(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040318
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】作業管理システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20240315BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017559
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2022124421の分割
【原出願日】2019-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸則
(57)【要約】
【課題】 作業領域において実行された所定作業の作業主体を識別し、作業主体に基づいて管理情報を管理する作業管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 作業管理システムは、交換要素に対する所定作業が実行された場合に、所定作業の作業主体が作業者であるかロボットであるかを識別する識別部と、識別部による識別結果に基づいて、交換要素に関連付けられた管理情報を管理する情報管理部と、を備える。管理情報には、交換要素の識別符号ごとに、交換要素に保持された物品の種類を示す情報を関連付けた情報が含まれる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換要素に対する所定作業が実行された場合に、前記所定作業の作業主体が作業者であるかロボットであるかを識別する識別部と、
前記識別部による識別結果に基づいて、前記交換要素に関連付けられた管理情報を管理する情報管理部と、
を備え、
前記管理情報には、前記交換要素の識別符号ごとに、前記交換要素に保持された物品の種類を示す情報を関連付けた情報が含まれる、作業管理システム。
作業管理システム。
【請求項2】
前記所定作業は、前記交換要素の補給作業または回収作業である、請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項3】
前記交換要素は、基板に部品を装着する部品装着機に装備され前記部品を供給するフィーダ、前記部品を収容するキャリアテープが巻回されたリール、および吸着ノズルを収容するノズルステーションのうちの少なくとも1つである、請求項1または2に記載の作業管理システム。
【請求項4】
前記管理情報には、
前記交換要素が前記フィーダである場合に、前記フィーダの識別符号ごとに、前記部品の種類を示す情報または前記リールの識別情報を関連付けた情報が含まれ、
前記交換要素が前記リールである場合に、前記リールの識別符号ごとに、前記部品の種類を示す情報を関連付けた情報が含まれ、
前記交換要素が前記ノズルステーションである場合に、前記ノズルステーションの識別符号ごとに、前記ノズルステーションが収容する前記吸着ノズルの識別情報を関連付けた情報が含まれる、請求項3に記載の作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業管理システムは、例えば作業者およびロボットがともに所定作業を行う作業領域に適用される。特許文献1には、基板製品を生産する作業領域において、作業者およびロボットがともに部品装着機に対してフィーダの交換作業を実行し得る構成が開示されている。ここで、上記のような作業領域において所定作業が実行された場合に、作業主体が作業者であるかロボットであるかを識別する管理上の要請がある。上記の識別には、所定作業の実行前におけるロボットと作業管理システムとの通信の有無に基づくことが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロボットが作業管理システムと通信した後に、作業者が所定作業を実行すると、作業主体がロボットであると誤認するおそれがある。また、作業主体の識別に通信を用いる構成では、通信可能とする構成を要するとともに、通信に伴う処理負荷や所要時間の増加が懸念される。
【0005】
本明細書は、作業領域において実行された所定作業の作業主体をより正確に識別可能な作業管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、作業者およびロボットによる所定作業が実行される作業領域に適用され、前記所定作業を実行する前記ロボットの動作に予め設定された規定動作が含まれるように前記ロボットを制御する制御部と、前記作業領域において前記所定作業が実行された場合に、当該所定作業の実行結果および実行過程の少なくとも一方において前記規定動作の有無を示す作業情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された前記作業情報に基づいて、前記所定作業の作業主体が前記作業者であるか前記ロボットであるかを識別する識別部と、を備える第一の作業管理システムを開示する。
【0007】
本明細書は、作業者およびロボットによる所定作業が実行される作業領域に適用され、前記所定作業を実行する前記ロボットを制御する制御部と、前記作業領域における前記作業者を検出する検出装置と、前記作業領域において前記所定作業が実行された場合に、前記検出装置による検出結果に基づいて、前記所定作業の作業主体が前記作業者であるか前記ロボットであるかを識別する識別部と、を備える第二の作業管理システムを開示する。
