IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミクシィの特許一覧

特開2024-40383情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図5
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図6
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図7
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図8
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図9
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040383
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/34 20120101AFI20240315BHJP
【FI】
G06Q50/34
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019643
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2020001998の分割
【原出願日】2020-01-09
(71)【出願人】
【識別番号】500033117
【氏名又は名称】株式会社MIXI
(72)【発明者】
【氏名】石井 公二
(72)【発明者】
【氏名】楠井 大地
(72)【発明者】
【氏名】舛井 一文
(57)【要約】
【課題】個人が単独で投票する場合に比べて、投票によって得られる払戻額を安定させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】ステップS1で、投票受付部130は、グループに所属する各ユーザの端末20から投票の受付を開始する。ステップS2で、投票実行部140は、受け付けた投票内容に従って投票券を購入し、該当する競技の結果に基づき、各ユーザの投票が当たったか否かを検出する。ステップS3で、分配部150は、検出された各ユーザの投票結果とともに、所属するグループに対して設定されている分配条件に基づき、各ユーザへ払戻額の分配を行い、処理を終了する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループに所属する複数のユーザの各々から、順位を競う競技の投票を受け付ける第1受付部と、
各ユーザによる前記競技の投票結果に応じた払戻額を、前記グループに対して設定されている分配条件に従って分配する分配部と
を具備する、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、競輪や競馬、競艇等の競技においては、投票者(ユーザ)からの投票を受け付ける投票装置が用いられる。投票者は、投票に必要な投票事項を投票用紙に記載し、投票装置に入力することにより投票を行うことができる。一例として、競輪の場合、投票者は、過去の戦績、競技当日の選手の状態、オッズ等の情報を参考にして競技結果を予想し、予想結果に基づき、競技番号や、3連単、ワイドといった投票方式、投票対象となる選手の車番、投票する金額等を投票用紙にマークすることで、投票券を購入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-96253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、投票を行うユーザが自分一人で投票券を購入する場合には、ある競技で大きく勝つこともあるが、別の競技で大きく負け越すこともあり、所定期間(例えば1日や1週間)でのユーザの払戻額が不安定になることが予測される。このことは、投票したことがないユーザや投票経験が少ないユーザを遠ざける一因になっていると考えられる。
【0005】
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、個人が単独で投票する場合に比べて、投票によって得られる払戻額を安定させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、グループに所属する複数のユーザの各々から、順位を競う競技の投票を受け付ける第1受付部と、各ユーザによる競技の投票結果に応じた払戻額を、グループに対して設定されている分配条件に従って分配する分配部と、を具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、個人が単独で投票する場合に比べて、投票によって得られる払戻額を安定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る投票システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】サーバのハードウェア構成例を示す図である。
図3】サーバの機能ブロック構成例を示す図である。
図4】ユーザ管理DB、グループ管理DB及び分配条件DBの一例を示す。
