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  • 特開-情報検索装置 図1
  • 特開-情報検索装置 図2
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  • 特開-情報検索装置 図4
  • 特開-情報検索装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040327
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】情報検索装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/33 20190101AFI20240315BHJP
【FI】
G06F16/33
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017973
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2022157735の分割
【原出願日】2018-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】梁 允禎
(72)【発明者】
【氏名】下平 真武
(72)【発明者】
【氏名】左近 昌嗣
(57)【要約】
【課題】車外音から搭乗者が必要とする情報を検索することができるようにする。
【解決手段】情報検索装置1は、マイク2が車両の周囲の音である車外音を取得し、制御部6が取得した車外音に基づいて所定のキーワードを抽出し、抽出されたキーワードを用いてサーバ装置20に対して情報検索を行う。そして、制御部6が出力部7へ検索結果を出力させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の音である車外音を取得する音取得部と、
取得した前記車外音に基づいて所定のキーワードを抽出する抽出部と、
前記抽出された前記キーワードを用いて情報検索を行う検索部と、
前記検索部による検索結果を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする情報検索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のキーワードで情報を検索する情報検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、道路以外の領域にある人物領域に基づいてターゲット領域を求め、ターゲット領域から集音できるように集音方向を決定して車外音を集音し、集音した車外音を車内に出力することが記載されている。
【0003】
また、近年、運転者に代わって自動的に運転操作を行なう自動運転に関する技術開発が進められている。このような自動運転時に搭乗者が退屈しないように、特許文献2には、テレビ情報、光ディスクに収録された映像情報、及びインターネット経由で取得されるウェブ情報等のコンテンツがウィンドシールドの全体まで拡大されて表示されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-201406号公報
【特許文献2】特開2015-217798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の発明により集音した車外音を車内に出力することができる。例えば、人物領域でお祭り等のイベントが行われていた場合、車内にはお祭り等のイベントの音が出力されることとなる。しかし、車両の搭乗者がそのイベントに興味を持ったとしても、その場でイベントについて詳細な情報を得ることができない。
【0006】
また、自動運転により走行している際に搭乗者がイベントについて検索サイト等で調べようとしても、聞き取った音から適切なキーワードを抽出することができないと、搭乗者が望むような検索結果を得られないことがある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、車外音から搭乗者が必要とする情報を検索することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の周囲の音である車外音を取得する音取得部と、取得した前記車外音に基づいて所定のキーワードを抽出する抽出部と、前記抽出された前記キーワードを用いて情報検索を行う検索部と、前記検索部による検索結果を出力する出力部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項6に記載の発明は、所定のキーワードを用いて情報検索を行う情報検索装置で実行される情報検索方法であって、車両の周囲の音である車外音を取得する音取得工程と、取得した前記車外音に基づいて前記キーワードを抽出する抽出工程と、前記抽出された前記キーワードを用いて情報検索を行う検索工程と、前記検索部による検索結果を出力する出力工程と、を含むことを特徴としている。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の情報検索方法を、コンピュータにより実行させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例にかかる情報検索装置を有するシステムの概略構成図である。
