(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040451
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】薬剤手撒き装置、薬剤手撒き装置の支援プログラム、および支援プログラムを記録した記録媒体
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
A61J3/00 310D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024020711
(22)【出願日】2024-02-14
(62)【分割の表示】P 2023021732の分割
【原出願日】2018-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2017042961
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(72)【発明者】
【氏名】家田 啓史
(72)【発明者】
【氏名】三輪 研人
(57)【要約】
【課題】薬剤トレイの各セルに投入すべき薬剤の種類と量を分かりやすく指示する薬剤手撒き装置を提供する。
【解決手段】薬剤手撒き装置100は、複数のセル41の各々に対応して設けられて複数色を切り替え表示可能な発光部42を備える。モニタ11に表示される作業支援画面は、複数のセル41を、セル配置に対応して表示したセルイメージ111を含む。制御部11は、セルイメージ111において、薬剤を投入すべきセルを、当該薬剤の服用時期毎に互いに異なる色に対応づけて表示すると共に、当該セルに投入すべき錠数を表示する。制御部11は、手撒きする薬剤の外観画像を作業支援画面に表示する。制御部11は、前記所定の薬剤を投入すべきセルに対応する発光部42が、作業支援画面のセルイメージ111において当該セルに対応づけられた色と同じ色を表示するように発光部42を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルに区切られ、前記複数のセルの各々に薬剤が投入されるトレイと、
モニタと、
制御部と、
前記複数のセルの各々に投入された薬剤を薬包に分包する分包ユニットとを備え、
前記制御部は、処方データに基づいて、前記トレイの前記複数のセルの配置に対応して前記トレイの前記複数のセルを模式的に表したセルイメージにおいて、前記トレイにおける薬剤を投入すべきセルと対応するセルを識別可能に表す作業支援画面を作成し、前記モニタに表示し、
作成すべき薬包の数が、前記トレイの複数のセルの数よりも多い場合、前記制御部は、前記処方データに基づいて前記作業支援画面を複数作成し、前記制御部は、前記複数の作業支援画面のうち、第1の作業支援画面が表示され、前記分包ユニットによる分包処理を開始するための信号を制御部が受信すると、前記複数のセルに薬剤を投入する第2の作業支援画面への切り替えを可能とする、薬剤手撒き装置。
【請求項2】
複数のセルに区切られ、前記複数のセルの各々に薬剤が投入されるトレイと、
モニタと、
制御部と、
前記複数のセルの各々に投入された薬剤を薬包に分包する分包ユニットとを備え、
前記制御部は、処方データに基づいて、前記トレイの前記複数のセルの配置に対応して前記トレイの前記複数のセルを模式的に表したセルイメージにおいて、前記トレイにおける薬剤を投入すべきセルと対応するセルを識別可能に表す作業支援画面を作成し、前記モニタに表示し、
作成すべき薬包の数が、前記トレイの複数のセルの数よりも多い場合、前記制御部は、前記処方データに基づいて前記作業支援画面を複数作成し、前記制御部は、前記複数の作業支援画面のうち、第1の作業支援画面から第2の作業支援画面への切り替えを、前記第1の作業支援画面が表示されてから、前記分包ユニットによる分包処理を開始するための指示を受け付けた後に可能とし、
前記制御部は、前記指示を受け付けた後は、前記第2の作業支援画面から前記第1の作業支援画面への画面遷移を不可能とする、薬剤手撒き装置。
【請求項3】
各服用日の同じ服用時期の薬包が連続するように薬包シートを形成する連続モードと、
1日分の薬包が服用時期の順に並ぶように薬包シートが形成される反復モードとのいずれかを選択させる選択手段をさらに備え、
前記制御部は、処方データに基づいて、前記連続モードが選択された場合は同一服用時期のセルが処方日数分連続して割り当てられるように、前記反復モードが選択された場合は1日分の服用時期が処方日数分繰り返して割り当てられるように、前記作業支援画面を作成し、前記モニタに表示する、請求項1又は2に記載の薬剤手撒き装置。
【請求項4】
薬剤の容器または包装から当該薬剤を識別するコードを取得するコード取得手段をさらに備え、
前記制御部は、前記コード取得手段によって薬剤の容器または包装からコードが取得されると、取得されたコードに基づいて、前記薬剤が処方データに含まれる薬剤のいずれかに合致するか否かを判定する照合処理を行う、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬剤手撒き装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記処方データについて前記照合処理が完了していなければ、手撒き処理の後続処理を開始可能としない、請求項4に記載の薬剤手撒き装置。
【請求項6】
複数のセルに区切られ、前記複数のセルの各々に薬剤が投入されるトレイと、前記複数のセルの各々に投入された薬剤を薬包に分包する分包ユニットとを備えた薬剤手撒き装置の使用に際して、前記トレイへの薬剤の投入作業を支援するための支援プログラムであって、
コンピュータに、
処方データに基づいて、前記トレイの前記複数のセルの配置に対応して、前記トレイの前記複数のセルを模式的に表したセルイメージにおいて、前記トレイにおける薬剤を投入すべきセルと対応するセルを識別可能に表す作業支援画面を作成し、モニタに表示させる処理を実行させる命令を含み、
作成すべき薬包の数が、前記トレイの複数のセルの数よりも多い場合、処方データに基づいて前記作業支援画面を複数作成し、前記複数の作業支援画面のうち、第1の作業支援画面が表示され、前記分包ユニットによる分包処理を開始するための信号を制御部が受信すると、前記複数のセルに薬剤を投入する第2の作業支援画面への切り替えを可能とする、支援プログラム。
【請求項7】
複数のセルに区切られ、前記複数のセルの各々に薬剤が投入されるトレイと、前記複数のセルの各々に投入された薬剤を薬包に分包する分包ユニットとを備えた薬剤手撒き装置の使用に際して、前記トレイへの薬剤の投入作業を支援するための支援プログラムであって、
コンピュータに、
処方データに基づいて、前記トレイの前記複数のセルの配置に対応して、前記トレイの前記複数のセルを模式的に表したセルイメージにおいて、前記トレイにおける薬剤を投入すべきセルと対応するセルを識別可能に表す作業支援画面を作成し、モニタに表示させる処理を実行させる命令を含み、
作成すべき薬包の数が、前記トレイの複数のセルの数よりも多い場合、処方データに基づいて前記作業支援画面を複数作成し、前記複数の作業支援画面のうち、第1の作業支援画面から第2の作業支援画面への切り替えを、前記第1の作業支援画面が表示されてから、前記分包ユニットによる分包処理を開始するための指示を受け付けた後に可能とし、前記指示を受け付けた後は、前記第2の作業支援画面から前記第1の作業支援画面への画面遷移を不可能とする、支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を手撒きする装置に関し、特に、手撒きでの作業を支援する機能を備えた薬剤手撒き装置と、この装置を使用する際の支援プログラムと、この支援プログラムを記録した記録媒体とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処方された薬剤を1回の服用分ずつ個別包装(分包)することができる薬剤分包装置が知られている。薬剤分包装置によれば、例えば、起床時、朝食後、昼食後、夕食後、または寝る前、等の服薬タイミングに分けて、処方にしたがって必要な薬剤のみが分包される。また、個々の包装材に患者氏名や服薬タイミングを印刷することもできる。これにより、薬の飲み忘れや飲み間違いを防止できるという利点がある。
【0003】
従来の薬剤分包装置には、粉末状、粒状、またはカプセル状等の固形薬剤を自動的に分包する仕組みの他に、手撒きでの作業が行える仕組みを備えたものもある。例えば、下記特許文献1には、マトリクス状に配置された複数のセルに投入された薬剤を、セル単位で払い出すことが可能な手撒きユニットを備えた装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような手撒きユニットを備えた薬剤手撒き装置においては、薬剤師が手撒きを行う際に、人為的ミスを防ぐために、手撒きユニットのそれぞれのセルに投入すべき薬剤の種類や量を分かりやすく指示する機能を備えることが望ましい。
【0006】
上記の要求を鑑み、本発明は、手撒き作業における人為的ミスを未然に防ぐために、手撒き作業を支援する機能を備えた薬剤手撒き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、以下に開示する薬剤手撒き装置は、
複数のセルに区切られ、前記複数のセルの各々に薬剤が投入されるトレイを備えた薬剤手撒き装置であって、
前記トレイは、前記複数のセルの各々に対応して設けられて複数色を切り替え表示可能な発光部を備え、
前記薬剤手撒き装置は、処方データに基づいて作業支援画面を表示するモニタと、前記モニタおよび前記発光部を制御する制御部とをさらに備え、
前記作業支援画面は、前記トレイの前記複数のセルをセル配置に対応して模式的に表したセルイメージを表示するセルイメージ領域と、薬剤の外観画像を表示する薬剤画像領域とを含み、
前記制御部は、前記処方データに基づいて、前記セルイメージにおいて、前記複数のセルのうち所定の薬剤を投入すべきセルを、当該薬剤の服用時期毎に互いに異なる色に対応づけて表示すると共に、当該セルに投入すべき錠数を表示し、
前記制御部は、前記処方データに基づいて、前記トレイに投入すべき薬剤の外観画像を前記薬剤画像領域に表示し、
前記制御部は、前記トレイにおいて前記所定の薬剤を投入すべきセルに対応する発光部が、前記作業支援画面の前記セルイメージにおいて当該セルに対応づけられた色と同じ色を表示するように前記発光部を制御する。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、薬剤トレイのそれぞれのセルに投入すべき薬剤の種類や量を分かりやすく指示することができ、手撒き作業における人為的ミスを未然に防ぐことに寄与する薬剤手撒き装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態にかかる薬剤手撒き装置の外観図である。
【
図2】
図2は、薬剤手撒き装置の機能的な概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、手撒きユニットが備える薬剤トレイの外観を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、分包ユニットから排出される薬包シートの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、手撒き作業の開始時に、処方制御ユニットのモニタに表示される手撒き作業支援画面の初期画面を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態にかかる手撒き作業支援画面の選択薬剤対応画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態にかかる手撒き作業支援画面の選択薬剤対応画面の他の例を示す図である。
【