図5】サーバが行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6】分配条件1の説明図である。
図7】分配条件2の説明図である。
図8】分配条件3の説明図である。
図9】分配条件4の説明図である。
図10】サーバの機能ブロック構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
A.本実施形態
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る投票システム1のシステム構成の一例を示す図である。図1に示す投票システム1は、サーバ10と、1以上の端末20とを備える。サーバ10及び端末20は、インターネットやイントラネット、無線LAN、移動通信等の通信ネットワークNを介して互いに通信可能に接続されている。サーバ10及び端末20は、情報処理装置と称されてもよい。
【0011】
サーバ10は、1又は複数の物理的なサーバ等から構成されていてもよいし、ハイパーバイザー(hypervisor)上で動作する仮想的なサーバを用いて構成されていてもよいし、クラウドサーバを用いて構成されていてもよい。端末20は、ユーザが利用する端末であり、ユーザは、端末20を操作することで投票対象に投票を行うことができる。端末20は、例えば、携帯電話(スマートフォンを含む)、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。
【0012】
サーバ10は、投票が行われる各競技において、各ユーザが所属するグループの管理、各ユーザによって行われる投票の管理、各ユーザが保持する所定価値の管理、競技の結果に応じた払戻額(払い戻し量)の管理などの各種処理を実行する。
【0013】
競技は、例えば、競輪、競馬、競艇、オート競技、サッカー、野球、ラグビーのように、複数の出場者(チーム又は個人)の間で順位を競う、あらゆる競技を含む。
【0014】
グループは、払戻額の分配を目的として設立されるグループである。本実施形態では、グループに所属するユーザであって、当該グループの発起人となるユーザ(以下、「ホストユーザ」という。)により、当該グループの所属条件(例えば、投票経験年数や年齢など)が設定される。
【0015】
投票とは、各ユーザが、予想結果に基づき、競技番号や、投票方式(例えば、3連単やワイドなど)、投票対象(選手や動物)などを指定し、所定価値を投票する(賭ける)ことを意味する。
【0016】
所定価値とは、投票に利用可能な価値であり、例えば、金銭でもよいし、ポイントであってもよい。ポイントは、投票することに加えて、所定のサービス又はゲームで利用可能であってもよい。また、ポイントは、例えば所定のサービス又はゲームをプレイするユーザが、所定のサービスやゲーム内にて無償で受け取ることが可能なポイント(無償ポイント)であってもよいし、所定のサービスやゲーム内で金銭の支払と引き換えに(課金することで)受け取ることが可能なポイント(有償ポイント)であってもよい。所定価値は、単に「価値」と称されてもよい。
【0017】
本実施形態では、グループに対して払戻額の分配条件(収益、損益を平均化する手法など)が設定されている。グループに所属する各ユーザは、投票を行うと、グループに対して設定されている分配条件に従って、投票結果に応じた払戻額を受けることができる(詳細は後述)。
【0018】
<ハードウェア構成>
図2は、サーバ10のハードウェア構成例を示す図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)等のプロセッサ11、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)13、入力操作を受け付ける入力デバイス14、及び情報の出力を行う出力デバイス15を有する。入力デバイス14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力デバイス15は、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等である。
【0019】
<機能ブロック構成>
図3は、サーバ10の機能ブロック構成例を示す図である。サーバ10は、記憶部100と、条件受付部110と、募集部120と、投票受付部130と、投票実行部140と、分配部150とを含む。記憶部100は、サーバ10が備える記憶装置12を用いて実現することができる。また、条件受付部110と、募集部120と、投票受付部130と、投票実行部140と、分配部150は、サーバ10のプロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0020】
記憶部100には、ユーザに関する各種情報を管理するユーザ管理DB101と、各ユーザが所属するグループに関する各種情報を管理するグループ管理DB102と、払戻額を分配する際の分配条件を格納する分配条件DB103とを記憶する。
【0021】
図4のAは、ユーザ管理DB101の一例を示す。
