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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040328
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】熱電発電装置及び振動検出システム
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20240315BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20240315BHJP
   G01H 1/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H02N11/00 A
G01M99/00 Z
G01H1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018037
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2019191061の分割
【原出願日】2019-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2019025943
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り メンテナンス・レジリエンス2019 プラントメンテナンスショー 開催日 令和1年7月24日から令和1年7月26日 第2回熱電実用化シンポジウム 開催日 令和1年7月30日
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 知紀
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】柴田 勲
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 隆浩
(57)【要約】
【課題】機器の異常の有無を効率良く診断すること。
【解決手段】熱電発電装置は、熱電発電モジュールと、熱電発電モジュールが発生する電力により駆動する振動センサと、振動センサの検出データを送信する無線通信機と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電発電モジュールと、
前記熱電発電モジュールが発生する電力により駆動する振動センサと、
前記振動センサの検出データを送信する無線通信機と、を備え、
前記熱電発電モジュールは第1ハウジングに収容され、前記振動センサ、及び前記無線通信機は第2ハウジングに収容される、
熱電発電装置。
【請求項2】
前記検出データを処理する処理部を備え、
前記無線通信機は、前記処理部により処理された前記検出データを示す処理データを送信する、
請求項1に記載の熱電発電装置。
【請求項3】
前記処理データは、振動のピーク値、実効値、及び振動数の少なくとも一つを含む、
請求項2に記載の熱電発電装置。
【請求項4】
前記処理部による処理に使用する前記検出データのサンプリング周波数を変更する変更部を備える、
請求項3に記載の熱電発電装置。
【請求項5】
前記無線通信機は、前記処理部による処理に使用する前記検出データのサンプリング周波数を変更する変更指令を受信し、
前記処理部は、前記変更指令に基づいて、前記検出データのサンプリング周波数を変更する、
請求項3に記載の熱電発電装置。
【請求項6】
前記処理部は、第1規定時間において取得された前記検出データにおける振動のピーク値の算出処理を複数回実行し、
複数の前記算出処理から取得された複数の前記ピーク値から、診断に使用するピーク値が決定される、
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の熱電発電装置。
【請求項7】
前記ピーク値、前記実効値、及び前記振動数の少なくとも一つを含む処理データから、診断に使用する処理データが決定される、
請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の熱電発電装置。
【請求項8】
前記熱電発電モジュールが発生する電力により駆動する温度センサを備え、
前記無線通信機は、前記温度センサの検出データを送信する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の熱電発電装置。
【請求項9】
前記無線通信機は、前記処理部による検出データの処理に係る設定を変更する変更指令を受信し、
前記処理部は、前記変更指令に基づいて、前記設定を変更し、
前記設定の変更は、前記処理部による処理に使用する前記検出データのサンプリング周波数の変更、前記無線通信機の無線通信の周波数の変更、及び前記無線通信機から送信される前記検出データの単位時間当たりの送信回数の変更の少なくとも一つを含む、
請求項2に記載の熱電発電装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の熱電発電装置を複数備え、
前記複数の熱電発電装置のそれぞれから送信された前記検出データを受信して、管理コンピュータに送信する無線通信機と、を備える、
振動検出システム。
【請求項11】
前記熱電発電装置と前記無線通信機とを中継する中継器を備える、
請求項10に記載の振動検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電発電装置及び振動検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
