(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040340
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】異常検出システム
(51)【国際特許分類】
B65G 43/02 20060101AFI20240315BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240315BHJP
【FI】
B65G43/02 Z
G06N20/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018448
(22)【出願日】2024-02-09
(62)【分割の表示】P 2019104404の分割
【原出願日】2019-06-04
(31)【優先権主張番号】P 2019038715
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523192004
【氏名又は名称】株式会社LoPAS
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 徳廣
(72)【発明者】
【氏名】上 正史
(57)【要約】
【課題】搬送経路全体の異常を低コストで検出することができる異常検出システムを提供する。
【解決手段】異常検出システムであるコンテナ1は、コンベア装置50上の現在位置を検出するカメラ2と、コンベア装置50の状態を検出するセンサモジュール4L、4Rと、カメラ2で検出された現在位置と当該現在位置でセンサモジュール4L、4Rが検出した検出結果とを関連付けて蓄積情報として蓄積する記憶部3bと、センサモジュール4L、4Rが検出した検出結果と記憶部3bに蓄積されている当該位置に対応する蓄積情報から生成された学習モデルとに基づいて当該位置における異常を検出する処理部3aと、を備えている。そして、コンテナ1は、搬送物としてコンベア装置50により当該コンベア装置上を搬送される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置上の現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記搬送装置の状態を検出する状態検出部と、
前記現在位置検出部で検出された現在位置と当該現在位置で前記状態検出部で検出された検出結果とを関連付けて蓄積情報として蓄積する蓄積部と、
前記状態検出部で検出された検出結果と、その検出結果を検出した位置における前記蓄積部に蓄積されている蓄積情報とに基づいて当該位置における異常を検出する異常検出部と、を備え、
少なくとも前記現在位置検出部及び前記状態検出部は、搬送物として前記搬送装置によって当該搬送装置上を搬送され、
前記状態検出部には、前記搬送装置上の振動を測定する振動センサを含み、
前記振動センサは、前記搬送物の底部かつ該搬送物の長手方向中央部に前記搬送装置に直接接触するように設けられている、
ことを特徴とする異常検出システム。
【請求項2】
前記現在位置検出部は、外部を撮影するカメラ及び前記搬送装置の搬送経路における3次元地図情報を記憶する地図情報記憶部を備え、
前記現在位置検出部は、前記カメラで撮影された画像と前記3次元地図情報とに基づいて現在位置を検出し、
前記3次元地図情報は、前記カメラにより撮像された複数の画像からそれぞれ特徴点を抽出して繋ぎ合わせて生成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の異常検出システム。
【請求項3】
前記状態検出部には、前記搬送装置の発熱を測定する感熱センサを含み、
前記感熱センサはサーモカメラで構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の異常検出システム。
【請求項4】
前記状態検出部で検出された検出結果を送信する送信部と、
前記送信部が送信した現在位置及び検出結果を受信する受信部と、を備え、
前記受信部が受信した現在位置及び検出結果を関連付けて前記蓄積部に蓄積し、前記受信部が受信した検出結果と、その検出結果を検出した位置における前記蓄積部に蓄積されている蓄積情報とに基づいて前記異常検出部で前記異常検出を行うことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の異常検出システム。
【請求項5】
同じ位置における複数の蓄積情報によって正常な範囲を学習する学習部を備え、