図2図1に示された情報検索装置における情報検索方法のフローチャートである。
図3図1に示された記憶部に構築されているDBの例を示した図である。
図4】駐車場の情報を表示した図である。
図5】自動運転による走行が許可されている道路を表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態にかかる情報検索装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる情報検索装置は、音取得部が車両の周囲の音である車外音を取得し、抽出部が取得した車外音に基づいて所定のキーワードを抽出し、検索部が抽出されたキーワードを用いて情報検索を行う。そして、出力部が検索部による検索結果を出力する。このようにすることにより、抽出部において車外音に基づいたキーワードが抽出されるため、車外音から搭乗者が必要とする情報を検索することが可能となる。
【0013】
また、車両の現在位置を取得する現在位置取得部を備え、検索部は、現在位置とキーワードとを用いて情報検索を行ってもよい。このようにすることにより、現在位置を含めることで、検索結果の精度を向上させることができる。
【0014】
また、出力部は、搭乗者の視線上に検索結果を出力してもよい。このようにすることにより、搭乗者が情報を得るために必要な視線移動が少なくなり、検索結果の視認について搭乗者の負担を軽減させることができる。
【0015】
また、出力部は、検索結果から車両が立ち寄れる施設に関する情報を更に抽出して出力するようにしてもよい。このようにすることにより、例えば、イベント会場に限らず、イベント会場周辺の駐車場等に関する情報を搭乗者に提供することが可能となる。
【0016】
また、出力部は、検索結果に基づいて、車両が自動運転で移動できる範囲に関する情報を出力してもよい。このようにすることにより、自動運転車或いは自動運転モードにより走行している際であっても、そのままイベント会場周辺や駐車場まで走行することができるかを搭乗者が把握することができる。
【0017】
また、本発明の一実施形態にかかる情報検索方法は、音取得工程で車両の周囲の音である車外音を取得し、抽出工程で取得した車外音に基づいて所定のキーワードを抽出し、検索工程で抽出されたキーワードを用いて情報検索を行う。そして、出力工程で検索部による検索結果を出力する。このようにすることにより、抽出工程において車外音に基づいたキーワードが抽出されるため、車外音から搭乗者が必要とする情報を検索することが可能となる。
【0018】
また、上述した情報検索方法を、コンピュータにより実行させてもよい。このようにすることにより、コンピュータを用いて、抽出工程において車外音に基づいたキーワードが抽出されるため、車外音から搭乗者が必要とする情報を検索することが可能となる。
【実施例0019】
本発明の一実施例にかかる情報検索装置を有するシステムを図1図5を参照して説明する。システムは、図1に示したように、例えば移動体としての車両に搭載されている情報検索装置1と、例えばインターネットに存在する情報(ウェブページ、画像ファイル等
)を検索する検索エンジンが構築されているサーバ装置20と、を有している。
【0020】
情報検索装置1は、マイク2と、GPS受信機3と、記憶部4と、視線認識部5と、制御部6と、出力部7と、通信部8と、を備えている。
【0021】
音取得部としてのマイク2は、例えば車両の前端部や後端部或いはルーフ等に設置され、車両周囲の車外音を集音する。マイク2で集音された車外音は電気信号に変換されて制御部6へ出力される。
【0022】
現在位置取得部としてのGPS受信機3は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波に基づいて車両Cの現在位置を検出する周知の機器である。GPS受信機で検出された現在位置(緯度、経度)は、現在位置情報として制御部6へ出力される。
【0023】