機器の異常の有無を診断するために、機器の運転中に発生する振動を加速度センサで検出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-020090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加速度センサに電力を供給する場合において、加速度センサと電源とを接続するケーブルが使用される場合、加速度センサの設置位置に制約が発生する可能性がある。一次電池が使用される場合、一定の期間毎に一次電池の交換作業が必要である。二次電池が使用される場合、一定の期間毎に二次電池の充電作業が必要である。ケーブル又は電池が使用される場合、機器の異常の有無を効率良く診断することが困難となる可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、機器の異常の有無を効率良く診断することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、熱電発電モジュールと、前記熱電発電モジュールが発生する電力により駆動する振動センサと、前記振動センサの検出データを送信する無線通信機と、を備える熱電発電装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、機器の異常の有無を効率良く診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る熱電発電装置を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る熱電発電モジュールを模式的に示す斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係る熱電発電装置を示すブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係る振動センサの検出データを示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る振動の最大値及び最小値の算出方法を説明するための図である。
図6図6は、第2実施形態に係る熱電発電装置を示すブロック図である。
図7図7は、第3実施形態に係る振動検出システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向、所定面内においてX軸と直交するY軸と平行な方向をY軸方向、所定面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸及びY軸を含むXY平面は、所定面と平行である。
【0011】
[第1実施形態]
<熱電発電装置>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る熱電発電装置1を示す断面図である。熱電発電装置1は、機器Bに設置される。機器Bは、例えば工場のような産業施設に設けられる。機器Bとして、ポンプを作動させるモータが例示される。機器Bは、熱電発電装置1の熱源として機能する。
【0012】
図1に示すように、熱電発電装置1は、受熱部2と、放熱部3と、周壁部4と、熱電発電モジュール5と、蓄電部16と、振動センサ6と、温度センサ7と、マイクロコンピュータ8と、無線通信機9と、伝熱部材10と、基板11とを備える。
【0013】
受熱部2は、機器Bに設置される。受熱部2は、プレート状の部材である。受熱部2は、アルミニウム又は銅のような金属材料によって形成される。受熱部2は、機器Bからの熱を受ける。受熱部2の熱は、伝熱部材10を介して、熱電発電モジュール5に伝達される。
【0014】
放熱部3は、間隙を介して受熱部2に対向する。放熱部3は、プレート状の部材である。放熱部3は、アルミニウム又は銅のような金属材料によって形成される。放熱部3は、熱電発電モジュール5からの熱を受ける。放熱部3の熱は、熱電発電装置1の周囲の大気空間に放出される。
【0015】
受熱部2は、機器Bの表面に対向する受熱面2Aと、受熱面2Aの反対方向を向く内面2Bとを有する。受熱面2Aは、-Z方向を向く。内面2Bは、+Z方向を向く。受熱面2A及び内面2Bのそれぞれは、平坦である。受熱面2A及び内面2Bのそれぞれは、XY平面と平行である。XY平面内において、受熱部2の外形は、実質的に四角形である。なお、受熱部2の外形は四角形でなくてもよい。受熱部2の外形は円形でもよいし楕円形でもよいし任意の多角形でもよい。
【0016】
放熱部3は、大気空間に面する放熱面3Aと、放熱面3Aの反対方向を向く内面3Bとを有する。放熱面3Aは、+Z方向を向く。内面3Bは、-Z方向を向く。放熱面3A及び内面3Bのそれぞれは、平坦である。放熱面3A及び内面3Bのそれぞれは、XY平面と平行である。XY平面内において、放熱部3の外形は、実質的に四角形である。なお、放熱部3の外形は四角形でなくてもよい。放熱部3の外形は円形でもよいし楕円形でもよいし任意の多角形でもよい。
【0017】
XY平面内において、受熱部2の外形及び寸法と、放熱部3の外形及び寸法とは、実質的に等しい。なお、受熱部2の外形及び寸法と、放熱部3の外形及び寸法とは、異なってもよい。
【0018】
周壁部4は、受熱部2の内面2Bの周縁部と放熱部3の内面3Bの周縁部との間に配置される。周壁部4は、受熱部2と放熱部3とを連結する。周壁部4は、合成樹脂製である。
【0019】
XY平面内において、周壁部4は、環状である。XY平面内において、周壁部4の外形は、実質的に四角形である。受熱部2と放熱部3と周壁部4とによって、熱電発電装置1の内部空間12が規定される。周壁部4は、内部空間12に面する内面4Bを有する。受熱部2の内面2Bは、内部空間12に面する。放熱部3の内面3Bは、内部空間12に面する。熱電発電装置1の周囲の大気空間は、熱電発電装置1の外部空間である。
【0020】
受熱部2、放熱部3、及び周壁部4は、内部空間12を規定する熱電発電装置1のハウジングとして機能する。以下の説明において、受熱部2、放熱部3、及び周壁部4を適宜、ハウジング20、と総称する。
【0021】
受熱部2の内面2Bの周縁部と周壁部4の-Z側の端面との間にシール部材13Aが配置される。放熱部3の内面3Bの周縁部と周壁部4の+Z側の端面との間にシール部材13Bが配置される。シール部材13A及びシール部材13Bのそれぞれは、例えばOリングを含む。シール部材13Aは、内面2Bの周縁部に設けられた凹部に配置される。シール部材13Bは、内面3Bの周縁部に設けられた凹部に配置される。シール部材13A及びシール部材13Bにより、熱電発電装置1の外部空間の異物が内部空間12に侵入することが抑制される。
【0022】
熱電発電モジュール5は、ゼーベック効果を利用して電力を発生する。熱電発電モジュール5は、受熱部2と放熱部3との間に配置される。熱電発電モジュール5の-Z側の端面51が加熱され、熱電発電モジュール5の-Z側の端面51と+Z側の端面52との間に温度差が与えられることによって、熱電発電モジュール5は電力を発生する。