本明細書は、交換要素に対する所定作業が実行された場合に、前記所定作業の作業主体が作業者であるかロボットであるかを識別する識別部と、前記識別部による識別結果に基づいて、前記交換要素に関連付けられた管理情報を管理する情報管理部と、を備え、前記管理情報には、前記交換要素の識別符号ごとに、前記交換要素に保持された物品の種類を示す情報を関連付けた情報が含まれる、作業管理システムを開示する。
【発明の効果】
【0008】
このような第一および第二の作業管理システムの構成によると、作業領域において所定作業が実行された場合に、所定作業の作業主体を識別できる。これにより、ロボットと作業管理システムの通信の有無によらずに作業主体を識別できるので、処理負荷や所要時間の増加を抑制し、作業の管理性を向上できる。また、作業管理システムの構成によると、識別した作業主体に基づいて管理情報を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態における作業管理装置を適用された作業領域を示す平面図である。
【
図2】
図1における交換システムと部品装着機の構成の概略を示す斜視図である。
【
図3】
図2におけるフィーダの外観を示す斜視図である。
【
図4】交換ロボットと部品装着機の部品供給装置との間におけるフィーダの交換作業を示す平面図である。
【
図6】作業主体の識別処理を示すフローチャートである。
【
図7】変形態様における作業管理システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.作業管理システムの概要
以下、作業管理システムを具体化した実施形態について図面を参照して説明する。作業管理システムは、作業者およびロボットがともに所定作業を行う作業領域に適用される。上記のロボットは、例えば所定の基板製品を生産する生産ラインにおいて、対基板作業を実行する対基板作業機との間で交換要素を交換する交換システムを構成する。
【0011】
2.生産ライン1の構成
生産ライン1は、
図1に示すように、複数の部品装着機10が基板90(
図2を参照)の搬送方向に並んで設置されて構成される。生産ライン1の基板搬入側(
図1の左側)には、カセット式のフィーダ20の保管に用いられるフィーダ保管装置5が設置される。また、生産ライン1には、例えば生産する基板製品の種別などに応じて、その構成を適宜追加、変更され得る。具体的には、生産ライン1には、はんだ印刷機や検査機、リフロー炉などの対基板作業機が適宜設置され得る。
【0012】
本実施形態において、生産ライン1には、複数の部品装着機10およびフィーダ保管装置5のそれぞれに対して所定作業を行う作業装置としての交換ロボット40が適用される。生産ライン1を構成する各装置および交換ロボット40は、ネットワークを介してホストコンピュータ6と種々のデータを入出力可能に構成されている。交換ロボット40を含む交換システム30の詳細構成については後述する。
【0013】
フィーダ保管装置5は、複数のスロットを有する。フィーダ保管装置5は、複数のスロットにそれぞれ装備されたフィーダ20をストックする。フィーダ保管装置5のスロットに装備されたフィーダ20は、ホストコンピュータ6との間で通信可能な状態となる。これにより、フィーダ保管装置5のスロットと当該スロットに装備されたフィーダ20の識別符号(ID)が関連付けられて、ホストコンピュータ6に記録される。
【0014】
ホストコンピュータ6は、生産ライン1の動作状況を監視し、部品装着機10やフィーダ保管装置5などの対基板作業機、および交換ロボット40を統括制御する。ホストコンピュータ6には、部品装着機10や交換ロボット40を制御するための各種データが記憶されている。ホストコンピュータ6は、例えば部品装着機10による部品の装着処理の実行に際して、制御プログラムなどの各種データを送出する。
【0015】
3.部品装着機10の構成
生産ライン1を構成する複数の部品装着機10は、
図2に示すように、基板搬送装置11と、部品供給装置12と、ヘッド駆動装置13とを備える。以下の説明において、部品装着機10の水平幅方向であり基板90の搬送方向をX方向とし、部品装着機10の水平奥行き方向をY方向とし、X方向およびY方向に垂直な鉛直方向(
図2の上下方向)をZ方向とする。
【0016】
基板搬送装置11は、ベルトコンベアおよび位置決め装置などにより構成される。基板搬送装置11は、基板90を搬送方向へと順次搬送するとともに、機内の所定位置に基板90を位置決めする。基板搬送装置11は、部品装着機10による装着処理が終了した後に、基板90を部品装着機10の機外に搬出する。
【0017】
部品供給装置12は、基板90に装着される部品を供給する。部品供給装置12は、フィーダ20を装備可能な上部スロット121および下部スロット122を有する。上部スロット121は、部品装着機10の前部側の上部に配置され、装備されたフィーダ20を動作可能に保持する。上部スロット121に装備されたフィーダ20は、部品装着機10による装着処理において動作を制御され、当該フィーダ20の上部の規定位置に設けられた取り出し部において部品を供給する。
【0018】
下部スロット122は、上部スロット121の下方に配置され、装備されたフィーダ20をストックする。つまり、下部スロット122は、生産に用いられるフィーダ20を予備的に保持し、または生産に用いられた使用済みのフィーダ20を一時的に保持する。なお、上部スロット121と下部スロット122との間でのフィーダ20の交換は、後述する交換ロボット40による自動交換、または作業者による手動交換によりなされる。
