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特開2024-40325連続テザー組織アンカー及び関連するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040325
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】連続テザー組織アンカー及び関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017793
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2021566327の分割
【原出願日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】62/845,666
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/965,595
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】パトリック エス.ヤング
(57)【要約】
【課題】良好なテザーアンカーを提供すること。
【解決手段】本発明は医療処置における組織アンカーに関する。より具体的には、本発明は、テザーアンカーに関する。テザーアンカーは、長尺でありかつ第一の端部と第二の端部との間に延在しているテザー部分(108)、ここで、前記テザー部分は、平坦なフィルム構造物から形成されている、及び、前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定するアンカー部分(106)、ここで、前記アンカー部分は平坦なフィルム構造物の前記テザー部分と一体的に形成され、前記テザー部分の第二の端部から連続的に延在し、前記アンカー部分は第一のアパチャ(402)を有し、それを通して前記テザー部分が延在している、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺でありかつテザー部分の第一の端部と第二の端部との間に延在しているテザー部分、及び、
前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定するアンカー部分、
を含み、
前記テザー部分は、平坦なフィルム構造物から形成されており、
前記アンカー部分は、平坦なフィルム構造物のテザー部分と一体で形成され、前記テザー部分の第二の端部から連続して延在しており、前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通して前記テザー部分が延在している、
テザーアンカー。
【請求項2】
前記平坦なフィルム構成物はフィルム材料の複数の層を含む、請求項1記載のテザーアンカー。
【請求項3】
前記フィルム材料の複数の層の間に挿入された少なくとも1つの放射線不透過性マーカーをさらに含む、請求項2記載のテザーアンカー。
【請求項4】
前記テザー部分及び前記アンカー部分は実質的に同じ厚さを有し、前記テザー部分は前記アンカー部分から延在している、請求項1記載のテザーアンカー。
s
【請求項5】
長尺でありかつテザー部分の第一の端部と第二の端部との間に延在するテザー部分、前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定するアンカー部分、及び、前記テザー部分に結合された少なくとも1つの針、を含み、前記テザー部分は平坦なフィルム構造物から形成されており、前記アンカー部分は、平坦なフィルム構造物のテザー部分と一体で形成され、前記テザー部分の第二の端部から連続して延在しており、前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通して前記テザー部分が延在している、
テザーアンカー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの針は、前記テザー部分の第一の端部に結合された第一の針、及び、前記テザー部分の第二の端部に結合された第二の針を含む、請求項記載のテザーアンカー。
【請求項7】
長尺でありかつテザー部分の第一の端部と第二の端部との間に延在するテザー部分、前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定しているアンカー部分、及び、前記テザー部分に結合された少なくとも1つの組織アンカー、を含み、前記テザー部分は平坦なフィルム構造物から形成されており、前記アンカー部分は、平坦なフィルム構造物のテザー部分とともに一体で形成され、前記テザー部分の第二の端部から連続して延在しており、前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通して前記テザー部分が延在している、
テザーアンカー。
【請求項8】
前記少なくとも1つの組織アンカーは、前記テザー部分の第一の端部に結合された第一の組織アンカー、及び、前記テザー部分の第二の端部に結合された第二の組織アンカーを含む、請求項記載のテザーアンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月24日に出願された仮出願第62/965,595号の利益を主張し、また、2019年5月9日に出願された仮出願第62/845,666号の利益を主張し、あらゆる目的のために全体を参照することにより両方とも本明細書に取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
患者の体内へのデリバリーのために、様々な組織アンカーが提案されてきた。幾つかの例において、そのようなアンカーは、経皮的又は経カテーテルアプローチを使用して(例えば、デリバリーカテーテルを使用して)デリバリーされる。綿撒糸及びテザーの配置を利用する幾つかの組織アンカーが提案されている。そのようなアンカーは、例えば、解剖学的構造を互いに固定するために、解剖学的構造をインプラントされたデバイスに固定するために、又は2つのインプラントされたデバイスを一緒に固定するために利用されうる。
【発明の概要】
【0003】
要旨
様々な例は、組織アンカー、組織アンカーを形成するために使用される方法、及び組織アンカーを形成する関連方法に関する。開示された様々な概念は、シームレスに相互接続されたアンカー部分及びテザー部分を含む、連続的又は一体型のインプラント可能な組織アンカーに関する。幾つかの例は、フィルム構造物から形成されたテザー部分及びアンカー部分に関する。幾つかの実施形態において、テザー部分及びアンカー部分は、マンドレル上に維持された管状部材のための切断手順の一部として連続的に確認される。
【0004】
1つの例(「例1」)によれば、テザーアンカーは、長尺でありかつ第一の端部と第二の端部との間に延在しているテザー部分、ここで、前記テザー部分は平坦なフィルム構造物から形成されている、及び、前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定するアンカー部分を含む。前記アンカー部分は、平坦なフィルム構造物のテザー部分と一体的に形成され、テザー部分の第二の端部から連続的に延在している。前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通してテザー部分が延在している。
【0005】
例1に加えて別の例(「例2」)によれば、前記平坦なフィルム構成物はフィルム材料の複数の層を含む。
【0006】