【0023】
端面51は、-Z方向を向く。端面52は、+Z方向を向く。端面51及び端面52のそれぞれは、平坦である。端面51及び端面52のそれぞれは、XY平面と平行である。XY平面内において、熱電発電モジュール5の外形は、実質的に四角形である。
【0024】
端面52は、放熱部3の内面3Bに対向する。熱電発電モジュール5は、放熱部3に固定される。放熱部3と熱電発電モジュール5とは、例えば接着剤により接着される。
【0025】
なお、図1に示す例においては、熱電発電モジュール5は放熱部3に接触しているが、受熱部2に接触してもよい。
【0026】
蓄電部16は、熱電発電モジュール5が発生した電力を蓄える。蓄電部16として、キャパシタ又は二次電池が例示される。
【0027】
振動センサ6は、機器Bの振動を検出する。振動センサ6は、熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動する。振動センサ6は、内部空間12に配置される。本実施形態において、振動センサ6は、受熱部2の内面2Bに支持される。
【0028】
振動センサ6として、加速度センサ、速度センサ、及び変位センサが例示される。本実施形態において、振動センサ6は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の3つの方向における機器Bの振動を検出することができる。
【0029】
温度センサ7は、機器Bの温度を検出する。温度センサ7は、熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動する。温度センサ7は、内部空間12に配置される。本実施形態において、温度センサ7は、放熱部3の内面3Bに支持される。なお、温度センサ7は、受熱部2の内面2Bに支持されてもよい。
【0030】
マイクロコンピュータ8は、熱電発電装置1を制御する。マイクロコンピュータ8は、熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動する。マイクロコンピュータ8は、内部空間12に配置される。本実施形態において、マイクロコンピュータ8は、基板11に支持される。
【0031】
無線通信機9は、振動センサ6の検出データを送信する。無線通信機9は、温度センサ7の検出データを送信する。無線通信機9は、熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動する。無線通信機9は、内部空間12に配置される。本実施形態において、無線通信機9は、基板11に支持される。
【0032】
伝熱部材10は、受熱部2と熱電発電モジュール5とを接続する。伝熱部材10は、受熱部2の熱を熱電発電モジュール5に伝達する。伝熱部材10は、アルミニウム又は銅のような金属材料によって形成される。伝熱部材10は、Z軸方向に長い棒状部材である。伝熱部材10は、内部空間12に配置される。
【0033】
基板11は、制御基板を含む。基板11は、内部空間12に配置される。基板11は、支持部材11Aを介して受熱部2に接続される。基板11は、支持部材11Bを介して放熱部3に接続される。基板11は、受熱部2及び放熱部3のそれぞれから離れるように、支持部材11A及び支持部材11Bに支持される。
【0034】
基板11は、マイクロコンピュータ8を支持する。振動センサ6の検出データ及び温度センサ7の検出データは、無線通信機9により、熱電発電装置1の外部に存在する管理コンピュータ100に送信される。
【0035】
<熱電発電モジュール>
図2は、本実施形態に係る熱電発電モジュール5を模式的に示す斜視図である。熱電発電モジュール5は、p型熱電半導体素子5Pと、n型熱電半導体素子5Nと、第1電極53と、第2電極54と、第1基板51Sと、第2基板52Sとを有する。XY平面内において、p型熱電半導体素子5Pとn型熱電半導体素子5Nとは、交互に配置される。第1電極53は、p型熱電半導体素子5P及びn型熱電半導体素子5Nのそれぞれに接続される。第2電極54は、p型熱電半導体素子5P及びn型熱電半導体素子5Nのそれぞれに接続される。p型熱電半導体素子5Pの下面及びn型熱電半導体素子5Nの下面は、第1電極53に接続される。p型熱電半導体素子5Pの上面及びn型熱電半導体素子5Nの上面は、第2電極54に接続される。第1電極53は、第1基板51Sに接続される。第2電極54は、第2基板52Sに接続される。
【0036】
p型熱電半導体素子5P及びn型熱電半導体素子5Nのそれぞれは、例えばBiTe系熱電材料を含む。第1基板51S及び第2基板52Sのそれぞれは、セラミックス又はポリイミドのような電気絶縁材料によって形成される。
【0037】
第1基板51Sは、端面51を有する。第2基板52Sは、端面52を有する。第1基板51Sが加熱されることによって、p型熱電半導体素子5P及びn型熱電半導体素子5Nのそれぞれの+Z側の端部と-Z側の端部との間に温度差が与えられる。p型熱電半導体素子5Pの+Z側の端部と-Z側の端部との間に温度差が与えられると、p型熱電半導体素子5Pにおいて正孔が移動する。n型熱電半導体素子5Nの+Z側の端部と-Z側の端部との間に温度差が与えられると、n型熱電半導体素子5Nにおいて電子が移動する。p型熱電半導体素子5Pとn型熱電半導体素子5Nとは第1電極53及び第2電極54を介して接続される。正孔と電子とによって第1電極53と第2電極54との間に電位差が発生する。第1電極53と第2電極54との間に電位差が発生することにより、熱電発電モジュール5は電力を発生する。第1電極53にリード線55が接続される。熱電発電モジュール5は、リード線55を介して電力を出力する。
【0038】
<マイクロコンピュータ>
図3は、本実施形態に係る熱電発電装置1を示すブロック図である。図3に示すように、ハウジング20の内部空間12に、熱電発電モジュール5、振動センサ6、温度センサ7、マイクロコンピュータ8、及び無線通信機9が配置される。
【0039】
マイクロコンピュータ8は、検出データ取得部81と、処理部82と、変更部83とを有する。
【0040】
検出データ取得部81は、振動センサ6の検出データを取得する。検出データ取得部81は、温度センサ7の検出データを取得する。
【0041】