図9】2サイクル目の手撒き作業において表示される手撒き作業支援画面(選択薬剤対応画面)の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、薬剤分包処理の主要な動作の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、「反復」処理が選択されている場合の選択薬剤対応画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態にかかる手撒き作業支援画面の初期画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態にかかる手撒き作業支援画面の選択薬剤対応画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態にかかる手撒き作業支援画面の服用時期対応画面の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、前記服用時期対応画面においていずれかの薬剤が選択された場合の表示の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、第2の実施形態の一変形例にかかる手撒き作業支援画面の選択薬剤対応画面の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、第2の実施形態の一変形例にかかる手撒き作業支援画面の選択薬剤対応画面の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、第3の実施形態にかかる薬剤分包処理の主要な動作の流れを示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、第3の実施形態にかかる分包モニタ画面の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、第3の実施形態にかかるLEDアシスト画面の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、第3の実施形態にかかる未照合履歴登録画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1の構成にかかる薬剤手撒き装置は、
複数のセルに区切られ、前記複数のセルの各々に薬剤が投入されるトレイと、
前記複数のセルの各々に対応して設けられて複数色を切り替え表示可能な発光部と、
処方データに基づいて作業支援画面を表示するモニタと、
前記モニタおよび前記発光部を制御する制御部とを備え、
前記作業支援画面は、前記トレイの前記複数のセルをセル配置に対応して模式的に表したセルイメージを表示するセルイメージ領域と、薬剤の外観画像を表示する薬剤画像領域とを含み、
前記制御部は、前記処方データに基づいて、前記セルイメージにおいて、前記複数のセルのうち所定の薬剤を投入すべきセルを、当該薬剤の服用時期毎に互いに異なる色に対応づけて表示すると共に、当該セルに投入すべき錠数を表示し、
前記制御部は、前記処方データに基づいて、前記トレイに投入すべき薬剤の外観画像を前記薬剤画像領域に表示し、
前記制御部は、前記トレイにおいて前記所定の薬剤を投入すべきセルに対応する発光部が、前記作業支援画面の前記セルイメージにおいて当該セルに対応づけられた色と同じ色を表示するように前記発光部を制御する。
【0011】
すなわち、この第1の構成は、複数のセルを有するトレイに薬剤を手撒きで投入する作業を行う際に、モニタに作業支援画面を表示する。この作業支援画面は、トレイの前記複数のセルを、セル配置に対応して模式的に表示したセルイメージを含んでいる。さらに、前記セルイメージにおいて、前記複数のセルのうち所定の薬剤を投入すべきセルが、当該薬剤の服用時期毎に互いに異なる色に対応づけて表示されると共に、当該セルに投入すべき錠数が表示される。また、トレイにおいて前記所定の薬剤を投入すべきセルに対応する発光部が、前記作業支援画面の前記セルイメージにおいて当該セルに対応づけられた色と同じ色を表示するように前記発光部が制御される。
【0012】
これにより、薬剤師は、作業支援画面のセルイメージの色を見ながら、発光部によって同じ色で表示されているセルに対して、セルイメージに表示されている数の錠剤を投入すれば良い。したがって、薬剤師が、誤ったセルに薬剤を投入したり、投入すべき錠剤の数を誤ったりするという人為的ミスを効果的に防止することができる。
【0013】
なお、「トレイにおいて前記所定の薬剤を投入すべきセルに対応する発光部が、前記作業支援画面の前記セルイメージにおいて当該セルに対応づけられた色と同じ色を表示する」という発明特定事項において、「同じ色」とは、色彩学的に完全に同じ色である必要はなく、人間の視覚で検知可能な範囲においてほぼ同じ色であると認識できる範囲であれば良い。
【0014】
また、上記第1の構成においては、制御部が、処方データに基づいて、トレイに投入すべき薬剤の外観画像を、作業支援画面の薬剤画像領域に表示する。これにより、薬剤師は、手元にある薬剤と薬剤画像領域に表示された画像とを比較することにより、投入する薬剤が正しいかどうかを目視で容易に判断できる。したがって、処方とは異なる薬剤を投入するという人為的ミスを効果的に防止することができる。
【0015】
本発明の第2の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第1の構成において、
前記作業支援画面が、前記処方データに含まれる薬剤のリストをさらに含み、
前記制御部の制御により、前記薬剤のリストにおいて、各薬剤の服用時期毎の錠数が、前記セルイメージにおいて当該服用時期に対応づけられた色と同じ色を付して表示される。
【0016】
この第2の構成によれば、処方データに含まれる薬剤のリストにおいて、それぞれの薬剤について、服用時期毎の錠数が、セルイメージでそれぞれの服用時期を表すために使用
されている色と同じ色を付して表示される。これにより、薬剤師は、トレイのどのマスに錠剤を何個投入すれば良いかを、トレイの表示色とセルイメージの表示色とを参照することによって、容易に確認することができる。
【0017】
なお、前記の「服用時期毎の錠数が、(中略)、同じ色を付して表示」とは、錠数が表示されている領域の背景色を同じ色で表示すること、錠数が表示されている領域の枠を同じ色で表示すること、錠数を表す数字を同じ色で表示すること、または、錠数が表示されている領域に同じ色のタグを付けることや、その他の任意の表示態様を含み得る。
【0018】
本発明の第3の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第2の構成において、前記作業支援画面が、前記薬剤のリスト上のいずれかの薬剤が選択された場合、選択された薬剤の服用時期毎の錠数を、前記セルイメージにおいて当該服用時期に対応づけられた色と同じ色を付して表示する用量表示領域をさらに含む。
【0019】
この第3の構成によれば、用量表示領域において、選択された薬剤の服用時期毎の錠数が、前記セルイメージにおいて当該服用時期に対応づけられた色と同じ色を付して表示されるので、トレイのどのマスに錠剤を何個投入すれば良いかを、容易に確認することができる。
【0020】
本発明の第4の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第2または第3の構成において、前記作業支援画面において、前記薬剤のリスト上で一の薬剤が選択された状態から、他の薬剤が選択された場合、前記制御部が、前記薬剤のリスト上で前記一の薬剤に関する表示態様を、未選択の薬剤の表示態様とは異なる態様に切り替える。
【0021】
この第4の構成によれば、薬剤のリストにおいて、手撒き作業が完了した薬剤と、未完了の薬剤とが区別でき、薬剤師が作業の進捗状況を容易に確認できるという利点がある。
【0022】
本発明の第5の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第1~第4のいずれかの構成において、前記作業支援画面が、前記トレイの複数のセルの各々に投入すべき錠剤の種類と数とを服用時期毎に画像で表示する分包イメージ領域をさらに含む。この「分包イメージ」とは、各セルに投入される1服用時期分(すなわち分包1つ分)の手撒き薬剤の画像であるが、手撒き薬剤の他に、錠剤カセット等より薬剤が追加されてから、分包されることがある。したがって、分包イメージ領域に表示される手撒き薬剤と、実際に分包される薬剤とは、必ずしも一致しない。
【0023】
この第5の構成によれば、作業支援画面の分包イメージ領域に、トレイの複数のセルの各々に投入されるべき錠剤の種類と数が、服用時期毎に画像で表示される。これにより、手撒き作業完了後の鑑査時に、分包イメージ領域に表示されている錠数とトレイのセル内の錠数とを比較することにより、鑑査を容易に行うことができるという利点がある。なお、この画像は、イラスト画像および写真画像のいずれであっても良い。
【0024】
本発明の第6の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第5の構成において、前記分包イメージ領域において服用時期のいずれかが選択されると、前記制御部が、前記作業支援画面の前記セルイメージにおいて、前記複数のセルのうち、選択された服用時期に対応するセルを他の服用時期に対応するセルとは区別可能に表示する。
【0025】
この第6の構成によれば、分包イメージ領域において服用時期のいずれかを選択することにより、作業支援画面の前記セルイメージにおいて、選択された服用時期に対応するセルが、他の服用時期に対応するセルとは区別可能に表示される。これにより、所望の服用時期について、投入すべき薬剤の種類と数を、目視によってより容易に確認することがで
きる。
【0026】
本発明の第7の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第5または第6の構成において、前記分包イメージ領域において服用時期のいずれかが選択されると、前記制御部が、前記作業支援画面の前記セルイメージにおいて、前記複数のセルのうち、選択された服用時期に対応するセルに、当該服用時期について処方された薬剤の錠数の総数を表示する。
【0027】
この第7の構成によれば、分包イメージ領域において服用時期のいずれかを選択することにより、所望の服用時期について、投入すべき薬剤の錠数の総数を、目視によってより容易に確認することができる。
【0028】
本発明の第8の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第7の構成において、
前記分包イメージ領域において服用時期のいずれかが選択されると、
当該服用時期について処方された薬剤のいずれも選択されていない場合は、前記制御部が、前記作業支援画面の前記セルイメージにおいて、前記複数のセルのうち、選択された服用時期に対応するセルに、当該服用時期について処方された薬剤の錠数の総数を表示し、
当該服用時期について処方された薬剤のいずれかが選択された場合は、前記制御部が、前記作業支援画面の前記セルイメージにおいて、前記複数のセルのうち、選択された服用時期に対応するセルに、前記選択された薬剤の錠数を表示する。
【0029】
この第8の構成によれば、分包イメージ領域において服用時期のいずれかを選択した場合、その服用時期について処方されている薬剤のいずれも選択されていない場合は、その服用時期について投入すべき薬剤の錠数の総数を、目視によって容易に確認することができる。一方、その服用時期について処方されている薬剤のいずれかが選択された場合は、その服用時期におけるその薬剤の錠数を、目視によって容易に確認することができる。したがって、投入すべき薬剤の数を誤るという人為的なミスを、より確実に防止することができる。
【0030】
本発明の第9の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第1~第8のいずれかの構成において、
前記複数のセルのそれぞれに対応して設けられた待機セルと、
前記複数のセルと前記待機セルとの間の開口部の開閉を制御する開閉制御部とをさらに備え、
前記開閉制御部は、一の薬剤についての手撒き作業が終了した後、次の薬剤が選択されたときに、前記開口部を開ける制御を行う。
【0031】
この第9の構成によれば、待機セルを備えた構成において、一の薬剤についての手撒き作業が終了した後、次の薬剤が選択されたときに、開閉制御部の制御によって、手撒き用のトレイのセルから待機セルへ薬剤が排出される。したがって、一の薬剤についての手撒き作業が終了する毎に、一種類ずつ鑑査を行うことが可能となる。
【0032】
本発明の第10の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第5の構成において、
前記複数のセルのそれぞれに対応して設けられた待機セルと、
前記複数のセルと前記待機セルとの間の開口部の開閉を制御する開閉制御部とをさらに備え、
少なくとも一の薬剤についての手撒き作業が終了した後、前記開閉制御部が前記開口部を開ける制御を行うと、前記制御部は、前記分包イメージ領域において、前記少なくとも一の薬剤に対応する画像は表示しない。
【0033】
この第10の構成によれば、待機セルを備えた構成において、少なくとも一の薬剤についての手撒き作業が終了した後、開閉制御部の制御によって、手撒き用のトレイのセルから待機セルへ薬剤が排出されると、それらの薬剤に対応する画像は分包イメージ領域に表示されなくなる。したがって、手撒き作業が終了した薬剤を、誤って再度手撒きしてしまうといった人為的ミスを防止することができる。
【0034】
本発明の第11の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第1~第10のいずれかの構成において、