前記異常検出部は、前記学習部における学習結果に基づいて前記異常を検出することを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の異常検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば倉庫等に設置されている搬送装置の異常を検出する異常検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫等において入出庫等のために搬送装置としてコンベア装置が用いられることが多い。この種のコンベア装置では、コンベア装置を構成する部品やコンベア装置の周囲にセンサ等の検出部を固定的に設置して故障検出を行っている。
【0003】
例えば、特許文献1では、コンベア1に搬送装置用軸受けユニット10を設け、搬送装置用軸受けユニット10が備える発電素子14をセンサとして機能させて、軸受の異常による温度上昇を検出している。
【0004】
また、特許文献2では、ベルトコンベア20のベルト22の近傍に光センサ31、32を取り付けて搬送物23を検出し、光センサ31、32の検出結果に基づいて搬送物の搬送速度を算出して、モータ1の回転速度に基づく搬送速度と光センサ31、32に基づく搬送速度を比較して異常を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-32211号公報
【特許文献2】特開2007-112565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載されているようにセンサ等の検出部を固定的に設置した場合、検出範囲が限定されてしまうという問題がある。例えば特許文献1の搬送装置用軸受けユニット10の場合、全ての軸受けのある場所に設置すると設置数が膨大になる場合がある。また特許文献2の場合も、複数のベルトコンベアにより搬送経路が形成されていたり、複数の搬送経路が形成されていたりすると、各ベルトコンベアに光センサを設置する必要がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、搬送経路全体の異常を低コストで検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載された発明は、搬送装置上の現在位置を検出する現在位置検出部と、前記搬送装置の状態を検出する状態検出部と、前記現在位置検出部で検出された現在位置と当該現在位置で前記状態検出部で検出された検出結果とを関連付けて蓄積情報として蓄積する蓄積部と、前記状態検出部で検出された検出結果と、その検出結果を検出した位置における前記蓄積部に蓄積されている蓄積情報とに基づいて当該位置における異常を検出する異常検出部と、を備え、少なくとも前記現在位置検出部及び前記状態検出部は、搬送物として前記搬送装置によって当該搬送装置上を搬送され、前記状態検出部には、前記搬送装置上の振動を測定する振動センサを含み、前記振動センサは、前記搬送物の底部かつ該搬送物の長手方向中央部に前記搬送装置に直接接触するように設けられている、ことを特徴とする異常検出システムである。
【0009】
また、請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記現在位置検出部は、外部を撮影するカメラ及び前記搬送装置の搬送経路における3次元地図情報を記憶する地図情報記憶部を備え、前記現在位置検出部は、前記カメラで撮影された画像と前記3次元地図情報とに基づいて現在位置を検出し、前記3次元地図情報は、前記カメラにより撮像された複数の画像からそれぞれ特徴点を抽出して繋ぎ合わせて生成されたものであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載された発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記状態検出部には、前記搬送装置の発熱を測定する感熱センサを含み、前記感熱センサはサーモカメラで構成されている、ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載された発明は、請求項1から3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記状態検出部で検出された検出結果を送信する送信部と、前記送信部が送信した現在位置及び検出結果を受信する受信部と、を備え、前記受信部が受信した現在位置及び検出結果を関連付けて前記蓄積部に蓄積し、前記受信部が受信した検出結果と、その検出結果を検出した位置における前記蓄積部に蓄積されている蓄積情報とに基づいて前記異常検出部で前記異常検出を行うことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載された発明は、請求項1から4のうちいずれか一項に記載の発明において、同じ位置における複数の蓄積情報によって正常な範囲を学習する学習部を備え、前記異常検出部は、前記学習部における学習結果に基づいて前記異常を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、状態検出部及び現在位置検出部は、搬送物として搬送装置上を搬送されながら当該搬送装置の状態を検出することができるので、搬送装置側にセンサ等を設置する必要が無くセンサの数を最小限にしてコストを低減することができる。