ユーザ管理DB101には、グループIDと、ユーザIDと、所持価値と、収支情報とが対応づけて登録されている。「グループID」は、ユーザが所属するグループを一意に識別するための識別子である。「ユーザID」は、ユーザを一意に識別するための識別子である。「所持価値」は、ユーザが投票に利用可能な所定価値である。「収支情報」は、競技ごとの投資額と、回収額と、払戻額とを含んで構成される。「投資額」は、ユーザによって投票される所定価値をあらわし、「回収額」は、投票結果に基づいて、ユーザに回収される所定価値をあらわし、「払戻額」は、所属するグループに設定されている分配条件に従って、当該ユーザに分配される所定価値をあらわす。
【0022】
図4のBは、グループ管理DB102の一例を示す。
グループ管理DB102には、グループIDと所属条件とが対応づけて登録されている。「所属条件」は、投票経験年数や年齢など、そのグループに所属するのに必要な条件が含まれる。上述したように、本実施形態では、グループに所属するユーザであって、グループの発起人となるホストユーザが所属条件を設定するケースを想定するが、これに限る趣旨ではない。システム側で所属条件を予め設定してもよく、また、グループに所属しないシステム運営者などが所属条件を設定してもよい。
【0023】
図4のCは、分配条件DB103の一例を示す。
分配条件DB103には、グループIDと、払戻額の分配条件とが対応付けて登録されている。図4のCについて説明すると、グループAについては、当該グループAに所属する各ユーザの損益と収益を平均化し、各ユーザへ払戻額を分配する手法(分配条件1)が登録され、グループBについては、利益の多いユーザほど分配を大きくする手法(分配条件2)が登録され、・・・といった具合である。分配条件は、例えばホストユーザが設定してもよいが、システム側で予め設定してもよく、また、グループに所属しないシステム運営者などが設定してもよい。
【0024】
条件受付部(第2受付部)110は、グループの発起人であるホストユーザから、グループを識別するグループIDとともに、当該グループへの所属条件を受け付ける。条件受付部110は、受け付けたグループIDと所属条件とを、対応づけてグループ管理DB102に登録する。
【0025】
募集部120は、所属条件を受け付けたグループについて、当該グループに所属するメンバ(すなわちユーザ)の募集を行う。一例として、募集部120は、本投票システム1を利用する各ユーザの端末20に対し、グループへの所属条件(例えば、「投票経験年数が5年以上、募集人数は5名」など)を送信し、グループの募集が開始された旨を通知する。その後、募集部120は、所属条件に合致するユーザから、グループへの所属を希望する旨のリクエストを受けると、当該グループに所属するユーザとして承認する。例えば、あるユーザAを、グループAに所属するユーザとして承認した場合には、募集部120は、前掲図4のAに示すように、ユーザAのユーザID(U0001)に、グループAのグループID(G001)を対応づけてユーザ管理DB101に登録する。
【0026】
投票受付部(第1受付部)130は、グループに所属する各ユーザの端末20から、競技の投票を受け付ける。前述したように、各ユーザからの投票には、ユーザID、グループID、競技番号、投票方式、投票対象、投票する所定価値などの指定を含む。
【0027】
投票実行部140は、受け付けた投票内容に従って投票券を購入するとともに、該当する競技の結果に基づき、各ユーザの投票が当たったか否か(すなわち、投票結果)を検出する。
【0028】
分配部150は、検出された各ユーザの投票結果とともに、所属するグループに対して設定されている分配条件に基づき、各ユーザへ払戻額の分配を行う。なお、具体的な払戻額の分配方法については、後に詳述するため、ここでは割愛する。
【0029】
<処理手順>
図5は、サーバ10が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、あるグループに所属する複数のユーザの各々が、競技に投票を行う場合を想定する。
【0030】
ステップS1で、投票受付部130は、グループに所属する各ユーザの端末20から投票の受付を開始する。各ユーザは、競技を観戦しながら、端末20の画面を操作することで投票を行う。端末20は、各ユーザから投票を受け付けると、ユーザID、グループID、競技番号、投票方式、投票対象、投票する所定価値の量などの指定を含む投票情報をサーバ10に送信する。投票受付部130は、端末20から投票情報を受信することで、投票を受け付ける。
【0031】
ステップS2で、投票実行部140は、受け付けた投票内容に従って投票券を購入し、該当する競技の結果に基づき、各ユーザの投票が当たったか否か(すなわち、投票結果)を検出する。ここで、投票結果については、例えば競技の中継映像を分析することで自動的に検出してもよく、また、外部から競技結果をあらわす競技結果データを受信し、受信した競技結果データをもとに、投票結果を検出してもよい。
【0032】
ステップS3で、分配部150は、検出された各ユーザの投票結果とともに、所属するグループに対して設定されている分配条件に基づき、各ユーザへ払戻額の分配を行い、処理を終了する。以下、設定可能な分配条件のバリエーションについて、図6図9を参照しながら具体例を挙げて説明する。なお、図6図9では、説明の便宜上、3名のユーザA、ユーザB、ユーザCが所属するグループにおいて、ユーザA、ユーザB、ユーザCの投資額は、それぞれ、50000円、10000円、40000円であり、回収額は、それぞれ、70000円、17000円、25000円である場合を想定する。
【0033】
<分配条件1>