【0019】
また、フィーダ20は、部品供給装置12の上部スロット121または下部スロット122に装備されると、コネクタを介して部品装着機10から電力が供給される。そして、フィーダ20は、部品装着機10との間で通信可能な状態となる。上部スロット121に装備されたフィーダ20は、部品装着機10による制御指令などに基づいて、部品を収容するキャリアテープの送り動作を制御する。これにより、フィーダ20は、フィーダ20の上部に設けられた取り出し部において、後述する装着ヘッド132の保持部材によって部品を採取可能に供給する。
【0020】
ヘッド駆動装置13は、図略の直動機構により移動台131を水平方向(X方向およびY方向)に移動させる。移動台131には、図示しないクランプ部材により装着ヘッド132が交換可能に固定される。装着ヘッド132は、ヘッド駆動装置13の直動機構により移動台131と一体的にXY方向に移動される。装着ヘッド132は、部品供給装置12により供給された部品を保持部材により採取する。上記の保持部材には、例えば供給される負圧エアにより部品を吸着する吸着ノズルや、部品を把持するチャックなどが適用され得る。
【0021】
装着ヘッド132は、保持部材をZ方向に移動可能に、且つZ軸に平行なθ軸周りに回転可能に保持する。装着ヘッド132は、採取した部品の姿勢に応じて保持部材の位置および角度を調整する。そして、装着ヘッド132は、制御プログラムにより指令される基板90上の装着位置に部品を装着する。
【0022】
なお、装着ヘッド132に保持される保持部材は、基板90に部品を装着する装着処理において部品の種別に応じて適宜変更され得る。部品装着機10は、例えば実行する装着処理にて用いる吸着ノズルが装着ヘッド132に取り付けられていない場合に、図略のノズルステーションに収容されている吸着ノズルを装着ヘッド132に保持させる。上記のノズルステーションは、部品装着機10の機内の所定位置に着脱可能に装備される。
【0023】
4.フィーダ20の構成
フィーダ20の構成を、
図3を参照して説明する。フィーダ20は、フィーダ本体21と、駆動装置22と、第一被保持部23と、第二被保持部24とを備える。フィーダ本体21は、
図3に示すように、扁平な箱形状に形成される。フィーダ本体21は、多数の部品を収容するキャリアテープが巻回されたテープリールを着脱可能(交換可能)に保持する。駆動装置22は、キャリアテープに設けられた送り穴に係合するスプロケットを有する。駆動装置22は、スプロケットを回転させてキャリアテープを送り移動させる。
【0024】
フィーダ20は、図略の制御装置により駆動装置22の動作を制御する。フィーダ20は、部品装着機10の上部スロット121に装備されると、コネクタを介して部品装着機10から電力を供給される。これにより、フィーダ20の制御装置は、部品装着機10との間で通信可能な状態となる。このような構成により、部品装着機10は、上部スロット121または下部スロット122の何れかに対するフィーダ20の補給および回収を検出することができる。
【0025】
第一被保持部23は、フィーダ本体21に設けられ、作業者が所定作業としての交換作業を実行する際に保持される部位である。本実施形態において、第一被保持部23は、フィーダ本体21を貫通する長穴の外縁の一部により形成される。第一被保持部23は、作業者が片手でフィーダ20を把持することができるように構成される。
【0026】
第二被保持部24は、フィーダ本体21に設けられ、交換ロボット40が所定作業としての交換作業を実行する際に保持される部位である。第二被保持部24は、第一被保持部23とは異なる位置および形状に形成される。第二被保持部24は、フィーダ本体21の上側の後端面において開口し、後述する交換ロボット40の保持アーム41-43の先端部を挿入されて係合する。第二被保持部24は、保持アーム41-43の一つがフィーダ20を保持することができるように構成される。
【0027】
5.交換システム30および交換ロボット40の構成
交換システム30は、
図1および
図2に示すように、第一レール31と、第二レール32と、交換ロボット40とを備える。第一レール31および第二レール32は、交換ロボット40の走行路を構成する。第一レール31は、複数の部品装着機10のそれぞれにおける上部スロット121と下部スロット122との上下方向の間に設けられる。第二レール32は、部品装着機10の下部スロット122の下方に設けられる。第一レール31および第二レール32は、生産ライン1において、基板90の搬送方向の概ね全域に亘って延伸している。
【0028】
交換ロボット40は、第一レール31および第二レール32により形成される走行路に沿って走行可能に設けられる。交換ロボット40は、例えば第一レール31に設けられた送電部と対向して設けられる受電部を介して、非接触給電により送電部から電力を供給される。受電部が受け取った電力は、受電回路を介して交換ロボット40の走行や所定作業に用いられる。なお、交換ロボット40は、図略の位置検出装置により走行路上の現在位置を検出する。上記の位置検出装置には、光学的な検出方式や、電磁誘導を用いた検出方式を適用できる。
【0029】