さらに、状態検出部において状態検出部の分解能に応じた検出間隔で状態を検出することができ、略連続的な検出が可能となる。また、状態検出部及び現在位置検出部が、搬送物として搬送装置上を搬送されるので、搬送経路全体の異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態にかかる異常検出システムを有するコンテナの上面図である。
【
図2】
図1に示されたコンテナのA-A線に沿う断面図である。
【
図3】
図1に示された異常検出システムのブロック図である。
【
図4】
図1に示された異常検出システムの地図情報生成動作のフローチャートである。
【
図5】
図1に示された異常検出システムの学習済みモデル生成動作のフローチャートである。
【
図6】
図1に示された異常検出システムの異常検出動作のフローチャートである。
【
図7】第1の実施形態の変形例にかかる異常検出システムのブロック図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態にかかる異常検出システムを有するコンテナの上面図である。
【
図9】
図8に示されたコンテナのA-A線に沿う断面図である。
【
図10】
図1に示された異常検出システムのブロック図である。
【
図11】本実施形態における自己位置推定方法の説明図である。
【
図12】本実施形態における自己位置推定方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる情報処理装置を
図1~
図7を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる異常検出システムを有するコンテナの上面図である。
図2は、
図1に示されたコンテナのA-A線に沿う断面図である。
【0016】
コンテナ1は、搬送装置としてのコンベア装置50上に載置されてコンベア装置50によって搬送される。
図1では矢印の方向に搬送される。なお、
図1及び
図2では搬送装置としてローラコンベアを示しているがベルトコンベア等他の搬送装置であってもよい。また、
図1及び
図2では、コンベア装置50の一部のみを示すが、コンベア装置50は、例えば倉庫内に設置され、直線や曲線或いは傾斜路等から構成される搬送経路を有するものである。そのため、コンベア装置50は、複数のコンベア装置から構成されていてもよい。
【0017】
図1及び
図2に示したコンテナ1は、略直方体状の箱型に形成され、収容部11を構成している。収容部11は、物品等を出し入れ可能とするために上方に開口部が形成されている。また、収容部11は、4つの側面部11a、11b、11c、11dと、底面部11eと、から構成されている。
【0018】
図1及び
図2に示したように、側面部11a、11bは、直方体の短手方向の側面となり、側面部11c、11dは、直方体の長手方向の側面となる。本実施形態では、側面部11aを前側、即ち搬送方向(進行方向)側とする。したがって、側面部11bが後側、側面部11cが進行方向に向かって左側、側面部11dが進行方向に向かって右側となる。
【0019】
コンテナ1は、カメラ2と、制御部3と、センサモジュール4L、4Rと、バッテリ5と、を備えている。
【0020】
カメラ2は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を有するカメラモジュールである。カメラ2は、コンテナ1の側面部11b上方中央部に設置され、側面部11bと対向する側面部11a方向の斜め上方を撮影する。即ち、コンテナ1の進行方向の斜め上方を撮影する。なお、本実施形態では、カメラ2は、後側の側面部11bに設置されているが、前側の側面部11aに設置して進行方向を撮影するようにしてもよい。
【0021】
制御部3は、底面部11eのさらに下側に設けられている。つまり、コンテナ1は二重底となっている。制御部3は、振動吸収マット等の振動を吸収する部材8に直接又は間接的に設置されている。振動を吸収する部材8によって、搬送されることにより発生する振動の影響を制御部3等が受けにくくすることができる。
【0022】