分配条件1は、グループに所属するユーザ全員の損益と収益を平均化して、各ユーザへの払戻額を決定する。図6は、分配条件1の説明図である。
分配部150は、まず、各ユーザの収支(すなわち、投資額と回収額)を把握する(図6のA参照)。
【0034】
次に、分配部150は、全ユーザの合計収支を求める(図6のB参照)。ここでは、合計投資額が100000円、合計回収額が112000円であることから、全ユーザの合計収支は、合計回収額から合計投資額を減じた12000円となる。そして、分配部150は、合計収支額をユーザの人数で除することで、ユーザ1人当たりの収支額を求める(図6のC参照)。ここでは、合計収支額が12000円であり、ユーザの人数が3人であることから、1人当たりの収支額は4000円となる。
【0035】
最後に、分配部150は、1人当たりの収支額を、各ユーザの投資額にそれぞれ加算することで、各ユーザへの払戻額を求める(図6のD参照)。ここでは、1人当たりの収支額が4000円であることから、ユーザAへの払戻額は、54000円(=50000円+4000円)、ユーザBへの払戻額は、14000円(=10000円+4000円)、ユーザCへの払戻額は、44000円(=40000円+4000円)となる。
【0036】
<分配条件2>
分配条件2は、利益が多いユーザほど取り分が多くなるように、各ユーザへの払戻額を決定する。図7は、分配条件2の説明図である。
分配部150は、まず、各ユーザの回収率(=回収額/投資額)を求める(図7のA参照)。ここでは、ユーザA、ユーザB、ユーザCの回収率は、それぞれ1.4倍、1.7倍、0.625倍となる。
【0037】
次に、分配部150は、全ユーザの合計収支を求める(図7のB参照)。全ユーザの合計収支は、前掲図6のBと同様に説明できるため割愛する。そして、分配部150は、各ユーザの回収率を利用して、各ユーザの収支額を求める(図7のC参照)。ここでは、ユーザAの収支額は、4510円(=12000円×1.4/(1.4+1.7+0.625))となり、ユーザBの収支額は、5476円(=12000円×1.7/(1.4+1.7+0.625)となり、ユーザCの収支額は、2013円(=12000×0.625/(1.4+1.7+0.625)となる。
【0038】
最後に、分配部150は、各ユーザの収支額を、各ユーザの投資額にそれぞれ加算することで、各ユーザへの払戻額を求める(図7のD参照)。ここでは、ユーザA、ユーザB、ユーザCの収支額が、それぞれ、4510円、5476円、2013円であることから、ユーザAへの払戻額は、54510円(=50000円+4510円)、ユーザBへの払戻額は、15476円(=10000円+5476円)、ユーザCへの払戻額は、42013円(=40000円+2013円)となる。
【0039】
<分配条件3>
分配条件3は、各ユーザの収益のみを平均化して、各ユーザへの払戻額を決定する。図8は、分配条件3の説明図である。
分配部150は、まず、各ユーザの収支(すなわち、投資額と回収額)を把握する(図8のA参照)。
【0040】
次に、分配部150は、利益が出ているユーザ(以下、利益ユーザという。)を特定し、利益ユーザの利益額の合計(合計利益)求める(図8のB参照)。ここでは、ユーザAの利益が20000円(=70000円-50000円)であり、ユーザBの利益が70000円(=17000円-10000円)であることから、合計利益は27000円となる。一方、ユーザCは、15000円の損失(=25000円-40000円)を出していることから、利益ユーザとはならない。
【0041】
そして、分配部150は、合計利益をユーザの人数で除することで、ユーザ1人当たりの分配利益を求める(図8のC参照)。ここでは、合計利益が27000円であり、ユーザの人数が3人であることから、1人当たりの分配利益は9000円となる。
【0042】
最後に、分配部150は、1人当たりの分配利益を、それぞれの投資額(利益を出しているユーザ)または回収額(損失を出しているユーザ)に加算することで、各ユーザへの払戻額を求める(図8のD参照)。ここでは、ユーザA及びユーザBが利益を出している一方で、ユーザCが損失を出していることから、ユーザAへの払戻額は、59000円(=50000円(投資額)+9000円)、ユーザBへの払戻額は、19000円(=10000円(投資額)+9000円)、ユーザCへの払戻額は、34000円(=25000円(回収額)+9000円)となる。
【0043】
<分配条件4>
分配条件4は、各ユーザの投資割合に応じて、各ユーザへの払戻額を決定する。図9は、分配条件4の説明図である。
【0044】
分配部150は、まず、各ユーザの収支(すなわち、投資額と回収額)を把握し(図9のA参照)、次に、全ユーザの合計収支を求める(図9のB参照)。そして、分配部150は、投資割合に応じた各ユーザの収支額を求める(図9のC参照)。ここでは、ユーザA、ユーザB、ユーザCの投資割合は、それぞれ、0.5(=5/(5+1+4))、0.1(=1/(5+1+4))、0.4(=4/(5+1+4))であることから、ユーザAの収支額は、6000円(=12000円×0.5)となり、ユーザBの収支額は、1200円(=12000円×0.1)となり、ユーザCの収支額は、4800円(=12000円×0.4)となる。
【0045】