処理部82は、検出データ取得部81により取得された振動センサ6の検出データを処理して処理データを出力する。処理データとは、検出データがデータ処理されることにより生成されるデータをいう。処理部82は、例えば高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)のような振動解析方法に基づいて、振動センサ6の検出データを処理して処理データを出力することができる。
【0042】
処理部82により生成される処理データは、振動センサ6の検出データから算出される機器Bの振動のピーク値、実効値、及び振動数の少なくとも一つを含む。
【0043】
処理部82は、振動センサ6の検出データを処理して、機器Bの振動のピーク値を算出することができる。振動のピーク値は、振動の最大値Ph及び最小値Plを含む。振動のピーク値は、加速度のピーク値でもよいし、速度のピーク値でもよいし、変位のピーク値でもよい。
【0044】
処理部82は、振動センサ6の検出データを処理して、機器Bの振動の実効値(RMS:Root Mean Square Value)を算出することができる。振動の実効値は、加速度の実効値でもよいし、速度の実効値でもよいし、変位の実効値でもよい。
【0045】
処理部82は、振動センサ6の検出データを処理して、機器Bの振動数を算出することができる。なお、処理部82は、振動センサ6の検出データを処理して、振動のオーバーオール値(Overall Value)を算出してもよい。
【0046】
変更部83は、処理部82による処理に使用する振動センサ6の検出データのサンプリング周波数を変更する。本実施形態において、検出データ取得部81は、変更部83により設定されたサンプリング周波数に基づいて振動センサ6から検出データを取得する。変更部83は、検出データ取得部81により取得される振動センサ6の検出データのサンプリング周波数を変更する。
【0047】
本実施形態において、ディップスイッチのような操作装置15がハウジング20の外面に設けられる。なお、操作装置15はハウジング20の内面に設けられてもよい。作業者は、サンプリング周波数が変更されるように操作装置15を操作することができる。変更部83は、操作装置15が操作されることにより生成された操作データに基づいて、サンプリング周波数を変更する。
【0048】
無線通信機9は、検出データ取得部81により取得された振動センサ6の検出データを、熱電発電装置1の外部に存在する管理コンピュータ100に送信する。また、無線通信機9は、処理部82により処理された検出データを示す処理データを管理コンピュータ100に送信する。また、無線通信機9は、検出データ取得部81により取得された温度センサ7の検出データを管理コンピュータ100に送信する。
【0049】
以下の説明においては、振動センサ6の検出データを管理コンピュータ100に送信するモードを適宜、検出データ送信モード、と称し、処理部82における処理により生成された処理データを管理コンピュータ100に送信するモードを適宜、処理データ送信モード、と称する。
【0050】
<動作>
次に、本実施形態に係る熱電発電装置1の動作の一例について説明する。熱電発電装置1は、産業施設に設けられている機器Bに設置される。機器Bの駆動において、振動センサ6は、機器Bの振動を検出し、温度センサ7は、機器Bの温度を検出する。
【0051】
機器Bが駆動することにより、機器Bは発熱する。機器Bの熱は、受熱部2及び伝熱部材10を介して熱電発電モジュール5に伝達される。熱を受けた熱電発電モジュール5は、発電する。振動センサ6、温度センサ7、マイクロコンピュータ8、及び無線通信機9は、熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動する。検出データ送信モードにおいて、マイクロコンピュータ8は、振動センサ6の検出データ及び温度センサ7の検出データを、無線通信機9を介して、熱電発電装置1の外部に存在する産業施設の管理コンピュータ100に送信する。熱電発電装置1は、産業施設の複数の機器Bのそれぞれに設置される。管理コンピュータ100は、複数の熱電発電装置1のそれぞれから送信された振動センサ6の検出データ及び温度センサ7の検出データに基づいて、複数の機器Bの状態を監視及び管理することができる。管理コンピュータ100は、熱電発電装置1から送信された振動センサ6の検出データ及び温度センサ7の検出データに基づいて、機器Bの異常の有無を診断することができる。
【0052】
処理データ送信モードにおいて、マイクロコンピュータ8は、処理部82により生成された処理データを、無線通信機9を介して、熱電発電装置1の外部に存在する産業施設の管理コンピュータ100に送信する。管理コンピュータ100は、複数の熱電発電装置1のそれぞれから送信された処理データに基づいて、複数の機器Bの状態を監視及び管理することができる。管理コンピュータ100は、熱電発電装置1から送信された処理データに基づいて、機器Bの異常の有無を診断することができる。
【0053】
<検出データ送信モード>
検出データ送信モードについて説明する。図4は、本実施形態に係る振動センサ6の検出データを示す図である。図4に示すグラフにおいて、縦軸は振動センサ6により検出された加速度を示し、横軸は時間を示す。図4に示すように、検出データ取得部81により取得される振動センサ6の検出データのサンプリング周波数が、変更部83により変更される。変更部83は、サンプリング周波数を、第1サンプリング周波数及び第2サンプリング周波数の一方から他方に変更することができる。第1サンプリング周波数は、第2サンプリング周波数よりも大きい。以下の説明においては、第1サンプリング周波数が1000Hzであり、第2サンプリング周波数が100Hzであることとする。
【0054】
変更部83によりサンプリング周波数が第1サンプリング周波数(1000Hz)に設定された場合、検出データ取得部81は、第1サンプリング周波数で振動センサ6の検出データを取得する。これにより、検出データ取得部81は、図4のラインLaで示すような振動波形データを取得することができる。
【0055】
変更部83によりサンプリング周波数が第2サンプリング周波数(100Hz)に設定された場合、検出データ取得部81は、第2サンプリング周波数で振動センサ6の検出データを取得する。これにより、検出データ取得部81は、図4のラインLbで示すような振動波形データを取得することができる。