制御部3は、カメラ2が撮影した画像に基づいてコンテナ1の現在位置(自己位置)を推定する。また、制御部3は、センサモジュール4L、4Rで検出された結果をディープラーニングにより学習するとともに、その学習結果に基づいてセンサモジュール4L、4Rで検出された結果が正常の範囲にあるか否かを判定することで異常の有無を判定する。詳細は後述する。
【0023】
センサモジュール4Lは、音センサ4aと、熱センサ4bと、振動センサ4cと、を備えている。センサモジュール4Lは、側面部11c側に寄せて設けられている。また、音センサ4a及び熱センサ4bは、振動を吸収する部材8に直接又は間接的に設置され、振動センサ4cは、振動を吸収する部材8よりも下側のコンテナ1の底面に直接設置されている。
【0024】
センサモジュール4Rは、構成は基本的にセンサモジュール4Lと同様である。センサモジュール4Rは、側面部11d側に寄せて設けられている点がセンサモジュール4Lと異なる。つまり、センサモジュール4Lは、コンテナ1の進行方向向かって左側の状態を検出し、センサモジュール4Rは、コンテナ1の進行方向向かって右側の状態を検出する。
【0025】
音センサ4aは、外部の音を集音して所定のコンベア装置50の発する音を検出する。音センサ4aとしては、例えば単一指向性マイクロフォンと周波数フィルタ等で構成することができる。熱センサ4bは、コンベア装置の所定の部位の温度を検出する。熱センサ4bとしては、例えばサーモカメラ等で構成することができる。振動センサ4cは、コンテナ1に加わる振動を検出する。振動センサ4cとしては、加速度センサ等で構成することができる。なお、本実施形態では、3種類のセンサで構成されているが、例えば光センサや磁気センサ等他のセンサを用いてもよい。即ち、センサモジュール4L、4Rは、コンベア装置50の状態を検出する状態検出部として機能する。
【0026】
バッテリ5は、振動を吸収する部材8に直接又は間接的に設置されている。バッテリ5は、上述したカメラ2、制御部3、センサモジュール4L、4Rへ電力を供給する。またコンテナ1は、バッテリ5を充電するための端子(不図示)を有している。或いはバッテリ5は充電のため着脱自在となっていてもよい。
【0027】
図3に本実施形態にかかるコンテナ(異常検出システム)1のブロック図を示す。
図3に示したように、制御部3は、処理部3aと、記憶部3bと、を備えている。
【0028】
処理部3aは、例えばマイクロプロセッサ等で構成され、上述した自己位置推定や、ディープラーニング、異常の有無の判定等を行う。即ち、処理部3aは、カメラ2とともに現在位置検出部として機能する。また、処理部3aは、学習部、異常検出部としても機能する。
【0029】
記憶部3bは、例えば、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成され、センサモジュール4L、4Rの検出結果が自己位置推定された位置情報と関連付けて蓄積されて記憶されている。即ち、記憶部3bは、蓄積部として機能する。また、記憶部3bには、自己位置推定のための地図情報も記憶されている。
【0030】
次に、上述した構成の異常検出システムの動作について
図4~
図6のフローチャートを参照して説明する。
図4は、カメラ2が撮影した画像から自己位置推定をするための3次元の地図情報を生成するフローチャートである。
【0031】
まず、カメラ2から撮影画像を収集し(ステップS11)、処理部3aは、収集した撮影画像から特徴点を抽出する(ステップS12)。そして、処理部3aは、抽出された特徴点に基づいてコンベア装置50により形成される搬送経路における3次元地図(地図情報)を生成する(ステップS13)。この3次元地図は、カメラ2がコンベア装置50で搬送される際に撮影された複数の画像からそれぞれ特徴点を抽出して繋ぎ合わせたものであり、搬送経路上の特徴点が含まれる情報となっている。
【0032】
図5は、センサモジュール4L、4Rが検出した検出結果に基づいてディープラーニングによる学習済みモデルを生成するフローチャートである。
【0033】
まず、センサモジュール4L、4Rが検出した検出結果を収集し(ステップS21)、処理部3aは、周知のディープラーニングにより各センサにおける正常な検出結果を学習する(ステップS22)。つまり、コンベア装置50が正常に動作している状態におけるセンサの検出結果を学習する。このとき正常な状態にはある程度の値の幅があってもよい。また、このステップでは、コンベア装置50の位置毎に正常な状態(検出結果)を学習する。これは、コンベア装置50の位置によって、正常な音や温度及び振動の範囲は異なることが多いためである。つまり、3次元地図情報を参照して位置と関連付けて学習する。そして、処理部3aは、所定量の検出結果を学習させた学習済みモデルを生成する(ステップS23)。