最後に、分配部150は、各ユーザの収支額を、各ユーザの投資額にそれぞれ加算することで、各ユーザへの払戻額を求める(図9のD参照)。ここでは、ユーザA、ユーザB、ユーザCの収支額が、それぞれ、6000円、1200円、4800円であることから、ユーザAへの払戻額は、56000円(=50000円+6000円)、ユーザBへの払戻額は、11200円(=10000円+1200円)、ユーザCへの払戻額は、44800円(=40000円+4800円)となる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザは自身の投票のみに基づいて、投票結果に応じた払戻額を受けるのではなく、自身が所属するグループに対して設定されている分配条件に従って、投票結果に応じた払戻額を受ける。よって、競技に投票を行うユーザの払戻額を安定させることが可能となる。
【0047】
B.変形例
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0048】
本実施形態では、競技ごとに、グループに所属する各ユーザへ払戻額の分配を行う場合について説明したが、例えば複数の競技終了後(例えば、午前中に行われる4競技終了後や、その日の最終競技終了後など)に、それまでの各ユーザの投票結果を取り纏め、各ユーザへ払戻額の分配を行うようにしてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、投票受付部130が受け付けた各ユーザの投票を全て実行する場合について説明したが、これに限る趣旨ではない。グループの発起人であるホストユーザが承認した投票についてのみ、投票を実行(すなわち、投票券を購入)するようにしてもよい。この場合、投票実行部(実行部)140は、投票受付部130が受け付けた各ユーザの投票であり、かつ、ホストユーザによって承認された投票についてのみ、投票を実行する。言い換えると、投票実行部140は、受け付けた各ユーザの投票について実際には投票せずに、一旦保留する。その後、投票実行部140は、保留中の投票についてホストユーザの承認があった場合に、実際に投票を実行する。なお、ホストユーザは、端末20を適宜操作することで、投票受付部130が受け付けた当該グループの全ての投票について、閲覧・承認することが可能となっている。かかる構成によれば、ホストユーザの意図に沿わない投票(例えば、三連単に巨額投資をするなど)を未然に防止することができる。
【0050】
また、本実施形態では、募集部120が、ホストユーザによって設定されたグループの所属条件(投票経験年数や年齢など)に基づき、グループに所属するユーザを募集したが、これに限る趣旨ではない。例えば、募集部120が、設定される投票方針(大穴狙い、安全狙い)に基づき、グループに所属するユーザを募集してもよい。ここで、「投票方針」は、グループに所属する各ユーザが投票可能な投票対象の払戻倍率(いわゆる、オッズ)や、オッズの範囲を表すものであってもよい。一例として、投票方針が「大穴狙い」に設定されている場合には、高いオッズ(例えば、15倍以上)にのみ投票が可能となり、高いオッズ以外のオッズが、表示されなくなる、あるいはグレーアウト(ブラックアウト)されるなどにより、各ユーザは、高いオッズ以外のオッズが選択できなくなる。
一方、投票方針が「安全狙い」に設定されている場合には、低いオッズ(例えば、2倍未満)にのみ投票が可能となり、低いオッズ以外のオッズが、表示されなくなる、あるいはグレーアウト(ブラックアウト)されるなどにより、各ユーザは、低いオッズ以外のオッズが選択できなくなる。もっとも、グループに所属するユーザが、グループのためではなく、個人で投票する場合には、これまで説明した所定のオッズが「選択できなくなる」といった制限を外すことも可能である。
また、ホストユーザは、投票方針として、投票可能なオッズ範囲を設定してもよい。一例として、ホストユーザは、投票可能な高いオッズの範囲として「10倍以上、20倍未満」を設定したり、低いオッズの範囲として「1倍以上、3倍未満」を設定してもよい。なお、これらの投票可能なオッズ範囲は、あくまで例示にすぎず、ホストユーザが任意に設定可能である。また、投票方針は、ホストユーザが設定してもよいが、システム側で予め設定してもよく、また、運営者等が設定してもよい。
【0051】
図10は、変形例に係るサーバ10の機能ブロック構成例を示す図である。図10に示すサーバ10は、図3に示すサーバ10に管理部160を設けたものである。管理部160は、ユーザごとに、グループ用の所持価値(第1価値)と、個人用の所持価値(第2価値)とを分けて管理する。「グループ用の所持価値」とは、グループのために投票に利用可能な所定価値をいい、「個人用の所持価値」とは、個人で投票に利用可能な所定価値をいう。
【0052】
グループに所属する各ユーザは、端末20を操作することで、グループのために投票を行うか、あるいは個人で投票を行うかを指示するとともに、投票に利用する所定価値を指示する。例えば、グループに所属するユーザAによって、個人で2000円分の投票を行う旨の指示(以下、投票指示という。)の入力が行われると、入力された投票指示が端末20からサーバ10へ送信される。サーバ10の投票受付部130は、投票指示を受け付けると、これを管理部160に送る。管理部160は、受け取った投票指示に基づき、ユーザAは個人で2000円分の投票を行うことを希望していることを把握すると、ユーザ管理DB101にアクセスし、ユーザAの個人用の所持価値から、指定された所定価値(ここでは、2000円分)を減算するとともに、投票実行部140に対し、投票内容に従って投票券を購入すべき旨を指示する。なお、この後の動作については、本実施形態と同様であるため、説明を割愛する。