【0056】
検出データ取得部81は、振動センサ6の検出データを第1規定時間の期間において取得する。一例として、第1規定時間は、0.1秒間である。なお、第1規定時間は、0.01秒間以上10秒間以下における任意の値でもよい。第1規定時間は、例えばマイクロコンピュータ8の性能に基づいて定められる。
【0057】
第1規定時間が0.1秒間である場合において、第1サンプリング周波数が1000Hzである場合、検出データ取得部81は、第1規定時間において100点の検出データを取得する。第1規定時間が0.1秒間である場合において、第2サンプリング周波数が100Hzである場合、検出データ取得部81は、第1規定時間において10点の検出データを取得する。
【0058】
無線通信機9は、検出データ取得部81により取得された振動センサ6の検出データを管理コンピュータ100に送信する。無線通信機9は、第2規定時間毎に、振動センサ6の検出データを管理コンピュータ100に送信する。一例として、第2規定時間は、20秒間である。なお、第2規定時間は、10秒間以上500秒間以下における任意の値でもよい。無線通信機9は、熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動する。熱電発電モジュール5が発生した電力は、蓄電部16に蓄えられる。蓄電部16に蓄えられた電力が所定量を超えたときに、無線通信機9は、検出データを送信する。そのため、第2規定時間は、例えば熱電発電モジュール5が発生する電力に基づいて定められる。
【0059】
第1サンプリング周波数で取得された検出データのデータ量は大きい。例えば通信回線のデータ通信能力により、第1サンプリング周波数で取得された検出データを熱電発電装置1から管理コンピュータ100に円滑に送信することが困難となる可能性がある。変更部83は、通信回線のデータ通信能力に基づいて、サンプリング周波数を第1サンプリング周波数よりも小さい第2サンプリング周波数に設定することができる。
【0060】
通信回線のデータ通信能力が良好であり、第1サンプリング周波数で取得された検出データを熱電発電装置1から管理コンピュータ100に円滑に送信することができる状況である場合、変更部83は、サンプリング周波数を第1サンプリング周波数(1000Hz)に設定する。これにより、データ量が大きい振動センサ6の検出データが管理コンピュータ100に送信される。管理コンピュータ100は、熱電発電装置1から送信された、データ量が大きい振動センサ6の検出データに基づいて、機器Bの異常の有無を精度良く診断することができる。
【0061】
通信回線のデータ通信能力が不良であり、第1サンプリング周波数で取得された検出データを熱電発電装置1から管理コンピュータ100に円滑に送信することが困難な状況である場合、変更部83は、サンプリング周波数を第2サンプリング周波数(100Hz)に設定する。これにより、データ量が小さい振動センサ6の検出データが管理コンピュータ100に送信される。管理コンピュータ100は、熱電発電装置1から送信された、データ量が小さい振動センサ6の検出データに基づいて、機器Bの異常の有無を円滑に診断することができる。
【0062】
<処理データ送信モード>
次に、処理データ送信モードについて説明する。上述のように、処理部82により生成される処理データは、振動のピーク値、実効値、及び振動数の少なくとも一つを含む。以下の説明においては、処理データとして、振動のピーク値を送信する例について説明する。処理データ送信モードにおいては、振動センサ6の検出データは送信されない。
【0063】
処理部82は、検出データ取得部81により取得された振動センサ6の検出データを処理して、処理データとして振動のピーク値(最大値Ph及び最小値Pl)を算出することができる。無線通信機9は、処理部82から出力された処理データである最大値Ph及び最小値Plを管理コンピュータ100に送信することができる。
【0064】
処理部82は、第1サンプリング周波数(1000Hz)で取得された検出データ、及び第2サンプリング周波数(100Hz)で取得された検出データのそれぞれから、振動の最大値Ph及び最小値Plを算出することができる。
【0065】
以下の説明において、第1サンプリング周波数(1000Hz)で取得された検出データから算出される振動の最大値Phを適宜、最大値Pha、と称し、最小値Plを適宜、最小値Pla、と称する。また、第2サンプリング周波数(100Hz)で取得された検出データから算出される振動の最大値Phを適宜、最大値Phb、と称し、最小値Plを適宜、最小値Plb、と称する。
【0066】
第1サンプリング周波数で取得された検出データが処理されることにより、最大値Pha及び最小値Plaは、高精度に算出される。第2サンプリング周波数で取得された検出データが処理されることにより、最大値Phb及び最小値Plbを算出するときの処理部82の演算負荷が緩和される。
【0067】
無線通信機9は、処理部82から出力された処理データである最大値Ph及び最小値Plを管理コンピュータ100に送信する。処理データ(最大値Ph及び最小値Pl)のデータ量は、検出データ(生データ)のデータ量よりも小さい。処理データが送信されることにより、通信回線のデータ通信能力が不良でも、無線通信機9は、熱電発電装置1から管理コンピュータ100に処理データを円滑に送信することができる。管理コンピュータ100は、熱電発電装置1から送信された処理データに基づいて、機器Bの異常の有無を診断することができる。例えば、ピーク値が予め定められている閾値を超える場合、管理コンピュータ100は、機器Bに異常が発生したと診断することができる。
【0068】
図4に示すように、最大値Phaと最大値Phbとは、異なる可能性がある。同様に、最小値Plaと最小値Plbとは、異なる可能性がある。すなわち、サンプリング周波数が小さい場合、ピーク値を高精度に算出することが困難となる可能性がある。
【0069】
本実施形態において、サンプリング周波数が第2サンプリング周波数に設定された場合、検出データ取得部81は、検出データを第1規定時間の期間において取得し、処理部82は、第1規定時間における振動の最大値Ph_i及び最小値Pl_iを算出する。
【0070】