前記複数のセルの各々に投入された薬剤を個別の薬包に分包する分包ユニットをさらに備え、
作成すべき薬包の数が、前記トレイの複数のセルの数よりも多い場合、前記制御部は、前記処方データに基づいて前記作業支援画面を複数作成し、
前記制御部は、前記複数の作業支援画面のうち、一の作業支援画面から次の作業支援画面への切り替えを、当該一の作業支援画面が表示されてから、前記分包ユニットによる分包処理を開始するための指示を受け付けた後に可能とする。
【0035】
この第11の構成によれば、分包ユニットによる分包処理を開始するための指示がなければ、一の作業支援画面から次の作業支援画面への切り替えを行うことができない。したがって、作成すべき薬包の数が、前記トレイの複数のセルの数よりも多いため、複数サイクルで手撒き作業を行う場合に、一のサイクルの手撒き作業で薬剤が投入されたセルに対して、誤って次のサイクルの薬剤を投入してしまうという人為的ミスを防止することができる。
【0036】
本発明の第12の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第1~第11のいずれかの構成において、
各服用日の同じ服用時期の薬包が連続するように薬包シートを形成する連続モードと、1日分の薬包が服用時期の順に並ぶように薬包シートが形成される反復モードとのいずれかを選択させる選択手段をさらに備え、
前記制御部は、前記処方データに基づいて、前記セルイメージにおいて、前記連続モードが選択された場合は同一服用時期のセルが処方日数分連続して割り当てられるように、前記反復モードが選択された場合は1日分の服用時期が処方日数分繰り返して割り当てられるように、前記複数のセルのうち所定の薬剤を投入すべきセル内に、当該セルに投入すべき錠数を表示する。
【0037】
この第12の構成によれば、各服用日の同じ服用時期の薬包が連続するように薬包シートを形成する連続モードと、1日分の薬包が服用時期の順に並ぶように薬包シートが形成される反復モードとに切り替えが可能であり、モードの選択に応じて、制御部が、複数のセルのうち所定の薬剤を投入すべきセル内に、当該セルに投入すべき錠数を表示する。これにより、連続モードと反復モードとに切り替えが可能な構成においても、薬剤師が、誤ったセルに薬剤を投入したり、投入すべき錠剤の数を誤ったりするという人為的ミスを効果的に防止することができる。
【0038】
本発明の第13の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第1~第12のいずれかの構成において、前記制御部は、前記処方データに基づいて、前記トレイに投入すべき薬剤の外形寸法を、前記外観画像と共に前記薬剤画像領域に表示する。
【0039】
この第13の構成によれば、手撒きする薬剤の外観画像と共に、その薬剤の外形寸法が薬剤画像領域に表示されるので、外観画像だけでなく、外形寸法を確かめながら手撒き作業を行うことができる。したがって、誤った薬剤を投入してしまうといった人為的ミスをより効果的に防止することができる。
【0040】
本発明の第14の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第1~第13のいずれかの構成において、薬剤の容器または包装から当該薬剤を識別するコードを取得するコード取得手段をさらに備え、
前記制御部は、前記コード取得手段によって薬剤の容器または包装からコードが取得されると、取得されたコードに基づいて、前記薬剤が前記処方データに含まれる薬剤のいずれかに合致するか否かを判定する照合処理を行い、
前記制御部は、前記処方データに含まれる薬剤のうち手撒きの対象とされる薬剤のすべてについて前記照合処理が完了していなければ、手撒き処理の後続処理を開始可能としない。
【0041】
この第14の構成によれば、前記処方データに含まれる薬剤のうち手撒きの対象とされる薬剤のすべてについて、保管庫からピックアップされた薬剤が処方データ中の薬剤と合致しているか否かの照合処理が完了していなければ、手撒き処理の後続処理が開始できない。これにより、調剤過誤を効果的に防止することができる。
【0042】
本発明の第15の構成にかかる薬剤手撒き装置は、前記第1~第13のいずれかの構成において、薬剤の容器または包装から当該薬剤を識別するコードを取得するコード取得手段をさらに備え、
前記制御部は、前記コード取得手段によって薬剤の容器または包装からコードが取得されると、取得されたコードに基づいて、前記薬剤が前記処方データに含まれる薬剤のいずれかに合致するか否かを判定する照合処理を行い、
前記制御部は、前記処方データに含まれる薬剤のうち手撒きの対象とされる薬剤のすべてについて、前記照合処理が完了するか、または、所定の手順にしたがって前記照合処理がスキップされたことが登録されていなければ、手撒き処理の後続処理を開始可能としない。
【0043】
この第15の構成によれば、前記処方データに含まれる薬剤のうち手撒きの対象とされる薬剤のすべてについて、保管庫からピックアップされた薬剤が処方データ中の薬剤と合致しているか否かの照合処理が完了しているか、または、所定の手順にしたがって前記照合処理がスキップされたことが登録されていなければ、手撒き処理の後続処理が開始できない。これにより、調剤過誤を効果的に防止することができる。
【0044】
本発明の一実施形態にかかる支援プログラムは、
複数のセルに区切られ、前記複数のセルの各々に薬剤が投入されるトレイと、前記複数のセルの各々に対応して設けられて複数色を切り替え表示可能な発光部とを備えた薬剤手撒き装置の使用に際して、前記トレイへの薬剤の投入作業を支援するための支援プログラムであって、
コンピュータに、
処方データに基づいて、前記トレイの前記複数のセルをセル配置に対応して模式的に表示したセルイメージにおいて、前記複数のセルのうち所定の薬剤を投入すべきセルを、当該薬剤の服用時期毎に互いに異なる色に対応づけて表示すると共に、当該セルに投入すべき錠数をモニタに表示させる処理と、
前記処方データに基づいて、前記トレイに投入すべき薬剤の外観画像を前記モニタに表示させる処理と、
前記トレイにおいて前記所定の薬剤を投入すべきセルに対応する発光部が、前記作業支援画面の前記セルイメージにおいて当該セルに対応づけられた色と同じ色を表示するように、前記発光部を制御する処理とを実行させる命令を含む。
【0045】
この支援プログラムをコンピュータで実行することにより、薬剤師は、作業支援画面の
セルイメージの色を見ながら、発光部によって同じ色で表示されているセルに対して、セルイメージに表示されている数の錠剤を投入することが可能となる。したがって、薬剤師が、誤ったセルに薬剤を投入したり、投入すべき錠剤の数を誤ったりするという人為的ミスを効果的に防止することができる。
【0046】
また、処方データに基づいて、トレイに投入すべき薬剤の外観画像が、モニタに表示される。これにより、薬剤師は、手元にある薬剤とモニタに表示された画像とを比較することにより、投入する薬剤が正しいかどうかを目視で容易に判断できる。したがって、処方とは異なる薬剤を投入するという人為的ミスを効果的に防止することができる。
【0047】
本発明は、前記の支援プログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としても実施可能である。
【0048】
[実施の形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0049】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかる薬剤分包装置100の外観図である。
図2は、薬剤分包装置の機能的な概略構成を示すブロック図である。
図1および
図2に示すように、薬剤分包装置100は、処方制御ユニット1、錠剤供給ユニット2、散薬供給ユニット3、手撒きユニット4、分包ユニット5、バーコードリーダ6(
図1には図示せず)などを備えている。処方制御ユニット1、錠剤供給ユニット2、散薬供給ユニット3、手撒きユニット4、および分包ユニット5は、内部バス7によって相互に接続されている。
【0050】
最初に、
図1および
図2等を参照しながら、処方制御ユニット1、錠剤供給ユニット2、散薬供給ユニット3、手撒きユニット4、分包ユニット5、およびバーコードリーダ6の構成および動作の概略について説明する。
【0051】
[処方制御ユニット1]
処方制御ユニット1は、処方データを読み込み、操作画面を表示して操作者(薬剤師)の指示を受け付ける。すなわち、処方制御ユニット1は、薬剤分包装置100を操作するための入出力インタフェースとして機能する。このため、処方制御ユニット1は、制御部11、記憶部12、モニタ13、入力装置14、および通信IF15等を備える。
【0052】
モニタ13は任意のディスプレイで実現することができる。入力装置14は、キーボードやタッチパネル等で実現することができる。入力装置14は、音声入力を受け付ける構成としても良い。また、処方制御ユニット1は、スピーカを備えて音声を出力可能としても良い。処方制御ユニット1は、薬剤分包装置100の内蔵ユニットとして構成しても良いし、パーソナルコンピュータ、タブレット端末またはPDA端末などの、薬剤分包装置100とは別体のハードウェアとして実現しても良い。処方制御ユニット1を薬剤分包装置100とは別体に構成する場合、処方制御ユニット1と薬剤分包装置100との間の通信は、有線および無線のいずれであっても良い。
【0053】
制御部11は、CPU、RAM、ROMおよびEEPROM(いずれも図示せず)などを有する。制御部11は、前記ROM、前記EEPROM、または記憶部12などに予め記憶された各種のプログラムを、前記CPUによって実行する。なお、前記RAMおよび
前記EEPROMは、前記CPUによって各種の処理を実行する際に、一時記憶メモリ(作業領域)として利用される。なお、制御部11は、ASICまたはDSPなどの集積回路であってもよい。
【0054】
記憶部12は、ハードディスク装置またはSSD(Solid State Drive)などである。記憶部12には、制御部11のCPUに後述の薬剤分包処理(
図10のフローチャート参照)を実行させるためのプログラムが予め記憶されている。
【0055】
なお、前記プログラムは、例えばCD、DVD、または半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、不図示のディスクドライブなどの読取装置によって前記記録媒体から読み取られて記憶部12にインストールされる。本発明は、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な前記記録媒体の発明としても捉えることができる。
【0056】
また、記憶部12には、例えば医薬品マスタ、患者マスタ、カセットマスタ、および薬局マスタなどの各種のデータベースも記憶されている。なお、制御部11は、例えばCD、DVD、または半導体メモリなどの記録媒体から不図示のディスクドライブなどの読取装置によって読み取られたデータに基づいて、記憶部12に記憶されている前記各種のデータベースを更新することが可能である。また、制御部11は、操作部14に対するユーザー操作に応じて前記各種のデータベースの内容を変更することも可能である。
【0057】
前記医薬品マスタには、薬ID、薬品コード、薬品名、JANコード(またはRSSコード)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤のサイズ(高さおよび幅)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などの医薬品各々に関する情報が含まれる。また、医薬品マスタには、錠剤の画像が含まれていても良い。本実施形態においては、錠剤の画像として、写真画像とイラスト画像との両方が登録されているものとするが、写真画像およびイラスト画像のいずれか一方だけであっても良い。前記患者マスタには、患者ID、氏名、性別、年齢、既往歴、処方薬履歴、家族情報、診療科、病棟、および病室などの患者に関する情報が含まれる。前記薬局マスタには、薬局名、薬剤師の氏名、薬剤師のIDなどの薬局に関する情報が含まれる。
【0058】
前記カセットマスタは、後述する錠剤供給ユニット2の錠剤カセットの各々に付与されているカセット識別情報と、各カセットに収容された薬品についての薬品情報との対応関係を示す情報である。前記カセットマスタの情報は、例えば、薬剤分包装置100の初期設定時に、操作部14のユーザー操作に応じて制御部11によって登録される。
【0059】
モニタ13には、制御部11が処方データに基づいた制御を行うことにより、手撒き作業支援画面が表示される。手撒き作業支援画面は、薬剤師が手撒きユニット4を使用して手撒き作業を行う際に、手撒きユニット4の複数のセル(後に説明する)のうち、どのセルに対してどの薬剤を何錠投入すれば良いかを分かりやすく表示する。