交換ロボット40は、作業領域Rwにおいて所定作業を行う。上記の「所定作業」には、部品装着機10などの対基板作業機に着脱可能に装備される交換要素を対基板作業機との間で交換する作業が含まれる。交換ロボット40は、本実施形態において、基板90に装着される部品を供給するフィーダ20を交換要素として、生産ライン1を構成する複数の部品装着機10との間、およびフィーダ保管装置5との間でフィーダ20の交換処理を行う。上記の交換処理には、フィーダ20の回収作業および補給作業の少なくとも一方が含まれる。
【0030】
本実施形態において、交換ロボット40は、フィーダ保管装置5から部品装着機10の上部スロット121または下部スロット122にフィーダ20を搬送する。また、交換ロボット40は、部品装着機10の上部スロット121と下部スロット122との間でフィーダ20を入れ換える。さらに、交換ロボット40は、使用済みのフィーダ20を部品装着機10からフィーダ保管装置5に搬送する。交換ロボット40は、複数の保持アーム41-43と、制御部44とを備える。
【0031】
複数の保持アーム41-43のそれぞれは、先端部がフィーダ20の第二被保持部24と係合し、フィーダ20を保持可能に構成される。複数の保持アーム41-43のそれぞれは、フィーダ20の着脱方向(本実施形態においてY方向)に独立して移動可能に設けられる。また複数の保持アーム41-43は、上下方向(Z方向)に一体的に移動可能に設けられる。本実施形態において、交換ロボット40は、3つの保持アーム41-43を備えるが、フィーダ20の着脱方向に独立して移動可能な4以上の保持アームを備える構成を採用し得る。
【0032】
制御部44は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成されるコントローラである。制御部44は、複数の部品装着機10、フィーダ保管装置5、およびホストコンピュータ6と通信可能に接続される。制御部44は、交換ロボット40の走行や複数の保持アーム41-43の動作を制御する。上記のような構成により、交換ロボット40は、第一レール31および第二レール32に沿って所定位置まで移動するとともに、停止位置において交換要素であるフィーダ20の交換を行う。
【0033】
6.作業管理システム50の構成
本実施形態において、作業管理システム50の一部は、
図5に示すように、ホストコンピュータ6にインストールされたソフトウェアによって構成される。作業管理システム50が適用される作業領域Rwにおいて、作業者によるフィーダ20の手動交換、および交換ロボット40によるフィーダ20の自動交換が所定作業の一例として実行され得る。作業管理システム50は、フィーダ20の交換作業(補給作業または回収作業)が実行されたことをフィーダ20との通信の可否に基づいて認識することができる。
【0034】
ここで、上記のような作業領域Rwにおいてフィーダ20の交換作業が実行された場合に、作業主体が作業者であるか交換ロボット40であるかを識別する管理上の要請がある。例えば、交換ロボット40が交換作業を試行した場合に、作業管理システム50は、当該作業が適切に実行されたのか否かの現状を認識するとともに、認識した現状に応じて交換ロボット40の走行の可否を判定する。また、作業管理システム50は、作業主体に応じて、フィーダ20ごとに関連付けられたリールの識別情報を維持すべきか廃棄すべきかを判定する。
【0035】
なお、ホストコンピュータ6は、
図5に示すように、生産ライン1を含む第一制御系Lw1において部品装着機10などの対基板作業機と通信が可能であり、また交換システム30を含む第二制御系Lw2において交換ロボット40と通信が可能である。そのため、作業管理システム50は、交換作業の実行前または実行後に交換ロボット40と所定信号の通信を行うことにより、交換作業の作業主体が交換ロボット40であるか否かを判定することも可能である。しかしながら、作業者および交換ロボット40が同時期に交換作業を試行した場合に、実際には作業者が交換作業を実行したにも関わらず所定信号を受信すると、作業管理システム50は、交換ロボット40が作業主体であると誤認するおそれがある。
【0036】
また、上記のような複数の制御系が構築された作業領域Rwでは、作業効率の向上や処理負荷の軽減の観点から通信量の軽減が図られることがある。具体的には、ホストコンピュータ6は、例えば交換ロボット40に対して複数のフィーダ20についての交換作業をまとめて指令し、複数回に亘る交換作業の実行中においては交換ロボット40との通信を必要最低限とするように運用することがある。このような構成において作業主体の識別に通信を用いると、通信に伴う処理負荷や所要時間の増加が懸念される。
【0037】
そのため、本実施形態の作業管理システム50は、作業領域Rwにおいて実行された所定作業(例えば、フィーダ20の交換作業)の作業主体をより正確に識別可能な構成を採用する。具体的には、作業管理システム50は、
図5に示すように、交換ロボット40の制御部44と、情報取得部51と、識別部52とを主として備える。交換ロボット40の制御部44は、所定作業を実行する交換ロボット40の動作に予め設定された規定動作が含まれるように交換ロボット40を制御する。
【0038】
ここで、上記の「規定動作」は、作業者および交換ロボット40がともに規定動作が含まれるように所定作業を実行した場合に、それぞれの作業主体の動作に実際に規定動作が含まれる確率に一定以上の差が生じる動作である。また、規定動作には、種々の態様を採用し得る。規定動作の態様の詳細については後述する。
【0039】