例1に加えて別の例(「例3」)によれば、前記テザーアンカーは、前記フィルム材料の複数の層の間に挿入された少なくとも1つの放射線不透過性マーカーをさらに含む。
【0007】
例1に加えて別の例(「例4」)によれば、前記テザー部分及び前記アンカー部分は実質的に同じ厚さを有し、前記テザー部分は前記アンカー部分から延在している。
【0008】
別の例(「例5」)によれば、テザーアンカーは、プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断すること、ここで、前記テザー部分は前記アンカー部分から連続的に延在している、前記アンカー部分に第一のアパチャを形成すること及び前記テザー部分のある長さを前記アンカー部分の前記第一のアパチャに通すことの方法によって調製される。
【0009】
例5に加えて別の例(「例6」)によれば、プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断することは、前記テザー部分と前記アンカーとの間の連続的かつ一体的な移行を画定することを含む。
【0010】
例5に加えて別の例(「例7」)によれば、プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断することは、前記テザー部分よりも大きい幅を有するアンカー部分を形成することを含む。
【0011】
例5に加えて別の例(「例8」)によれば、前記方法は、前記アンカー部分に複数のアパチャを形成すること、及び、前記テザー部分を前記複数のアパチャのそれぞれに通すことをさらに含み、その結果、前記アンカー部分は、前記テザー部分に張力をかけると、1つ以上のプリーツを画定する。
【0012】
例5に加えて別の例(「例9」)によれば、前記方法は、材料の1つ以上の層をマンドレル上に巻き付けることによってプリフォームを形成することをさらに含む。
【0013】
例9に加えて別の例(「例10」)によれば、前記方法は、材料の層の間に少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを挿入することをさらに含む。
【0014】
別の例(「例11」)によれば、前記テザーアンカーは、プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断すること、ここで、前記テザー部分は、前記アンカー部分から連続的に延在している、前記アンカー部分に第一のアパチャを形成すること、及び、前記テザー部分のある長さを前記アンカー部分の第一のアパチャに通すことによって形成される。
【0015】
例11に加えて別の例(「例12」)によれば、プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断することは、前記テザー部分と前記アンカーとの間の連続的かつ一体的な移行を画定することを含む。
【0016】
例11に加えて別の例(「例13」)によれば、プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断することは、前記テザー部分よりも大きい幅を有するアンカー部分を形成することを含む。
【0017】
例11に加えて別の例(「例14」)によれば、前記テザーアンカーを形成する方法は、前記アンカー部分に複数のアパチャを形成すること及び前記テザー部分を前記複数のアパチャのそれぞれに通すことをさらに含み、その結果、前記テザー部分に張力をかけると、前記アンカー部分は1つ以上のプリーツを画定する。
【0018】
例11に加えて別の例(「例15」)によれば、前記テザーアンカーを形成する方法は、材料の1つ以上の層をマンドレル上に巻き付けることによってプリフォームを形成することをさらに含む。
【0019】
例15に加えて別の例(「例16」)によれば、前記テザーアンカーを形成する方法は、材料の層の間に少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを挿入することをさらに含む。
【0020】
1つの例(「例17」)によれば、心臓弁機能不全を治療する方法は、患者内の標的位置にテザーアンカーを配置することを含み、前記テザーアンカーは、長尺でありかつ第一の端部と第二の端部との間に延在するテザー部分、ここで、前記テザー部分は平坦なフィルム構造物から形成されている、及び、前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定するアンカー部分、ここで、前記アンカー部分は平坦なフィルム構造物のテザー部分とともに一体的に形成され、前記テザー部分の第二の端部から連続的に延在しており、前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通してテザー部分が延在している、を含む。
【0021】
例17に加えて別の例(「例18」)によれば、心臓弁機能不全を治療する方法は、索状組織の修復又は交換又は欠陥のある弁の治療のために構成されたテザーアンカーを含む。
【0022】
1つの例(「例19」)によれば、テザーアンカーは、長尺であり、第一の端部と第二の端部との間に延在するテザー部分、ここで、前記テザー部分は平坦なフィルム構造物から形成されている、及び、前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定するアンカー部分、ここで、前記アンカー部分は、平坦なフィルム構造物のテザー部分と一体的に形成され、前記テザー部分の第二の端部から連続的に延在し、前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通してテザー部分が延在している、及び、前記テザー部分に結合された少なくとも1つの針、を含む。
【0023】
例19に加えて別の例(「例20」)によれば、前記テザーアンカーはまた、少なくとも1つの針を含み、前記少なくとも1つの針は、前記テザー部分の第一の端部に結合された第一の針、及び、前記テザー部分の第二の端部に結合された第二の針を含む。
【0024】
1つの例(「例21」)によれば、テザーアンカーは、長尺でありかつ第一の端部と第二の端部との間に延在するテザー部分、ここで、前記テザー部分は平坦なフィルム構造物から形成されている、及び、前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定しているアンカー部分、ここで、前記アンカー部分は、平坦なフィルム構造物のテザー部分とともに一体的に形成され、前記テザー部分の第二の端部から連続的に延在しており、前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通してテザー部分が延在している、及び、前記テザー部分に結合された少なくとも1つの組織アンカー、を含む。
【0025】
例21に加えて別の例(「例22」)によれば、前記テザーアンカーはまた、前記テザー部分の第一の端部に結合された第一の組織アンカー及び前記テザー部分の第二の端部に結合された第二の組織アンカーを含む少なくとも1つの組織アンカーを含む。
【0026】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって他の方法で提供される本発明の概念のいずれかの範囲を制限又は他の方法で狭めるように読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれ、その一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0028】
図1図1は、幾つかの実施形態によるプリフォームを示す。
【0029】
図2図2は、幾つかの実施形態による、図1に示すプリフォームの表面を示す。