【0060】
操作部14は、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウスおよびタッチパネル等の操作手段であり、ユーザー操作に対応する操作信号を制御部11に入力する。通信IF15は、薬剤分包装置100を、通信網を介して外部の処方入力端末200に接続するための通信インタフェースである。通信IF15は、処方入力端末200などの上位システムとの間でデータ通信を実行する。処方入力端末200は、例えば病院および老健施設などに配置される電子カルテシステム、院内または院外の薬局に配置される調剤管理システムなどである。通信IF15は、前記バーコードリーダ6等の各種の無線通信機器との間で無線データ通信を行う無線通信カードなどの無線通信インタフェースも備えている。
【0061】
通信IF15は、処方入力端末200から処方データを取得し、取得した処方データを制御部11に入力する。例えば、通信IF15は、処方入力端末200に設けられた記憶手段の所定の記憶領域に処方データが記憶されたか否かを監視しており、前記所定の記憶領域に処方データが記憶された場合に、その処方データを前記所定の記憶領域から読み出す。通信IF15は、処方入力端末200から送信された処方データを受信するものであってもよい。
【0062】
[錠剤供給ユニット2]
錠剤供給ユニット2は、錠剤カセット21・22を収容可能に構成されている。錠剤カセット21は、あらかじめ定められた特定種類の錠剤を1錠(単位量)ずつ必要量だけ払い出すことが可能である。錠剤カセット22は、必要に応じて任意の錠剤を充填して用いることができる点において、特定種類の錠剤専用の錠剤カセット21とは異なっているが、錠剤カセット21と同様に、錠剤を1錠(単位量)ずつ必要量だけ払い出すことができる。すなわち、錠剤供給ユニット2は、錠剤を自動的または半自動的に分包するために用いられる。なお、錠剤であっても、錠剤カセット21・22を用いることができない薬剤、あるいは、錠剤カセット21・22の使用が効率的ではないまたは適さない薬剤等が、後述する手撒きユニット4を使用して分包される。
【0063】
錠剤カセット21・22のそれぞれには、それぞれのカセットを識別するカセット識別情報や収容薬剤を特定する薬剤情報等を記憶するために、例えばRFIDタグ(図示せず)が付与されている。錠剤供給ユニット2には、錠剤カセット21・22のRFIDタグを読み取るためのタグリーダが設けられており、処方データにしたがって、錠剤カセット21・22から、目標の錠剤が収容されているカセットを選び出す。選び出されたカセットは、錠剤供給ユニット2内で、モータ機構等によって錠剤払出部(図示せず)まで移送され、処方データにしたがって、錠剤が必要量ずつ払い出される。なお、錠剤供給ユニット2内で錠剤カセット21・22を移送するための構成については、ここでは詳述しない。錠剤カセット21・22から払い出された錠剤は、前記の錠剤払出部から1分包分ずつ分包ユニット5へ送られて分包される。
【0064】
なお、錠剤カセット21・22を錠剤払出部まで移送する代わりに、錠剤カセット21・22は移動せず、処方データにしたがって払い出された錠剤のみが、1回の服用分ずつ(すなわち分包単位で)、分包ユニット5へ送り出される構成としても良い。
【0065】
[散薬供給ユニット3]
散薬供給ユニット3は、
図1に示すように、散薬を投入するための二つの投入部31・32を備えている。薬剤師が処方散薬の総量を計量して、投入部31・32から投入すると、散薬供給ユニット3が、これを処方データにしたがって分包単位(1回の服用量)に均等分割し、分包ユニット5へ送り出す。これにより、分包ユニット5において、散薬が1回の服用量ずつ分包される。なお、散薬供給ユニット3が処方散薬を分包単位に分割するための構成については、ここでは詳述しない。
図1では、散薬供給ユニット3において二つの投入部31・32が設けられた構成を例示したが、投入部の数は任意である。
【0066】
[手撒きユニット4]
手撒きユニット4は、例えば冷所での保管等の特別な管理が必要であったり、処方頻度が少なかったり等の理由で、錠剤カセット21・22での管理に適さない錠剤を、薬剤師が手作業で分包単位に分配するために用いられる。
図3は、手撒きユニット4が備える薬剤トレイの外観を示す斜視図である。手撒きユニット4の薬剤トレイは、
図3に示すように、マトリクス状に区分された複数のセル41を備えている。薬剤師によって、1回の服薬量の薬剤が、1つのセル41に投入される。
【0067】
図3に例示した手撒きユニット4では、6行8列で合計48個のセル41が設けられている。以下、セル41のそれぞれを区別して説明する際には、4101~4148の参照符号を用いる。なお、
図3においては、図示の簡略化のために、参照符号4101~4148の一部のみを表記している。なお、本実施形態においては、薬剤トレイにおけるセル41の個数は48個とするが、セルの個数はこの例に限定されず、任意である。
【0068】
薬剤師が、処方データにしたがってセル41へ薬剤の手撒きを完了すると、処方データで指定された用法・用量のとおりに正しく薬剤が投入されているか否かが、他の薬剤師または手撒きを行った薬剤師本人により、鑑査される。
【0069】
セル41のそれぞれの底面は、個別に開閉するように構成されている。また、手撒きユニット4は、
図2に示すように、セル41の底面の開閉を個別に制御するために、セル開閉制御部44を備えている。セル開閉制御部44は、分包ユニット5の分包処理制御部51と連動する。セル41の底面が開口すると、当該セル41内の薬剤が分包ユニット5へ送り出される。セル41の底面の開閉と、分包ユニット5の動作とは連動する。すなわち、鑑査が完了した後、薬剤師が分包処理をスタートさせるスタートボタンを操作することにより、セル41の底面が一つずつ開口して、セル41内の薬剤が分包ユニット5へ順次送り出される。分包ユニット5へ送り出された薬剤は、後に説明するように、分包ユニット5において1セル分ずつ分包される。これにより、1回の服用分ずつセル41に投入された薬剤が、分包ユニット5において個別に分包される。
【0070】
手撒きユニット4においては、
図3に示すように、それぞれのセル41の枠の一辺に、LED42が埋め込まれている。LED42は、複数色を切り替え表示することが可能である。このLED42の表示色を制御するために、
図2に示すように、手撒きユニット4はLED制御部43を備えている。LED制御部43は、処方制御ユニット1の制御部11からの指示を受けて、手撒きユニット4のLED42の発光色を制御する。このLED制御部43によるLED42の発光色制御については、後に詳述する。
【0071】
[分包ユニット5]
分包ユニット5は、錠剤供給ユニット2、散薬供給ユニット3、および手撒きユニット4から送り出されてくる薬剤を分包する。分包紙は、紙またはセロハン等を材料としており、熱圧着によって、薬剤を1回分の服薬量毎に分けて密封包装する。
【0072】
図4は、分包ユニット5から排出される薬包シート501の一例を示す図である。
図4に示すように、薬包シート501は、1回の服用量ずつ薬剤が分包された薬包502が連なった状態に形成される。薬包502の間にはミシン目503が形成されており、このミシン目503に沿って薬包502を個々に切り離すことができる。なお、
図4の例では、錠剤のみが分包された状態を例示しているが、散薬のみを分包することもできる。また、錠剤と散薬とを同じ薬包に封入することも可能である。
図4には図示していないが、薬包502の表面には、患者の氏名や顔写真、薬剤名、用法・用量等の様々な情報を印刷することが可能である。
【0073】
なお、薬剤分包装置100では、薬包シート501における薬包502の順序を、「連続」および「反復」の2種類から選択することができる。「連続」が選択されると、同じ服用時期の薬包502が連続するように薬包シート501が形成される。「反復」が選択されると、1日分の薬包502が服用時期の順に並ぶように薬包シート501が形成される。例えば、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」の3種類の服用時期について5日分が処方される場合、「連続」が選択されると、「朝食後」の薬包502が5つ連続し、その後に「昼食後」の薬包502が5つ連続し、さらにその後に「夕食後」の薬包502が5
つ連続した状態で、薬包シート501が形成される。一方、「反復」が選択されると、「朝食後」、「昼食後」、および「夕食後」のセットが5日分繰り返される順序に、薬包シート501が形成される。「連続」と「反復」のいずれを選択するかは、薬剤師が処方制御ユニット1から指定することができる。
【0074】
[バーコードリーダ6]
バーコードリーダ6は、薬品を識別するコードを読み取るものであり、薬局の薬品棚などに設けられた錠剤の収容容器(箱、瓶など)またはPTPシートなどに記載されたJANコード、RSSコード、またはQRコード(登録商標)を読み取るコード読取手段であって、例えばPDAなどの携帯端末である。なお、バーコードリーダ6は、例えば薬剤師などが薬品を保管庫から取り出す際に使用する従来周知の補助装置などであってもよい。前記補助装置は、薬剤師等が処方箋に従って薬品棚から薬品を取り出して手動で調剤する際に用いられ、例えば、前記収容容器に記載されたJANコードから薬品を読み取って、その読み取られた薬品と処方データとの照合を行う。
【0075】
バーコードリーダ6により読み取られた情報は、バーコードリーダ6から無線通信により処方制御ユニット1に入力される。このように無線通信を利用すれば、バーコードリーダ6を薬剤分包装置100または薬品棚などに自由に持ち運び可能であり、錠剤カセット22への錠剤の投入作業を任意の場所で行うことも可能となる。もちろん、バーコードリーダ6が処方制御ユニット1に有線接続されることも考えられる。なお、薬局内に薬剤分包装置100が複数台設けられる場合には、薬剤分包装置100の各々に予め対応付けられたバーコードリーダ6が個別に設けられる。
【0076】
[手撒き作業支援画面]
次に、薬剤分包装置100において手撒き作業を支援するために設けられている機能について説明する。薬剤分包装置100においては、手撒き作業が行われる際に、処方制御ユニット1と手撒きユニット4とが連動し、処方制御ユニット1のモニタ13に手撒き作業支援画面を表示すると共に、手撒きユニット4において、薬剤トレイのどのセル41にどの薬剤を投入すべきかを案内するために、LED42が点灯する。
【0077】
なお、以下では、
図5に示す内容の処方データが薬剤分包装置100へ入力されたものとして、説明を行う。
図5に示す処方データは、4種類の薬剤を、服用時期を1日4回として処方するものである。また、ここでは、15日分が処方されるものとする。したがって、この処方データにしたがって分包される薬包502の総数は60である。手撒きユニット4のセル41の数は48であって、分包される薬包502の個数よりも少ないので、この場合、2サイクルの手撒き作業が必要となる。すなわち、制御部11は、1サイクル目で48個のセルを用いて48個の薬包を分包し、2サイクル目で残りの12個の薬包を分包するように、処方制御ユニット1、手撒きユニット4、および分包ユニット5を連動させる。また、以下では、薬包シート501における薬包502の順序として、「連続」が選択されているものとする。なお、ここに示した具体的な数値(薬剤の種類、服用時期の数、処方日数、およびセルの数等)は、本発明を限定するものではなく、適宜に変更することが可能である。
【0078】
図6は、手撒き作業の開始時に、処方制御ユニット1のモニタ13に表示される手撒き作業支援画面の初期画面110である。この初期画面110は、例えば、処方入力端末200から取得した処方データに手撒き作業が必要な薬剤が含まれていることを制御部11が検出した際に、制御部11によってモニタ13に表示される。
【0079】
図6に示すように、手撒き作業支援画面は、セルイメージ領域111、薬剤リスト領域112、薬剤画像領域113、および、用量表示領域114を含む。セルイメージ領域1
11は、手撒きユニット4の薬剤トレイの複数のセル41を、実際のセル配置に対応して模式的に表したものである。すなわち、セルイメージ領域111には、手撒きユニット4のセル41と同じ個数(48個)のセル部111c01~111c48が、手撒きユニット4の薬剤トレイ上の配置と同じ行列数(6行×8列)で表示されている。なお、
図6においては、図示の簡略化のために、セル部111c01~111c48の参照符号を一部のみ表記している。手撒き作業支援画面において、セルイメージ領域のセル部111c01は、手撒きユニット4のセル4101に対応する。以下同様に、セル部111c02~111c48は、手撒きユニット4のセル4102~4148に対応する。
【0080】