情報取得部51は、作業領域Rwにおいて所定作業が実行された場合に、当該所定作業の実行結果および実行過程の少なくとも一方において規定動作の有無を示す作業情報Dfを取得する。上記の「実行結果」には、所定作業の開始時刻や終了時刻、所要時間、連続する所定作業のインターバルが含まれる。また、所定作業がフィーダ20の交換作業である場合には、「実行結果」には、交換対象のフィーダ20やスロットの特定情報が含まれる。
【0040】
また、上記の「実行過程」には、例えば所定作業の実行中に図略の各種センサによる検出される交換ロボット40や対象物の位置や動作軌跡などが含まれる。具体的には、所定作業がフィーダ20の交換作業である場合には、「実行過程」には、部品装着機10の前部に設けられたセンサによりフィーダ20が所定のY方向位置を通過したこと、通過時刻や通過の所要時間が含まれる。作業情報Dfが示す規定動作については、後述する規定動作の各種の態様とともに説明する。
【0041】
作業情報Dfは、上記のように所定作業の実行結果および実行過程の少なくとも一方に関する一種のトレース情報(動作履歴情報)である。これにより、制御部44が所定作業を実行する交換ロボット40の動作に規定動作が含まれるように制御した場合には、トレース情報により規定動作があることが示される。一方で、作業者が所定作業を実行した場合には、例えばフィーダ20の交換時刻や所要時間を示す一方で、これに関するトレース情報により規定動作がないことが示される。
【0042】
識別部52は、情報取得部51により取得された作業情報Dfに基づいて、所定作業の作業主体が作業者であるか交換ロボット40であるかを識別する。つまり、識別部52は、作業情報Dfにより所定作業を実行した作業主体の動作に規定動作が含まれなければ、作業主体が作業者であると判定する。一方で、識別部52は、作業情報Dfにより所定作業を実行した作業主体の動作に規定動作が含まれれば、作業主体が交換ロボット40であると判定する。
【0043】
ここで、上記のような作業主体の識別において識別精度をより向上させるために、作業情報Dfに加えて、作業領域Rwにおける作業者を検出する検出装置60による検出結果に基づいて、所定作業の作業主体が作業者であるか交換ロボット40であるかを識別してもよい。上記の検出装置60は、作業者および交換ロボット40が所定作業を実行した場合に、作業者のみを検出する装置である。
【0044】
具体的には、検出装置60は、作業領域Rwにおいて所定作業を実行する際に位置する作業者を検出する人感センサ61を備えてもよい。人感センサ61は、周辺の作業者の存在を検出し、検出に基づく信号を送出する。人感センサ61は、赤外線や超音波などを用いて、作業者を検出する。検出装置60は、例えば人感センサ61から送出された信号に基づいて、作業領域Rwにおいて作業者が交換作業を実行可能な程度に部品装着機10に接近しているか否かを認識する。
【0045】
また、検出装置60は、
図3に示すように、フィーダ20の第一被保持部23に設けられ、作業者によるフィーダ20の保持を検出する保持センサ62を備えてもよい。保持センサ62は、第一被保持部23の内周面に設けられたスイッチ素子や圧電素子などにより構成される。保持センサ62は、作業者が第一被保持部23を把持すると、必然的にON状態となる。
【0046】
なお、フィーダ20が部品装着機10に装備された状態のみ電力を供給され、且つ通信可能な構成において、保持センサ62は、装備された直後または回収される直前の状態を検出し、検出に基づく信号を送出する。検出装置60は、例えば保持センサ62から送出された信号に基づいて、作業領域Rwにおける作業者が交換作業を実行したか否か、または実行しようとしているか否かを認識する。
【0047】
作業管理システム50は、本実施形態において、情報管理部53を備える。情報管理部53は、識別部52による識別結果、即ち実行された所定作業の作業主体に応じて、種々の管理情報の管理処理を実行する。ここで、上記の管理情報Dmには、フィーダ20に関連付けられた情報が含まれる。具体的には、管理情報Dmは、フィーダ20に装填されているキャリアテープの種類(収納する部品の種類に相当)を、フィーダ20の識別符号ごとに関連付けた情報である。上記の関連付けは、作業者によるベリファイ処理によってなされる。
【0048】
ここで、情報管理部53は、例えばフィーダ20にキャリアテープが装填された際に、ベリファイ処理の結果に基づいて、管理情報Dmを生成または更新する。ベリファイ処理において、フィーダ20の識別符号は、例えばフィーダ20のフィーダ本体21に貼付された2次元コードなどをリーダにより読み取ることにより取得される。同様に、キャリアテープの識別符号は、例えばリールに貼付された2次元コードなどをリーダにより読み取ることにより取得される。
【0049】
情報管理部53は、部品装着機10による装着処理において誤った種類の部品が供給されないように、管理情報Dmを管理する。しかしながら、例えばフィーダ20が部品装着機10から取り外されて電力を供給されていない状態では、フィーダ20の状態を認識できない。そのため、フィーダ20とこれに装填されたキャリアテープの組み合わせが管理情報Dmにより示されるものと一致するか定かではなくなる。
【0050】
そこで、情報管理部53は、フィーダ20の状態を認識できない状態が一定期間継続した場合に、当該フィーダ20に対応する管理情報Dmを破棄する。これにより、作業者は、そのフィーダ20を部品装着機10に再度装備する際には、ベリファイ処理を改めて実行する。これにより、情報管理部53は、管理情報Dmを生成し、装着処理において誤った種類の部品が供給されることを防止している。
