測装置による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の交通状況予測装置、および、交通状況予測方法の実施形態について説明する。
【0009】
まず、
図1を参照して、実施形態における道路Rについて説明する。
図1は、実施形態における道路Rを模式的に示す図である。車両Cが走行する道路Rは、例えば、高速道路である。道路Rには、インターチェンジ(IC)や分岐合流のように交通量が変わるポイントや所定距離毎に、必要に応じて車両感知器2が設置されている。ここでは、道路Rが便宜的に車両感知器2毎に管理単位としての区間#1,#2,#3,・・・に分割されているものとする。
【0010】
次に、
図2を参照して、実施形態の交通状況予測システムSの全体構成について説明する。
図2は、実施形態の交通状況予測システムSの全体構成図である。交通状況予測システムSは、交通状況予測装置1と、車両感知器2と、道路交通管制システム3と、プローブデータ管理装置4と、路車間通信装置(ITS(Intelligent Transport Systems)スポット等)5と、を備える。
【0011】
道路交通管制システム3は、管制対象の道路の実際の交通状況の監視や管理を総合的に行うコンピュータシステムであり、車両感知器2から受信した感知器データに基づいて交通状況を表示し、操作者の操作に基づいて交通を円滑にするための操作を行うものである。
【0012】
車両感知器2(
図1参照)は、高速道路の区間ごとに路側に設置される。車両感知器2は、設置場所の近傍を通過する車両Cを感知し、感知結果に基づく感知器データを収集する。感知器データには、例えば、交通量[台/h(hour)]、平均速度[km/h]、車両密度[台/km]、占有率(オキュパンシー)[%]などが含まれ得る。このような車両感知器2を利用することにより、車両感知器2が設置された区間を通過する全車両の感知器データを取得できるという利点が得られる。その反面、車両感知器2を設置していない区間のデータは取得できないという課題がある。車両感知器2は、収集した感知器データを道路交通管制システム3に送信する。
【0013】
路車間通信装置(ITSスポット等)5は、路側に設置され、路車間通信装置5と通信できる車載器(例えばETC2.0車載器等)と通信を行うための装置である。路車間通信装置5は、車載器に対して渋滞等の交通情報の提供、車両の走行経路の特定のための通信、プローブデータの取得等を行う。
ここで、プローブデータとは、所定の機器(例えば、ETC2.0)を搭載している車両C(プローブカー)から取得されるデータであり、車両Cの挙動履歴、走行履歴等を示す情報である。プローブデータには、例えば、速度情報、加速度情報、位置情報等が含まれる。
ここで、プローブデータは、路車間通信装置5と通信できる車載器を搭載した車両からしかデータを収集できないことが課題となる。しかしながら、その反面、車両感知器2のようなセンサを設置していない区間であっても、当該車載器を搭載している車両の走行があれば、データを収集できる点が利点となる。
【0014】
プローブデータ管理装置4は、道路を走行している車両Cから路車間通信装置5を介して取得したプローブデータを取り込み、プローブデータを管理するコンピュータシステムである。
【0015】
交通状況予測装置1は、将来の交通状況の予測する装置である。交通状況予測装置1は、道路交通管制システム3から、車両感知器2で受信した感知器データや、その他の交通に関連するデータを取り込む。一方、プローブデータ管理装置4からプローブデータを取り込み、その両方を用いて、交通状況予測を予測する。
このように、車両感知器2で収集した感知器データのみでは車両感知器2の設置されていない区間の交通状況がわからないという課題を、設置区間に関係なく取得できるプローブデータと感知器データとを組み合わせることで、より高精度な交通状況予測が可能となる。
【0016】
次に、
図3を参照して、実施形態の交通状況予測装置1の機能構成について説明する。
図3は、第1実施形態の交通状況予測装置1の機能構成図である。交通状況予測装置1は、コンピュータ装置であり、処理部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、通信部15と、を備える。
【0017】
なお、第1実施形態では、交通状況予測装置1について、説明を簡潔にするために、1台のコンピュータ装置によって構成されているものとして説明するが、これに限定されない。交通状況予測装置1は、例えば、複数のコンピュータ装置によって実現されてもよいし、あるいは、クラウドサーバによって実現されてもよい。