初期画面110においては、セルイメージ領域111のセル部111c01~111c48は、全て同じ色(例えば白色等)に表示されており、それぞれのセルの中には何も表示されていない。また、初期画面110においては、薬剤画像領域113には何も表示されない。
【0081】
用量表示領域114は、初期画面110においては、処方データに基づいて、服用時期のみが表示される。ここでは、1日4回の服用時期のそれぞれは、用量表示領域114において、「分1 起床時」、「分2 朝食後」、「分3 昼食後」、「分4 夕食後」と表記されている。また、用量表示領域114において、「分1」の表記部分の背景色が紫色とされている。同様に、「分2」の表記部分の背景色が黄色、「分3」の表記部分の背景色が青色、「分4」の表記部分の背景色が赤色とされている。なお、1日あたりの服用回数(分数)の最大値は、この例では8であり、用量表示領域114は、「分1」~「分8」を表示可能に構成されている。
図5に示した処方データでは、服用時期が4回であるので、「分5」~「分8」の欄には何も表示されない。なお、「分1」~「分8」のそれぞれの背景色として何色を用いるかは、あらかじめ設定して記憶部12に登録しておくことができる。
【0082】
なお、
図6においては便宜上、ハッチングの線の向きによって色を表現している。すなわち、
図6においては、紫色を右下がりの斜線のハッチング領域として表現し、同様に、黄色を右上がりの斜線のハッチング領域、青色を水平線のハッチング領域、赤色を垂直線のハッチング領域、によってそれぞれ表現している。
【0083】
薬剤リスト領域112には、処方データに含まれる薬剤ごとに、薬品名欄112a、総量欄112b、錠型イメージ欄112c、およびセルパターン欄112dが含まれる。薬品名欄112aには、処方データから各薬剤の薬品名が抽出されて表示される。総量欄112bには、各薬剤の1日分の錠剤の総数が、処方データから抽出されて表示される。錠型イメージ欄112cには、各薬剤の錠型イメージが表示される。この錠型イメージの画像データは、記憶部12の医薬品マスタから取得することができる。セルパターン欄112dは、服用時期毎に分割され、服用時期毎の錠数が表示される。セルパターン欄112dにおいて、服用時期毎の錠数を表示する領域の背景色は、用量表示領域114における「分1」~「分4」の表記部分の背景色と同じ色が対応付けられている。なお、後に詳述するが、用量表示領域114の分数(「分1」~「分4」)の背景色と、薬剤リスト領域112のセルパターン欄112dの服用時期毎の背景色とは、手撒きトレイ4のLED42の発光色と対応付けられている。
【0084】
薬剤師は、薬剤リスト領域112に表示されている薬剤を、保管庫等からあらかじめ取り出しておく。薬剤師が、薬剤の容器等に付与されているバーコードを、バーコードリーダ6で読み取ると、バーコードリーダ6で読み取られたバーコード情報が、処方制御ユニット1へ送信される。処方制御ユニット1の制御部11は、ここで読み取られたデータに基づいて、バーコードリーダ6で読み取られた容器の薬剤が、処方データ上の薬剤のいずれかと一致するか否かを判断する。
【0085】
一致していることが確認されると、制御部11は、手撒き作業支援画面を、初期画面110から、選択薬剤対応画面120へ切り替える。
図7は、選択薬剤対応画面120の一例であって、
図6の初期画面110において、薬剤リスト領域112の上から2行目に表示されていた「bbbb OD錠15mg」という薬剤が選択された後の画面である。選択薬剤対応画面120では、薬剤リスト領域112において、選択されている薬剤の行の背景を他の行とは異なる色に表示すること等により、当該薬剤が選択されていることを表す。例えば、
図7の例では、薬剤リスト領域112の上から2行目の「bbbb OD錠15mg」が選択されている状態を模式的に示している。なお、選択されている薬剤を薬剤リスト領域112において判別可能とする表示態様は、このように背景色を異ならせる態様に限定されず、任意の表示態様とすることができる。
【0086】
図7に示すように、選択薬剤対応画面120においては、選択された薬剤「bbbb OD錠15mg」の画像が、薬剤画像領域113に表示されている。薬剤画像領域113に表示される画像は、薬剤の外観を表す画像であれば良い。すなわち、薬剤画像領域113に表示される画像は、薬剤のイラスト画像であっても良いし、実際の薬剤を撮影して得られた写真画像であっても良い。薬剤のイラスト画像および写真画像は、前述したように、記憶部12の医薬品マスタに登録されている。イラスト画像の場合は、薬剤を他の薬剤と識別できるように、薬剤の特徴的な形状が表現されていることが好ましい。薬剤の特徴的な形状とは、例えば、カプセル/錠剤の区別、割線の有無、刻印等が挙げられる。本実施形態では、イラスト画像と写真画像の両方が記憶部12の医薬品マスタに登録されており、イラスト画像と写真画像のいずれを表示させるかを選択することができる。
図7の例では、写真画像が選択表示されているが、薬剤画像領域113において「イラスト」のタブをクリックまたはタッチすることにより、イラスト画像に切り替えることができる。
【0087】
なお、選択薬剤対応画面120において薬剤が選択されると、制御部11が、記憶部12の医薬品マスタを照合することにより、選択された薬剤の画像を取得する。このとき、制御部11は、選択された薬剤のイラスト画像および写真画像が記憶部12の医薬品マスタに登録されていないと判定した場合は、例えば「医薬品マスタに薬剤画像が登録されていません。」といったメッセージを、薬剤画像領域113等に出力することが好ましい。このような状況は、例えば、新薬の情報が、記憶部12の医薬品マスタにまだ反映されていない時期に起こり得る。
【0088】
薬剤画像領域113に表示される画像には、
図7に示しているように、錠剤のサイズ(直径および厚さ)が併記されていることが好ましい。錠剤サイズは、記憶部12の医薬品マスタから取得することができる。このように、薬剤画像領域113に、選択された薬剤の画像が、好ましくは錠剤サイズと共に表示されることにより、薬剤師が、手撒きする薬剤が処方に合致しているか否かを目視で容易に確認することができる。
【0089】
また、薬剤が選択されると、制御部11は、処方データに基づき、用量表示領域114に、選択された薬剤の服用時期毎の用量を表示する。
図7の例では、選択された薬剤「bbbb OD錠15mg」の用量が、「分2 朝食後」に1錠、「分3 昼食後」に1錠、「分4 夕食後」に1錠であることが表示されている。
【0090】
さらに、
図7に示すように、選択薬剤対応画面120においては、セル選択された薬剤「bbbb OD錠15mg」イメージ領域111のセル部111c01~111c48のそれぞれが、選択されている薬剤の服用時期に応じて、手撒きユニット4のセル41と同じ色で表示されるよう、制御部11が処方データに基づいて制御を行う。すなわち、「bbbb OD錠15mg」の場合、
図5に示すように、「起床時」は0錠、「朝食後」に1錠、「昼食後」に1錠、および「夕食後」に1錠を服用するよう処方データに規定さ
れている。
【0091】
このため、制御部11は、手撒きユニット4のLED制御部43へ指示を送って、「朝食後」の15日分に相当するセル4116~4130のLED42を黄色に表示させる。また、制御部11は、セルイメージ領域111において、セル4116~4130に対応するセル部111c16~111c30については、これらのセル部の枠を黄色に表示する。また、制御部11は、セル部111c16~111c30の枠内に、セル4116~4130に投入すべき錠剤数「1」を表示する。
【0092】
同様に、制御部11は、手撒きユニット4のLED制御部43へ指示を送って、「昼食後」の15日分に相当するセル4131~4145のLED42を青色に表示させる。また、制御部11は、セルイメージ領域111において、セル4131~4145に対応するセル部111c31~111c45については、これらのセル部の枠を青色に表示する。また、制御部11は、セル部111c31~111c45の枠内に、セル4131~4145に投入すべき錠剤数「1」を表示する。
【0093】
同様に、制御部11は、手撒きユニット4のLED制御部43へ指示を送って、「夕食後」の3日分に相当するセル4146~4148のLED42を赤色に表示させる。また、制御部11は、セルイメージ領域111において、セル4146~4148に対応するセル部111c46~111c48については、これらのセル部の枠を赤色に表示する。また、制御部11は、セル部111c46~111c48の枠内に、セル4146~4148に投入すべき錠剤数「1」を表示する。
【0094】
一方、「起床時」の15日分に相当するセル4101~4115については、選択薬剤である「bbbb OD錠15mg」の投入対象ではない。したがって、制御部11は、セルイメージ領域111において、これらのセルに対応するセル部111c01~111c15については、黒色または灰色のような暗い色で表示する。なお、このとき、投入対象ではないセル4101~4115については、LED42を消灯することが好ましい。
【0095】
このように、選択薬剤対応画面120では、セルイメージ領域111において、選択された薬剤である「bbbb OD錠15mg」を投入すべきセル41に対応するセル部111cの枠が、該当する服用時期を表す色で表示される。この色は、対応するセル41のLED42の表示色と同じ色である。また、選択薬剤対応画面120では、各セルに投入すべき錠剤の数も合わせて表示される。これにより、薬剤師は、選択薬剤対応画面120を見ながら、同じ色で表示されているセル41へ、選択薬剤対応画面120で指定された数だけ選択薬剤を投入すれば良い。したがって、複数のセル41のうちのどのセルに何錠投入すれば良いかを目視で確認しながら作業をすることが可能となり、調剤ミスの発生を防止することができる。
【0096】
このようにして、48個のセル41のうち必要なセルに対して「bbbb OD錠15mg」の投入が完了すると、薬剤師は、保管庫から取り出してきた薬剤のうち、他の薬剤の容器のバーコードをバーコードリーダ6で読み取る。これにより、他の薬剤が選択され、当該薬剤についての選択薬剤対応画面が表示される。
【0097】
例えば、薬剤リスト領域112の1行目に表示されている「aaaaカプセル0.75μg」という薬剤が選択された後に表示される選択薬剤対応画面130を
図8に示す。この「aaaaカプセル0.75μg」は、
図5に示すように、「起床時」は1錠、「朝食後」に0錠、「昼食後」に0錠、および「夕食後」に0錠を服用するよう処方データに規定されている。
【0098】
このため、制御部11は、手撒きユニット4のLED制御部43へ指示を送って、「起床時」の15日分に相当するセル4101~4115のLED42を紫色に表示させる。また、制御部11は、セルイメージ領域111において、セル4101~4115に対応するセル部111c01~111c15については、これらのセル部の枠を紫に表示する。また、制御部11は、セル部111c01~111c15の枠内に、セル4101~4115に投入すべき錠剤数「1」を表示する。
【0099】
一方、「朝食後」の15日分に相当するセル4116~4130、「昼食後」の15日分に相当するセル4131~4145、「夕食後」の3日分に相当するセル4146~4148については、選択薬剤である「aaaaカプセル0.75μg」の投入対象ではない。したがって、制御部11は、セルイメージ領域111において、これらのセルに対応するセル部111c16~111c48については、黒色または灰色のような暗い色で表示する。
【0100】
また、選択薬剤対応画面130においては、先に投入が完了している「bbbb OD錠15mg」については、制御部11が、薬剤リスト領域112におけるこの薬剤の行をグレーアウト(暗く表示)している。このように、手撒き作業が完了している薬剤については、薬剤リスト領域112においてグレーアウト表示することにより、薬剤師が、手撒き作業が完了している薬剤と完了していない薬剤とを容易に見分けることができる。
【0101】
以上と同様の手順により、処方データに含まれている4種類の薬剤すべての手撒き作業を完了すると、他の薬剤師または手撒き作業を行った薬剤師本人によって、鑑査が行われる。鑑査とは、処方どおりに調剤されていることを確認する手続きである。鑑査が完了すると、薬剤師は、分包ユニット5による分包処理をスタートさせるための分包スタートボタンを押下する。この分包スタートボタンは、モニタ13上の手撒き作業支援画面に組み込まれていても良いし、薬剤分包装置100の操作盤に設けられていても良い。
【0102】