【0053】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、各ユーザが投票できる所定価値の限度額を設定するようにしてもよい。限度額は、単競技ごとに設定してもよく、または複数競技ごとに設定してもよい。限度額は、例えば、グループの発起人となるホストユーザが設定してもよい。限度額を設定することで、資金の使い過ぎを未然に防止することが可能となる。
【0054】
また、グループに所属するユーザが、所定の競技が終了するまで(例えば、その日に開催される競技のうちの半分の競技が終了するまで)に、設定された閾値以上の所定価値(例えば、合計50000円以上)を投票しなかった場合には、当該ユーザを払戻額の分配対象から外すようにしてもよい。例えば、6競技を終了した時点で、ユーザA、Bは、それぞれ合計150000円、140000円の投票を行っていたのに対し、ユーザCは、合計300円しか投票を行っていなかったとする。このような場合、上述した所定価値の閾値(合計50000円以上)が設定されることで、ユーザCは、払戻額の分配対象から外れることとなり、ユーザA及びユーザBは、自身の投資に見合った納得感の高い払戻額を得ることができる。
【0055】
C.その他
[付記1]
グループに所属する複数のユーザの各々から、順位を競う競技の投票を受け付ける第1受付部と、
各ユーザによる前記競技の投票結果に応じた払戻額を、前記グループに対して設定されている分配条件に従って分配する分配部と
を具備する、情報処理装置。
【0056】
付記1によれば、個人が単独で投票する場合に比べて、投票によって得られる払戻額が安定する。
【0057】
[付記2]
前記グループに所属するユーザであって前記グループの発起人となるホストユーザから、前記グループへの所属条件を受け付ける第2受付部と、
前記所属条件に基づいて、前記グループに所属する前記各ユーザを募集する募集部と、をさらに備える、付記1に記載の情報処理装置。
【0058】
付記2によれば、各ユーザの投票に関する経験値のバラツキ等を抑えることができる。
【0059】
[付記3]
前記各ユーザから受け付けた前記競技の投票であり、かつ、前記ホストユーザによって承認された前記投票を実行する実行部をさらに備える、付記2に記載の情報処理装置。
【0060】
付記3によれば、ホストユーザの意図に沿わない投票(例えば単勝に巨額を投資するなど)を未然に防止することができる。
【0061】
[付記4]
設定される前記競技への投票方針に基づき、前記グループに所属する前記各ユーザを募集する募集部をさらに備える、付記1に記載の情報処理装置。
【0062】
付記4によれば、グループ内での投票方針に近い方針を持つユーザを集めることができる。
【0063】
[付記5]
前記投票方針は、当該グループに所属する各ユーザが投票可能な投票対象のオッズ範囲を表す、付記4に記載の情報処理装置。
【0064】
付記5によれば、投票方針から外れた内容での投票を、未然に防止することができる。
【0065】
[付記6]
前記ユーザごとに、所属する前記グループのために前記投票に利用可能な第1価値と、当該ユーザが個人で前記投票に利用可能な第2価値とを分けて管理する管理部をさらに備える、付記1~5のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【0066】
付記6によれば、グループに所属しながらも、グループのための投票、個人的な投票の両方を実現することができる。
【0067】
[付記7]
情報処理装置が行う情報処理方法であって、
グループに所属する複数のユーザの各々から、順位を競う競技の投票を受け付けるステップと、
各ユーザによる前記競技の投票結果に応じた払戻額を、前記グループに対して設定されている分配条件に従って分配するステップと
を含む、情報処理方法。
【0068】
付記7によれば、個人が単独で投票する場合に比べて、投票によって得られる払戻額が安定する。
【0069】
[付記8]
コンピュータに、
グループに所属する複数のユーザの各々から、順位を競う競技の投票を受け付けるステップと、
各ユーザによる前記競技の投票結果に応じた払戻額を、前記グループに対して設定されている分配条件に従って分配するステップと
を実行させるためのプログラム。
【0070】
付記8によれば、個人が単独で投票する場合に比べて、投票によって得られる払戻額が安定する。
【符号の説明】
【0071】
1…投票システム、10…サーバ、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信IF、14…入力デバイス、15…出力デバイス、20…端末、100…記憶部、101…ユ0ーザ管理DB、102…グループ管理DB、103…分配条件DB、110…条件受付部、120…募集部、130…投票受付部、140…投票実行部、150…分配部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10