【0030】
図3図3は、幾つかの実施形態による、丸まった構成の縫合糸を示す。
【0031】
図4図4は、幾つかの実施形態による、連続的に形成された綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0032】
図5図5は、部分的に作動された構成の図4の綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0033】
図6図6は、完全に作動された構成の図4及び5の綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0034】
図7図7は、幾つかの実施形態による、綿撒糸アンカー及び縫合糸の端部を示す。
【0035】
図8図8は、幾つかの実施形態による索状組織修復処置で使用されるような綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0036】
図9図9は、幾つかの実施形態による、綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0037】
図9A図9Aは、幾つかの実施形態による、綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0038】
図9B図9Bは、幾つかの実施形態による、インターロック機構を備えた綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0039】
図10図10は、折り畳み構成の図11の綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0040】
図11図11は、幾つかの実施形態による、インターロック機構によって接続された一対の綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0041】
図12図12は、幾つかの実施形態による、綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0042】
図13図13は、幾つかの実施形態による、綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0043】
図14図14は、幾つかの実施形態による、折り畳み構成の図15の綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0044】
図15図15は、幾つかの実施形態による、綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0045】
図16図16は、幾つかの実施形態による、折り畳み構成の図17の綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0046】
図17図17は、幾つかの実施形態による、綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0047】
図18図18は、幾つかの実施形態による、折り畳まれた、図19の綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0048】
図19図19は、幾つかの実施形態による、図19の綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0049】
図20図20は、幾つかの実施形態による、複数のアンカー部分を備えた綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0050】
図21A図21Aは、幾つかの実施形態による、筒形の停止構成要素を備えた綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0051】
図21B図21Bは、幾つかの実施形態による、ワッシャーストッパーを備えた綿撒糸アンカー及び縫合糸を示す。
【0052】
図22図22は、幾つかの実施形態による、各端部に配置された綿撒糸アンカー及び針の端部を示す。
【0053】
図23図23は、幾つかの実施形態による、端部に配置された綿撒糸アンカー及び組織アンカーの端部を示す。
【0054】
図24図24は、幾つかの実施形態による、端部に配置された綿撒糸アンカー及び組織アンカーの端部を示す。
【0055】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点に関して、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0056】
詳細な説明
定義及び用語
本開示は、限定的な方法で読まれることを意図されていない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰する意味の関係で広く読まれるべきである。
【0057】
不正確さの用語に関して、「約」及び「ほぼ」は、交換可能に、測定値を指すために使用され、前記測定値は、記載された測定値を含み、また、記載された測定値に合理的に近い測定値を含むことができる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に少量だけ逸脱している。このような逸脱は、例えば、測定誤差又は性能を最適化するために行われた微調整に起因することがある。
【0058】
本明細書で使用されるときに、「結合する(couple)」とは、直接的又は間接的であるかどうか、及び恒久的又は一時的であるかどうかにかかわらず、結合、接続、取り付け、接着、貼り付け又はボンド結合することを意味する。
【0059】
様々な実施形態の説明
様々な開示の概念は、シームレスに相互接続されたアンカー部分及びテザー部分を含む、連続的又は一体型のインプラント可能な組織アンカーに関する。幾つかの例は、フィルム構造物(例えば、管状フィルム構造物)から連続的に形成されたアンカー又は綿撒糸部分及びテザー又は縫合部分に関する。
【0060】
以下でさらに詳細に記載されるように、本明細書で論じられるインプラント可能なアンカーは、様々な医療処置で使用することができる。例えば、特定の例において、インプラント可能なアンカーを索状組織修復に使用できる。さらに、インプラント可能なアンカーは、欠陥のある弁(例えば、僧帽弁、三尖弁)を治療するために使用することができる。インプラント可能なアンカーは、逆流を経験している弁の閉鎖を確保にするために、心臓又は弁輪の周囲に巻き付けられることができる。さらに、インプラント可能なアンカーは、心臓の弁輪形成術の手順、又は心室又は心房中隔壁欠損などの心臓の壁に形成された開口部又はアパチャを閉じる際に使用することができる。
【0061】
図1は、一対のテザーアンカー102及び104を形成するように切断されたプリフォーム100を示す。第一のテザーアンカー102は、アンカー部分106及びテザー部分108を有し、第二のテザーアンカー104も、対応するアンカー部分110及びテザー部分112を有する。プリフォーム100は、マンドレル114の周りにらせん状パターン(例えば、テープ巻き)又は管状パターン(例えば、タバコ巻き)でフィルムを巻き付けることによって形成することができ、マンドレル114は、その形成中にプリフォーム100のための支持構造として作用する。巻き付けは製造の1つの手段であるが、他のものを必要に応じて使用することができ、限定するわけではないが、押出成形、モールド成形、延伸又は他のプロセスが挙げられる。
【0062】