この分包スタートボタンが押下されると、制御部11は、モニタ13における2サイクル目の手撒き作業支援画面の表示を可能とする。すなわち、分包スタートボタンが押下される前は、2サイクル目の手撒き作業支援画面への画面遷移は不可能とされている。これにより、1サイクル目に投入された薬剤に、誤って2サイクル目の薬剤が投入されてしまうことを防止することができる。さらに、1つのサイクルの手撒き作業が完了して分包スタートボタンが押下され、次サイクルの手撒き作業支援画面が表示された後は、前の手撒き作業支援画面への画面遷移はできない構成となっている。これにより、例えば、1サイクル目の手撒き作業が完了して2サイクル目の手撒き作業を行っている間に、誤って1サイクル目の薬剤が投入されてしまうことを防止することができる。
【0103】
また、分包スタートボタンが押下されると、前述したように、手撒きユニット4のセル4101~4148の底面がこの順に開口することにより、セル4101~4148内の薬剤が分包ユニット5に1薬包分ずつ送り出され、分包ユニット5において分包される。
【0104】
分包ユニット5において48個の薬包502の分包処理が開始されると、分包ユニット5の分包処理制御部は、1サイクル目の分包処理が開始された旨の信号を制御部11へ送る。制御部11は、この信号を受信すると、処方データに基づいて、2サイクル目の手撒き作業支援画面を、モニタ13へ表示する。すなわち、1サイクル目の手撒き作業によって、「起床時」の15日分、「朝食後」の15日分、「昼食後」の15日分、および「夕食後」の3日分の合計48個の薬包502が分包されたので、2サイクル目の手撒き作業によって、残りの「夕食後」の12日分の薬剤をセル41に投入する。
【0105】
図9は、2サイクル目の手撒き作業においてモニタ13に表示される手撒き作業支援画
面(選択薬剤対応画面140)を示す。
図9は、
図7と同様に、「bbbb OD錠15mg」が選択されている状態である。2サイクル目の手撒き作業において、「bbbb OD錠15mg」が選択された場合の選択薬剤対応画面140は、セルイメージ領域111の表示を除けば
図7に示した選択薬剤対応画面120と同様である。選択薬剤対応画面140のセルイメージ領域111には、セル部111c01~111c12の枠が「夕食後」に対応した赤色に表示され、投入すべき錠数として「1」が表示される。また、
図9の選択薬剤対応画面140においては、画面の左下に手撒き作業が2サイクル目であることを表す「2/2撒き目です。」というメッセージが表示されている。一方、
図7の選択薬剤対応画面120には、手撒き作業が1サイクル目であることを表す「1/2撒き目です。」というメッセージが表示されている。これにより、薬剤師は、手撒き作業の進捗状況を正しく把握することができる。
【0106】
ここで、
図10を参照しながら、制御部11が制御する薬剤分包処理の流れについて説明する。
図10は、薬剤分包処理の主要な動作の流れを示すフローチャートである。
図10に示すように、制御部11は、処方データを取得すると(ステップS1)、取得した処方データに基づいて、モニタ13に、手撒き作業支援画面の初期画面110を表示する(ステップS2)。
【0107】
そして、制御部11が、バーコードリーダ6によって読み取られた薬剤容器のバーコード情報を取得した場合は(ステップS3)、このバーコード情報が示す薬剤が、処方データに含まれている薬剤と一致するか否かを判断する(ステップS4)。ステップS4において一致しないと判断された場合は、エラーが通知される。ステップS4において一致すると判断された場合、制御部11は、バーコード情報が示す薬剤が選択されたものとして、その薬剤についての選択薬剤対応画面をモニタ13に表示する(ステップS5)。また、ステップS5においては、制御部11は、手撒きユニット4のLED制御部43へ指示を送り、選択された薬剤を投入すべきセル41のLED42に、服用時期毎に定められている色を表示させる。なお、前記選択薬剤対応画面においては、前述したように、セルイメージ領域111のセル部111cは、対応するセル41のLED42の表示色と同じ色で表示される。また、選択薬剤対応画面においては、前述したように、セルイメージ領域111のセル部111cには、対応するセル41へ投入すべき錠数が表示される。
【0108】
その後、制御部11の制御は、ステップS3へ戻り、以上の処理が繰り返される。
【0109】
また、ステップS3において、制御部11が、分包スタートボタンが押下されたことを検知した場合は、制御部11は、分包ユニット5に対して、分包処理の開始を指示する(ステップS6)。そして、制御部11は、処方データに基づいて、次のサイクルの手撒き作業が存在するか否かを判断し(ステップS7)、次のサイクルの手撒き作業が存在する場合は、次のサイクルに対応する手撒き作業支援画面をモニタ13へ表示して(ステップS8)、ステップS3へ戻る。ステップS7において次のサイクルの手撒き作業が存在しない場合は、処理を終了する。
【0110】
以上のとおり、第1の実施形態では、処方制御ユニット1の制御部11が、手撒きユニット4のセル41のLED42を、服用時期毎に異なる色を表示させ、モニタ13の手撒き作業支援画面内に、セル41の実際の配置に即したセルイメージ領域111を表示し、このセルイメージ領域111において、薬剤を投入すべきセル部111cを、対応するセル41と同じ色で表示する。これにより、複数の薬剤を処方する場合に、それぞれの薬剤を複数のセル41のうちどのセルに投入すれば良いかを確認しながら作業することができる。
【0111】
また、制御部11により、セルイメージ領域111の各セル部111cには、対応する
セル41に投入すべき錠剤の数が表示される。これにより、各セル41に投入する錠剤の数を容易にかつ確実に確認することが可能となる。
【0112】
さらに、制御部11により、手撒き作業支援画面内の薬剤画像領域113に、手撒き作業を行う薬剤の画像が表示される。これにより、セル41に投入すべき薬剤と、保管庫から取り出してきた薬剤との照合をより確実に行うことができる。
【0113】
なお、上記の具体例においては、薬包シート501における薬包502の順序として、「連続」が選択されているものとして説明を行った。これに対して、薬包シート501における薬包502の順序として、「反復」が選択されている場合は、例えば、
図7に示した選択薬剤対応画面120におけるセルイメージ領域111の表示態様は、
図11に示すようになる。
【0114】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について、以下に説明する。なお、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、詳細な説明を省略する。
【0115】
第2の実施形態は、制御部11が、手撒き作業支援画面において、分包イメージを表示する点において、第1の実施形態と異なっている。
図12は、本実施形態にかかる手撒き作業支援画面の初期画面210において、分包イメージ領域211が表示されている態様を示す図である。なお、この第2の実施形態においても、処方データは、第1の実施形態において
図5に示したものと同じであるものとして、説明を行う。
【0116】
この初期画面210は、第1の実施形態で説明した初期画面110と同様に、処方データが入力された際に、制御部11が処方データに基づいてモニタ13に表示する画面である。また、初期画面210においては、初期画面110と同様に、まだいずれの薬剤も選択されていない状態である。
【0117】
初期画面210の分包イメージ領域211は、
図12に示すように、服用時期毎に枠が設けられ、それぞれの枠内に、服用時期毎に投入されるべき薬剤の総数を、薬剤の画像によって表示するものである。
図12の例では、「起床時」には「aaaaカプセル0.75μg」が1錠と、「ddddソフトカプセル200mg」が1錠の合計2錠が処方されているので、分包イメージ領域211の「起床時」の欄211aに、これらの錠剤のイラスト画像が表示されている。また、「朝食後」には、「bbbb OD錠15mg」が1錠、「cccc錠2.5mg」が1錠、「ddddソフトカプセル200mg」が1錠の合計3錠が処方されているので、分包イメージ領域211の「朝食後」の欄211bに、これらの錠剤のイラスト画像が表示されている。分包イメージ領域211の「昼食後」の欄211cおよび「夕食後」の欄211dについても同様である。
【0118】
分包イメージ領域211に表示する錠剤のイラスト画像は、制御部11が、処方データに基づいて、記憶部12の医薬品マスタ等から取得することができる。なお、ここでは、分包イメージ領域211にイラスト画像を表示する例を示しているが、イラスト画像ではなく、薬剤の写真画像を表示しても良い。なお、0.5錠や0.25錠単位等での処方がなされる錠剤については、0.5錠や0.25錠に割られた様子を表す画像(イラスト画像または写真画像)を、前記医薬品マスタにあらかじめ登録しておいて使用することが好ましい。
【0119】
また、服用回数が多い場合には、
図12において分包イメージ領域211の右横に表示されているスクロールボタン211eをクリックまたはタッチすることにより、分包イメ
ージ領域211内で表示内容がスクロールする。例えば、
図12に示した例では、4回分の処方が表示されているが、服薬タイミングが5回以上である場合、スクロールボタン211eをクリックすることにより、
図12では表示されていない服薬タイミング(例えば「就寝前」等)の処方内容を表示させることができる。
【0120】
また、1回の服用回数に対して処方される薬剤の錠数が多くて全体を表示できない場合は、分包イメージ領域211の欄211a~211dのそれぞれの枠内にスクロールボタンを設けて、枠内で表示内容をスクロールさせることができるようにしても良い。
【0121】
このように、分包イメージ領域211に、服用時期毎にセル41に投入されるべき薬剤の総数を、薬剤の画像によって表示することにより、目視による鑑査が容易になるという利点がある。
【0122】
また、初期画面210が表示された状態から、いずれかの薬剤が選択されると、制御部11は、
図13に示すような選択薬剤対応画面220に表示を切り替える。
図13の例では、「bbbb OD錠15mg」が選択されている。選択薬剤対応画面220においては、
図13に示すように、選択された薬剤「bbbb OD錠15mg」のみの画像を、分包イメージ領域211に服用期間毎に表示する。これにより、いずれかの薬剤を選択して手撒き作業を行っている間、服用期間毎に各セルに何錠を投入すれば良いかを、容易に確認することができる。
【0123】
なお、
図13に示す選択薬剤対応画面220において、右下に表示されている「選択解除」ボタン220aがクリックまたはタッチされると、制御部11は、モニタ13の表示を、
図12に示す初期画面210に戻す。これにより、薬剤師はいつでも、手撒き作業が完了した状態を確認することができる。
【0124】
また、このように、選択薬剤対応画面220から初期画面210へ戻った際に、制御部11が、既に手撒き作業が完了している薬剤の画像については、分包イメージ領域211内でグレーアウト表示するようにしても良い。これにより、手撒きが完了している薬剤と、完了していない薬剤とが区別可能に表示されるので、薬剤師が手撒き作業の進捗状況を確認しやすいという利点がある。
【0125】
なお、上記の具体例では、分包イメージ領域211に錠剤のイラスト画像が表示されるものとしたが、記憶部12の医薬品マスタに錠剤の写真画像が登録されている場合は、イラスト画像の代わりに写真画像を用いるようにしても良い。
【0126】
また、
図12に示す初期画面210において、薬剤リスト領域112においていずれの薬剤も選択されていない状態において、分包イメージ領域211の欄211a~211dに対するタッチ操作等によっていずれかの服用時期が選択されると、制御部11が、
図14に示すような、選択された服用時期に対応する薬剤の情報を表示する服用時期対応画面230を表示するようにしても良い。
【0127】
服用時期対応画面230では、セルイメージ領域111において、選択された服用時期に対応する薬剤を投入すべきセルに対応するセル部111cのみが、色付きで表示される。また、色付きで表示されたセル部111cに、当該服用時期について処方される薬剤の錠数の合計数が表示される。なお、選択された服用時期に対応するセルの色付き表示と、錠数の合計数の表示とは、いずれか一方のみを行うようにしても良い。
【0128】
例えば、
図14に示した服用時期対応画面230は、
図12に示す初期画面210において、「起床時」の欄211aがタッチ操作で選択された場合の画面である。
図14の例
では、分包イメージ領域211において、選択された「起床時」の欄211aを囲む太枠により、この服用時期が選択されたことを表している。しかし、表示態様はこれに限定されず、例えば、選択された「起床時」の欄211aのみを目立つ色でハイライト表示したり、または、選択されていない服用時期の欄211b~211dを、非選択であることがわかるように、グレーアウト表示したりしても良い。
【0129】