【0051】
ここで、交換システム30により回収されたフィーダ20が交換ロボット40やフィーダ保管装置5に保持されているにも関わらず、管理情報Dmが廃棄されると、そのフィーダ20を部品装着機10に自動で装備する際にベリファイ処理の実行が必要となる。これでは、結局作業者による作業を要し、自動化や省人化を阻害するおそれがある。そこで、情報管理部53は、作業者を介さずに部品装着機10から回収されたフィーダ20に対応する管理情報Dmについては廃棄せずに維持する。
【0052】
従って、情報管理部53による管理情報Dmの廃棄や維持を適切に行うには、フィーダ20の交換作業を実行した作業主体を正確に識別する必要がある。これに対して、情報管理部53は、上記のような構成により識別部52による識別結果(作業主体が作業者であるか交換ロボット40であるか)に基づいて管理情報Dmを管理することができる。これにより、ベリファイ処理が過剰に実行されて生産性が低下することを防止できるとともに、装着処理の正確性を向上できる。
【0053】
作業管理システム50は、交換指令部54を備える。交換指令部54は、生産する基板製品の種別や数量、生産順序などが定められた生産計画、および現状の生産ライン1の段取り状態に基づいて、交換システム30に対してフィーダ20の交換作業を指令する。また、本実施形態において、交換指令部54は、交換ロボット40に対して複数のフィーダ20についての交換作業をまとめて指令する。
【0054】
ここで、作業管理システム50において、複数の部品装着機10、情報取得部51、識別部52、情報管理部53、交換指令部54、および検出装置60は、同一の第一制御系Lw1に属する。一方で、交換システム30、および交換指令部54は、第一制御系Lw1とは独立した第二制御系Lw2に属する。識別部52は、交換ロボット40との通信は可能であるが、交換ロボット40の制御部44とは異なる制御系に属し、制御部44との通信によらず所定作業の作業主体を識別する。
【0055】
作業管理システム50は、記憶装置55を備える。記憶装置55は、ハードディスク装置などの光学ドライブ装置、またはフラッシュメモリなどにより構成される。記憶装置55には、作業情報Dfや複数のフィーダ20ごとの管理情報Dmが記憶される。作業情報Dfおよび管理情報Dmは、ホストコンピュータ6が生成および更新する
【0056】
7.規定動作と作業情報Dfについて
交換ロボット40が所定作業を実行する場合に、交換ロボット40の動作に含められる規定動作と、当該規定動作の有無を示す作業情報Dfについて説明する。ここでは、所定作業が交換要素であるフィーダ20の交換作業(補給作業または回収作業)である態様を例示して説明する。なお、規定動作は、必ずしも作業者が実行不能である動作に限られない。また、交換ロボット40が概ね100%成功する動作にも限られない。
【0057】
つまり、規定動作は、作業者および交換ロボット40がともに規定動作が含まれるように所定作業を実行した場合に、それぞれの作業主体の動作に実際に規定動作が含まれる確率に一定以上の差が生じる動作である。このとき、規定動作は、作業者が作業主体の場合の上記確率よりも交換ロボット40が作業主体の場合の上記確率の方が高くなる動作である。よって、規定動作は、交換ロボット40が作業主体の場合の上記確率が100%に近くなる動作であることが望ましい。また、規定動作は、作業者が作業主体の場合の上記確率が0%に近くなる動作であることが望ましい。
【0058】
さらには、規定動作は、1回以上の交換作業が実行された場合に、その実行結果および実行過程の少なくとも一方から規定動作の有無を容易に判別可能な動作であることが望ましい。上記確率と作業主体の識別精度には相関があるため、これを利用することにより規定動作の設定により識別精度を向上できる。また、識別精度を確保しつつ、規定動作を適宜設定することによって、規定動作の実行に伴う所要時間の増加を抑制することができる。
【0059】
第一態様の規定動作は、3以上のフィーダ20を対象としたそれぞれの交換作業を、作業者には実行不能な一定期間内に実行する動作である。具体的には、作業者がフィーダ20の交換作業を試行する場合には、片手でフィーダ20の第一被保持部23を把持するため、両手で2つのフィーダ20を把持して実行することは困難ではあるが可能であり、3以上を対象とすることは非常に困難である。交換作業に熟練した作業者が3つのフィーダ20を対象とした交換作業の所要時間より短い時間は、作業者には実行不能な一定期間に相当する。
【0060】
これに対して、本実施形態において、交換ロボット40は、3つの保持アーム41-43を備え、3つのフィーダ20を対象としたそれぞれの交換作業を同時に試行することが可能である。本実施形態において、交換ロボット40の制御部44は、3つのフィーダ20を対象とした3回の交換作業を、一定期間内に実行する。この第一態様において、作業情報Dfは、交換作業が一定期間内に3回以上実行されたか否かにより規定動作の有無を示す。
【0061】
例えば、交換ロボット40が同時に3つのフィーダ20を部品装着機10から回収すると、部品装着機10は、3つのフィーダ20への給電が停止するとともに、通信不可の状態となる。これにより、部品装着機10は、それまで装備されている3つのフィーダ20が回収された(交換作業を実行された)と認識し、それぞれに実行された交換作業の開始時刻を作業管理システム50に通知する。作業管理システム50は、通知された交換作業に関する情報を作業情報Dfに記録する。