幾つかの例において、プリフォーム100は、フィルム材料(例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン又はePTFEフィルム又は関連する複合材料)の複数の層から作製されたフィルム構造物であり、プリフォーム100は、フィルム材料の複数の層を互いに配置し、層状フィルム材料を所定の圧力及び/又は温度に暴露して層を結合することによって形成される。1つの例において、放射線不透過性マーカー材料は、プリフォーム100内に任意の所望の構成又はパターンでフィルム材料の層の間に配置される。マンドレル114は管状であってよく、円形断面を有し、他の例において、マンドレル114は断面が矩形、卵形又はその他の適切な形状であり、必要に応じてテーパー、段差又はその他の長さ方向の変化が挙げられる。
【0063】
プリフォーム100が調製された後に、プリフォーム100は、テザーアンカー102及び104などの1つ以上のテザーアンカーを形成するように切断される。1つの例において、切断はレーザを使用して行われるが、別の例において、ウォータージェット切断、プラズマ切断又は機械的(ブレード)切断などの他の切断/成形方法を使用できる。また、プリフォーム100は、図1において2つのテザーアンカーを形成するように示されているが、他の例は、1つのテザーアンカーが単一のプリフォームから形成されうるように、又は3つ以上のテザーアンカーがプリフォームから形成されうるようにプリフォームを切断することができる。簡単にするために、先に進めるために、第一のテザーアンカー102のみが言及されているが、同じ説明及び記載が第二のテザーアンカー104のそれぞれの部分に適用されうることを理解されたい。
【0064】
プリフォーム100は、場合により、図2に示されるように、テザー部分108が一定の幅を有し、アンカー部分106がテザー部分108の幅よりも大きい幅を有するようにして切断される。それぞれのテザー部分及びアンカー部分106、108について実質的に一定の幅が示されているが、幅が変化し、非線形である(例えば、曲がりくねった)カットも考えられることが理解されるべきである。とにかく、アンカー部分106は、アンカー部分106がテザー部分108の一端から連続的に延在するように、平坦なフィルム構造物のテザー部分108と一体的に形成される。1つの例において、アンカー部分106及びテザー部分108は、アンカー部分106及びテザー部分108が同じ均質な材料から形成されているので、形成されたものとして、実質的に同じ厚さを有する。切断に続いて、テザー部分108は、アンカー部分106よりも丸いプロファイルを有するように平坦なプロファイルから再成形されうる。示されるように、アンカー部分106とテザー部分108との間に滑らかで連続的かつ一体的な移行があり、第一のテザーアンカー102の2つの部分の間の移行での摩耗を減らすのを助けることができる。
【0065】
図3は、カールした又はねじれた構成のテザー部分108を示している(例えば、マンドレル114から取り外された後)。単位長さあたりのターン数又は撚り数は、所望に応じて調整できる。幾つかの例において、テザー部分108は、テザー部分108をねじる及び/又は圧縮するように構成されたダイを通してテザー部分108を引っ張ることによって、ねじられ、圧縮される(例えば、「キャンディケイン」構成)。テザー部分108は、場合により、このねじり及び圧縮プロセスなどにより、ボンド結合、焼結又はその他の方法でより円形の断面に加工される。例えば、テザー部分108は、その断面が図4に一般的に示されるように円形又は卵形であるように、圧縮されたねじれた構成でしっかりとカールさせることができる。このカール/圧縮は、テザー部分108の全体的なプロファイル、ならびにテザー部分108の密度を変える可能性があるが、テザー部分108の質量は変化しないままである。
【0066】
図4は、テザー部分108がより円形の断面を達成するためにねじられて圧縮された後のテザーアンカー102を示し、テザー部分108は、第一~第五の交差アパチャ402、404、406、408、410などの複数の交差アパチャ400を含むアンカー部分106に滑らかに移行し、テザー部分108は、図5に示されるように、交差アパチャを通して、交互、ジグザグ又はひも締めパターンで通過することができる。交差アパチャ400は、製造中にアンカー部分106に事前成形されることができ(例えば、交差アパチャ400は、テザーアンカー102及び104の残りの部分が切断されるときにレーザ切断されうる)、その結果、テザー部分108のみが、交差アパチャ400を通してガイドされ、それを通して延在し、又はその中に順次に配置される必要があり、端部412がアンカー部分106を崩潰してデリバリー構成からアンカー構成へとアンカー部分106を移行させるように、張力をかけることができる配置を作成する。幾つかの例において、アンカー部分106は、交差アパチャ又は開口部を事前形成することなく形成され、アンカー部分106の表面を穿孔させることにより、アンカー部分106を形成した後に、交差アパチャを形成し、テザー部分108が通過することができる開口部を提供する。
【0067】
製造の一部として、又は、インプラント前又はインプラント中に、針又は他の器具を利用して、交差アパチャ400を通して端部412をデリバリーし及び/又は交差アパチャ400を形成することができる。交差アパチャ400のサイズは、テザー部分108の厚さと同じ、より小さい又はより大きいことができる。幾つかの例において、交差アパチャ400は、テザー部分108の厚さよりも小さいが、アンカー部分106の材料は拡張可能であり、又は、弾性であり、その結果、テザー部分108はテザー部分108又はアンカー部分106のいずれかに損傷を与えることなく交差アパチャを通過することができる。交差アパチャ400は、等間隔に配置するか、又は間隔を変えることができる。1つの例において、交差アパチャ400は、比較的直線に沿って配置されているが、交差アパチャ400は、互い違いに配置されていても又は他の方法で配置されていてもよい。そして、図4は、5つの交差アパチャを示しているが、任意の適切な数の交差アパチャを使用できることが理解される。
【0068】
幾つかの例において、テザー部分は、端部412からアンカー部分106に隣接する遠位セクション418、及び近位セクション414と遠位セクション418との間の中間セクション416に延在している近位セクション414を画定する。近位セクション414、中間セクション416及び遠位セクション418は、1/3-1/3-1/3、90%-10%-10%、又は様々な組み合わせなどのテザー部分108の長さの様々な百分率のいずれかを構成することができる。幾つかの例において、セクション414、416、418のそれぞれは、テザー部分108の長さの少なくとも5%を構成する。
【0069】
図5は、端部412がアンカー部分106の交差アパチャ400のそれぞれを通して挿入され、アンカー部分106が曲げられるか又は折り畳まれて複数のプリーツ500を形成する、テザーアンカー102の中間構成を示す。幾つかの例において、示されるように、形成されるプリーツ500の数は、アンカー部分106上の第一~第五の交差アパチャ402、404、406、408、410などの交差アパチャ400の数と同じである。この構成は、端部412が第一の交差アパチャ402に通されるときに達成され、その結果、アンカー部分106は、第一の交差アパチャ402と第二の交差アパチャ404との間で折り畳まれ、端部412は第二の交差アパチャ404を通過する。これらの工程は、端部412が、図5に示すように、すべての交差アパチャを通過して、例えば、第一のプリーツ502、第二のプリーツ504、第三のプリーツ506、第四のプリーツ508及び第五のプリーツ510などの複数のプリーツ500をアンカー部分106内に形成するまで繰り返される。プリーツ500は、側面から見たときにジグザグ又はアコーディオン形状に似ている。この構成により、アンカー部分106が最初に長尺の、より直線的なプロファイルをとることができ、次にテザー部分108に張力をかけると、アンカー部分106は、長手方向軸に対して拡大された横断方向プロファイルに折りたたまれる。このようにして、アンカー部分106は、最初に、より低いプロファイル又はデリバリー構成で展開され(例えば、組織構造を通して挿入されることによって)、その後、拡大プロファイル又はアンカー構成に張力がかけられる。