記憶部4は、不揮発性の半導体メモリやハードディスクドライブ等で構成されている。記憶部4は、制御部6が車外音からキーワードを抽出する際に参照するデータベース(DB)が構築されている。このDBは、例えば機械学習等により車外音の電気信号波形とキーワードを関連付けてデータを蓄積されていてもよいし、人手で電気信号波形とキーワードを関連付けてデータを蓄積してもよい。
【0024】
視線認識部5は、車室内に設けられている。視線認識部5は、例えばカメラ及び画像処理部等を有している。カメラは搭乗者の顔を含む所定の領域を撮像し、当該カメラで撮像された搭乗者の顔から画像処理技術を適用して、搭乗者の視線方向を認識する。
【0025】
抽出部、検索部としての制御部6は、例えばCPU(Central Processing Unit)等を有するマイクロコンピュータにより構成されている。制御部6は、マイク2で集音した車外音の電気信号の波形に基づいて、記憶部4に構築されているDBから所定のキーワードを抽出する。そして、制御部6は、抽出されたキーワード及びGPS受信機3が検出した現在位置を検索情報として通信部8を介してサーバ装置20へ送信して情報検索を行う。制御部6の動作の詳細は後述する。
【0026】
出力部7は、サーバ装置20に対して行った検索結果を出力する。具体的には、ヘッドアップディスプレイ(HUD)やセンターコンソール等に設置されている表示画面等に検索結果を表示する。また、車両のウィンドシールドに表示してもよい。あるいは、車両に設けられたスピーカーから検索結果を音声として出力してもよい。
【0027】
なお、HUDに表示する場合は、視線認識部5で認識された搭乗者の視線上に検索結果が表示されるようにするのが好ましい。視線認識部5により搭乗者の視線方向が認識されるので、視線方向のHUD上(視線とHUDの交点を中心とした所定範囲)に表示すると、搭乗者が情報を得るために必要な視線移動が少なくなり、検索結果の視認について搭乗者の負担を軽減させることができる。
【0028】
通信部8は、サーバ装置20とインターネット等を介して通信する。通信部8は、上記した検索情報をサーバ装置20へ送信し、サーバ装置20から検索結果を受信する。
【0029】
サーバ装置20は、上述したように、例えばインターネットに存在する情報(ウェブページ、画像ファイル等)を検索する検索エンジンが構築されており、情報検索装置1がアクセスして情報の検索をすることが可能となっている。サーバ装置20に構築されている検索エンジンは専用のものに限らず、例えばグーグル社等により提供されている汎用のものでもよい。
【0030】
次に上述した構成の情報検索装置1の動作(情報検索方法)について、図2のフローチャートを参照して説明する。図2に示したフローチャートは制御部6で実行される。なお、図2に示したフローチャートを制御部6のCPUで実行されるプログラムとして構成することで情報検索プログラムとすることができる。
【0031】
まず、ステップS1において、制御部6は、マイク2で集音された車外音(電気信号)を取得する。
【0032】
次に、ステップS2において、制御部6は、ステップS1で取得した車外音に基づいて所定のキーワードを記憶部4に構築されているDBから抽出する。具体的には、取得した車外音の電気信号の波形をDBの入力として、その波形に関連付けられているキーワードを読み出す。図3にDBの例を示す。なお、図3の波形の項目は、実際はステップS1で取得した車外音の波形であるが、図3では実際の波形に代えて波形(1)、波形(2)として表示する。
【0033】
図3では波形(1)が、例えば祭囃子を示す音であった場合、キーワードとしては「お祭り」が関連付けられている。波形(2)が、観客の歓声を示す音であった場合、キーワードとしては「スポーツ」が関連付けられている。
【0034】
なお、図3において、例えば祭囃子や歓声は1種類に限らず、複数種類登録されていてもよい。例えば、スポーツの観客の歓声とコンサートの観客の歓声が登録されていてもよいし、スポーツの中でも野球の観客の歓声とサッカーの観客の歓声が登録されていてもよい。
【0035】
図2の説明に戻る。制御部6は、ステップS2に続くステップS3においては、GPS受信機3で検出された現在位置を取得する。なお、GPS受信機3は、現在位置を緯度、経度で出力するため、例えば、記憶部4に地図情報が記憶されていれば、それを利用して住所や施設名等に変換するのが好ましい。
【0036】
次に、ステップS4において、制御部6は、ステップS2で抽出されたキーワード及びステップS3で取得した現在位置に基づいてサーバ装置20に対して検索を行う。例えば、ステップS2で「お祭り」とのキーワードが抽出され、現在位置が「鎌倉駅」であった場合、「お祭り」と「鎌倉駅」のアンド検索が行われる。したがって、検索結果には鎌倉駅周辺のお祭りに関する情報を得ることができる。あるいは、ステップS2で「スポーツ」とのキーワードが抽出され、現在位置が「埼玉スタジアム」であった場合、「スポーツ」と「埼玉スタジアム」のアンド検索が行われる。したがって、検索結果には埼玉スタジアムで行っているスポーツに関する情報を得ることができる。