図5は、本実施形態に係る振動の最大値Ph及び最小値Plの算出方法を説明するための図である。図5に示すグラフにおいて、縦軸は振動センサ6により検出された加速度を示し、横軸は時間を示す。
【0071】
検出データ取得部81は、第1回目の検出データの取得処理として、振動センサ6の検出データを第2サンプリング周波数(100Hz)で第1規定時間(0.1秒間)だけ取得する。処理部82は、第1回目の処理データの算出処理として、第1回目の取得処理で取得された第1規定時間における振動の最大値Ph_1及び最小値Pl_1を算出する。
【0072】
検出データ取得部81は、第2回目の検出データの取得処理として、振動センサ6の検出データを第2サンプリング周波数(100Hz)で第1規定時間(0.1秒間)だけ取得する。処理部82は、第2回目の処理データの算出処理として、第2回目の取得処理で取得された第1規定時間における振動の最大値Ph_2及び最小値Pl_2を算出する。
【0073】
検出データ取得部81は、第i回目の検出データの取得処理として、振動センサ6の検出データを第2サンプリング周波数(100Hz)で第1規定時間(0.1秒間)だけ取得する。処理部82は、第i回目の処理データの算出処理として、第i回目の取得処理で取得された第1規定時間における振動の最大値Ph_i及び最小値Pl_iを算出する。
【0074】
検出データ取得部81は、第N回目の検出データの取得処理として、振動センサ6の検出データを第2サンプリング周波数(100Hz)で第1規定時間(0.1秒間)だけ取得する。処理部82は、第N回目の処理データの算出処理として、第N回目の取得処理で取得された第1規定時間における振動の最大値Ph_N及び最小値Pl_Nを算出する。
【0075】
以上のように、処理部82は、第1規定時間における振動の最大値Ph_i及び最小値Pl_iを算出する処理をN回(複数回)実行する。処理部82により、N数の最大値Ph_i及び最小値Pl_iが算出される。処理部82により算出されたN数のN数の最大値Ph_i及び最小値Pl_iが、無線通信機9から管理コンピュータ100に送信される。
【0076】
管理コンピュータ100は、取得されたN数(複数)の最大値Ph_iのうち最も大きい値を、異常の有無の診断に使用する最大値Phとして決定する。管理コンピュータ100は、N数(複数)の最小値Pl_iのうち最も小さい値を、異常の有無の診断に使用する最小値Plとして決定する。
【0077】
このように、本実施形態において、処理部82は、第2規定時間(20秒間)において取得された振動センサ6の検出データにおける振動のピーク値(最大値Ph_i及び最小値Pl_i)の算出処理を複数回実行する。管理コンピュータ100は、複数の算出処理から取得された複数のピーク値(最大値Ph_i及び最小値Pl_i)から、異常の有無の診断に使用するピーク値(最大値Ph及び最小値Pl)を決定する。
【0078】
サンプリング周波数が小さい場合、第1規定時間(0.1秒間)では正確な最大値Ph及び最小値Plを算出することが困難でも、最大値Ph_i及び最小値Pl_iを第1規定時間毎(0.1秒間毎)に算出する算出処理が複数回実行され、算出された複数の最大値Ph_iの中から最大値Phが決定され、複数の最小値Pl_iの中から最小値Plが決定されることにより、正確な最大値Ph及び最小値Plを決定することができる。すなわち、最大値Ph_iの算出処理が複数回実行されることにより、複数の最大値Ph_iの中から、真の最大値と同一の最大値Ph又は真の最大値に近似する最大値Phを取得できる確率が高くなる。同様に、最小値Pl_iの算出処理が複数回実行されることにより、複数の最小値Pl_iの中から、真の最小値と同一の最小値Pl又は真の最小値に近似する最小値Plを取得できる確率が高くなる。そのため、管理コンピュータ100は、正確な最大値Ph及び最小値Plを決定することができる。
【0079】
なお、本実施形態においては、複数の算出処理から取得された複数のピーク値(最大値Ph_i及び最小値Pl_i)から、異常の有無の診断に使用するピーク値(最大値Ph及び最小値Pl)が決定される例について説明した。上述のように、上述のように、処理部82により生成される処理データは、振動のピーク値、実効値、及び振動数の少なくとも一つを含む。振動のピーク値、実効値、及び振動数を含む処理データから、異常の有無の診断に使用する処理データが決定されてもよい。
【0080】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、熱電発電モジュール5と、熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動する振動センサ6と、振動センサ6の検出データを送信する無線通信機9と、を備える熱電発電装置1が機器Bに設置される。熱電発電モジュール5は、受熱部2と放熱部3との温度差により発電することができる。振動センサ6は、熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動する。検出データ送信モードにおいて、無線通信機9は、熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動して、振動センサ6の検出データを送信する。これにより、振動センサ6と電源とを接続するケーブル又は電池を使用することなく、振動センサ6及び無線通信機9が駆動される。機器Bに熱電発電装置1が設置されるだけで、管理コンピュータ100に振動センサ6の検出データが送信される。管理コンピュータ100は、振動センサ6の検出データに基づいて、機器Bの異常の有無を効率良く診断することができる。産業施設に機器Bが複数存在する場合においても、複数の機器Bのそれぞれに熱電発電装置1が設置されるだけで、管理コンピュータ100は、複数の機器Bのそれぞれの異常の有無を効率良く診断することができる。
【0081】
マイクロコンピュータ8は、振動センサ6の検出データを処理する処理部82を備える。処理部82により生成された処理データのデータ量は、検出データ取得部81により取得された検出データのデータ量よりも小さい。通信回線のデータ通信能力が不良でも、無線通信機9は、データ量が小さい処理データを管理コンピュータ100に円滑に送信することができる。
【0082】