【0070】
図6は、端部412がアンカー部分106から引き離された後の拡大プロファイル又はアンカー構成の最終製品を示す。示されるように、プリーツ500は、テザー部分108に張力をかけて図4に示される初期形態のアンカー部分106の厚さよりも厚いアンカー600を形成した後に、互いに崩潰される。
【0071】
図7は、上述のように、第一のテザー部分108の端部412の1つの実施形態を示している。この実施形態では、端部412は、針700がテザー部分108の一部として実装されるように、端部412に結合された(例えば、結び付けられ、接着された)針700を有する。幾つかの例において、針700は、皮膚の閉鎖、最小限の外傷を伴う軟組織の縫合又はその他のマイクロ外科処置に使用されうる。針700は、組織を貫通する尖った端部を有することができ、幾つかの例において、マイクロ外科処置中に開組織を切断することができる切断ブレードエッジを含むこともできる。針700は、幾つかの例によれば、一般的にC字形、J字形又はS字形の構成を有することができる。さらに、針700は、任意の適切な形状(幾つかの例において、直線、曲線、フック、曲げ、ねじれなど)、サイズ(幾つかの例において、長さが3mmより短い、3mm~5mm、5mm~7mm、又は、7mmより長い)、及び外科的処置に適切な材料(幾つかの例において、ニチノール、ステンレス鋼又は他の種類の金属)であることができる。
【0072】
本明細書に記載されるようなテザーアンカー102の適用の1つの例は、心臓の弁索状組織に関してなどの索状組織修復である。弁索状組織が破壊されており、弁尖が十分に開閉してそれを通る血液流を制御することができないときに、本明細書に示されるようなテザーアンカーを使用して、アンカー部分を弁尖に取り付け、テザー部分のもう一方の端を乳頭筋に接続し、人工弁索を作成することにより、弁尖の開閉を支持することができる。乳頭筋が収縮すると、テザー部分はアンカー部分を引っ張って、弁尖を開き、そこを通る血流を可能にする。この例において、アンカー部分は、乳頭筋とは反対側の弁尖の側に取り付けられているので、乳頭筋が収縮するときに、アンカー部分は、テザーアンカーのテザー部分が通るアパチャを通ってテザーアンカーが引っ張られるのを防ぐ。
【0073】
図8は、この用途の1つの例を示している。健康な弁において、腱索806と呼ばれる一組の構造は、各弁尖804を乳頭筋802に接続する。しかしながら、腱索が引き裂かれ又は破壊されるときに、テザーアンカー102は、最初に、乳頭筋802に対して弁尖800の遠位表面にアンカー部分106を設置又は配置することによって腱索が引き裂かれる、1つ以上の弁尖800に取り付けられる。次に、図5に示されるように、テザー部分108に張力をかけると、アンカー部分106は、それ自体の上に曲げられるか又は折り畳まれて、複数のプリーツ500を形成する。テザー部分108は、ジグザグパターンで交差アパチャ400のそれぞれを通過され、その後、テザー部分108は、プリーツ500を完全に崩潰してアンカー600を形成するように張力がかけられる。テザー部分108の端部412は、続いて乳頭筋802に取り付けられ、その結果、乳頭筋802の動きは、弁尖800の動きを誘発する。
【0074】
テザーアンカー102の用途の別の例は、例えば、心臓の弁輪形成術であり、心臓の弁の周りのリング(弁輪)が広がり、その通常の形状から変化する。テザーアンカー102は、弁の弁輪を締めるか又は補強するように配置することができる。これにより、拡大したバルブからの血液の漏れを防ぐことができる。本明細書に記載のとおりのテザーアンカーは、弁輪形成デバイスが弁輪に固定されたままであり、弁の正常な機能の回復を支援し続けるように使用することができる。
【0075】
テザーアンカー102の別の使用例は、心室又は心房中隔壁欠損などの心臓の壁に形成された開口部又はアパチャを閉じることである。テザーアンカー102は、心臓内からかかる一定の圧力により、心臓を通る血流が長期使用を通して壁からアンカーを脱離させないように、心臓壁の内側で心臓内から開口部を閉じるのを支援するために使用される。
【0076】
幾つかの例において、エコー源性は、アンカーが医療用超音波検査などの医療画像化中に正確に捕捉されうるように、テザーアンカーを実装するときに考慮されるべき要素である。例えば、材料に高エコー空気が実装されている場合に、材料はよりエコー源性が高く、材料が疎水性の水不混和性マトリックスを含む場合に、材料はそのような高エコー空気をより捕捉することができる。1つの例において、テザーアンカーは、高エコー空気が環境に逃げるのを防止するために、疎水性材料から作製されており、及び/又は、疎水性薬剤の層でコーティングされている。別の例において、テザーアンカーは、小さな粒子サイズ(例えば、1ミクロン未満)のタングステン粉末などの放射線不透過性フィラーを有し、その結果、放射線不透過性フィラーはテザーアンカーの機能を妨害せずに、テザーアンカーが蛍光透視又はX線下で見ることができる。
【0077】
図9及び10は、1つの実施形態による、第一のテザー部分108又は縫合糸、第二のテザー部分902及びアンカー部分106又は綿撒糸を、複数の交差アパチャ400とともに備えたテザーアンカー900を示す。アンカー部分106は、第一の端部904と、第一の端部904と反対側の第二の端部906との2つの端部を有する。第一のテザー部分108は第一の端部904から延在し、第二のテザー部分902は第二の端部906から延在し、その結果、アンカー600が、第一のテザー部分108を上述のように交差アパチャ400に通すことによって形成されるときに、第二のテザー部分902は、図10に示されるようにアンカー600から延在する。幾つかの例において、第二のテザー部分902を使用して、追加の構成要素をアンカー600に取り付けることができる。幾つかの例において、第二のテザー部分902は、図9Aに示されるように、第一のテザー部分108と同じ端部(904又は906)から延在することができる。図9Bは、第一のテザー部分108及び第二のテザー部分902の端部が、インターロック機構908を使用してインターロックされて、パラシュート様構成を形成する針700の例を示す。幾つかの例において、第一の針(図示せず)を第一のテザー部分108の自由端に取り付けることができ、第二の針(図示せず)を第二のテザー部分902の自由端に取り付けることができ、ここで、自由端はアンカー部分106に取り付けられていない又は接続されていないテザー部分の端部である。これらの針は、上記に説明され、図7に示されるように、針700であることができる。幾つかの例において、2つの針は、異なる形状、サイズ及び/又は材料を有するなど、互いに異なる。
【0078】