図14に示す例では、セルイメージ領域111において、「起床時」の薬剤が投入されるべきセル部111c01~111c15の枠が色付き(例えば紫)で表示される。そして、これとは区別可能とするために、それ以外のセル部111c16~111c48については、黒色または灰色のような暗い色で表示する。
【0130】
また、
図14に示す例では、選択された「起床時」について処方される薬剤は、「aaaaカプセル0.75μg」が1錠と、「ddddソフトカプセル200mg」が1錠の合計2錠である。したがって、「起床時」の薬剤が投入されるべきセル部111c01~111c15には、「起床時」について処方される薬剤の錠剤数の総数である「2」が表示されている。
【0131】
なお、薬剤リスト領域112において、選択された服用時期に処方されない薬剤については、
図14に示すようにグレーアウト表示されていることが好ましい。
【0132】
このように、手撒き作業が完了した後、あるいは、手撒き作業の途中で、服用時期毎の処方(錠剤の種類や総数)を確認したい場合に、薬剤リスト領域112においていずれの薬剤も選択されていない状態で、分包イメージ領域211において所望の服用時期をタッチ操作で選択するだけで良い。
【0133】
また、服用時期対応画面230において、薬剤リスト領域112でいずれかの薬剤を選択すると、セルイメージ領域111のセル部111c01~111c15の表示が切り替わり、選択された薬剤の投与錠数のみが表示されるようにすることが好ましい。例えば、
図15に示す例では、「起床時」について処方される薬剤のうち、「aaaaカプセル0.75μg」が薬剤リスト領域112において選択されたことにより、セル部111c01~111c15内に、この薬剤の処方数である「1」が表示されている。これにより、手撒き作業が完了した後、あるいは、手撒き作業の途中で、服用時期毎の特定の薬剤の処方数を、目視で容易に確認することが可能となる。
【0134】
なお、服用時期対応画面230において、薬剤リスト領域112でいずれかの薬剤を選択した場合に、分包イメージ領域211においても、選択された薬剤の画像のみをハイライト表示したり、選択されていない薬剤の画像をグレーアウト表示したりしても良い。
【0135】
以上のように、第2の実施形態においては、手撒き作業支援画面において、服用時期のそれぞれに対して処方される錠剤の総数を画像で示す分包イメージ領域211が表示される。これにより、この分包イメージ領域211内の画像を見ながら手撒き作業を行うことにより、各服用時期に対して投入すべき錠剤の種類と数を、目視で容易に確認することができる。また、手撒き作業が完了した後の鑑査が容易になるという利点もある。
【0136】
さらに、分包イメージ領域211に対するタッチ操作等によっていずれかの服用時期が選択されると、選択された服用時期に対応するセル部のみをセルイメージ領域において色付き表示とし、かつ、当該服用時期について処方される錠剤の総数をセル部内に表示する。これにより、手撒き作業を行う薬剤師は、それぞれの服用時期について、どのセルに何錠が投与されていれば良いかを、容易に確認することができる。
【0137】
また、第2の実施形態を以下のように変形して実施することも可能である。
【0138】
[変形例]
第2の実施形態の変形例においては、初期画面210(
図12参照)が表示された状態から、薬剤リスト領域112からいずれかの薬剤が選択されると、制御部11は、
図16に示すような選択薬剤対応画面220に表示を切り替える。すなわち、
図12に示した初期画面210が表示された状態において、「bbbb OD錠15mg」が選択されると、選択薬剤対応画面220においては、
図16に示すように、処方データに含まれるすべての薬剤のうち、選択された薬剤「bbbb OD錠15mg」の画像のみが、分包イメージ領域211においてハイライト表示(
図16において符号211Hを付した部分)される。なお、
図16においては、分包イメージ領域211においてハイライト表示されている箇所(211H)をハッチングで表しているが、実際の画面では、当該箇所は、例えば、背景色を黄色等の目立つ色で表示すること等によって、ハイライト表示がなされる。
【0139】
したがって、
図16の選択薬剤対応画面220によれば、起床時、直食後、昼食後、夕食後のそれぞれの服薬タイミングについて処方すべき薬剤の種類と数とを確認することができる。それと共に、現在手撒き作業を行っている薬剤の種類と数とがハイライト表示されるので、作業の進捗を確認しつつ、現在の手撒き作業で投入すべき錠剤の種類と数を、目視で容易に確認することができる。
【0140】
また、この変形例において、薬剤師が、手撒きしようとする薬剤を薬剤リスト領域112から選択し、その薬剤の容器等に付与されているバーコードをバーコードリーダ6で読み取ると、制御部11は、薬剤リスト領域112で選択された薬剤と、バーコードリーダ6で読み取られた薬剤とが一致した場合、
図17に示すように、分包イメージ領域211において、当該薬剤の画像にチェックマークを付与して表示する。
【0141】
このチェックマークは、薬剤リスト領域112で他の薬剤が選択された後も消えずに継続して表示される。したがって、処方データに含まれるすべての薬剤について手撒き作業が正しく行われた場合は、作業完了時には、すべての薬剤に対してチェックマークが付与されているはずである。これにより、処方漏れがないかを目視で容易に確認することができる。
【0142】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る薬剤分包装置は、第1の実施形態または第2の実施形態の薬剤分包装置において、手撒き薬剤のバーコード照合に関する機能を充実させたものである。すなわち、第3の実施形態に係る薬剤分包装置は、処方データに含まれる手撒き薬剤のすべてについてバーコード照合を完了していなければ分包を開始することができない「照合必須モード」を有している。以下、本実施形態に係る薬剤分包装置の動作について、説明する。
【0143】
図18は、第3の実施形態に係る薬剤分包装置において、動作モードが照合必須モードである場合の動作を示すフローチャートである。
図18に示すように、第3の実施形態に係る薬剤分包装置においては、制御部11が、バーコードリーダ6によって読み取られた薬剤容器のバーコード情報を取得した場合は(ステップS13)、このバーコード情報が示す薬剤が、処方データに含まれている薬剤と一致するか否かを判断する(ステップS14)。ステップS14において一致しないと判断された場合は、エラーが通知される。ステップS14において一致すると判断された場合、制御部11は、バーコード情報が示す薬剤が選択されたものとして、その薬剤についての選択薬剤対応画面をモニタ13に表示する(ステップS15)。また、ステップS15においては、制御部11は、手撒きユニット4のLED制御部43へ指示を送り、選択された薬剤を投入すべきセル41のLED
42に、服用時期毎に定められている色を表示させる。なお、前記選択薬剤対応画面においては、前述したように、セルイメージ領域111のセル部111cは、対応するセル41のLED42の表示色と同じ色で表示される。また、選択薬剤対応画面においては、前述したように、セルイメージ領域111のセル部111cには、対応するセル41へ投入すべき錠数が表示される。
【0144】
次に、制御部11は、現在の手撒き作業の処方オーダに含まれている手撒き薬剤の全てについて、ステップS14のバーコード照合処理が完了しているか否かを判断する(ステップS16)。手撒き薬剤の全てについてバーコード照合処理が完了していれば、制御部11は、分包スタートボタンをアクティブ化する(ステップS17)。この分包スタートボタンは、モニタ13上の手撒き作業支援画面に組み込まれていても良いし、薬剤分包装置100の操作盤に設けられていても良い。第3の実施形態の薬剤分包装置においては、照合必須モードが選択されている場合、制御部11がステップS17においてこの分包スタートボタンをアクティブ化しなければ、分包スタートボタンに対する操作は受け付けられない。
【0145】
そして、ステップS18において、制御部11が、分包スタートボタンが押下されたことを検知した場合は、制御部11は、分包ユニット5に対して、分包処理の開始を指示する(ステップS19)。そして、制御部11は、処方データに基づいて、次のサイクルの手撒き作業が存在するか否かを判断し(ステップS20)、次のサイクルの手撒き作業が存在する場合は、次のサイクルに対応する手撒き作業支援画面をモニタ13へ表示して(ステップS21)、ステップS13へ戻る。ステップS20において次のサイクルの手撒き作業が存在しない場合は、処理を終了する。ステップS19~S21の処理は、
図10のステップS6~S8と同じである。
【0146】
このように、処方データに含まれる手撒き薬剤の全てについてバーコード照合が実行されたことを確認するまでは分包スタートボタンをアクティブ化しないことにより、調剤過誤を効果的に防止することができる。
【0147】
なお、上述の照合必須モードにおいても、バーコード照合処理を実施しなかったログを記録する所定の手順を踏むことにより、バーコード照合処理をスキップできる構成としても良い。この場合、ログデータとして、日時、処方ID、未照合薬剤、および、作業を行った薬剤師のユーザーIDが、薬剤分包装置の記憶部12に記録される。
【0148】
この所定の手順の一例を以下に説明する。例えば、処方データに手撒き薬剤が含まれている場合は、例えば、
図19に示すような分包モニタ画面が表示される。ここで、薬剤師が、手撒き薬剤の薬剤名欄を選択すると(
図19の例では、一番上に表示された「bbbb OD錠15mg」の薬剤名欄301が選択されているものとする。)、モニタ13の表示画面は、例えば
図20に示すようなLEDアシスト画面に遷移する。なお、分包モニタ画面において手撒き薬剤が複数表示されている場合は、薬剤師は任意の薬品名欄を選択することができる。
【0149】
次に表示されるLEDアシスト画面300(
図20参照)では、薬剤リスト領域112が表示されると共に、選択された手撒き薬剤「bbbb OD錠15mg」の画像が薬剤画像領域113に表示されている。また、セルイメージ領域111において、この手撒き薬剤を投入するセル41が色分け表示され、各セルに投入すべき錠数が表示される。この点は、第1および第2の実施形態で説明したとおりである。なお、
図20においては、LEDアシスト画面300が、第2の実施形態で説明した分包イメージ領域211を含んでいるが、分包イメージ領域211が含まれない表示態様としても良い。
【0150】
また、
図20に示すLEDアシスト画面300には、照合スキップボタン220bが表示されている。また、照合必須モードで動作中であることを表す「照合必須モード」表示欄220cも含まれている。
【0151】
薬剤師は、この手撒き薬剤「bbbb OD錠15mg」のバーコード照合処理をスキップしたい場合は、照合スキップボタン220bを押下する。すると、モニタ13の表示画面は、
図21に示すような未照合履歴登録画面に遷移する。未照合履歴登録画面では、薬剤師が照合スキップボタン220bを押下した薬剤名と共に、バーコード照合処理をスキップして良いかを問うメッセージが表示される。この未照合履歴登録画面において、薬剤師は、ユーザー名入力欄311に自分のユーザーIDを入力してOKボタン312を押下することにより、未照合履歴登録画面に表示された薬剤のバーコード照合処理をスキップしたというログを残すことができる。すなわち、以上の手順により、薬剤分包装置の記憶部12に、OKボタン312を押下した日時、バーコード照合処理をスキップした薬剤名、処方データを特定する処方ID、および、薬剤師を特定するユーザーIDが、ログとして記録される。
【0152】
なお、薬剤師毎に、バーコード照合処理をスキップする権限を持たせるか否かをあらかじめ薬剤分包装置に登録しておくことも可能である。この場合は、記憶部12に、ユーザーID毎に、バーコード照合処理をスキップする権限の有無を登録しておけば良い。そして、OKボタン312が押下されたときに、ユーザー名入力欄311に入力されたユーザーIDにバーコード照合処理のスキップ権限が与えられているかを確認し、権限が無いユーザーIDの場合はエラーメッセージを出力するようにすれば良い。
【0153】
このようにバーコード照合処理をスキップ可能とした場合は、
図18のフローチャートにおけるステップS16の処理を、処方データに含まれる手撒き薬剤の全てについて、バーコード照合処理が完了しているか、または、バーコード照合処理をスキップした旨のログが記憶部12に残されているか、を確認する処理に変更すれば良い。
【0154】
以上のように、第3の実施形態によれば、処方データに含まれる全ての手撒き薬剤について、バーコード照合処理が完了するか、または、バーコード照合処理をスキップした旨のログが記憶部12に残されているか、のいずれかの条件が満たされなければ分包を開始することができない。これにより、調剤過誤を効果的に防止することが可能となる。
【0155】