【0018】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置であり、各種情報を記憶する。記憶部12は、例えば、道路データ121と、感知器データ122と、プローブデータ123と、紐付けデータ124と、教師データ125と、予測モデル126と、予測結果127と、を記憶する。
【0019】
道路データ121は、道路の構造に関する情報であり、例えば、区間の識別情報や長さ(区間長)や最大収容車両数等、車線数、インターチェンジ、パーキングエリアの場所等の情報である。
【0020】
感知器データ122は、道路交通管制システム3から取得した、車両感知器2によって収集された交通量[台/h]、平均速度[km/h]、車両密度[台/km]、占有率(オキュパンシー)[%]などの情報である。
【0021】
プローブデータ123は、プローブデータ管理装置4から取得した、道路を走行している複数の車両Cのそれぞれの挙動履歴に関する情報(例えば車速、加速度等)、走行履歴に関する情報(例えば位置等)等である。
【0022】
紐付けデータ124は、後述する検出処理部112により検出される、突発事象に起因するボトルネックに対応するプローブデータ123と、当該ボトルネックより上流側に設置された車両感知器2によって取得された感知器データ122とが紐付けられたデータである。紐付けデータ124については後述する。
【0023】
教師データ125は、機械学習により予測モデル126を生成するためのデータであり、入力データのサンプルデータと出力データの正解データ(実績値)とを含む。教師データ125におけるサンプルデータは、例えば過去の感知器データ122及び過去のプローブデータ123を含み、正解データは、例えば過去に実際に発生した渋滞に関するデータを含む。
【0024】
予測モデル126は、突発事象に起因して将来発生する渋滞に関する渋滞予測情報を生成するためのモデルであり、後述する学習処理部114により教師データ125を用いて生成される。なお、予測モデル126は、学習処理部114以外の適宜な機械学習手段を用いて生成されたものであってもよい。予測モデル126は、区間ごとに生成されてもよいし、複数の区間を含む路線ごとに生成されてもよい。
【0025】
予測結果127は、後述する予測処理部113により予測モデル126を用いて生成される、交通状況の予測結果を示す情報である。本実施形態の予測結果127は、突発事象に起因して将来発生する渋滞に関する渋滞予測情報を含む。
【0026】
なお、記憶部12に記憶されるデータは上記に限定されるものではない。例えば、記憶部12には、監視対象の道路近辺の気象に関する気象データ、監視対象の道路近辺で行われるイベントに関するイベントデータ等が記憶されてもよい。
【0027】
処理部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備える。CPUは、交通状況予測装置1の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM、記憶部12等に格納されたプログラムを実行する。
【0028】
処理部11は、機能構成として、取得部111と、検出処理部112と、予測処理部113と、学習処理部114と、表示制御部115と、送信制御部116と、を備える。
【0029】
取得部111は、外部装置から各種情報を取得する。本実施形態の取得部111は、道路交通管制システム3から、区間ごとに、車両感知器2によって収集された感知器データ122を取得する。また、取得部111は、プローブデータ管理装置4から、区間ごとに、道路を走行中の車両Cから収集されるプローブデータ123を取得する。
【0030】
検出処理部112は、取得部111により取得されたプローブデータ123に基づいて、道路上で発生した突発事象に起因するボトルネックを検出する。突発事象とは、例えば、事故、落下物、故障車、路上設備の故障、道路の破損、自然災害等であり得る。
ボトルネックとは、渋滞を発生させる原因となる道路上の領域である。検出処理部112は、例えば、プローブデータ123に含まれる複数の車両の速度変化、加速度変化、位置情報等に基づいて、道路上に発生したボトルネックを検出する。ボトルネックの具体的な検出方法は、特に限定されるべきものではないが、例えば、所定数以上の車両が所定速度未満となる領域をボトルネックと判定できる。
【0031】
ここで、検出されたボトルネックが突発事象に起因するものであるか否か(自然発生的なものでないか)を判定する方法は、特に限定されるべきものではないが、