管理コンピュータ100に送信される処理データは、振動のピーク値(最大値Ph及び最小値Pl)を含む。管理コンピュータ100は、振動の最大値Ph及び最小値Plに基づいて、機器Bの異常の有無を診断することができる。管理コンピュータ100は、振動の最大値Phが予め定められている上限閾値を上回る場合、又は振動の最小値Plが予め定められている下限閾値を下回る場合、機器Bに異常が発生したと診断することができる。また、管理コンピュータ100は、振動の実効値又は振動数に基づいて、機器Bの異常の有無を診断することができる。
【0083】
マイクロコンピュータ8は、処理部82による処理に使用する振動センサ6の検出データのサンプリング周波数を変更する変更部83を備える。これにより、変更部83は、通信回線のデータ通信能力又は処理部82の演算負荷を考慮して、適切なサンプリング周波数を設定することができる。
【0084】
処理データ送信モードにおいて、処理部82は、第1規定時間において取得された振動センサ6の検出データにおける振動のピーク値(最大値Ph_i及び最小値Pl_i)の算出処理を複数回実行し、管理コンピュータ100は、複数の算出処理から取得された複数のピーク値(最大値Ph_i及び最小値Pl_i)から、異常の有無の診断に使用するピーク値(最大値Ph及び最小値Pl)を決定する。これにより、サンプリング周波数が小さく、第1規定時間では正確な最大値Ph及び最小値Plを算出することが困難でも、最大値Ph_i及び最小値Pl_iを算出する算出処理が複数回実行されることにより、管理コンピュータ100は、正確な最大値Ph及び最小値Plを決定することができる。
【0085】
熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動する温度センサ7が設けられ、温度センサ7の検出データが管理コンピュータ100に送信される。これにより、管理コンピュータ100は、振動センサ6の検出データ及び温度センサ7の検出データの両方に基づいて、機器Bの異常の有無を精度良く診断することができる。機器Bに異常が発生する場合、異常発生直後においては振動の変化のみが検出され、時間経過とともに温度の上昇が検出されることが多い。振動センサ6の検出データ及び温度センサ7の検出データの両方が取得されることにより、機器Bの異常の有無をより精度良く診断することができる。
【0086】
熱電発電モジュール5、振動センサ6、温度センサ7、マイクロコンピュータ8、及び無線通信機9は、1つのハウジング20に収容される。これにより、例えば振動センサ6の検出データ又は温度センサ7の検出データに対するノイズの影響が低減される。
【0087】
<変形例>
なお、上述の実施形態において、サンプリング周波数の変更は、操作装置15の操作に基づいて実施されることとした。サンプリング周波数の変更は、管理コンピュータ100から送信された変更指令に基づいて実施されてもよい。無線通信機9は、管理コンピュータ100から送信された変更指令を受信する。無線通信機9は、受信した変更指令を処理部82に送信する。処理部82は、変更指令に基づいて、処理に使用する検出データのサンプリング周波数を変更する。なお、管理コンピュータ100は、サンプリング周波数を変更する変更指令のみならず、検出データの処理に係る設定を変更する種々の変更指令を出力することができる。検出データの処理に係る設定の変更は、処理部82による処理に使用する検出データのサンプリング周波数の変更、無線通信機9と管理コンピュータ100との間の無線通信の周波数の変更、及び無線通信機9から管理コンピュータ100に送信される検出データの単位時間当たりの送信回数の変更の少なくとも一つを含む。
【0088】
なお、管理コンピュータ100は、1つのコンピュータにより構成されてもよいし、複数のコンピュータにより構成されてもよい。
【0089】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0090】
上述の第1実施形態においては、1つのハウジング20に、熱電発電モジュール5、振動センサ6、温度センサ7、マイクロコンピュータ8、及び無線通信機9が収容されることとした。
【0091】
図6は、本実施形態に係る熱電発電装置1を示すブロック図である。図6に示すように、熱電発電モジュール5が第1ハウジング21に収容され、振動センサ6、温度センサ7、マイクロコンピュータ8、及び無線通信機9が第2ハウジング22に収容されてもよい。図6に示す例において、蓄電部16は、第1ハウジング21と第2ハウジング22との間に配置される。第1ハウジング21と第2ハウジング22とは別のハウジングである。第1ハウジング21と第2ハウジング22とはケーブル23で接続される。第1ハウジング21及び第2ハウジング22の両方が機器Bに設置される。熱電発電モジュール5が発生した電力は、ケーブル23及び蓄電部16を介して、第2ハウジング22に収容されている振動センサ6、温度センサ7、マイクロコンピュータ8、及び無線通信機9のそれぞれに供給される。
【0092】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0093】
図7は、本実施形態に係る振動検出システム200を示す模式図である。図7に示すように、振動検出システム200は、機器Bに設置される複数の熱電発電装置1を備える。上述の実施形態で説明したように、熱電発電装置1は、熱電発電モジュール5と、熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動する振動センサ6と、振動センサ6の検出データを送信する無線通信機9とを備える。無線通信機9は、振動センサ6の検出データを無線送信する。無線通信機9は、上述の実施形態で説明したような、処理データを送信することができる。また、熱電発電装置1は、温度センサ7を備える。上述の第1実施形態で説明したように、熱電発電モジュール5、振動センサ6、温度センサ7、マイクロコンピュータ8、及び無線通信機9は、1つのハウジング20に収容されてもよい。上述の第2実施形態で説明したように、熱電発電モジュール5が第1ハウジング21に収容され、振動センサ6、温度センサ7、マイクロコンピュータ8、及び無線通信機9が第2ハウジング22に収容されてもよい。
【0094】