なお、上記の具体例においては、処方データに含まれる全ての手撒き薬剤について、バーコード照合処理が完了するか、または、バーコード照合処理をスキップした旨のログが記憶部12に残されているか、のいずれかの条件が満たされた後、すなわち手撒き作業の正常終了が確認された後、に続行される後続処理の一例として、分包処理を例示した。ただし、後続処理は分包処理に限定されず、他の任意の処理であっても良い。
【0156】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記で説明した態様に限定されず、種々の変更が可能である。
【0157】
例えば、上記の実施形態においては、錠剤供給ユニット2、散薬供給ユニット3、および分包ユニット5を備えた薬剤分包装置として本発明を実施する態様を説明した。しかし、上述した構成要素のうち、錠剤供給ユニット2、散薬供給ユニット3、および分包ユニット5の少なくとも一つは省略可能である。最もシンプルな構成としては、錠剤供給ユニット、散薬供給ユニット、および分包ユニットのいずれも備えておらず、手撒きのみを行う薬剤手撒き装置として本発明を実施することも可能である。
【0158】
また、処方制御ユニット1の記憶部12に医薬品マスタが格納されている構成を例示したが、通信IFおよび外部ネットワーク等を介して、装置外部にある医薬品マスタにアクセス可能な構成としても良い。
【0159】
また、上記の実施形態においては、錠剤の容器やPTPシート等から薬品を識別するコードを読み取る手段としてバーコードリーダ6を備え、読み取ったバーコードの情報に基づいて、手撒き薬剤が処方データと合致しているかを照合する構成を例示した。しかし、薬品を識別するコードの担持体はバーコードに限定されず、それを読み取る手段もバーコードリーダに限定されない。薬品を識別するコードは、電気的、磁気的、または光学的に読み取ることが可能な任意の担持体によって薬品容器等に付属させることができ、これを読み取る手段も当該コードの特性に応じて適宜に設計すれば良い。
【0160】
また、上記の実施形態においては、1サイクルの手撒き作業が完了してから、すなわち、分包すべき薬剤をトレイのセルにすべて撒き終わってから、鑑査を行って分包を開始させる構成を例示した。しかし、手撒きユニット4のセル41のそれぞれの下に待機セルを備えた構成とし、次のような制御を行うことも可能である。すなわち、1種類の薬剤を撒き終わるごとに鑑査を行い、鑑査が終わって次に手撒きする薬剤が、薬剤師によって薬剤リスト領域112において選択されたときに、セル開閉制御部44が、複数のセル41の底面を開口する。これにより、セル41内に撒かれた薬剤は、1種類ずつ、鑑査が終わるごとに待機セルへ送り込まれる。そして、1サイクル分の薬剤の手撒きが完了してから、分包処理をスタートさせるためのスタートボタンが操作されると、待機マス内の薬剤が分包ユニット5へ送り出される。この構成および制御によれば、手撒きする薬剤について1種類ずつ鑑査を行うことが容易となる。
【0161】
また、上述のように待機セルを備えた構成において、少なくとも1種類の薬剤を撒き終わるごとに鑑査を行い、鑑査が終わった後に、薬剤師による所定の操作にしたがって、セル開閉制御部44が複数のセル41の底面を開口するようにしても良い。ここで、「所定の操作」とは、例えば、セル開閉ボタン等の操作である。この構成において、セル41に手撒きされた錠剤が待機セルへ送り込まれた後、制御部11は、それまでに選択された薬剤の画像については、分包イメージ領域211に表示しないようにする。この構成によれば、手撒き作業と鑑査が終わった薬剤については、分包イメージ領域211に画像が表示されない。つまり、分包イメージ領域211には、その後の手撒き作業に必要な薬剤の画像のみが表示されることとなる。これにより、手撒き作業時の目視による確認を、より容易にすることができる。
【0162】
なお、上記の実施形態で開示した薬剤リスト領域112および用量表示領域114は必須ではない。例えば、上記の実施形態では、薬剤リスト領域112において薬剤の選択を行う構成を例示した。しかし、薬剤リスト領域112を省略し、バーコードリーダ6による薬剤の容器等からのバーコード読み取りによって、薬剤の選択を行う構成としても良い。
【0163】
また、上記の実施形態においては、手撒きユニットのトレイに、複数のセルの各々に対応して設けられて複数色を切り替え表示可能な発光部を備えると共に、この発光部の色に対応させて、手撒き作業支援画面のセルイメージ領域のセル部の色を切り替え表示する構成を例示した。しかし、この発光部を省略し、手撒き作業支援画面におけるセル部の色の切り替え表示も省略した構成としても良い。
【0164】
さらに、第3の実施形態は、第1または第2の実施形態の変形例として、手撒きユニット4がセル41のそれぞれに対してLED42を備え、セルイメージ領域111と薬剤画像領域113等がモニタ13に表示される構成を前提として、バーコード照合処理が完了
しなければ分包スタートボタンを操作できない構成を例示した。ただし、手撒きユニット4のLED42や、モニタ13に表示されるセルイメージ領域111および薬剤画像領域113等は、第3の実施形態にとって必須の構成ではない。すなわち、第3の実施形態に関しては、手撒き作業を行う任意の薬剤分包装置において、手撒き薬剤の容器やPTPシート等から薬品を識別するコードを読み取る手段を備え、読み取ったコードの情報に基づいて、手撒き薬剤が処方データと合致しているかを照合する構成を備え、処方データに含まれる全ての手撒き薬剤について照合処理が完了していなければ、あるいは、所定の手順にしたがって照合処理がスキップされた記録が残されていなければ、分包等の後続処理を開始できない装置として、一つの発明を把握することができる。
【0165】
例えば、以下の要素を備えた構成(付記1~2)を、本願に開示された発明として把握することができる。
【0166】
[付記1]
複数のセルに区切られ、前記複数のセルの各々に薬剤が投入されるトレイと、処方データに基づいて作業支援画面を表示するモニタと、前記モニタを制御する制御部とを備えた薬剤手撒き装置であって、
前記作業支援画面は、前記トレイの前記複数のセルをセル配置に対応して模式的に表したセルイメージを表示するセルイメージ領域と、薬剤の外観画像を表示する薬剤画像領域とを含み、
前記制御部は、前記処方データに基づいて、前記セルイメージにおいて、前記複数のセルのうち所定の薬剤を投入すべきセル内に、当該セルに投入すべき錠数を表示し、
前記制御部は、前記処方データに基づいて、前記トレイに投入すべき薬剤の外観画像を前記薬剤画像領域に表示する、薬剤手撒き装置。
【0167】
上記の付記1に係る発明によれば、作業支援画面において、トレイの複数のセルをセル配置に対応して模式的に表したセルイメージが、複数のセルのそれぞれに投入すべき薬剤の錠数と、その薬剤の外観画像を伴って表示される。これにより、誤ったセルに薬剤を投入したり、投入すべき錠剤の数を誤ったりするという人為的ミスを、効果的に防止することができる。
【0168】
[付記2]
複数のセルに区切られ、前記複数のセルの各々に薬剤が投入されるトレイと、処方データに基づいて作業支援画面を表示するモニタと、前記モニタを制御する制御部とを備えた薬剤手撒き装置であって、
各服用日の同じ服用時期の薬包が連続するように薬包シートを形成する連続モードと、1日分の薬包が服用時期の順に並ぶように薬包シートが形成される反復モードとのいずれかを選択させる選択手段をさらに備え、
前記作業支援画面は、前記トレイの前記複数のセルをセル配置に対応して模式的に表したセルイメージを表示するセルイメージ領域と、薬剤の外観画像を表示する薬剤画像領域とを含み、
前記制御部は、前記処方データに基づいて、前記セルイメージにおいて、前記連続モードが選択された場合は同一服用時期のセルが処方日数分連続して割り当てられるように、前記反復モードが選択された場合は1日分の服用時期が処方日数分繰り返して割り当てられるように、前記複数のセルのうち所定の薬剤を投入すべきセル内に、当該セルに投入すべき錠数を表示し、
前記制御部は、前記処方データに基づいて、前記トレイに投入すべき薬剤の外観画像を前記薬剤画像領域に表示する、薬剤手撒き装置。
【0169】
上記の付記2に係る発明によれば、作業支援画面において、トレイの複数のセルをセル
配置に対応して模式的に表したセルイメージが、複数のセルのそれぞれに投入すべき薬剤の錠数と、その薬剤の外観画像を伴って表示される。さらに、選択手段を用いた選択に応じて、各服用日の同じ服用時期の薬包が連続するように薬包シートを形成する連続モードと、1日分の薬包が服用時期の順に並ぶように薬包シートが形成される反復モードとのそれぞれに対応して、複数のセルのそれぞれに対してどの薬剤を何錠投入すべきかが、作業支援画面に表示される。これにより、誤ったセルに薬剤を投入したり、投入すべき錠剤の数を誤ったりするという人為的ミスを、効果的に防止することができる。
【0170】
[付記3]
処方データに基づいて作業支援画面を表示するモニタと、薬剤の容器または包装から当該薬剤を識別するコードを取得するコード取得手段をさらに備え、
前記制御部は、前記コード取得手段によって薬剤の容器または包装からコードが取得されると、取得されたコードに基づいて、前記薬剤が前記処方データに含まれる薬剤のいずれかに合致するか否かを判定する照合処理を行い、
前記制御部は、前記処方データに含まれる薬剤のうち手撒きの対象とされる薬剤のすべてについて前記照合処理が完了していなければ、手撒き処理の後続処理を開始可能としない、薬剤手撒き装置。
【0171】
この付記3の構成において、
薬剤の容器または包装から当該薬剤を識別するコードを取得するコード取得手段をさらに備え、
前記制御部は、前記コード取得手段によって薬剤の容器または包装からコードが取得されると、取得されたコードに基づいて、前記薬剤が前記処方データに含まれる薬剤のいずれかに合致するか否かを判定する照合処理を行い、
前記制御部は、前記処方データに含まれる薬剤のうち手撒きの対象とされる薬剤のすべてについて、前記照合処理が完了するか、または、所定の手順にしたがって前記照合処理がスキップされたことが登録されていなければ、手撒き処理の後続処理を開始可能としない構成としても良い。
【0172】
上記各実施形態で説明した処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。この場合、各処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)、マイクロプロセッサ、プロセッサ等により行われる。それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。記憶装置(記憶媒体)は、一時的でない有形のものであり、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。
【0173】
上記各実施形態で説明した各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。なお、上記実施形態に係る表示装置の表示処理をハードウェアにより実現する場合、各処理を行うためのタイミング調整を行う必要があるのは言うまでもない。上記実施形態においては、説明便宜のため、実際のハードウェア設計で生じる各種信号のタイミング調整の詳細については省略している。
【符号の説明】
【0174】
1…処方制御ユニット
2…錠剤供給ユニット
3…散薬供給ユニット
4…手撒きユニット
5…分包ユニット
6…バーコードリーダ
11…制御部
12…記憶部
13…モニタ
14…入力装置
15…通信IF
41…セル
42…LED
43…LED制御部
44…セル開閉制御部
110、210…初期画面
111…セルイメージ領域
112…薬剤リスト領域
113…薬剤画像領域
114…用量表示領域
120、130、220…選択薬剤対応画面
211…分包イメージ領域
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルに区切られ、前記複数のセルの各々に薬剤が投入されるトレイと、
モニタと、
制御部と、
前記複数のセルの各々に投入された薬剤を薬包に分包する分包ユニットとを備え、
前記制御部は、処方データに基づいて、前記トレイの前記複数のセルの配置に対応して前記トレイの前記複数のセルを模式的に表したセルイメージにおいて、前記トレイにおける薬剤を投入すべきセルと対応するセルを識別可能に表す作業支援画面を作成し、前記モニタに表示し、
作成すべき薬包の数が、前記トレイの複数のセルの数よりも多い場合、前記制御部は、前記処方データに基づいて前記作業支援画面を複数作成し、前記制御部は、前記複数の作業支援画面のうち、第1の作業支援画面が表示され、前記分包ユニットによる分包処理を開始するための信号を制御部が受信すると、前記複数のセルに薬剤を投入する第2の作業支援画面への切り替えを可能とする、薬剤手撒き装置。