例えば、ボトルネックが検出された領域における過去のボトルネック発生頻度等に基づいて当該判定を行うことができる。
例えば、ボトルネックが検出された領域における過去のボトルネック発生頻度(単位期間あたりのボトルネック発生回数)が閾値未満である場合等に、当該ボトルネックは突発事象に起因するものであると判定できる。
また、過去にボトルネックが発生した時間帯等を考慮して当該判定を行ってもよい。
【0032】
予測処理部113は、検出処理部112により検出された、突発事象に起因するボトルネックに対応するプローブデータ123と、当該ボトルネックより上流側に設置された車両感知器2により取得された感知器データ122とが紐付けられた紐付けデータ124に基づいて、当該突発事象に起因して将来発生する渋滞に関する渋滞予測情報を生成する。
【0033】
ここで、ボトルネックに対応するプローブデータ123とは、例えば、ボトルネックより上流側であり且つボトルネックから所定距離内を走行している車両の速度、加速度、位置等を示すデータであり得る。渋滞予測情報には、例えば、渋滞区間、渋滞発生時刻、渋滞距離、通過所要時間、平均速度等が含まれ得る。
本実施形態の予測処理部113は、区間ごと又は路線ごとに生成された予測モデル126を用いて渋滞予測情報を生成する。
【0034】
学習処理部114は、過去の感知器データ122と、過去のプローブデータ123と、過去に発生した渋滞に関するデータとを含む教師データ125を用いて機械学習を行い、区間ごと又は路線ごとに予測モデル126を生成する。過去に発生した渋滞に関するデータとは、例えば、過去に実際に発生した渋滞の渋滞区間、通過所要時間、平均速度等であり得る。
学習処理部114は、例えば、着目区間とその周辺区間の教師データ125を用いて予測モデル126を生成する。
また、学習処理部114は、過去の気象データ、過去のイベントデータなどを更に利用して機械学習を行ってもよい。また、機械学習は、必ずしも事故発生区間毎に行わなくてもよく、路線単位等で予測モデルを生成してもよい。
【0035】
表示制御部115は、各種情報を表示部14に表示させる。
【0036】
送信制御部116は、各種情報を外部装置に送信する。例えば、送信制御部116は、予測処理部113により生成された渋滞予測情報を含む予測結果127を道路交通管制システム3、道路を走行中の車両C、道路の路側に設置されている情報板、所定のユーザ(例えば車両Cの乗員等)が使用するスマートフォン等の端末装置に送信して表示させる。
【0037】
入力部13は、交通状況予測装置1に対するユーザ(例えばシステム管理者等)の操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス等である。
【0038】
表示部14は、液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))、有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等により実現される。
【0039】
通信部15は、外部装置との通信を行うための通信インタフェースである。
【0040】
次に、
図4を参照して、紐付けデータ124について説明する。
図4は、実施形態の紐付けデータ124を模式的に示す図である。
図4において、道路上の3つの区間#11~#13のうち区間#12において突発事象に起因するボトルネックB(例えば、事故、故障車、落下物等)が発生した場合が例示されている。
このような場合、紐付けデータ124は、ボトルネックBが発生した区間に対応する車両Cから得られたプローブデータ123と、ボトルネックBが発生した区間に設置された車両感知器2Aから取得された感知器データ122Aと、ボトルネックBより上流側に設置された車両感知器2A,2Bにより取得された感知器データ122Bとが紐付けられて生成される。
【0041】
なお、
図4においては、紐付けデータ124は、ボトルネックBが検出された区間#12の感知器データ122Aと、その1つ上流の区間#13の感知器データ122Bとをプローブデータ123に紐付ける例が示されているが、更に区間#12の2つ以上上流の区間の感知器データを紐付けてもよい。また、プローブデータ123も、複数台分の車両Cのデータが存在する。
また、紐付けデータ124は、ボトルネックBが発生した区間に対応する車両Cから得られたプローブデータ123と、ボトルネックBが発生した区間に設置された車両感知器2Aから取得された感知器データ122Aと、ボトルネックBより上流側に設置された車両感知器2Bにより取得された感知器データ122Bとに加えて、ボトルネックBが検出された区間#12より下流側の区間#11の感知器データを紐付けてもよい。