【0062】
これにより、作業情報Dfは、上記の3つのフィーダ20について、それぞれの回収作業の開始時刻によって、回収作業が一定期間内に3回以上実行されたという規定動作を示す。これは、フィーダ20の補給作業においても同様に、部品装着機10が一定期間内に3つのフィーダ20へと給電を開始したことが作業情報Dfに記録される。これにより、作業情報Dfは、補給作業が一定期間内に3回以上実行されたという規定動作を示す。
【0063】
なお、交換ロボット40が4つの保持アームを備える場合には、第一態様の規定動作は、4つの保持アームのうち3つの保持アームを用いた上記の動作としてもよいし、また4つの保持アームにより4つのフィーダ20を対象としたそれぞれの交換作業を一定期間内に実行する動作としてもよい。交換ロボット40が5以上の保持アームを備える場合にも同様の態様を適用することができる。
【0064】
第二態様の規定動作は、所定作業を予め定められた規定の所要時間で実行する動作、および連続で実行される所定作業を予め定められた規定のインターバルで実行する動作の少なくとも一方である。具体的には、作業者がフィーダ20の交換作業を試行する場合には、交換作業に熟練していたとしても所要時間にバラツキが生じる。また、作業者が連続で交換作業を試行する場合に、インターバルにバラツキが生じる。これらのバラツキを一定未満にすることは非常に困難である。
【0065】
これに対して、交換ロボット40は、例えば交換作業の所要時間をカウントし、開始時刻と終了時刻との差分が一定になるように、適宜待機時間を挿入するなどして所要時間を調整することが可能である。さらに、交換ロボット40は、連続する交換作業についても同様に、先の交換作業の終了時刻と後の交換作業の開始時刻の差分が一定となるように、適宜待機時間を挿入するなどしてインターバルを調整することが可能である。この第二態様において、作業情報Dfは、交換作業が所要時間で実行されたか否か、または連続する所定作業のインターバルで実行されたか否かにより規定動作の有無を示す。
【0066】
上記のように例示した第一態様の規定動作または第二態様の規定動作を採用することによって、上記確率の差分を大きくすることができる。なお、制御部44は、第一態様の規定動作および第二態様の規定動作を適宜切り換えてもよいし、両方を同時に採用してもよい。また、上記以外の規定動作についても同様に適用することができる。種々の態様の規定動作の適用により、結果として、作業主体の識別精度を向上できる。
【0067】
8.作業主体の識別処理
作業管理システム50による作業主体の識別処理について、
図5および
図6を参照して説明する。作業主体の識別処理は、例えば所定作業がフィーダ20の交換作業である場合には、1回以上の交換作業が実行されたことが部品装着機10より通知されるとともに、作業情報Dfが更新されたことをトリガーにして実行される。
【0068】
先ず、情報取得部51は、更新された作業情報Dfを記憶装置55から取得する(S11)。識別部52は、情報取得部51により取得された作業情報Dfを用いて、所定作業の内容(実行結果および実行過程の少なくとも一方)を解析する(S12)。そして、識別部52は、所定作業を実行した作業主体の動作に予め設定された態様の規定動作が含まれているか否かを判定する(S13)。
【0069】
作業主体の動作に規定動作が含まれない場合には(S13:No)、識別部52は、作業者により所定作業が実行された可能性が高いと認識する。本実施形態では、さらに、識別部52は、所定作業が実行された期間において検出装置60により作業者が検出されたか否かを判定する(S14)。ここで、検出装置60により作業者が検出されていた場合には(S14:Yes)、識別部52は、所定作業の作業主体が作業者であると識別する(S15)。
【0070】
一方で、作業主体の動作に規定動作が含まれる場合には(S13:Yes)、識別部52は、所定作業の作業主体が交換ロボット40であると識別する(S16)。また、作業主体の動作に規定動作が含まれない場合であって(S13:No)、且つ検出装置60により作業者が検出されないことがある(S14:No)。このような場合に、識別部52は、交換ロボット40が所定作業に規定動作を含めることに失敗したとして、所定作業の作業主体が交換ロボット40であると識別する(S16)。
【0071】
なお、上記のような状態の場合に(S13:No、S14:No)、識別部52は、作業主体が不明であるとして、作業者に通知するなどエラー処理を実行してもよい。識別部52は、作業主体の識別処理の結果を記憶装置55に、実行された所定作業に関連付けて記憶する。上記の識別処理の結果は、例えば情報管理部53による交換要素の管理などに用いられる。
【0072】
上記のような構成によると、作業領域Rwにおいて所定作業が実行された場合に、所定作業に規定動作が含まれるか否かに基づいて、また所定作業の実行中に作業領域Rwにおいて作業者が検出されたか否かの検出結果に基づいて、作業主体を識別できる(S13-S16)。これにより、交換ロボット40と作業管理システム50の通信の有無によらずに作業主体を識別できるので、処理負荷や所要時間の増加を抑制し、作業の管理性を向上できる。
【0073】