機器Bは、産業施設に複数設けられる。機器Bとして、ポンプを作動させるモータが例示される。機器Bは、例えば下水道に利用されるポンプを作動させるモータでもよい。機器Bは、地下に設置されてもよい。本実施形態において、熱電発電装置1は、1つの機器Bに複数設置される。機器Bは、熱電発電装置1の熱源として機能する。
【0095】
振動検出システム200は、複数の熱電発電装置1のそれぞれから送信された振動センサ6の検出データを受信して、管理コンピュータ100に送信する通信機210と、熱電発電装置1と通信機210とを中継する中継器220とを有する。中継器220は、複数設けられる。中継器220と通信機210とは、無線通信する。通信機210と管理コンピュータ100とは、無線通信してもよいし有線通信してもよい。
【0096】
機器Bが作動し、機器Bが発熱すると、受熱部2と放熱部3とに温度差が与えられる。熱電発電モジュール5は、受熱部2と放熱部3との温度差により発電することができる。振動センサ6は、熱電発電モジュール5が発生する電力により駆動する。また、熱電発電モジュール5が発生した電力は、熱電発電装置1が有する蓄電部16に蓄えられる。蓄電部16に蓄えられた電力が所定量を超えたときに、無線通信機9は、振動センサ6の検出データを送信する。無線通信機9は、検出データを周期的に送信する。
【0097】
無線通信機9からの振動センサ6の検出データは、中継器220を介して通信機210に送信される。通信機210には、複数の熱電発電装置1のそれぞれから検出データが送信される。通信機210には、複数の熱電発電装置1のそれぞれから送信された検出データを所定のフォーマットに処理した後、管理コンピュータ100に送信する。管理コンピュータ100は、複数の熱電発電装置1のそれぞれから送信された振動センサ6の検出データに基づいて、複数の機器Bの状態を監視及び管理することができる。管理コンピュータ100は、複数の熱電発電装置1のそれぞれから送信された振動センサ6の検出データに基づいて、機器Bの異常の有無を診断することができる。
【0098】
複数の熱電発電装置1のそれぞれからの検出データは、通信機210により集約された後、管理コンピュータ100に送信される。複数の熱電発電装置1は、独立して検出データを送信することができる。すなわち、熱電発電装置1は、他の熱電発電装置1の影響を受けることなく、検出データを送信することができる。
【0099】
例えば、機器B及び熱電発電装置1が地下に存在し、通信機210及び管理コンピュータ100が地上に存在する場合、中継器220が設けられることにより、熱電発電装置1から送信された振動センサ6は、管理コンピュータ100に円滑に送信される。
【0100】
受熱部2と放熱部3との温度差が大きいほど、熱電発電モジュール5が発生する電力は、大きくなる。すなわち、受熱部2と放熱部3との温度差が大きいほど、熱電発電モジュール5が発生する電力は、蓄電部16に短時間で蓄えられる。そのため、受熱部2と放熱部3との温度差が大きいほど、無線通信機9が検出データを送信する周期は短くなる。機器Bに異常が発生した場合、機器Bの発熱量は大きくなる可能性が高い。すなわち、機器Bに異常が発生した場合、受熱部2と放熱部3との温度差が大きくなる可能性が高い。そのため、機器Bに異常が発生した場合、無線通信機9が検出データを送信する周期は短くなる。機器Bに異常が発生した場合、熱電発電装置1から管理コンピュータ100に送信される検出データのデータ量が多くなるので、管理コンピュータ100は、機器Bに異常が発生したか否かを効率良く解析することができる。
【0101】
以上説明したように、本実施形態によれば、振動検出システム200は、複数の機器Bのそれぞれに設置される複数の熱電発電装置1と、複数の熱電発電装置1のそれぞれから送信された検出データを受信して、管理コンピュータ100に送信する通信機210とを備える。そのため、管理コンピュータ100は、複数の機器Bの状態を監視及び管理したり、複数の機器Bの異常の有無を診断したりすることができる。また、熱電発電モジュール5が電源として機能し、無線通信機9は検出データを無線送信するので、例えば産業施設にケーブルを配設することなく、機器Bに熱電発電装置1を設置するだけで、振動センサ6の検出データを簡単に収集することができる。
【0102】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、変更部83は、熱電発電装置1に設けられた操作装置15が操作されることにより、サンプリング周波数を変更することとした。管理コンピュータ100からサンプリング周波数を変更する変更指令が変更部83に送信されてもよい。例えば、管理コンピュータ100に接続されている入力装置が管理者に操作されることにより、管理コンピュータ100が変更指令を出力してもよい。入力装置として、コンピュータ用キーボード、タッチパネル、及びマウスが例示される。
【0103】
上述の実施形態において、処理部82の機能が管理コンピュータ100に設けられてもよい。振動センサ6の検出データが無線通信機9を介して管理コンピュータ100に送信され、管理コンピュータ100が処理データを生成してもよい。また、管理コンピュータ100の機能がマイクロコンピュータ8に設けられてもよい。例えば、処理部82が、異常の有無を診断するための振動の最大値Ph及び最小値Plを算出してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…熱電発電装置、2…受熱部、2A…受熱面、2B…内面、3…放熱部、3A…放熱面、3B…内面、4…周壁部、4B…内面、5…熱電発電モジュール、5P…p型熱電半導体素子、5N…n型熱電半導体素子、6…振動センサ、7…温度センサ、8…マイクロコンピュータ、9…無線通信機、10…伝熱部材、11…基板、11A…支持部材、11B…支持部材、12…内部空間、13A…シール部材、13B…シール部材、15…操作装置、16…蓄電部、20…ハウジング、21…第1ハウジング、22…第2ハウジング、23…ケーブル、51…端面、51S…第1基板、52…端面、52S…第2基板、53…第1電極、54…第2電極、55…リード線、81…検出データ取得部、82…処理部、83…変更部、100…管理コンピュータ、200…振動検出システム、210…通信機、220…中継器、B…機器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7