【0034】
図6は、
図4のフローチャートで生成した地図情報と、
図5のフローチャートで生成した学習済みモデルと、を用いて異常を検出するフローチャートである。
【0035】
まず、センサモジュール4L、4Rが検出した検出結果を収集し(ステップS31)、処理部3aは、カメラ2が撮影した画像と記憶部3bに記憶されている地図情報とに基づいてコンテナ1の自己位置を推定する(ステップS32)。そして、処理部3aは、ステップS31で収集した検出結果が、ステップS32で推定した自己位置における学習済みモデルにより正常の範囲にあるか否か判定し(ステップS33)、正常な範囲にない場合(ステップS33:NO)は、異常検出として、例えば図示しない報知装置等により報知するとともに、異常検出された位置情報を記憶部3bに記憶する(ステップS34)。一方、正常な範囲にある場合(ステップS33:YES)は、ステップS31に戻る。
【0036】
ここで、ステップS33はセンサ毎に判定する。つまり、センサ毎に検出結果が正常の範囲内にあるか否か判定し、全てのセンサの検出結果が正常の範囲内である場合に正常であるとする。したがって、1つのセンサの検出結果が正常の範囲外である場合は異常と判定する。
【0037】
このようにすることで、例えば次のような故障の兆候を捉えることができる。但し、以下の故障内容の特定までは異常検出システム1で行わなくてもよく、当該位置で何らかの異常があることを検出すればよい。そして、故障内容の特定は別の測定装置や作業者の点検等により行えばよい。
【0038】
例えば、音センサ4aの検出結果により、コンベア装置50のローラ若しくはシャフトの破損、キャリアローラへの駆動力不伝達、ローラの空回り等を検出することができる。また、振動センサ4cの検出結果により、コンベア装置50のローラ若しくはシャフトの破損、ローラ面の傾き、キャリアローラへの駆動力不伝達、ローラの空回り等を検出することができる。熱センサ4bの検出結果により、コンベア装置50の電源の異常発熱を検出することができる。
【0039】
また、音センサ4aの検出結果と振動センサ4cの判定結果を組み合わせることで、コンベア装置50の電源の故障を検出することができる。また、音センサ4aの検出結果と熱センサ4bの検出結果と振動センサ4cの判定結果を組み合わせることで、コンベア装置50のモータの故障を検出することができる。
【0040】
例えば、音センサ4aの検出結果単独で、コンベア装置50のローラ若しくはシャフトの破損、キャリアローラへの駆動力不伝達、ローラの空回りのいずれかが発生していることを検出することができ、自己位置推定結果による位置情報と対応付けることで、どこでこのような故障の兆候があったかを特定することができる。
【0041】
以上に説明した本実施形態によれば、異常検出システムであるコンテナ1は、コンベア装置50上の現在位置を検出するカメラ2と、コンベア装置50の状態を検出するセンサモジュール4L、4Rと、を備えている。そして、コンテナ1は、カメラ2で検出された現在位置と当該現在位置でセンサモジュール4L、4Rが検出した検出結果とを関連付けて蓄積情報として蓄積する記憶部3bと、センサモジュール4L、4Rが検出した検出結果と、その検出結果を検出した位置における記憶部3bに蓄積されている蓄積情報から生成された学習モデルと、に基づいて当該位置における異常を検出する処理部3aと、を備えている。そして、コンテナ1は、搬送物としてコンベア装置50により当該コンベア装置上を搬送される。
【0042】
このようにすることにより、コンテナ1は、搬送物としてコンベア装置50上を搬送されながら当該コンベア装置50の状態を検出することができるので、コンベア装置50側にセンサ等を設置する必要が無くセンサの数を最小限にしてコストを低減することができる。さらに、センサモジュール4L、4Rにおいてセンサの分解能に応じた検出間隔で状態を検出することができ、略連続的な検出が可能となる。また、コンテナ1が、搬送物としてコンベア装置50上を搬送されるので、コンベア装置50により形成される搬送経路全体の異常を検出することができる。
【0043】
また、処理部3aは、同じ位置における複数の蓄積情報によって正常な範囲をディープラーニングにより学習し、その学習により生成された学習モデルに基づいて異常を検出する。このようにすることにより、コンテナ1をコンベア装置50上を何度も搬送させて、センサモジュール4L、4Rの検出結果を多く収集することで、学習モデルを逐次アップデートすることができ、判定精度を向上させることができる。
【0044】