図11及び12は、インターロック機構1104を介して互いに接続された一対のテザーアンカー102及び1100を示す。第一のテザーアンカー102は、第一のアンカー部分106から延在している第一のテザー部分108を有し、第二のテザーアンカー1100は、第二のアンカー部分1102から延在している第二のテザー部分1106を有する。2つのテザー部分108及び1106の端部は、インターロック機構1104を使用してインターロックされることができ、その結果、2つのテザーアンカー102及び1100は、図12に示されるように、各端部でアンカー600又は1200を有する単一の連続テザーとして本質的に利用できる。
【0079】
この場合において、アンカー600及び1200は、2つの壁1202及び1204の2つの対向する側に配置され、インターロック機構1104は、2つのアンカー600及び1200から分離された壁1202及び1204の間の空間に配置される。アンカー600及び1200は、2つのテザー部分108及び1106がインターロックされる前に形成される。最初に、第一のアンカー600は、上述のように交差アパチャ400を通してテザー部分108を挿入することによって形成され、第二のアンカー1200は、第二のアンカー部分1102の交差アパチャ1108を通して第二のテザー部分1106を挿入することによって同様に形成される。次いで、テザー部分108及び1106の2つの自由端は、インターロック機構1104を使用して一緒に結合される。
【0080】
幾つかの例において、インターロック機構908及び1104は、クランプ、クリップ、ロック、ラッチ、又は2つのテザー部分108及び902(図9B)又は1106(図11及び10)を固定するための任意の適切な機構であることができる。幾つかの例において、インターロック機構908及び1104は、2つのテザー部分108及び902又は1106をインターロックすることによって形成されるテザーの長さを調整することができる締め付け能力も有する。例えば、インターロック機構1104にねじ又はノブが存在しうる。これは、作動されると、2つのアンカー600と1200を互いに近づける。
【0081】
図13及び14は、1つの実施形態による、アンカー部分1300の第一のセクション1302に配置された交差アパチャ1306の第一の列と、アンカー部分1300の第二のセクション1304に配置された交差アパチャ1308の第二の列とを有するアンカー部分1300を示す。テザー部分108は、第一のセクション1302、第二の部分1304又はそれらの間でアンカー部分1300から延在している。アンカー部分1300は、図13に示すように、破線に沿って折りたたむことができる。アンカー部分1300が折りたたまれたときに、交差アパチャ1306の第一の列は、交差アパチャ1308の第二の列と整列する。アンカー部分1300を折り畳んだ後に、テザー部分108は、図14に示されるように、交差アパチャ1306の第一の列及び第二の列のそれぞれと交差して、アンカー部分1300の第一のセクション及び第二のセクション1302及び1304の配向を維持する。アンカー部分1300から離れる方向に向けてテザー部分108に力を加えると、図2に示される例と同様に、折り畳まれたアンカー部分1300が崩潰し、その後、アンカー部分1300は、折り畳まれたアンカー(図示せず)になる。
【0082】
図15及び16は、1つの実施形態による、アンカー部分1500の第一のセクション1502に配置された交差アパチャの第一の列1508、アンカー部分1500の第二のセクション1504に配置された交差アパチャの第二の列1510、及び、アンカー部分1500の第三のセクション1506に配置された交差アパチャの第三の列1512を有するアンカー部分1500を示す。アンカー部分1300と同様に、アンカー部分1500は、破線に沿って折り畳み可能であり、ここで、交差アパチャの第一、第二及び第三の列1508、1510、1512は、折り畳まれた構成で互いに重なり、その間に、テザー部分108は、3つのセクション1502、1504、1506のいずれか1つ又はそれらの間から延在することができる。図16は、アンカー部分1500が3つ折り又は「レターフォールド」(例えば、封筒内に配置される前に手紙がどのように折り畳まれるのかに似ている)構成で折り畳まれていることを示している。上述に説明したようにテザー部分108に力を加えると、折り畳まれたアンカー部分1500が折り畳まれたアンカー(図示せず)に崩潰される。アンカーを形成するために折り畳まれているアンカー部分の厚さに応じて、他の任意の数のセクション(例えば、4つ以上)を適宜使用できることを理解されたい。
【0083】
図17~19は、各セクションの中心又はその近くにそれぞれ配置された5つのセクション又はプリーツ1702、1704、1706、1708、1710及び5つの交差アパチャ1703、1705、1707、1709、1711を有する十字形アンカー部分1700を示す。幾つかの例において、各プリーツ1702、1704、1706、1708、1710は、実質的に正方形の形状であることができ、十字形アンカー部分1700の外周の各辺は長さが等しいか又は類似している。テザー部分108は、5つのプリーツ1702、1704、1706、1708、1710のいずれか1つから延在することができる。図18は、アンカー部分1700が、図17に示される破線に沿ってどのように折り畳まれることができるのかの例を示しており、図19は、アンカー部分1700を折り畳み、テザー部分108が、折り畳まれた構成で互いに整列する交差アパチャ1703、1705、1707、1709、1711を通過することから生じるアンカー部分1700を示している。図13~19に示されるように、折り畳み可能な要素の数を増やすことの利点は、アンカー部分を折り畳み、そこを通してテザーを通過させることから生じるアンカーの厚さを調整することができることを含む。厚さを増やすと、幾つかの例において、アンカーの安定性及び耐久性も増加することができる。
【0084】
図20は、複数のアンカー部分2002、2004、2006及び2008を含む別の実施形態によるテザーアンカー2000を示している。図20は、4つのアンカー部分を示しているが、他の例において、任意の適切な数のアンカー部分を実装することができる。隣接するアンカー部分の各対は、アンカー部分2002及び2004が接続部材2003に接続され、アンカー部分2004及び2006が接続部材2005に接続され、アンカー部分2006及び2008が接続部材2007に接続されるように、接続部材に接続されている。上述の実施形態と同様に、アンカー部分2002、2004、2006及び2008は互いに折り畳まれて、図6のアンカー600と同様のアンカーを形成する。
【0085】
図21A及び21Bは、テザー部分108がアンカー部分106を通過する又はアンカー部分106に配置された交差アパチャ400を通過するのを防止するために、テザー部分108に結合された停止構成要素の2つの構成を示す。図21Aにおいて、停止構成要素2100は、テザー部分108に、又は、アンカー部分106とテザー部分108との間の接合部に結合されうる。停止構成要素2100は、結び目、かしめ構造、圧着構造、又はテザー部分108がアンカー部分106又は交差アパチャ400を通過する能力を制限する他の適切な構造の形態を取ることができる。例えば、停止構成要素2100の少なくとも一部の直径は、交差アパチャ400よりも広くすることができる。図21Bにおいて、T字形断面を有するスエージストッパー2102は、テザー部分108に結合されうる。停止構成要素2100及びスエージストッパー2102は、任意の適切な形状及び断面を有することができ、例えば、金属、ゴム、シリコーン及びその他の弾性又は可塑性ポリマーなどの任意の適切な材料から構成されうる。
【0086】