また、本実施形態において、識別部52は、制御部44とは独立した第一制御系Lw1に属し、制御部44との通信によらずに所定作業の作業主体を識別する(S15,S16)。このような構成によると、制御系が互いに独立することにおり、相手方との通信成立を待機することなく、自己に指令された所定作業を進行できる。これにより、作業領域Rwにおける作業効率を向上できる。また、このような環境下において作業の管理性を向上できるので、生産性や作業効率の向上を図ることができる。
【0074】
9.実施形態の変形態様
9-1.作業主体の識別処理について
実施形態において、作業管理システム50は、作業主体の識別処理において、作業主体の動作に規定動作が含まれているか否か(S13)、および検出装置60により作業者が検出されたか否か(S14)に基づいて、作業主体を識別した(S15,S16)。これに対して、作業管理システム50は、何れか一方により作業主体を識別してもよい。つまり、作業管理システム50は、検出装置60による検出結果に基づく判定(S14)を省略し、規定動作の有無により作業主体を識別してもよい。
【0075】
また、作業管理システム50は、情報取得部51による作業情報Dfの取得(S11)、所定作業の内容の解析(S12)、規定動作の有無の判定(S13)を省略し、検出装置60による検出結果に基づいて作業主体を識別してもよい。具体的には、
図7に示すように、作業管理システム150は、識別部52と、検出装置60とを主として備える。このように、作業管理システム150が情報取得部51を備えない構成においても、作業主体の識別処理を実行することは可能である。
【0076】
9-2.作業主体による所定作業について
実施形態において、交換システム30および交換ロボット40が交換の対象とする交換要素は、部品装着機10に装備され、基板90に装着される部品を供給するフィーダ20であるものとした。これに対して、交換システム30および交換ロボット40は、フィーダ20以外のものを交換要素としてもよい。具体的には、例えば部品装着機10に交換可能に装備されるテープリールやノズルステーション、廃棄テープ回収容器などが交換要素となり得る。
【0077】
フィーダには、テープリールを保持するリールホルダが外部に配置された種類がある。そこで、交換ロボット40がフィーダのテープリールを自動交換することで、テープリールの正確な配送が可能となる。また、ノズルステーションは、基板製品の生産に用いられる部品の種別に対応した吸着ノズルを保持する必要がある。そこで、生産ライン1にノズルステーション用の保管装置を配置し、当該保管装置と部品装着機10との間でノズルステーションを自動交換可能とすることで、生産ライン1における生産効率を向上できる。
【0078】
また、上記の廃棄テープ回収容器は、例えば部品装着機10の上部スロット121の下方に装備され、それぞれのフィーダ20が部品を供給した際に発生する廃棄テープを回収する容器である。この廃棄テープは、例えばキャリアテープのうち部品を取り出された部位を適宜長さにカットしたものである。廃棄テープ回収容器の容量には限りがある。そのため、交換ロボット40を用いて、例えば廃棄テープ回収容器が回収した廃棄テープの量を一定以下に維持することは良好な生産状態を維持する観点から有用である。
【0079】
その他に、交換ロボット40は、フィーダ20がスティックフィーダである場合には、スティックの供給および空のスティックの回収を行う構成としてもよい。また、交換ロボット40は、フィーダ20がバルクフィーダである場合には、バルク部品の供給、またはバルク部品を収容する部品ケースの供給および空の部品ケースの回収を行う構成としてもよい。このような構成においても、交換要素の自動的な補給および回収が可能となり、生産ライン1における生産効率を向上できる。
【0080】
また、実施形態において、作業領域Rwにおいて作業者とともに所定作業を実行するロボットは、交換ロボット40である構成とした。これに対して、作業管理システム50が管理対象とするロボットは、例えば生産ライン1のフィーダ保管装置5と、フィーダ20が保管されている保管倉庫(図示しない)との間でフィーダ20を搬送する搬送ロボットである構成としてもよい。
【0081】
上記のような構成において、作業管理システム50は、搬送ロボットが個別に、または例えば所定の生産に必要なフィーダ20をまとめてフィーダ保管装置5との間で交換する作業を所定作業として、作業主体を識別するようにしてもよい。このような構成においても実施形態と同様の効果を奏する。
【0082】
また、所定作業は、交換要素の交換作業の他に、作業領域Rwにおいて作業者およびロボットによる所定作業が実行され得るのであれば、例えば所定物品の供給作業、回収作業、対基板作業機の検査作業や校正作業としてもよい。このような構成において、作業管理システム50は、規定動作の有無および検出装置60の検出結果の少なくとも一方に基づいて作業主体を識別することができる。
【符号の説明】
【0083】
1:生産ライン、 5:フィーダ保管装置、 6:ホストコンピュータ、 10:部品装着機(作業装置)、 20:フィーダ(交換要素)、 21:フィーダ本体、 22:駆動装置、 23:第一被保持部、 24:第二被保持部、 30:交換システム、 40:交換ロボット、 41-43:保持アーム、 44:制御部、 50:作業管理システム、 51:情報取得部、 52:識別部、 53:情報管理部、 54:交換指令部、 55:記憶装置、 60:検出装置、 61:人感センサ、 62:保持センサ、 Rw:作業領域、 Lw1:第一制御系、 Lw2:第二制御系、 Df:作業情報、 Dm:管理情報