また、処理部3は、外部を撮影するカメラ2で撮影された撮影画像とコンベア装置50における地図情報とに基づいて自己位置を推定するので、マーカ等を設置せずに自己位置を推定することができる。また、GPS(Global Positioning System)等の電波が受信できなくても自己位置を推定することができる。
【0045】
また、センサモジュール4L、4Rは、コンベア装置50の進行方向に対して左右方向の状態を検出するので、異常の検出箇所が少なくとも右側か左側かの特定が可能となる。
【0046】
なお、上述した実施形態では、コンテナ1でディープラーニングや異常の有無の判定を行っていたが、カメラ2で撮影された画像及びセンサモジュール4L、4Rの検出結果を外部のコンピュータ等に送信して当該コンピュータで自己位置推定やディープラーニング及び異常の有無の判定を行うようにしてもよい。この場合の構成を
図7に示す。
図7は、
図3の構成に対して通信部6とコンピュータ(PC)60とが追加されている。
【0047】
通信部6は、例えばWi-Fi(登録商標)等の通信方式により無線通信を行う。通信部6は、カメラ2の撮影画像とともにセンサモジュール4L、4Rの検出結果をコンピュータ60へ送信する。即ち、通信部6は、送信部として機能する。コンピュータ60は、受信した撮影画像及び検出結果に基づいて自己位置推定やディープラーニング及び異常の有無の判定を行う。自己位置推定やディープラーニング及び異常の有無の判定の方法は
図4~
図6と同様である。即ち、コンピュータ60は、受信部、現在位置検出部、異常検出部、蓄積部、学習部として機能する。
図7の構成の場合、コンテナ1とコンピュータ60とで異常検出システムを構成する。
【0048】
図7の構成によれば、自己位置推定やディープラーニング及び異常の有無の判定はコンピュータ60ですることができるので、コンテナ1の処理部3aで行う処理負荷を軽減することができる。したがって、処理部3aに消費電力の小さいCPU等を採用してバッテリ5の消耗を抑えることができる。
【0049】
また、
図7の構成で、自己位置推定までをコンテナ1で行ってもよい。この場合は、通信部6は、位置情報とともにセンサモジュール4L、4Rの検出結果をコンピュータ60へ送信する。
【0050】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を
図8~
図12を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
本実施形態は、自己位置推定の手段及び状態検出の手段が第1の実施形態と異なる。本実施形態にかかる異常検出システムを有するコンテナ1Aの上面図を
図8に、
図8に示されたコンテナ1AのA-A線に沿う断面図を
図9に、それぞれ示す。
【0052】
図8に示したように、本実施形態では、カメラ2及びセンサモジュール4が削除され、カメラ20(20a、20b、20c、20d、20e)が設けられている。カメラ20a~20cは側面部11aに設けられ、コンテナ1Aの前方を撮影する。カメラ20a~20cは、コンテナ1Aの前方下側を中心に撮影するように設けられている(
図9を参照)。カメラ20dは、側面部11cに設けられている。カメラ20eは、側面部11dに設けられている。
【0053】
カメラ20aはコンテナ1Aの搬送方向で左前方を撮影する。カメラ20bはコンテナ1Aの搬送方向で中央前方を撮影する。カメラ20cはコンテナ1Aの搬送方向で右前方を撮影する。カメラ20dは、コンテナ1Aの搬送方向で左側を撮影する。カメラ20eは、コンテナ1Aの搬送方向で右側を撮影する。また、カメラ20a及び20cはサーモカメラとなっている。また、カメラ20b、20d、20eは広角カメラとなっている。
【0054】
本実施形態では、カメラ20a、20cにより、搬送方向におけるコンベア装置50Aの温度を検出することができる。即ち、カメラ20a、20cは、搬送装置の進行方向に対して前方方向の状態を検出する状態検出部として機能する。また、カメラ20bにより、コンベア装置50Aの振動を検出することができる。なお、カメラ20bは、後述する自己位置推定にも利用される。
【0055】
図10に本実施形態にかかるコンテナ(異常検出システム)1Aのブロック図を示す。基本的には
図3と同様であり、異なるのはカメラ2及びセンサモジュール4が削除され、カメラ20a~20eが設けられている点である。
【0056】
次に、本実施形態における自己位置推定方法について、
図11を参照して説明する。本実施形態における自己位置推定方法は、ローラコンベアを対象とする。コンベア装置50A(ローラコンベア)は、互いに平行に配置された支持部材となる第1フレーム51及び第2フレーム52と、第1フレーム51と第2フレーム52に軸支される搬送ローラ53と、を備えている。
【0057】