図22は、幾つかの実施形態による、各端部に配置されたテザーアンカー102の端部及び針700を示す。示されるように、テザーアンカー102の端部412のそれぞれは、テザーアンカー102のテザー部分108の端部412に結合された針700を含む。テザー部分108は、上記に詳細に記載したように、テザー部分108の遠位部分418に取り付け又は結合されうる。二重針テザーアンカー102は、皮膚閉鎖、最小限の外傷を伴う軟組織の縫合又は他のマイクロ外科処置、心臓弁修復又は他の同様の処置などの多くの処置で使用することができる。特定の例において、針の一方又は両方は、図23~24を参照して示され、記載されるように、組織アンカーで置き換えることができる。
【0087】
図23は、幾つかの実施形態による、テザーアンカー102の端部及び端部に配置された組織アンカー1210を示している。示されるように、組織アンカー1210は、テザーアンカー102の端部412に結合されている。組織アンカー1210は、組織アンカー1210がテザーアンカー102の一部として端部412に実装されるように、テザー部分108の端部412に結合されうる。特定の例において、組織アンカー1210は、端部412に取り付けられているか、又は接着されている。図22に示されるように、組織アンカー1210は、テザーアンカー102の両端に結合されうる。さらに、1つを超える組織アンカー1210は、テザーアンカー102の両端に又はテザーアンカー102に沿って配置されうる。
【0088】
図23に示されるように、組織アンカー1210はらせん形状を含む。示されているように、組織アンカー1210は1つ以上のコイルを有することができる。組織アンカー1210のターン数又はコイル数は、組織アンカー1210が弁尖又は組織内に配置されうる深さを延長又は短縮するために変えることができる。組織アンカー1210は、図22を参照して上記に詳細に論じたように、テザー部分108の一端又は両端に結合することができる。
【0089】
図24は、幾つかの実施形態による、テザーアンカー102の端部及び端部に配置された組織アンカー1320を示している。示されるように、組織アンカー1320は、テザーアンカー102の端部412に結合されている。組織アンカー1320は、テザー部分108の端部412にねじ込まれるか、又は接着されて、その結果、組織アンカー1320は、テザーアンカー102の一部として端部412に実装される。図22に示されるように、組織アンカー1320は、テザーアンカー102の両端に結合されうる。
【0090】
図24に示されるように、組織アンカー1320は、組織内に埋め込まれるように構成された複数の棘を含む。組織アンカー1320は、組織内での固定を容易にするために、3つ、4つ、5つ、6つ又は任意の追加の数の棘を含むことができる。組織アンカー1320は、図22を参照して上記で詳細に論じられるように、テザー部分108の一端又は両端に結合されうる。さらに、1を超える組織アンカー1320は、テザーアンカー100の両端に、又はテザーアンカー100に沿って配置されうる。
【0091】
様々な例によれば、アンカーテザーの材料は、限定するわけではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び/又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含むフルオロポリマー、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、PVDF、シルク又は他の同様の材料を含むことができる。幾つかの例において、アンカーテザーは、本明細書に開示されるように、エラストマー又はエラストマー性材料、例えば、フルオロエラストマーと組み合わされて複合材料を形成する、ePTFEなどの膜を含む。アンカーテザーに関して様々な例が論じられているが、本明細書で論じられる様々な例及び実施形態は、本明細書で論じられるアンカーテザーのそれぞれ及び/又はアンカーテザーの様々な構成要素に普遍的に適用されうることが理解される。
【0092】
様々な特徴は、幾つかの例に関連して具体的に記載されており、他の例に関連して記載されていない。しかしながら、例どうしの機能の組み合わせを排除することは意図されていない。代わりに、そのような組み合わせは具体的に考えられ、本開示の一部を形成する。本開示の発明の概念は、一般的に及び特定の実施形態に関しての両方で記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内にあるかぎり、本発明の変更及び変形を網羅することが意図されている。
(態様)
(態様1)
長尺でありかつ第一の端部と第二の端部との間に延在しているテザー部分、及び、
前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定するアンカー部分、
を含み、
前記テザー部分は、平坦なフィルム構造物から形成されており、
前記アンカー部分は、平坦なフィルム構造物のテザー部分と一体的に形成され、前記テザー部分の第二の端部から連続的に延在しており、前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通して前記テザー部分が延在している、
テザーアンカー。
(態様2)
前記平坦なフィルム構成物はフィルム材料の複数の層を含む、態様1記載のテザーアンカー。
(態様3)
前記フィルム材料の複数の層の間に挿入された少なくとも1つの放射線不透過性マーカーをさらに含む、態様2記載のテザーアンカー。
(態様4)
前記テザー部分及び前記アンカー部分は実質的に同じ厚さを有し、前記テザー部分は前記アンカー部分から延在している、態様1記載のテザーアンカー。
(態様5)
プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断すること、
前記アンカー部分に第一のアパチャを形成すること、及び、
前記テザー部分のある長さを前記アンカー部分の前記第一のアパチャに通すこと、
を含み、ここで、前記テザー部分は前記アンカー部分から連続的に延在している、方法によって調製されるテザーアンカー。
(態様6)
プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断することは、前記テザー部分と前記アンカー部分との間の連続的かつ一体的な移行を画定することを含む、態様5記載の方法。
(態様7)
プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断することは、前記テザー部分よりも大きい幅を有するアンカー部分を形成することを含む、態様5記載の方法。
(態様8)
前記アンカー部分に複数のアパチャを形成すること、及び、前記テザー部分を前記複数のアパチャのそれぞれに通すことをさらに含み、その結果、前記アンカー部分は、前記テザー部分に張力をかけると、1つ以上のプリーツを画定する、態様5記載の方法。
(態様9)
材料の1つ以上の層をマンドレル上に巻き付けることによってプリフォームを形成することをさらに含む、態様5記載の方法。
(態様10)
材料の層の間に少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを挿入することをさらに含む、態様9記載の方法。
(態様11)
プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断すること、
前記アンカー部分に第一のアパチャを形成すること、及び、
前記テザー部分のある長さを前記アンカー部分の第一のアパチャに通すこと、
を含み、ここで、前記テザー部分は、前記アンカー部分から連続的に延在している、テザーアンカーの形成方法。
(態様12)
プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断することは、前記テザー部分と前記アンカーとの間の連続的かつ一体的な移行を画定することを含む、態様11記載の方法。
(態様13)
プリフォームをテザー部分及びアンカー部分に切断することは、前記テザー部分よりも大きい幅を有するアンカー部分を形成することを含む、態様11記載の方法。
(態様14)
前記アンカー部分に複数のアパチャを形成すること及び前記テザー部分を前記複数のアパチャのそれぞれに通すことをさらに含み、その結果、前記テザー部分に張力をかけると、前記アンカー部分は1つ以上のプリーツを画定する、態様11記載の方法。
(態様15)
材料の1つ以上の層をマンドレル上に巻き付けることによってプリフォームを形成することをさらに含む、態様11記載の方法。
(態様16)
材料の層の間に少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを挿入することをさらに含む、態様13記載の方法。
(態様17)
患者内の標的位置にテザーアンカーを配置することを含む、心臓弁機能不全を治療する方法であって、前記テザーアンカーは、長尺でありかつ第一の端部と第二の端部との間に延在するテザー部分、及び、前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定するアンカー部分、を含み、前記テザー部分は平坦なフィルム構造物から形成されており、前記アンカー部分は平坦なフィルム構造物のテザー部分とともに一体的に形成され、前記テザー部分の第二の端部から連続的に延在しており、前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通して前記テザー部分が延在している、
方法。
(態様18)
前記テザーアンカーは、索状組織の修復又は交換又は欠陥のある弁の治療のために構成されている、態様17記載の方法。
(態様19)
長尺でありかつ第一の端部と第二の端部との間に延在するテザー部分、前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定するアンカー部分、及び、前記テザー部分に結合された少なくとも1つの針、を含み、前記テザー部分は平坦なフィルム構造物から形成されており、前記アンカー部分は、平坦なフィルム構造物のテザー部分と一体的に形成され、前記テザー部分の第二の端部から連続的に延在しており、前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通して前記テザー部分が延在している、
テザーアンカー。
(態様20)
前記少なくとも1つの針は、前記テザー部分の第一の端部に結合された第一の針、及び、前記テザー部分の第二の端部に結合された第二の針を含む、態様19記載のテザーアンカー。
(態様21)
長尺でありかつ第一の端部と第二の端部との間に延在するテザー部分、前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定しているアンカー部分、及び、前記テザー部分に結合された少なくとも1つの組織アンカー、を含み、前記テザー部分は平坦なフィルム構造物から形成されており、前記アンカー部分は、平坦なフィルム構造物のテザー部分とともに一体的に形成され、前記テザー部分の第二の端部から連続的に延在しており、前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通して前記テザー部分が延在している、
テザーアンカー。
(態様22)
前記少なくとも1つの組織アンカーは、前記テザー部分の第一の端部に結合された第一の組織アンカー、及び、前記テザー部分の第二の端部に結合された第二の組織アンカーを含む、態様21記載のテザーアンカー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2024-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺でありかつテザー部分の第一の端部と第二の端部との間に延在しているテザー部分、及び、
前記テザー部分の幅よりも大きい幅を画定するアンカー部分、
を含み、
前記テザー部分は、平坦なフィルム構造物から形成されており、
前記アンカー部分はテザー部分と一体で形成され、前記アンカー部分は第一のアパチャを有し、それを通して前記テザー部分が延在しており、前記アンカー部分は折り畳みを形成している、
テザーアンカー。
【請求項2】
前記アンカー部分は第二のアパチャを含み、前記アンカー部分が折り畳まれた場合に、前記第一のアパチャおよび前記第二のアパチャは整列している、請求項1記載のテザーアンカー。
【請求項3】
前記アンカー部分は前記第一のアパチャを含むアパチャの第一の列と、前記第二のアパチャを含むアパチャの第二の列とを含み、前記アンカー部分が折り畳まれた場合に、前記アパチャの第一の列と前記アパチャの第二の列とは整列している、請求項2記載のテザーアンカー。
【請求項4】
前記アンカー部分は第一のセクションと第二のセクションとを含み、前記第一のアパチャは前記第一のセクション内に形成されおよび前記第二のアパチャは前記第二のセクション内に形成され、前記アンカー部分が折り畳まれて前記アンカー部分の前記第一のセクションと前記第二のセクションとの配向を維持する場合、前記テザー部分は前記第一のアパチャおよび前記第二のアパチャと交差する、請求項2記載のテザーアンカー。
【請求項5】
前記アンカー部分は第三のアパチャを含み、前記アンカー部分が折りたたまれた場合に、前記第一のアパチャ、前記第二のアパチャおよび前記第三のアパチャは、整列している、請求項2記載のテザーアンカー。
【請求項6】
前記アンカー部分は、前記第一のアパチャを含む前記アパチャの第一の列、前記第二のアパチャを含む前記アパチャの第二の列、前記第三のアパチャを含む前記アパチャの第三の列を形成し、前記アンカー部分が折りたたまれた場合に、前記アパチャの第一の列、前記アパチャの第二の列、および前記アパチャの第三の列は、整列している、請求項5記載のテザーアンカー。
【請求項7】
前記アンカー部分は、第一のセクションと第二のセクションと第三のセクションとを含み、前記アパチャの第一の列は前記第一のセクション内に形成され、前記アパチャの第二の列は前記第二のセクション内に形成され、前記アパチャの第三の列は前記第三のセクション内に形成され、前記アンカー部分が折り畳まれて前記アンカー部分の前記第一のセクションと前記第二のセクションとの配向を維持する場合、前記テザー部分は、前記アパチャの第一の列、前記アパチャの第二の列、および前記アパチャの第三の列と交差する、請求項6記載のテザーアンカー。
【請求項8】
前記折り畳みは、前記第一のセクションと前記第二のセクションとの間に形成される第一の折り畳みおよび前記第一のセクションと前記第三のセクションとの間に形成される第二の折り畳みを含む、請求項7記載のテザーアンカー。
【請求項9】
前記アンカー部分は、3つ折り構成を形成する、請求項8記載のテザーアンカー。
【請求項10】
前記アンカー部分は第一のセクションと第二のセクションと第三のセクションと第四のセクションと第五のセクションとを含み、各セクションはアパチャを画定する、請求項1記載のテザーアンカー。
【請求項11】
前記第一のセクション、前記第二のセクション、前記第三のセクション、前記第四のセクションおよび前記第五のセクションは、十字形を形成する、請求項10記載のテザーアンカー。
【請求項12】
前記第一のセクションは、前記十字形の中心に位置する、請求項11記載のテザーアンカー。
【請求項13】
前記折り畳みは、前記第一のセクションの各端部を形成する、請求項12記載のテザーアンカー。