【0037】
次に、ステップS5において、制御部6は、ステップS4で検索した結果を取得し、出力部7から出力する。例えば、上記した鎌倉駅周辺のお祭りに関する情報であれば、お祭りの名称や場所、日時(期間)といった情報を得ることができ、車両の搭乗者が興味を持った場合は当該お祭りに立ち寄ることができる。あるいは、埼玉スタジアムで行っているスポーツに関する情報であれば、サッカー等の試合の情報(チーム名、現在のスコア等)を得ることができ、さらに当該試合の中継映像をテレビ放送やネット配信等で視聴することができる。
【0038】
以上の説明から明らかなように、ステップS1が音取得工程、ステップS2が抽出工程、ステップS4が検索工程、ステップS5は出力工程として機能する。
【0039】
なお、上述したフローチャートにおいて、ステップS4では車外音から抽出されたキー
ワードと現在位置とで検索を行っていたが、それらに加えて現在の日時を追加してもよい(月のみ、日付のみ、時刻のみでもよい)。日時を追加することで、より検索結果を絞ることができ、検索精度を高めることができる。
【0040】
また、ステップS5では、ステップS4で行った検索結果をそのまま出力しているが、例えば「お祭り」の場合であれば、車両の搭乗者がそのお祭りに立寄りたいと思うことがある。したがって、当該お祭り会場の周辺の駐車場の情報といった車両が立ち寄れる施設に関する情報に絞って出力してもよい。この場合、制御部6で絞ってもよいし、サーバ装置20へ「駐車場」等の語句を追加して再検索を行ってもよい。このようにすることにより、例えば、お祭り会場等のイベント会場に限らず、イベント会場周辺の駐車場等に関する情報を搭乗者に提供することが可能となる。
【0041】
図4は、駐車場の情報の表示例である。図4において、符号Mは自車、符号RTは自車Mの走行経路、符号Iはお祭り会場、符号Pは抽出された駐車場である。図4のように表示することで、自車Mの搭乗者は、希望する駐車場を選択し、その駐車場を目的地(立寄地)とすることができる。
【0042】
また、車両が自動運転車或いは自動運転モードで走行している場合は、搭乗者は手動運転(運転者による操作)ではなく自動運転のままで立寄りたいと思うことがある。したがって、当該お祭り会場の周辺で自動運転による走行が許可されている道路等の自動運転で移動できる経路または範囲に関する情報を検索結果と合わせて出力してもよい。このようにすることにより、自動運転車或いは自動運転モードにより走行している際であっても、そのままイベント会場周辺や駐車場まで走行することができるかを搭乗者が把握することができる。
【0043】
図5は、自動運転による走行が許可されている道路の表示例である。図5は、図4に対して自動運転による走行が許可されている道路を斜線で示したものである。図5のように表示することで、自車Mの搭乗者は、お祭りに自動運転で立寄れるか判断することができる。なお、図5においては、自動運転による走行が許可されている道路を斜線で示したが、自動運転による走行が許可されている経路や範囲で示してもよい。
【0044】
また、上述した実施例では、車外音から抽出したキーワードと現在位置から情報検索を行っていたが、勿論車外音から抽出したキーワードのみで情報検索を行ってもよい。
【0045】
本実施例によれば、情報検索装置1は、マイク2が車両の周囲の音である車外音を取得し、制御部6が取得した車外音に基づいて所定のキーワードを抽出し、抽出されたキーワードを用いてサーバ装置20に対して情報検索を行う。そして、制御部6が出力部7へ検索結果を出力させる。このようにすることにより、制御部6において車外音に基づいたキーワードが抽出されるため、車外音から搭乗者が必要とする情報を検索することが可能となる。
【0046】
また、車両の現在位置を取得するGPS受信機3を備え、制御部6は、現在位置とキーワードとを用いて情報検索を行っている。このようにすることにより、現在位置を含めることで、検索結果の精度を向上させることができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の情報検索装置を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 情報検索装置
2 マイク(音取得部)
3 GPS受信機(現在位置取得部)
6 制御部(抽出部、検索部)
7 出力部
図1
図2
図3
図4
図5