さらに、本実施形態にかかるコンベア装置50Aは、ガイドポール54が設置されている。ガイドポール54は、第1フレーム51及び第2フレーム52に所定間隔で複数立設されている。即ち、ガイドポール54は、搬送経路に所定間隔を空けて設置されたガイド部として機能する。
【0058】
ガイドポール54は、コンベア装置50A(搬送経路)の予め定めた位置に所定の間隔で設置されている。したがって、ガイドポール54をカメラ20d、20eで撮影した画像から画像認識等により検出することで自己位置を推定することができる。例えば、スタート位置等の原点となる位置を認識できれば、ガイドポール54の設置間隔は予め判明しているので、原点から何本目のガイドポール54か特定することで、自己位置を推定することができる。或いは、ガイドポール54に現在位置を示す表示等を付加してもよい。
【0059】
但し、ガイドポール54は所定間隔を空けて設置しているので、ガイドポール54のみでは、ガイドポール54間の位置の推定精度が低下する。そこで、本実施形態では、カメラ20bで撮影した画像等から画像認識等により搬送ローラ53を検出することで、ガイドポール54間の位置を推定する。ガイドポール54の設置間隔は予め判明しているので、ガイドポール54間に搬送ローラ53が何本あるかも予め求めることができる。したがって、ガイドポール54検出後、搬送ローラ53を何本検出したかを計数することによってガイドポール54間の位置を推定することができる。即ち、処理部3aは、ローラコンベアのローラの本数を検出する計数部と、ガイド部と計数部の係数結果に基づいて現在位置を検出する検出部として機能する。
【0060】
次に、上述した自己位置推定動作のフローチャートを
図12に示す。まず、処理部3aは、収集した撮影画像からガイドポール54を画像認識により検出し、検出された場合(ステップS41:YES)は、処理部3aは、その検出されたガイドポール54に基づいて自己位置を推定する(ステップS42)。
【0061】
一方、収集した撮影画像からガイドポール54が検出されない場合(ステップS41:NO)は、収集した撮影画像から搬送ローラ53を画像認識により検出し、検出された場合(ステップS43:YES)は、処理部3aは、その検出された搬送ローラとガイドポール54に基づいて自己位置を推定する(ステップS42)。
【0062】
なお、本実施形態では、ガイド部としてガイドポール54で説明したが、ポールではなく突起やマーキング等、搬送経路に所定間隔で設けることができ、かつガイド部として画像認識できるものであればよい。また、ガイド部は、第1フレーム51や第2フレーム52に立設するに限らず、カメラ20d、20eで撮影される範囲に設置できればよい。さらにはガイド部は、進行方向の左右両方ではなく、いずれか一方のみに設けてもよく、その場合はカメラ20d、20eのいずれか一方を省略してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、状態検出部としてカメラ20を用いているが、第1の実施形態で説明したセンサモジュール4を用いてもよい。つまり、現在位置検出部と状態検出部の組み合わせは、第1、第2の実施形態の組み合わせに限らず、任意である。
【0064】
本実施形態によれば、コンベア装置50Aは、ローラコンベアで構成され、処理部3aは、搬送経路に所定間隔を空けて設置されたガイドポール54と、ローラコンベアの搬送ローラ53の計数結果に基づいて自己位置を検出するので、複雑な処理や地図情報を有することなく自己位置を検出することができる。
【0065】
また、ガイドポール54に加えて搬送ローラ53の計数結果(本数)に基づいて自己位置を検出するので、ガイドポール54の設置間隔を長くすることができ、追加するガイドポール54を少なくすることができる。
【0066】
また、カメラ20a、20cは、搬送装置の進行方向に対して前方方向の温度を検出するので、搬送方向前方の異常を検出することができる。
【0067】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の異常検出システムの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 コンテナ(異常検出システム)
2 カメラ(現在位置検出部)
3 制御部
3a 処理部(現在位置検出部、異常検出部、学習部、計数部、検出部)
3b 記憶部(蓄積部)
4L センサモジュール(状態検出部)
4R センサモジュール(状態検出部)
6 通信部(送信部)
20 カメラ(現在位置検出部)
50 搬送装置
50A ローラコンベア(搬送装置)
54 ガイドポール(ガイド部)
60 コンピュータ(受信部、異常検出部、蓄積部、学習部)