【0042】
次に、
図5を参照して、予測モデル126について説明する。
図5は、実施形態の予測モデル126の処理を説明するための図である。
図5に示されるように、予測モデル126は、紐付けデータ124を入力データとし、渋滞予測情報130を出力データとする。
【0043】
紐付けデータ124に含まれる感知器データ122A,122Bには、例えば、ボトルネックBが発生した区間と、その区間の上流側に位置する区間(上流側区間)における交通量、平均速度、車両密度、占有率などが含まれ得る。
【0044】
紐付けデータ124に含まれるプローブデータ123には、例えば、ボトルネックBより上流側で且つボトルネックBから所定距離内を走行している車両の速度、加速度、位置等が含まれ得る。
【0045】
出力データとなる渋滞予測情報130には、例えば、渋滞区間、渋滞発生時刻、渋滞長、任意の2地点間の所要時間、平均速度等が含まれ得る。
なお、予測モデル126への入力データとして、更に気象情報、曜日情報、時間帯情報、イベント情報(事故、故障車、落下物等の交通管制システムで検知されたイベント)等を追加してもよい。このようにすることで、気象情報やイベント情報を加味した予測となり、渋滞予測の精度が向上する。
【0046】
上記のような紐付けデータ124を予測モデル126に入力することにより、突発事象に起因するボトルネックBにより引き起こされる将来の渋滞を高精度に予測できる。このような手法によれば、感知器データのみ又はプローブデータのみを用いて渋滞予測を行う場合に比べ、予測精度を向上させることができる。
【0047】
図6を参照して、交通状況予測装置1による処理の流れについて説明する。
図6は、実施形態の交通状況予測装置1による処理を示すフローチャートである。
S101において、取得部111が監視対象の道路を走行している車両Cのプローブデータ123を取得する。
【0048】
次に、S102において、検出処理部112は複数の車両Cのそれぞれから取得される複数のプローブデータ123に基づいて、突発事象に起因するボトルネックBを検出する処理を行う。
S102において、ボトルネックBが検出されない場合(S102:No)、本ルーチンを終了する。
S102において、ボトルネックBが検出された場合(S102:Yes)、予測処理部113は当該ボトルネックBに対応するプローブデータ123と、当該ボトルネックBより上流側に設置された車両感知器2A,2Bにより取得された感知器データ122A,122Bとを紐付けて紐付けデータ124を生成する(S103)。
【0049】
そして、S104において、紐付けデータ124に基づいて渋滞予測情報130を生成する。このとき、予測処理部113はボトルネックBが存在する区間又は路線に対応する予測モデル126に紐付けデータ124を入力することにより渋滞予測情報130を生成する。
その後、S105において、表示制御部115又は送信制御部116は渋滞予測情報130をユーザ(車両の運転手等)が認識可能な態様で出力する。
【0050】
なお、突発事象とボトルネックとの因果関係の有無は、プローブデータ以外の情報に基づいて行われてもよい。例えば、道路に設置されたカメラにより取得された映像、路上監視員からの報告、車両の乗員からの通報等に基づいて突発事象とボトルネックとの因果関係を特定してもよい。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、プローブデータと感知器データとが紐付けられた紐付けデータに基づいて突発事象に起因する渋滞が予測される。これにより、突発事象に起因する渋滞を高精度に予測することが可能となる。
【0052】
本実施形態の交通状況予測装置1のCPUで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0053】
さらに、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1…交通状況予測装置、2,2A,2B…車両感知器、3…道路交通管制システム、4…プローブデータ管理装置、5…路車間通信装置、11…処理部、12…記憶部、13…入力部、14…表示部、15…通信部、111…取得部、112…検出処理部、113…予測処理部、114…学習処理部、115…表示制御部、116…送信制御部、121…道路データ、122,122A,122B…感知器データ、123…プローブデータ、124…紐付けデータ、125…教師データ、126…予測モデル、127…予測結果、130…渋滞予測情報、C…車両、R…道路、S…交通状況予測システム